微細化混合装置
【課題】液体に混合された気体、液体又は固体を効率よく微細化でき、また、洗浄や補修を容易に行うことができる微細化混合装置を提供すること。
【解決手段】微細化混合装置1は、円筒形状のケーシング2と、ケーシング2内に収容された円筒形状の微細化ユニット3を備える。微細化ユニット3は、入口開口3aが端面に形成された入口ブロック320と、整流体6が内蔵された整流ブロック321と、オリフィス振動部材5が内蔵された振動ブロック322と、出口管324が端面に形成された出口ブロック323とが順次連結されて形成されている。気泡を含んだ水である混合流体が、ケーシング2と微細化ユニット3との間を満たすと共に、微細化ユニット3内に流入する。微細化ユニット3において、整流ブロック321の整流体6で整流された混合流体が、振動ブロック322のオリフィス振動部材5で気泡が微細化される。
【解決手段】微細化混合装置1は、円筒形状のケーシング2と、ケーシング2内に収容された円筒形状の微細化ユニット3を備える。微細化ユニット3は、入口開口3aが端面に形成された入口ブロック320と、整流体6が内蔵された整流ブロック321と、オリフィス振動部材5が内蔵された振動ブロック322と、出口管324が端面に形成された出口ブロック323とが順次連結されて形成されている。気泡を含んだ水である混合流体が、ケーシング2と微細化ユニット3との間を満たすと共に、微細化ユニット3内に流入する。微細化ユニット3において、整流ブロック321の整流体6で整流された混合流体が、振動ブロック322のオリフィス振動部材5で気泡が微細化される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体に混合された気体、液体に混合された他の液体、及び、液体に混合された固体を微細化して液体に混合する微細化混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、気体や液体を微細化して他の液体に分散させてなる混合流体は、微細化された粒子がバルク状態の場合と異なる物性を示すことから、多くの技術分野で活用されている。
【0003】
例えば、直径が約10nm〜数100nmの気泡(以下、ナノバブルという)を分散させた水を、汚水の浄化や、養殖における成長促進や、植物の栽培促進に利用することが研究されている。ナノバブルの生成方法としては、水に空気を混合してなる混合流体にせん断力を作用させ、空気を微細化してナノバブルを生成する気液せん断法が知られている。気液せん断法を行うナノバブル生成装置としては、筒状のケーシング内に、螺旋状に形成された流路を有する上流側のスクリュー部と、流路壁に突起が配置された下流側のカッター部とを備えたものがある(例えば特許文献1参照)。
【0004】
このナノバブル生成装置は、ケーシング内に圧送した空気と水の混合流体に、スクリュー部で旋回力と遠心力とを付与した後、カッター部で混合流体中の気泡の分断、微細化を行ない、直径が0.5〜3μm程度の微細気泡を含有する気液混合流体を生成するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−085949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のナノバブル生成装置は、スクリュー部による旋回力及び遠心力の付与と、カッター部による気泡の分断では、ナノバブルの生成効率が低いという問題がある。
【0007】
また、上記ナノバブル生成装置は、スクリュー部に、ケーシングの内側面に螺旋状の仕切壁が接して配置され、カッター部に、ケーシングの内側面に複数の突起が固定されている。このように、ケーシングに種々の部品が固定されているので、構造が複雑であり、洗浄や補修に手間がかかるという問題がある。
【0008】
そこで、本発明の課題は、液体に混合された気体、液体又は固体を効率よく微細化でき、また、洗浄や補修を容易に行うことができる微細化混合装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の微細化混合装置は、液体に気体、液体又は固体が混合された混合流体が供給され、この混合流体に含まれる少なくとも1つの気体、液体又は固体を微細化して微細化混合流体を生成する微細化混合装置であって、
混合流体の入口と出口を有するケーシングと、このケーシング内に着脱可能に取り付けられた微細化ユニットとを備え、
上記微細化ユニットは、
上記ケーシングの入口から流入した混合流体を出口に向かって流す流路と、
上記流路の途中に設置され、上記流路の断面積よりも小さい断面積を有する流通孔と、この流通孔に隣接して形成され、混合流体の流れによって振動する振動部とを有する有孔振動体と、
上記流路に連通し、混合流体から分離した気体が溜まる気体溜りと
を有することを特徴としている。
【0010】
上記構成によれば、ケーシングの入口から流入した混合流体が、微細化ユニットの流路に流入する。流路に流入した混合流体は、有孔振動体の流通孔を通過する際、振動部の作用と気体溜りの作用により、混合流体を形成する気体、液体又は固体が微細化される。微細化された気体、液体又は固体は、媒体の液体と混合されて微細化混合流体が生成され、この微細化混合流体は、ケーシングの出口から排出される。この微細化混合装置によれば、有孔振動体と気体溜りを有する微細化ユニットを備えるので、効率良く微細化混合流体を生成することができる。また、気体、液体又は固体の微細化を行う部分であって、多くの場合に洗浄や補修の対象となる微細化ユニットが、ケーシング内に着脱可能に取り付けられている。したがって、微細化ユニットをケーシングから取り外すことにより、洗浄や補修を容易に行うことができる。
【0011】
本発明において、混合流体は、媒体である液体に、気体、液体及び固体のいずれが混合してもよい。例えば、液体に気体が混合した混合流体の一例は、水に空気の気泡が混合したバブル水である。液体に液体が混合した混合流体の一例は、水に油の粒子が混合した水油エマルションである。液体に固体が混合した混合流体の一例は、水に有機固形物の粒子が混合した有機汚泥である。
【0012】
また、本発明において、微細化とは、気体、液体及び固体の粒径を10nm〜数10μmの範囲に小さくすることをいう。好ましくは、粒径を10nm以上50μm以下の範囲に小さくすることをいう。例えば、微細化の対象が気体である場合、微細化とは、直径が10nm以上50μm以下のマイクロナノバブルを生成することをいう。ここで、マイクロナノバブルとは、マイクロバブルとマイクロナノバブルとの総称であり、マイクロバブルとは、直径が500nm以上50μm以下の泡をいい、ナノバブルとは、直径が10nm以上500nm未満の泡をいう。
【0013】
一実施形態の微細化混合装置は、上記微細化ユニットは、上記有孔振動体及び気体溜りの少なくとも一方が形成された複数のブロックで形成されている。
【0014】
上記実施形態によれば、有孔振動体が形成されたブロックの個数と、気体溜りが形成されたブロックの個数と、有孔振動体及び気体溜りが形成されたブロックの個数とを調整することにより、気体、液体又は固体に対する微細化の効果を調整することができる。したがって、微細化を行う対象と、生成すべき微細化混合流体の量に応じて、微細化の性能をきめ細かに設定することができる。また、微細化ユニットをブロック単位に分解することにより、微細化ユニットの洗浄や補修を容易に行うことができる。なお、ブロックには、有孔振動体と気体溜りとの両方が形成されてもよい。
【0015】
一実施形態の微細化混合装置は、上記微細化ユニットは、上記流路に配置され、この流路の中心軸に関して回転体の形状に形成された整流体を有する。
【0016】
上記実施形態によれば、流路の中心軸に関して回転体の形状に形成された整流体により、流路を流れる混合流体を整流するので、混合流体に対する振動部の作用と気体溜りの作用を高めることができる。したがって、混合流体に含まれる気体、液体又は固体を、効果的に微細化することができる。
【0017】
一実施形態の微細化混合装置は、上記ケーシングの内側面と、上記微細化ユニットの外側面との間が、上記ケーシングの入口から流入した混合流体で満たされるように形成されている。
【0018】
上記実施形態によれば、上記ケーシングの内側面と、上記微細化ユニットの外側面との間を混合流体で満たすことにより、微細化ユニットの内外の圧力差を少なくして、耐圧性を高めることができる。また、微細化ユニットの内部から混合流体が漏れても、ケーシング内で混合流体を回収することができるので、ケーシング外への混合流体の漏れを防止できる。特に、微細化ユニットを複数のブロックで構成した場合、ブロックの間から混合流体が漏れても、漏れた混合流体を効果的に回収でき、また、ケーシング外への混合流体の漏れを防止できる。
【0019】
一実施形態の微細化混合装置は、上記ブロックは、
大略円筒形状のブロック本体と、
上記ブロック本体の中心軸と平行に延在して上記流路を形成する貫通孔と、
上記貫通孔を横断するように配置された板状体で形成され、この板状体に形成された上記流通孔の縁から放射状に延びるスリットを有し、このスリットと流通孔の縁とで規定される部分が振動部となる上記有孔振動体とを有する。
【0020】
上記実施形態によれば、ブロック本体に貫通孔と有孔振動体が設けられたブロックは、構造が簡易であるので取り扱いが容易であり、したがって、容易に洗浄と補修を行うことができる。また、流通孔とスリットを有して形成された有孔振動体により、簡単な構造で効率的に微細化混合流体を生成することができる。
【0021】
一実施形態の微細化混合装置は、上記ブロックは、
大略円筒形状のブロック本体と、
上記ブロック本体の中心軸と平行に延在して上記流路を形成する貫通孔と、
上記ブロック本体の一方の端面に形成されて上記貫通孔と平行に延在する有底孔と、この有抵抗と上記貫通孔とを連通するバイパス路とを含んで形成された上記気体溜りとを有する。
【0022】
上記実施形態によれば、ブロック本体に貫通孔と気体溜りが設けられたブロックは、構造が簡易であるので取り扱いが容易であり、したがって、容易に洗浄と補修を行うことができる。また、このブロック本体の一方の端面に、他のブロックのブロック本体の端面や、板状体の表面を配置することにより、気体溜りの有底孔の開口を閉じて、気体溜りとして機能させることができる。したがって、少ない部品点数により、微細化ユニットを形成することができるので、微細化混合装置の組み立て作業の容易化と、コスト削減を行うことができる。さらに、微細化ユニットの分解時には、ブロック本体の一方の端面に配置された他のブロック本体や板状体を除去すれば、有底孔が露出するので、気体溜りを容易に洗浄することができる。
【0023】
一実施形態の微細化混合装置は、上記整流体の形状は、球、双円錐及び半球ドームのうちの1つである。
【0024】
上記実施形態によれば、整流体の形状を、球、双円錐及び半球ドームのうちの1つに形成することにより、簡易な構造で混合流体を整流することができる。したがって、洗浄と補修が容易な微細化混合装置が得られる。
【0025】
一実施形態の微細化混合装置は、上記貫通孔の一部が、気体溜りを兼ねる。
【0026】
上記実施形態によれば、貫通孔の一部が、混合流体の流路と気体溜りとを兼ねることにより、ブロックの構造を簡易にできて、微細化混合装置の構造を簡易にできる。また、ブロックを小型化でき、微細化混合装置の小型化を行うことができる。
【0027】
一実施形態の微細化混合装置は、上記整流体としての半球ドーム体の内側が、気体溜りとして機能する。
【0028】
上記実施形態によれば、整流体としての半球ドーム対の内側が、気体溜りとして機能することにより、ブロックの構造を簡易にできて、微細化混合装置の構造を簡易にできる。また、ブロックを小型化でき、微細化混合装置の小型化を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1実施形態の微細化混合装置を示す縦断面図である。
【図2】オリフィス振動部材を示す平面図である。
【図3】第2実施形態の微細化混合装置を示す縦断面図である。
【図4】微細化ユニットの振動ブロックの一部を除去して示した斜視図である。
【図5】微細化ユニットの入口側の端面板を示す斜視図である。
【図6】第3実施形態の微細化混合装置の微細化ユニットを示す縦断面図である。
【図7】振動ブロックを示す断面図である。
【図8A】第1整流ブロックを示す正面図である。
【図8B】図8Aの整流ブロックの縦断面図である。
【図9】第2の整流ブロックを示す縦断面図である。
【図10】第3の整流ブロックを示す縦断面図である。
【図11】第4実施形態の微細化混合装置を示す縦断面図である。
【図12】リングブロックを示す斜視図である。
【図13】振動ダイヤフラムを示す斜視図である。
【図14】第5実施形態の微細化混合装置を示す縦断面図である。
【図15】振動ダイヤフラムを示す斜視図である。
【図16】第6実施形態の微細化混合装置を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0031】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の微細化混合装置を模式的に示す縦断面図である。この微細化混合装置1は、液体としての水の中に分散された気体としての空気を微細化し、マイクロナノバブルを生成する微細化混合装置である。
【0032】
この微細化混合装置1は、円筒形状のケーシング2と、このケーシング2内に収容された円筒形状の微細化ユニット3を備える。ケーシング2の一端面と他端面には、混合流体が流入する入口開口2aが先端に形成された入口管24と、微細化混合流体を排出する出口開口2bが先端に形成された出口管25が設けられている。この出口管25の内側には、微細化ユニット3の他端面から延出する出口管324が嵌合されている。これにより、微細化ユニット3は、ケーシング2に対して着脱可能に取り付けられている。
【0033】
微細化ユニット3は、入口開口3aが端面に形成された入口ブロック320と、整流体6が内蔵された整流ブロック321と、有孔振動体としてのオリフィス振動部材5が内蔵された振動ブロック322と、出口管324が端面に形成された出口ブロック323とが順次連結されて形成されている。これらの入口ブロック320、整流ブロック321、振動ブロック322及び出口ブロック323は、各々の縁端部に螺旋溝が形成されており、各縁端部の螺旋溝が互いに螺合して、互いに分離可能に連結されている。なお、入口ブロック320、整流ブロック321、振動ブロック322及び出口ブロック323は、軸方向に延びるロッド等によって、互いに分離可能に連結されてもよい。入口ブロック320、整流ブロック321、振動ブロック322及び出口ブロック323の内部には、入口開口3aから流入した混合流体を出口管324に導く流路4が形成されている。
【0034】
有孔振動体としてのオリフィス振動部材5は、図2の平面図に示すように、円盤状の板状体50と、この板状体50に偏心して形成された円形の流通孔51と、この流通孔51の縁から板状体50の縁に向かって放射状に形成された複数のスリット52,52,・・・を有する。スリット52,52,・・・は、流通孔51の縁の略等角度間隔をおいた位置から延在している。板状体50の縁と流通孔51の縁との間の距離が短い部分に位置するスリット52は短く形成され、板状体50の縁と流通孔51の縁との間の距離が長い部分に位置するスリット52は長く形成されている。また、板状体50の中心と流通孔51の中心とを結ぶ線に関して対象位置にあるスリット52が、互いに同じ長さに形成されている。板状体50の流通孔51に隣接する部分であって、流通孔51の縁と、スリット52,52とで規定される略台形の部分は、流通孔51を混合流体が流れる際に振動する振動部53になっている。
【0035】
