説明

心臓用閉塞デバイス

本発明は特に、自動調心機構を備えた心臓用閉塞デバイスに関する。この心臓用閉塞デバイスは、各々が夫々のワイヤの鏡像を形成すべく独特な形に成形された別個の2本のワイヤ(12、14、12A、14A)を含む。各ワイヤは、遠位ディスク(16)及び近位ディスク(18)を形成する半体ディスク又は四分ディスク(12B、12B'、14B、14B')を協働して形成する。他の変形例において、閉塞デバイスは、各々が自身の隣接ワイヤの鏡像であると共に近位及び遠位の四分ディスクを形成する4本の別個のワイヤを含む。4本のワイヤを備える変形例において、ワイヤの四分ディスクは協働して近位及び遠位のディスクを形成する。遠位ディスク及び近位ディスクは、自動調心括れ(12C、14C)により分離されている。近位ディスクは、ネジ機構を具備するハブ(30)に取付けられる。同様のハブは遠位ディスク上では任意選択的である。ディスクは、組織における開孔を閉塞する封止材を形成する被覆を更に含む。ディスクを形成するワイヤは、それらが、投入の間においてはカテーテル内で折り畳まれて変形されているが、投入の後においてはそれらの意図された形状を回復して維持し得るように、形状記憶能力を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療デバイスに関し、特に先天的な心臓欠陥を閉じるためのデバイスに関する。詳細には本発明は、自動調心機構を備えた心臓用閉塞デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野においては、心房中隔欠損症(“ASD”)、卵円孔開存(“PFO”)症、心室中隔欠損症(“VSD”)、及び動脈管開存(“PDA”)症のような先天的心臓欠陥を治療するための心臓用閉塞デバイスが知られている。以下の企業は、異なる形式のデバイスを製造している:AGAメディカル社(AGA Medical)、マイクロヴィーナ社/イーブイスリー・メディカル社(Microvena Corp./EV3 Medical)、ヴェロシメド社/セント・ジュード・メディカル社(Velocimed/St. Jude Medical)、オクルテック・インターナショナル社(Occlutech International)、エヌエムティー・メディカル社(NMT Medical)、カーディア社(Cardia, Inc.)、ソリセーフ・エスエー社(Solysafe SA)、シデリス社(Sideris)(カスタム・メディカル社(Custom Medical, Inc.))、ダブリュエル・ゴア社(WL Gore)、及びクック社(Cook, Inc.)。
【0003】
斯かる心臓欠陥の一つの特定の例はPFOである。図1において6Aで示されたPFOとは、心臓1の右心房2と左心房3との間の壁部における、通常はフラップ状の宿存的な一方向の開口である。左心房(LA)圧力は通常、右心房(RA)圧力より高いので、前記フラップは通常は閉じられたままである。しかし一定の条件下で、右心房圧力は左心房圧力を超えることで、血液は右心房2から左心房3へ通って血餅が体循環に進入するという可能性を引き起こす。この状況は排除されることが望ましい。
【0004】
卵円孔6Aは、胎児が子宮内に懐胎されているときには望ましい目的を果たす。血液は、発育しつつある肺を介してではなく臍帯を介して酸素供給されることから、胎児の心臓の循環系は、右から左への短絡のための生理学的管路として卵円孔を通って血液が流れることを許容する。出生後、肺循環の確立により、左心房の血液の流量及び圧力が増大する結果、卵円孔は機能的に閉じられる。この機能的な閉塞の後に、重なり合う2つの組織層、即ち一次中隔8及び二次中隔9の解剖学的構造上の閉塞が続く。しかし、多くの成人においてPFOが宿存することが示されている。
【0005】
PFO欠陥の存在は、その他の点で健康な成人においては、一般的には治療の意義を何ら有さないと考えられる。しかし、PFOが存在し、且つ虚血性脳卒中に対して別の特定原因が無いという患者であって、脳卒中、又は一過性脳虚血発作(TIA)を起こした患者に対する診断において、奇異性塞栓症はPFO欠陥に起因すると考えられる。現在において因果関係の決定的な証拠は無いものの、多くの研究では、PFO欠陥の存在と、奇異塞栓症もしくは脳卒中のリスクとの間には強い結び付きが確認されている。これに加え、PFO欠陥を有する患者であって脳血管の事象を有したことがある患者は、将来の再発性脳血管事象に対して大きなリスクが在るという有意な証拠が在る。
