説明

復水器清浄度管理装置及び方法

【課題】冷却水量として固定値を用いる簡易算出であっても復水器の清浄度を適切に算出し、清浄度の傾向を管理することができる復水器清浄度管理装置及び方法を提供すること。
【解決手段】復水器清浄度管理装置10は、日付ごとの時刻に対応付けて潮位を予め算出した潮位表を記憶する潮位表DB31と、復水器の清浄度を算出するためのデータを計測する計測部11と、計測部11によって計測されたデータの所定時間の平均値と、算出において用いられる固定値である設定値とに基づいて、復水器の清浄度を算出する清浄度算出部12とを備える。そして、復水器清浄度管理装置10は、潮位表DB31に基づいて、所定の潮位になる日付及び時間帯を抽出し、抽出した日付及び時間帯に計測部11によって計測されたデータを用いて、復水器301の清浄度を算出するように清浄度算出部12の算出を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、復水器清浄度の傾向管理についての復水器清浄度管理装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、火力発電所や原子力発電所等の熱サイクルプラントにおいて、復水器は、蒸気タービンを稼働させた蒸気を冷却し、水に戻して復水とする。この過程において蒸気を冷却する冷却水として海水を利用する場合、復水器は、海水が流れる冷却水管と蒸気との間で熱交換を行い、蒸気を冷却する。海水を利用すると、海水に含まれる貝等の海生生物が冷却水管に付着し、復水器の清浄度が低下し、熱交換性能が低下する。このため、通常、定期的に復水器冷却水管の洗浄等が行われ、清浄度が保持され、復水器の熱交換性能の維持が図られている。
【0003】
このような復水器の性能を診断するための技術を開示する特許文献1が知られている。特許文献1に開示された復水器性能診断装置は、負荷に応じて設定した冷却管清浄度の基準値と、性能診断時の冷却管清浄度計算結果との比較診断から冷却管清浄度変化を判定する。
【0004】
また、復水器の性能を効率的に制御するための技術を開示する特許文献2が知られている。特許文献2に開示された復水器システムは、復水器冷却器の循環水ポンプの回転数を制御する制御手段を有する復水器システムである。制御手段は、実測データに基づいて、復水器冷却器冷却水の流量、復水器冷却器内の冷却水流速等の値が所定の範囲に入るように制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平05−141879号公報
【特許文献2】特開2003−343211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、復水器の清浄度は、次のような計算式によって計算される。
復水器清浄度=熱貫流率/基準熱貫流率×100
熱貫流率=比重×比熱×冷却水量/(伝熱面積×対数平均温度差)
対数平均温度差=(出口海水温度−入口海水温度)/
ln(ABS((T−入口海水温度)/(T−出口海水温度)))
:真空度における飽和温度
基準熱貫流率=設計熱貫流率×冷却水入口温度補正係数×SQR(管内冷却水速度)/(細管清浄度係数設計値×冷却水入口温度補正係数設計値×SQR(管内冷却水速度設計値))
管内冷却水速度=冷却水量/(管内流路断面積×3600)
【0007】
上述の計算式において用いられる海水温度や、真空度の計測は、常時行われている。冷却水量は、循環ポンプ吐出流量を計測することによって得られるが、例えば、復水器の清浄度の管理は、月1回程度の頻度であり、通常運転中の冷却水量は、ほぼ一定であるので、計算式に用いられる冷却水量の値に、プラントによる固定値、例えば、35000m/hが用いられる。
【0008】
そこで、冷却水量として固定値を用いる簡易算出であっても復水器の清浄度を適切に算出し、清浄度の傾向を管理することができる装置が求められている。
【0009】
本発明は、冷却水量として固定値を用いる簡易算出であっても復水器の清浄度を適切に算出し、清浄度の傾向を管理することができる復水器清浄度管理装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0011】
(1) 海水を利用する復水器の清浄度を管理する復水器清浄度管理装置であって、日付ごとの時刻に対応付けて潮位を予め算出した潮位表を記憶する潮位表記憶手段と、前記復水器の清浄度を算出するためのデータを計測する計測手段と、前記計測手段によって計測されたデータの所定時間の平均値と、算出において用いられる固定値である設定値とに基づいて、前記復水器の清浄度を算出する清浄度算出手段と、前記潮位表記憶手段に基づいて、所定の潮位になる日付及び時間帯を抽出する時間帯抽出手段と、前記時間帯抽出手段によって抽出された日付及び時間帯に前記計測手段によって計測されたデータを用いて、前記復水器の清浄度を算出するように前記清浄度算出手段の算出を制御する清浄度算出制御手段と、を備える復水器清浄度管理装置。
