説明

微生物検出制御装置

【課題】いわゆる白物家電の有する、収納物を収納するための庫内に存在する微生物の検出を制御するための微生物検出制御装置を提供する。
【解決手段】冷凍冷蔵庫100の冷蔵室21内には、制御部32に接続された、微生物検出ユニット40が配備される。微生物検出ユニット40はセンサ室41とファン42とを含み、制御部32によって、微生物検出およびファンの駆動が制御される。制御部32は、センシング対象である冷蔵庫21内の容積およびセンサ室41内のセンサの性能(種類)に応じてファン42の風量を決定し、該風量となるようファン42の駆動を制御する。これにより、庫内の空気が攪拌され、均一化された空気がセンサ室41に導入される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は微生物検出制御装置に関し、特に、家電内での微生物の検出を制御するための微生物検出制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍冷蔵庫、洗濯機、衣類乾燥機、食器洗浄機、および食器乾燥機などのいわゆる白物家電と呼ばれる家電はユーザの健康に関わる装置であるため、食品や衣類や食器などの収納物を収納するための庫内の衛生管理が重要である。本願出願人は、特開2007−170773号公報で、白物家電の庫内の脱臭および除菌を行なう装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−170773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
白物家電の庫内の衛生管理には庫内の微生物の検出が重要である。しかしながら、たとえば上記特許文献1においても、庫内の微生物を検出する技術は開示されていない。
【0005】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、冷凍冷蔵庫、洗濯機、衣類乾燥機、食器洗浄機、および食器乾燥機などのいわゆる白物家電の有する、収納物を収納するための庫内に存在する微生物の検出を制御するための微生物検出制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のある局面に従うと、微生物検出制御装置は、流体を攪拌するための攪拌手段と、攪拌手段により攪拌される流体のある空間内の微生物を検出するための、開口部を有する微生物検出手段と、少なくとも該空間の容積に応じて、攪拌手段の駆動を制御するための制御手段とを備える。
【0007】
好ましくは、制御手段は、該空間の容積を取得するための取得手段と、少なくとも空間の容積と攪拌手段の駆動量との対応を記憶するための記憶手段とを含む。
【0008】
より好ましくは、取得手段は、該空間の容積の入力を受け付けるための入力手段である。
【0009】
より好ましくは、取得手段は、該空間内の、流体の流れの障害物の体積を検出するための収容物検出装置を含む。
【0010】
好ましくは、攪拌手段は、微生物検出手段の開口部の近傍に備えられる。
好ましくは、攪拌手段は、微生物検出手段と該空間を挟む位置に備えられる。
【0011】
より好ましくは、攪拌手段は複数の攪拌器を含み、各攪拌器は、微生物検出手段に向けて空間内の流体を移動させる方向に備えられる。または、攪拌手段は複数の攪拌器を含み、複数の攪拌器は、空間内で前記流体が循環して移動させる方向に備えられる。
【0012】
好ましくは、攪拌手段は、該空間の内側に向く方向に採取孔を有し、微生物検出手段の開口部に向かう流路管を含む。
【0013】
好ましくは、該空間は収容空間を含み、微生物検出手段は、当該空間のうちの収容空間外に配される。
【発明の効果】
【0014】
この発明によると、冷凍冷蔵庫等の家電庫内の微生物を、効率的、かつ精度よく検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施の形態にかかる、冷凍冷蔵庫および冷凍冷蔵庫に備えられる微生物検出ユニットの構成の具体例を示す図である。
【図2】第1の実施の形態にかかる、冷凍冷蔵庫に備えられる微生物検出ユニットの構成の、他の具体例を示す図である。
【図3】第1の実施の形態にかかる冷凍冷蔵庫の制御部の、微生物検出ユニットを制御するための機能構成の具体例を示すブロック図である。
