説明

微小物体の捕獲装置及び方法

【課題】 細胞と導入物質の組合せの制限を受けず、成功率の高いインジェクション方式を採用しながら、作業の効率性を改善する捕獲装置及び方法を提供する。
【解決手段】 液体中に浮遊する複数の微小物体を捕獲するための捕獲装置であって、それぞれ各物体を吸引可能な複数の吸引口を有する捕獲部と、前記複数の物体を前記吸引口に誘導する流れを前記液体中に形成する誘導部を有することを特徴とする捕獲装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体中に拡散させた微小な浮遊物体の捕獲に関する。本発明は、例えば、医療分野において、白血球が持つ抗体生成など、生体細胞の反応を使った創薬システムにおいて微小浮遊細胞を捕獲する捕獲装置及び方法に好適である。ここで、創薬システムとは、一般には、細胞内に外来の遺伝子溶液及び薬剤溶液を微小針を用いて注入するなどの処理を施し、その後に、各細胞を培養し、個別的に評価又は処理(スクリーニングや抗体抽出など)するためのシステムをいう。
【背景技術】
【0002】
近年、再生医療やゲノム創薬等の分野において、遺伝子及び薬剤を導入した細胞を利用する機会が増加している。このような医療用途では、研究用途とは異なり、細胞と導入物質の組合せを予め決定し、単一細胞について効果発現の有無を観察するなど、各細胞の個別的評価が必要となる。また、医療用途では、大量の細胞の処理に対して所定のスループットを維持することが要求される。
【0003】
遺伝子注入の方法としては、ベクター法などの生物的手法、トランスフェクションなどの化学的手法、電気穿孔法、パーティクルガン、インジェクションなどの物理的手法がある。このうち生物的手法や化学的手法は細胞と導入物質の組合せに制限があるために医療用途には適さない。一方、物理的手法は、細胞と注入物質の組合せの制限を受けない方法として知られており、特に、インジェクション法(例えば、特許文献1及び2を参照のこと)は、人工授精に広く使われているように、高い注入成功率を有して遺伝子注入方法として有力視されている。従来のインジェクション法は、熟練作業者が細胞にダメージを最低限に抑えた状態で顕微鏡を利用して針先から物質を細胞に導入する。細胞が、シャーレ中で自由に移動可能であると注入作業が困難になるため、微細孔の空いた膜をフィルターの裏から多数の細胞を一括して吸引及び固定する方法が提案されている(例えば、特許文献3を参照のこと)。
【特許文献1】特開平8−33477号公報
【特許文献2】特開2000−23657号公報
【特許文献3】特開平2−117380号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】

特許文献3による細胞の一括吸着方法では、全ての吸引口に対して細胞がほぼ等距離にあるときは細胞を同時に吸引して作業性が向上するが、細胞の分布が吸引口間でばらついていれば、所定時間の吸引の結果、ある吸引口には細胞が吸引されるが、他の吸引口には細胞が吸引されないことになる。すると、全ての吸引口に細胞が吸引されてそれらに物質が注入されるまで吸引を継続しなければならない。長時間の吸引を行うことにより細胞が吸引口内に引きずり込まれて損傷するおそれがある。また、注入が終わった細胞だけを順次個別的に次段の後処理に回すこともできず処理の効率が悪い。一方、細胞の吸引口における吸引時間を一定にして細胞の損傷を防止しようとすれば細胞を吸引しない吸引口が存在することになり、スループットが低下する。この点、レーザーピンセットと呼ばれる細胞誘導技術も提案されているが、レーザーピンセット細胞を一つずつ誘導するためスループットを劇的に向上しない。
【0005】
そこで、本発明は、細胞と導入物質の組合せの制限を受けず、成功率の高いインジェクション方式を採用しながら、作業の効率性を改善する捕獲装置及び方法を提供することを例示的な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面としての捕獲装置は、液体中に浮遊する複数の微小物体を捕獲するための捕獲装置であって、それぞれ各物体を吸引可能な複数の吸引口を有する捕獲部と、前記複数の物体を前記吸引口に誘導する流れを前記液体中に形成する誘導部を有することを特徴とする。かかる捕獲装置は、誘導部が複数の物体を誘導する流れを形成し、個別的誘導よりも捕獲の効率を上げている。
【0007】
前記捕獲装置は、前記液体と前記複数の微小物体を収納する容器を更に有し、前記誘導部は、前記容器を傾斜させる手段を含んでもよい。あるいは、前記誘導部は、前記物体に対して送風する手段やその他の流れを形成する手段であってもよい。前記誘導部は、直交する2方向に前記流れを形成してもよい。これにより、2次元的に物体を誘導することができる。
【0008】