【0012】
(1)の構成によれば、本発明に係る復水器清浄度管理装置は、日付ごとの時刻に対応付けて潮位を予め算出した潮位表を記憶する潮位表記憶手段と、復水器の清浄度を算出するためのデータを計測する計測手段と、計測手段によって計測されたデータの所定時間の平均値と、算出において用いられる固定値である設定値とに基づいて、復水器の清浄度を算出する清浄度算出手段とを備える。そして、復水器清浄度管理装置は、潮位表記憶手段に基づいて、所定の潮位になる日付及び時間帯を抽出し、抽出した日付及び時間帯に計測手段によって計測されたデータを用いて、復水器の清浄度を算出するように清浄度算出手段の算出を制御する。
【0013】
すなわち、本発明に係る復水器清浄度管理装置は、所定の潮位になる日付及び時間帯に計測されたデータを用いて、復水器の清浄度を計算する。
したがって、復水器清浄度管理装置は、冷却水量として固定値を用いる簡易算出であっても、復水器の清浄度を適切に算出し、同じ所定の潮位における清浄度の傾向を管理することができる。
【0014】
(2) 前記時間帯抽出手段によって抽出された日付及び時間帯のうちから、前記所定時間における潮位の変動差が所定の範囲内である日付及び時間帯を抽出する変動範囲内時間帯抽出手段をさらに備え、前記清浄度算出制御手段は、前記変動範囲内時間帯抽出手段によって抽出された日付及び時間帯に前記計測手段によって計測されたデータを用いて、前記復水器の清浄度を算出するように前記清浄度算出手段の算出を制御する、(1)に記載の復水器清浄度管理装置。
【0015】
すなわち、(2)に係る復水器清浄度管理装置は、平均値を求める所定時間(例えば、2時間)における潮位の変動差が所定の範囲(例えば、50cm)内である日付及び時間帯をさらに抽出し、抽出した時間帯に計測されたデータを用いて、復水器の清浄度を算出するように清浄度算出手段の算出を制御する。抽出した日付及び時間帯における潮位の差は、データを平均する時間内の変動差が計算式の値に影響を与えない範囲(例えば2時間の変動差が50cm)である。
したがって、復水器清浄度管理装置は、冷却水量として固定値、例えば、35000m/hを用いる簡易算出であっても、潮位の変動差が少ない日付及び時間帯に計測されたデータを用いて、復水器の清浄度を適切に算出し、清浄度の傾向を管理することができる。
【0016】
(3) 前記変動範囲内時間帯抽出手段によって抽出された日付及び時間帯のうちから、潮位の頂点の時刻を含む日付及び時間帯を抽出する頂点時間帯抽出手段をさらに備え、前記清浄度算出制御手段は、前記頂点時間帯抽出手段によって抽出された日付及び時間帯に前記計測手段によって計測されたデータを用いて、前記復水器の清浄度を算出するように前記清浄度算出手段の算出を制御する、(2)に記載の復水器清浄度管理装置。
【0017】
すなわち、(3)に係る復水器清浄度管理装置は、満潮時刻又は干潮時刻を含む日付及び時間帯をさらに抽出し、抽出した時間帯に計測されたデータを用いて、復水器の清浄度を算出するように清浄度算出手段の算出を制御する。
したがって、(3)に係る復水器清浄度管理装置は、潮位の変動差がさらに小さい日付及び時間帯に計測されたデータを用いて、復水器の清浄度を算出するので、冷却水量として固定値、例えば、35000m/hを用いる簡易算出であっても、復水器の清浄度をさらに適切に算出し、清浄度の傾向を管理することができる。
【0018】
(4) 前記頂点時間帯抽出手段によって抽出された日付及び時間帯のうちから、小潮の日である日付及び時間帯を抽出する小潮時間帯抽出手段をさらに備え、前記清浄度算出制御手段は、前記小潮時間帯抽出手段によって抽出された日付及び時間帯に前記計測手段によって計測されたデータを用いて、前記復水器の清浄度を算出するように前記清浄度算出手段の算出を制御する、(3)に記載の復水器清浄度管理装置。
【0019】
すなわち、(4)に係る復水器清浄度管理装置は、干満の差が月内で最も小さい小潮の日である日付及び時間帯を抽出し、抽出した時間帯に計測されたデータを用いて復水器の清浄度を算出するように清浄度算出手段の算出を制御する。
したがって、(4)に係る復水器清浄度管理装置は、月ごとに潮位の変動差が最も小さい日付及び時間帯に計測されたデータを用いて、復水器の清浄度を算出するので、冷却水量として固定値、例えば、35000m/hを用いる簡易算出であっても、復水器の清浄度をさらに適切に算出し、清浄度の傾向を管理することができる。
