微小気泡発生装置、及びこれを用いた水洗便器装置
【課題】吐水圧を弱める水の圧損を除去し得る微小気泡発生装置、及びこれを用いた水洗便器装置を提供する。
【解決手段】水を流す水流路2に、水のエゼクター効果により水に気体を混入させる気体混入部3と、上記気体混入部3で水に混入させた気体を細分化する微小気泡生成部4とを、上流側から順に配設して成る微小気泡発生装置1である。微小気泡生成部4の上流域に気体の細分化のために水流路2内を減圧状態にする細径部5を備える。気体混入部3から微小気泡生成部4の細径部5に至る水流路2の部位を徐々に内径を狭める縮径部7で構成する。縮径部7によって気体混入部3から微小気泡生成部4の細径部5に至る水流路2の内面を滑らかな曲面形状に形成する。
【解決手段】水を流す水流路2に、水のエゼクター効果により水に気体を混入させる気体混入部3と、上記気体混入部3で水に混入させた気体を細分化する微小気泡生成部4とを、上流側から順に配設して成る微小気泡発生装置1である。微小気泡生成部4の上流域に気体の細分化のために水流路2内を減圧状態にする細径部5を備える。気体混入部3から微小気泡生成部4の細径部5に至る水流路2の部位を徐々に内径を狭める縮径部7で構成する。縮径部7によって気体混入部3から微小気泡生成部4の細径部5に至る水流路2の内面を滑らかな曲面形状に形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小気泡発生装置、及びこれを用いた水洗便器装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、水洗便所の洗浄水や、台所や洗面化粧台の吐水や、ジェットバス装置の噴出水などには、見かけの水量を増やして節水効果を図ったり、水の肌やボウル部等への当りを柔らかくして静音化を図ったりするために、水に空気などの気体を混入させることが行われている(たとえば特許文献1参照)。
【0003】
ここで、水に気体を混入させるには構成の簡略化を図って水流路を流れる水のエゼクター効果により気体を水に混入させることが一般に行われているが、上記のように単に水に気体を混入させると、気体が大きな気泡となって固まった状態で水中に存在するようになって、あたかも吐水が途切れたような吐水外観となってしまうので、本発明者は、気体混入部にて水に混入させた気体を細分化させる微小気泡発生装置を水流路に配設し、水中に均等に比較的小さい泡を行き渡らせることで吐水外観を良好にすることを行わせることを考えるに至っている(たとえば特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−279787号公報
【特許文献2】特開2006−272091号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、微小気泡発生装置の用途としては、叙述のように水洗便所の洗浄水や、台所や洗面化粧台の吐水や、ジェットバス装置の噴出水などに気泡を混入させる場合が挙げられるが、その実用化の段階で、微小気泡発生装置を水流路に配設すると水の吐出圧が弱まってしまうという問題が浮上するに至った。特に、水の吐出を水道圧に頼る水洗便器装置などに微小気泡発生装置を付設する場合には、上記問題が実用化への大きな障害となっていた。
【0005】
本発明は、その目的とするところは、吐水圧を弱める水の圧損を除去し得る微小気泡発生装置、及びこれを用いた水洗便器装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために請求項1に係る微小気泡発生装置にあっては、水を流す水流路2に、水のエゼクター効果により水に気体を混入させる気体混入部3と、上記気体混入部3で水に混入させた気体を細分化する微小気泡生成部4とを、上流側から順に配設して成る微小気泡発生装置1において、微小気泡生成部4の上流域に気体の細分化のために水流路2内を減圧状態にする細径部5を備え、気体混入部3から微小気泡生成部4の細径部5に至る水流路2の部位を徐々に内径を狭める縮径部7で構成し、この縮径部7によって気体混入部3から微小気泡生成部4の細径部5に至る水流路2の内面を滑らかな曲面形状に形成したことを特徴とする。これによると、気体混入部3から微小気泡生成部4の細径部5に至る水流路2の部位を徐々に内径を狭める縮径部7で構成し、この縮径部7によって気体混入部3から微小気泡生成部4の細径部5に至る水流路2の内面を滑らかな曲面形状に形成したことで、気体混入部3と微小気泡生成部4との間の水流路2の部位で生じてしまう吐水圧を弱める圧損を、除去することができたものである。
【0007】
また、請求項2に係る微小気泡発生装置にあっては、請求項1において、水流路2への気体の供給経路8を複数設けたことを特徴とする。これによると、水は気体混入部3から微小気泡生成部4との間の水流路2の部位、ひいては微小気泡発生装置1を圧損無くスムーズに流れるために、気体混入部3での水への気体混入量が減少する恐れもあるが、叙述のように水流路2への気体の供給経路8を複数設けたことで、水への気体混入量を確保することができる。
【0008】
また、請求項3に係る微小気泡発生装置にあっては、請求項1または2において、微小気泡生成部4の下流域に泡溜まり部9を配設したことを特徴とする。これによると、水は気体混入部3から微小気泡生成部4との間の水流路2の部位、ひいては微小気泡発生装置1を圧損無くスムーズに流れるために、気体が充分に細分化されない状態で微小気泡発生装置1から下流へ流れる恐れもあるが、叙述のように微小気泡生成部4の下流域に泡溜まり部9を配設したことで、微小気泡生成部4での気体の細分化の漏れを低減させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明にあっては、気体混入部と微小気泡生成部との間の水流路の部位で生じる吐水圧を弱める水の圧損を除去し得る、という利点を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0011】
本例の微小気泡発生装置1は、図1及び2のように、内部に水流路2が貫通する筒状の本体ケース11を有しており、本体ケース11内の水流路2の上流側から気体を混入させる気体混入部3、混入した気体を細分化させて微小気泡を生成可能にする微小気泡生成部4が順に設けられている。ここで、気体混入部3の水流路2には流路径を絞った絞り部12が形成されており、この絞り部12に気体供給管13の気体出口13aが臨むように接続されている。また、微小気泡生成部4には、水流路2の径を細めた細径部5と細径部5から徐々に径を太くする拡径部6とで構成したベンチュリ管状の圧力急変機構が採用されており、細径部5で水を減圧状態(静圧を低下させた状態)にして水に混入した気体を膨張させ、拡径部6で水を加圧状態(静圧を高めた状態)にして水に高い圧力をかけて気体を剪断させて細分化させることが可能にされている。この圧力急変機構の細径部5や拡径部6(特に拡径部6の流れ方向の長さ寸法)の寸法設定を変化させることで、細分化して生成した微小気泡を所望の径(たとえばμmサイズ(1mm未満)やmmサイズ(1mm以上))にすることができる。本例の微小気泡生成部4は、装置のコンパクト化を鑑み、微小気泡生成部4を水の流れ方向に略2分して得る上流域に細径部5を配設すると共に下流域に拡径部6を配設したような寸法設定にされている。
【0012】