前記捕獲装置は、前記吸引口と前記物体を検出する検出部と、前記検出部による検出結果に基づいて前記誘導部が前記物体を誘導すべき方向及び/又は誘導力を決定する制御部とを更に有してもよい。例えば、容器を傾斜される実施例では、前記捕獲装置は、前記吸引口と前記物体を検出する検出部と、前記検出部による検出結果に基づいて前記誘導部が前記物体を誘導すべき方向と角度を決定する制御部とを更に有してもよい。これにより、物体の誘導を自動的に行うことができる。特に、制御部は、吸引口が確実に吸引できるように、誘導方向に加えて誘導力(例えば、容器の傾斜角や送風力)を調節することができるために、捕獲の効率が向上する。なお、未捕獲の複数の物体を誘導する際に、未捕獲の複数の吸引口の分布形状や大きさに合わせて制御部は誘導力を調節することができる。これは、物体は誘導中に最初の分布を維持せず、また、未捕獲の吸引口も物体を吸引することによって分布を維持しないため、誘導方向と誘導力の制御を連続的に行うことによってより効率的な捕獲処理を行うことができるからである。
【0009】
本発明の別の側面としての捕獲方法は、液体中に浮遊する複数の微小物体を捕獲するための捕獲方法であって、前記複数の微小物体が存在する領域の第1の中心と、それぞれ各物体を吸引可能な複数の吸引口のうち前記物体を吸引していない複数の吸引口が存在する領域の第2の中心を算出するステップと、前記第1の中心から前記第2の中心への流れを前記液体に形成するステップとを有することを特徴とする。かかる捕獲方法によれば、物体を第1の中心(例えば、未捕獲の複数の物体が存在する矩形領域の中心や未捕獲の複数の物体の重心)から第2の中心(例えば、未捕獲の複数の吸引口が存在する矩形領域の中心や未捕獲の複数の吸引口の重心)に移動させて複数の物体を効率的に吸引口に捕獲することができる。なお、ここで、「第1の中心」は第1の中心及びその近傍(例えば、第1の中心から物体の直径の5倍程度の範囲)は含む趣旨であり、「第2の中心」は第1の中心及びその近傍(例えば、第2の中心から吸引口の直径の5倍程度の範囲)は含む趣旨である。近傍の範囲は吸引口が細胞を吸引できる範囲であり、細胞の誘導速度との関係で変化する。
【0010】
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下、添付図面を参照して説明される好ましい実施例によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、細胞と導入物質の組合せの制限を受けず、成功率の高いインジェクション方式を採用しながら、作業の効率性を改善する捕獲装置及び方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の第1の実施例の細胞処理装置100について説明する。細胞処理装置100は、本発明に適用可能な微小物体に対して所定の処理(例えば、微小針(キャピラリ)を用いた物体の注入処理)を施す。微小物体は、液体(例えば、細胞懸濁液及び培地)Lに分散し、浮遊可能な細胞Cである。ここで、図1は、細胞処理装置100の概略斜視図である。細胞処理装置100は、図1に示すように、シャーレなどの容器102と、支持部104と、基台106と、捕獲基材110と、吸引部120と、傾斜機構130とを有する。
【0013】
容器102は、液体L及びそれに浮遊する複数の細胞Cを収納する円筒形状の水槽であり、例えば、プラスチックから構成される。容器102は流路であっても構わない。容器102には、細胞C及び液体Lが供給される図示しない一又は複数の供給部に接続されている。容器102に満たされる液体Lの量は、通常時は細胞Cが捕獲基材110に接触せずに浮遊することができ、吸引時には細胞Cが捕獲基材110上に拘束される量である。また、後述する吸引口112bから液体Lは捕獲基材110内に流入するため、その後も細胞Cが捕獲基材110に接触せずに浮遊することができるのに十分な量が容器102に供給される必要がある。例えば、容器102には液体Lの高さを検知するセンサが設けられ、液体の量が一定の高さ以下になった場合には図示しない供給部から液体Lが供給される構成としてもよい。また、容器102は、後述する捕獲部によって捕獲された複数の細胞に微小針を用いて所定の物質を注入する図示しない処理部が接続可能である。更に、容器102には、DNAなどの所定の物質が注入された細胞(即ち、処理済の細胞)を後段の回収部に搬送する流路が接続されていてもよい。
【0014】
支持部104は、容器102の底部の一部を支持する底部支持部104aと容器102の側部の一部を支持する側部支持部104bとを有する。底部支持部104aと側部支持部104bとは、それぞれ平板形状を有し、本実施例では、図1に示すように断面L字形状を構成する。支持部104は、容器102を傾斜可能に(回転可能に)支持し、基台106と一体的に構成されてもよい。支持部104は、容器102のW方向の移動を制限する制限部材を有することが好ましい。これにより、容器102が傾斜中にW方向に転がって支持部104から外れることを防止することができる。
【0015】
基台106は、支持台104を固定すると共に傾斜機構130を回転自在に支持する。
【0016】
捕獲基材110は、容器102の内面に適合する円筒形状の部材であり、吸引部120と共に捕獲部として機能する。捕獲基材110は、液体L及び細胞Cよりも比重が大きく、液体Lを汚染しない材料(例えば、プラスチック)から構成される。捕獲基材110は、容器102の内面に適合するので、容器102内で捕獲基材110が移動することはない。これにより、配管124の移動を防止することができ、吸引動作を安定化することができる。また、かかる構造により、容器102と捕獲部材110との間には液体Lが入らない。なお、捕獲基材110は、容器102の一部であってもよい。捕獲基材110は、複数の接続口112aと、複数の吸引口112bと、複数のトンネル114とを有するが、図1はそれぞれ一つしか示していない。
