説明

微生物検査装置および微生物検査用チップ

【課題】微生物検査装置において、種々の微生物を簡単に濃縮できるようにすること。
【解決手段】微生物検査装置は検出チップ、搬送装置、制御装置および磁石を備える。検出チップは、微生物を含む検体を保持する検体容器、磁性粒子を含む捕捉粒子液を保持する捕捉粒子液容器、微生物を捕捉する微生物捕捉部131、および液流路を内部に有する。制御装置は、磁石331による磁力が微生物捕捉部131に作用している状態で捕捉粒子液114を微生物捕捉部131に流して当該微生物捕捉部131に複数個の磁性粒子214を捕捉して保持することにより濾過フィルタを形成し、この状態で検体1231を微生物捕捉部131に流して濾過フィルタの一側に当該検体1231中の微生物175を堆積させるように搬送装置を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微生物検査装置および微生物検査用チップに係り、特に、微生物の生体数の計測に用いる微生物検査装置および微生物検査用チップに好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、微生物の生体数計測の迅速化および簡便化を目的とした様々な簡便迅速測定法を実施する計測装置が知られている。特に、生体数を迅速に直接計測する手法として、蛍光フローサイトメトリ法を用いた測定装置が注目されている。
【0003】
蛍光フローサイトメトリ法は、蛍光色素で染色した微生物を含む検体の流れる流路径を細くし、微生物を一個ずつ流して計測する粒子計測方法である。この方法を用いた測定装置は、短時間に微生物を一個ずつ計測することができる。
【0004】
また、蛍光フローサイトメトリ法において、検体中の微生物が流路壁面に付着することを防止するため、検体とシース液の層流を形成し、これらの二液の圧力差を利用し、検体の流径を絞り込むことが行われている。
【0005】
さらに、低価格化を実現したり、洗浄の手間を省略したりするため、蛍光フローサイトメトリ法による測定を行う流路部分をディスポーザブルのチップにし、このディスポーザブルのチップ内で測定を行い、測定する流路部分であるチップを使い捨てにすることが知られ、例えば非特許文献1に記載されている。
【0006】
【非特許文献1】Journal of Biomolecular Techniques、Vol14、Issue2、pp.119-127
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来技術においては、大容量の検体に対して迅速な微生物計測を行うことを考慮していないため、検体に含まれる生体数を測定するためには、検査者が検体をチップのウェルに注入する前に、検体の濃縮を行う必要がある。これらの作業は微生物の生体数の損失を防ぐ必要があるため専門的技量を必要としていた。
【0008】
本発明の目的は、種々の微生物を簡単に濃縮できる微生物検査装置および微生物検査用チップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の目的を達成するための本発明の第1の態様は、微生物を含む検体を保持する検体容器、磁性粒子を含む捕捉粒子液を保持する捕捉粒子液容器、前記検体に含まれる微生物を捕捉する微生物捕捉部、および液流路を内部に有する検出チップと、前記検体容器に保持された検体及び前記捕捉粒子液容器に保持された捕捉粒子液に搬送力を付与する搬送装置と、前記搬送装置を制御する制御装置と、前記微生物捕捉部に磁性粒子を磁力により保持する磁石と、前記検出チップ内を流れる微生物を検出する検出装置と、を備え、前記制御装置は、前記磁石による磁力が前記微生物捕捉部に作用している状態で前記捕捉粒子液を前記微生物捕捉部に流して当該微生物捕捉部に複数個の前記磁性粒子を捕捉して保持することにより濾過フィルタを形成し、この状態で前記検体を前記微生物捕捉部に流して前記濾過フィルタの一側に当該検体中の微生物を堆積させるように前記搬送装置を制御することにある。
【0010】
係る本発明の第1の態様におけるより好ましい具体的構成例は次の通りである。
(1)前記検出チップは剥離液を保持する剥離液容器を内部に有し、前記搬送装置は前記剥離液容器に保持された剥離液に搬送力を付与するものであり、前記微生物捕捉部は前記液流路の一部に磁性粒子保持フィルタを設けて当該磁性粒子保持フィルタに前記磁性粒子を捕捉して濾過フィルタを形成するものであること。
(2)前記(1)において、前記磁石は、前記濾過フィルタに堆積された微生物を剥離する工程で、前記磁性粒子を前記微生物捕捉部から剥がす磁性粒子剥離力よりも前記磁性粒子を保持する磁性粒子保持力が大きくなる第1の状態から、前記磁性粒子を前記微生物捕捉部から剥がす磁性粒子剥離力よりも前記磁性粒子を保持する磁性粒子保持力が小さくなる第2の状態をとるように構成されていること。
(3)前記(2)において、前記磁石による前記磁性粒子を保持する磁性粒子保持力を徐々に弱めて前記捕捉粒子保持部から磁性粒子を徐々に流すようにしたこと。
(4)前記(3)において、前記磁石は前記磁性粒子保持フィルタの反濾過フィルタ側に移動可能に配置されていること。