詳しくは、微小気泡発生装置1の本体ケース11は、内部が水流路2となる上流管部材11a、中流管部材11b及び下流管部材11cを、同軸上にパッキンを介して一体に連結することで形成されている。上流管部材11aは、上流域部分の外周部に微小気泡発生装置1よりも上流側の水流路2を構成する水流路管2aが接続される接続部11a1を有し、下流域部分に上記絞り部12を形成させる絞り管部15が形成されている。なお、上流管部材11aの内周面は絞り管部15に向けて徐々に水流路2の流路径が絞られるような滑らかな曲面形状に形成されており、絞り管部15の内周面は下流側開口で最小径部分よりもやや径が広がるようなノズル形状にされていて絞り部12を構成している。絞り管部15の外面部分には後述の中流管部材11bの太径部10に内嵌めするパッキン16aを備えた嵌合用突部16が形成されている。嵌合用突部16の下流側部位には下流側ほど外径を細くして上流管部材11aの下流側端面に至る傾斜周面部16bが形成されている。
【0013】
中流管部材11bは、その上流域部分に水流路2の径を大きくした太径部10が設けられ、太径部10の内面に気体供給管13の気体出口13aが開口している。この太径部10には気体出口13aを塞がないように上流管部材11aの絞り管部15が内嵌めされて気体混入部3を形成する。詳しくは、絞り管部15の傾斜周面部16bと中流管部材11bの太径部10と後述の縮径部7とで囲繞される空間は、絞り部12を流れる水によって負圧が発生してエゼクター効果によって気体供給管13から気体が吸い込まれる気体混入室18となっている。本例では、気体出口13aは上流管部材11aの下流側端面と水流路2の流れ方向における略同位置に開口しているが、気体出口13aの開口位置は絞り管部15の傾斜周面部16bに面するようにしてもよく、この場合にも、気体混入室18に吸い込まれた気体は傾斜周面部16bに沿って水流路2を流れる水(絞り部12から噴射された水)にその周面から偏り無く略均等に混入可能である。
【0014】
また、中流管部材11bは、その中流域部分から下流域部分にかけて上記細径部5と拡径部6から成るベンチュリ管状の微小気泡生成部4が形成されている。ここで、中流管部材11bの内面における気体混入部3の太径部10から微小気泡生成部4の細径部5に至る部位には徐々に内径を狭める縮径部7が形成されており、この縮径部7によって気体混入部3の太径部10から微小気泡生成部4の細径部5に至る水流路2の内面を滑らかな曲面形状に形成してある。また、中流管部材11bの下流端部(微小気泡生成部4の下流端部)の内周部分には泡溜まり形成部材20が配置されると共に、外周部分には下流管部材11cの上流端部を接続するパッキン14aを備えた接続部14が形成される。
【0015】
ここで、泡溜まり形成部材20は、気泡入りの水の流れを滞らせて直前の水流路2(本例では微小気泡生成部4の拡径部6)に泡溜まり部9を形成させる部材であり、たとえば図3のように、水流路2の流路断面の中で一番流れが速い中央部に中央抵抗部21を有し、周枠22との間に中央抵抗部21を支える複数のリブ24を設けたり(図3(b)(c))、中央抵抗部21と周枠22との間に適宜メッシュ材23を張設したりして形成される(図3(a))。なお、上記メッシュ材23には微細気泡を更に細分化させたり水の流れを整流化させる作用もあり、水の流れの整流化によると微小気泡が合一して気泡径が大きくなることを回避させることができる。下流管部材11cは、その上流側端部に中流管部材11bの接続部14に外嵌めする接続部17が形成されており、全体として下流側ほど径を小さくするノズル状の部材であり、噴出ノズル部19を構成している。
【0016】
上記構成を有する本例の微小気泡発生装置1にあっては、気体混入部3では、水流路2の絞り部12を水が流れる際に発生するエゼクター効果によって気体供給管13から気体が気体混入室18に取り込まれると共に、絞り部12から噴射されて気体混入室18に臨む水の周面から上記気体混入室18に取り込まれた気体が水の内部に偏り無く略均等に気泡として混入されるのであり、次いで、微小気泡生成部4では、細径部5で水を減圧状態(静圧を低下させた状態)にして水に混入された気泡状の気体が膨張され、続けて拡径部6で水を加圧状態(静圧を高めた状態)にして水に混入された気泡状の気体に高い圧力をかけて剪断させて細分化させるといったように、気体を混入した水への圧力急変作用によって水に混入された気体が細分化されて微小気泡が生成されるのであり、この微小気泡を含んだ水が噴出ノズル部19から吐出されるようになっている。
【0017】
なお、図示はしないが気体供給管13に開閉弁を設けて、適宜、開閉弁を閉状態にして気体供給管13からの水への気体の混入を無くして、微小気泡発生装置1を通る水に微小気泡を生成させないようにしてもよく、また、気体供給管13に開度調節可能な流量調整弁を設けて、流量調整弁で気体供給管13の開度を調節して気体混入部3への気体の供給量を調節し、微小気泡の量、微小気泡の径を調節してもよい。なお、気体の供給量の増減によって微小気泡生成部4で生成される微小気泡の平均径が変化することは実験により図5のように明らかになっている。
【0018】
ここで、本例の微小気泡発生装置1にあっては、気体混入部3から微小気泡生成部4の細径部5に至る水流路2の部位を徐々に内径を狭める縮径部7で構成し、この縮径部7によって気体混入部3から微小気泡生成部4の細径部5に至る水流路2の内面を滑らかな曲面形状に形成した構成を有したことに大きな特徴を有している。すなわち、微小気泡発生装置1では、気体混入部3と微小気泡生成部4との間の水流路2の部位で吐水圧を弱める圧損が生じる恐れが高いのであるが、本例の微小気泡発生装置1にあっては上記特徴となる構成を有しているので、吐水圧を弱める圧損を除去することができたものであり、したがって、本例の微小気泡発生装置1は水流路2に配設しても水の吐水圧を弱めることなく、台所や洗面化粧台の吐水装置や水洗便器装置30などの各種装置に不具合なく付設することができるようにされている。特に水の吐出を水道圧に頼る水洗便器装置30などに微小気泡発生装置1を付設するのに有用である。
【0019】
なお、上述のように水は気体混入部3から微小気泡生成部4との間の水流路2の部位、ひいては微小気泡発生装置1を圧損無くスムーズに流れるために、気体が充分に細分化されない状態で微小気泡発生装置1から下流へ流れる恐れもある。しかしながら、本例の微小気泡発生装置1では叙述のように微小気泡生成部4の下流域に泡溜まり部9を配設したことで、微小気泡生成部4での気体の細分化の漏れを低減可能にされているという利点も備えている。
【0020】
本例の微小気泡発生装置1は、水洗便器装置30に組み込まれるものであり、水洗便器装置30の便器ボウル部34への洗浄作用等に資する薬剤供給部40が備えられている。薬剤供給部40は空気混入部3や微小気泡生成部4と共に本体ケース11内にコンパクトに納められていて微小気泡発生装置1の小型化が図られている。ここで、図6は本例の微小気泡発生装置1を備えた水洗便器装置30であり、合成樹脂製の便器本体31で主体を構成してある。なお図中32は便器本体31に回動自在に設けた便座であり、33は便器本体31に回動自在に設けた便蓋である。
【0021】
便器本体31の便器ボウル部34の下部には後方に向けて排水筒部35を突設してあり、該排水筒部35からトラップを介して便器ボウル部34内の溜水を排水できるようになっている。本例のトラップはターントラップ方式のもので、排水筒部35に接続したフレキシブルなトラップ筒36により構成してあり、モータ(図示せず)によりトラップ筒36を回動して、図6で実線に示すようにトラップ筒36が上向きU字状となったトラップ構造となる状態と、破線で示すように略逆L字状となってトラップ構造が解除される状態とを選択できるようになっており、通常はトラップ筒36が上向きU字状となったトラップ構造となっていて便器ボウル部34内の下部、排水筒部35、トラップ筒36内に水が溜まった状態となっていて、この状態で大便や小便を行い、大便や小便が終わると、便器ボウル部34内に洗浄水を流すと共に、トラップ筒36を回動してトラップ構造を解除する状態として、汚物と共に汚水を排水するようになっている。本例の微小気泡発生装置1は便器本体31の後部に内装されている。