【図4】第2の実施の形態にかかる、冷凍冷蔵庫のうちの冷蔵室および該冷蔵室に備えられる微生物検出ユニットの構成の具体例を示す図である。
【図5】第2の実施の形態にかかる冷凍冷蔵庫の制御部の、微生物検出ユニットを制御するための機能構成の具体例を示すブロック図である。
【図6】第2の実施の形態にかかる、冷凍冷蔵庫のうちの冷蔵室および該冷蔵室に備えられる微生物検出ユニットの構成の、他の具体例を示す図である。
【図7】第3の実施の形態にかかる、冷凍冷蔵庫のうちの冷蔵室および該冷蔵室に備えられる微生物検出ユニットの構成の具体例を示す図である。
【図8】第3の実施の形態にかかる、冷凍冷蔵庫のうちの冷蔵室および該冷蔵室に備えられる微生物検出ユニットの構成の、他の具体例を示す図である。
【図9】第3の実施の形態にかかる、冷凍冷蔵庫のうちの冷蔵室および該冷蔵室に備えられる微生物検出ユニットの構成の、他の具体例を示す図である。
【図10】第4の実施の形態にかかる、冷凍冷蔵庫のうちの冷蔵室および該冷蔵室に備えられる微生物検出ユニットの構成の具体例を示す図である。
【図11】変形例にかかる、微生物検出ユニットの構成の具体例を示す図である。
【図12】変形例にかかる、微生物検出ユニットの配置を説明する図である。
【図13】第4の実施の形態の変形例にかかる、冷凍冷蔵庫のうちの冷蔵室および該冷蔵室に備えられる微生物検出ユニットの構成の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。
【0017】
実施の形態にかかる微生物検出制御装置として、微生物検出機構を備えたいわゆる白物家電を挙げる。具体的には、微生物検出機構を備えた、白物家電の代表例としての冷凍冷蔵庫を挙げる。
【0018】
[第1の実施の形態]
図1を参照して、冷凍冷蔵庫100は、間に断熱材が充填された外箱25と内箱26とで筐体が構成される。内箱26内には、断熱壁28で仕切られ、図示しない扉側に位置する、食品等の収納物を収納するための空間と、扉から遠い背面側に位置する、冷却機構等を格納するための空間とが設けられる。食品等の収納物を収納するための空間には、それぞれ断熱仕切板27で仕切られた冷蔵室21、製氷室22、冷凍室23、および貯蔵室24と、庫内の微生物を検出するための微生物検出ユニット40とが備えられる。断熱壁28には、図1に示されるように冷気や通信回線が通過できる程度の孔が設けられている。冷却機構等を格納するための空間には、各室21〜24に対して断熱壁28の上記孔などを通して冷風を送風することで冷却するための冷却ユニット10と、冷却ユニット10および微生物検出ユニット40を制御するための制御部32とが備えられる。また、外箱25の外側、つまり冷凍冷蔵庫100の外側、たとえば扉上には、設定値などを入力するための入力パネルなどである入力部33が備えられる。入力部33は制御部32に電気的に接続され、入力部33からの操作信号は制御部32に対して出力される。また、冷却ユニット10および微生物検出ユニット40は制御部32に電気的に接続され、制御部32からの制御信号によってその動作等が制御される。
【0019】
冷却ユニット10は、圧縮器11と、補助凝縮器12と、凝縮器13と、コールドガス用のキャピラリーチューブ14と、蒸発器15と、冷却管16と、送風ファン17とを含む。
【0020】
圧縮器11は、冷媒を高圧、高圧下にて圧縮することで、気化させる。補助凝縮器12は、蒸発器15が除霜するときに生じる水を蒸発させる。また、補助凝縮器12は、圧縮器11からの高温気化した冷媒の一部を除霜水によって冷却し、凝縮させる。キャピラリーチューブ14は減圧装置であり、蒸発器15に流入する冷媒の圧力を低下させる。蒸発器15は、補助凝縮器12、凝縮器13、およびキャピラリーチューブ14を経ることで、低温、低圧で液化した冷媒を気化させる。送風ファン17は蒸発器15の近傍に配され、蒸発器15によって冷却された空気を各室21〜24内に送り出す。冷却管16は、圧縮器11、補助凝縮器12、凝縮器13、キャピラリーチューブ14、および蒸発器15を、この順に冷媒を循環させるように、連結する。これにより、冷媒回路が形成される。
【0021】
微生物検出ユニット40は、センサを備えたセンサ室41とファン42とを含む。