(5)前記(1)において、前記微生物を剥離する工程の初期には前記磁性粒子保持フィルタに全ての磁性粒子を保持する磁力を加えながら剥離液を流し、前記微生物を剥離する工程の中期には前記磁性粒子保持フィルタに一部の磁性粒子を保持する磁力に弱めて剥離液を流し、前記微生物を剥離する工程の後期には前記磁性粒子保持フィルタから全ての磁性粒子流れ出す磁力に弱めて剥離液を流すこと。
(6)前記(1)において、前記検出チップは前部材、中間部材および後部材からなる多層構造体で構成され、前記微生物捕捉部は、前記中間部材の両面に形成された溝と、これらの溝を連通する貫通孔と、この貫通孔に設置された磁性粒子保持フィルタとを備えて構成されていること。
(7)前記(1)において、前記剥離液容器に保持される剥離液の液量を前記検体容器に保持される検体の液量より少なくしたこと。
(8)前記(1)において、前記検出チップの検出部を流れる微生物を検出する検出装置を備え、前記検出チップは染色試薬を保持する染色試薬容器および前記検出部を内部に有し、前記搬送装置は前記染色試薬容器に保持された染色試薬に搬送力を付与するものであり、前記制御装置は、前記染色試薬を前記微生物捕捉部に流して前記濾過フィルタに堆積された微生物を染色し、染色されて前記濾過フィルタから剥離された微生物および剥離液からなる検出液を前記検出部に流すように前記搬送装置を制御し、前記検出装置は、前記検出部を流れる検出液に光を照射し、染色された微生物からの蛍光や散乱光を検出して電気信号に変換して当該微生物の数を計測すること。
【0011】
また、本発明の第2の態様は、検体を保持するための検体容器と、前記検体内の残渣を除去する残渣除去部と、前記検体内の微生物を捕捉する微生物捕捉部と、微生物捕捉部に濾過フィルタを形成するための磁性粒子を保持する捕捉粒子液容器と、染色試薬を保持する染色試薬容器と、前記微生物捕捉部を通過した検体や捕捉粒子液や染色試薬が入る濾過液廃液容器と、剥離液を保持する剥離液容器と、微生物捕捉部から微生物を剥離した液である検出液を保持する検出液容器と、微生物を検出する検出部と、検出部を通過した検出液が入る検出液廃液容器と、前記各容器を連結し、前記検体や前記捕捉粒子液や前記染色試薬や前記剥離液が流動する溶液用流路と、前記各容器内の検体や捕捉粒子液や染色試薬や剥離液を気圧により流動させるための通気口と、前記通気口と前記各容器を接続する空気用流路と、を備え、前記微生物捕捉部は、複数個の前記磁性粒子を堆積して濾過フィルタを形成する磁性粒子保持フィルタを備えると共に、前記濾過フィルタを形成する磁性粒子に対して磁力が加えられる構造としたことにある。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、種々の微生物を簡単に濃縮できる微生物検査装置および微生物検査用チップを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態の微生物検査装置について図面を参照して説明する。
【0014】
まず、図1および図2を参照しながら、本実施形態の微生物検査装置1の全体概要について説明する。図1は本実施形態の微生物検査装置1の概観図、図2は図1の微生物検査装置1のシステム構成図である。
【0015】
微生物検査装置1は、検出チップ10と、ホルダ11と、蓋12と、検査装置本体13と、この検査装置本体13の各機器を制御する制御装置40と、この制御装置40に接続された出力装置41と、を備えて構成されている。
【0016】
検出チップ10は、検体や染色試薬を内部に保持し、微生物計測に必要な工程を行うための機構を内部に備えた一つのディスポーザブルのチップで構成されている。この検出チップ10はホルダ11にセットして使用される。検出チップ10は、ホルダ11および蓋12により、検査装置本体13の正面に保持される。セットする検出チップ10の種類を変えることで、様々な検体に適した微生物数計測工程を実施することが可能である。
【0017】
ホルダ11は、検出チップ10を保持すると共に、検出チップ10の温度を制御する機能を備えている。蓋12は透明な部材で製作され、検出チップ10をカバーしている。
【0018】
検査装置本体13は、検出チップ10の内部の液体を搬送するための搬送装置20と、検出チップ10の内部を流れる微生物を検出するための検出装置30と、検出チップ10の内部の磁性粒子に磁力を加えるための磁石331と、を備えて構成されている。
【0019】
搬送装置20は、チップ連結管21を介して検出チップ10と連結され、微生物の計測に必要な工程を行うために、検出チップ10内の検体や染色試薬や剥離液などの搬送を行う。
【0020】
検出装置30は、検出チップ10の内部を流れる微生物に励起光を照射し、照射された微生物からの蛍光を検出し、その検出結果を電気信号に変換して制御装置40に送る。本実施形態では、蛍光フローサイトメトリ法を用いて微生物を検出する検出装置30である。
【0021】
制御装置40は、検査装置本体13の各機器の制御や、その各機器より出力された電気信号の処理などを行い、得られた検査結果を出力装置41に出力する。この出力装置41は、その検査結果を画面に表示する。なお、出力装置41にプリンタを備えて紙に印刷して出力できるようにしてもよい。
【0022】