【0022】
詳しくは、微小気泡発生装置1は、水流路2が便器ボウル部34への洗浄水流路37の一部を構成するように、また、気体供給管13の一端が大気に開放されて水に混入させる気体を空気で構成するようにして、水洗便器装置30に組み込まれている。洗浄水流路37は図示しない水源に接続されて水道水からなる洗浄水が供給される流路であり、洗浄水流路37に洗浄水を供給する手段としては水道圧を利用している。洗浄水流路37の下流側端部には便器ボウル部34の上端部後方に配設されて便器ボウル部34内に臨む吐出部37aを設けてあり、該吐出部37aは微小気泡発生装置1の噴出ノズル部19で構成している。洗浄水流路37において微小気泡発生装置1よりも上流側には電磁弁38を設けてあり、電磁弁38を開閉することで洗浄水流路37に供給された洗浄水を吐出部37aから吐出するか否かを切替可能としてある。
【0023】
本例の微小気泡発生装置1には叙述のように薬剤供給部40が備えられている。薬剤供給部40は微小気泡生成部4の細径部5に合流する薬剤供給経路41を備えており、薬剤供給経路41には薬剤供給経路41から洗浄水流路37を流れる洗浄水に液体薬剤を供給する薬剤供給用ポンプ42を設けている。詳しくは、薬剤供給経路41は、界面活性剤を含む洗剤からなる液体薬剤が循環する循環経路43と、循環経路43から分岐した分岐経路44とで構成してあり、該分岐経路44の下流側端部を微小気泡生成部4の細径部5に接続している。
【0024】
循環経路43の途中には液体薬剤を貯留する薬剤タンク45を設けてあり、該薬剤タンク45は便器本体31の後部の下部に内装してある。薬剤タンク45には薬剤供給口46を設けてあり、該薬剤供給口46は着脱自在に取付けたキャップ47により閉塞されている。また便器本体31の外面において薬剤タンク45に対向する部分は便器本体31に対して着脱自在に設けたカバー(図示せず)により構成してあり、使用者はこのカバーを取り外すことで、薬剤タンク45の薬剤供給口46から薬剤タンク45内に液体薬剤を補充できるようになっている。また薬剤タンク45は便器本体31に対して着脱自在に設けてあり、前述のカバーを取り外した状態で便器本体31から外部に取り出した状態で液体薬剤を補充できるようになっている。循環経路43において分岐経路44との分岐部31のすぐ上流側には、洗浄水流路37を流れる洗浄水に液体薬剤を供給する薬剤供給用ポンプ42として、薬剤タンク45内の液体薬剤を循環させる循環ポンプを設けている。分岐経路44の上流側部分(後述の管部44aで構成される部分)には循環経路43に臨む小径の孔部44bが形成してあり、薬剤供給用ポンプ42により循環経路43を循環する液体薬剤のうち少量の液体薬剤が分岐経路44を介して洗浄水流路37に供給されるようになっている。分岐経路44の下流側端部は微小気泡生成部4の細径部5に開閉弁50を介して接続されている。
【0025】
詳しくは、本体ケース11の中流管部材11bからは軸方向外方(上方)に向けて筒部25を一体に突設してあり、筒部25と微小気泡生成部4の細径部5とがスリット状の連通孔26で連通されている。筒部25の上部には循環経路43の一部を構成する配管43aから下方に突設した管部44aを挿入して密閉状態で接続してある。筒部25の下部の内側には弾性変形可能なゴムのような部材で形成した開閉弁50を配設している。開閉弁50は、一端(上端)が開口した有底筒状の筒状部51と、筒状部51の底部から筒状部51と反対方向(下方)に突設した薄片状の弁部52を備えている。開閉弁50は筒状部51を筒部25の下部の内側に嵌め込むことで筒部25に対して固定されており、筒状部51の外周面と筒部の内周面はぴったりと密接して封止されている。開閉弁50には筒状部51の内側と弁部52の先端面(下端面)を連通させるスリット状孔53を形成してあり、該スリット状孔53は筒状部51の軸方向(液体薬剤の流れ方向)から見て洗浄水流路37を流れる洗浄水の流れ方向と平行な直線スリット状に形成されている。スリット状孔53は弁部52の厚み方向の中央部に形成してあり、外力が加わっていない状態では図1(b)や図10に示すようにスリット状孔53を閉じた状態で自己の形状を保持する。
【0026】
開閉弁50の薄片状の弁部52の先端部は前述の連通孔26内に挿入され、該開閉弁50のスリット状孔53の弁部52の先端側の開口は細径部5内(即ち洗浄水流路37内)に臨んでいる。スリット状孔53は後述のように薬剤供給用ポンプ42が駆動することによるポンプ圧力で開き、薬剤供給用ポンプ42が停止することによるポンプ圧力の消滅で閉じるようにされる。スリット状孔53が閉じた状態では弁部52の先端部は連通孔26内に遊挿状態にあり、スリット状孔53が開いて弁部52が側方へ膨らんだ状態では弁部52の先端部は連通孔26内で外方へ広がって嵌合する状態となる(図11)。また筒部25の周壁部において弁部52に対向する位置には貫通孔28を設けてあり、筒部25内の開閉弁50の弁部52外側に形成された空間25aは貫通孔28を介して外部に連通している。これにより開閉弁50のスリット状孔53を閉じた状態では、微小気泡生成部4の細径部5は、開閉弁50の弁部52の先端部と連通孔26の内周面との間に形成された隙間27、空間25a、貫通孔28を順に介して外部に連通することとなり、つまり大気開放路29が形成されるようになっている(図1(b)、図10)。
【0027】
ところで、上記便器装置1は図示しない制御部を備えており、例えば操作部を操作する等して便器洗浄指令が制御部に送信されると、制御部は以下に示すボウル洗浄モードで運転を行い便器ボウル部34を洗浄するように設定されている。ボウル洗浄モードは図9のように、便器洗浄指令を受信した際に開始する洗浄水吐出モードと、洗浄水吐出モードで所定時間t1運転した後に開始する薬剤入り洗浄水吐出モードとで構成してあり、薬剤入り洗浄水吐出モードの開始から所定時間t2後にボウル洗浄モードは終了する。
【0028】
洗浄水吐出モードは吐出部37aから液体薬剤を混入していない洗浄水(即ち水道水)を吐出するモードである。該洗浄水吐出モードでは、開閉弁50を閉じて薬剤供給経路41と洗浄水流路37の連通を遮断すると共に薬剤供給用ポンプ42を停止し、且つ電磁弁38を開いて洗浄水流路37に洗浄水を供給する。これにより水源から洗浄水流路37に供給された洗浄水は、気体混入部3において空気が混入されて気泡入り洗浄水となり、この洗浄水に含まれる気泡が微小気泡生成部4で細分化されて微小気泡となり、噴出ノズル部19から吐出される。またこの洗浄水吐出モードにおいては、モータを駆動してトラップ筒36を略逆L字状とし、これにより便器ボウル部34内の溜水を排水する。ここで洗浄水吐出モードにおいて吐出部37aから吐出される気泡の径は比較的大きい数mm程度に設定してある。このように気泡を含む洗浄水を吐出することで、洗浄水に含まれる気泡が破裂した際に発生する高周波振動の惹起による気泡入り洗浄水自体の高い洗浄力により便器ボウル部34の内面を効率良く洗浄でき、またこの場合、洗浄水の節水効果を高めることができる。また特にこの洗浄水に含まれる微小気泡はミリメータサイズと比較的大きく、このため微小気泡が破裂しやすくて便器ボウル部34の内面を効率良く洗浄できる。
【0029】