【0006】
故に、斯かる大きなリスクが在る患者に対しては、再発性の塞栓事象のリスクを低減するために予防的医薬療法が考えられる。これらの患者は通常は経口抗凝血剤により治療されるが、これは潜在的に、出血、血腫、及び他の種々の薬剤との相互作用のような不都合な副作用を有している。これらの薬剤の使用は、対象者の回復を変化させると共に、対象者の日々の生活様式の調整を必要とすることがある。
【0007】
抗凝血剤が禁忌されているときなどの一定の場合には、PFO欠陥を閉じるために手術が必要もしくは望ましいだろう。その手術は、二次中隔を一次中隔に結合することにより閉じられるPFO縫合を典型的に含む。この縫合結合は、断続的な縫目もしくは連続的な縫い目のいずれかを用いて達成され得ると共に、外科医が直接視認下でPFOを閉じる一般的な方法である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
心房中隔欠損症(ASD)の経皮的閉塞のために当初に開発された傘状デバイス、及び他の種々の同様の機械的な閉塞デバイスは、PFOを閉じるためにある場合には使用されてきた。これらのデバイスは、患者が抗凝血剤による治療法に伴うことが多い副作用と侵襲的な手術のリスクとを回避することを可能にする。しかし、ASDに対して設計された傘状デバイス等は、PFO閉塞デバイスとしての使用に対して最適ではない。
【0009】
現在において入手可能な中隔閉塞デバイスは、技術的に複雑なインプラント手技を含む欠点を有する。さらに、血栓、構成要素の破砕、刺激伝導系の阻害、心臓組織の穿孔、及び残留物の漏出に起因する、見過ごせない合併症が在る。また、多くのデバイスは、大きな中隔輪郭を有すると共に大質量の異物を含み、これはデバイスの不都合な身体適合をもたらすことがある。ASDデバイスが孔を閉塞すべく設計されるとするなら、多くのものは、PFOのフラップ状の解剖学的構造に対する解剖学的な順応性に欠けている。PFOのフラップ状開口は複雑であり、また中央支柱を備えるデバイスもしくは自動調心的なデバイスは、PFO欠陥を閉じる際に強く望まれる成果である欠陥の完全な閉塞を行えないこともある。故に、欠陥に順応し得る括れを備えたデバイスは、前記欠陥を完全に閉じる可能性が相当に高い。しかし閉塞するシールが形成されるとしても、前記デバイスは心臓内で所定角度にて展開され、中隔に当接して不安定に着座する幾つかの構成要素を残し、そのことにより血行力学的な阻害に起因する血栓形成のリスクが生じる。最後に、幾つかの中隔閉塞デバイスは製造が複雑であり、一貫しない製品性能に帰着し得る。
【0010】
例えばASD、VSD、PDAなどの他の心臓欠陥を閉塞するためのデバイスもまた欠点を有している。例えば、現在入手可能なデバイスは、自動調心的又は非自動調心的のいずれかである傾向があり、心臓内の解剖学的構造に対して適切には順応しないことがある。これらの特性は両方共、明確な利点及び不都合を有している。非自動調心的なデバイスは、欠陥を完全に閉じないことがあり、また相当に過大に寸法設定される必要があり得る。この形式のデバイスは通常は、大きな欠陥に対しては利用できない。更に、自動調心的なデバイスは、適切に寸法設定されなければ心臓に対する損傷を引き起こすことがある。
【0011】
また、幾つかのものは鋭利な縁部を有し、これは心臓を損傷して臨床的な問題を潜在的に引き起こすことがある。
【0012】
幾つかのデバイスは多すぎるニチノール/金属を含み、このことは患者に不都合な反応を引き起こすことがあるので、植設を行う医師及び患者にとっての不安となり得る。
【0013】
更に、現在市販されている幾つかのデバイスは多数の型式番号(利用可能な数個のサイズ)を有することから、病院及び市場が先天性の構造的な心臓介入プログラムの開始に投資することを困難に且つ不経済にする。
【0014】
本発明は、先行技術の開孔閉塞デバイスのこれらの及び他の欠点に対処することが企図される。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、自動調心機構を有する心臓用閉塞デバイスであって、独特の形に成形された別個の2本のワイヤであって、各ワイヤは2つの半円形のデザインに成形されることで各ワイヤの記憶形状能力により2つの半体ディスクを形成する、2本のワイヤと、前記2つの半円形のデザインの間に形成された自動調心括れ領域と、前記2つの半円形のデザインの各々の上の被覆であって、心臓閉塞部に対する封止材である被覆とを具備する、心臓用閉塞デバイスに関する。
