説明

微細気泡発生浴槽

【課題】循環経路を一系統として配管スペースの縮小と配管作業の負担解消を図るとともに、一系統の循環経路であっても微細気泡発生運転と追い炊き運転の切り換えを実現することのできる微細気泡発生浴槽を提供すること。
【解決手段】微細気泡発生浴槽1は、浴槽3と、浴槽に連通し、浴槽内の湯水2を一旦外部に取り出した後、浴槽内に戻す循環経路4とを備え、循環経路の途中に循環ポンプ8および熱交換器17が接続されるとともに、湯水の流れに関し、熱交換器の上流側において気体溶解装置13が循環経路に接続され、熱交換器の下流側において循環経路の開口面積を調整する開口調整装置19が循環経路に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽内で湯水中に微細気泡を発生させる微細気泡発生浴槽に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載された気泡水流発生装置では、微細気泡発生時には、循環ポンプの作動によって浴槽から吸い込んだ温水を、エジェクタにおいて吸引した空気と混合し、気液溶解タンクに導入した後、温水に空気を溶解させる。温水に溶解した空気は、微細気泡発生手段において急激に減圧されることによって微細気泡となり、浴槽に噴出する。微細気泡発生時には、温水は、熱交換器を流通しない。
【0003】
一方、大気泡発生時には、温水は、一部が熱交換器を通じて大気泡発生手段に送られた後、浴槽に戻される。
【0004】
このように、特許文献1に記載された気泡水流発生装置は、微細気泡発生機能と追い炊き機能とを切り換えるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3416965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された気泡水流発生装置には、微細気泡発生時の温水の循環経路と追い炊き時の温水の循環経路とが別々に形成され、二系統となっており、その切り換えを行うようにしているため、温水の循環経路は、複雑であるとともに大きな配管スペースを必要としている。限られた大きさの浴室への設置を考えると、レイアウトが難しい場合があり、また、配管作業が手間取るなどの問題が指摘される。
【0007】
本発明は、循環経路を一系統として配管スペースの縮小と配管作業の負担軽減を図るとともに、一系統の循環経路であっても微細気泡発生運転と追い炊き運転の切り換えを実現することのできる微細気泡発生浴槽を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の特徴を有している。
【0009】
第1の発明は、浴槽と、浴槽に連通し、浴槽内の湯水を一旦外部に取り出した後、浴槽内に戻す循環経路とを備え、循環経路の途中に循環ポンプおよび熱交換器が接続されている微細気泡発生浴槽において、湯水の流れに関し、熱交換器の上流側において気体溶解装置が循環経路に接続され、熱交換器の下流側において循環経路の開口面積を調整する開口調整装置が循環経路に接続されていることを特徴としている。
【0010】
第2の発明は、上記第1の発明の特徴において、開口調整装置による循環経路の開口面積の調整にともなう湯水に関する情報を検知する検知手段が配設され、開口面積が小さいときに対応する情報を検知手段が検知したとき、熱交換器の作動を停止させ、開口面積が大きいときに対応する情報を検知手段が検知したとき、熱交換器を作動させる制御装置が配設されていることを特徴としている。
【0011】
第3の発明は、上記第1または第2の発明の特徴において、開口調整装置は手動操作部を備え、手動操作部は浴槽のフランジ部に配設されていることを特徴としている。
【0012】
第4の発明は、上記第1から第3いずれか一つの特徴において、湯水に溶解する気体を導入する気体導入部が、気体溶解装置に配設されているか、または、湯水の流れに関し、気体溶解装置の上流側において循環経路に接続され、気体導入部が行う気体の導入とその停止が開口調整装置による循環経路の開口面積の調整に連動し、開口面積が大きいときに気体の導入を停止し、小さいときに気体の導入を行うことを特徴としている。
【0013】