次に、図3〜図4を参照しながら、検出チップ10について具体的に説明する。図3は図1の検出チップ10の正面図、図4は図1の検出チップ10の一部を示す縦断面図である。
【0023】
図3に示すように、検出チップ10は、検体を保持するための検体容器123と、検体内の残渣を除去する残渣除去部133と、検体内の微生物を捕捉する微生物捕捉部131と、この微生物捕捉部131に濾過フィルタを形成するための捕捉粒子を保持する捕捉粒子液容器124と、染色試薬を保持する染色試薬容器125、126と、微生物捕捉部131を通過した検体や捕捉粒子液や染色試薬が入る濾過液廃液容器121と、剥離液を保持する剥離液容器122と、微生物捕捉部から微生物を剥離した液、すなわち検出液を保持する検出液容器127と、微生物を検出する検出部137と、この検出部137を通過した検出液が入る検出液廃液容器128と、各容器を連結し、検体や捕捉粒子液や染色試薬や剥離液が流動する溶液用流路129と、各容器内の検体や捕捉粒子液や染色試薬や剥離液を気圧により流動させるための通気口141〜148と、通気口141〜148と各容器121〜128とを接続する空気用流路149と、を備えて構成されている。
【0024】
複数の容器121〜128は検出チップ10の上部に並置されている。これらの容器121〜128の各々は縦に長く延びて形成されている。これらの容器121〜128を共通的に表現する場合には、容器120と表現する。
【0025】
複数の通気口141〜148は、検出チップ10の上部に並置されると共に、容器121〜128よりも上方に配置されている。これらの通気口141〜148を共通的に表現する場合には、通気口140と表現する。
【0026】
溶液用流路129の深さおよび流路幅は10μm〜1mm、空気用流路149の深さおよび流路幅は10μm〜1mmの範囲で設計されている。溶液用流路129の断面積は、溶液の搬送を考慮して、空気用流路149の断面積より大きくなるように設計されている。
【0027】
染色試薬は染色試薬容器125、128内に前もって封入されている。これによって、外部環境による劣化の影響や検査者が各試薬に触れる可能性を最低限に抑えている。検体は、検査前に通気口143より、検体容器123に注入される。
【0028】
検体容器123の容積は検体の体積より大きい。また、微生物捕捉部131と検出液容器127を連結する溶液用流路129の最高点は、検出液容器127中の検出液の水位より高くなるよう設計されている。
【0029】
染色試薬は、微生物を染色する色素、たとえばDAPI(1μg/ml〜1mg/ml)、アクリジンオレンジ(1μg/ml〜1mg/ml)、エチジウムブロマイド(1μg/ml〜1mg/ml)などが使用される。
【0030】
図4に示すように、検出チップ10は、ガラス、石英、ポリメタクリル酸エステル、PDMSなどの光透過性の物質からなる計測部材101と、前部材102と、中間部材103と、後部材104からなる四層構造で構成されている。染色試薬の外部の光による劣化を防ぐために、前部材102、中間部材103および後部材104は、ポリメタクリル酸エステル、ABS、ポリカーボネイト、PDMSなどの物質に遮光のための処理を行った部材が用いられている。
【0031】
中間部材103は、前部材102および後部材104に張り合わされる面に溝を有している。前部材102、後部材104および中間部材103を張り合わせることで、深い溝は検体や各試薬を保持する容器120を構成し、浅い溝は検体や各試薬が流動するための溶液用流路129および空気が流動する空気用流路149を構成する。中間部材103の両面に形成された溝は貫通孔により連結され、溝および貫通孔により流路が形成される。
【0032】
前部材102は、計測部材101と接する面に溝を有し、この溝と中間部材103の溝とを連通する貫通孔も備える。計測部材101と前部材102とが張り合わされることで、外部からの光計測が可能な検出用流路1371が構成される。蛍光染色された微生物からの蛍光は、計測部材101を通して計測することが可能である。貫通孔は、通気口140や、検出用流路1371と溶液用流路129とを連結する流路を構成する。
【0033】
次に、図5および図6を参照しながら、検出チップ10の検出部137について具体的に説明する。図5は図1の検出チップ10の検出部137を拡大した正面図、図6はその検出部137の縦断面図である。本実施形態の検出装置30による検出部137における微生物175の計測は、蛍光フローサイトメトリ法を用いて行われる。
【0034】
検出部137における検出用流路1371は、流路幅および流路深さが1μm〜0.1mm、流路長さは10μm〜10mmの範囲にそれぞれ設計されると共に、流路長さが流路幅および流路深さより長くなるように設計されている。検出用流路1371の断面積は、前後の溶液用流路129の断面積より小さくなるように設計されている。したがって、非常に幅の細い流路であるため、2つ以上の微生物175が並んで流動することは稀である。つまり、検出用流路1371を微生物175が1つづつ流動するように設計されている。
【0035】
