微小部品の粘着式ピックアップ装置
【課題】 簡素な構造で、かつ、操作が容易であり、反復作業により操作回数が多くなっても手が疲れにくい微小部品の粘着式ピックアップ装置を提供すること。
【解決手段】 グリップ本体1の先端には、所定間隔離れてガイド筒体2を支保する一方、前記グリップ本体1の胴部からは、二股脚片3・3を設け、かつ、これら二股脚片3・3間には可撓部材4を懸架して、この可撓部材4にはピストン部材5を突設するとともに、このピストン部材5を前記ガイド筒体2内に挿通し、前記二股脚片3・3が互いに近接するように挟圧されて前記可撓部材4を撓曲せしめる一方、これら両二股脚片3・3の弾性復元力により可撓部材4が元の位置に復帰することによって、この可撓部材4から突設されたピストン部材5が前記ガイド筒体2内において進退動して、当該ピストン部材5の先端に設けた粘着部材6を前記ガイド筒体2の開口部21から出没可能に構成する。
【解決手段】 グリップ本体1の先端には、所定間隔離れてガイド筒体2を支保する一方、前記グリップ本体1の胴部からは、二股脚片3・3を設け、かつ、これら二股脚片3・3間には可撓部材4を懸架して、この可撓部材4にはピストン部材5を突設するとともに、このピストン部材5を前記ガイド筒体2内に挿通し、前記二股脚片3・3が互いに近接するように挟圧されて前記可撓部材4を撓曲せしめる一方、これら両二股脚片3・3の弾性復元力により可撓部材4が元の位置に復帰することによって、この可撓部材4から突設されたピストン部材5が前記ガイド筒体2内において進退動して、当該ピストン部材5の先端に設けた粘着部材6を前記ガイド筒体2の開口部21から出没可能に構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピックアップ装置の改良、更に詳しくは、簡素な構造で、かつ、操作が容易であり、反復作業により操作回数が多くなっても手が疲れにくい微小部品の粘着式ピックアップ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のとおり、電子部品等の微小部品を移動させる際には、ピンセットによって一つ一つ手で摘み上げる作業が行われていたが、技巧と熟練を要することから、この微小部品を真空吸引して付着させるピックアップ装置が開発された。
【0003】
しかしながら、かかる真空吸引式のピックアップ装置は、ポンプなどの設備が必要で装置が大掛かりになってしまい、コストが嵩んでしまうという不満があった。
【0004】
そこで、本件出願人は、嘗て、このような微小部品をピックアップするために、粘着式のピックアップ装置を考案した(特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、かかる粘着式のピックアップ装置は、グリップ本体を握ってノッカー突起を親指で押して操作する必要があったため、操作回数が多くなってくると一本の指に負担がかかってしまい、作業が非常に疲れるという不満があった。
【0006】
また、コイルバネを使用した複雑な構造であったため、この部分に故障が発生するおそれがあり、製造コストもかかってしまうという不満があった。
【特許文献1】実開平4−129916号公報(第3−6頁、図1−3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来のピックアップ装置に上記のような問題があったことに鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、簡素な構造で、かつ、操作が容易であり、反復作業により操作回数が多くなっても手が疲れにくい微小部品の粘着式ピックアップ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者が上記課題を解決するために採用した手段を添付図面を参照して説明すれば次のとおりである。
【0009】
即ち、本発明は、把持可能な棒状のグリップ本体1を備え、このグリップ本体1の先端には、所定間隔離れてガイド筒体2を支保する一方、
前記グリップ本体1の胴部からは、先端が二股に分岐してなる二股脚片3・3を設け、かつ、これら二股脚片3・3間には可撓部材4を懸架して、この可撓部材4にはピストン部材5を突設するとともに、このピストン部材5を前記ガイド筒体2内に挿通し、
前記二股脚片3・3が互いに近接するように挟圧されて前記可撓部材4を撓曲せしめる一方、これら両二股脚片3・3の弾性復元力により可撓部材4が元の位置に復帰することによって、この可撓部材4から突設されたピストン部材5が前記ガイド筒体2内において進退動して、当該ピストン部材5の先端に設けた粘着部材6を前記ガイド筒体2の開口部21から出没可能に構成するという技術的手段を採用したことによって、微小部品の粘着式ピックアップ装置を完成させた。