上記洗浄水吐出モードが終了すると薬剤入り洗浄水吐出モードに移行する。薬剤入り洗浄水吐出モードは吐出部37aから液体薬剤を混入した洗浄水(即ち薬剤入り洗浄水)を吐出するモードである。薬剤入り洗浄水吐出モードでは、開閉弁50を開いて薬剤供給経路41と洗浄水流路37を連通させると共に薬剤供給用ポンプ42を運転し、且つ洗浄水吐出モード時と同様に電磁弁38を開いて洗浄水流路37に洗浄水を供給する。これにより水源から洗浄水流路37に供給された洗浄水は上記洗浄水吐出モードと同様に気体混入部3において空気が混入されて気泡を含む洗浄水となり、下流側に流れる。またこれと同時に薬剤供給用ポンプ42によって循環経路43内を流れる液体薬剤の一部が分岐経路44を介して微小気泡生成部4の細径部5に流入し、これにより気泡を含む薬剤入り洗浄水となって以後はこの薬剤入り洗浄水に含まれる気泡が微小気泡生成部4の拡径部6で細分化され、吐出部37aから吐出される。
【0030】
ここで、上記洗浄水吐出モードにおいて吐出部37aから吐出される薬剤入り洗浄水に含まれる気泡の径は前述の洗浄水吐出モードにおいて吐出部37aから吐出される洗浄水に含まれる気泡の径よりも小さくなっている。これは薬剤入り洗浄水に界面活性剤を含む液体薬剤が混入された場合、洗浄水の表面張力が低下し、これにより微小気泡生成部4で剪断力が加えられた際に気泡がより細かく細分化されるためである。具体的には洗浄水吐出モードにおいては吐出部37aから吐出される薬剤入り洗浄水に含まれる気泡の径は平均60μm程度となるように設定してある(微細気泡という)。このように洗浄水吐出モードにおいて吐出部37aから吐出される薬剤入り洗浄水に含まれる気泡の径を設定することで、便器ボウル部34の内面において溜水の水面と接する喫水線部分に界面活性剤を含む薬剤入り洗浄水で界面を形成した防汚効果の高いマイクロメータサイズの微細気泡を付着させることができ、またこの微細気泡は破裂し難く長時間便器ボウル部34の内面に付着させることができ、これらにより便器ボウル部34の内面、特に喫水線部分を清潔にできるのである。
【0031】
ところで、上記開閉弁50は、薬剤入り洗浄水吐出モード時においては、図11に示すように、薬剤供給用ポンプ42の圧力と、微小気泡生成部4の細径部5を洗浄水が流れることにより発生する負圧によって、弁部52が弾性変形して幅を広げ、これによりスリット状孔53が開くように設定してある。このため薬剤入り洗浄水吐出モードにおいては薬剤供給経路41の分岐経路44と洗浄水流路37が連通して液体薬剤が洗浄水流路37に供給される。またこの時、弾性変形した弁部52の先端部の外周面が連通孔26の内周面に接して大気開放路29を構成する隙間27を閉じるように設定してあり、該開閉弁50により大気開放路29を介して連通する微小気泡生成部4の細径部5と外部の連通状態が遮断される。従ってこの場合は薬剤供給用ポンプ42の圧力に加えて微小気泡生成部4の細径部5で発生する負圧を利用して薬剤供給経路41からの液体薬剤を洗浄水流路37に確実に供給することができる。
【0032】
また薬剤供給用ポンプ42が停止される洗浄水吐出モード時においては、開閉弁50には薬剤供給用ポンプ42の圧力が加わらず、図10に示すように開閉弁50は弁部52が弾性復帰して幅を狭め、これによりスリット状孔53が閉じるように設定してある。このため洗浄水吐出モードにおいては薬剤供給経路41の分岐経路44と洗浄水流路37の連通状態が遮断される。またこの時、弾性復帰した弁部52の先端部と連通孔26の内周面との間には前述の隙間27が形成されて大気開放路29が形成され、これにより微小気泡生成部4の細径部5が大気開放路29を介して外部に連通する。そしてこの場合、洗浄水流路37(水流路2)における微小気泡生成部4の細径部5では減圧状態になっているので、大気開放路29を介して外気が洗浄水流路37(水流路2)内にエゼクター効果で吸い込まれる。なお、この外気の供給により、微小気泡生成部4の細径部5で発生する負圧は多少低減される。従ってこの場合は、微小気泡生成部4の細径部5で発生する負圧により開閉弁50が弾性変形してスリット状孔53が開くことが防止され、この結果、洗浄水吐出モード時において液体薬剤が洗浄水流路37に漏れ出すことは防止されている。
【0033】
なお、本例の微小気泡発生装置1にあっては、叙述のように気体混入部3と微小気泡生成部4との間の水流路2の部位で生じていた吐水圧を弱める圧損を除去したものであり、つまり水は気体混入部3から微小気泡生成部4との間の水流路2の部位、ひいては微小気泡発生装置1を圧損無くスムーズに流れるために、気体混入部3での水への気体混入量が減少する恐れもある。しかしながら、本例の微小気泡発生装置1では、気体供給管13や大気開放路29等の水流路2への気体の供給経路8を複数設けられているため、水への気体混入量を確保することができるといった利点も備えている。無論、水流路2への気体の供給経路8としては気体供給管13や大気開放路29以外に設けることも好ましく、これによると更に容易に水への気体混入量を確保することができるのである。
【0034】
また、上記実施形態では水洗便器装置30に配設するタイプの薬剤供給部40を有する微小気泡発生装置1を例示したが、薬剤供給部40を有さない微小気泡発生装置1でも、気体混入部3から微小気泡生成部4の細径部5に至る水流路2の部位を徐々に内径を狭める縮径部7で構成し、この縮径部7によって気体混入部3から微小気泡生成部4の細径部5に至る水流路2の内面を滑らかな曲面形状に形成することで、気体混入部3から微小気泡生成部4との間の水流路2の部位での圧損を無くするという作用効果を得ることができるのは言うまでもない。また、上記実施形態では薬剤供給部で供給する液体薬剤は洗剤(界面活性剤)であるが、芳香剤など他の薬剤に変更しても良いのは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の形態の例の微小気泡発生装置であり、(a)は側断面図であり、(b)は(a)のA−A線断面図である。
【図2】同上の微小気泡発生装置の斜視図である。
【図3】(a)(b)(c)は微小気泡発生装置に備える泡溜まり形成部材の例の正面図である。
【図4】同上の微小気泡発生装置に備える開閉弁であり、(a)は斜視図であり、(b)は側面図であり、(c)は(b)の上面図であり、(d)は(b)の右側面図である。
【図5】同上の微小気泡生成部での吸気流量と気泡径の関係を示すグラフである。
【図6】同上の微小気泡発生装置を内装した水洗便器装置の概略の側断面図である。
【図7】同上の水洗便器装置に内装した状態の微小気泡発生装置の斜視図である。
【図8】図7の側断面図である。
【図9】同上の水洗便器装置のボウル洗浄について説明するタイムチャートである。
【図10】同上の水洗便器装置の洗浄水吐出モード時の要部の断面図である。
【図11】同上の水洗便器装置の薬剤入り洗浄水吐出モード時の要部の断面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 微小気泡発生装置
2 水流路
3 気体混入部
4 微小気泡生成部
5 細径部
6 拡径部
7 縮径部
8 供給経路
9 泡溜まり部
10 太径部
20 泡溜まり形成部材
30 水洗便器装置
40 薬剤供給部
50 開閉弁
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小気泡発生装置、及びこれを用いた水洗便器装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、水洗便所の洗浄水や、台所や洗面化粧台の吐水や、ジェットバス装置の噴出水などには、見かけの水量を増やして節水効果を図ったり、水の肌やボウル部等への当りを柔らかくして静音化を図ったりするために、水に空気などの気体を混入させることが行われている(たとえば特許文献1参照)。
【0003】