検出用流路1371には、微生物175の検出のために、検出装置30からの励起光183が計測部材101を通過して入射される。励起光183は検出装置30内で楕円形状に集光されて出射され、励起光183の検出部137への入射範囲は照射範囲182に絞られる。染色された微生物175は、矢印185の方向に流れ、照射範囲182を通過するときに蛍光184を出す。この蛍光184は、計測部材101を通過して検出装置30にて検出される。
【0036】
次に、図7を参照しながら、検出装置30について具体的に説明する。図7は図1の検出装置30の光学系の構成図である。光学装置やその配置は使用する染色色素の励起スペクトルと蛍光スペクトルによって異なる場合もある。ここでは、エチジウムブロマイド(励起波長520nm、蛍光波長615nm)とDAPI(励起波長360nm、蛍光波長460nm)の二種類の染色色素を使用に対応した光学系について説明する。
【0037】
検出装置30は、短波長(DAPI用)の励起光源のための短波長レーザー434(波長360nm)と、長波長(エチジウムブロマイド用)の励起光源のための長波長レーザー435(波長520nm)と、それぞれのレーザー434、435からのレーザー光を楕円状に集光するためのシリンドリカルレンズ430〜433と、波長400nm以下の光を反射する短波長用ダイクロイックミラー423と、波長500以上の光を反射する中波長用ダイクロイックミラー424と、波長600nm以上の光を反射する長波長用ダイクロイックミラー425と、波長500nm以上の光を通過しない短波長用光学フィルタ426と、波長700以上の光を通過しない長波長用光学フィルタ427と、短波長用光学フィルタ426を通過した光を検出する短波長用ホトマル428と、長波長用光学フィルタ427を通過した光を検出する長波長用ホトマル429と、微生物175からの蛍光を集光するための対物レンズ420と、焦点深度の幅を広げるため、対物レンズ420を高速に動かすためのピエゾ421と、ピエゾの動作を制御するピエゾコントローラ422と、を備えて構成されている。
【0038】
短波長レーザー434から出力された励起光436(波長360nm)は、シリンドリカルレンズ430、431により楕円状に集光され、短波長用ダイクロイックミラー423で反射され、中波長用ダイクロイックミラー424、長波長用ダイクロイックミラー425、対物レンズ420を経由し、照射範囲482に照射される。これにより、照射範囲482を流れる微生物175を染色したDAPIが励起される。このDAPIからの蛍光439(波長460nm)は、長波長用ダイクロイックミラー425、中波長用ダイクロイックミラー424、短波長用ダイクロイックミラー423、短波長用光学フィルタ426を経由し、短波長用ホトマル428に入射される。短波長用ホトマル428により検出された蛍光439は電気信号に変換され、この電気信号は制御装置40に送られる。
【0039】
一方、長波長レーザー435から出力された励起光437(波長530nm)は、シリンドリカルレンズ432、433により楕円状に集光され、中波長用ダイクロイックミラー424で反射され、長波長用ダイクロイックミラー425、対物レンズ420を経由し、照射範囲482に照射される。これにより、照射範囲482を流れる微生物175を染色したエチジウムブロマイドが励起される。エチジウムブロマイドからの蛍光438(波長620nm)は、長波長用ダイクロイックミラー425で反射され、長波長用光学フィルタ427を経由し、長波長用ホトマル429に入射される。長波長用ホトマル429により検出された蛍光438は電気信号に変換され、この電気信号は制御装置40に送られる。
【0040】
そして、制御装置40は、短波長用ホトマル428、長波長用ホトマル429から送られた電気信号を処理し、微生物数の情報を検査結果として、出力装置41に出力する。出力装置41はその検査結果を画面に表示する。
【0041】
次に、図8を参照しながら、微生物計測の概要を説明する。図8は図1の検出チップ10内で行われる微生物計測の工程図である。図中の(a)〜(e)の記号は、捕捉粒子液1241、検体1231、染色試薬12511、剥離液1221、検出液1271の各部の処理経路を示す。
【0042】
検出チップ10は、上述したように、微生物175より大きい残渣を検体1231より取り除くための残渣除去部133と、検体1231中の微生物175を捕捉して濃縮するための微生物捕捉部131と、微生物175を検出するための検出部137を備えている。
【0043】
微生物175を計測する工程の概要を各部の処理経路(a)〜(e)に基づいて説明する。制御装置40が搬送装置20を制御することによって、これらの工程が切替えられて実行される。
【0044】
まず、(a)が示す処理経路に従い、濾過フィルタの形成工程が行われる。捕捉粒子液1241は、搬送装置20の動作により捕捉粒子液容器124から押し出され、微生物捕捉部131を通過し、濾液廃棄容器121に入り除去される。その微生物捕捉部131を通過する際に、微生物捕捉部131に捕捉粒子液1241中の捕捉粒子(図10に示す磁性粒子214)が堆積される。この磁性粒子214によって濾過フィルタが形成される。
【0045】