【0010】
また、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、可撓部材4を板体で作製して、板体にヒンジ凹溝41を形成するという技術的手段を採用した。
【0011】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、二股脚片3・3を弾性材料で作製することによって、弾性復元力を付与するという技術的手段を採用した。
【0012】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、二股脚片3・3と可撓部材4とを一体に成形するという技術的手段を採用した。
【0013】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、可撓部材4をガイド筒体2側に凸に懸架して、二股脚片3・3を互いに近接するよう挟圧するとき、ガイド筒体2から粘着部材6が露出するようにするという技術的手段を採用した。
【0014】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、粘着部材6をエラストマー重合体にするという技術的手段を採用した。
【発明の効果】
【0015】
本発明においては、把持可能な棒状のグリップ本体を備え、このグリップ本体の先端には、所定間隔離れてガイド筒体を支保する一方、前記グリップ本体の胴部からは、先端が二股に分岐してなる二股脚片を設け、かつ、これら二股脚片間には可撓部材を懸架して、この可撓部材にはピストン部材を突設するとともに、このピストン部材を前記ガイド筒体内に挿通したことによって、前記二股脚片が互いに近接するように挟圧して前記可撓部材を撓曲せしめる一方、これら両二股脚片の弾性復元力により可撓部材が元の位置に復帰することによって、この可撓部材から突設されたピストン部材が前記ガイド筒体内において進退動して、当該ピストン部材の先端に設けた粘着部材を前記ガイド筒体の開口部から出没できる。
【0016】
したがって、本発明の粘着式ピックアップ装置を使用することにより、簡素な構造で作製できて、かつ、操作が容易であり、反復作業により操作回数が多くなっても手が疲れにくくなることから、実用的利用価値は頗る高いものがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明を実施するための最良の形態を具体的に図示した図面に基づいて更に詳細に説明すると、次のとおりである。
【0018】
『第1実施形態』
本発明の第1実施形態を図1から図5に基づいて説明する。図中、符号1で指示するものはグリップ本体であり、このグリップ本体1は、手に持って把持可能な棒状の部材であって、本実施形態では、プラスチック材料を用いて作製し、鉛筆を持つようなペンタイプの形態にすると使い勝手が良く望ましい。
【0019】
また、符号2で指示するものはガイド筒体であり、このガイド筒体2は、開口部21を有する筒状の部材であって、前記グリップ本体1の先端から、所定間隔離れて支保されており、グリップ本体1からビーム状に持ち出された先端に配設されている。
【0020】
更にまた、符号3で指示するものは二股脚片であり、この二股脚片3は、先端が二股に分岐してなる部材であって、本実施形態では、前記グリップ本体1の胴部から基部が持ち出されて一体に成形されている。
【0021】
更にまた、符号4で指示するものは可撓部材であり、この可撓部材4は、前記二股脚片3・3間に懸架される部材であって、金属やプラスチックなどの弾性材料を用いて、線状または板状に成形したものを採用することができる。
【0022】
更にまた、符号5で指示するものはピストン部材であり、このピストン部材5は、棒状の部材であって、本実施形態では、金属(アルミニウム)製のものであって、前記ガイド筒体2内に挿通されている。
【0023】
更にまた、符号6で指示するものは粘着部材であり、この粘着部材6は、前記ピストン部材5の先端に設けられており、本実施形態では、塩化ビニル重合体他硫化ポリウレタンなどのエラストマー重合体を採用することができる。また、熱可塑性エラストマー等のゴム系粘着性樹脂や、シリコーン系樹脂やアクリル系樹脂を用いても良いし、これらの粘着剤が塗布された両面テープを用いることもできる。
【0024】