整流体6は、球形状を有し、表面から整流ブロック321の径方向に延びる棒状の4つのアーム61により、整流体6の表面と整流ブロック321の内側面との間隔が周方向において概ね均一に保持された状態で、整流ブロック321内に固定されている。
【0036】
ケーシング2の内側面と、微細化ユニット3の外側面との間は、ケーシング2の入口開口2aから流入した混合流体で満たされるように形成されている。
【0037】
ケーシング2の入口管24には、空気と水を混合する前混合装置が接続されている。前混合装置としては、例えば、水を加圧するポンプと、ポンプの吐出側に配置されて空気を吐出するエジェクタノズルとを備え、ポンプが吐出する圧力水にエジェクタノズルで空気を混合させるものを用いることができる。なお、前混合装置としては、公知の気液混合ポンプを用いてもよい。
【0038】
上記微細化混合装置1は、次のように作動する。まず、前混合装置が起動し、気泡を含んだ水である混合流体が、図示しない供給管を経て入口開口2aに供給される。前混合装置から供給される混合流体の気泡は、直径が約100μm〜数ミリ程度であるのが好ましい。また、供給される混合流体は、入口管24の入口開口2aにおいて、流速が約1〜50L/min、かつ、圧力が約0.1〜5MPaであるのが好ましい。この混合流体は、水が0.8〜40L/min、空気が0.2〜10L/minの割合で混合されている。
【0039】
入口開口2aから入口管24を通ってケーシング2内に流入した混合流体は、ケーシング2の内側面と微細化ユニット3の外側面との間を満たした後、入口開口3aから微細化ユニット3の内部に流入する。
【0040】
微細化ユニット3内に流入した混合流体は、流路4を通過する過程で、気泡が微細化される。すなわち、まず、混合流体が、整流ブロック321の内側面と、球状の整流体6の表面との間を通過して整流される。整流された混合流体は、振動ブロック322に導かれ、オリフィス振動部材5の流通孔51を通過するに伴って流速が上昇すると共に、オリフィス振動部材5の下流側の圧力が低下する。この圧力の変化と流れの力により、オリフィス振動部材5の振動部53が振動する。この混合流体が流通孔51を通過する際の圧力及び流れの作用と、オリフィス振動部材5の振動部53の振動作用により、混合流体の気泡が微細化され、直径が10nm以上50μm以下のマイクロナノバブルが生成される。こうしてオリフィス振動部材5で生成されたマイクロナノバブルを含む微細化混合流体は、微細化ユニット3の出口管324とケーシング2の出口管25を通って外部へ排出される。
【0041】
この微細化混合装置1は、オリフィス振動部材5と整流体6を有する微細化ユニット3を備えるので、ナノバブルを含んだ微細化混合流体を、効率良く生成することができる。また、気泡の微細化を行う部分であって、洗浄や補修の対象となる微細化ユニット3が、ケーシング2内に着脱可能に取り付けられている。したがって、微細化ユニット3をケーシング2から取り外すことにより、微細化ユニット3の洗浄や補修を容易に行うことができる。
【0042】
さらに、微細化ユニット3は、入口ブロック320、整流ブロック321、振動ブロック322及び出口ブロック323が、互いに分離可能に連結されて形成されている。したがって、互いのブロックを分離することにより、整流ブロック321の整流体6や、振動ブロック322のオリフィス振動部材5に対して、容易に洗浄や補修を行うことができる。
【0043】
さらに、微細化ユニット3には、オリフィス振動部材5の動作によって振動が生じるが、ケーシング2の内側面と、微細化ユニット3の外側面との間を、気泡の微細化を行う前の混合流体で満たすので、微細化ユニット3からケーシング2に伝わる振動を緩和することができる。また、微細化ユニット3の内外の圧力差を少なくして、耐圧性を高めることができる。また、微細化ユニット3の内部から混合流体が漏れても、ケーシング2内で混合流体を回収することができるので、ケーシング2外への混合流体の漏れを防止できる。
【0044】
また、本実施形態の微細化混合装置1は、ケーシング2内に、オリフィス振動部材5と整流体6を有する微細化ユニット3を備えるという比較的簡易な構成により、マイクロナノバブルを生成することができる。したがって、この微細化混合装置1は小型化が容易であり、また、少ない部品点数で作成できて、コスト削減を容易に行うことができる。また、本実施形態の微細化混合装置1は、従来の旋回状の流路と突起が設けられた流路とを備えるナノバブル生成装置よりも、混合流体に生じる圧力損失が小さい。したがって、従来よりも低圧及び低流速で動作できるので、耐圧対策を簡素にでき、コスト削減を行うことができる。
【0045】
この微細化混合装置1により生成したマイクロナノバブルを含む微細化混合流体は、ミクロンレベルの気泡を含む水と比較して特有の物理化学特性を有し、例えば、水質浄化や、魚介類の養殖における成長促進や、植物の栽培促進に利用することができる。なお、本実施形態の微細化混合装置1は、微細化混合流体の使用目的に応じて、空気に替えて酸素や他の気体を混合することができる。
【0046】
(第2実施形態)
図3は、本発明の第2実施形態の微細化混合装置を示す縦断面図である。この微細化混合装置11は、液体としての水の中に分散された気体としての空気を微細化し、マイクロナノバブル生成する微細化混合装置である。
【0047】
この微細化混合装置1は、円筒形状のケーシング20内に、複数のブロック302,303,・・・で形成された微細化ユニット30が収容されて構成されている。この微細化ユニット30は大略円筒形状を有し、ケーシング2と同心に配置されている。微細化ユニット30は、軸方向に連ねた5個の振動ブロック303,303,・・・と、これら振動ブロック303,303,・・・の両端に配置された環状の端部ブロック302,302と、これら端部ブロック302,302の両端に配置された端面板301,304と、端面板301,304を互いに対向する側に圧迫するロッド306及びボルト307を備える。なお、微細化ユニット30を構成する振動ブロック303の数は、5個以外であってもよい。
【0048】
ケーシング20は、筒状の胴部21の両端に設けられたフランジに、円盤状の端面板22,23が固定されて形成されている。一方の端面板22の中央には、先端に入口開口20aを有する筒状の入口管24が貫通して固定されており、他方の端面板23の中央には、先端に出口開口20bを有する筒状の出口管25が貫通して固定されている。
【0049】
図4は、微細化ユニット30を形成する振動ブロック303の一部を除去して示した斜視図である。振動ブロック303は、概ね円筒形状のプラスチック製のブロック本体330と、このブロック本体330の一端側に開口して軸方向に延在する有底孔で形成された気体溜り7と、この気体溜り7と平行に形成された貫通孔41で概ね形成されている。貫通孔41の軸方向の略中央には、第1実施形態と同様のオリフィス振動部材5が、貫通孔41の横断方向に延在するように内蔵されている。ブロック本体330の一方の端面には、気体溜り7の開口の縁部と、貫通孔41の一端面側の縁部との間を接続する溝で形成された連通路331が設けられている。振動ブロック303には、端面側から見て気体溜り7と貫通孔41とを結ぶ線の両側に、ロッド306が挿通される2つのロッド孔332,332が貫通して形成されている。
【0050】
図5は、微細化ユニット30の入口側の端面板304を示す斜視図である。入口側の端面板304は円盤状をなし、中央部寄りの部分に複数の小径の貫通孔341,341,・・・が形成されている。これら貫通孔341,341,・・・は微細化ユニット30の入口開口として機能し、これら貫通孔341,341,・・・を有する端面板304は、微細化ユニット30の流路4への異物の流入を防止するフィルタとして機能する。端面板304の線対称位置には、2つのロッド孔342,342が形成されている。
【0051】
微細化ユニット30の出口側の端面板301は、中央に出口管305が貫通して設けられており、この出口管305は、ケーシング20の出口管25の内側に嵌合している。この出口管305により、微細化ユニット30がケーシング20に着脱可能に連結されている。出口側の端面板301には、出口管305の両側にロッド孔が形成されている。入口側の端面板304、端部ブロック302、5個の振動ブロック303,303,・・・、端部ブロック302及び出口側の端面板301の各々のロッド孔にロッド306,306が挿通されている。これらロッド306,306の両端に螺着したボルト307,307で出入口側の端面板301,304を対向方向に互いに圧迫して、微細化ユニット30の構成部材を互いに連結して固定している。
【0052】
微細化ユニット30内には、5個の振動ブロック303,303,・・・と端部ブロック302が互いに連結されることにより、振動ブロック303,303,・・・の貫通孔41,41,・・・と端部ブロック302の内部が連通して、混合流体の流路4が形成されている。振動ブロック303の一端面に形成された有底孔の開口が、隣接する振動ブロック303又は入口側の端面板304で閉鎖されて、各振動ブロック303,303,・・・毎に気体溜り7,7,・・・が形成されている。これら気体溜り7,7,・・・は、各振動ブロック303,303,・・・毎に形成された連通路331,331,・・・を通して流路4に連通している。
【0053】
流路4を横断して各振動ブロック303,303,・・・毎に設けられたオリフィス振動部材5,5,・・・は、隣接するオリフィス振動部材5,5の間で、流通孔51の位置が軸方向視において異なるように配置されている。これにより、流路4に形成する混合流体の流れを適切に乱して、混合流体に含まれる気泡の微細化を促進するようになっている。
【0054】
ケーシング20の内側面と、微細化ユニット30の外側面との間は、ケーシング20の入口開口20aから流入した混合流体で満たされるように形成されている。
【0055】
ケーシング20の入口管24には、第1実施形態と同様に、空気と水を混合する前混合装置が接続されている。
【0056】
上記微細化混合装置11は、次のように作動する。まず、前混合装置が起動し、気泡を含んだ水である混合流体が、図示しない供給管を経て入口開口20aに供給される。入口開口20aから入口管24を通ってケーシング20内に流入した混合流体は、ケーシング20の内側面と微細化ユニット30の外側面との間を満たした後、端面板304の貫通孔341,341,・・・から微細化ユニット30の内部に流入する。
【0057】
微細化ユニット30内に流入した混合流体は、流路4を通過する過程で、気泡が微細化される。すなわち、混合流体が端部ブロック302内を通って振動ブロック303の貫通孔41に流入し、貫通孔41内に配置されたオリフィス振動部材5の流通孔51を通過する。このとき、オリフィス振動部材5の上下流の間に生成される圧力変化と流れの力により、オリフィス振動部材5の振動部53が振動し、この振動が混合流体に付与される。ここで、混合流体から分離した空気や作動当初に流路4に存在した空気が、流路4に連通する気体溜り7に溜まった状態で、流路4を混合流体が流れる。これにより、流路4を流れる混合流体の流れと圧力の変動に緩衝作用が付与される。上記オリフィス振動部材5の流通孔51を混合流体が通過する際の圧力及び流れの作用と、オリフィス振動部材5の振動部53の振動作用と、気体溜り7の緩衝作用が、5個の振動ブロック303,303,・・・によって混合流体に付与され、混合流体に含まれる気泡が効果的に微細化される。こうして微細化された気泡は、直径が10nm以上50μm以下のマイクロナノバブルとなり、このマイクロナノバブルを含む微細化混合流体は、微細化ユニット30の出口管305とケーシング20の出口管25を通って外部へ排出される。この微細化混合装置10は、直径が10nm以上50μm以下の空気のマイクロナノバブルを含んだ水を、約1〜50L/minの割合で生成する能力を有する。
【0058】
本実施形態の微細化混合装置10は、オリフィス振動部材5と気体溜り7を有する振動ブロック303が5個連なって形成された微細化ユニット30を備えるので、ナノバブルを含んだ微細化混合流体を効率良く生成することができる。また、気泡の微細化を行う部分であって、洗浄や補修の対象となる微細化ユニット30が、ケーシング20に対して着脱可能に形成されている。したがって、微細化ユニット30をケーシング20から取り外すことにより、微細化ユニット30の洗浄や補修を容易に行うことができる。
【0059】
さらに、微細化ユニット30は、端面板301,304、端部ブロック302及び振動ブロック303が、互いに分離可能に連結されて形成されている。したがって、端面板301,304及びブロック302,303を分離することにより、振動ブロック303のオリフィス振動部材5や気体溜り7に対して、容易に洗浄や補修を行うことができる。
【0060】
さらに、ケーシング2の内側面と微細化ユニット30の外側面との間が混合流体で満たされるので、動作時に微細化ユニット30からケーシング20に伝わる振動を緩和することができる。また、ケーシング2の内側面と微細化ユニット30の外側面との間の混合流体により、微細化ユニット30の内外の圧力差を少なくして、耐圧性を高めることができる。また、微細化ユニット30の内部から混合流体が漏れても、ケーシング2内で混合流体を回収することができるので、ケーシング2外への混合流体の漏れを防止できる。特に、微細化ユニット30を形成する端面板301,304やブロック302,303の連結部から混合流体が漏れても、漏れた混合流体を効果的に回収でき、また、ケーシング2外への混合流体の漏れを防止できる。
【0061】
また、微細化ユニット30を、オリフィス振動部材5及び気体溜り7を有する複数の振動ブロック303で構成するので、この振動ブロック303の個数を適宜変更することにより、混合流体の種類や、生成すべき気泡の寸法及び濃度に対応することができる。したがって、共通の部品を用いることにより、安価でありながら汎用性の高い微細化混合装置が得られる。
【0062】
なお、ケーシング20の内側面と微細化ユニット30の外側面との間には、混合流体と共に、混合流体から分離した気体が溜まってもよい。すなわち、ケーシング20と微細化ユニット30との間には、気体溜りが形成されてもよい。
【0063】
(第3実施形態)
図6は、本発明の第3実施形態の微細化混合装置が備える微細化ユニット31を示す縦断面図である。この微細化ユニット31は、図示しないが、第2実施形態の微細化混合装置11のケーシング20と同じケーシングに装着されて微細化混合装置を形成する。本実施形態において、第2実施形態と同様の構成部分には同じ参照番号を引用して、詳細な説明を省略する。
【0064】
この微細化ユニット31は、2つの振動ブロック303,313と、3つの整流ブロック308,309,310を備える。2つの振動ブロック303,313と、2つの整流ブロック308,309は、気体溜り7と貫通孔41を有する同じ形状のブロック本体330を用いて形成されている。一方、1つの整流ブロック310は、他の整流ブロック308,309及び振動ブロック303,313と比較して、気体溜り7を有さないが、外径寸法が略同じに形成されている。
【0065】
微細化ユニット31が備える一方の振動ブロック303は、第2実施形態の微細化ユニット30が備えるものと同様の構造を有し、ブロック本体330の貫通孔41に、1つのオリフィス振動部材5が配置されている。他方の振動ブロック313は、ブロック本体330の貫通孔41に、3つのオリフィス振動部材5が設けられている。図7は、他方の振動ブロック313を示す断面図であり、ブロック本体330の貫通孔41に、この貫通孔41の横断方向に延在するオリフィス振動部材5が、貫通孔41の軸方向に3つ配列されている。
【0066】