次いで、(b)が示す処理経路に従い、検体1231中の残渣の除去工程及び微生物捕捉工程が行われる。検体1231は、搬送装置20の動作により検体容器123から押し出され、残渣除去部133および微生物捕捉部131を通過し、その際に、残渣除去部133によって検体1231中の微生物175より大きい残渣が取り除かれ、微生物捕捉部131によって検体1231中の微生物175が捕捉される。なお、微生物175より小さい色素のような残渣は、検体1231とともに微生物捕捉部131を通過して廃液容器121に入り除去される。
【0046】
次いで、(c)が示す処理経路に従い、微生物175の染色工程が行われる。微生物175を染色する染色試薬1251は、搬送装置20の動作により染色試薬容器125または126から押し出され、微生物捕捉部131を通過し、その際に微生物捕捉部131に捕捉された微生物175を染色する。微生物捕捉部131を通過した余分な染色試薬1251は、濾液廃棄容器121に入り除去される。
【0047】
次いで、(d)が示す処理経路に従い、蛍光色素に染色された微生物175の剥離工程が行われる。微生物捕捉部131に捕捉された微生物175を剥離させるための剥離液1221は、搬送装置20の動作により剥離液容器122から押し出され、微生物捕捉部131を通過し、その際に微生物175を剥離し、微生物175と共に剥離液1221が検出液容器127に入り、検出液1271となる。
【0048】
次いで、(e)が示す処理経路に従い、蛍光色素に染色された微生物175の検出工程が行われる。検出液1271は検出液容器127から微生物検出部137に入る。微生物検出部137にて、検出液1271中の微生物175の計測が行われる。微生物検出部137での計測が終わった後、検出液1271は検出液廃液容器128に入り除去される。
【0049】
以上の工程は、検出チップ10内ですべて行われるため、検査者が検体1231中の微生物175や染色試薬1521に触れる危険を低減し、また検査者の人為的ミスや外的影響による検査結果への影響を少なくする。
【0050】
次に、図9および図10を参照しながら、微生物計測における濾過フィルタの形成工程を具体的に説明する。図9は図1の検出チップ10内での捕捉粒子液114の流動を示す図、図10は図9における捕捉粒子液流動時の微生物捕捉部131の縦断面図である。
【0051】
図9に示すように、通気口144を介して搬送装置20からの圧力を捕捉粒子液容器124に加え、捕捉粒子液容器124内の気圧を上げる。同時に、通気口141を介して、廃液容器121を大気に開放する。その他の通気口142、143、145〜148は閉じる。捕捉粒子液114は、気圧差により、捕捉粒子容器124から微生物捕捉部131を経由し、廃液容器121まで流動する。微生物捕捉部131を経由するときに、捕捉粒子液114中の磁性粒子214が微生物捕捉部131に図10に示すように堆積されて行き、これによって濾過フィルタを形成する。
【0052】
図10示すように、微生物捕捉部131は、中間部材103の貫通孔に、磁性粒子保持フィルタ231を有している。磁性粒子保持フィルタ231の孔径は磁性粒子214の直径よりも小さい寸法としている。このため、捕捉粒子液124を磁性粒子保持フィルタ231に通すと、捕捉粒子液114中の磁性粒子214が磁性粒子保持フィルタ231の一側に図10に示すように順次集積され、最終的には図12に示すように集積されて濾過フィルタを構成する。このように、貫通孔の一側に磁性粒子保持フィルタ231を設けることによって、磁性粒子214を簡単に集積することができる。
【0053】
ここで磁性粒子214の寸法を、捕捉する微生物175の寸法の2倍程度とすることにより、磁性粒子214で形成した濾過フィルタとしての孔径(各磁性粒子214の間に形成される隙間の寸法)が微生物175の外径寸法以下(半分以下)となり、十分に微生物175を捕獲することができる。
【0054】
また、磁性粒子保持フィルタ231に捕捉粒子液114を通す際に、磁性粒子保持フィルタ231の近傍に磁石331が配置される。この磁石331は、磁性粒子214が堆積される位置に対して、磁性粒子保持フィルタ231を挟んだ反対側に配置される。この磁石331の磁力で磁性粒子214を磁性粒子保持フィルタ231に引き寄せ続けることができるため、検体の流れで磁性粒子214からなるフィルタ構造が崩れるのを防ぐことができると共に、重力の影響を受けずに磁性粒子214を堆積することができる。これによって、検出チップ10内での微生物捕捉部131の設置が容易となる。
【0055】
次に、図11および図12を参照しながら、検体1231中の微生物捕捉工程を具体的に説明する。図11は図1の検出チップ10内での検体1231の流動を示す図、図12Aは図11における検体1231の流動初期の微生物捕捉部131の縦断面図、図12Bは図11における検体1231の流動後期の微生物捕捉部131の縦断面図である。
【0056】
図11に示すように、通気口143を介して搬送装置20からの圧力を検体液容器123に加え、検体液容器123内の気圧を上げる。同時に、通気口141を介して廃液容器121を大気開放する。その他の通気口142、144〜148は閉じる。検体1231は、気圧差により、検体容器123から微生物捕捉部131を経由し、廃液容器121まで流動する。微生物捕捉部131を経由するときに、微生物捕捉部131に形成された濾過フィルタに微生物175が図12に示すように捕捉されて行き、堆積されて濃縮される。