しかして、本実施形態における微小部品の粘着式ピックアップ装置の構成について以下に説明する。まず、把持可能な棒状のグリップ本体1を備え、このグリップ本体1の先端には、所定間隔離れてガイド筒体2を支保する。なお、このグリップ本体1は、ペンタイプのものが持ち易くて疲れにくい。
【0025】
また、前記グリップ本体1の胴部からは、先端が二股に分岐してなる二股脚片3・3を設ける。本実施形態では、二股脚片3・3を弾性材料(金属、プラスチックなど)で作製することによって、弾性復元力を付与している。
【0026】
次いで、これら二股脚片3・3間には可撓部材4を懸架する。本実施形態では、前記二股脚片3・3の外側面にそれぞれ付着して固定する。
【0027】
そして、この可撓部材4の略中央部にはピストン部材5を固着して突設するとともに、このピストン部材5を前記ガイド筒体2内に挿通する。
【0028】
こうして構成されたピックアップ装置は、前記二股脚片3・3が互いに近接するよう挟圧すると、前記可撓部材4が撓曲して、トグル機構(toggle-mechanism)式にピストン部材5を押し出して、当該ピストン部材5の先端に設けた粘着部材6を前記ガイド筒体2の開口部21から突出(露出)させることができる(図2および図4参照)。本実施形態では、可撓部材4をガイド筒体2側に凸に懸架しているためである。
【0029】
この際、親指と人差し指で前記二股脚片3・3を摘むようにすると操作がし易い(図5参照)。このようにして、ガイド筒体2の開口部21から突出した粘着部材6に電子部品などの微小部品を付着させて簡単にピックアップすることができる。
【0030】
然る後、摘んだ指を離すと、これら両二股脚片3・3の弾性復元力により拡開して可撓部材4が元の位置に復帰する。そうすると、粘着部材6がガイド筒体2内に収容されるとともに、付着した微小部品が開口部21縁部に引っ掛かって自動的にリリースされる。
【0031】
このようにして、順次この可撓部材4から突設されたピストン部材5が前記ガイド筒体2内において進退動して、当該ピストン部材5の先端に設けた粘着部材6を前記ガイド筒体2の開口部21から出没させることができ、次々と微小部品をピックアップして移動させることができる。
【0032】
『第2実施形態』
次に、本発明の第2実施形態を図6および図7に基づいて説明する。本実施形態では、可撓部材4を板体で作製するとともに、この板体にヒンジ凹溝41を形成する。
【0033】
このように構成することにより、操作の度に可撓部材4の全体を撓曲させることがなくて材料の疲労を軽減し、また、二股脚片3・3に容易に取り付けることもできる。なお、本実施形態においても、第1実施形態と同様の操作により、微小部品を次々とピックアップすることができる。
【0034】
『第3実施形態』
次に、本発明の第3実施形態を図8および図9に基づいて説明する。本実施形態では、二股脚片3・3と可撓部材4とを一体に成形する。
【0035】
このように構成することにより、部品点数を減らすことができるとともに、製造コストを減少させることができる。なお、本実施形態においても、第1および第2実施形態と同様の操作により、微小部品を次々とピックアップすることができる。
【0036】
本発明は概ね上記のように構成されるが、図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、図10および図11に示すように、可撓部材4をガイド筒体2と反対側に凸に懸架することにより、二股脚片3・3を互いに近接するよう挟圧するとき、ガイド筒体2内に粘着部材6を収容するように構成することができる。
【0037】
また、グリップ本体1は、手に馴染み易い形状に適宜設計することができるし、更にまた、粘着部材6をピストン部材5から着脱自在に構成することもでき、これら何れのものも本発明の技術的範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1実施形態のピックアップ装置を表わす全体側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態のピックアップ装置を表わす全体側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態のピックアップ装置を表わす部分正面図である。
【図4】本発明の第1実施形態のピックアップ装置を表わす部分正面図である。
【図5】本発明の第1実施形態のピックアップ装置の使用状態を表わす全体斜視図である。
【図6】本発明の第2実施形態のピックアップ装置を表わす部分正面図である。
【図7】本発明の第2実施形態のピックアップ装置を表わす部分正面図である。