第5の発明は、上記第1から第4いずれか一つの特徴において、気体溶解装置は、湯水に未溶解の気体を排気する排気手段を備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
上記第1の発明によれば、循環ポンプおよび熱交換器が接続され、浴槽に連通している循環経路に、湯水の流れに関し、熱交換器の上流側に気体溶解装置が接続され、熱交換器の下流側に開口調整装置が接続されているので、開口調整装置が循環経路の開口面積を縮小させると、循環経路を流れる流速が速くなり、急速に減圧されるため、気泡が生成する。一方、開口面積を増大させると、流速が遅くなり、減圧されないことから、気泡の生成が起こりにくくなる。このため、一系統の循環経路であっても微細気泡発生運転と追い炊き運転の切り換えが実現される。配管スペースは縮小可能となり、配管作業の負担が軽減される。
【0015】
上記第2の発明によれば、上記第1の発明の効果に加え、開口調整装置による循環経路の開口面積の調整にともなう湯水に関する情報を検知する検知手段と、検知手段が検知した湯水に関する情報に応じて熱交換器の動作を制御する制御装置が配設されているので、循環経路の開口面積を小さくした微細気泡発生運転時に熱交換器を自動的に停止させ、追い炊き運転が行われないようにすることができる。微細気泡発生運転と追い炊き運転の切り換えが簡便かつスムーズに行われる。
【0016】
上記第3の発明によれば、上記第1または第2の発明の効果に加え、開口調整装置が備える手動操作部が浴槽のフランジ部に配設されているので、微細気泡発生運転と追い炊き運転を手動で切り換えることができ、入浴者が入浴中に手元などで簡便に行うことができる。また、火傷などの心配なく安全に切り換え操作を行うことができる。しかも、微細気泡の発生にともない浴槽内の湯水が白濁した状態となっても、手動操作部の操作は支障なくスムーズに行うことができる。
【0017】
上記第4の発明によれば、上記第1から第3いずれか一つの発明の効果に加え、気体導入部が行う気体の導入とその停止が開口調整装置による循環経路の開口面積の調整に連動しているので、追い炊き運転時に微細気泡は発生せず、微細気泡発生運転と追い炊き運転の切り換えがより簡便かつスムーズに行われる。
【0018】
上記第5の発明によれば、上記第1から第4いずれか一つの発明の効果に加え、湯水に溶解せず、気体溶解装置に残留する未溶解の気体を排気手段から排気することができ、未溶解の気体が、気体が溶解した湯水とともに大泡となって浴槽内に流出するのを抑制することができる。湯水中の微細気泡量の低下を抑えるのに有効となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の微細気泡発生浴槽の第1実施形態を示した構成図である。
【図2】図1に示した微細気泡発生浴槽において、ゲートバルブが適用された開口調整装置を、その周辺の循環経路の一部を形成する配水管とともに示した要部断面図である。
【図3】本発明の微細気泡発生浴槽の第2実施形態を示した構成図である。
【図4】図3に示した微細気泡発生浴槽において、開口調整装置が備える手動操作部とその周辺を示した要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1実施形態>
図1に示した微細気泡発生浴槽1は、湯水2を貯留する浴槽3と、浴槽3内の湯水2を一旦浴槽3の外部に取り出した後、浴槽3内に戻す、配管などから形成される循環経路4とを備えている。循環経路4における湯水2の流れの方向は、図1図中に示した矢印方向としている。
【0021】
浴槽3は、側面部に湯水2の吸込口5と吐出口6を備えている。吸込口5は、循環経路4の一部を形成する配水管7を介して循環ポンプ8の吸い込み側8aに接続されている。循環ポンプ8には、たとえば遠心ポンプなどが適用可能である。
【0022】
湯水2の流れに関して循環ポンプ8の上流側には、空気などの気体を湯水2に導入するための気体導入部9が配設され、気体導入部9は配水管7に接続されている。気体導入部9には、たとえばエジェクタなどが適用される。また、気体導入部9は、浴室内の空気などを吸引する吸引口10を備えている。吸引口10は、浴室内または浴室外の適当な場所に配置することができ、また、浴槽3の上面部を形成するフランジ部11などに取り付けることも可能である。