センサ室41は、その内部に導入された空気中の微生物を検出するための機構を含む。微生物検出ユニット40が、微生物からの蛍光発光を検出することで微生物を検出する方法を採用する場合、センサ室41には、空気中の微生物を検出するための機構として、励起光(たとえば紫外〜可視領域の波長の光)を照射するための発光素子と、蛍光発光を受光するための受光素子とが含まれる。微生物検出ユニット40が、光のスペクトルを利用して微生物を検出する方法を採用する場合も同様に、センサ室41には、発光素子と受光素子とが含まれる。微生物検出ユニット40が、入射光の散乱光の強度に基づいて微生物を検出する方法を採用する場合、センサ室41には、発光素子と、所定角度の散乱光を受光するための受光素子とが含まれる。受光素子における受光量に応じたセンサ信号が、微生物検出ユニット40から制御部32に対して出力される。
【0022】
ファン42はセンサ室41の近傍に配され、制御部32からの制御信号に従って駆動することで、その近傍の空気をセンサ室41から冷蔵室21内に向けて、または冷蔵室21内からセンサ室41に向けて送り出す。これにより、冷蔵室21内に気流が発生して庫内の空気が攪拌され、センサ室41に空気が導入される。
【0023】
なお、図1には、ファン42がセンサ室41と一体となって微生物検出ユニット40を構成する例が示されている。しかしながら、微生物検出ユニット40の構成はこのような構成に限定されず、図2に示されるように、ファン42がセンサ室41と分離した構成も含む。より好ましくは、図2に示されるように、ファン42は、センサ室41に対して、センシング対象の空間をその間に挟むように備えられる。このように、ファン42がセンサ室41と分離した位置、さらにはセンシング対象の空間を挟む位置から送風することで、冷蔵室21内の空気は、図2に点線の矢印に示されるように運搬される。これにより、庫内の空気が短時間で攪拌されてセンサ室41に導入される。その結果、効果的に微生物検出を行なうことができる。
【0024】
さらに、冷却ユニット10の送風ファン17が冷蔵室21内にも設けられる場合、送風ファン17をファン42として兼用してもよい。このような構成により、微生物検出ユニット40の構成を簡略化することができ、冷蔵室21内の収納可能容積をより多く確保することができる。
【0025】
図3を用いて、制御部32の、微生物検出ユニット40を制御するための機能構成を説明する。制御部32は、図示しないCPU(Central Processing Unit)とメモリとを含む。上記機能は、CPUがメモリに記憶されているプログラムを読み出して実行することによって、主にCPUに構成される。または、その少なくとも一部が、電気回路等のハードウェア構成によって実現されてもよい。
【0026】
図3を参照して、制御部32の微生物検出ユニット40を制御するための機能は、センサ室41からのセンサ信号の入力を受け付けるためのセンサ信号入力部321と、該センサ信号に基づいて微生物を検出するための検出部322と、センサ室41に含まれるセンサにおけるセンシング動作を制御するためのセンサ制御部323と、入力部33からの操作信号に基づく指示入力を受け付けるための指示入力部324と、ファン42の駆動量である、ファン42で送風する風量を決定するための風量決定部325と、ファン42の風量とパラメータとの対応関係を記憶するための風量記憶部326と、決定された風量に基づいてファン42の駆動を制御するためのファン制御部327とを含む。
【0027】
ファン42で送風される風量は、センシング対象である空間(冷蔵室21)の容積と、センサ室41内のセンサ性能(センサ種類)によって決定される。そのため、風量記憶部326は、予め、風量と、センシング対象の空間の容積およびセンサ室41内のセンサ性能(センサ種類)との対応関係を記憶しておく。一例として、センシング対象の空間の容積が大きい場合には多い風量、該容積が小さい場合には少ない風量、という対応関係が記憶される。また、センサ種類に応じて、該センサにおいて微生物検出に適した流速となるための風量が、センサ種類との対応関係で記憶される。なお、風量記憶部326には、風量と、少なくともセンシング対象の空間の容積との対応関係が記憶されていればよい。たとえば、予めセンサ室41内のセンサ性能(センサ種類)が固定されている場合には、風量記憶部326には、風量と、センシング対象の空間の容積との対応関係が記憶される。ファン42の風量としては、好ましくは、0.01L(リットル)/min〜50L/minである。
【0028】