【0057】
即ち、微生物175は、磁性粒子214で形成される濾過フィルタとしての孔径より大きいため、まず図12Aに示すように濾過フィルタの孔に対応して載積され始め、次いで図12Bに示すように堆積された微生物175の上に堆積される。これによって、微生物175が磁性粒子214に吸着される物質でない場合でも、微生物175を堆積させることができると共に、多量に堆積させることができる。換言すれば、微生物の性質に特定されないで、種々の微生物175を堆積させることができる。
【0058】
次に、図13を参照しながら、微生物175の染色工程を具体的に説明する。図13は図1の検出チップ10内での染色試薬の流動を示す図である。
【0059】
通気口145を介して搬送装置からの圧力を染色試薬容器125に加え、染色試薬容器125内の気圧を上げる。同時に、通気口141を介して廃液容器121を大気開放する。その他の通気口142〜144、146〜148は閉じる。染色試薬は、気圧差により、染色試薬容器125から微生物捕捉部131を経由し、廃液容器121まで流動する。微生物捕捉部131を経由するときに、微生物捕捉部131に形成された捕捉粒子214による濾過フィルタに捕獲された微生物175が染色される。
【0060】
同様に、通気口146を介して搬送装置からの圧力を染色試薬容器126に加え、染色試薬容器126内の気圧を上げる。同時に、通気口141を介して廃液容器121を大気開放する。その他の通気口142〜145、147、148は閉じる。染色試薬は、気圧差により、染色試薬容器126から微生物捕捉部131を経由し、廃液容器121まで流動する。微生物捕捉部131を経由するときに、微生物捕捉部131に形成された捕捉粒子214による濾過フィルタに捕獲された微生物175が染色する。
【0061】
次に、図14から図18を参照しながら、微生物175の剥離工程を具体的に説明する。図14は図1の検出チップ10内での剥離液112の流動を示す図、図15は図14における検剥離液112の流動初期の微生物捕捉部131の縦断面図、図16は図14における検剥離液112の流動中期の微生物捕捉部131の縦断面図、図17は図14における検剥離液112の流動後期の微生物捕捉部131の縦断面図、図18は磁性粒子保持力および磁性粒子剥離力の変化を示す図である。
【0062】
図14に示すように、通気口142を介して搬送装置20からの圧力を剥離液容器122に加え、剥離液容器122内の気圧を上げる。同時に、通気口147を介して検出液容器127を大気開放する。その他の通気口141、143〜146、148は閉じる。剥離液112は、気圧差により、剥離液容器122から微生物捕捉部131を経由し、検出液容器127まで流動する。微生物捕捉部131を経由するときに、微生物捕捉部131に形成された磁性粒子214による濾過フィルタに捕獲された微生物175が剥離される。この剥離液112の液量を検体1231の液量より少なくすることで、微生物175が濃縮された状態で剥離することができる。ここで、溶液用流路129の寸法は幅500μm、深さ500μm、磁性粒子214の堆積は25μL、剥離液の容量は1mLである。
【0063】
また、剥離液112を検出液容器127に一度保持することで、微生物捕捉部131を通過して剥離中に混入した気泡を通気口147から取り除くことができる。気泡は次の微生物175の検出工程にて検出を阻害する可能性があるため、できる限り取り除くことが好ましい。
【0064】
剥離液112の流動初期は、磁石331が磁性粒子214に最も接近した状態および磁性粒子214から離れ始めた状態であり、剥離液112による磁性粒子剥離力よりも磁石331による磁性粒子保持力が大きい状態である。このため、磁性粒子214の全てが磁性粒子保持フィルタ231に保持され、剥離液112の流れに乗って磁性粒子214が流れ出すことがなく、磁性粒子214の堆積で形成される濾過フィルタに捕捉された微生物175のみが図15に示すように徐々に剥離される。
【0065】
剥離液112の流動中期は、磁石331が磁性粒子214から離れることがさらに進行した状態であり、剥離液112による磁性粒子剥離力よりも磁石331による磁性粒子保持力が小さくなり、その差がさらに大きくなる状態である。このため、流動中期では図16に示すように剥離液112の流れに乗って一部の磁性粒子214が流れ出す。
【0066】
剥離液112の流動後期は、磁石331が磁性粒子214から最も離れた状態であり、剥離液112による磁性粒子剥離力よりも磁石331による磁性粒子保持力が大きく、その差が最も大きくなった状態である。このため、流動後期では図17に示すように剥離液112の流れに乗って磁性粒子214の全てが流れ出す。そして、磁性粒子214の全てが流れ出した後に、剥離液112の搬送が停止される。
【0067】
このように、磁石331の磁力による保持力と剥離液112の流れによる剥離力との力関係を調整することにより、剥離液112で微生物捕捉部131から微生物175を剥離する際に、微生物175を濃縮する濾過フィルタを形成する磁性粒子214を徐々に流すことができる。これによりディスポーザブルチップである検出チップ10内での微生物175の濃縮における微細流路の目詰まりなどを確実に防止することができる。