【0016】
更に詳細には、本発明は、
組織における開孔を閉塞するためのデバイスであって、
第1可撓性ワイヤ及び第2可撓性ワイヤであって、前記第1及び第2ワイヤの各々は形状記憶特性を備え、並びに前記第1及び第2ワイヤの各々は、前記第1ワイヤの第1半円形状が前記第2ワイヤの第1半円形状と対向することで第1ディスクを形成し且つ前記第1ワイヤの第2半円形状が前記第2ワイヤの第2半円形状と対向することで第2ディスクを形成するように、第1及び第2の略半円形状へ成形されており、更に、前記第1及び第2ディスクの各々は、前記第1ワイヤの2つの区画と前記第2ワイヤの2つの区画とから形成された自動調心括れにより分離されている、第1可撓性ワイヤ及び第2可撓性ワイヤと、
前記第1及び第2ディスクの各々の上のシール被覆であって、前記開孔を閉塞するシールを提供するシール被覆と、を具備するデバイスに関する。
【0017】
本発明はまた、心臓組織における開孔を閉塞するためのデバイスであって、第1可撓性ワイヤ及び第2可撓性ワイヤを具備する、デバイスにも関する。第1及び第2ワイヤの各々は形状記憶特性を備える。更に、第1及び第2ワイヤの各々は、前記第1ワイヤの第1半円形状が前記第2ワイヤの第1半円形状と対向することで第1ディスクを形成し且つ前記第1ワイヤの第2半円形状が前記第2ワイヤの第2半円形状と対向することで第2ディスクを形成するように、第1及び第2の略半円形状へ成形される。前記第1及び第2ディスクの各々は、前記第1ワイヤの2つの区画と前記第2ワイヤの2つの区画とから形成された自動調心括れにより分離され、前記第1ワイヤの2つの区画及び前記第2ワイヤの前記2つの区画は、該デバイスの自動調心構造形を維持するために、半径方向外向きの力を生成する。前記第1及び第2ワイヤの各々は第1及び第2端部を有し、前記第1及び第2ワイヤの前記第1及び第2端部の各々はハブに接続され、且つ、ハブは、展開ケーブルに対する取付けのための投入用取付け機構を更に具備する。前記デバイスはまた、前記第1及び第2ディスクの各々の上のシール被覆も含んでおり、前記シール被覆は前記開孔を閉塞するシールを提供するとともに、組織成長を促進することができ及び/又は封止材として機能することができる柔軟な生体適合性材料を具備する。
【0018】
本発明はまた、心臓における開孔欠陥内へ上述の閉塞器デバイスを挿入して前記欠陥を通る血液の流れを阻止する方法にも関する。
前記方法は、
a.前記閉塞器デバイスを前記取外し可能な展開ケーブルに取付ける段階と、
b.前記閉塞デバイスを、開放チャネルを有する可撓性の投入用カテーテル内に配置する段階と、
c.前記カテーテルを血管内へ送り込むと共に、前記カテーテルを血管系を介して心臓内の前記開孔欠陥へ前進させる段階と、
d.前記開孔欠陥を通して前記カテーテルを前進させる段階と、
e.前記閉塞器デバイスの前記第1ディスクが前記開孔欠陥の一方の側面上にて拡開するように、前記カテーテルを前記閉塞器デバイスから引き戻す段階と、
f.前記閉塞器デバイスの前記括れが前記開孔欠陥内で記憶保持により拡開することで前記閉塞器デバイスを自動調心する様に、前記閉塞器デバイスの前記第2ディスクが前記開孔欠陥の他方の側面上にて拡開するように、前記カテーテルを前記閉塞器デバイスから更に引き戻す段階と、
g.前記カテーテルを前記血管から更に引き戻す段階と、
h.前記展開ケーブルを前記ハブから取り外す段階と、を具備する。
【発明の効果】
【0019】
利点:
本発明の前記デバイスは、多くの利点を有している:
・より低い輪郭:本発明の閉塞器デバイスは、入手可能なデバイスよりも低い輪郭を有している。
・順応可能:前記デバイスは、可撓性であると共に、患者の解剖学的構造、特に閉塞される孔に順応可能である。鋭利な縁部は無い。前記デバイスは柔軟であることから、心房組織を損傷することが少ない。
・要求に応じての自動調心:2つのディスクが接続された独特の様態の故に、前記デバイスは、自動調心特性を有する。このデバイスの独自性は自動調心機構に在る。前記デバイスの前記括れは4本のワイヤから作成される。各ワイヤは、器官における欠陥の形状及びサイズに順応する能力、即ち先行技術のデバイスにおいては見られない特性を有する。故に、前記デバイスの自動調心性は、欠陥のサイズ及び形状に依存する。前記各ワイヤは、自動調心構造形を維持するに十分な半径方向力を有するが、欠陥を悪化させる様態で欠陥の縁部に当接して押圧するに足りるほど強力ではない。前記デバイスは、展開後に、完全に再位置決め可能かつ復元可能である。