【0023】
循環ポンプ8の吐出側8bは、循環経路4の一部を形成する流入管12を介して気体溶解装置13に備えた溶解タンク14の上端部に接続されている。湯水2と、気体導入部9から導入される空気などの気体との気液混合流体は、循環ポンプ8によって加圧された状態で気体溶解装置13に供給される。気液混合流体は、流入管12を通じて溶解タンク14内にその上端部から底部に向かって噴出し、溶解タンク14内で攪拌されるなどして気体が湯水2に溶解する。気体溶解装置13については、湯水2に空気などの気体を溶解させることができる限り、その構成などは特に制限されない。従来公知のものを含め、適当なものを採用することができる。たとえば、流入管12は、溶解タンク14の底部に接続することもできる。また、気体導入部9は、配水管7への接続に替え、気体溶解装置13に配設することができる。
【0024】
気体溶解装置13は、湯水2への気体の溶解に際し、湯水2に溶けきれず、溶解タンク14内に残留する未溶解の気体を溶解タンク14の外部に排気する排気手段15を備えている。排気手段15は、たとえば、気体放出弁を有するものとして構成することができ、溶解タンク14に配設することができる。気体放出弁は、溶解タンク14内に残留する気体の放出と停止を行うことができる。
【0025】
気体溶解装置13の溶解タンク14には、その底部に、気体の溶解した湯水2を外部に取り出す流出管16の一端が接続されている。流出管16も循環経路4の一部を形成するものであり、その他端は熱交換器17の底部に接続している。熱交換器17は、浴槽3内の湯水2の温度を一定に保つ、または浴槽3内の湯水2の温度を所望の温度に加温するための加熱手段であり、浴槽3内の湯水2の温度があらかじめ設定された設定温度を下回ったときや浴槽3内の湯水2を加温する要求があったときに湯水2を加熱する。このような熱交換器17によって微細気泡発生浴槽1は追い炊き機能を有している。
【0026】
湯水2の温度検知は、浴槽3内の湯水2の温度を確認するために、湯水2の流れに関し、熱交換器17の上流側で行う。たとえば、浴槽3や配水管7などに温度センサを配設し、熱交換器17の上流側の循環経路4を流れる湯水2の温度を検出して、温度センサによる温度検知に基づき熱交換器17の作動または停止を自動的に行わせることができる。
【0027】
熱交換器17は、循環経路4の一部を形成する配水管18を介して浴槽3の吐出口6に接続されている。配水管18の熱交換器17側の一端は熱交換器17の上端部に接続されている。
【0028】
配水管18において、湯水2の流れに関し、熱交換器17の下流側には、配水管18の開口面積を調整する開口調整装置19が接続されている。開口調整装置19は、その配設箇所において配水管18の開口を開閉し、開口面積の大きさを調整する。このような開口調整装置19には、ボールバルブ、グローブバルブ、ゲートバルブなどが適用可能である。図2には、ゲートバルブ20が適用された開口調整装置19を例示している。
【0029】
また、配水管18において、湯水2の流れに関し、熱交換器17の下流側に、開口調整装置19による循環経路4の開口面積の調整にともなう湯水2に関する情報を検知する検知手段21として、圧力センサ22が配設されている。圧力センサ22は、配設箇所を流れる湯水2の圧力を検出するものであり、検知信号は、圧力センサ22に電気的に接続された制御装置23に出力される。制御装置23は、熱交換器17に電気的に接続されており、圧力センサ22による圧力検知に基づいて熱交換器17に作動または停止のコマンドを送信する。具体的には、制御装置23は、湯水2の圧力が高いときには熱交換器17を停止させ、低いときに作動させるように設定されている。
【0030】
微細気泡発生浴槽1では、循環ポンプ8の作動によって浴槽3内の湯水2を吸込口5から吸い込み、配水管7および流入管12を通じて気体溶解装置13に送り出す。気体溶解装置13において湯水2は、溶解タンク14内に噴出し、吸引口10を通じて気体導入部9により導入される浴室内の空気などの気体と混合され、湯水2中に気体が溶解する。所定の濃度に気体が溶解した湯水2は、溶解タンク14から流出し、流出管16および配水管18を経て吐出口6から浴槽3内に送り出される。気体が溶解した湯水2は、浴槽3内に貯留する湯水2と混合され、このときまたはそれ以前に湯水2中に溶解した気体が、圧力の低下にともなって析出し、微細気泡が発生する。