微生物検出ユニット40が冷凍冷蔵庫100に組み込まれた状態で出荷されるものである場合、センシング対象の空間の容積およびセンサ室41内のセンサ性能は、予め出荷時に入力されることで、風量決定部325に記憶されている。微生物検出ユニット40が冷凍冷蔵庫100に後から組み込まれるものである場合、センシング対象の空間の容積およびセンサ室41内のセンサ性能は、入力部33での入力操作によって入力されることで、指示入力部324がその入力を受け付ける。また、微生物検出ユニット40が冷凍冷蔵庫100に組み込まれた状態で出荷されるものである場合であっても、センシング対象の空間の容積およびセンサ室41内のセンサ性能は、いずれも、入力部33での入力操作によって変更可能としてもよい。センサ室41内のセンサ性能の入力は、たとえば、センサ種類固有のセンサIDなどによって特定され得る。指示入力部324は受け付けたセンシング対象の空間の容積、およびセンサIDで決定されるセンサ性能を、風量決定部325に対して出力する。
【0029】
風量決定部325は、風量記憶部326に記憶されている上記対応関係を参照して、センシング対象の空間の容積およびセンサ室41内のセンサ性能に対応するファン42の風量を決定し、ファン制御部327に対して出力する。ファン制御部327は、決定された風量でファン42が送風するよう、ファン42の回転数を制御する。
【0030】
検出部322は、センサ室41からのセンサ信号に基づいて、所定時間当たりの微生物数を検出する。たとえば、微生物検出ユニット40が微生物からの蛍光発光を検出することで微生物を検出する方法を採用する場合、検出部322は、受光素子で検出された蛍光発光の数を微生物数とし、所定時間当たりの微生物数をカウントする。または、微生物検出ユニット40が光のスペクトルを利用して微生物を検出する方法を採用する場合、検出部322は予め検出対象の微生物についてのスペクトルを記憶しておき、受光素子で受光されたスペクトルが記憶されたスペクトルと一致するものを微生物からの発光として検出し、所定時間当たりの微生物数をカウントする。または、微生物検出ユニット40が入射光の散乱光の強度に基づいて微生物を検出する方法を採用する場合、検出部322は、しきい値以下の強度である散乱光を微生物からの散乱光として検出し、所定時間当たりの微生物数をカウントする。検出部322は、風量決定部325で決定されたファン42で送風される風量を、センサ室41に単位時間当たりに導入される空気量として、検出結果として微生物濃度を算出することができる。
【0031】
風量決定部325によってファン42の風量がセンシング対象の空間の容積およびセンサ室41内のセンサ性能に応じて決定されることで、ファン42は、センシング対象の空間の容積およびセンサ室41内のセンサ性能に応じた適切な風量を送風する。すなわち、冷蔵室21内の空気が庫内で循環する程度の、冷蔵室21の容積に応じた風量で送風され気流が発生する。これにより、庫内の空気が均一化されるよう攪拌されて、均一化した空気がセンサ室41に導入される。たとえば、ファン42がセンサ室41から冷蔵室21内に向けて空気を送り出す場合、図1に点線の矢印に示されるように冷蔵室21内の空気が庫内で循環し、攪拌される。また、センサ室41内のセンサ性能に適した流速でセンサ室41に導入される。これにより、微生物検出ユニット40での検出精度を向上させることができる。また、微生物検出ユニット40で庫内の平均的な微生物濃度を検出することができる。
【0032】
センシング対象としての白物家電、たとえば第1の実施の形態に示された冷凍冷蔵庫や冷蔵庫、冷凍庫、洗濯機、衣類乾燥機、食器洗浄機、および食器乾燥機などの庫内には、通常、制御された気流は発生していない。カビ菌等に代表される空気中の微生物は、庫内の底部、隅、収納物の陰などに沈降しやすい。そのため、庫内に微生物検出装置をセットしたのみでは沈降した微生物が検出されない場合がある。これに対して、本実施の形態ではファン42によって気流が発生させられ、庫内容積およびセンサ性能に応じて庫内の気流が制御されるため、底部等に沈降した微生物もその気流によって攪拌されて、庫内に均一化される。その空気がセンサ室41に導入されることで、庫内の平均的な微生物量(濃度等)を検出することができる。これにより、たとえば除菌や消臭の要否を判断するなど、庫内の衛生管理を適切に行なうことができる。
【0033】