【0017】
接続口112aは吸引部120の配管124が接続される穴である。接続口112aの内面にはネジ切りされ、配管124の外面のネジ山に適合するように構成されてもよい。これにより、配管124が動作中に捕獲基材110から分離することを防止することができる。
【0018】
吸引口112bは細胞Cを吸引及び捕獲するためのφ数μm程度の複数の穴である。吸引口112bの数は同時に捕獲可能な細胞の最大数である。予め吸引口112bを碁盤の目のように自動機で取り扱い易い配置にしておけば、例えば、DNAの注入などの後工程を自動化にスループットが低下することを防止することができる。
【0019】
トンネル114は、図2に示すように、接続口112aと吸引口112bを連通する、例えば、U字形状の穴である。ここで、図2は、捕獲基材110と吸引部120との関係を示す概略平面図である。トンネル114の形状は例示的であり、例えば、接続口112aが捕獲基材110の底面に形成されれば、トンネル114は直線形状になる。
【0020】
吸引部120は、細胞Cの吸引・吐出、液体Lの吐出が可能であり、本実施例では複数のポンプ122とそれに対応した数の配管124とを含むが、図1は便宜上一のポンプ122と配管124のみを示している。本実施例のように、吸引部120は、吸引口112bの数に対応した数のポンプ122を有してもよいし、各吸引口112bに制御弁が設けられていれば、少なくとも一つのポンプ122が設けられていれば足りる。本実施例では、捕獲部は捕獲基材110と吸引部120から構成されているが、捕獲基材110を設けるかどうかは選択的である。例えば、吸引部120の配管124をトンネル114の形状に倣ってU字形状にするなどである。吸引口112bの吐出機能により、ある吸引口112bを、目的の吸引口112bに細胞Cを誘導する誘導部として機能させることができる。また、複数の細胞Cが凝集している場合にそれに近接した吸引口112bから圧力を印加することによって細胞を分散させることができる。
【0021】
ポンプ122は、少なくとも吸引が可能(好ましくは吐出も可能)であればその種類は問わない。例えば、シリンダとその軸方向に摺動可能なプランジャよりなる吸引/吐出装置であってもよい。また、本実施例では、ポンプ122の吸引力、吐出力は調節可能としている。細胞Cを損傷しない程度に捕獲する吸引力や処理済みの細胞Cを解放する吐出力はシミュレーションや実験で予め設定されているが、細胞Cを吸引口112bに引き寄せる際の吸引力や凝集した細胞Cを分散させるための液体Lの吐出力は調節可能であり、これにより、捕獲動作の効率を高めることができる。
【0022】
配管124は、捕獲基材110の接続口112aに接続され、弾性変形可能なチューブから構成されている。本実施例では、各ポンプ122は独立して動作可能である。配管124は直角に折れ曲がっているが、かかる形状は例示的である。また、吸引部120を捕獲基材110の下方に設ければ、接続口112aは捕獲基材110の底面に形成される。但し、この場合は、液体Lがポンプ122に流入しないような手段を設ける必要がある。
【0023】
かかる吸引部120によれば、複数の吸引口による細胞Cの吸引が独立して(例えば、手動で)動作可能であるので、長時間の吸引による細胞Cの損傷を防止することができる。各ポンプ122は独立して動作可能であるが同時に細胞Cを捕獲するように吸引動作を行ってもよいことはいうまでもない。図2に、捕獲・拘束されている細胞Cを示す。かかる状態で、作業者は、微小針を細胞Cに突き刺してDNAなどの所定の物質を細胞Cに注入することができる。細胞Cが固定されているので作業性が向上する。
【0024】
捕獲部は、注入済の細胞Cの、複数の吸引口112bによる捕獲を個別に解除して新しい細胞Cを捕獲して注入処理の効率やスループットを高めることができる。例えば、後工程の処理が終わった細胞Cを捕獲・拘束している中央の吸引口112bのみを個別に吸引停止又は吐出すれば、中央の細胞Cは自由に移動可能になるため、他の細胞移動手段(例えば、容器102を傾けるなど)で下に移動し、拘束されている他の細胞Cと分離することができる。これにより、細胞Cの処理・未処理などが識別できれば、一連の流れとして全体として自動化することができる。加えて、新しい細胞Cを目的の吸引口112bに個別に吸引して捕獲・拘束することもできる。
【0025】
傾斜機構130は、容器102を所定方向に所定角度だけ傾斜させる機能を有する。所定方向は、細胞Cを誘導する方向であり、所定角度は重力によって細胞Cを誘導する誘導力に対応する。傾斜機構130は、本実施例では、図1、図3及び図4に示すように、梃子の構造を有し、一対の基部132と、作用部134と、傾斜部136とを有する。ここで、図3は、容器102を傾斜した状態を示す概略平面図であり、図4は、容器102を傾斜した状態を示す概略断面図である。図3においては、所定方向はR方向であり、これは、細胞Cと吸引口112bとを結んだ直線に整列している。