図8Aは、微細化ユニット31の第1の整流ブロック308を示す正面図であり、図8Bは、整流ブロック308の縦断面図である。この整流ブロック308は、ブロック本体330の貫通孔41に、双円錐形状の整流体62が配置されている。整流体62は、2つの同じ形状の円錐を底面同士で結合したような双円錐形状を有し、2つの尖端の間を結ぶ中心軸が、貫通孔41の軸と一致するように配置されている。整流体62は、軸方向の中央に形成された環状の峰から、貫通孔41の内側面に向かって径方向に延在する4つのアーム63,63,・・・により、貫通孔41内に固定されている。これにより、整流体62の外周面と、貫通孔41の内周面との間隔が、周方向において概ね均一に保持されている。
【0067】
図9は、微細化ユニット31の第2の整流ブロック309を示す縦断面図である。この整流ブロック309は、ブロック本体330の貫通孔41に、第1実施形態と同様の球状の整流体6が配置されている。この整流体6は、表面から貫通孔41の径方向に延びる棒状の4つのアーム61,61,・・・により、整流体6の表面と貫通孔41の内側面との間隔が周方向において概ね均一に保持された状態で、貫通孔41内に固定されている。
【0068】
図10は、微細化ユニット31の第3の整流ブロック310を示す縦断面図である。この整流ブロック310は、有底孔による気体溜りを有しなくて、貫通孔41のみを有する大略円筒形状のブロック本体340を用いて形成されている。このブロック本体340の貫通孔41に、半球ドーム形状の整流体64が配置されている。この整流体64は、貫通孔41に形成される混合流体の流れの上流側に、半球ドームの頂点を向けた状態で、貫通孔内に固定されている。整流体64は、下流側の環状の縁から貫通孔41の径方向に延びる棒状の4つのアーム65,65,・・・により、整流体64の表面と貫通孔41の内側面との間隔が周方向において概ね均一に保持された状態で、貫通孔41内に固定されている。半球ドーム形状の整流体64は、貫通孔41内の流れの下流側に内部を開放している。この半球ドーム形状の整流体64の内部が、気体溜りを兼ねるようになっている。
【0069】
微細化ユニット31は、図6に示すように、入口側の端面板304から出口側の端面板301に向かって順に、環状の端部ブロック302と、第1の整流ブロック308と、第2の整流ブロック309と、3つのオリフィス振動部材5を有する振動ブロック313と、第3の整流ブロック310と、1つのオリフィス振動部材5を有する振動ブロック303と、環状の端部ブロック302とが配列されて形成されている。これらのブロックに形成されたロッド孔にロッド306が挿通され、ロッド306の両端に螺着したボルト307によって出入口側の端面板301,304が対向方向に圧迫されて、微細化ユニット31の構成部材が互いに連結固定されている。この微細化ユニット31内には、上記入口側及び出口側の端部ブロック302,302の内部と、各ブロック308,309,313,310,303の貫通孔41が連通して、混合流体の流路4が形成されている。この流路4には、第3の整流ブロック310以外のブロック308,309,313,303に形成された気体溜り7が、各ブロックに形成された連通路331,331,・・・を介して連なっている。
【0070】
本実施形態の微細化ユニット31を有する微細化混合装置が作動すると、ケーシング20の入口開口20aからケーシング20内に、空気の泡が水に混合されてなる混合流体が供給され、この混合流体は、ケーシング20の内側面と微細化ユニット31の外側面との間を満たした後、端面板304の貫通孔341,341,・・・から微細化ユニット31の内部に流入する。
【0071】
微細化ユニット31内に流入した混合流体は、流路4を通過する過程で、気泡が微細化される。すなわち、まず、混合流体が端部ブロック302内を通って第1の整流ブロック308に流入し、貫通孔41の内側面と、双円錐形状の整流体62の外側面との間を流れる際に整流される。ここで、整流ブロック308の気体溜り7の緩衝作用により、混合流体が効果的に整流される。第1の整流ブロック308で整流された混合流体は、第2の整流ブロック309で更に整流され、振動ブロック313に流入する。振動ブロック313では、貫通孔41に設けられた3つのオリフィス振動部材5の流通孔51を混合流体が通過する際の圧力及び流れの作用と、オリフィス振動部材5の振動部53の振動作用と、気体溜り7の緩衝作用により、気泡が微細化される。気泡が微細化された混合流体は、第3の整流ブロック310で整流される。第3の整流ブロック310では、混合流体が半球ドーム形状の整流体64の外側面と、貫通孔41の内側面との間を流れる際に整流される。ここで、気体溜りを兼ねる半球ドーム形状の整流体64の内部に、混合流体から分離した気体が溜まり、これにより、流れと圧力の緩衝作用が混合流体へ与えられる。第3の整流ブロック310で整流された混合流体は、振動ブロック303で気泡が更に微細化され、微細化ユニット31の出口管305とケーシング20の出口管25を通って外部へ排出される。この微細化ユニット31を備える微細化混合装置は、直径が10nm以上50μm以下の空気のマイクロナノバブルを含んだ水を、約1〜50L/minの割合で生成する能力を有する。
【0072】
本実施形態の微細化混合装置の微細化ユニット31は、双円錐形状の整流体62と気体溜り7を有する整流ブロック308と、球形状の整流体6と気体溜り7を有する整流ブロック309とで整流を行った後、3つのオリフィス振動部材5と気体溜り7を有する振動ブロック313で微細化を行い、更に、内部が気体溜り7を兼ねる整流体64を有する整流ブロック310で整流を行った後、1つのオリフィス振動部材5と気体溜り7を有する振動ブロック303で微細化を行うので、水中の気泡を効果的に微細化して、ナノバブルを生成することができる。
【0073】
なお、本実施形態の微細化混合装置は、ケーシング20と微細化ユニット31との間に、気体溜りが形成されてもよい。
【0074】
(第4実施形態)
図11は、本発明の第4実施形態の微細化混合装置12を示す縦断面図である。この微細化混合装置12は、液体としての水の中に分散された気体としての空気を微細化し、マイクロナノバブルを生成するものである。この微細化混合装置12は、第2実施形態の微細化混合装置11と同様のケーシング20内に、円筒形状の微細化ユニット35が着脱可能に取り付けられている。本実施形態において、第2実施形態と同様の構成部分には同じ参照番号を引用して、詳細な説明を省略する。
【0075】
この微細化混合装置12の微細化ユニット35は、入口側の端面板304と、出口側の端面板301との間に、複数のリングブロック350と振動ダイヤフラム352とで形成された複数の室357,357,・・・を備える。
【0076】
図12は、リングブロック350を示す斜視図である。リングブロック350は、軸方向断面が矩形のリングで形成され、軸方向に延在するロッド孔351,351,・・・が周方向に等間隔をおいて4つ形成されている。
【0077】
図13は、有孔振動体としての振動ダイヤフラム352を示す斜視図である。振動ダイヤフラム352は、円盤状のダイヤフラム本体352に、偏心した位置に形成された円形の流通孔353と、この流通孔353の縁から放射状に形成された複数のスリット354,354,・・・を有する。これらスリット354,354,・・・は、流通孔353に関する点対称位置にあるものが、互いに長さが異なるように形成されている。ダイヤフラム本体352の流通孔353に隣接する部分であって、流通孔353の縁と、スリット354,354とで規定される略台形の部分は、流通孔353を混合流体が流れる際に振動する振動部355になっている。ダイヤフラム本体352には、法線方向に延在するロッド孔356,356,・・・が周方向に等間隔をおいて4つ形成されている。
【0078】
微細化ユニット35内の室357,357,・・・は、円筒形状を有し、周面がリングブロック350で区画され、端面が振動ダイヤフラム352又は端面板301,304で区画されている。室357,357,・・・は、入口側から出口側に向かって、3つの室毎に軸方向の長さが短く形成されている。すなわち、入口側の端面板304に近い3つの室357,357,357は3つのリングブロック350,350,350で形成され、これらより出口側に位置する3つの室357,357,357は2つのリングブロック350,350で形成され、これらより出口側に位置して端面板301に近い3つの室357,357,357は1つのリングブロック350で形成されている。これにより、入口側の端面板304から出口側の端面板301に向かうにつれて、3つの室357,357,357毎に容積が小さくなっている。
【0079】
各室357,357,・・・の間の振動ダイヤフラム352の流通孔353は、微細化ユニット35の軸方向視において、隣接する振動ダイヤフラム352の間で異なる位置に配置されている。
【0080】
上記室357,357,・・・には、各振動ダイヤフラム352の流通孔353を通して互いに連通し、入口側の端面板304の貫通孔341,341,・・・から出口側の端面板301に設けられた出口管305に至る流路4が形成される。また、上記室357,357,・・・の内部には、流路4を流れる混合流体から分離した空気が上部に溜まるようになっている。すなわち、上記室357,357,・・・は、流路4と気体溜りを兼ねている。
【0081】
本実施形態の微細化混合装置12が作動すると、ケーシング20の入口開口20aからケーシング20内に、空気の泡が水に混合されてなる混合流体が供給され、この混合流体は、ケーシング20の内側面と微細化ユニット35の外側面との間を満たした後、端面板304の貫通孔341,341,・・・から微細化ユニット35の内部に流入する。
【0082】
微細化ユニット35内に流入した混合流体は、流路4を通過する過程で、気泡が微細化される。すなわち、まず、端面板304に隣接する室357に流入した混合流体が、振動ダイヤフラム352の流通孔353を通り、出口側に隣接する室357に流入する。このとき、振動ダイヤフラム352の上下流の間に生成される圧力変化と流れの力により、振動ダイヤフラム352の振動部355が振動し、この振動が混合流体に付与される。ここで、混合流体から分離した空気や作動当初に流路4に存在した空気が、室357内の一部に溜まった状態で、流路4を混合流体が流れる。これにより、流路4を流れる混合流体の流れと圧力の変動に緩衝作用が付与される。上記振動ダイヤフラム352の流通孔353を混合流体が通過する際の圧力及び流れの作用と、振動ダイヤフラム352の振動部355の振動作用と、室357内の気体の緩衝作用が混合流体に付与され、混合流体の気泡が効果的に微細化される。混合流体は、入口側の端面板304から出口側の端面板301までの間の9つの室357,357,・・・を流れる間に微細化され、直径が10nm〜数10μmのマイクロナノバブルが生成される。こうして生成されたマイクロナノバブルを含む微細化混合流体は、微細化ユニット35の出口管305とケーシング2の出口管25を通って外部へ排出される。この微細化混合装置12は、直径が10nm以上50μm以下の空気のマイクロナノバブルを含んだ水を、約1〜50L/minの割合で生成する能力を有する。
【0083】
本実施形態の微細化混合装置12によれば、リングブロック350とダイヤフラム352を用いて、少ない種類の部品で微細化ユニット35を構成するので、コストダウンを行うことができる。また、微細化ユニット35の構造が簡単であるので、故障を少なくできる。また、微細化ユニット35は、リングブロック350とダイヤフラム352に分離できるので、洗浄や補修を容易に行うことができる。また、所定の室357を形成するリングブロック350の個数を調整することにより、微細化ユニット35に設ける室357の数や容量を適宜設定することができる。したがって、微細化混合装置12の性能を、混合流体の種類や、微細化すべき流体の量に応じて設定することができ、高い汎用性の微細化混合装置12が得られる。
【0084】
なお、本実施形態の微細化混合装置12は、ケーシング20と微細化ユニット35との間に、気体溜りが形成されてもよい。
【0085】
(第5実施形態)
図14は、本発明の第5実施形態の微細化混合装置13を示す縦断面図である。この微細化混合装置13は、液体としての水の中に分散された気体としての空気を微細化し、マイクロナノバブルを生成するものである。この微細化混合装置13は、第2実施形態の微細化混合装置11と同様のケーシング20内に、円筒形状の微細化ユニット36が着脱可能に取り付けられている。本実施形態において、第2実施形態と同様の構成部分には同じ参照番号を引用して、詳細な説明を省略する。
【0086】
この微細化混合装置13の微細化ユニット36は、入口側の端面板304と、出口側の端面板301との間に、整流体361と振動ダイヤフラム362を有する整流振動ブロック360が5個配列されて形成されている。なお、微細化ユニット36を構成する整流振動ブロック360の数は、5個以外であってもよい。整流振動ブロック360は、筒状のブロック本体内に、整流体361と振動ダイヤフラム362が同軸に配置されている。配列された整流振動ブロック360のブロック本体内に、混合流体の流路4が形成される。
【0087】
整流体361は半球ドーム形状を有し、ブロック本体内に軸方向に形成される混合流体の流れの上流側に、半球ドームの頂点を向けた状態で配置されている。整流体361は、半球ドームの内側に、軸方向に延びるスリーブが形成されており、このスリーブに挿通されるロッド306によって、ブロック本体内に保持されている。半球ドーム形状の整流体361は、ブロック本体内に形成される混合流体の流れの下流側に、内部を開放している。この半球ドーム形状の整流体361の内部が、気体溜りを兼ねるようになっている。
【0088】
図15は、有孔振動体としての振動ダイヤフラム362を示す斜視図である。振動ダイヤフラム362は、円盤状のダイヤフラム本体362に、このダイヤフラム本体362と同心の円形の貫通孔363が形成されている。この貫通孔363の縁から、複数のスリット364,364,・・・が放射状に形成されている。これらスリット364,364,・・・は、貫通孔363に関する点対称位置にあるものが、互いに長さが異なるように形成されている。ダイヤフラム本体362の貫通孔363に隣接する部分であって、貫通孔363の縁と、スリット364,364とで規定される略台形の部分は、貫通孔363を混合流体が流れる際に振動する振動部365になっている。この貫通孔363内に、整流体361を保持するロッド306とスペーサ363が、貫通孔363の内周面と隙間をおいた状態で挿通されて配置される。
【0089】
微細化ユニット36の入口側の端面板304には、中央にロッド孔が形成され、このロッド孔の回りに、微細化ユニット36の入口開口である複数の貫通孔341,341,・・・が形成されている。
【0090】
微細化ユニット36の出口側の端面板301には、中央にロッド孔が形成され、このロッド孔の回りに複数の貫通孔343,343,・・・が形成されていると共に、これら貫通孔343,343,・・・を取り囲むように出口管305が連結されている。出口管305は、ケーシング20の出口管25の内側に嵌合しており、この出口管305により、微細化ユニット36がケーシング20に着脱可能に連結されている。
【0091】
入口側の端面板304と、出口側の端面板301との間に5つの整流振動ブロック360が配列され、入口側の端面板304の中央と出口側の端面板301のロッド孔に、ロッド306が挿通されている。ロッド306には、整流振動ブロック360毎に、整流体361と、スリーブ状のスペーサ363とが装着される。このスペーサ363により、隣り合う整流体361を軸方向の所定位置に保持するようになっている。上記ロッド306の両端に螺着したボルト307,307で出入口側の端面板301,304を対向方向に互いに圧迫して、ブロック本体を互いに連結して固定している。
【0092】