なお、好ましくは、図1に表わされるように、センサ室41の空気の導入側に、センサ室41外部からセンサ室41への流路を形成するための流路壁43が備えられる。流路壁43は、たとえば円筒形の筒材などが該当する。これにより、センサ室41に導入される空気の気流がセンサ室41導入前に整えられることで流速のばらつきが抑えられ、微生物検出ユニット40において、検出精度のばらつきを抑え、安定的に微生物の検出を行なうことができる。
【0034】
[第2の実施の形態]
図4を参照して、第2の実施の形態にかかる冷凍冷蔵庫100は、センシング対象の空間である冷蔵室21の底面に、冷蔵室21に収納された物の重量を検出するための重量検出センサ34Aを備える。冷蔵室21に棚が備えられる場合には、重量検出センサ34Aが棚ごとに備えられてもよい。重量検出センサ34Aは制御部32に電気的に接続され、制御部32からの制御信号によって検出動作が制御される。また、検出された重量に応じたセンサ信号である重量信号が、重量検出センサ34Aから制御部32に対して出力される。
【0035】
図5を参照して、第2の実施の形態にかかる制御部32の微生物検出ユニット40を制御するための機能は、図3に示された構成に加えて、重量検出センサ34Aからの重量信号の入力を受け付けるための重量信号入力部328と、所定のタイミングで重量検出センサ34Aに重量検出を行なわせるように重量検出センサ34Aの検出動作を制御するための重量検出制御部329とを含む。
【0036】
重量検出センサ34Aが検出動作を行なうタイミングとしては、たとえば、所定の時間間隔や、図示しない冷蔵室21の扉を開閉回数に応じたタイミング、などが挙げられ、後者の場合には、重量検出制御部329は図示しない冷蔵室21の扉を検出するための検出機構に接続され、その回数をカウントするためのカウンタを含む。
【0037】
重量検出センサ34Aからの重量信号は、風量決定部325に入力される。第2の実施の形態において、風量決定部325は、予め単位体積重量を記憶しておき、重量信号で特定される重量を該単位体積重量で割ることで、収納物の体積を得る。重量検出センサ34Aが複数の重量検出センサからなる場合には、これら重量検出センサからの重量の合計を該単位体積重量で割ることで、収納物の総体積を得る。風量決定部325は、予め記憶されている冷蔵室21の容積、または指示入力部324で受け付けた冷蔵室21の容積から、収納物の体積を減じることで、収納物以外の部分の冷蔵室21の容積をセンシング対象の空間の容積として得る。そして、風量決定部325は、風量記憶部326に記憶されている、風量とセンシング対象の空間の容積およびセンサ室41内のセンサ性能との対応関係を参照してファン42の風量を決定し、ファン制御部327に対して出力する。
【0038】
冷蔵室21内に多くの収納物が存在する場合には収納物が少ない場合と比べてセンシング対象の空間の容積は小さくなるため、収納物が少ない場合に必要である風量よりも少ない風量で庫内の空気を攪拌することができ、冷蔵室21内の収納物が少ない場合には収納物が多い場合と比べてセンシング対象の空間の容積は大きくなるため、庫内の空気を攪拌するためには、収納物が多い場合の風量よりも多い風量が必要、という考え方を採ることができる。この考え方の場合、風量記憶部326には、センシング対象の空間の容積が大きいほど多い風量、センシング対象の空間の容積が小さいほど少ない風量、という対応関係が記憶される。
【0039】
一方、冷蔵室21内に多くの収納物が存在する場合には気流の障害物が多く存在するため、底部や収納物の陰等に沈降している微生物を空気中に均一化するよう攪拌するためには、収納物が少ない場合に必要である風量よりも多い風量が必要であり、冷蔵室21内の収納物が少ない場合には気流の障害物が少ないため、収納物が多い場合の風量よりも少ない風量で庫内の空気を攪拌することができる、という考え方を採ることができる。この考え方の場合、風量記憶部326には、センシング対象の空間の容積が大きいほど少ない風量、センシング対象の空間の容積が小さいほど多い風量、という対応関係が記憶される。より好ましくは、上述の気流の障害物という観点より、風量記憶部326には、風量と、(収納物を考慮しない)センシング対象の空間の容積、収納物の体積、およびセンサ性能との対応関係が記憶されていてもよい。この場合、該対応関係は、(収納物を考慮しない)センシング対象の空間の容積に対する収納物の体積の比率が大きいほど気流の障害物が多いため多い風量、上記比率が小さいほど障害物が少ないため少ない風量、という関係になる。