【0026】
一対の基部132は、本実施例では、直方体と略半円筒を組み合わせた形状を有し、基台106上に固定されている。一対の基部132の間にはシャフト133が固定され、シャフト133の周りに作用部134が回転自在に設けられている。もちろんシャフト133を基部132の周りに回転自在に保持して作用部134をシャフト133に回転不能に設けてもよい。作用部134には容器102の傾斜時に力が加えられる作用点として機能し、本実施例では平板形状を有するが、これに限定されるものではない。傾斜部136は、容器102を傾斜させる力点であり、本実施例では平板形状を有するが、これに限定されるものではない。初期状態では、傾斜部136の基台106からの傾斜角度は0であり、図4において傾斜部136と基台106は接触している。傾斜部136は容器102を傾斜させる時には、図4に示す接触部137において容器102と接触する。
【0027】
例えば、図2に示すような位置に細胞Cがある場合、ポンプ122から吸引口112bの吸引を始めても、吸引口112bから細胞Cまでの距離が比較的大きいために素早く細胞C捕獲することはできない。そこで、図4に示すように、傾斜機構130が容器102を図3に示す直線Rに沿って傾斜させる。この結果、重力によって細胞Cを吸引口112bに転がすことができる。傾斜角度θは、本実施例では数度であり、可変である。
【0028】
傾斜機構130は容器102を自動的に回転する機構(例えば、容器102を支持して基台106に対して回転可能な回転台)を含んでいてもよいし、容器102は手動で回転してもよい。この結果、傾斜方向Rに細胞Cと吸引口112bとを整列させることは容易となる。前者の一例としての傾斜機構130Aを図5(a)、図5(b)、及び、図6を参照して説明する。ここで、図5(a)は傾斜機構130Aの概略平面図であり、図5(b)は、傾斜機構130Aの概略断面図である。図6は、傾斜機構130Aを利用した場合の細胞Cの捕獲基材110上での移動を示す概略平面図である。
【0029】
傾斜機構130Aは、断面U字形状を有する支持部138と、支持部を傾斜部136に関して回転可能に取り付けるシャフト139とを更に有する点で傾斜機構130と相違する。この結果、傾斜機構130Aは、傾斜角度θで容器102を傾斜することができると共に、傾斜方向αを変更することができる。傾斜機構130が容器102を傾斜させると細胞Cが重力により転がり始めるが、図6に示すように、細胞Cが吸引孔112bからずれた点線方向に転がり始めても支持部138をシャフト139回りに回転調整することによって実線方向に修正することができる。
【0030】
以下、図7を参照して、図5及び図6に示す機構を自動化した細胞処理装置100Aについて説明する。ここで、図7は、細胞処理装置100Aの概略斜視図である。図7において、図1と同一の部材には同一の参照符号を付して説明を省略する。細胞処理装置100Aは、細胞処理装置100と比較して、傾斜機構130B、検出部150、演算部150及び制御部152を有して傾斜機構の駆動を自動化した点が異なっている。
【0031】
傾斜機構130Bは、作用部134に前進後退可能な接続部141を介して接続され、作用部134をシャフト133回りに回転させる駆動部140と、支持部138に前進後退可能な接続部146を介して接続され、支持部134をシャフト139回りに回転させる駆動部145とを有する。駆動部140及び145は、例えば、エアシリンダから構成される。
【0032】
検出部150は、捕獲基材110を撮影する視野を有し、細胞Cと吸引口112bの状態を撮影することができる。検出部150は、例えば、CCDカメラから構成される。本実施例では、検出部150は連続的に検出を行っているが、所定間隔で検出を行ってもよい。
【0033】
演算部160は、検出部150の検出結果により、細胞Cの位置(例えば、細胞Cの形状、大きさ、位置、移動の有無、移動方向)及び状態(例えば、細胞Cが吸引口112bに捕獲されているかどうか)を検出する画像処理機能を備えている。演算部160は、かかる検出結果に応じて傾斜部130Bによる傾斜方向と傾斜角度を算出する。なお、本実施例では、制御部160は画像処理機能を備えて演算部として機能するが、画像処理装置(演算部)を制御部160とは別体に設け、制御部160はパーソナルコンピュータ(PC)などから構成して画像処理装置とデータ通信を行ってもよい。また、駆動部140及び145の制御部も制御部160から独立して設けられてもよい。
【0034】
以下、図8を参照して、細胞処理装置100Aの動作を説明する。ここで、図8は、細胞処理装置100Aの動作を示すフローチャートである。まず、制御部160は、検出部150による検出結果に基づいて、細胞Cの位置や吸引口112bの状態を検出し(ステップ1002)、細胞Cが全ての吸引口112bで捕獲されているかどうかを判断する(ステップ1004)。制御部160は、ステップ1004で捕獲されていないと判断すれば、適切な移動速度と方向を細胞Cに与えるための角度θ0とα0を算出する(ステップ1006)。角度θは作用部134の基台106に対する角度を表し、角度αは支持部138の傾斜部136に対する角度を表す。
【0035】