ここで、水に気体を混入させるには構成の簡略化を図って水流路を流れる水のエゼクター効果により気体を水に混入させることが一般に行われているが、上記のように単に水に気体を混入させると、気体が大きな気泡となって固まった状態で水中に存在するようになって、あたかも吐水が途切れたような吐水外観となってしまうので、本発明者は、気体混入部にて水に混入させた気体を細分化させる微小気泡発生装置を水流路に配設し、水中に均等に比較的小さい泡を行き渡らせることで吐水外観を良好にすることを行わせることを考えるに至っている(たとえば特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−279787号公報
【特許文献2】特開2006−272091号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、微小気泡発生装置の用途としては、叙述のように水洗便所の洗浄水や、台所や洗面化粧台の吐水や、ジェットバス装置の噴出水などに気泡を混入させる場合が挙げられるが、その実用化の段階で、微小気泡発生装置を水流路に配設すると水の吐出圧が弱まってしまうという問題が浮上するに至った。特に、水の吐出を水道圧に頼る水洗便器装置などに微小気泡発生装置を付設する場合には、上記問題が実用化への大きな障害となっていた。
【0005】
本発明は、その目的とするところは、吐水圧を弱める水の圧損を除去し得る微小気泡発生装置、及びこれを用いた水洗便器装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために請求項1に係る微小気泡発生装置にあっては、水を流す水流路2に、水のエゼクター効果により水に気体を混入させる気体混入部3と、上記気体混入部3で水に混入させた気体を細分化する微小気泡生成部4とを、上流側から順に配設して成る微小気泡発生装置1において、微小気泡生成部4の上流域に気体の細分化のために水流路2内を減圧状態にする細径部5を備え、気体混入部3から微小気泡生成部4の細径部5に至る水流路2の部位を徐々に内径を狭める縮径部7で構成し、この縮径部7によって気体混入部3から微小気泡生成部4の細径部5に至る水流路2の内面を滑らかな曲面形状に形成したことを特徴とする。これによると、気体混入部3から微小気泡生成部4の細径部5に至る水流路2の部位を徐々に内径を狭める縮径部7で構成し、この縮径部7によって気体混入部3から微小気泡生成部4の細径部5に至る水流路2の内面を滑らかな曲面形状に形成したことで、気体混入部3と微小気泡生成部4との間の水流路2の部位で生じてしまう吐水圧を弱める圧損を、除去することができたものである。
【0007】
また、請求項2に係る微小気泡発生装置にあっては、請求項1において、水流路2への気体の供給経路8を複数設けたことを特徴とする。これによると、水は気体混入部3から微小気泡生成部4との間の水流路2の部位、ひいては微小気泡発生装置1を圧損無くスムーズに流れるために、気体混入部3での水への気体混入量が減少する恐れもあるが、叙述のように水流路2への気体の供給経路8を複数設けたことで、水への気体混入量を確保することができる。
【0008】
また、請求項3に係る微小気泡発生装置にあっては、請求項1または2において、微小気泡生成部4の下流域に泡溜まり部9を配設したことを特徴とする。これによると、水は気体混入部3から微小気泡生成部4との間の水流路2の部位、ひいては微小気泡発生装置1を圧損無くスムーズに流れるために、気体が充分に細分化されない状態で微小気泡発生装置1から下流へ流れる恐れもあるが、叙述のように微小気泡生成部4の下流域に泡溜まり部9を配設したことで、微小気泡生成部4での気体の細分化の漏れを低減させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明にあっては、気体混入部と微小気泡生成部との間の水流路の部位で生じる吐水圧を弱める水の圧損を除去し得る、という利点を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0011】
本例の微小気泡発生装置1は、図1及び2のように、内部に水流路2が貫通する筒状の本体ケース11を有しており、本体ケース11内の水流路2の上流側から気体を混入させる気体混入部3、混入した気体を細分化させて微小気泡を生成可能にする微小気泡生成部4が順に設けられている。ここで、気体混入部3の水流路2には流路径を絞った絞り部12が形成されており、この絞り部12に気体供給管13の気体出口13aが臨むように接続されている。また、微小気泡生成部4には、水流路2の径を細めた細径部5と細径部5から徐々に径を太くする拡径部6とで構成したベンチュリ管状の圧力急変機構が採用されており、細径部5で水を減圧状態(静圧を低下させた状態)にして水に混入した気体を膨張させ、拡径部6で水を加圧状態(静圧を高めた状態)にして水に高い圧力をかけて気体を剪断させて細分化させることが可能にされている。この圧力急変機構の細径部5や拡径部6(特に拡径部6の流れ方向の長さ寸法)の寸法設定を変化させることで、細分化して生成した微小気泡を所望の径(たとえばμmサイズ(1mm未満)やmmサイズ(1mm以上))にすることができる。本例の微小気泡生成部4は、装置のコンパクト化を鑑み、微小気泡生成部4を水の流れ方向に略2分して得る上流域に細径部5を配設すると共に下流域に拡径部6を配設したような寸法設定にされている。
【0012】
詳しくは、微小気泡発生装置1の本体ケース11は、内部が水流路2となる上流管部材11a、中流管部材11b及び下流管部材11cを、同軸上にパッキンを介して一体に連結することで形成されている。上流管部材11aは、上流域部分の外周部に微小気泡発生装置1よりも上流側の水流路2を構成する水流路管2aが接続される接続部11a1を有し、下流域部分に上記絞り部12を形成させる絞り管部15が形成されている。なお、上流管部材11aの内周面は絞り管部15に向けて徐々に水流路2の流路径が絞られるような滑らかな曲面形状に形成されており、絞り管部15の内周面は下流側開口で最小径部分よりもやや径が広がるようなノズル形状にされていて絞り部12を構成している。絞り管部15の外面部分には後述の中流管部材11bの太径部10に内嵌めするパッキン16aを備えた嵌合用突部16が形成されている。嵌合用突部16の下流側部位には下流側ほど外径を細くして上流管部材11aの下流側端面に至る傾斜周面部16bが形成されている。
【0013】
中流管部材11bは、その上流域部分に水流路2の径を大きくした太径部10が設けられ、太径部10の内面に気体供給管13の気体出口13aが開口している。この太径部10には気体出口13aを塞がないように上流管部材11aの絞り管部15が内嵌めされて気体混入部3を形成する。詳しくは、絞り管部15の傾斜周面部16bと中流管部材11bの太径部10と後述の縮径部7とで囲繞される空間は、絞り部12を流れる水によって負圧が発生してエゼクター効果によって気体供給管13から気体が吸い込まれる気体混入室18となっている。本例では、気体出口13aは上流管部材11aの下流側端面と水流路2の流れ方向における略同位置に開口しているが、気体出口13aの開口位置は絞り管部15の傾斜周面部16bに面するようにしてもよく、この場合にも、気体混入室18に吸い込まれた気体は傾斜周面部16bに沿って水流路2を流れる水(絞り部12から噴射された水)にその周面から偏り無く略均等に混入可能である。
【0014】