【0040】
第2の実施の形態での風量決定部325は冷蔵室21内の収納物の体積も併せて考慮してファン42の駆動量としての風量を決定するため、冷蔵室21に収納物が存在する場合でも、適切に、庫内の空気を攪拌することができる。
【0041】
さらに、所定のタイミングで収納物の重量が検出されて風量決定部325において風量が決定されることで、冷蔵室21内の収納物の変化に応じて柔軟にファン42の風量を変化させることができる。これにより、冷蔵室21に収納物の体積が変化した場合でも、適切に、庫内の空気を攪拌することができる。
【0042】
なお、図4の例では、重量検出センサ34Aを用いて冷蔵室21内の収納物の重量を検出し、体積に換算しているが、他のセンサを用いて収納物の体積を検出してもよい。たとえば、図6に示されるように、空間認知センサ34Bを用いることができる。すなわち、光センサや超音波センサなどの空間認知センサ34Bを用いて、収納物までの距離に対応する反射波の強度に基づいて、冷蔵室21内の収納物の体積を検出することができる。この場合も、制御部32の微生物検出ユニット40を制御するための機能は図5と同様の機能を含む。すなわち、重量信号入力部328に替えて空間認知センサ34Bからのセンサ信号の入力を受け付けるための機能を含み、風量決定部325は、予め記憶されている冷蔵室21の容積、または指示入力部324で受け付けた冷蔵室21の容積から、上記センサ信号で特定される収納物の体積を減じることで、収納物以外の部分の冷蔵室21の容積をセンシング対象の空間の容積として得る。そして、風量決定部325は、風量記憶部326に記憶されている、風量とセンシング対象の空間の容積およびセンサ室41内のセンサ性能との対応関係を参照してファン42の風量を決定し、ファン制御部327に対して出力する。
【0043】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態にかかる微生物検出ユニット40は、複数の補助ファン44a〜44dをさらに含む。補助ファン44a〜44dは、一例として、図7に示されるように、センシング対象の空間である冷蔵室21の各隅に、センサ室41に対してセンシング対象の空間をその間に挟むように、センサ室41に向けて送風する方向で備えられる。または、図8に示されるように、発生した気流が庫内を循環する方向で備えられてもよい。または、図9に示されるように、庫内に棚27’が設置される場合、冷蔵室21の扉側から見て棚27’の奥に、棚27’の奥から手前に向けて送風する方向で備えられてもよい。
【0044】
この場合、風量記憶部326には、メインとなるファン42による風量と、センシング対象の空間の容積およびセンサ室41内のセンサ性能との対応関係に併せて、補助ファン44a〜44dのうちの、回転駆動させるファンとの対応関係も記憶される。一例として、センシング対象の空間の容積が大きい場合には回転駆動させる補助ファン44a〜44dの数が多く、該容積が小さい場合には回転駆動させる補助ファン44a〜44dの数が少ない、という対応関係が記憶される。
【0045】
さらには、第3の実施の形態にかかる冷凍冷蔵庫100にも、第2の実施の形態に示されたように、冷蔵室21内の収納物の体積を検出する機構が備えられもよい。この場合、第2の実施の形態で説明されたように、冷蔵室21内に多くの収納物が存在する場合には少ない風量で庫内の空気を攪拌することができ、冷蔵室21内の収納物が少ない場合には多い風量が必要、という考え方を採ると、風量記憶部326には、収納物が少なくセンシング対象の空間の容積が大きいほど回転駆動させる補助ファン44a〜44dの数が多く、収納物が多くセンシング対象の空間の容積が小さいほど回転駆動させる補助ファン44a〜44dの数が少ない、という対応関係が記憶される。
【0046】
一方、冷蔵室21内に多くの収納物が存在する場合には気流の障害物が多く存在するため多い風量が必要であり、冷蔵室21内の収納物が少ない場合には気流の障害物が少ないため少ない風量で庫内の空気を攪拌することができる、という考え方を採ると、風量記憶部326には、収納物が少なくセンシング対象の空間の容積が大きいほど回転駆動させる補助ファン44a〜44dの数が多く、収納物が多くセンシング対象の空間の容積が小さいほど補助ファン44a〜44dの数が少ない、という対応関係が記憶される。