【0020】
(5) 海水を利用する復水器の清浄度を管理する復水器清浄度管理装置が実行する方法であって、前記復水器清浄度管理装置は、日付ごとの時刻に対応付けて潮位を予め算出した潮位表を記憶する潮位表記憶手段と、前記復水器の清浄度を算出するためのデータを計測する計測手段と、前記計測手段によって計測されたデータの所定時間の平均値と、算出において用いられる固定値である設定値とに基づいて、前記復水器の清浄度を算出する清浄度算出手段と、を備え、前記方法は、前記潮位表記憶手段に基づいて、所定の潮位になる日付及び時間帯を抽出する時間帯抽出ステップと、前記時間帯抽出ステップによって抽出された日付及び時間帯に前記計測手段によって計測されたデータを用いて、前記復水器の清浄度を算出するように前記清浄度算出手段の算出を制御する清浄度算出制御ステップと、を備える方法。
【0021】
したがって、(5)の方法は、(1)と同様に、冷却水量として固定値を用いる簡易算出であっても、復水器の清浄度を適切に算出し、清浄度の傾向を管理することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、冷却水量として固定値を用いる簡易算出であっても、復水器の清浄度を適切に算出し、清浄度の傾向を管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る復水器清浄度管理装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る復水器清浄度管理装置と、復水器との関係を説明する図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る復水器清浄度管理装置において、復水器に冷却水を送る循環器ポンプと潮位との関係を説明する図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る復水器清浄度管理装置において、各項目と計算式との関係を説明する図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る復水器清浄度管理装置において、ポンプ全揚程と循環ポンプ吐出流量との関係を説明する図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る復水器清浄度管理装置の潮位表DBの例を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る復水器清浄度管理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る復水器清浄度管理装置の処理内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態に係る復水器清浄度管理装置10の機能構成を示す機能ブロック図である。図6は、本発明の一実施形態に係る復水器清浄度管理装置10の潮位表DB(DataBase)31の例を示す図である。
【0026】
復水器清浄度管理装置10は、潮位表記憶手段としての潮位表DB31と、計測手段としての計測部11と、清浄度算出手段としての清浄度算出部12と、時間帯抽出手段としての時間帯抽出部13と、清浄度算出制御手段としての清浄度算出制御部14とを備える。以下、各部について詳述する。
【0027】
潮位表DB31は、日付ごとの時刻に対応付けて潮位を予め算出した潮位表を記憶する。具体的には、潮位表DB31は、気象庁が予測している潮位の予測値(天文潮位)をダウンロードして記憶している。例えば、図6に示すように、日付ごとの1時間ごとに潮位を記憶し、満潮か干潮かについても記憶している。また、潮位表は朔(新月)、望(満月)、上弦、下弦の月に当たる日を記憶している。ここで、朔(新月)、望(満月)に当たる日の前後数日間は、潮位の満潮・干潮の差が大きくなる大潮であり、上弦の月、下弦の月に当たる日の前後数日間は、潮位の満潮・干潮の差が小さくなる小潮である。
【0028】
計測部11は、復水器301の清浄度を算出するためのデータを計測する。具体的には、計測部11は、復水器301の入口海水温度と、復水器301の出口海水温度と、復水器301の真空度とを配置されたそれぞれの計測器(図2において後述する、入口温度センサ401a、401bと、出口温度センサ402a、402bと、圧力センサ403a、403b)によって計測する。
【0029】