【0068】
次に、図19を参照しながら、微生物175の検出工程を具体的に説明する。図19は図1の検出チップ10内での検出液1271の流動を示す図である。
【0069】
通気口147を介して搬送装置20からの圧力を検出液容器127に加え、検出液容器127内の気圧を上げる。同時に、通気口148を介して検出液廃液容器128を大気開放する。その他の通気口141〜146は閉じる。検出液1271は、気圧差により、検出液容器127から検出部137を経由し、検出液容器128まで流動する。検出液1271中の微生物175は検出部137を通過するときに計測される。検出部137における微生物の計測は、前述の蛍光フローサイトメトリ法を用いて行われる。
【0070】
上述したように、検出チップ10の通気口141〜148を介して検体容器123、染色試薬容器125、126、検出液廃液容器128を密閉状態と大気開放状態とに切り替え、検体の移動、濃縮、染色試薬の染色を行うので、ひとつの検出チップ10内にて、残渣の除去、微生物の濃縮、微生物の染色、生体数計測を一貫して行うことができる。したがって、検査者への作業負担や、染色試薬に被爆する可能性を低減し、検査者の技量に依存しない安定した測定結果を得ることができる。また、使用する染色試薬の残余量を低減することができるため、必要な試薬コストを低減することができる。
【0071】
本実施形態によれば、微生物濃縮の前処理を組み込んだ、蛍光フローサイトメトリ法による迅速な微生物数計測を一つのディスポーザブルのチップ内で実現することが可能で、簡単な作業で安定した微生物の生体数計測を行うことができると共に、ディスポーザブルチップ内での微生物濃縮における微細流路の目詰まりなどを防止することできる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の一実施形態の微生物検査装置の概観図である。
【図2】図1の微生物検査装置のシステム構成図である。
【図3】図1の検出チップの正面図である。
【図4】図1の検出チップの一部を示す縦断面図である。
【図5】図1の検出チップの検出部を拡大した正面図である。
【図6】図5の検出部の縦断面図である。
【図7】図1の検出装置の光学系の構成図である。
【図8】図1の検出チップ内で行われる微生物計測の工程図である。
【図9】図1の検出チップ内での捕捉粒子液の流動を示す図である。
【図10】図9における捕捉粒子液流動時の微生物捕捉部の縦断面図である。
【図11】図1の検出チップ内での検体液の流動を示す図である。
【図12A】図11における検体液の流動初期の微生物捕捉部の縦断面図である。
【図12B】図11における検体液の流動後期の微生物捕捉部の縦断面図である。
【図13】図1の検出チップ内での染色試薬の流動を示す図である。
【図14】図1の検出チップ内での剥離液の流動を示す図である。
【図15】図14における検剥離液の流動初期の微生物捕捉部の縦断面図である。
【図16】図14における検剥離液の流動中期の微生物捕捉部の縦断面図である。
【図17】図14における検剥離液の流動後期の微生物捕捉部の縦断面図である。
【図18】本実施形態における磁性粒子保持力および磁性粒子剥離力の変化を示す図である。
【図19】図1の検出チップ内での検出液の流動を示す図である。
【符号の説明】
【0073】
1…微生物検査装置、10…検出チップ、11…ホルダ、12…蓋、13…検査装置本体、20…搬送装置、21…チップ連結管、30…検出装置、40…制御装置、41…出力装置、101…計測部材、102…前部材、103…中間部材、104…後部材、120…容器、121…廃液容器、122…剥離液容器、123…検体容器、124…捕捉粒子液容器、125、126…染色試薬容器、127…検出液容器、128…検出液廃液容器、129…溶液用流路、131…微生物捕捉部、133…残渣除去部、137…検出部、140,141〜148…通気口、149…空気用流路、175…微生物、182、482…照射範囲、183、436、437…励起光、184、438,439…蛍光、185…流れる方向、214…磁性粒子、231…磁性粒子保持フィルタ、331…磁石、420…対物レンズ、421…ピエゾ、422…ピエゾコントローラ、423…短波長用ダイクロックミラー、424…中波長用ダイクロックミラー、425…長波長用ダイクロックミラー、426…短波長用光学フィルタ、427…長波長用光学フィルタ、428…短波長用ホトマル、429…長波長用ホトマル、434…短波長レーザー、435…長波長レーザー、430〜433…シリンドリカルレンズ、1221…剥離液、1231…検体、1241…捕捉粒子液、1251…染色試薬、1271…検出液、1371…検出用流路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物を含む検体を保持する検体容器、磁性粒子を含む捕捉粒子液を保持する捕捉粒子液容器、前記検体に含まれる微生物を捕捉する微生物捕捉部、および液流路を内部に有する検出チップと、
前記検体容器に保持された検体及び前記捕捉粒子液容器に保持された捕捉粒子液に搬送力を付与する搬送装置と、