【0031】
浴槽3内の湯水2は、循環ポンプ8の作動によって循環経路4を流れて循環し、この循環が繰り返されて浴槽3内の湯水2の気泡量が増加する。浴槽3内の湯水2は微細気泡によって白濁し、牛乳風呂のような趣を与える。
【0032】
また、微細気泡発生浴槽1では、循環ポンプ8の作動によって浴槽3内の湯水2を循環させるとき、熱交換器17に通じることによって湯水2を加熱し、浴槽3内の湯水2の温度を設定温度に一定に保ったり、浴槽3内の湯水2の温度があらかじめ設定された設定温度を下回ったときや浴槽3内の湯水2を加温する要求があったときに湯水2を加熱したりすることもできる。
【0033】
そして、微細気泡発生浴槽1では、制御装置23による熱交換器17の動作制御は、開口調整装置19による循環経路4の開口面積の調整にともなって、検知手段21として配設された圧力センサ22が検出する湯水2に関する情報に基づいて行われる。すなわち、循環経路4の開口面積が小さく、あらかじめ設定されたしきい値を超える高い圧力を圧力センサ22が検知したときには、制御装置23は、熱交換器17に停止のコマンドを送信し、熱交換器17の作動を停止させる。一方、循環経路4の開口面積が大きく、上記しきい値を下回る低い圧力を圧力センサ22が検知したときには、制御装置23は、熱交換器17に作動のコマンドを送信し、熱交換器17を作動させる。このような制御装置23による熱交換器17の動作制御によって、微細気泡発生浴槽1は、微細気泡発生運転と追い炊き運転を自動的に切り換えることができる。
【0034】
図2<a>に示したように、開口調整装置19としてのゲートバルブ20が、図中の矢印方向に回転し、循環経路4の一部を形成する配水管18を閉ざすように開口面積sを縮小させると、湯水2の圧力が高くなり、気体溶解装置13における気体の溶解量が多くなる。また、湯水2の流速が速くなり、ゲートバルブ20を通過後、急速に減圧されるため、キャビテーションにしたがって湯水2に溶解していた空気などの気体が析出し、微細気泡が大量に発生する。つまり、循環経路4の開口面積sが小さいとき、微細気泡発生浴槽1は微細気泡発生運転となる。
【0035】
一方、図2<b>に示したように、ゲートバルブ20が、図2<a>図中の矢印方向と逆方向に回転し、配水管18を開けるように開口面積sを増大させると、湯水2の圧力が低くなり、気体溶解装置13における気体の溶解量が少なくなる。また、湯水2の流速は遅く、ゲートバルブ20の通過後も減圧されないため、気体の析出は起こりにくく、微細気泡はほとんど発生しない。このとき、熱交換器17は作動しているので、循環経路4の開口面積sが大きいとき、微細気泡発生浴槽1は追い炊き運転となる。
【0036】
上記のとおりの微細気泡発生浴槽1の微細気泡発生運転および追い炊き運転のON/OFFは、たとえば、浴室内に設置される微細気泡発生浴槽1のリモートコントローラからの入力によって実現可能である。
【0037】
リモートコントローラに微細気泡スイッチおよび追い炊きスイッチを配設した場合について説明すると、入浴者などによって微細気泡スイッチがONとされたとき(追い炊きスイッチはOFF)、熱交換器17における湯水2の加熱をOFFにし、循環ポンプ8を作動させるとともに、開口調整装置19としてのゲートバルブ20を循環経路4を閉める方向に回転させる。湯水2は熱交換器17を通過するものの、加熱されないので、微細気泡発生浴槽1は、微細気泡発生運転のみとなり、浴槽3内に微細気泡が多量に発生する。
【0038】
追い炊きスイッチがONとされたとき(微細気泡スイッチはOFF)には、熱交換器17における湯水2の加熱をONにし、循環ポンプ8を作動させるとともに、ゲートバルブ20を循環経路4を開ける方向に回転させる。湯水2は熱交換器17を通過する際に加熱される。微細気泡発生浴槽1は、追い炊き運転のみとなり、浴槽3内の湯水2は設定温度に一定に保たれる。
【0039】