また、中流管部材11bは、その中流域部分から下流域部分にかけて上記細径部5と拡径部6から成るベンチュリ管状の微小気泡生成部4が形成されている。ここで、中流管部材11bの内面における気体混入部3の太径部10から微小気泡生成部4の細径部5に至る部位には徐々に内径を狭める縮径部7が形成されており、この縮径部7によって気体混入部3の太径部10から微小気泡生成部4の細径部5に至る水流路2の内面を滑らかな曲面形状に形成してある。また、中流管部材11bの下流端部(微小気泡生成部4の下流端部)の内周部分には泡溜まり形成部材20が配置されると共に、外周部分には下流管部材11cの上流端部を接続するパッキン14aを備えた接続部14が形成される。
【0015】
ここで、泡溜まり形成部材20は、気泡入りの水の流れを滞らせて直前の水流路2(本例では微小気泡生成部4の拡径部6)に泡溜まり部9を形成させる部材であり、たとえば図3のように、水流路2の流路断面の中で一番流れが速い中央部に中央抵抗部21を有し、周枠22との間に中央抵抗部21を支える複数のリブ24を設けたり(図3(b)(c))、中央抵抗部21と周枠22との間に適宜メッシュ材23を張設したりして形成される(図3(a))。なお、上記メッシュ材23には微細気泡を更に細分化させたり水の流れを整流化させる作用もあり、水の流れの整流化によると微小気泡が合一して気泡径が大きくなることを回避させることができる。下流管部材11cは、その上流側端部に中流管部材11bの接続部14に外嵌めする接続部17が形成されており、全体として下流側ほど径を小さくするノズル状の部材であり、噴出ノズル部19を構成している。
【0016】
上記構成を有する本例の微小気泡発生装置1にあっては、気体混入部3では、水流路2の絞り部12を水が流れる際に発生するエゼクター効果によって気体供給管13から気体が気体混入室18に取り込まれると共に、絞り部12から噴射されて気体混入室18に臨む水の周面から上記気体混入室18に取り込まれた気体が水の内部に偏り無く略均等に気泡として混入されるのであり、次いで、微小気泡生成部4では、細径部5で水を減圧状態(静圧を低下させた状態)にして水に混入された気泡状の気体が膨張され、続けて拡径部6で水を加圧状態(静圧を高めた状態)にして水に混入された気泡状の気体に高い圧力をかけて剪断させて細分化させるといったように、気体を混入した水への圧力急変作用によって水に混入された気体が細分化されて微小気泡が生成されるのであり、この微小気泡を含んだ水が噴出ノズル部19から吐出されるようになっている。
【0017】
なお、図示はしないが気体供給管13に開閉弁を設けて、適宜、開閉弁を閉状態にして気体供給管13からの水への気体の混入を無くして、微小気泡発生装置1を通る水に微小気泡を生成させないようにしてもよく、また、気体供給管13に開度調節可能な流量調整弁を設けて、流量調整弁で気体供給管13の開度を調節して気体混入部3への気体の供給量を調節し、微小気泡の量、微小気泡の径を調節してもよい。なお、気体の供給量の増減によって微小気泡生成部4で生成される微小気泡の平均径が変化することは実験により図5のように明らかになっている。
【0018】
ここで、本例の微小気泡発生装置1にあっては、気体混入部3から微小気泡生成部4の細径部5に至る水流路2の部位を徐々に内径を狭める縮径部7で構成し、この縮径部7によって気体混入部3から微小気泡生成部4の細径部5に至る水流路2の内面を滑らかな曲面形状に形成した構成を有したことに大きな特徴を有している。すなわち、微小気泡発生装置1では、気体混入部3と微小気泡生成部4との間の水流路2の部位で吐水圧を弱める圧損が生じる恐れが高いのであるが、本例の微小気泡発生装置1にあっては上記特徴となる構成を有しているので、吐水圧を弱める圧損を除去することができたものであり、したがって、本例の微小気泡発生装置1は水流路2に配設しても水の吐水圧を弱めることなく、台所や洗面化粧台の吐水装置や水洗便器装置30などの各種装置に不具合なく付設することができるようにされている。特に水の吐出を水道圧に頼る水洗便器装置30などに微小気泡発生装置1を付設するのに有用である。
【0019】
なお、上述のように水は気体混入部3から微小気泡生成部4との間の水流路2の部位、ひいては微小気泡発生装置1を圧損無くスムーズに流れるために、気体が充分に細分化されない状態で微小気泡発生装置1から下流へ流れる恐れもある。しかしながら、本例の微小気泡発生装置1では叙述のように微小気泡生成部4の下流域に泡溜まり部9を配設したことで、微小気泡生成部4での気体の細分化の漏れを低減可能にされているという利点も備えている。
【0020】
本例の微小気泡発生装置1は、水洗便器装置30に組み込まれるものであり、水洗便器装置30の便器ボウル部34への洗浄作用等に資する薬剤供給部40が備えられている。薬剤供給部40は空気混入部3や微小気泡生成部4と共に本体ケース11内にコンパクトに納められていて微小気泡発生装置1の小型化が図られている。ここで、図6は本例の微小気泡発生装置1を備えた水洗便器装置30であり、合成樹脂製の便器本体31で主体を構成してある。なお図中32は便器本体31に回動自在に設けた便座であり、33は便器本体31に回動自在に設けた便蓋である。
【0021】
便器本体31の便器ボウル部34の下部には後方に向けて排水筒部35を突設してあり、該排水筒部35からトラップを介して便器ボウル部34内の溜水を排水できるようになっている。本例のトラップはターントラップ方式のもので、排水筒部35に接続したフレキシブルなトラップ筒36により構成してあり、モータ(図示せず)によりトラップ筒36を回動して、図6で実線に示すようにトラップ筒36が上向きU字状となったトラップ構造となる状態と、破線で示すように略逆L字状となってトラップ構造が解除される状態とを選択できるようになっており、通常はトラップ筒36が上向きU字状となったトラップ構造となっていて便器ボウル部34内の下部、排水筒部35、トラップ筒36内に水が溜まった状態となっていて、この状態で大便や小便を行い、大便や小便が終わると、便器ボウル部34内に洗浄水を流すと共に、トラップ筒36を回動してトラップ構造を解除する状態として、汚物と共に汚水を排水するようになっている。本例の微小気泡発生装置1は便器本体31の後部に内装されている。
【0022】
詳しくは、微小気泡発生装置1は、水流路2が便器ボウル部34への洗浄水流路37の一部を構成するように、また、気体供給管13の一端が大気に開放されて水に混入させる気体を空気で構成するようにして、水洗便器装置30に組み込まれている。洗浄水流路37は図示しない水源に接続されて水道水からなる洗浄水が供給される流路であり、洗浄水流路37に洗浄水を供給する手段としては水道圧を利用している。洗浄水流路37の下流側端部には便器ボウル部34の上端部後方に配設されて便器ボウル部34内に臨む吐出部37aを設けてあり、該吐出部37aは微小気泡発生装置1の噴出ノズル部19で構成している。洗浄水流路37において微小気泡発生装置1よりも上流側には電磁弁38を設けてあり、電磁弁38を開閉することで洗浄水流路37に供給された洗浄水を吐出部37aから吐出するか否かを切替可能としてある。
【0023】
本例の微小気泡発生装置1には叙述のように薬剤供給部40が備えられている。薬剤供給部40は微小気泡生成部4の細径部5に合流する薬剤供給経路41を備えており、薬剤供給経路41には薬剤供給経路41から洗浄水流路37を流れる洗浄水に液体薬剤を供給する薬剤供給用ポンプ42を設けている。詳しくは、薬剤供給経路41は、界面活性剤を含む洗剤からなる液体薬剤が循環する循環経路43と、循環経路43から分岐した分岐経路44とで構成してあり、該分岐経路44の下流側端部を微小気泡生成部4の細径部5に接続している。
【0024】