清浄度算出部12は、計測部11によって計測されたデータの所定時間の平均値と、算出において用いられる固定値である設定値とに基づいて、復水器301の清浄度を算出する。具体的には、清浄度算出部12は、引数として渡されたデータ、例えば計測されたデータの2時間の平均値が渡されると、比重、比熱、伝熱面積、管内流路断面積、各種設計値等についての固定値である設定値を用いて、上述の計算式により、復水器301の清浄度を算出する。
【0030】
時間帯抽出部13は、潮位表DB31に基づいて、所定の潮位になる日付及び時間帯を抽出する。より具体的には、時間帯抽出部13は、冷却水流量の固定値(例えば、35000m/h)に対応するポンプ全揚程の値(例えば、後述する図5の約12.5m)になるように設定された所定の潮位と、同じ潮位になる日付及び時間帯を抽出する。時間帯の幅は、計測されたデータを平均する時間(例えば、2時間)である。
【0031】
清浄度算出制御部14は、時間帯抽出部13によって抽出された日付及び時間帯に計測部11によって計測されたデータを用いて、復水器301の清浄度を算出するように清浄度算出部12の算出を制御する。具体的には、清浄度算出制御部14は、時間帯抽出部13によって抽出された日付及び時間帯に計測部11によって計測されたデータを用いて所定時間の平均値を求め、求めた平均値を清浄度算出部12のインターフェースに基づいて引数として渡す。清浄度算出制御部14によって制御されて算出された清浄度は、冷却水流量の固定値に対応するように設定された所定の潮位での清浄度であるので、復水器清浄度管理装置10は、冷却水量として固定値を用いる簡易算出であっても、復水器301の清浄度を適切に算出し、同じ潮位での清浄度の傾向を管理することができる。
【0032】
さらに、復水器清浄度管理装置10は、変動範囲内時間帯抽出手段としての変動範囲内時間帯抽出部131と、頂点時間帯抽出手段としての頂点時間帯抽出部132と、小潮時間帯抽出手段としての小潮時間帯抽出部133とを備えている。
【0033】
変動範囲内時間帯抽出部131は、時間帯抽出部13によって抽出された日付及び時間帯のうちから、所定時間における潮位の変動差が所定の範囲内である日付及び時間帯を抽出する。具体的には、変動範囲内時間帯抽出部131は、時間帯抽出部13によって抽出された日付及び時間帯のうちから、その時間帯に含まれる時間に潮位表DB31において対応付けられた潮位を取得し、取得した潮位を比較して、計測されたデータの平均値を求める所定時間(例えば、2時間)内の潮位の変動差が所定の範囲(例えば、50cm)内である日付及び時間帯を抽出する。
そして、清浄度算出制御部14は、変動範囲内時間帯抽出部131によって抽出された日付及び時間帯に計測部11によって計測されたデータを用いて、復水器301の清浄度を算出するように清浄度算出部12の算出を制御する。すなわち、清浄度算出制御部14は、変動範囲内時間帯抽出部131によって抽出された日付及び時間帯に計測部11によって計測されたデータの所定時間の平均値を、清浄度算出部12に引数として渡す。
【0034】
頂点時間帯抽出部132は、変動範囲内時間帯抽出部131によって抽出された日付及び時間帯のうちから、潮位の頂点の時刻を含む日付及び時間帯を抽出する。具体的には、頂点時間帯抽出部132は、変動範囲内時間帯抽出部131によって抽出された日付及び時間帯のうちから、潮位表DB31に記憶された満潮の時刻又は干潮の時刻を含む日付及び時間帯を抽出する。
そして、清浄度算出制御部14は、頂点時間帯抽出部132によって抽出された日付及び時間帯に計測部11によって計測されたデータを用いて、復水器301の清浄度を算出するように清浄度算出部12の算出を制御する。すなわち、清浄度算出制御部14は、頂点時間帯抽出部132によって抽出された日付及び時間帯に計測部11によって計測されたデータの所定時間の平均値を、清浄度算出部12に引数として渡す。
【0035】
小潮時間帯抽出部133は、頂点時間帯抽出部132によって抽出された日付及び時間帯のうちから、小潮の日である日付及び時間帯を抽出する。具体的には、小潮時間帯抽出部133は、頂点時間帯抽出部132によって抽出された日付及び時間帯のうちから、潮位表DB31に記憶された上弦の月に当たる日付又は下弦の月に当たる日付である日付及び時間帯を抽出する。
そして、清浄度算出制御部14は、小潮時間帯抽出部133によって抽出された日付及び時間帯に計測部11によって計測されたデータを用いて、復水器301の清浄度を算出するように清浄度算出部12の算出を制御する。すなわち、清浄度算出制御部14は、小潮時間帯抽出部133によって抽出された日付及び時間帯に計測部11によって計測されたデータの所定時間の平均値を、清浄度算出部12に引数として渡す。