一方、微細気泡スイッチおよび追い炊きスイッチがともにONとされたときには、追い炊きスイッチのONにともない熱交換器17における湯水2の加熱がONとされ、循環ポンプ8が作動する。ゲートバルブ20は、微細気泡スイッチのONにともなって、循環経路4を閉める方向に回転する。このとき、検知手段21としての圧力センサ22から循環経路4の開口面積sが小さいときに対応する検知信号が制御装置23に入力されるが、制御装置23は、熱交換器17を強制的に作動させる運転モードとして認識し、圧力センサ22からの検知信号をキャンセルする。したがって、微細気泡発生浴槽1では、微細気泡スイッチおよび追い炊きスイッチがともにONのとき、微細気泡発生運転を行いながら、追い炊き運転を継続させることができ、湯水2の温度を一定に保った状態において微細気泡を連続して発生させることができる。なお、熱交換器17を強制的に作動させる運転モードの場合であっても、圧力センサ22からの検知信号が所定の上限値を超えたときは、熱交換器17を強制的に停止させるようにしてもよい。
【0040】
このように、微細気泡発生浴槽1は、一系統の循環経路4であっても、微細気泡発生運転と追い炊き運転を、開口調整装置19による循環経路4の開口面積sの調整によって切り換えることができる。したがって、配管スペースは縮小可能となり、配管作業の負担が軽減される。また、微細気泡運転と追い炊き運転の切り換えは、自動化されるため、簡便かつスムーズに行われる。
【0041】
なお、微細気泡発生浴槽1では、気体導入部9が行う浴室内の空気などの気体の導入とその停止を、開口調整装置19による循環経路4の開口面積sの調整に連動させることができる。たとえば、気体導入部9に電磁弁などを配設し、その開閉をゲートバルブ20による循環経路4の開口の開閉に連動させることができる。この場合、電磁弁の開動作とゲートバルブ20の図2<a>に示した閉動作に連動させ、電磁弁の閉動作は、ゲートバルブ20の図2<b>に示した開動作に連動させる。こうすることによって、ゲートバルブ20による循環経路4の開口面積sを縮小させる微細気泡発生運転時に気体導入部9からの気体の導入を可能とし、一方、循環経路4の開口面積sを増大させる追い炊き運転時に気体の導入を停止させることができる。気体が導入されないことから、追い炊き運転時に湯水2に微細気泡は発生しなくなり、微細気泡発生運転と追い炊き運転の切り換えが、より簡便かつスムーズに行われる。
【0042】
また、微細気泡発生浴槽1では、気体溶解装置13は排気手段15を備えているので、湯水2に溶解せず、気体溶解装置13の溶解タンク14に残留する未溶解の気体を排気手段15から排気することができる。このため、未溶解の気体が、気体が溶解した湯水2とともに大泡となって浴槽3内に流出するのを抑制することができ、湯水2中の微細気泡量の低下を抑えるのに有効となる。
【0043】
微細気泡発生浴槽1には、圧力センサ22に替え、流量センサなどを検知手段21として配設することができる。検知手段21には、開口調整装置19による循環経路4の開口面積sの調整にともなう湯水2に関する情報を検知することができる限り、特別な制限はない。
<第2実施形態>
図3、4に示した微細気泡発生浴槽1は、開口調整装置19の構成において、図1、2に示した微細気泡発生浴槽1と相違している。他の構成については、図1、2に示した微細気泡発生浴槽1と共通している。したがって、図3、4には、図1、2に示した微細気泡発生浴槽1と共通する部位に同一の符号を付し、以下ではその説明を省略する。
【0044】
図3、4に示した微細気泡発生浴槽1では、開口調整装置19としてのゲートバルブ20は、手動操作部24として回転つまみ25を有し、回転つまみ25の手動操作によって循環経路4の開口面積sの調整を可能としている。回転つまみ25は、左方向の回転が循環経路4の開口を閉める操作に対応し、右方向の回転が循環経路4の開口を開ける操作に対応している。また、回転つまみ25は、浴槽3の上面部を形成し、外側に延在しているフランジ部11に配設されている。
【0045】
このため、図3、4に示した微細気泡発生浴槽1は、図1、2に示した微細気泡発生浴槽1とほぼ同等な作用効果を奏するとともに、微細気泡発生運転と追い炊き運転の切り換えを手動操作によって行うことができる。または、微細気泡発生運転と追い炊き運転の切り換えを自動でも手動でも行うことができる。