循環経路43の途中には液体薬剤を貯留する薬剤タンク45を設けてあり、該薬剤タンク45は便器本体31の後部の下部に内装してある。薬剤タンク45には薬剤供給口46を設けてあり、該薬剤供給口46は着脱自在に取付けたキャップ47により閉塞されている。また便器本体31の外面において薬剤タンク45に対向する部分は便器本体31に対して着脱自在に設けたカバー(図示せず)により構成してあり、使用者はこのカバーを取り外すことで、薬剤タンク45の薬剤供給口46から薬剤タンク45内に液体薬剤を補充できるようになっている。また薬剤タンク45は便器本体31に対して着脱自在に設けてあり、前述のカバーを取り外した状態で便器本体31から外部に取り出した状態で液体薬剤を補充できるようになっている。循環経路43において分岐経路44との分岐部31のすぐ上流側には、洗浄水流路37を流れる洗浄水に液体薬剤を供給する薬剤供給用ポンプ42として、薬剤タンク45内の液体薬剤を循環させる循環ポンプを設けている。分岐経路44の上流側部分(後述の管部44aで構成される部分)には循環経路43に臨む小径の孔部44bが形成してあり、薬剤供給用ポンプ42により循環経路43を循環する液体薬剤のうち少量の液体薬剤が分岐経路44を介して洗浄水流路37に供給されるようになっている。分岐経路44の下流側端部は微小気泡生成部4の細径部5に開閉弁50を介して接続されている。
【0025】
詳しくは、本体ケース11の中流管部材11bからは軸方向外方(上方)に向けて筒部25を一体に突設してあり、筒部25と微小気泡生成部4の細径部5とがスリット状の連通孔26で連通されている。筒部25の上部には循環経路43の一部を構成する配管43aから下方に突設した管部44aを挿入して密閉状態で接続してある。筒部25の下部の内側には弾性変形可能なゴムのような部材で形成した開閉弁50を配設している。開閉弁50は、一端(上端)が開口した有底筒状の筒状部51と、筒状部51の底部から筒状部51と反対方向(下方)に突設した薄片状の弁部52を備えている。開閉弁50は筒状部51を筒部25の下部の内側に嵌め込むことで筒部25に対して固定されており、筒状部51の外周面と筒部の内周面はぴったりと密接して封止されている。開閉弁50には筒状部51の内側と弁部52の先端面(下端面)を連通させるスリット状孔53を形成してあり、該スリット状孔53は筒状部51の軸方向(液体薬剤の流れ方向)から見て洗浄水流路37を流れる洗浄水の流れ方向と平行な直線スリット状に形成されている。スリット状孔53は弁部52の厚み方向の中央部に形成してあり、外力が加わっていない状態では図1(b)や図10に示すようにスリット状孔53を閉じた状態で自己の形状を保持する。
【0026】
開閉弁50の薄片状の弁部52の先端部は前述の連通孔26内に挿入され、該開閉弁50のスリット状孔53の弁部52の先端側の開口は細径部5内(即ち洗浄水流路37内)に臨んでいる。スリット状孔53は後述のように薬剤供給用ポンプ42が駆動することによるポンプ圧力で開き、薬剤供給用ポンプ42が停止することによるポンプ圧力の消滅で閉じるようにされる。スリット状孔53が閉じた状態では弁部52の先端部は連通孔26内に遊挿状態にあり、スリット状孔53が開いて弁部52が側方へ膨らんだ状態では弁部52の先端部は連通孔26内で外方へ広がって嵌合する状態となる(図11)。また筒部25の周壁部において弁部52に対向する位置には貫通孔28を設けてあり、筒部25内の開閉弁50の弁部52外側に形成された空間25aは貫通孔28を介して外部に連通している。これにより開閉弁50のスリット状孔53を閉じた状態では、微小気泡生成部4の細径部5は、開閉弁50の弁部52の先端部と連通孔26の内周面との間に形成された隙間27、空間25a、貫通孔28を順に介して外部に連通することとなり、つまり大気開放路29が形成されるようになっている(図1(b)、図10)。
【0027】
ところで、上記便器装置1は図示しない制御部を備えており、例えば操作部を操作する等して便器洗浄指令が制御部に送信されると、制御部は以下に示すボウル洗浄モードで運転を行い便器ボウル部34を洗浄するように設定されている。ボウル洗浄モードは図9のように、便器洗浄指令を受信した際に開始する洗浄水吐出モードと、洗浄水吐出モードで所定時間t1運転した後に開始する薬剤入り洗浄水吐出モードとで構成してあり、薬剤入り洗浄水吐出モードの開始から所定時間t2後にボウル洗浄モードは終了する。
【0028】
洗浄水吐出モードは吐出部37aから液体薬剤を混入していない洗浄水(即ち水道水)を吐出するモードである。該洗浄水吐出モードでは、開閉弁50を閉じて薬剤供給経路41と洗浄水流路37の連通を遮断すると共に薬剤供給用ポンプ42を停止し、且つ電磁弁38を開いて洗浄水流路37に洗浄水を供給する。これにより水源から洗浄水流路37に供給された洗浄水は、気体混入部3において空気が混入されて気泡入り洗浄水となり、この洗浄水に含まれる気泡が微小気泡生成部4で細分化されて微小気泡となり、噴出ノズル部19から吐出される。またこの洗浄水吐出モードにおいては、モータを駆動してトラップ筒36を略逆L字状とし、これにより便器ボウル部34内の溜水を排水する。ここで洗浄水吐出モードにおいて吐出部37aから吐出される気泡の径は比較的大きい数mm程度に設定してある。このように気泡を含む洗浄水を吐出することで、洗浄水に含まれる気泡が破裂した際に発生する高周波振動の惹起による気泡入り洗浄水自体の高い洗浄力により便器ボウル部34の内面を効率良く洗浄でき、またこの場合、洗浄水の節水効果を高めることができる。また特にこの洗浄水に含まれる微小気泡はミリメータサイズと比較的大きく、このため微小気泡が破裂しやすくて便器ボウル部34の内面を効率良く洗浄できる。
【0029】
上記洗浄水吐出モードが終了すると薬剤入り洗浄水吐出モードに移行する。薬剤入り洗浄水吐出モードは吐出部37aから液体薬剤を混入した洗浄水(即ち薬剤入り洗浄水)を吐出するモードである。薬剤入り洗浄水吐出モードでは、開閉弁50を開いて薬剤供給経路41と洗浄水流路37を連通させると共に薬剤供給用ポンプ42を運転し、且つ洗浄水吐出モード時と同様に電磁弁38を開いて洗浄水流路37に洗浄水を供給する。これにより水源から洗浄水流路37に供給された洗浄水は上記洗浄水吐出モードと同様に気体混入部3において空気が混入されて気泡を含む洗浄水となり、下流側に流れる。またこれと同時に薬剤供給用ポンプ42によって循環経路43内を流れる液体薬剤の一部が分岐経路44を介して微小気泡生成部4の細径部5に流入し、これにより気泡を含む薬剤入り洗浄水となって以後はこの薬剤入り洗浄水に含まれる気泡が微小気泡生成部4の拡径部6で細分化され、吐出部37aから吐出される。
【0030】
ここで、上記洗浄水吐出モードにおいて吐出部37aから吐出される薬剤入り洗浄水に含まれる気泡の径は前述の洗浄水吐出モードにおいて吐出部37aから吐出される洗浄水に含まれる気泡の径よりも小さくなっている。これは薬剤入り洗浄水に界面活性剤を含む液体薬剤が混入された場合、洗浄水の表面張力が低下し、これにより微小気泡生成部4で剪断力が加えられた際に気泡がより細かく細分化されるためである。具体的には洗浄水吐出モードにおいては吐出部37aから吐出される薬剤入り洗浄水に含まれる気泡の径は平均60μm程度となるように設定してある(微細気泡という)。このように洗浄水吐出モードにおいて吐出部37aから吐出される薬剤入り洗浄水に含まれる気泡の径を設定することで、便器ボウル部34の内面において溜水の水面と接する喫水線部分に界面活性剤を含む薬剤入り洗浄水で界面を形成した防汚効果の高いマイクロメータサイズの微細気泡を付着させることができ、またこの微細気泡は破裂し難く長時間便器ボウル部34の内面に付着させることができ、これらにより便器ボウル部34の内面、特に喫水線部分を清潔にできるのである。
【0031】