【図8】本発明の第3実施形態のピックアップ装置を表わす部分正面図である。
【図9】本発明の第3実施形態のピックアップ装置を表わす部分正面図である。
【図10】本発明のピックアップ装置の変形例を表わす部分正面図である。
【図11】本発明のピックアップ装置の変形例を表わす部分正面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 グリップ本体
2 ガイド筒体
21 開口部
3 二股脚片
4 可撓部材
41 ヒンジ凹溝
5 ピストン部材
6 粘着部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピックアップ装置の改良、更に詳しくは、簡素な構造で、かつ、操作が容易であり、反復作業により操作回数が多くなっても手が疲れにくい微小部品の粘着式ピックアップ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のとおり、電子部品等の微小部品を移動させる際には、ピンセットによって一つ一つ手で摘み上げる作業が行われていたが、技巧と熟練を要することから、この微小部品を真空吸引して付着させるピックアップ装置が開発された。
【0003】
しかしながら、かかる真空吸引式のピックアップ装置は、ポンプなどの設備が必要で装置が大掛かりになってしまい、コストが嵩んでしまうという不満があった。
【0004】
そこで、本件出願人は、嘗て、このような微小部品をピックアップするために、粘着式のピックアップ装置を考案した(特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、かかる粘着式のピックアップ装置は、グリップ本体を握ってノッカー突起を親指で押して操作する必要があったため、操作回数が多くなってくると一本の指に負担がかかってしまい、作業が非常に疲れるという不満があった。
【0006】
また、コイルバネを使用した複雑な構造であったため、この部分に故障が発生するおそれがあり、製造コストもかかってしまうという不満があった。
【特許文献1】実開平4−129916号公報(第3−6頁、図1−3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来のピックアップ装置に上記のような問題があったことに鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、簡素な構造で、かつ、操作が容易であり、反復作業により操作回数が多くなっても手が疲れにくい微小部品の粘着式ピックアップ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者が上記課題を解決するために採用した手段を添付図面を参照して説明すれば次のとおりである。
【0009】
即ち、本発明は、把持可能な棒状のグリップ本体1を備え、このグリップ本体1の先端には、所定間隔離れてガイド筒体2を支保する一方、
前記グリップ本体1の胴部からは、先端が二股に分岐してなる二股脚片3・3を設け、かつ、これら二股脚片3・3間には可撓部材4を懸架して、この可撓部材4にはピストン部材5を突設するとともに、このピストン部材5を前記ガイド筒体2内に挿通し、
前記二股脚片3・3が互いに近接するように挟圧されて前記可撓部材4を撓曲せしめる一方、これら両二股脚片3・3の弾性復元力により可撓部材4が元の位置に復帰することによって、この可撓部材4から突設されたピストン部材5が前記ガイド筒体2内において進退動して、当該ピストン部材5の先端に設けた粘着部材6を前記ガイド筒体2の開口部21から出没可能に構成するという技術的手段を採用したことによって、微小部品の粘着式ピックアップ装置を完成させた。
【0010】
また、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、可撓部材4を板体で作製して、板体にヒンジ凹溝41を形成するという技術的手段を採用した。
【0011】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、二股脚片3・3を弾性材料で作製することによって、弾性復元力を付与するという技術的手段を採用した。
【0012】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、二股脚片3・3と可撓部材4とを一体に成形するという技術的手段を採用した。