【0046】
すなわち、上記のとおりのリモートコントローラにおいて微細気泡スイッチをONにすると、熱交換器17における加熱がOFFとされて循環ポンプ8が作動する。この状態において、回転つまみ25を循環経路4の開口を開く方向に回転操作させると(右回転)、微細気泡は発生せず、湯水2の循環のみが行われる。回転つまみ25を循環経路4の開口を閉じる方向に回転操作させると(左回転)、微細気泡発生運転のみとなり、浴槽3内に微細気泡が発生する。
【0047】
一方、追い炊きスイッチをONにすると、熱交換器17における加熱がONとされて循環ポンプ8が作動する。この状態において、回転つまみ25を循環経路4の開口を開く方向に回転操作させると(右回転)、追い炊き運転のみが行われる。浴槽3内の湯水2の温度が設定温度に一定に保たれる。回転つまみ25を循環経路4の開口を閉じる方向に回転操作させると(左回転)、微細気泡発生運転と追い炊き運転の両方が行われ、湯水2の温度を一定に保ちながら、微細気泡の発生を連続して行うことができる。
【0048】
なお、いずれの場合も、制御装置23による熱交換器17の動作制御は、図1、2に示した微細気泡発生浴槽1と同様に行われる。
【0049】
このように、図3、4に示した微細気泡発生浴槽1では、微細気泡発生運転と追い炊き運転を手動で切り換えることができ、入浴者が入浴中に手元などで簡便に行うことができる。また、手動操作部24としての回転つまみ25は浴槽3のフランジ部11に配設されているので、火傷などの心配なく安全に行うことができる。しかも、微細気泡の発生にともない浴槽3内の湯水2が白濁した状態となっても、回転つまみ25の操作は支障なくスムーズに行うことができる。
【符号の説明】
【0050】
1 微細気泡発生浴槽
2 湯水
3 浴槽
4 循環経路
8 循環ポンプ
9 気体導入部
11 フランジ部
13 気体溶解装置
15 排気手段
17 熱交換器
19 開口調整装置
21 検知手段
23 制御装置
24 手動操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽と、浴槽に連通し、浴槽内の湯水を一旦外部に取り出した後、浴槽内に戻す循環経路とを備え、循環経路の途中に循環ポンプおよび熱交換器が接続されている微細気泡発生浴槽において、湯水の流れに関し、熱交換器の上流側において気体溶解装置が循環経路に接続され、熱交換器の下流側において循環経路の開口面積を調整する開口調整装置が循環経路に接続されていることを特徴とする微細気泡発生浴槽。
【請求項2】
開口調整装置による循環経路の開口面積の調整にともなう湯水に関する情報を検知する検知手段が配設され、開口面積が小さいときに対応する情報を検知手段が検知したとき、熱交換器の作動を停止させ、開口面積が大きいときに対応する情報を検知手段が検知したとき、熱交換器を作動させる制御装置が配設されていることを特徴とする請求項1に記載の微細気泡発生浴槽。
【請求項3】
開口調整装置は手動操作部を備え、手動操作部は浴槽のフランジ部に配設されていることを特徴とする請求項1または2に記載の微細気泡発生浴槽。
【請求項4】
湯水に溶解する気体を導入する気体導入部が、気体溶解装置に配設されているか、または、湯水の流れに関し、気体溶解装置の上流側において循環経路に接続され、気体導入部が行う気体の導入とその停止が開口調整装置による循環経路の開口面積の調整に連動し、開口面積が大きいときに気体の導入を停止し、小さいときに気体の導入を行うことを特徴とする請求項1から3いずれか一項に記載の微細気泡発生浴槽。
【請求項5】
気体溶解装置は、湯水に未溶解の気体を排気する排気手段を備えていることを特徴とする請求項1から4いずれか一項に記載の微細気泡発生浴槽。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−252990(P2010−252990A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−105666(P2009−105666)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】