本実施形態の微細化混合装置13が作動すると、ケーシング20の入口開口20aからケーシング20内に、空気の泡が水に混合されてなる混合流体が供給され、この混合流体は、ケーシング20の内側面と微細化ユニット36の外側面との間を満たした後、端面板304の貫通孔341,341,・・・から微細化ユニット36の内部に流入する。
【0093】
微細化ユニット36内に流入した混合流体は、流路4を通過する過程で、気泡が微細化される。すなわち、まず、端面板304に隣接する整流振動ブロック360内に流入した混合流体が、半球ドーム形状の整流体361の外側面と、ブロック本体の内側面との間を流れる際に整流される。ここで、半球ドーム形状の整流体361の内部に、混合流体から分離した気体が溜まり、これにより、流れと圧力の緩衝作用が混合流体へ与えられて、混合流体が効果的に整流される。整流体361で整流された混合流体は、振動ダイヤフラム362の貫通孔363の縁と、スペーサ363の外周面との間を流れ、このときに振動ダイヤフラム362の上下流の間に生成される圧力変化と流れの力により、振動ダイヤフラム362の振動部365が振動し、この振動が混合流体に付与される。この混合流体の圧力及び流れの作用と、振動ダイヤフラム362の振動部365の振動作用と、整流体361の内部の気体による緩衝作用により、気泡が微細化され、直径が10nm〜数10μmのマイクロナノバブルが生成される。こうして生成されたマイクロナノバブルを含む微細化混合流体は、出口側の端面板301の貫通孔343,343,・・・から出口管305に流出し、この出口管305とケーシング2の出口管25を通って外部へ排出される。この微細化混合装置13は、直径が10nm以上50μm以下の空気のマイクロナノバブルを含んだ水を、約1〜50L/minの割合で生成する能力を有する。
【0094】
本実施形態の微細化混合装置13によれば、整流体361と振動ダイヤフラム362を有する整流振動ブロック360を複数個用いて微細化ユニット36を構成するので、同一の構造の整流振動ブロック360を用いて比較的安価に、しかも、効果的にマイクロナノバブルを生成することができる。また、整流振動ブロック360は、中心軸まわりに回転対称の形状を有するので、微細化混合装置13の設置姿勢を中心軸まわりの任意の方向に設定することができる。したがって、微細化混合装置13を容易に設置でき、また、車両等のような重力の作用方向が変動する環境に設置しても、安定して作動することができる。このため、本実施形態の微細化混合装置13は、車両に搭載され、例えば水と軽油を混合して水又は軽油を微細化して燃料を生成する用途に用いることができる。
【0095】
本実施形態の微細化混合装置13は、入口開口20aを上側に向けると共に出口開口20bを下側に向けて、ケーシング20の中心軸が概ね鉛直方向に延在する姿勢で用いられるのが好ましい。これにより、半球ドーム形状の整流体361の内部に効果的に気体を溜めることができ、混合流体の流れと圧力の緩衝作用を効果的に発揮することができる。なお、微細化混合装置13が重力の作用方向が変動する環境に設置される場合、ケーシング20の中心軸が概ね鉛直方向に一定の割合で保持されればよく、常に鉛直方向に保持されなくてもよい。
【0096】
また、本実施形態の微細化混合装置13によれば、微細化ユニット36が、個々の整流振動ブロック360に分離できるので、洗浄や補修を容易に行うことができる。また、微細化ユニット36を構成する整流振動ブロック360の個数を調整することにより、微細化混合装置13の性能を、混合流体の種類や、微細化すべき流体の量に応じて設定することができ、高い汎用性の微細化混合装置13が得られる。
【0097】
なお、本実施形態の微細化混合装置13は、ケーシング20と微細化ユニット36との間に、気体溜りが形成されてもよい。
【0098】
(第6実施形態)
図16は、本発明の第6実施形態の微細化混合装置14を示す縦断面図である。この微細化混合装置14は、液体としての水の中に分散された気体としての空気を微細化し、マイクロナノバブルを生成するものである。この微細化混合装置14は、第2実施形態の微細化混合装置11と同様のケーシング20内に、微細化ユニット37が着脱可能に取り付けられている。本実施形態において、第2実施形態と同様の構成部分には同じ参照番号を引用して、詳細な説明を省略する。
【0099】
この微細化混合装置14の微細化ユニット37は、入口側の端面仕切板377と、出口側の端面連結板376との間に、両端の接続管378,378を介して5個の緩衝ブロック370,370,・・・が配列されて固定されている。なお、微細化ユニット37を構成する緩衝ブロック370の数は、5個以外であってもよい。接続管378と緩衝ブロック370との間と、緩衝ブロック370,370の相互の間には、有孔振動体としての振動ダイヤフラム375,375,・・・が挟持されている。
【0100】
入口側の端面仕切板377は、ケーシング20の端面板22に対向して、ケーシング20の内部を軸直角方向に横断するように配置されている。端面仕切板377は、概ね中央に形成されたロッド孔と、このロッド孔のまわりに形成された複数の内周側貫通孔377a,377a,・・・と、内周側貫通孔377a,377a,・・・の外側を取り囲むように形成された外周側貫通孔377b,377b,・・・を有する。端面仕切板377のケーシング2の対面板22と反対側の面に、微細化ユニット37の接続管378が連なっており、この接続管378の内側に、内周側貫通孔377a,377a,・・・が開口している。
【0101】
出口側の端面連結板376は、ケーシング20の出口管25の内側の先端に連結されており、出口管25の内部に臨む位置に、ロッド孔と、複数の貫通孔376a,376a,・・・が形成されている。端面連結板376の出口管25と反対側の面に、微細化ユニット37の接続管378が連なっており、この接続管378の内側に、貫通孔376a,376a,・・・が開口している。
【0102】
微細化ユニット37の接続管378は、径方向よりも軸方向の寸法が短い短管で形成され、軸方向の両端にフランジが形成されている。緩衝ブロック370は、ケーシング20の軸方向に延在する流路管部371と、流路管部371の側面から径方向に突出する緩衝管部372を有する。緩衝環部372は、中心軸が流路管部371の中心軸と直角に延在する短管で形成され、先端が閉鎖されている。緩衝ブロック370内には、流路管部371の中心軸の延長線と、緩衝環部372の中心軸との交点に中心が位置するように、球状の整流体373が配置されている。整流体373は、径方向に延びる貫通孔を有し、この貫通孔に挿通されたロッド306によって保持されている。
【0103】
振動ダイヤフラム375は、第5実施形態の振動ダイヤフラム362と同様に、円盤状のダイヤフラム本体に同心の円形の貫通孔を有し、この貫通孔の縁から、複数のスリットが放射状に形成されている。これらスリットは、貫通孔に関する点対称位置にあるものが、互いに長さが異なるように形成されている。ダイヤフラム本体の貫通孔に隣接する部分であって、貫通孔の縁と、スリットとで規定される略台形の部分が、貫通孔を混合流体が流れる際に振動する振動部になっている。この貫通孔内に、整流体373を保持するロッド306と図示しないスリーブ状のスペーサ379が、貫通孔の内周面と隙間をおいた状態で挿通されて配置される。
【0104】
入口側の端面仕切板377と出口側の端面連結板376との間に接続管378と緩衝ブロック370と振動ダイヤフラム375を配列し、各緩衝ブロック370内に整流体373を配置した状態で、端面仕切板377のロッド孔と、整流体373の貫通孔と、スペーサ379の内部と、端面連結板376のロッド孔とにロッド306が挿通される。このロッド306の両端に螺着したボルト307,307で端面仕切板377と端面連結板376を対向方向に互いに圧迫して、接続管378と緩衝ブロック370と振動ダイヤフラム375を互いに連結して固定している。互いに固定された接続管378の内部と、緩衝ブロック370の流通管部371の内部に、混合流体の流路4が形成される。
【0105】
本実施形態の微細化混合装置14が作動すると、ケーシング20の入口開口20aから入口管24に、空気の泡が水に混合されてなる混合流体が供給される。入口管24に供給された混合流体は、端面仕切板377の内周側貫通孔377aを通って微細化ユニット37に流入すると共に、端面仕切板377の外周側貫通孔377bを通って微細化ユニット37の外側面とケーシング20の胴部21の内側面との間に流入する。
【0106】
微細化ユニット37に流入した混合流体は、流路4を通過する過程で、気泡が微細化される。すなわち、まず、端面仕切板377から接続管378に流入した混合流体は、接続管378に隣接する振動ダイヤフラム375の貫通孔の縁と、スペーサ379の外周面との間を流れ、このときに振動ダイヤフラム375の上下流の間に生成される圧力変化と流れの力により、振動ダイヤフラム375の振動部365が振動し、この振動が混合流体に付与される。この混合流体の圧力及び流れの作用と、振動ダイヤフラム375の振動部の振動作用により、気泡が微細化される。振動ダイヤフラム375で微細化された混合流体は、緩衝ブロック370内に流入する。ここで、混合流体から分離した空気や作動当初に流路4に存在した空気が、緩衝管部372に溜まることにより、混合流体の流れと圧力の変動に緩衝作用が付与される。緩衝ブロック370内に流入した混合流体は、球状の整流体373の外周側を流れる際に整流され、この後、下流側の振動ダイヤフラム375に導かれて微細化される。緩衝ブロック370において、整流体373による整流効果と、振動ダイヤフラム375による微細化が、緩衝管部372の空気の緩衝作用によって促進される。混合流体が5つの緩衝ブロック370を流れるに伴い、気泡の直径が10nm〜数10μmに微細化されてマイクロナノバブルが生成される。こうして生成されたマイクロナノバブルを含む微細化混合流体は、出口側の端面連結板376の貫通孔376a,376a,・・・からケーシング2の出口管25に流出して外部へ排出される。この微細化混合装置14は、直径が10nm以上50μm以下の空気のマイクロナノバブルを含んだ水を、約1〜50L/minの割合で生成する能力を有する。
【0107】
本実施形態の微細化混合装置14によれば、整流体373を有する緩衝ブロック370と振動ダイヤフラム375を交互に連ねて微細化ユニット37を構成するので、同一の構造の緩衝ブロック370及び振動ダイヤフラム375を複数個用いて比較的安価に、しかも、効果的にマイクロナノバブルを生成することができる。
【0108】
また、本実施形態の微細化混合装置14によれば、微細化ユニット37が、個々の緩衝ブロック370と振動ダイヤフラム375に分離できるので、洗浄や補修を容易に行うことができる。また、微細化ユニット37を構成する緩衝ブロック370と振動ダイヤフラム375の個数を調整することにより、微細化混合装置14の性能を、混合流体の種類や、微細化すべき流体の量に応じて設定することができ、高い汎用性の微細化混合装置14が得られる。
【0109】
なお、本実施形態の微細化混合装置14は、ケーシング20と微細化ユニット37との間に、気体溜りが形成されてもよい。
【0110】
上記第1乃至第6実施形態の微細化混合装置は、混合流体として、媒体の液体としての水の中に混合された気体としての空気を微細化し、マイクロナノバブルを生成したが、他の液体に他の気体が混合された混合流体に対し、気体を微細化してもよい。また、媒体の液体に、他の液体が混合された混合流体に対し、いずれかの液体を微細化してもよい。
【0111】
媒体の液体に他の液体が混合された混合流体としては、水に油が混合された混合流体を例示することができ、この混合流体の水又は油を微細化して、水と油のエマルションを形成することができる。本発明の微細化混合装置で形成された水と油のエマルションは、ディーゼルエンジン、タービンエンジン又はボイラー等の燃料として用いることができる。本発明の微細化混合装置は、動力により駆動される部分が無いので、故障が少なく、また、分解が容易であり、清浄や補修が容易である。したがって、エンジンやボイラ等の燃料供給機構のコスト削減と、メンテナンス性の向上を図ることができる。
【0112】
また、本発明の微細化混合装置によって生成され、マイクロナノバブルを含む混合流体は、微細化された気体に応じて種々の処理用途に供することができる。例えば、微細化された空気を含む混合液は、処理対象に添加することにより、湖沼や河川の水質浄化や、下水処理や、水産業の養殖の促進や、農業の水耕栽培や、農業用水の浄化に用いることができる。また、微細化されたオゾンを含む混合液は、工業排水処理や、部品洗浄や、食品廃液の浄化等に用いることができる。
【0113】
また、本発明の微細化混合装置は、媒体の液体に固体が混合された混合流体に対し、固体を微細化して微細化混合流体を生成することもできる。このような混合流体として、媒体の水に有機固形物が混合された有機汚泥がある。本発明の微細化混合装置によれば、有機汚泥の有機固形物を微細化して水中に分散させ、有機固形物の凝集を促進することができる。この種の混合流体の他の例としては、うどん等の食品の煮汁のような、食品廃水を挙げることができる。
【符号の説明】
【0114】
1 微細化混合装置
2 ケーシング
3 微細化ユニット
4 流路
5 オリフィス振動部材
6 整流体
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体に混合された気体、液体に混合された他の液体、及び、液体に混合された固体を微細化して液体に混合する微細化混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、気体や液体を微細化して他の液体に分散させてなる混合流体は、微細化された粒子がバルク状態の場合と異なる物性を示すことから、多くの技術分野で活用されている。
【0003】
例えば、直径が約10nm〜数100nmの気泡(以下、ナノバブルという)を分散させた水を、汚水の浄化や、養殖における成長促進や、植物の栽培促進に利用することが研究されている。ナノバブルの生成方法としては、水に空気を混合してなる混合流体にせん断力を作用させ、空気を微細化してナノバブルを生成する気液せん断法が知られている。気液せん断法を行うナノバブル生成装置としては、筒状のケーシング内に、螺旋状に形成された流路を有する上流側のスクリュー部と、流路壁に突起が配置された下流側のカッター部とを備えたものがある(例えば特許文献1参照)。
【0004】
このナノバブル生成装置は、ケーシング内に圧送した空気と水の混合流体に、スクリュー部で旋回力と遠心力とを付与した後、カッター部で混合流体中の気泡の分断、微細化を行ない、直径が0.5〜3μm程度の微細気泡を含有する気液混合流体を生成するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−085949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のナノバブル生成装置は、スクリュー部による旋回力及び遠心力の付与と、カッター部による気泡の分断では、ナノバブルの生成効率が低いという問題がある。
【0007】
また、上記ナノバブル生成装置は、スクリュー部に、ケーシングの内側面に螺旋状の仕切壁が接して配置され、カッター部に、ケーシングの内側面に複数の突起が固定されている。このように、ケーシングに種々の部品が固定されているので、構造が複雑であり、洗浄や補修に手間がかかるという問題がある。
【0008】
そこで、本発明の課題は、液体に混合された気体、液体又は固体を効率よく微細化でき、また、洗浄や補修を容易に行うことができる微細化混合装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の微細化混合装置は、液体に気体、液体又は固体が混合された混合流体が供給され、この混合流体に含まれる少なくとも1つの気体、液体又は固体を微細化して微細化混合流体を生成する微細化混合装置であって、