【0013】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、可撓部材4をガイド筒体2側に凸に懸架して、二股脚片3・3を互いに近接するよう挟圧するとき、ガイド筒体2から粘着部材6が露出するようにするという技術的手段を採用した。
【0014】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、粘着部材6をエラストマー重合体にするという技術的手段を採用した。
【発明の効果】
【0015】
本発明においては、把持可能な棒状のグリップ本体を備え、このグリップ本体の先端には、所定間隔離れてガイド筒体を支保する一方、前記グリップ本体の胴部からは、先端が二股に分岐してなる二股脚片を設け、かつ、これら二股脚片間には可撓部材を懸架して、この可撓部材にはピストン部材を突設するとともに、このピストン部材を前記ガイド筒体内に挿通したことによって、前記二股脚片が互いに近接するように挟圧して前記可撓部材を撓曲せしめる一方、これら両二股脚片の弾性復元力により可撓部材が元の位置に復帰することによって、この可撓部材から突設されたピストン部材が前記ガイド筒体内において進退動して、当該ピストン部材の先端に設けた粘着部材を前記ガイド筒体の開口部から出没できる。
【0016】
したがって、本発明の粘着式ピックアップ装置を使用することにより、簡素な構造で作製できて、かつ、操作が容易であり、反復作業により操作回数が多くなっても手が疲れにくくなることから、実用的利用価値は頗る高いものがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明を実施するための最良の形態を具体的に図示した図面に基づいて更に詳細に説明すると、次のとおりである。
【0018】
『第1実施形態』
本発明の第1実施形態を図1から図5に基づいて説明する。図中、符号1で指示するものはグリップ本体であり、このグリップ本体1は、手に持って把持可能な棒状の部材であって、本実施形態では、プラスチック材料を用いて作製し、鉛筆を持つようなペンタイプの形態にすると使い勝手が良く望ましい。
【0019】
また、符号2で指示するものはガイド筒体であり、このガイド筒体2は、開口部21を有する筒状の部材であって、前記グリップ本体1の先端から、所定間隔離れて支保されており、グリップ本体1からビーム状に持ち出された先端に配設されている。
【0020】
更にまた、符号3で指示するものは二股脚片であり、この二股脚片3は、先端が二股に分岐してなる部材であって、本実施形態では、前記グリップ本体1の胴部から基部が持ち出されて一体に成形されている。
【0021】
更にまた、符号4で指示するものは可撓部材であり、この可撓部材4は、前記二股脚片3・3間に懸架される部材であって、金属やプラスチックなどの弾性材料を用いて、線状または板状に成形したものを採用することができる。
【0022】
更にまた、符号5で指示するものはピストン部材であり、このピストン部材5は、棒状の部材であって、本実施形態では、金属(アルミニウム)製のものであって、前記ガイド筒体2内に挿通されている。
【0023】
更にまた、符号6で指示するものは粘着部材であり、この粘着部材6は、前記ピストン部材5の先端に設けられており、本実施形態では、塩化ビニル重合体他硫化ポリウレタンなどのエラストマー重合体を採用することができる。また、熱可塑性エラストマー等のゴム系粘着性樹脂や、シリコーン系樹脂やアクリル系樹脂を用いても良いし、これらの粘着剤が塗布された両面テープを用いることもできる。
【0024】
しかして、本実施形態における微小部品の粘着式ピックアップ装置の構成について以下に説明する。まず、把持可能な棒状のグリップ本体1を備え、このグリップ本体1の先端には、所定間隔離れてガイド筒体2を支保する。なお、このグリップ本体1は、ペンタイプのものが持ち易くて疲れにくい。
【0025】
また、前記グリップ本体1の胴部からは、先端が二股に分岐してなる二股脚片3・3を設ける。本実施形態では、二股脚片3・3を弾性材料(金属、プラスチックなど)で作製することによって、弾性復元力を付与している。
【0026】
次いで、これら二股脚片3・3間には可撓部材4を懸架する。本実施形態では、前記二股脚片3・3の外側面にそれぞれ付着して固定する。
【0027】
そして、この可撓部材4の略中央部にはピストン部材5を固着して突設するとともに、このピストン部材5を前記ガイド筒体2内に挿通する。
【0028】