【0047】
このような構成とすることで、センシング対象の空間内の空気を効率的に短時間で攪拌することができ、より短時間で効率的に、庫内の平均的な微生物量(濃度)を検出することができる。また、庫内の底部や収納物の陰などに沈降する微生物も気流によって空気中に浮遊させることができ、効率的に、かつ精度よく、庫内の微生物検出を行なうことができる。
【0048】
[第4の実施の形態]
第4の実施の形態にかかる微生物検出ユニット40は、流路管45Aをさらに含む。流路管45Aの冷蔵室21の内側方向の表面には、局所的に空気を採取するための複数の採取孔が設けられる。流路管45Aは、一例として、図10に示されるように、センシング対象の空間である冷蔵室21の壁面に沿って配される。
【0049】
このように流路管45Aが配されることで、ファン42によって気流が発生すると採取孔付近の空気が気流によって流路管45A内に導入される。それにより、流路管45Aが配された冷蔵室21の壁面付近の空気が流路管45Aを通ってセンサ室41に運ばれ、庫内全体として空気が攪拌される。
【0050】
先に説明されたように、カビ菌等に代表される空気中の微生物は、庫内の底部、隅、収納物の陰などに沈降しやすい。そのため、冷蔵室21の壁面に沿って流路管45Aが配されることで、底部や隅等の微生物を含んでいる可能性の高い空気がセンサ室41に運ばれる。これにより、庫内全体としては空気が攪拌され、庫内の微生物が検出されやすくなる。好ましくは、流路管45Aに設けられる採取孔は、冷蔵室21の上部に位置する箇所は径が小さく、底部に位置する箇所は径が大きい。または、冷蔵室21の上部に位置する箇所は間隔が大きく、底部に位置する箇所は間隔が小さい。これにより、より微生物を含んでいる可能性の高い空気がセンサ室41に運ばれるため、より庫内の微生物が検出されやすくなる。
【0051】
[変形例1]
以上の第1の実施の形態〜第4の実施の形態においては、微生物検出ユニット40が冷凍冷蔵庫100の出荷時、または出荷の後に冷凍冷蔵庫100に組み込まれ、冷凍冷蔵庫100の制御部32によってファンの回転や微生物の検出が制御されるものとしている。しかしながら、図11に示されるように、微生物検出ユニット40に制御部32’、入力部33’および図示されない動力源が含まれ、内蔵される制御部32’によってファンの回転や微生物の検出が制御されてもよい。
【0052】
このように構成することで、検出者は、微生物検出ユニット40を冷凍冷蔵庫100内の任意の位置に置くことができる。微生物検出ユニット40の配置の際には、少なくとも、センシング対象である空間の容積を入力する必要がある。そのため、すでにある、微生物検出ユニットが組み込まれていない冷凍冷蔵庫などの家電に対して、微生物検出ユニット40を設置し、その庫内の微生物を検出することが可能となる。この場合、制御部32’等が組み込まれた微生物検出ユニット40自身が微生物検出制御装置に該当する。
【0053】
[変形例2]
以上の第1の実施の形態〜第4の実施の形態においては、微生物検出ユニット40がセンシング対象である空間(冷蔵室21)の内部に配置されるものとしている。しかしながら、図12に示されるように、微生物検出ユニット40は冷蔵室21の庫外、たとえば断熱壁28よりも扉から遠い背面側に配置され、ファン42によって庫内で攪拌され、庫内より運搬された空気から微生物を検出するようにしてもよい。微生物検出ユニット40の配置される冷蔵室21の庫外は、図12に示された扉から遠い背面側は一例であり、たとえば冷蔵室21の天井面よりも上側、底面よりも下側、扉の左右方向の側面側、などであってもよい。
【0054】
この場合、好ましくは、図12に示されるように、微生物検出ユニット40は、冷蔵室21の庫内に突出しないように配置される。すなわち、好ましくは、微生物検出ユニット40の配置される面は、少なくとも冷蔵室21の内箱26の面、たとえば断熱壁28の壁面よりも外側にある。
【0055】
このように微生物検出ユニット40が配置されることで冷蔵室21内の収納可能容積が微生物検出ユニット40によって圧迫されることがなく、冷蔵室21内の収納可能容積をより多く確保することができる。
【0056】
第2の変形例のように庫外に微生物検出ユニット40が配置される場合、微生物検出ユニット40が第4の実施の形態に示された流路管を備えるものの場合、第4の実施の形態の変形例としては、図13に示されるように、流路管45Bが、内箱26および断熱壁28とその内側の内壁として、または外箱25と内箱26との間および断熱壁28内に設けられ、採取孔付近の空気が庫外のセンサ室41まで運搬される。