混合流体の入口と出口を有するケーシングと、このケーシング内に着脱可能に取り付けられた微細化ユニットとを備え、
上記微細化ユニットは、
上記ケーシングの入口から流入した混合流体を出口に向かって流す流路と、
上記流路の途中に設置され、上記流路の断面積よりも小さい断面積を有する流通孔と、この流通孔に隣接して形成され、混合流体の流れによって振動する振動部とを有する有孔振動体と、
上記流路に連通し、混合流体から分離した気体が溜まる気体溜りと
を有することを特徴としている。
【0010】
上記構成によれば、ケーシングの入口から流入した混合流体が、微細化ユニットの流路に流入する。流路に流入した混合流体は、有孔振動体の流通孔を通過する際、振動部の作用と気体溜りの作用により、混合流体を形成する気体、液体又は固体が微細化される。微細化された気体、液体又は固体は、媒体の液体と混合されて微細化混合流体が生成され、この微細化混合流体は、ケーシングの出口から排出される。この微細化混合装置によれば、有孔振動体と気体溜りを有する微細化ユニットを備えるので、効率良く微細化混合流体を生成することができる。また、気体、液体又は固体の微細化を行う部分であって、多くの場合に洗浄や補修の対象となる微細化ユニットが、ケーシング内に着脱可能に取り付けられている。したがって、微細化ユニットをケーシングから取り外すことにより、洗浄や補修を容易に行うことができる。
【0011】
本発明において、混合流体は、媒体である液体に、気体、液体及び固体のいずれが混合してもよい。例えば、液体に気体が混合した混合流体の一例は、水に空気の気泡が混合したバブル水である。液体に液体が混合した混合流体の一例は、水に油の粒子が混合した水油エマルションである。液体に固体が混合した混合流体の一例は、水に有機固形物の粒子が混合した有機汚泥である。
【0012】
また、本発明において、微細化とは、気体、液体及び固体の粒径を10nm〜数10μmの範囲に小さくすることをいう。好ましくは、粒径を10nm以上50μm以下の範囲に小さくすることをいう。例えば、微細化の対象が気体である場合、微細化とは、直径が10nm以上50μm以下のマイクロナノバブルを生成することをいう。ここで、マイクロナノバブルとは、マイクロバブルとマイクロナノバブルとの総称であり、マイクロバブルとは、直径が500nm以上50μm以下の泡をいい、ナノバブルとは、直径が10nm以上500nm未満の泡をいう。
【0013】
一実施形態の微細化混合装置は、上記微細化ユニットは、上記有孔振動体及び気体溜りの少なくとも一方が形成された複数のブロックで形成されている。
【0014】
上記実施形態によれば、有孔振動体が形成されたブロックの個数と、気体溜りが形成されたブロックの個数と、有孔振動体及び気体溜りが形成されたブロックの個数とを調整することにより、気体、液体又は固体に対する微細化の効果を調整することができる。したがって、微細化を行う対象と、生成すべき微細化混合流体の量に応じて、微細化の性能をきめ細かに設定することができる。また、微細化ユニットをブロック単位に分解することにより、微細化ユニットの洗浄や補修を容易に行うことができる。なお、ブロックには、有孔振動体と気体溜りとの両方が形成されてもよい。
【0015】
一実施形態の微細化混合装置は、上記微細化ユニットは、上記流路に配置され、この流路の中心軸に関して回転体の形状に形成された整流体を有する。
【0016】
上記実施形態によれば、流路の中心軸に関して回転体の形状に形成された整流体により、流路を流れる混合流体を整流するので、混合流体に対する振動部の作用と気体溜りの作用を高めることができる。したがって、混合流体に含まれる気体、液体又は固体を、効果的に微細化することができる。
【0017】
一実施形態の微細化混合装置は、上記ケーシングの内側面と、上記微細化ユニットの外側面との間が、上記ケーシングの入口から流入した混合流体で満たされるように形成されている。
【0018】
上記実施形態によれば、上記ケーシングの内側面と、上記微細化ユニットの外側面との間を混合流体で満たすことにより、微細化ユニットの内外の圧力差を少なくして、耐圧性を高めることができる。また、微細化ユニットの内部から混合流体が漏れても、ケーシング内で混合流体を回収することができるので、ケーシング外への混合流体の漏れを防止できる。特に、微細化ユニットを複数のブロックで構成した場合、ブロックの間から混合流体が漏れても、漏れた混合流体を効果的に回収でき、また、ケーシング外への混合流体の漏れを防止できる。
【0019】
一実施形態の微細化混合装置は、上記ブロックは、
大略円筒形状のブロック本体と、
上記ブロック本体の中心軸と平行に延在して上記流路を形成する貫通孔と、
上記貫通孔を横断するように配置された板状体で形成され、この板状体に形成された上記流通孔の縁から放射状に延びるスリットを有し、このスリットと流通孔の縁とで規定される部分が振動部となる上記有孔振動体とを有する。
【0020】
上記実施形態によれば、ブロック本体に貫通孔と有孔振動体が設けられたブロックは、構造が簡易であるので取り扱いが容易であり、したがって、容易に洗浄と補修を行うことができる。また、流通孔とスリットを有して形成された有孔振動体により、簡単な構造で効率的に微細化混合流体を生成することができる。
【0021】
一実施形態の微細化混合装置は、上記ブロックは、
大略円筒形状のブロック本体と、
上記ブロック本体の中心軸と平行に延在して上記流路を形成する貫通孔と、
上記ブロック本体の一方の端面に形成されて上記貫通孔と平行に延在する有底孔と、この有抵抗と上記貫通孔とを連通するバイパス路とを含んで形成された上記気体溜りとを有する。
【0022】
上記実施形態によれば、ブロック本体に貫通孔と気体溜りが設けられたブロックは、構造が簡易であるので取り扱いが容易であり、したがって、容易に洗浄と補修を行うことができる。また、このブロック本体の一方の端面に、他のブロックのブロック本体の端面や、板状体の表面を配置することにより、気体溜りの有底孔の開口を閉じて、気体溜りとして機能させることができる。したがって、少ない部品点数により、微細化ユニットを形成することができるので、微細化混合装置の組み立て作業の容易化と、コスト削減を行うことができる。さらに、微細化ユニットの分解時には、ブロック本体の一方の端面に配置された他のブロック本体や板状体を除去すれば、有底孔が露出するので、気体溜りを容易に洗浄することができる。
【0023】
一実施形態の微細化混合装置は、上記整流体の形状は、球、双円錐及び半球ドームのうちの1つである。
【0024】
上記実施形態によれば、整流体の形状を、球、双円錐及び半球ドームのうちの1つに形成することにより、簡易な構造で混合流体を整流することができる。したがって、洗浄と補修が容易な微細化混合装置が得られる。
【0025】
一実施形態の微細化混合装置は、上記貫通孔の一部が、気体溜りを兼ねる。
【0026】
上記実施形態によれば、貫通孔の一部が、混合流体の流路と気体溜りとを兼ねることにより、ブロックの構造を簡易にできて、微細化混合装置の構造を簡易にできる。また、ブロックを小型化でき、微細化混合装置の小型化を行うことができる。
【0027】
一実施形態の微細化混合装置は、上記整流体としての半球ドーム体の内側が、気体溜りとして機能する。
【0028】
上記実施形態によれば、整流体としての半球ドーム対の内側が、気体溜りとして機能することにより、ブロックの構造を簡易にできて、微細化混合装置の構造を簡易にできる。また、ブロックを小型化でき、微細化混合装置の小型化を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1実施形態の微細化混合装置を示す縦断面図である。
【図2】オリフィス振動部材を示す平面図である。
【図3】第2実施形態の微細化混合装置を示す縦断面図である。
【図4】微細化ユニットの振動ブロックの一部を除去して示した斜視図である。
【図5】微細化ユニットの入口側の端面板を示す斜視図である。
【図6】第3実施形態の微細化混合装置の微細化ユニットを示す縦断面図である。
【図7】振動ブロックを示す断面図である。
【図8A】第1整流ブロックを示す正面図である。
【図8B】図8Aの整流ブロックの縦断面図である。
【図9】第2の整流ブロックを示す縦断面図である。
【図10】第3の整流ブロックを示す縦断面図である。
【図11】第4実施形態の微細化混合装置を示す縦断面図である。
【図12】リングブロックを示す斜視図である。
【図13】振動ダイヤフラムを示す斜視図である。
【図14】第5実施形態の微細化混合装置を示す縦断面図である。
【図15】振動ダイヤフラムを示す斜視図である。
【図16】第6実施形態の微細化混合装置を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0031】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の微細化混合装置を模式的に示す縦断面図である。この微細化混合装置1は、液体としての水の中に分散された気体としての空気を微細化し、マイクロナノバブルを生成する微細化混合装置である。
【0032】
この微細化混合装置1は、円筒形状のケーシング2と、このケーシング2内に収容された円筒形状の微細化ユニット3を備える。ケーシング2の一端面と他端面には、混合流体が流入する入口開口2aが先端に形成された入口管24と、微細化混合流体を排出する出口開口2bが先端に形成された出口管25が設けられている。この出口管25の内側には、微細化ユニット3の他端面から延出する出口管324が嵌合されている。これにより、微細化ユニット3は、ケーシング2に対して着脱可能に取り付けられている。
【0033】
微細化ユニット3は、入口開口3aが端面に形成された入口ブロック320と、整流体6が内蔵された整流ブロック321と、有孔振動体としてのオリフィス振動部材5が内蔵された振動ブロック322と、出口管324が端面に形成された出口ブロック323とが順次連結されて形成されている。これらの入口ブロック320、整流ブロック321、振動ブロック322及び出口ブロック323は、各々の縁端部に螺旋溝が形成されており、各縁端部の螺旋溝が互いに螺合して、互いに分離可能に連結されている。なお、入口ブロック320、整流ブロック321、振動ブロック322及び出口ブロック323は、軸方向に延びるロッド等によって、互いに分離可能に連結されてもよい。入口ブロック320、整流ブロック321、振動ブロック322及び出口ブロック323の内部には、入口開口3aから流入した混合流体を出口管324に導く流路4が形成されている。
【0034】
有孔振動体としてのオリフィス振動部材5は、図2の平面図に示すように、円盤状の板状体50と、この板状体50に偏心して形成された円形の流通孔51と、この流通孔51の縁から板状体50の縁に向かって放射状に形成された複数のスリット52,52,・・・を有する。スリット52,52,・・・は、流通孔51の縁の略等角度間隔をおいた位置から延在している。板状体50の縁と流通孔51の縁との間の距離が短い部分に位置するスリット52は短く形成され、板状体50の縁と流通孔51の縁との間の距離が長い部分に位置するスリット52は長く形成されている。また、板状体50の中心と流通孔51の中心とを結ぶ線に関して対象位置にあるスリット52が、互いに同じ長さに形成されている。板状体50の流通孔51に隣接する部分であって、流通孔51の縁と、スリット52,52とで規定される略台形の部分は、流通孔51を混合流体が流れる際に振動する振動部53になっている。
【0035】
整流体6は、球形状を有し、表面から整流ブロック321の径方向に延びる棒状の4つのアーム61により、整流体6の表面と整流ブロック321の内側面との間隔が周方向において概ね均一に保持された状態で、整流ブロック321内に固定されている。
【0036】
ケーシング2の内側面と、微細化ユニット3の外側面との間は、ケーシング2の入口開口2aから流入した混合流体で満たされるように形成されている。
【0037】
ケーシング2の入口管24には、空気と水を混合する前混合装置が接続されている。前混合装置としては、例えば、水を加圧するポンプと、ポンプの吐出側に配置されて空気を吐出するエジェクタノズルとを備え、ポンプが吐出する圧力水にエジェクタノズルで空気を混合させるものを用いることができる。なお、前混合装置としては、公知の気液混合ポンプを用いてもよい。
【0038】
上記微細化混合装置1は、次のように作動する。まず、前混合装置が起動し、気泡を含んだ水である混合流体が、図示しない供給管を経て入口開口2aに供給される。前混合装置から供給される混合流体の気泡は、直径が約100μm〜数ミリ程度であるのが好ましい。また、供給される混合流体は、入口管24の入口開口2aにおいて、流速が約1〜50L/min、かつ、圧力が約0.1〜5MPaであるのが好ましい。この混合流体は、水が0.8〜40L/min、空気が0.2〜10L/minの割合で混合されている。
【0039】
入口開口2aから入口管24を通ってケーシング2内に流入した混合流体は、ケーシング2の内側面と微細化ユニット3の外側面との間を満たした後、入口開口3aから微細化ユニット3の内部に流入する。
【0040】
微細化ユニット3内に流入した混合流体は、流路4を通過する過程で、気泡が微細化される。すなわち、まず、混合流体が、整流ブロック321の内側面と、球状の整流体6の表面との間を通過して整流される。整流された混合流体は、振動ブロック322に導かれ、オリフィス振動部材5の流通孔51を通過するに伴って流速が上昇すると共に、オリフィス振動部材5の下流側の圧力が低下する。この圧力の変化と流れの力により、オリフィス振動部材5の振動部53が振動する。この混合流体が流通孔51を通過する際の圧力及び流れの作用と、オリフィス振動部材5の振動部53の振動作用により、混合流体の気泡が微細化され、直径が10nm以上50μm以下のマイクロナノバブルが生成される。こうしてオリフィス振動部材5で生成されたマイクロナノバブルを含む微細化混合流体は、微細化ユニット3の出口管324とケーシング2の出口管25を通って外部へ排出される。
【0041】
この微細化混合装置1は、オリフィス振動部材5と整流体6を有する微細化ユニット3を備えるので、ナノバブルを含んだ微細化混合流体を、効率良く生成することができる。また、気泡の微細化を行う部分であって、洗浄や補修の対象となる微細化ユニット3が、ケーシング2内に着脱可能に取り付けられている。したがって、微細化ユニット3をケーシング2から取り外すことにより、微細化ユニット3の洗浄や補修を容易に行うことができる。
【0042】
さらに、微細化ユニット3は、入口ブロック320、整流ブロック321、振動ブロック322及び出口ブロック323が、互いに分離可能に連結されて形成されている。したがって、互いのブロックを分離することにより、整流ブロック321の整流体6や、振動ブロック322のオリフィス振動部材5に対して、容易に洗浄や補修を行うことができる。
【0043】
さらに、微細化ユニット3には、オリフィス振動部材5の動作によって振動が生じるが、ケーシング2の内側面と、微細化ユニット3の外側面との間を、気泡の微細化を行う前の混合流体で満たすので、微細化ユニット3からケーシング2に伝わる振動を緩和することができる。また、微細化ユニット3の内外の圧力差を少なくして、耐圧性を高めることができる。また、微細化ユニット3の内部から混合流体が漏れても、ケーシング2内で混合流体を回収することができるので、ケーシング2外への混合流体の漏れを防止できる。
【0044】