こうして構成されたピックアップ装置は、前記二股脚片3・3が互いに近接するよう挟圧すると、前記可撓部材4が撓曲して、トグル機構(toggle-mechanism)式にピストン部材5を押し出して、当該ピストン部材5の先端に設けた粘着部材6を前記ガイド筒体2の開口部21から突出(露出)させることができる(図2および図4参照)。本実施形態では、可撓部材4をガイド筒体2側に凸に懸架しているためである。
【0029】
この際、親指と人差し指で前記二股脚片3・3を摘むようにすると操作がし易い(図5参照)。このようにして、ガイド筒体2の開口部21から突出した粘着部材6に電子部品などの微小部品を付着させて簡単にピックアップすることができる。
【0030】
然る後、摘んだ指を離すと、これら両二股脚片3・3の弾性復元力により拡開して可撓部材4が元の位置に復帰する。そうすると、粘着部材6がガイド筒体2内に収容されるとともに、付着した微小部品が開口部21縁部に引っ掛かって自動的にリリースされる。
【0031】
このようにして、順次この可撓部材4から突設されたピストン部材5が前記ガイド筒体2内において進退動して、当該ピストン部材5の先端に設けた粘着部材6を前記ガイド筒体2の開口部21から出没させることができ、次々と微小部品をピックアップして移動させることができる。
【0032】
『第2実施形態』
次に、本発明の第2実施形態を図6および図7に基づいて説明する。本実施形態では、可撓部材4を板体で作製するとともに、この板体にヒンジ凹溝41を形成する。
【0033】
このように構成することにより、操作の度に可撓部材4の全体を撓曲させることがなくて材料の疲労を軽減し、また、二股脚片3・3に容易に取り付けることもできる。なお、本実施形態においても、第1実施形態と同様の操作により、微小部品を次々とピックアップすることができる。
【0034】
『第3実施形態』
次に、本発明の第3実施形態を図8および図9に基づいて説明する。本実施形態では、二股脚片3・3と可撓部材4とを一体に成形する。
【0035】
このように構成することにより、部品点数を減らすことができるとともに、製造コストを減少させることができる。なお、本実施形態においても、第1および第2実施形態と同様の操作により、微小部品を次々とピックアップすることができる。
【0036】
本発明は概ね上記のように構成されるが、図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、図10および図11に示すように、可撓部材4をガイド筒体2と反対側に凸に懸架することにより、二股脚片3・3を互いに近接するよう挟圧するとき、ガイド筒体2内に粘着部材6を収容するように構成することができる。
【0037】
また、グリップ本体1は、手に馴染み易い形状に適宜設計することができるし、更にまた、粘着部材6をピストン部材5から着脱自在に構成することもでき、これら何れのものも本発明の技術的範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1実施形態のピックアップ装置を表わす全体側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態のピックアップ装置を表わす全体側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態のピックアップ装置を表わす部分正面図である。
【図4】本発明の第1実施形態のピックアップ装置を表わす部分正面図である。
【図5】本発明の第1実施形態のピックアップ装置の使用状態を表わす全体斜視図である。
【図6】本発明の第2実施形態のピックアップ装置を表わす部分正面図である。
【図7】本発明の第2実施形態のピックアップ装置を表わす部分正面図である。
【図8】本発明の第3実施形態のピックアップ装置を表わす部分正面図である。
【図9】本発明の第3実施形態のピックアップ装置を表わす部分正面図である。
【図10】本発明のピックアップ装置の変形例を表わす部分正面図である。
【図11】本発明のピックアップ装置の変形例を表わす部分正面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 グリップ本体
2 ガイド筒体
21 開口部
3 二股脚片
4 可撓部材
41 ヒンジ凹溝
5 ピストン部材
6 粘着部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持可能な棒状のグリップ本体1を備え、このグリップ本体1の先端には、所定間隔離れてガイド筒体2が支保されている一方、
前記グリップ本体1の胴部からは、先端が二股に分岐してなる二股脚片3・3が設けられており、かつ、これら二股脚片3・3間には可撓部材4が懸架されており、この可撓部材4にはピストン部材5が突設されているとともに、このピストン部材5が前記ガイド筒体2内に挿通されており、