前記搬送装置を制御する制御装置と、
前記微生物捕捉部に磁性粒子を磁力により保持する磁石と、
前記検出チップ内を流れる微生物を検出する検出装置と、を備え、
前記制御装置は、前記磁石による磁力が前記微生物捕捉部に作用している状態で前記捕捉粒子液を前記微生物捕捉部に流して当該微生物捕捉部に複数個の前記磁性粒子を捕捉して保持することにより濾過フィルタを形成し、この状態で前記検体を前記微生物捕捉部に流して前記濾過フィルタの一側に当該検体中の微生物を堆積させるように前記搬送装置を制御する
ことを特徴とする微生物検査装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記検出チップは剥離液を保持する剥離液容器を内部に有し、
前記搬送装置は前記剥離液容器に保持された剥離液に搬送力を付与するものであり、
前記微生物捕捉部は前記液流路の一部に磁性粒子保持フィルタを設けて当該磁性粒子保持フィルタに前記磁性粒子を捕捉して濾過フィルタを形成するものである
ことを特徴とする微生物検査装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記磁石は、前記濾過フィルタに堆積された微生物を剥離する工程で、前記磁性粒子を前記微生物捕捉部から剥がす磁性粒子剥離力よりも前記磁性粒子を保持する磁性粒子保持力が大きくなる第1の状態から、前記磁性粒子を前記微生物捕捉部から剥がす磁性粒子剥離力よりも前記磁性粒子を保持する磁性粒子保持力が小さくなる第2の状態をとるように構成されている
ことを特徴とする微生物検査装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記磁石による前記磁性粒子を保持する磁性粒子保持力を徐々に弱めて前記捕捉粒子保持部から磁性粒子を徐々に流すようにした
ことを特徴とする微生物検査装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記磁石は前記磁性粒子保持フィルタの反濾過フィルタ側に移動可能に配置されている
ことを特徴とする微生物検査装置。
【請求項6】
請求項2において、
前記微生物を剥離する工程の初期には前記磁性粒子保持フィルタに全ての磁性粒子を保持する磁力を加えながら剥離液を流し、
前記微生物を剥離する工程の中期には前記磁性粒子保持フィルタに一部の磁性粒子を保持する磁力に弱めて剥離液を流し、
前記微生物を剥離する工程の後期には前記磁性粒子保持フィルタから全ての磁性粒子流れ出す磁力に弱めて剥離液を流す
ことを特徴とする微生物検査装置。
【請求項7】
請求項2において、
前記検出チップは前部材、中間部材および後部材からなる多層構造体で構成され、
前記微生物捕捉部は、前記中間部材の両面に形成された溝と、これらの溝を連通する貫通孔と、この貫通孔に設置された磁性粒子保持フィルタとを備えて構成されている
ことを特徴とする微生物検査装置。
【請求項8】
請求項2において、
前記剥離液容器に保持される剥離液の液量を前記検体容器に保持される検体の液量より少なくしたこと
ことを特徴とする微生物検査装置。
【請求項9】
請求項2において、
前記検出チップの検出部を流れる微生物を検出する検出装置を備え、
前記検出チップは染色試薬を保持する染色試薬容器および前記検出部を内部に有し、
前記搬送装置は前記染色試薬容器に保持された染色試薬に搬送力を付与するものであり、
前記制御装置は、前記染色試薬を前記微生物捕捉部に流して前記濾過フィルタに堆積された微生物を染色し、染色されて前記濾過フィルタから剥離された微生物および剥離液からなる検出液を前記検出部に流すように前記搬送装置を制御し、
前記検出装置は、前記検出部を流れる検出液に光を照射し、染色された微生物からの蛍光や散乱光を検出して電気信号に変換して当該微生物の数を計測する
ことを特徴とする微生物検査装置。
【請求項10】
検体を保持するための検体容器と、
前記検体内の残渣を除去する残渣除去部と、
前記検体内の微生物を捕捉する微生物捕捉部と、
微生物捕捉部に濾過フィルタを形成するための磁性粒子を保持する捕捉粒子液容器と、
染色試薬を保持する染色試薬容器と、
前記微生物捕捉部を通過した検体や捕捉粒子液や染色試薬が入る濾過液廃液容器と、
剥離液を保持する剥離液容器と、
微生物捕捉部から微生物を剥離した液である検出液を保持する検出液容器と、
微生物を検出する検出部と、検出部を通過した検出液が入る検出液廃液容器と、
前記各容器を連結し、前記検体や前記捕捉粒子液や前記染色試薬や前記剥離液が流動する溶液用流路と、
前記各容器内の検体や捕捉粒子液や染色試薬や剥離液を気圧により流動させるための通気口と、
前記通気口と前記各容器を接続する空気用流路と、を備え、
前記微生物捕捉部は、複数個の前記磁性粒子を堆積して濾過フィルタを形成する磁性粒子保持フィルタを備えると共に、前記濾過フィルタを形成する磁性粒子に対して磁力が加えられる構造とした
ことを特徴とする微生物検査用チップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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