次いで、制御部160は、算出された角度θ0とα0で傾斜機構130B(の駆動部140及び145)を制御する(ステップ1008)。この結果、傾斜機構130Bが容器102を傾斜して細胞Cが、例えば、図6に示す点線矢印のように転がり始める。
【0036】
再び、制御部160は、検出部150による検出結果に基づいて、細胞Cの位置や吸引口112bの状態を検出し(ステップ1010)、実際の細胞Cの移動速度及び方向を算出する(ステップ1012)。そして、制御部160は、かかる移動速度及び方向が適切であるかどうかを判断する(ステップ1014)適切であるかどうかの判断は、図3に示す細胞Cの移動方向Rが細胞Cの中心と吸引孔112bの中心を結んだ直線に一致しているかどうかで判断するが、これは多少ずれていてもよい。即ち、それぞれの中心からのずれの範囲は吸引口112bが細胞Cを吸引できる範囲に依存し、細胞Cの大きさや誘導速度などで変化する。本実施例における細胞Cの大きさと移動速度においては、それぞれの中心からのずれは細胞Cの直径の5倍、吸引口112bの直径の5倍まで許容する。
【0037】
制御部160は、細胞Cの移動速度及び方向が適切であると判断すると(ステップ1014)、細胞Cが吸引口112bに捕獲されるまで(ステップ1016)、ステップ1008の制御を維持する。細胞Cが吸引口112bに捕獲されると捕獲制御処理は終了し、その後、微小針を利用した注入処理がなされる。
【0038】
一方、制御部160は、細胞Cの移動速度及び方向が適切ではないと判断すると(ステップ1014)、細胞Cの移動速度及び方向を修正角度θ1とα1に修正する(ステップ1018)。次いで、制御部160は、算出された角度θ1とα1で傾斜機構130B(の駆動部140及び145)を制御する(ステップ1020)。この結果、傾斜機構130Bが容器102を傾斜して細胞Cが、例えば、図6に示す実線矢印のように転がり始める。その後、処理はステップ1010に帰還する。かかる自動誘導処理によって捕獲効率は向上する。なお、本実施例では、吸引口112bのポンプ122による吸引も自動で行われる。
【0039】
以下、図9乃至図11を参照して、本発明の第3の実施例の細胞処理装置100Bについて説明する。ここで、図9は、細胞処理装置100Aの概略斜視図である。図9において、図1と同一の部材には同一の参照符号を付して説明を省略する。細胞処理装置100Bは、細胞処理装置100と比較して、傾斜機構130とは異なる傾斜機構130Cを有する点が異なっている。傾斜機構130Cは、梃子を利用せずに、基台106上に固定されたレール機能を有する作用部132Cと、断面がほぼ三角形状を有して作用部132C上で図9に示すR方向に沿って移動可能な傾斜部136Cを有する。傾斜部136Cは、傾斜面137Cで容器102と接触する。
【0040】
傾斜機構130Cは、容器102をR方向に所定角度だけ傾斜させる機能を有する。R方向は、細胞Cを誘導する方向であり、傾斜部136CのR方向の移動は傾斜角度に対応する。初期状態では容器102は基台106に平行(水平)に維持されている。
【0041】
傾斜機構130Cが容器102を傾斜した状態を図10及び図11に示す。ここで、図10は、傾斜機構130CがR方向に移動し、容器102を傾斜した状態を示す概略平面図であり、図11は、その概略断面図である。図10に示すように、細胞Cと吸引口112bはR方向に一致するように予めセットされている。容器102の傾斜の様子は図3及び図4と同様である。
【0042】
図12に、図5の変形例としての傾斜機構130Dを示す。図5と同一の部材には同一の参照番号を付している。ここで、図12(a)は傾斜機構130Dの概略平面図であり、図12(b)は傾斜機構130Dの概略側面図である。傾斜機構130Dは、一対のレバー170と、一対のガイド172と、一の押さえ174とを有する。ガイド172は、レバー170によってR方向に駆動可能で、容器102をα方向に回転させる。ガイド172は図示しないレールなどの機構によってR方向にのみ移動するように構成されている。回転時には一対のガイド172は互い違いに移動する。図12(a)において、時計回りに図示しない容器102を回転させようとする場合、例えば、上側のレバー170とガイド172はR方向に駆動され、下側のレバー170とガイド172はR方向に駆動される。押さえ174は、ガイド172を抑えると共にレバー170のR方向の移動を規制する。かかる傾斜機構130Dも傾斜機構130と同様の作用を奏する。
【0043】
以下、図13乃至図18を参照して、本発明の第4の実施例の細胞処理装置100Cについて説明する。ここで、図13は、細胞処理装置100Cの概略ブロック図である。細胞処理装置100Cは、捕獲基材110Aと制御部160Aと誘導部180とを有する点において細胞処理装置100Aと相違する。
【0044】
即ち、捕獲基材110Aに吸引部120が接続されて吸引口112bが設けられている点は細胞処理装置100Aと同様であるが、捕獲基材110Aには更に接続口114aと誘導口114bが設けられ、接続口114aには誘導部180が接続されている。
【0045】