【0036】
図2は、本発明の一実施形態に係る復水器清浄度管理装置10と、復水器301との関係を説明する図である。図2において、取水口(図示せず)から取水された海水は、循環ポンプ101によって汲み上げられ、循環水ポンプ出口弁70、復水器水室入口弁71a、71bを経て、循環水配管を通って復水器301に冷却水として流入する。さらに、冷却水として流入した海水は、冷却管を流れて熱交換により蒸気を冷却し、復水器水室出口弁57a、57bを経て放水口(図示せず)で海に排出される。
【0037】
図2において、復水器清浄度管理装置10は、復水器の入口海水温度を計測する入口温度センサ401a、401bと、復水器301の出口海水温度を計測する出口温度センサ402a、402bと、復水器301の真空度を計測する圧力センサ403a、403bとから、それぞれが計測したデータを受信する。復水器清浄度管理装置10は、所定の条件を満たす潮位での復水器301の清浄度を適切に算出し、算出した清浄度を出力(例えば、表示部2014に表示)する。
【0038】
図3は、本発明の一実施形態に係る復水器清浄度管理装置10において、復水器301に冷却水を送る循環器ポンプと潮位との関係を説明する図である。図3において、圧力計中心の高さH1は、循環ポンプ101から圧力の測定位置までの高さであり、循環ポンプ吸込潮位H2は、循環ポンプ101から海面までの高さである。
【0039】
図4は、本発明の一実施形態に係る復水器清浄度管理装置10において、各項目と計算式との関係を説明する図である。図5は、本発明の一実施形態に係る復水器清浄度管理装置10において、ポンプ全揚程と循環ポンプ吐出流量との関係を説明する図である。
図4の式5から、全揚程は、循環ポンプ吸込潮位H2が大きくなる(すなわち、潮位が下がる)と大きくなる。図5が示す関係から、全揚程が大きくなると、循環ポンプ吐出流量が小さくなる。すなわち、潮位が下がると、循環ポンプ吐出流量は小さくなる。よって、循環ポンプ吐出流量である冷却水量に固定値(例えば、固定値35000m/h)を用いる場合、固定値に対応する潮位でのデータを用いることによって、復水器清浄度管理装置10は、冷却水量が固定値であっても、適切な清浄度を算出する。
【0040】
図7は、本発明の一実施形態に係る復水器清浄度管理装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。図7に示すように、復水器清浄度管理装置10は、CPU(Central Processing Unit)2011、メモリ2012、操作部2013、表示部2014、I/Oコントローラ1070、通信I/F1040及び機器I/F2016がバスライン2050により接続されて構成されている。
【0041】
CPU2011は、復水器清浄度管理装置10を統括的に制御する部分であり、メモリ2012に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、上述したハードウェアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。メモリ2012は、適宜読み出して実行されるプログラムを記憶し、プログラムの実行によって作成される種々の情報を記憶する。
【0042】
操作部2013は、各種設定や入力操作を行う操作ボタン群、決定操作ボタン等を備えており、操作部2013による入力情報はCPU2011の制御下で処理される。すなわち、ユーザは、操作部2013を介して、必要な各種の設定操作、又は指定操作等が可能である。表示部2014は、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)によって構成され、各種情報を表示する。
【0043】
I/Oコントローラ1070には、ハードディスク1074等の記憶手段を接続することができる。ハードディスク1074は、復水器清浄度管理装置10が本発明の機能を実行するためのプログラムを記憶している。さらに、ハードディスク1074は、潮位表DB31や、計測したデータ等を記憶している。
【0044】
通信I/F1040は、復水器清浄度管理装置10を専用ネットワーク又は公共ネットワークを介して他のサーバ等と接続でき、例えば、潮位表DB31のデータをダウンロードするためのネットワーク・アダプタである。
【0045】
機器I/F2016は、復水器清浄度管理装置10と、入口温度センサ401a、401b、出口温度センサ402a、402b、圧力センサ403a、403b等とを接続し、温度データや圧力データ(真空度データ)を受信できるようにするためのインターフェースである。
【0046】