また、本実施形態の微細化混合装置1は、ケーシング2内に、オリフィス振動部材5と整流体6を有する微細化ユニット3を備えるという比較的簡易な構成により、マイクロナノバブルを生成することができる。したがって、この微細化混合装置1は小型化が容易であり、また、少ない部品点数で作成できて、コスト削減を容易に行うことができる。また、本実施形態の微細化混合装置1は、従来の旋回状の流路と突起が設けられた流路とを備えるナノバブル生成装置よりも、混合流体に生じる圧力損失が小さい。したがって、従来よりも低圧及び低流速で動作できるので、耐圧対策を簡素にでき、コスト削減を行うことができる。
【0045】
この微細化混合装置1により生成したマイクロナノバブルを含む微細化混合流体は、ミクロンレベルの気泡を含む水と比較して特有の物理化学特性を有し、例えば、水質浄化や、魚介類の養殖における成長促進や、植物の栽培促進に利用することができる。なお、本実施形態の微細化混合装置1は、微細化混合流体の使用目的に応じて、空気に替えて酸素や他の気体を混合することができる。
【0046】
(第2実施形態)
図3は、本発明の第2実施形態の微細化混合装置を示す縦断面図である。この微細化混合装置11は、液体としての水の中に分散された気体としての空気を微細化し、マイクロナノバブル生成する微細化混合装置である。
【0047】
この微細化混合装置1は、円筒形状のケーシング20内に、複数のブロック302,303,・・・で形成された微細化ユニット30が収容されて構成されている。この微細化ユニット30は大略円筒形状を有し、ケーシング2と同心に配置されている。微細化ユニット30は、軸方向に連ねた5個の振動ブロック303,303,・・・と、これら振動ブロック303,303,・・・の両端に配置された環状の端部ブロック302,302と、これら端部ブロック302,302の両端に配置された端面板301,304と、端面板301,304を互いに対向する側に圧迫するロッド306及びボルト307を備える。なお、微細化ユニット30を構成する振動ブロック303の数は、5個以外であってもよい。
【0048】
ケーシング20は、筒状の胴部21の両端に設けられたフランジに、円盤状の端面板22,23が固定されて形成されている。一方の端面板22の中央には、先端に入口開口20aを有する筒状の入口管24が貫通して固定されており、他方の端面板23の中央には、先端に出口開口20bを有する筒状の出口管25が貫通して固定されている。
【0049】
図4は、微細化ユニット30を形成する振動ブロック303の一部を除去して示した斜視図である。振動ブロック303は、概ね円筒形状のプラスチック製のブロック本体330と、このブロック本体330の一端側に開口して軸方向に延在する有底孔で形成された気体溜り7と、この気体溜り7と平行に形成された貫通孔41で概ね形成されている。貫通孔41の軸方向の略中央には、第1実施形態と同様のオリフィス振動部材5が、貫通孔41の横断方向に延在するように内蔵されている。ブロック本体330の一方の端面には、気体溜り7の開口の縁部と、貫通孔41の一端面側の縁部との間を接続する溝で形成された連通路331が設けられている。振動ブロック303には、端面側から見て気体溜り7と貫通孔41とを結ぶ線の両側に、ロッド306が挿通される2つのロッド孔332,332が貫通して形成されている。
【0050】
図5は、微細化ユニット30の入口側の端面板304を示す斜視図である。入口側の端面板304は円盤状をなし、中央部寄りの部分に複数の小径の貫通孔341,341,・・・が形成されている。これら貫通孔341,341,・・・は微細化ユニット30の入口開口として機能し、これら貫通孔341,341,・・・を有する端面板304は、微細化ユニット30の流路4への異物の流入を防止するフィルタとして機能する。端面板304の線対称位置には、2つのロッド孔342,342が形成されている。
【0051】
微細化ユニット30の出口側の端面板301は、中央に出口管305が貫通して設けられており、この出口管305は、ケーシング20の出口管25の内側に嵌合している。この出口管305により、微細化ユニット30がケーシング20に着脱可能に連結されている。出口側の端面板301には、出口管305の両側にロッド孔が形成されている。入口側の端面板304、端部ブロック302、5個の振動ブロック303,303,・・・、端部ブロック302及び出口側の端面板301の各々のロッド孔にロッド306,306が挿通されている。これらロッド306,306の両端に螺着したボルト307,307で出入口側の端面板301,304を対向方向に互いに圧迫して、微細化ユニット30の構成部材を互いに連結して固定している。
【0052】
微細化ユニット30内には、5個の振動ブロック303,303,・・・と端部ブロック302が互いに連結されることにより、振動ブロック303,303,・・・の貫通孔41,41,・・・と端部ブロック302の内部が連通して、混合流体の流路4が形成されている。振動ブロック303の一端面に形成された有底孔の開口が、隣接する振動ブロック303又は入口側の端面板304で閉鎖されて、各振動ブロック303,303,・・・毎に気体溜り7,7,・・・が形成されている。これら気体溜り7,7,・・・は、各振動ブロック303,303,・・・毎に形成された連通路331,331,・・・を通して流路4に連通している。
【0053】
流路4を横断して各振動ブロック303,303,・・・毎に設けられたオリフィス振動部材5,5,・・・は、隣接するオリフィス振動部材5,5の間で、流通孔51の位置が軸方向視において異なるように配置されている。これにより、流路4に形成する混合流体の流れを適切に乱して、混合流体に含まれる気泡の微細化を促進するようになっている。
【0054】
ケーシング20の内側面と、微細化ユニット30の外側面との間は、ケーシング20の入口開口20aから流入した混合流体で満たされるように形成されている。
【0055】
ケーシング20の入口管24には、第1実施形態と同様に、空気と水を混合する前混合装置が接続されている。
【0056】
上記微細化混合装置11は、次のように作動する。まず、前混合装置が起動し、気泡を含んだ水である混合流体が、図示しない供給管を経て入口開口20aに供給される。入口開口20aから入口管24を通ってケーシング20内に流入した混合流体は、ケーシング20の内側面と微細化ユニット30の外側面との間を満たした後、端面板304の貫通孔341,341,・・・から微細化ユニット30の内部に流入する。
【0057】
微細化ユニット30内に流入した混合流体は、流路4を通過する過程で、気泡が微細化される。すなわち、混合流体が端部ブロック302内を通って振動ブロック303の貫通孔41に流入し、貫通孔41内に配置されたオリフィス振動部材5の流通孔51を通過する。このとき、オリフィス振動部材5の上下流の間に生成される圧力変化と流れの力により、オリフィス振動部材5の振動部53が振動し、この振動が混合流体に付与される。ここで、混合流体から分離した空気や作動当初に流路4に存在した空気が、流路4に連通する気体溜り7に溜まった状態で、流路4を混合流体が流れる。これにより、流路4を流れる混合流体の流れと圧力の変動に緩衝作用が付与される。上記オリフィス振動部材5の流通孔51を混合流体が通過する際の圧力及び流れの作用と、オリフィス振動部材5の振動部53の振動作用と、気体溜り7の緩衝作用が、5個の振動ブロック303,303,・・・によって混合流体に付与され、混合流体に含まれる気泡が効果的に微細化される。こうして微細化された気泡は、直径が10nm以上50μm以下のマイクロナノバブルとなり、このマイクロナノバブルを含む微細化混合流体は、微細化ユニット30の出口管305とケーシング20の出口管25を通って外部へ排出される。この微細化混合装置10は、直径が10nm以上50μm以下の空気のマイクロナノバブルを含んだ水を、約1〜50L/minの割合で生成する能力を有する。
【0058】
本実施形態の微細化混合装置10は、オリフィス振動部材5と気体溜り7を有する振動ブロック303が5個連なって形成された微細化ユニット30を備えるので、ナノバブルを含んだ微細化混合流体を効率良く生成することができる。また、気泡の微細化を行う部分であって、洗浄や補修の対象となる微細化ユニット30が、ケーシング20に対して着脱可能に形成されている。したがって、微細化ユニット30をケーシング20から取り外すことにより、微細化ユニット30の洗浄や補修を容易に行うことができる。
【0059】
さらに、微細化ユニット30は、端面板301,304、端部ブロック302及び振動ブロック303が、互いに分離可能に連結されて形成されている。したがって、端面板301,304及びブロック302,303を分離することにより、振動ブロック303のオリフィス振動部材5や気体溜り7に対して、容易に洗浄や補修を行うことができる。
【0060】
さらに、ケーシング2の内側面と微細化ユニット30の外側面との間が混合流体で満たされるので、動作時に微細化ユニット30からケーシング20に伝わる振動を緩和することができる。また、ケーシング2の内側面と微細化ユニット30の外側面との間の混合流体により、微細化ユニット30の内外の圧力差を少なくして、耐圧性を高めることができる。また、微細化ユニット30の内部から混合流体が漏れても、ケーシング2内で混合流体を回収することができるので、ケーシング2外への混合流体の漏れを防止できる。特に、微細化ユニット30を形成する端面板301,304やブロック302,303の連結部から混合流体が漏れても、漏れた混合流体を効果的に回収でき、また、ケーシング2外への混合流体の漏れを防止できる。
【0061】
また、微細化ユニット30を、オリフィス振動部材5及び気体溜り7を有する複数の振動ブロック303で構成するので、この振動ブロック303の個数を適宜変更することにより、混合流体の種類や、生成すべき気泡の寸法及び濃度に対応することができる。したがって、共通の部品を用いることにより、安価でありながら汎用性の高い微細化混合装置が得られる。
【0062】
なお、ケーシング20の内側面と微細化ユニット30の外側面との間には、混合流体と共に、混合流体から分離した気体が溜まってもよい。すなわち、ケーシング20と微細化ユニット30との間には、気体溜りが形成されてもよい。
【0063】
(第3実施形態)
図6は、本発明の第3実施形態の微細化混合装置が備える微細化ユニット31を示す縦断面図である。この微細化ユニット31は、図示しないが、第2実施形態の微細化混合装置11のケーシング20と同じケーシングに装着されて微細化混合装置を形成する。本実施形態において、第2実施形態と同様の構成部分には同じ参照番号を引用して、詳細な説明を省略する。
【0064】
この微細化ユニット31は、2つの振動ブロック303,313と、3つの整流ブロック308,309,310を備える。2つの振動ブロック303,313と、2つの整流ブロック308,309は、気体溜り7と貫通孔41を有する同じ形状のブロック本体330を用いて形成されている。一方、1つの整流ブロック310は、他の整流ブロック308,309及び振動ブロック303,313と比較して、気体溜り7を有さないが、外径寸法が略同じに形成されている。
【0065】
微細化ユニット31が備える一方の振動ブロック303は、第2実施形態の微細化ユニット30が備えるものと同様の構造を有し、ブロック本体330の貫通孔41に、1つのオリフィス振動部材5が配置されている。他方の振動ブロック313は、ブロック本体330の貫通孔41に、3つのオリフィス振動部材5が設けられている。図7は、他方の振動ブロック313を示す断面図であり、ブロック本体330の貫通孔41に、この貫通孔41の横断方向に延在するオリフィス振動部材5が、貫通孔41の軸方向に3つ配列されている。
【0066】
図8Aは、微細化ユニット31の第1の整流ブロック308を示す正面図であり、図8Bは、整流ブロック308の縦断面図である。この整流ブロック308は、ブロック本体330の貫通孔41に、双円錐形状の整流体62が配置されている。整流体62は、2つの同じ形状の円錐を底面同士で結合したような双円錐形状を有し、2つの尖端の間を結ぶ中心軸が、貫通孔41の軸と一致するように配置されている。整流体62は、軸方向の中央に形成された環状の峰から、貫通孔41の内側面に向かって径方向に延在する4つのアーム63,63,・・・により、貫通孔41内に固定されている。これにより、整流体62の外周面と、貫通孔41の内周面との間隔が、周方向において概ね均一に保持されている。
【0067】
図9は、微細化ユニット31の第2の整流ブロック309を示す縦断面図である。この整流ブロック309は、ブロック本体330の貫通孔41に、第1実施形態と同様の球状の整流体6が配置されている。この整流体6は、表面から貫通孔41の径方向に延びる棒状の4つのアーム61,61,・・・により、整流体6の表面と貫通孔41の内側面との間隔が周方向において概ね均一に保持された状態で、貫通孔41内に固定されている。
【0068】
図10は、微細化ユニット31の第3の整流ブロック310を示す縦断面図である。この整流ブロック310は、有底孔による気体溜りを有しなくて、貫通孔41のみを有する大略円筒形状のブロック本体340を用いて形成されている。このブロック本体340の貫通孔41に、半球ドーム形状の整流体64が配置されている。この整流体64は、貫通孔41に形成される混合流体の流れの上流側に、半球ドームの頂点を向けた状態で、貫通孔内に固定されている。整流体64は、下流側の環状の縁から貫通孔41の径方向に延びる棒状の4つのアーム65,65,・・・により、整流体64の表面と貫通孔41の内側面との間隔が周方向において概ね均一に保持された状態で、貫通孔41内に固定されている。半球ドーム形状の整流体64は、貫通孔41内の流れの下流側に内部を開放している。この半球ドーム形状の整流体64の内部が、気体溜りを兼ねるようになっている。
【0069】
微細化ユニット31は、図6に示すように、入口側の端面板304から出口側の端面板301に向かって順に、環状の端部ブロック302と、第1の整流ブロック308と、第2の整流ブロック309と、3つのオリフィス振動部材5を有する振動ブロック313と、第3の整流ブロック310と、1つのオリフィス振動部材5を有する振動ブロック303と、環状の端部ブロック302とが配列されて形成されている。これらのブロックに形成されたロッド孔にロッド306が挿通され、ロッド306の両端に螺着したボルト307によって出入口側の端面板301,304が対向方向に圧迫されて、微細化ユニット31の構成部材が互いに連結固定されている。この微細化ユニット31内には、上記入口側及び出口側の端部ブロック302,302の内部と、各ブロック308,309,313,310,303の貫通孔41が連通して、混合流体の流路4が形成されている。この流路4には、第3の整流ブロック310以外のブロック308,309,313,303に形成された気体溜り7が、各ブロックに形成された連通路331,331,・・・を介して連なっている。
【0070】
本実施形態の微細化ユニット31を有する微細化混合装置が作動すると、ケーシング20の入口開口20aからケーシング20内に、空気の泡が水に混合されてなる混合流体が供給され、この混合流体は、ケーシング20の内側面と微細化ユニット31の外側面との間を満たした後、端面板304の貫通孔341,341,・・・から微細化ユニット31の内部に流入する。
【0071】