捕獲基材110Aにおいて、後述する図15及び図16に示すように、複数の吸引口112bと誘導口114bはそれぞれマトリックス状に配置され、複数の吸引口112bと複数の誘導口114bとは対角方向にずれている。吸引口112bは細胞Cを吸引するためのもので、必要があれば、処理済の細胞Cを吐出したり、細胞Cを所望の吸引口112bに導入するために吐出したりしてもよい。一方、誘導口114bは、細胞Cを所望の吸引口112bに導入するために吸引及び吐出を行う。
【0046】
本実施例では、誘導口114bの構成は、吸引口112bと同様に、捕獲基材110Aの上面にほぼ垂直に開口する形状を有する。吸引口112bが捕獲基材110Aの上面にほぼ垂直に開口しているのは細胞Cを固定しやすいからであるが、誘導口114bは細胞Cを誘導できれば足りる。従って、代替的な実施例では、誘導口114bが一定方向に強い吸引力や吐出力を加えられるように、誘導口114bを捕獲基材110Aの上面に斜めに配置したり、誘導口114bを捕獲基材110Aの上面にほぼ垂直に開口するように設けてその周りの一定領域に遮蔽壁を立設したりしてもよい。更に、このような一定方向に強い吸引力や吐出力を加えることが可能な誘導口114bを捕獲基材110Aに対して回転可能に構成し、上記一定方向を制御部160Aにより変更可能としてもよい。このように誘導口114bからの力の方向を限定することにより、かかる力が等方的に広がって他の細胞Cの誘導に悪影響を与えることを防止することができる。
【0047】
制御部160Aは、検出部150と複数のポンプ122に接続され、検出部150の検出結果に基づいて吸引部120を駆動制御する点は細胞処理装置100Aと同様であるが、制御部160Aには誘導部180が更に接続され、検出部150の検出結果に基づいて誘導部180を駆動制御する点において細胞処理装置100Aと異なる。図13は、吸引部120を省略し、検出部150と制御部160Aと誘導部180との関係のみを示している。
【0048】
図13に示すように、制御部160Aは、PCなどから構成され、検出部150から送られる画像情報を格納する画像メモリ162と、画像情報から吸引部120及び誘導部180を制御するための処理を行うための画像処理部164とを有する。画像処理部164では、細胞検出、目標ベクトルの算出、誘導吐出条件の算出、駆動情報へ変換を行い、かかる駆動情報に基づいて誘導部180を制御する。
【0049】
誘導部180は、吸引部と同様の構成を有し、本実施例では、4組のアクチュエータ182と、シリンダ184と、プランジャ186と、配管188とを含むが、組数は例示的である。アクチュエータ182はプランジャ186を図13の左右方向に駆動する。プランジャ186は、シリンダ184の軸に接続されてシリンダ184の軸方向に移動すると共に液体Lを吐出か圧力を印加する。アクチュエータ182がプランジャ186を図31の左方向に駆動すれば、配管188を通じて陽圧が液体L(中の細胞C)に作用し、アクチュエータ182がプランジャ186を図13の右方向に駆動すれば、配管188を通じて陰圧が液体L(中の細胞C)に作用する。
【0050】
以下、図14乃至図16を参照して、細胞処理装置100Cの動作について説明する。ここで、図14は、細胞処理装置100Cの動作を説明するためのフローチャートである。まず、制御部160の画像処理部164は、検出部150から細胞群の映像を画像メモリ162を介して取得する(ステップ1102)。
【0051】
次に、画像処理部164は、未吸引の細胞群の中心(領域中心や重心)及び未吸引の吸引口群の中心(領域中心や重心)を算出する(ステップ1104、1106)。細胞群の中心とは細胞群全体を移動するための基準点であり、吸引口群の中心とは細胞群全体が到達すべき基準点である。また、図15に示すように、細胞群の領域中心とは細胞群が分布している矩形領域Eの中心E1であり、吸引口群の領域中心とは吸引口群が分布している矩形領域Fの中心F1である。ここで、図15は、未吸引の細胞群と吸引口112bの領域中心の設定を説明するための概略平面図である。なお、領域の形状は必ずしも矩形に限定されず任意の形状(菱形など)を設定することができる。同様に、図16に示すように、細胞群の重心とは細胞群が存在する領域Gの重心G1であり、吸引口群の重心とは吸引口群が存在する領域Hの重心H1であり、これらの重心は慣性主軸が直交する点である。例えば、重心G1は、適当な形状を有する領域G(ここでは長さLlと幅LWを有する)を適当に設定してそこに存在する細胞Cの分布から算出される。ここで、図16は、未吸引の細胞群と吸引口群の領域の重心の設定を説明するための概略平面図である。
【0052】
次いで、制御部160は、ステップ1104及び1106で求めた2つの中心から図15及び図16に矢印で示すように、細胞群を移動するためのベクトルを設定する(ステップ1108)。そして、かかるベクトルに基づいて誘導部180による誘導条件(即ち、誘導部180による誘導口114bの吸引及び吐出の方向と吸引力及び吐出力)を算出する(ステップ1110)。誘導条件は、誘導部180が作成する液体中の流れが細胞群を移動するためのベクトルに一致するように設定される。また、液体中の流れの流速は、吸引口が吸引可能な速度に設定される。かかる流速や誘導条件は予めシミュレーションによって求めて図示しないメモリに格納され、制御部160は細胞群と吸引口群の中心を取得した後でかかるメモリを参照して誘導条件を取得してもよい。次いで、制御部160は、誘導条件に基づいて誘導部180を動作制御して液体中に流れを発生させる(ステップ1112)。