図8は、本発明の一実施形態に係る復水器清浄度管理装置10の処理内容を示すフローチャートである。
【0047】
ステップS101において、CPU2011(時間帯抽出部13)は、潮位表DB31に基づいて所定の潮位になる日付及び時間帯を抽出する。より具体的には、CPU2011は、設定されている所定の潮位に基づいて、潮位表DB31を検索し、所定時間(例えば、2時間)内で所定の潮位になる日付及び時間帯を抽出する。その後、CPU2011は、処理をステップS102に移す。
【0048】
ステップS102において、CPU2011(清浄度算出制御部14)は、所定の潮位の時間帯で清浄度を算出するか否かを判断する。例えば、CPU2011は、清浄度を算出するための時間帯を示すために予め設定された算出モードフラグが、所定の潮位の時間帯で清浄度を算出するように設定されているか否かを判断する。この判断がYESの場合、CPU2011は、処理をステップS108に移し、NOの場合、CPU2011は、処理をステップS103に移す。
【0049】
ステップS103において、CPU2011(変動範囲内時間帯抽出部131)は、ステップS101において抽出した日付及び時間帯のうちから、潮位の変動差が所定の範囲内の日付及び時間帯を抽出する。より具体的には、CPU2011は、計測されたデータを平均するための所定時間(例えば、2時間)における潮位の変動差が所定の範囲(例えば、50cm)内の日付及び時間帯を抽出する。その後、CPU2011は、処理をステップS104に移す。
【0050】
ステップS104において、CPU2011(清浄度算出制御部14)は、変動範囲内の時間帯で清浄度を算出するか否かを判断する。例えば、CPU2011は、算出モードフラグが、変動範囲内の時間帯で清浄度を算出するように設定されているか否かを判断する。この判断がYESの場合、CPU2011は、処理をステップS108に移し、NOの場合、CPU2011は、処理をステップS105に移す。
【0051】
ステップS105において、CPU2011(頂点時間帯抽出部132)は、ステップS103において抽出した日付及び時間帯のうちから、満潮又は干潮の時刻を含む日付及び時間帯を抽出する。より具体的には、CPU2011は、抽出した日付及び時間帯のうちから、潮位表DB31に記憶されている満潮の時刻又は干潮の時刻を含む日付及び時間帯を抽出する。その後、CPU2011は、処理をステップS106に移す。
【0052】
ステップS106において、CPU2011(清浄度算出制御部14)は、満潮又は干潮の時間帯で清浄度を算出するか否かを判断する。例えば、CPU2011は、算出モードフラグが、満潮又は干潮の時間帯で清浄度を算出するように設定されているか否かを判断する。この判断がYESの場合、CPU2011は、処理をステップS108に移し、NOの場合、CPU2011は、処理をステップS107に移す。
【0053】
ステップS107において、CPU2011(小潮時間帯抽出部133)は、ステップS105で抽出した日付及び時間帯のうちから、小潮の日付及び時間帯を抽出する。より具体的には、CPU2011は、抽出した日付及び時間帯のうちから、潮位表DB31に記憶されている上弦の月の日付又は下弦の月の日付である日付及び時間帯を抽出する。その後、CPU2011は、処理をステップS108に移す。
【0054】
ステップS108において、CPU2011(計測部11、清浄度算出部12、清浄度算出制御部14)は、抽出した日付及び時間帯に計測されたデータの平均値を算出し、算出した平均値を用いて、清浄度を算出する。その後、CPU2011は、処理を終了する。
【0055】
本実施形態によれば、復水器清浄度管理装置10は、日付ごとの時刻に対応付けて潮位を予め算出した潮位表を記憶する潮位表DB31と、復水器301の清浄度を算出するためのデータを計測する計測部11と、計測部11によって計測されたデータの所定時間の平均値と、算出において用いられる固定値である設定値とに基づいて、復水器301の清浄度を算出する清浄度算出部12とを備える。そして、復水器清浄度管理装置10は、潮位表DB31に基づいて、所定の潮位になる日付及び時間帯を抽出し、抽出した日付及び時間帯に計測部11によって計測されたデータを用いて、復水器301の清浄度を算出するように清浄度算出部12の算出を制御する。
さらに、復水器清浄度管理装置10は、平均値を求める所定時間(例えば、2時間)における潮位の変動差が所定の範囲(例えば、50cm)内である日付及び時間帯を抽出し、抽出した時間帯に計測されたデータを用いて、復水器301の清浄度を算出するように清浄度算出部12の算出を制御する。