微細化ユニット31内に流入した混合流体は、流路4を通過する過程で、気泡が微細化される。すなわち、まず、混合流体が端部ブロック302内を通って第1の整流ブロック308に流入し、貫通孔41の内側面と、双円錐形状の整流体62の外側面との間を流れる際に整流される。ここで、整流ブロック308の気体溜り7の緩衝作用により、混合流体が効果的に整流される。第1の整流ブロック308で整流された混合流体は、第2の整流ブロック309で更に整流され、振動ブロック313に流入する。振動ブロック313では、貫通孔41に設けられた3つのオリフィス振動部材5の流通孔51を混合流体が通過する際の圧力及び流れの作用と、オリフィス振動部材5の振動部53の振動作用と、気体溜り7の緩衝作用により、気泡が微細化される。気泡が微細化された混合流体は、第3の整流ブロック310で整流される。第3の整流ブロック310では、混合流体が半球ドーム形状の整流体64の外側面と、貫通孔41の内側面との間を流れる際に整流される。ここで、気体溜りを兼ねる半球ドーム形状の整流体64の内部に、混合流体から分離した気体が溜まり、これにより、流れと圧力の緩衝作用が混合流体へ与えられる。第3の整流ブロック310で整流された混合流体は、振動ブロック303で気泡が更に微細化され、微細化ユニット31の出口管305とケーシング20の出口管25を通って外部へ排出される。この微細化ユニット31を備える微細化混合装置は、直径が10nm以上50μm以下の空気のマイクロナノバブルを含んだ水を、約1〜50L/minの割合で生成する能力を有する。
【0072】
本実施形態の微細化混合装置の微細化ユニット31は、双円錐形状の整流体62と気体溜り7を有する整流ブロック308と、球形状の整流体6と気体溜り7を有する整流ブロック309とで整流を行った後、3つのオリフィス振動部材5と気体溜り7を有する振動ブロック313で微細化を行い、更に、内部が気体溜り7を兼ねる整流体64を有する整流ブロック310で整流を行った後、1つのオリフィス振動部材5と気体溜り7を有する振動ブロック303で微細化を行うので、水中の気泡を効果的に微細化して、ナノバブルを生成することができる。
【0073】
なお、本実施形態の微細化混合装置は、ケーシング20と微細化ユニット31との間に、気体溜りが形成されてもよい。
【0074】
(第4実施形態)
図11は、本発明の第4実施形態の微細化混合装置12を示す縦断面図である。この微細化混合装置12は、液体としての水の中に分散された気体としての空気を微細化し、マイクロナノバブルを生成するものである。この微細化混合装置12は、第2実施形態の微細化混合装置11と同様のケーシング20内に、円筒形状の微細化ユニット35が着脱可能に取り付けられている。本実施形態において、第2実施形態と同様の構成部分には同じ参照番号を引用して、詳細な説明を省略する。
【0075】
この微細化混合装置12の微細化ユニット35は、入口側の端面板304と、出口側の端面板301との間に、複数のリングブロック350と振動ダイヤフラム352とで形成された複数の室357,357,・・・を備える。
【0076】
図12は、リングブロック350を示す斜視図である。リングブロック350は、軸方向断面が矩形のリングで形成され、軸方向に延在するロッド孔351,351,・・・が周方向に等間隔をおいて4つ形成されている。
【0077】
図13は、有孔振動体としての振動ダイヤフラム352を示す斜視図である。振動ダイヤフラム352は、円盤状のダイヤフラム本体352に、偏心した位置に形成された円形の流通孔353と、この流通孔353の縁から放射状に形成された複数のスリット354,354,・・・を有する。これらスリット354,354,・・・は、流通孔353に関する点対称位置にあるものが、互いに長さが異なるように形成されている。ダイヤフラム本体352の流通孔353に隣接する部分であって、流通孔353の縁と、スリット354,354とで規定される略台形の部分は、流通孔353を混合流体が流れる際に振動する振動部355になっている。ダイヤフラム本体352には、法線方向に延在するロッド孔356,356,・・・が周方向に等間隔をおいて4つ形成されている。
【0078】
微細化ユニット35内の室357,357,・・・は、円筒形状を有し、周面がリングブロック350で区画され、端面が振動ダイヤフラム352又は端面板301,304で区画されている。室357,357,・・・は、入口側から出口側に向かって、3つの室毎に軸方向の長さが短く形成されている。すなわち、入口側の端面板304に近い3つの室357,357,357は3つのリングブロック350,350,350で形成され、これらより出口側に位置する3つの室357,357,357は2つのリングブロック350,350で形成され、これらより出口側に位置して端面板301に近い3つの室357,357,357は1つのリングブロック350で形成されている。これにより、入口側の端面板304から出口側の端面板301に向かうにつれて、3つの室357,357,357毎に容積が小さくなっている。
【0079】
各室357,357,・・・の間の振動ダイヤフラム352の流通孔353は、微細化ユニット35の軸方向視において、隣接する振動ダイヤフラム352の間で異なる位置に配置されている。
【0080】
上記室357,357,・・・には、各振動ダイヤフラム352の流通孔353を通して互いに連通し、入口側の端面板304の貫通孔341,341,・・・から出口側の端面板301に設けられた出口管305に至る流路4が形成される。また、上記室357,357,・・・の内部には、流路4を流れる混合流体から分離した空気が上部に溜まるようになっている。すなわち、上記室357,357,・・・は、流路4と気体溜りを兼ねている。
【0081】
本実施形態の微細化混合装置12が作動すると、ケーシング20の入口開口20aからケーシング20内に、空気の泡が水に混合されてなる混合流体が供給され、この混合流体は、ケーシング20の内側面と微細化ユニット35の外側面との間を満たした後、端面板304の貫通孔341,341,・・・から微細化ユニット35の内部に流入する。
【0082】
微細化ユニット35内に流入した混合流体は、流路4を通過する過程で、気泡が微細化される。すなわち、まず、端面板304に隣接する室357に流入した混合流体が、振動ダイヤフラム352の流通孔353を通り、出口側に隣接する室357に流入する。このとき、振動ダイヤフラム352の上下流の間に生成される圧力変化と流れの力により、振動ダイヤフラム352の振動部355が振動し、この振動が混合流体に付与される。ここで、混合流体から分離した空気や作動当初に流路4に存在した空気が、室357内の一部に溜まった状態で、流路4を混合流体が流れる。これにより、流路4を流れる混合流体の流れと圧力の変動に緩衝作用が付与される。上記振動ダイヤフラム352の流通孔353を混合流体が通過する際の圧力及び流れの作用と、振動ダイヤフラム352の振動部355の振動作用と、室357内の気体の緩衝作用が混合流体に付与され、混合流体の気泡が効果的に微細化される。混合流体は、入口側の端面板304から出口側の端面板301までの間の9つの室357,357,・・・を流れる間に微細化され、直径が10nm〜数10μmのマイクロナノバブルが生成される。こうして生成されたマイクロナノバブルを含む微細化混合流体は、微細化ユニット35の出口管305とケーシング2の出口管25を通って外部へ排出される。この微細化混合装置12は、直径が10nm以上50μm以下の空気のマイクロナノバブルを含んだ水を、約1〜50L/minの割合で生成する能力を有する。
【0083】
本実施形態の微細化混合装置12によれば、リングブロック350とダイヤフラム352を用いて、少ない種類の部品で微細化ユニット35を構成するので、コストダウンを行うことができる。また、微細化ユニット35の構造が簡単であるので、故障を少なくできる。また、微細化ユニット35は、リングブロック350とダイヤフラム352に分離できるので、洗浄や補修を容易に行うことができる。また、所定の室357を形成するリングブロック350の個数を調整することにより、微細化ユニット35に設ける室357の数や容量を適宜設定することができる。したがって、微細化混合装置12の性能を、混合流体の種類や、微細化すべき流体の量に応じて設定することができ、高い汎用性の微細化混合装置12が得られる。
【0084】
なお、本実施形態の微細化混合装置12は、ケーシング20と微細化ユニット35との間に、気体溜りが形成されてもよい。
【0085】
(第5実施形態)
図14は、本発明の第5実施形態の微細化混合装置13を示す縦断面図である。この微細化混合装置13は、液体としての水の中に分散された気体としての空気を微細化し、マイクロナノバブルを生成するものである。この微細化混合装置13は、第2実施形態の微細化混合装置11と同様のケーシング20内に、円筒形状の微細化ユニット36が着脱可能に取り付けられている。本実施形態において、第2実施形態と同様の構成部分には同じ参照番号を引用して、詳細な説明を省略する。
【0086】
この微細化混合装置13の微細化ユニット36は、入口側の端面板304と、出口側の端面板301との間に、整流体361と振動ダイヤフラム362を有する整流振動ブロック360が5個配列されて形成されている。なお、微細化ユニット36を構成する整流振動ブロック360の数は、5個以外であってもよい。整流振動ブロック360は、筒状のブロック本体内に、整流体361と振動ダイヤフラム362が同軸に配置されている。配列された整流振動ブロック360のブロック本体内に、混合流体の流路4が形成される。
【0087】
整流体361は半球ドーム形状を有し、ブロック本体内に軸方向に形成される混合流体の流れの上流側に、半球ドームの頂点を向けた状態で配置されている。整流体361は、半球ドームの内側に、軸方向に延びるスリーブが形成されており、このスリーブに挿通されるロッド306によって、ブロック本体内に保持されている。半球ドーム形状の整流体361は、ブロック本体内に形成される混合流体の流れの下流側に、内部を開放している。この半球ドーム形状の整流体361の内部が、気体溜りを兼ねるようになっている。
【0088】
図15は、有孔振動体としての振動ダイヤフラム362を示す斜視図である。振動ダイヤフラム362は、円盤状のダイヤフラム本体362に、このダイヤフラム本体362と同心の円形の貫通孔363が形成されている。この貫通孔363の縁から、複数のスリット364,364,・・・が放射状に形成されている。これらスリット364,364,・・・は、貫通孔363に関する点対称位置にあるものが、互いに長さが異なるように形成されている。ダイヤフラム本体362の貫通孔363に隣接する部分であって、貫通孔363の縁と、スリット364,364とで規定される略台形の部分は、貫通孔363を混合流体が流れる際に振動する振動部365になっている。この貫通孔363内に、整流体361を保持するロッド306とスペーサ363が、貫通孔363の内周面と隙間をおいた状態で挿通されて配置される。
【0089】
微細化ユニット36の入口側の端面板304には、中央にロッド孔が形成され、このロッド孔の回りに、微細化ユニット36の入口開口である複数の貫通孔341,341,・・・が形成されている。
【0090】
微細化ユニット36の出口側の端面板301には、中央にロッド孔が形成され、このロッド孔の回りに複数の貫通孔343,343,・・・が形成されていると共に、これら貫通孔343,343,・・・を取り囲むように出口管305が連結されている。出口管305は、ケーシング20の出口管25の内側に嵌合しており、この出口管305により、微細化ユニット36がケーシング20に着脱可能に連結されている。
【0091】
入口側の端面板304と、出口側の端面板301との間に5つの整流振動ブロック360が配列され、入口側の端面板304の中央と出口側の端面板301のロッド孔に、ロッド306が挿通されている。ロッド306には、整流振動ブロック360毎に、整流体361と、スリーブ状のスペーサ363とが装着される。このスペーサ363により、隣り合う整流体361を軸方向の所定位置に保持するようになっている。上記ロッド306の両端に螺着したボルト307,307で出入口側の端面板301,304を対向方向に互いに圧迫して、ブロック本体を互いに連結して固定している。
【0092】
本実施形態の微細化混合装置13が作動すると、ケーシング20の入口開口20aからケーシング20内に、空気の泡が水に混合されてなる混合流体が供給され、この混合流体は、ケーシング20の内側面と微細化ユニット36の外側面との間を満たした後、端面板304の貫通孔341,341,・・・から微細化ユニット36の内部に流入する。
【0093】
微細化ユニット36内に流入した混合流体は、流路4を通過する過程で、気泡が微細化される。すなわち、まず、端面板304に隣接する整流振動ブロック360内に流入した混合流体が、半球ドーム形状の整流体361の外側面と、ブロック本体の内側面との間を流れる際に整流される。ここで、半球ドーム形状の整流体361の内部に、混合流体から分離した気体が溜まり、これにより、流れと圧力の緩衝作用が混合流体へ与えられて、混合流体が効果的に整流される。整流体361で整流された混合流体は、振動ダイヤフラム362の貫通孔363の縁と、スペーサ363の外周面との間を流れ、このときに振動ダイヤフラム362の上下流の間に生成される圧力変化と流れの力により、振動ダイヤフラム362の振動部365が振動し、この振動が混合流体に付与される。この混合流体の圧力及び流れの作用と、振動ダイヤフラム362の振動部365の振動作用と、整流体361の内部の気体による緩衝作用により、気泡が微細化され、直径が10nm〜数10μmのマイクロナノバブルが生成される。こうして生成されたマイクロナノバブルを含む微細化混合流体は、出口側の端面板301の貫通孔343,343,・・・から出口管305に流出し、この出口管305とケーシング2の出口管25を通って外部へ排出される。この微細化混合装置13は、直径が10nm以上50μm以下の空気のマイクロナノバブルを含んだ水を、約1〜50L/minの割合で生成する能力を有する。
【0094】
本実施形態の微細化混合装置13によれば、整流体361と振動ダイヤフラム362を有する整流振動ブロック360を複数個用いて微細化ユニット36を構成するので、同一の構造の整流振動ブロック360を用いて比較的安価に、しかも、効果的にマイクロナノバブルを生成することができる。また、整流振動ブロック360は、中心軸まわりに回転対称の形状を有するので、微細化混合装置13の設置姿勢を中心軸まわりの任意の方向に設定することができる。したがって、微細化混合装置13を容易に設置でき、また、車両等のような重力の作用方向が変動する環境に設置しても、安定して作動することができる。このため、本実施形態の微細化混合装置13は、車両に搭載され、例えば水と軽油を混合して水又は軽油を微細化して燃料を生成する用途に用いることができる。
【0095】
本実施形態の微細化混合装置13は、入口開口20aを上側に向けると共に出口開口20bを下側に向けて、ケーシング20の中心軸が概ね鉛直方向に延在する姿勢で用いられるのが好ましい。これにより、半球ドーム形状の整流体361の内部に効果的に気体を溜めることができ、混合流体の流れと圧力の緩衝作用を効果的に発揮することができる。なお、微細化混合装置13が重力の作用方向が変動する環境に設置される場合、ケーシング20の中心軸が概ね鉛直方向に一定の割合で保持されればよく、常に鉛直方向に保持されなくてもよい。
【0096】
また、本実施形態の微細化混合装置13によれば、微細化ユニット36が、個々の整流振動ブロック360に分離できるので、洗浄や補修を容易に行うことができる。また、微細化ユニット36を構成する整流振動ブロック360の個数を調整することにより、微細化混合装置13の性能を、混合流体の種類や、微細化すべき流体の量に応じて設定することができ、高い汎用性の微細化混合装置13が得られる。
【0097】
なお、本実施形態の微細化混合装置13は、ケーシング20と微細化ユニット36との間に、気体溜りが形成されてもよい。
【0098】
(第6実施形態)
図16は、本発明の第6実施形態の微細化混合装置14を示す縦断面図である。この微細化混合装置14は、液体としての水の中に分散された気体としての空気を微細化し、マイクロナノバブルを生成するものである。この微細化混合装置14は、第2実施形態の微細化混合装置11と同様のケーシング20内に、微細化ユニット37が着脱可能に取り付けられている。本実施形態において、第2実施形態と同様の構成部分には同じ参照番号を引用して、詳細な説明を省略する。