【0053】
本実施例では、誘導部180を使用したが、図17に示すように、容器102Aに直交二方向に液体Lを吐出及び吸引するチューブ190を設け、容器102Aに液体導入・排出口103を設けてもよい。かかる実施例では、チューブ190からの液体Lの吐出及び吸引を制御することによって容器102A内に図17に示す流れを形成することになる。
【0054】
次いで、制御部160は、検出部150による検出結果に基づいて、細胞群が移動を開始したかどうかを細胞群の中心が移動したかどうか判断し(ステップ1114)、細胞群が移動しなければ誘導条件を変更する(ステップ1116)。また、制御部160は、細胞群が移動したと判断した場合(ステップ1114)、それが、ベクトルにほぼ沿った所定の方向かどうかを判断し(ステップ1118)、ほぼ沿っていないと判断すれば誘導条件を変更する(ステップ1120)。この場合、制御部160は、所定の方向とベクトルとのずれが許容範囲かどうかを判断するが、かかる許容範囲はユーザーが自由に決定することができる。なお、なお、細胞群を誘導する際に、未捕獲の複数の吸引口の分布形状や大きさに合わせて制御部160は誘導力を調節することができる。これは、細胞群は誘導中に最初の分布を維持せず、また、未捕獲の吸引口も物体を吸引することによって分布を維持しないため、誘導方向と誘導力の制御を連続的に行うことによってより効率的な捕獲処理を行うことができるからである。
【0055】
制御部160は、細胞群の移動が所定の方向に沿っていると判断すれば(ステップ1118)、細胞群が停止したかどうかを判断する(ステップ1122)。次いで、制御部160は、全ての細胞群が捕獲・吸引されたかどうかを判断し(ステップ1124)、全ての細胞群が捕獲されていなければ(ステップ1124)、ステップ1102に帰還する。一方、制御部160は、全ての細胞群が捕獲されたと判断すれば(ステップ1124)、DNAの注入など所定の処理を細胞Cに施す(ステップ1126)。
【0056】
例えば、図示しない注入装置が、細胞Cの細胞膜に穿孔して微小針(キャピラリ)を介して遺伝子溶液及び薬剤溶液を注入する。微小針が遺伝子溶液及び薬剤溶液を細胞Cに注入するタイミング、注入量、注入角度、注入深さなどは注入装置の制御部によって制御される。微小針は、細胞Cを穿孔するのに十分な鋭利な先端部を有し、その直径は、例えば、1μm程度である。このようなインジェクション方式を採用することによって、細胞と導入物質の組合せの制限を受けずに、注入の成功率を高めることができる。
【0057】
以上説明したように、本実施例によれば、複数の吸引口群に細胞群を誘導することができ、捕獲処理の効率を向上することができる。また、細胞処理装置はインジェクション方式を採用しているので、細胞と導入物質の組合せの制限を受けず、また、注入の成功率を高く維持することができる。
【0058】
上述の実施例は、図1など他の実施例にも適用可能であることはいうまでもない。
【0059】
以上、本発明の好ましい実施例を説明してきたが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、様々な変形及び変更が可能である。例えば、液体Lに流れを付与して細胞Cを誘導する手段は扇風機などの送風手段であってもよい。送風方向や送風力を調節可能とすれば上述の傾斜機構130と同様の作用を奏する。
【0060】
本発明は更に以下の事項を開示する。
【0061】
(付記1) 液体中に浮遊する複数の微小物体を捕獲するための捕獲装置であって、それぞれ各物体を吸引可能な複数の吸引口を有する捕獲部と、前記複数の物体を前記吸引口に誘導する流れを前記液体中に形成する誘導部を有することを特徴とする捕獲装置。(1)
(付記2) 前記捕獲装置は、前記液体と前記複数の微小物体を収納する容器を更に有し、前記誘導部は、前記容器を傾斜させる手段を含むことを特徴とする付記1記載の捕獲装置。(2)
(付記3) 前記誘導部は、前記容器を回転する手段を含むことを特徴とする付記2記載の捕獲装置。
【0062】
(付記4) 前記誘導部は、前記物体に対して送風する手段を含むことを特徴とする付記1記載の捕獲装置。
【0063】
(付記5) 前記誘導部は、前記液体の吸引及び吐出が可能な、前記物体を前記吸引口のうちの所定の吸引口に誘導する誘導口を含むことを特徴とする付記1記載の捕獲装置。(3)
(付記6) 前記誘導部は、直交する2方向に前記流れを形成することを特徴とする付記1記載の捕獲装置。
【0064】
(付記7) 前記吸引口と前記物体を検出する検出部と、前記検出部による検出結果に基づいて前記誘導部が前記物体を誘導すべき方向及び/又は誘導力を決定する制御部とを更に有することを特徴とする付記1記載の捕獲装置。(4)
(付記8) 前記制御部は、前記物体を誘導中に前記方向及び/又は誘導力を調節することを特徴とする付記7記載の捕獲装置。
【0065】
(付記9) 前記吸引口と前記物体を検出する検出部と、前記検出部による検出結果に基づいて前記誘導部が前記物体を傾斜すべき方向と角度を決定する制御部とを更に有することを特徴とする付記2記載の捕獲装置。
