説明

心線保護方法

【課題】過電流が流れた際に生じる放電の発生を防止すること。
【解決手段】心線1を覆う絶縁被覆3を導電性接続手段5のV字溝5aに押し付けて、心線1と導電性接続手段5とを導通させ、心線1とV字溝5aとの接触部分に導電性ペースト9を塗布する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心線を保護する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
図2は、従来の心線接続方法を示す図である。従来は、心線1を覆う絶縁被覆3に金属等で製造された導電性接続手段5のV字溝5aを押し付けて、心線1に到達するまで絶縁被覆3を断面状に切断し、到達した心線1の一領域とV字溝5aの一領域とを接触させて心線1と導電性接続手段5とを電気的に導通(接続)させることにより、他の心線(不図示)との導通を実現していた。なお、非特許文献1には、このよう心線接続方法を有する心線接続装置が記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】株式会社 八光電機製作所、「NTT殿関連納入物品」、[online]、[平成22年4月6日検索]、インターネット<http://www.hachiko-denki.co.jp/html/pdf/catalogue/ntt.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、心線1とV字溝5aとが接触している接触部分7の接触面積は小さいため、他の金属部分よりも接触抵抗が大きくなり、接触部分7に雷サージ等の過電流が流れると放電を起こして接続不良が生じるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記を鑑みてなされたものであり、過電流が流れた際に生じる放電の発生を防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の心線保護方法は、心線を覆う絶縁被覆を導電性接続手段の切込部に押し付けて、前記心線と前記導電性接続手段とを導通させる第1のステップと、前記心線と前記切込部との接触領域を増大する導電性接触材を充てがう第2のステップと、を有することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、心線を覆う絶縁被覆を導電性接続手段の切込部に押し付けて、心線と導電性接続手段とを導通させ、心線と切込部との接触領域を増大する導電性接触材を充てがうため、心線と切込部との接触面積が大きくなり、従来よりも接触抵抗が低減される。これにより、心線と切込部との接触部分に過電流が流れた際に生じる放電の発生を防止することが可能となる。
【0008】
請求項2に記載の心線保護方法は、請求項1に記載の心線保護方法において、前記第2のステップが、心線と切込部との接触部分に導電性ペーストを塗布することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の心線保護方法は、請求項1又は2に記載の心線保護方法において、前記第2ステップが、前記導電性接触材を注入した接触材用袋を前記切込部に配置しておき、前記絶縁被覆が当該切込部に押し付けられた際に、前記絶縁被覆が取り除かれると共に前記接触材用袋が裂けることにより、前記導電性接触材を充てがうことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、過電流が流れた際に生じる放電の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】一実施の形態に係る心線保護方法を示す図である。
【図2】従来の心線接続方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、一実施の形態について図面を用いて説明する。
【0013】
図1は、本実施の形態に係る心線保護方法を示す図である。最初に、心線1を覆う絶縁被覆3に金属等で製造された導電性接続手段5のV字溝5aを押し付けて、心線1に到達するまで絶縁被覆3を断面状に切断することにより、心線1の一領域とV字溝5aの一領域とを接触させ、心線1と導電性接続手段5とを電気的に導通(接続)させる。
【0014】
次に、心線1とV字溝5aとの接触部分に導電性ペースト9を塗布し、V字溝5aに非接触な心線1のむき出し部分とV字溝5aとを、導電性ペースト9を介して導通させる。
【0015】
本実施の形態によれば、心線1を覆う絶縁被覆3を導電性接続手段5のV字溝5aに押し付けて、心線1と導電性接続手段5とを導通させ、心線1とV字溝5aとの接触部分に導電性ペースト9を塗布するので、心線1とV字溝5aとの接触部分の接触面積が大きくなり、従来よりも接触抵抗が低減される。これにより、心線と切込部との接触部分で消費される電極が小さくなり、放電の発生を抑制することが可能となる。
【0016】
なお、本実施の形態では、導電性ペースト9を用いたが、心線1とV字溝5aとの接触部分の接触面積を増大する導電性接触材であればどのようなものであってもよい。
【0017】
また、本実施の形態では、導電性ペースト9を心線1とV字溝5aとの接触部分に充てがったが、心線1とV字溝5aとの接触領域を増大可能であればどのような状態で充てがってもよい。例えば、心線1とV字溝5aとの接触部分に直接充てがうことも可能であるし、その接触部分に接触しないように充てがうことも可能である。また、例えば、導電性ペースト9を注入した接触材用袋をV字溝5aに配置しておき、絶縁被覆3がV字溝5aに押し付けられた際に、絶縁被覆3が取り除かれると共に接触材用袋が裂けることにより、導電性ペースト9を塗布するようにすることも可能である。
【符号の説明】
【0018】
1…心線
3…絶縁被覆
5…導電性接続手段
5a…V字溝(切込部)
7…接触部分
9…導電性ペースト(導電性接触材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
心線を覆う絶縁被覆を導電性接続手段の切込部に押し付けて、前記心線と前記導電性接続手段とを導通させる第1のステップと、
前記心線と前記切込部との接触領域を増大する導電性接触材を充てがう第2のステップと、
を有することを特徴とする心線保護方法。
【請求項2】
前記第2のステップは、
前記心線と前記切込部との接触部分に導電性ペーストを塗布することを特徴とする請求項1に記載の心線保護方法。
【請求項3】
前記第2ステップは、
前記導電性接触材を注入した接触材用袋を前記切込部に配置しておき、前記絶縁被覆が当該切込部に押し付けられた際に、前記絶縁被覆が取り除かれると共に前記接触材用袋が裂けることにより、前記導電性接触材を充てがうことを特徴とする請求項1又は2に記載の心線保護方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−228209(P2011−228209A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−98975(P2010−98975)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】