【0099】
この微細化混合装置14の微細化ユニット37は、入口側の端面仕切板377と、出口側の端面連結板376との間に、両端の接続管378,378を介して5個の緩衝ブロック370,370,・・・が配列されて固定されている。なお、微細化ユニット37を構成する緩衝ブロック370の数は、5個以外であってもよい。接続管378と緩衝ブロック370との間と、緩衝ブロック370,370の相互の間には、有孔振動体としての振動ダイヤフラム375,375,・・・が挟持されている。
【0100】
入口側の端面仕切板377は、ケーシング20の端面板22に対向して、ケーシング20の内部を軸直角方向に横断するように配置されている。端面仕切板377は、概ね中央に形成されたロッド孔と、このロッド孔のまわりに形成された複数の内周側貫通孔377a,377a,・・・と、内周側貫通孔377a,377a,・・・の外側を取り囲むように形成された外周側貫通孔377b,377b,・・・を有する。端面仕切板377のケーシング2の対面板22と反対側の面に、微細化ユニット37の接続管378が連なっており、この接続管378の内側に、内周側貫通孔377a,377a,・・・が開口している。
【0101】
出口側の端面連結板376は、ケーシング20の出口管25の内側の先端に連結されており、出口管25の内部に臨む位置に、ロッド孔と、複数の貫通孔376a,376a,・・・が形成されている。端面連結板376の出口管25と反対側の面に、微細化ユニット37の接続管378が連なっており、この接続管378の内側に、貫通孔376a,376a,・・・が開口している。
【0102】
微細化ユニット37の接続管378は、径方向よりも軸方向の寸法が短い短管で形成され、軸方向の両端にフランジが形成されている。緩衝ブロック370は、ケーシング20の軸方向に延在する流路管部371と、流路管部371の側面から径方向に突出する緩衝管部372を有する。緩衝環部372は、中心軸が流路管部371の中心軸と直角に延在する短管で形成され、先端が閉鎖されている。緩衝ブロック370内には、流路管部371の中心軸の延長線と、緩衝環部372の中心軸との交点に中心が位置するように、球状の整流体373が配置されている。整流体373は、径方向に延びる貫通孔を有し、この貫通孔に挿通されたロッド306によって保持されている。
【0103】
振動ダイヤフラム375は、第5実施形態の振動ダイヤフラム362と同様に、円盤状のダイヤフラム本体に同心の円形の貫通孔を有し、この貫通孔の縁から、複数のスリットが放射状に形成されている。これらスリットは、貫通孔に関する点対称位置にあるものが、互いに長さが異なるように形成されている。ダイヤフラム本体の貫通孔に隣接する部分であって、貫通孔の縁と、スリットとで規定される略台形の部分が、貫通孔を混合流体が流れる際に振動する振動部になっている。この貫通孔内に、整流体373を保持するロッド306と図示しないスリーブ状のスペーサ379が、貫通孔の内周面と隙間をおいた状態で挿通されて配置される。
【0104】
入口側の端面仕切板377と出口側の端面連結板376との間に接続管378と緩衝ブロック370と振動ダイヤフラム375を配列し、各緩衝ブロック370内に整流体373を配置した状態で、端面仕切板377のロッド孔と、整流体373の貫通孔と、スペーサ379の内部と、端面連結板376のロッド孔とにロッド306が挿通される。このロッド306の両端に螺着したボルト307,307で端面仕切板377と端面連結板376を対向方向に互いに圧迫して、接続管378と緩衝ブロック370と振動ダイヤフラム375を互いに連結して固定している。互いに固定された接続管378の内部と、緩衝ブロック370の流通管部371の内部に、混合流体の流路4が形成される。
【0105】
本実施形態の微細化混合装置14が作動すると、ケーシング20の入口開口20aから入口管24に、空気の泡が水に混合されてなる混合流体が供給される。入口管24に供給された混合流体は、端面仕切板377の内周側貫通孔377aを通って微細化ユニット37に流入すると共に、端面仕切板377の外周側貫通孔377bを通って微細化ユニット37の外側面とケーシング20の胴部21の内側面との間に流入する。
【0106】
微細化ユニット37に流入した混合流体は、流路4を通過する過程で、気泡が微細化される。すなわち、まず、端面仕切板377から接続管378に流入した混合流体は、接続管378に隣接する振動ダイヤフラム375の貫通孔の縁と、スペーサ379の外周面との間を流れ、このときに振動ダイヤフラム375の上下流の間に生成される圧力変化と流れの力により、振動ダイヤフラム375の振動部365が振動し、この振動が混合流体に付与される。この混合流体の圧力及び流れの作用と、振動ダイヤフラム375の振動部の振動作用により、気泡が微細化される。振動ダイヤフラム375で微細化された混合流体は、緩衝ブロック370内に流入する。ここで、混合流体から分離した空気や作動当初に流路4に存在した空気が、緩衝管部372に溜まることにより、混合流体の流れと圧力の変動に緩衝作用が付与される。緩衝ブロック370内に流入した混合流体は、球状の整流体373の外周側を流れる際に整流され、この後、下流側の振動ダイヤフラム375に導かれて微細化される。緩衝ブロック370において、整流体373による整流効果と、振動ダイヤフラム375による微細化が、緩衝管部372の空気の緩衝作用によって促進される。混合流体が5つの緩衝ブロック370を流れるに伴い、気泡の直径が10nm〜数10μmに微細化されてマイクロナノバブルが生成される。こうして生成されたマイクロナノバブルを含む微細化混合流体は、出口側の端面連結板376の貫通孔376a,376a,・・・からケーシング2の出口管25に流出して外部へ排出される。この微細化混合装置14は、直径が10nm以上50μm以下の空気のマイクロナノバブルを含んだ水を、約1〜50L/minの割合で生成する能力を有する。
【0107】
本実施形態の微細化混合装置14によれば、整流体373を有する緩衝ブロック370と振動ダイヤフラム375を交互に連ねて微細化ユニット37を構成するので、同一の構造の緩衝ブロック370及び振動ダイヤフラム375を複数個用いて比較的安価に、しかも、効果的にマイクロナノバブルを生成することができる。
【0108】
また、本実施形態の微細化混合装置14によれば、微細化ユニット37が、個々の緩衝ブロック370と振動ダイヤフラム375に分離できるので、洗浄や補修を容易に行うことができる。また、微細化ユニット37を構成する緩衝ブロック370と振動ダイヤフラム375の個数を調整することにより、微細化混合装置14の性能を、混合流体の種類や、微細化すべき流体の量に応じて設定することができ、高い汎用性の微細化混合装置14が得られる。
【0109】
なお、本実施形態の微細化混合装置14は、ケーシング20と微細化ユニット37との間に、気体溜りが形成されてもよい。
【0110】
上記第1乃至第6実施形態の微細化混合装置は、混合流体として、媒体の液体としての水の中に混合された気体としての空気を微細化し、マイクロナノバブルを生成したが、他の液体に他の気体が混合された混合流体に対し、気体を微細化してもよい。また、媒体の液体に、他の液体が混合された混合流体に対し、いずれかの液体を微細化してもよい。
【0111】
媒体の液体に他の液体が混合された混合流体としては、水に油が混合された混合流体を例示することができ、この混合流体の水又は油を微細化して、水と油のエマルションを形成することができる。本発明の微細化混合装置で形成された水と油のエマルションは、ディーゼルエンジン、タービンエンジン又はボイラー等の燃料として用いることができる。本発明の微細化混合装置は、動力により駆動される部分が無いので、故障が少なく、また、分解が容易であり、清浄や補修が容易である。したがって、エンジンやボイラ等の燃料供給機構のコスト削減と、メンテナンス性の向上を図ることができる。
【0112】
また、本発明の微細化混合装置によって生成され、マイクロナノバブルを含む混合流体は、微細化された気体に応じて種々の処理用途に供することができる。例えば、微細化された空気を含む混合液は、処理対象に添加することにより、湖沼や河川の水質浄化や、下水処理や、水産業の養殖の促進や、農業の水耕栽培や、農業用水の浄化に用いることができる。また、微細化されたオゾンを含む混合液は、工業排水処理や、部品洗浄や、食品廃液の浄化等に用いることができる。
【0113】
また、本発明の微細化混合装置は、媒体の液体に固体が混合された混合流体に対し、固体を微細化して微細化混合流体を生成することもできる。このような混合流体として、媒体の水に有機固形物が混合された有機汚泥がある。本発明の微細化混合装置によれば、有機汚泥の有機固形物を微細化して水中に分散させ、有機固形物の凝集を促進することができる。この種の混合流体の他の例としては、うどん等の食品の煮汁のような、食品廃水を挙げることができる。
【符号の説明】
【0114】
1 微細化混合装置
2 ケーシング
3 微細化ユニット
4 流路
5 オリフィス振動部材
6 整流体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体に気体、液体又は固体が混合された混合流体が供給され、この混合流体に含まれる少なくとも1つの気体、液体又は固体を微細化して微細化混合流体を生成する微細化混合装置であって、
混合流体の入口と出口を有するケーシングと、このケーシング内に着脱可能に取り付けられた微細化ユニットとを備え、
上記微細化ユニットは、
上記ケーシングの入口から流入した混合流体を出口に向かって流す流路と、
上記流路の途中に設置され、上記流路の断面積よりも小さい断面積を有する流通孔と、この流通孔に隣接して形成され、混合流体の流れによって振動する振動部とを有する有孔振動体と、
上記流路に連通し、混合流体から分離した気体が溜まる気体溜りと
を有することを特徴とする微細化混合装置。
【請求項2】
請求項1に記載の微細化混合装置において、
上記微細化ユニットは、上記有孔振動体及び気体溜りの少なくとも一方が形成された複数のブロックで形成されていることを特徴とする微細化混合装置。
【請求項3】
請求項1に記載の微細化混合装置において、
上記微細化ユニットは、上記流路に配置され、この流路の中心軸に関して回転体の形状に形成された整流体を有することを特徴とする微細化混合装置。
【請求項4】
請求項1に記載の微細化混合装置において、
上記ケーシングの内側面と、上記微細化ユニットの外側面との間が、上記ケーシングの入口から流入した混合流体で満たされるように形成されていることを特徴とする微細化混合装置。
【請求項5】
請求項2に記載の微細化混合装置において、
上記ブロックは、
大略円筒形状のブロック本体と、
上記ブロック本体の中心軸と平行に延在して上記流路を形成する貫通孔と、
上記貫通孔を横断するように配置された板状体で形成され、この板状体に形成された上記流通孔の縁から放射状に延びるスリットを有し、このスリットと流通孔の縁とで規定される部分が振動部となる上記有孔振動体とを有することを特徴とする微細化混合装置。
【請求項6】
請求項2に記載の微細化混合装置において、
上記ブロックは、
大略円筒形状のブロック本体と、
上記ブロック本体の中心軸と平行に延在して上記流路を形成する貫通孔と、
上記ブロック本体の一方の端面に形成されて上記貫通孔と平行に延在する有底孔と、この有抵抗と上記貫通孔とを連通するバイパス路とを含んで形成された上記気体溜りとを有することを特徴とする微細化混合装置。
【請求項7】
請求項3に記載の微細化混合装置において、
上記整流体の形状は、球、双円錐及び半球ドームのうちの1つであることを特徴とする微細化混合装置。
【請求項8】
請求項5に記載の微細化混合装置において、
上記貫通孔の一部が、気体溜りを兼ねることを特徴とする微細化混合装置。
【請求項9】
請求項7に記載の微細化混合装置において、
上記整流体としての半球ドーム体の内側が、気体溜りとして機能することを特徴とする微細化混合装置。
【請求項1】
液体に気体、液体又は固体が混合された混合流体が供給され、この混合流体に含まれる少なくとも1つの気体、液体又は固体を微細化して微細化混合流体を生成する微細化混合装置であって、
混合流体の入口と出口を有するケーシングと、このケーシング内に着脱可能に取り付けられた微細化ユニットとを備え、
上記微細化ユニットは、
上記ケーシングの入口から流入した混合流体を出口に向かって流す流路と、
上記流路の途中に設置され、上記流路の断面積よりも小さい断面積を有する流通孔と、この流通孔に隣接して形成され、混合流体の流れによって振動する振動部とを有する有孔振動体と、
上記流路に連通し、混合流体から分離した気体が溜まる気体溜りと
を有することを特徴とする微細化混合装置。
【請求項2】
請求項1に記載の微細化混合装置において、
上記微細化ユニットは、上記有孔振動体及び気体溜りの少なくとも一方が形成された複数のブロックで形成されていることを特徴とする微細化混合装置。
【請求項3】
請求項1に記載の微細化混合装置において、
上記微細化ユニットは、上記流路に配置され、この流路の中心軸に関して回転体の形状に形成された整流体を有することを特徴とする微細化混合装置。
【請求項4】
請求項1に記載の微細化混合装置において、
上記ケーシングの内側面と、上記微細化ユニットの外側面との間が、上記ケーシングの入口から流入した混合流体で満たされるように形成されていることを特徴とする微細化混合装置。
【請求項5】
請求項2に記載の微細化混合装置において、
上記ブロックは、
大略円筒形状のブロック本体と、
上記ブロック本体の中心軸と平行に延在して上記流路を形成する貫通孔と、
上記貫通孔を横断するように配置された板状体で形成され、この板状体に形成された上記流通孔の縁から放射状に延びるスリットを有し、このスリットと流通孔の縁とで規定される部分が振動部となる上記有孔振動体とを有することを特徴とする微細化混合装置。
【請求項6】
請求項2に記載の微細化混合装置において、
上記ブロックは、
大略円筒形状のブロック本体と、
上記ブロック本体の中心軸と平行に延在して上記流路を形成する貫通孔と、
上記ブロック本体の一方の端面に形成されて上記貫通孔と平行に延在する有底孔と、この有抵抗と上記貫通孔とを連通するバイパス路とを含んで形成された上記気体溜りとを有することを特徴とする微細化混合装置。
【請求項7】
請求項3に記載の微細化混合装置において、
上記整流体の形状は、球、双円錐及び半球ドームのうちの1つであることを特徴とする微細化混合装置。
【請求項8】
請求項5に記載の微細化混合装置において、
上記貫通孔の一部が、気体溜りを兼ねることを特徴とする微細化混合装置。
【請求項9】
請求項7に記載の微細化混合装置において、
上記整流体としての半球ドーム体の内側が、気体溜りとして機能することを特徴とする微細化混合装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−41880(P2011−41880A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−190475(P2009−190475)
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【出願人】(591119624)株式会社御池鐵工所 (86)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【出願人】(591119624)株式会社御池鐵工所 (86)
【Fターム(参考)】
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