【0066】
(付記10) 前記吸引口と前記物体を検出する検出部と、前記検出部による検出結果に基づいて前記誘導口の吸引及び吐出の方向と吸引力及び吐出力を決定する制御部とを更に有することを特徴とする付記2記載の捕獲装置。
【0067】
(付記11) 液体中に浮遊する複数の微小物体を捕獲するための捕獲方法であって、前記複数の微小物体が存在する領域の第1の中心と、それぞれ各物体を吸引可能な複数の吸引口のうち前記物体を吸引していない複数の吸引口が存在する領域の第2の中心を算出するステップと、前記第1の中心から前記第2の中心への流れを前記液体に形成するステップとを有することを特徴とする捕獲方法。(5)
(付記12) 前記第1の中心は、前記吸引口に吸引されていない前記複数の微小物体が存在する矩形領域の中心であることを特徴とする付記11記載の捕獲方法。
【0068】
(付記13) 前記第1の中心は、前記吸引口に吸引されていない前記複数の微小物体の重心であることを特徴とする付記11記載の捕獲方法。
【0069】
(付記14) 前記第2の中心は、前記物体を吸引していない前記複数の吸引口が存在する矩形領域の中心であることを特徴とする付記11記載の捕獲方法。
【0070】
(付記15) 前記第2の中心は、前記物体を吸引していない前記複数の吸引口の重心であることを特徴とする付記11記載の捕獲方法。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1の実施例としての細胞処理装置の概略斜視図である。
【図2】図1に示す細胞処理装置の捕獲部の概略平面図である。
【図3】図1に示す細胞処理装置の動作の一例を示す概略平面図である。
【図4】図3に示す細胞処理装置の概略断面図である。
【図5】図5(a)及び図5(b)は、図1に示す細胞処理装置の傾斜機構の変形例の概略平面図及び概略断面図である。
【図6】図5(a)及び図5(b)に示す傾斜機構の動作を説明するための概略平面図である。
【図7】本発明の第2の実施例としての細胞処理装置の概略斜視図である。
【図8】図7に示す細胞処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第3の実施例としての細胞処理装置の概略斜視図である。
【図10】図9に示す細胞処理装置の動作の一例を示す概略平面図である。
【図11】図10に示す細胞処理装置の概略断面図である。
【図12】図12(a)及び図12(b)は、図5(a)及び図5(b)に示す傾斜機構の変形例の概略平面図及び概略断面図である。
【図13】本発明の第3の実施例としての細胞処理装置の概略斜視図である。
【図14】図13に示す細胞処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図15】図14における細胞群及び吸引口群の中心の算出方法を説明するための概略平面図である。
【図16】図14における細胞群及び吸引口群の中心の別の算出方法を説明するための概略平面図である。
【図17】液体中に流れを形成する他の方法を説明するための概略斜視図である。
【符号の説明】
【0072】
100、100A−C 細胞処理装置
102 容器
120、120A 吸引部
130、130A−D 傾斜機構
150 検出部
160 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体中に浮遊する複数の微小物体を捕獲するための捕獲装置であって、
それぞれ各物体を吸引可能な複数の吸引口を有する捕獲部と、
前記複数の物体を前記吸引口に誘導する流れを前記液体中に形成する誘導部を有することを特徴とする捕獲装置。
【請求項2】
前記捕獲装置は、前記液体と前記複数の微小物体を収納する容器を更に有し、
前記誘導部は、前記容器を傾斜させる手段を含むことを特徴とする請求項1記載の捕獲装置。
【請求項3】
前記誘導部は、前記液体の吸引及び吐出が可能な、前記物体を前記吸引口のうちの所定の吸引口に誘導する誘導口を含むことを特徴とする請求項1記載の捕獲装置。
【請求項4】
前記吸引口と前記物体を検出する検出部と、
前記検出部による検出結果に基づいて前記誘導部が前記物体を誘導すべき方向及び/又は誘導力を決定する制御部とを更に有することを特徴とする請求項1記載の捕獲装置。
【請求項5】
液体中に浮遊する複数の微小物体を捕獲するための捕獲方法であって、
前記複数の微小物体が存在する領域の第1の中心と、それぞれ各物体を吸引可能な複数の吸引口のうち前記物体を吸引していない複数の吸引口が存在する領域の第2の中心を算出するステップと、
前記第1の中心から前記第2の中心への流れを前記液体に形成するステップとを有することを特徴とする捕獲方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−149227(P2006−149227A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−340685(P2004−340685)
【出願日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】