【0057】
このように微生物検出ユニット40が配置されることで、冷蔵室21内の収納可能容積をより多く確保しつつ、庫内の微生物を検出されやすくできる。
【0058】
以上の例は、すべて、微生物検出制御装置として、いわゆる白物家電の代表例である冷凍冷蔵庫を挙げているが、収納物を収納する空間を有する装置であればその他装置であってもよい。たとえば、冷蔵庫、冷凍庫、洗濯機、衣類乾燥機、食器洗浄機、および食器乾燥機などの、食品や衣類や食器などの収納物を収納するための空間を有する装置が挙げられる。なお、たとえば洗濯機など、該空間内(庫内)に水を入れて用いる装置もある。その場合、微生物検出ユニット40は、上述のような検出機構またはその他の検出機構を用いて、水中の微生物を検出することも可能である。さらにその場合、ファン42は庫内に水流を発生させ、庫内の水を攪拌させる。
【0059】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0060】
10 冷却ユニット、11 圧縮器、12 補助凝縮器、13 凝縮器、14 キャピラリーチューブ、15 蒸発器、16 冷却管、17 送風ファン、21 冷蔵室、22 製氷室、23 冷凍室、24 貯蔵室、25 外箱、26 内箱、27 断熱仕切板、27’ 棚、28 断熱壁、32,32’ 制御部、33,33’ 入力部、34A 重量検出センサ、34B 空間認知センサ、40 微生物検出ユニット、41 センサ室、42 ファン、43 流路壁、44a〜44d 補助ファン、45A,45B 流路管、100 冷凍冷蔵庫、321 センサ信号入力部、322 検出部、323 センサ制御部、324 指示入力部、325 風量決定部、326 風量記憶部、327 ファン制御部、328 重量信号入力部、329 重量検出制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を攪拌するための攪拌手段と、
前記攪拌手段により攪拌される流体のある空間内の微生物を検出するための、開口部を有する微生物検出手段と、
少なくとも前記空間の容積に応じて、前記攪拌手段の駆動を制御するための制御手段とを備える、微生物検出制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記空間の容積を取得するための取得手段と、
少なくとも空間の容積と前記攪拌手段の駆動量との対応を記憶するための記憶手段とを含む、請求項1に記載の微生物検出制御装置。
【請求項3】
前記取得手段は、前記空間の容積の入力を受け付けるための入力手段である、請求項2に記載の微生物検出制御装置。
【請求項4】
前記取得手段は、前記空間内の、前記流体の流れの障害物の体積を検出するための体積検出装置を含む、請求項2または3に記載の微生物検出制御装置。
【請求項5】
前記攪拌手段は、前記微生物検出手段の前記開口部の近傍に備えられる、請求項1〜4のいずれかに記載の微生物検出制御装置。
【請求項6】
前記攪拌手段は、前記微生物検出手段と前記空間を挟む位置に備えられる、請求項1〜4のいずれかに記載の微生物検出制御装置。
【請求項7】
前記攪拌手段は複数の攪拌器を含み、各攪拌器は、前記微生物検出手段に向けて前記空間内の流体を移動させる方向に備えられる、請求項6に記載の微生物検出制御装置。
【請求項8】
前記攪拌手段は複数の攪拌器を含み、前記複数の攪拌器は、前記空間内で前記流体が循環して移動させる方向に備えられる、請求項6に記載の微生物検出制御装置。
【請求項9】
前記攪拌手段は、前記空間の内側に向く方向に採取孔を有し、前記微生物検出手段の前記開口部に向かう流路管を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の微生物検出制御装置。
【請求項10】
前記空間は収容空間を含み、
前記微生物検出手段は、前記空間のうちの前記収容空間外に配される、請求項1〜9のいずれかに記載の微生物検出制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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