ところで、上記開閉弁50は、薬剤入り洗浄水吐出モード時においては、図11に示すように、薬剤供給用ポンプ42の圧力と、微小気泡生成部4の細径部5を洗浄水が流れることにより発生する負圧によって、弁部52が弾性変形して幅を広げ、これによりスリット状孔53が開くように設定してある。このため薬剤入り洗浄水吐出モードにおいては薬剤供給経路41の分岐経路44と洗浄水流路37が連通して液体薬剤が洗浄水流路37に供給される。またこの時、弾性変形した弁部52の先端部の外周面が連通孔26の内周面に接して大気開放路29を構成する隙間27を閉じるように設定してあり、該開閉弁50により大気開放路29を介して連通する微小気泡生成部4の細径部5と外部の連通状態が遮断される。従ってこの場合は薬剤供給用ポンプ42の圧力に加えて微小気泡生成部4の細径部5で発生する負圧を利用して薬剤供給経路41からの液体薬剤を洗浄水流路37に確実に供給することができる。
【0032】
また薬剤供給用ポンプ42が停止される洗浄水吐出モード時においては、開閉弁50には薬剤供給用ポンプ42の圧力が加わらず、図10に示すように開閉弁50は弁部52が弾性復帰して幅を狭め、これによりスリット状孔53が閉じるように設定してある。このため洗浄水吐出モードにおいては薬剤供給経路41の分岐経路44と洗浄水流路37の連通状態が遮断される。またこの時、弾性復帰した弁部52の先端部と連通孔26の内周面との間には前述の隙間27が形成されて大気開放路29が形成され、これにより微小気泡生成部4の細径部5が大気開放路29を介して外部に連通する。そしてこの場合、洗浄水流路37(水流路2)における微小気泡生成部4の細径部5では減圧状態になっているので、大気開放路29を介して外気が洗浄水流路37(水流路2)内にエゼクター効果で吸い込まれる。なお、この外気の供給により、微小気泡生成部4の細径部5で発生する負圧は多少低減される。従ってこの場合は、微小気泡生成部4の細径部5で発生する負圧により開閉弁50が弾性変形してスリット状孔53が開くことが防止され、この結果、洗浄水吐出モード時において液体薬剤が洗浄水流路37に漏れ出すことは防止されている。
【0033】
なお、本例の微小気泡発生装置1にあっては、叙述のように気体混入部3と微小気泡生成部4との間の水流路2の部位で生じていた吐水圧を弱める圧損を除去したものであり、つまり水は気体混入部3から微小気泡生成部4との間の水流路2の部位、ひいては微小気泡発生装置1を圧損無くスムーズに流れるために、気体混入部3での水への気体混入量が減少する恐れもある。しかしながら、本例の微小気泡発生装置1では、気体供給管13や大気開放路29等の水流路2への気体の供給経路8を複数設けられているため、水への気体混入量を確保することができるといった利点も備えている。無論、水流路2への気体の供給経路8としては気体供給管13や大気開放路29以外に設けることも好ましく、これによると更に容易に水への気体混入量を確保することができるのである。
【0034】
また、上記実施形態では水洗便器装置30に配設するタイプの薬剤供給部40を有する微小気泡発生装置1を例示したが、薬剤供給部40を有さない微小気泡発生装置1でも、気体混入部3から微小気泡生成部4の細径部5に至る水流路2の部位を徐々に内径を狭める縮径部7で構成し、この縮径部7によって気体混入部3から微小気泡生成部4の細径部5に至る水流路2の内面を滑らかな曲面形状に形成することで、気体混入部3から微小気泡生成部4との間の水流路2の部位での圧損を無くするという作用効果を得ることができるのは言うまでもない。また、上記実施形態では薬剤供給部で供給する液体薬剤は洗剤(界面活性剤)であるが、芳香剤など他の薬剤に変更しても良いのは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の形態の例の微小気泡発生装置であり、(a)は側断面図であり、(b)は(a)のA−A線断面図である。
【図2】同上の微小気泡発生装置の斜視図である。
【図3】(a)(b)(c)は微小気泡発生装置に備える泡溜まり形成部材の例の正面図である。
【図4】同上の微小気泡発生装置に備える開閉弁であり、(a)は斜視図であり、(b)は側面図であり、(c)は(b)の上面図であり、(d)は(b)の右側面図である。
【図5】同上の微小気泡生成部での吸気流量と気泡径の関係を示すグラフである。
【図6】同上の微小気泡発生装置を内装した水洗便器装置の概略の側断面図である。
【図7】同上の水洗便器装置に内装した状態の微小気泡発生装置の斜視図である。
【図8】図7の側断面図である。
【図9】同上の水洗便器装置のボウル洗浄について説明するタイムチャートである。
【図10】同上の水洗便器装置の洗浄水吐出モード時の要部の断面図である。
【図11】同上の水洗便器装置の薬剤入り洗浄水吐出モード時の要部の断面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 微小気泡発生装置
2 水流路
3 気体混入部
4 微小気泡生成部
5 細径部
6 拡径部
7 縮径部
8 供給経路
9 泡溜まり部
10 太径部
20 泡溜まり形成部材
30 水洗便器装置
40 薬剤供給部
50 開閉弁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を流す水流路に、水のエゼクター効果により水に気体を混入させる気体混入部と、上記気体混入部で水に混入させた気体を細分化する微小気泡生成部とを、上流側から順に配設して成る微小気泡発生装置において、微小気泡生成部の上流域に気体の細分化のために水流路内を減圧状態にする細径部を備え、気体混入部から微小気泡生成部の細径部に至る水流路の部位を徐々に内径を狭める縮径部で構成し、この縮径部によって気体混入部から微小気泡生成部の細径部に至る水流路の内面を滑らかな曲面形状に形成したことを特徴とする微小気泡発生装置。
【請求項2】
水流路への気体の供給経路を複数設けたことを特徴とする請求項1記載の微小気泡発生装置。
【請求項3】
微小気泡生成部の下流域に泡溜まり部を配設したことを特徴とする請求項1又は2記載の微小気泡発生装置。
【請求項4】
上記請求項1乃至3のいずれか一項の微小気泡発生装置を、その水流路が便器ボウル部への洗浄水流路の一部を構成するように配設して成る水洗便器装置。
【請求項1】
水を流す水流路に、水のエゼクター効果により水に気体を混入させる気体混入部と、上記気体混入部で水に混入させた気体を細分化する微小気泡生成部とを、上流側から順に配設して成る微小気泡発生装置において、微小気泡生成部の上流域に気体の細分化のために水流路内を減圧状態にする細径部を備え、気体混入部から微小気泡生成部の細径部に至る水流路の部位を徐々に内径を狭める縮径部で構成し、この縮径部によって気体混入部から微小気泡生成部の細径部に至る水流路の内面を滑らかな曲面形状に形成したことを特徴とする微小気泡発生装置。
【請求項2】
水流路への気体の供給経路を複数設けたことを特徴とする請求項1記載の微小気泡発生装置。
【請求項3】
微小気泡生成部の下流域に泡溜まり部を配設したことを特徴とする請求項1又は2記載の微小気泡発生装置。
【請求項4】
上記請求項1乃至3のいずれか一項の微小気泡発生装置を、その水流路が便器ボウル部への洗浄水流路の一部を構成するように配設して成る水洗便器装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−138420(P2008−138420A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−324593(P2006−324593)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]