前記二股脚片3・3が互いに近接するように挟圧されて前記可撓部材4を撓曲せしめる一方、これら両二股脚片3・3の弾性復元力により可撓部材4が元の位置に復帰することによって、この可撓部材4から突設されたピストン部材5が前記ガイド筒体2内において進退動して、当該ピストン部材5の先端に設けた粘着部材6を前記ガイド筒体2の開口部21から出没可能に構成したことを特徴とする微小部品の粘着式ピックアップ装置。
【請求項2】
可撓部材4が板体で作製されており、板体にヒンジ凹溝41が形成されていることを特徴とする請求項1記載の微小部品の粘着式ピックアップ装置。
【請求項3】
二股脚片3・3が弾性材料で作製されることによって、弾性復元力が付与されていることを特徴とする請求項1または2記載の微小部品の粘着式ピックアップ装置。
【請求項4】
二股脚片3・3と可撓部材4とが一体に成形されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の微小部品の粘着式ピックアップ装置。
【請求項5】
可撓部材4がガイド筒体2側に凸に懸架されており、二股脚片3・3を互いに近接するよう挟持するとき、ガイド筒体2から粘着部材6が露出することを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載の微小部品の粘着式ピックアップ装置。
【請求項6】
粘着部材6がエラストマー重合体であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載の微小部品の粘着式ピックアップ装置。
【請求項1】
把持可能な棒状のグリップ本体1を備え、このグリップ本体1の先端には、所定間隔離れてガイド筒体2が支保されている一方、
前記グリップ本体1の胴部からは、先端が二股に分岐してなる二股脚片3・3が設けられており、かつ、これら二股脚片3・3間には可撓部材4が懸架されており、この可撓部材4にはピストン部材5が突設されているとともに、このピストン部材5が前記ガイド筒体2内に挿通されており、
前記二股脚片3・3が互いに近接するように挟圧されて前記可撓部材4を撓曲せしめる一方、これら両二股脚片3・3の弾性復元力により可撓部材4が元の位置に復帰することによって、この可撓部材4から突設されたピストン部材5が前記ガイド筒体2内において進退動して、当該ピストン部材5の先端に設けた粘着部材6を前記ガイド筒体2の開口部21から出没可能に構成したことを特徴とする微小部品の粘着式ピックアップ装置。
【請求項2】
可撓部材4が板体で作製されており、板体にヒンジ凹溝41が形成されていることを特徴とする請求項1記載の微小部品の粘着式ピックアップ装置。
【請求項3】
二股脚片3・3が弾性材料で作製されることによって、弾性復元力が付与されていることを特徴とする請求項1または2記載の微小部品の粘着式ピックアップ装置。
【請求項4】
二股脚片3・3と可撓部材4とが一体に成形されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の微小部品の粘着式ピックアップ装置。
【請求項5】
可撓部材4がガイド筒体2側に凸に懸架されており、二股脚片3・3を互いに近接するよう挟持するとき、ガイド筒体2から粘着部材6が露出することを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載の微小部品の粘着式ピックアップ装置。
【請求項6】
粘着部材6がエラストマー重合体であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載の微小部品の粘着式ピックアップ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−248245(P2009−248245A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−98868(P2008−98868)
【出願日】平成20年4月7日(2008.4.7)
【出願人】(000105936)サカセ化学工業株式会社 (12)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月7日(2008.4.7)
【出願人】(000105936)サカセ化学工業株式会社 (12)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]