さらに、復水器清浄度管理装置10は、満潮時刻又は干潮時刻を含む日付及び時間帯を抽出し、抽出した時間帯に計測されたデータを用いて、復水器301の清浄度を算出するように清浄度算出部12の算出を制御する。
さらに、復水器清浄度管理装置10は、干満の差が月内で最も小さい小潮の日である日付及び時間帯を抽出し、抽出した時間帯に計測されたデータを用いて、復水器301の清浄度を算出するように清浄度算出部12の算出を制御する。
したがって、復水器清浄度管理装置10は、冷却水量として固定値を用いる簡易算出であっても、復水器301の清浄度を適切に算出し、清浄度の傾向を管理することができる。
【0056】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0057】
10 復水器清浄度管理装置
11 計測部
12 清浄度算出部
13 時間帯抽出部
131 変動範囲内時間帯抽出部
132 頂点時間帯抽出部
133 小潮時間帯抽出部
14 清浄度算出制御部
31 潮位表DB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
海水を利用する復水器の清浄度を管理する復水器清浄度管理装置であって、
日付ごとの時刻に対応付けて潮位を予め算出した潮位表を記憶する潮位表記憶手段と、
前記復水器の清浄度を算出するためのデータを計測する計測手段と、
前記計測手段によって計測されたデータの所定時間の平均値と、算出において用いられる固定値である設定値とに基づいて、前記復水器の清浄度を算出する清浄度算出手段と、
前記潮位表記憶手段に基づいて、所定の潮位になる日付及び時間帯を抽出する時間帯抽出手段と、
前記時間帯抽出手段によって抽出された日付及び時間帯に前記計測手段によって計測されたデータを用いて、前記復水器の清浄度を算出するように前記清浄度算出手段の算出を制御する清浄度算出制御手段と、
を備える復水器清浄度管理装置。
【請求項2】
前記時間帯抽出手段によって抽出された日付及び時間帯のうちから、前記所定時間における潮位の変動差が所定の範囲内である日付及び時間帯を抽出する変動範囲内時間帯抽出手段をさらに備え、
前記清浄度算出制御手段は、前記変動範囲内時間帯抽出手段によって抽出された日付及び時間帯に前記計測手段によって計測されたデータを用いて、前記復水器の清浄度を算出するように前記清浄度算出手段の算出を制御する、
請求項1に記載の復水器清浄度管理装置。
【請求項3】
前記変動範囲内時間帯抽出手段によって抽出された日付及び時間帯のうちから、潮位の頂点の時刻を含む日付及び時間帯を抽出する頂点時間帯抽出手段をさらに備え、
前記清浄度算出制御手段は、前記頂点時間帯抽出手段によって抽出された日付及び時間帯に前記計測手段によって計測されたデータを用いて、前記復水器の清浄度を算出するように前記清浄度算出手段の算出を制御する、
請求項2に記載の復水器清浄度管理装置。
【請求項4】
前記頂点時間帯抽出手段によって抽出された日付及び時間帯のうちから、小潮の日である日付及び時間帯を抽出する小潮時間帯抽出手段をさらに備え、
前記清浄度算出制御手段は、前記小潮時間帯抽出手段によって抽出された日付及び時間帯に前記計測手段によって計測されたデータを用いて、前記復水器の清浄度を算出するように前記清浄度算出手段の算出を制御する、
請求項3に記載の復水器清浄度管理装置。
【請求項5】
海水を利用する復水器の清浄度を管理する復水器清浄度管理装置が実行する方法であって、
前記復水器清浄度管理装置は、
日付ごとの時刻に対応付けて潮位を予め算出した潮位表を記憶する潮位表記憶手段と、
前記復水器の清浄度を算出するためのデータを計測する計測手段と、
前記計測手段によって計測されたデータの所定時間の平均値と、算出において用いられる固定値である設定値とに基づいて、前記復水器の清浄度を算出する清浄度算出手段と、を備え、
前記方法は、
前記潮位表記憶手段に基づいて、所定の潮位になる日付及び時間帯を抽出する時間帯抽出ステップと、
前記時間帯抽出ステップによって抽出された日付及び時間帯に前記計測手段によって計測されたデータを用いて、前記復水器の清浄度を算出するように前記清浄度算出手段の算出を制御する清浄度算出制御ステップと、
を備える方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−255636(P2012−255636A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130383(P2011−130383)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)