・あつらえの装着(Custom Fit):前記デバイスは、括れのバルーン拡開により欠陥内であつらえの装着をされるという更なる機能を有している。このことは、前記括れの自己拡開性質の故に、多くの場合において必要ではない。しかし、あつらえの拡開が必要とされる場合(楕円形の欠陥、トンネル状の欠陥)、括れのサイズは、バルーン・カテーテルの膨張によって欠陥に順応するために増大され得る。バルーンは、前記デバイスの投入ハブ及び投入ケーブル上の中空ネジ取付具を通して挿入され得る。前記膨張は前記デバイスの解放の前に可能であり、このことは安全性の余裕を増大させる。
・より少ないサイズ:拡開可能な括れは、多様な異なるサイズの欠陥を閉塞するために必要とするのは、より少ないサイズである。故に、単一のデバイスが、幾つかの異なるサイズのデバイスを植設する機能を医師に対して提供し得る。
・前記デバイスは血栓形成が少ない、と言うのも各ディスクはePTFEで覆われるからである。ePTFEは、実績があり、最小限の血栓形成であることが確認されている。非常に軽度の改変により、42mmまでの欠陥を閉塞する能力がある。
・確実さ:植設デバイスを解放する前に、それを拘束したままにする機会があり、これは特別な安全対策である。
【0020】
用途:
本発明の前記デバイスは、僅かな改変を以て、ASD(心房中隔欠損症)、PFO(卵円孔開存)、VSD(心房中隔欠損症)、及びPDA(動脈管開存)に対して適切であるだろう。
【0021】
前記デバイスの重要な用途は、左心耳における開孔の閉塞におけるものでもある。前記デバイスは、左心耳の解剖学的構造に順応すべく改変され得る。ディスクは、前記デバイスが鼓動により外方に押出されない様に改変される。それでも、前記デバイスは依然として、適切な閉塞体を形成するに十分なほど柔軟である。
【0022】
前記各ディスクはまた、それらが静脈及び動脈の閉塞に適合性を有する様にも改変され得る。この用途のために、接続括れは、ディスクの直径と等しく(又は略々等しく)なる。他の重要な用途は、冠状動脈瘻、動静脈瘻、及び動静脈形成異常などの閉塞におけるものである。
【0023】
本発明の目的及び利点は、添付図面に関して為される本発明の好適な実施例に関する以下の詳細な説明からより十分に明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】種々の中隔欠陥を含む人間の心臓の概略図である。
【図2】本発明の閉塞器デバイスの斜視図である。
【図3】図2の閉塞器デバイスの頂面図である。
【図4】図2におけるラインに沿って描かれた前記閉塞器デバイスの側面図である。
【図5】図2に沿って描かれた前記閉塞器デバイスの側面図である。
【図6】図2の閉塞器デバイスの斜視図であり、被覆42を図示している。
【図7】図6の閉塞器デバイスの頂面図である。
【図8】最初にカテーテルから抜け出している前記閉塞器デバイスの斜視図である。
【図9】カテーテルから抜け出す途中の前記閉塞器デバイスの斜視図である。
【図10】カテーテルから完全に抜け出して展開ケーブルから分離された前記閉塞器デバイスの斜視図である。
【図11】本発明の閉塞器デバイスの斜視図であり、前記閉塞器デバイスの括れを囲繞する制限ワイヤを示している。
【図12A】本発明の閉塞器デバイスの第1の代替実施例の斜視図である。
【図12B】図12Aに示された本発明の閉塞器デバイスの第1の代替実施例の側面図である。
【図13】本発明の閉塞器デバイスの第2の代替実施例の側面図である。
【図14】本発明の閉塞器デバイスの第3の代替実施例の側面図である。
【図15】本発明の閉塞器デバイスの第4の代替実施例の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、身体組織内の開孔を閉塞するためのデバイスを提供する。当業者であれば、本発明のデバイス及び方法は、本明細書において特に論じられた解剖学的疾患に加え、他の解剖学的疾患を治療すべく使用され得ることを理解するであろう。故に、本発明が適用性において何らかの特定の解剖学的疾患に限られると解釈されてはならない。
【0026】
図1は、右心房2と、左心房3と、右心室4と、左心室5とを有する人間の心臓1を示している。種々の解剖学的異常6A、6B及び6Cが示されている。心房中隔7は、一次中隔8及び二次中隔9を含んでいる。中隔7の解剖学的構造は人の集団内で変化に富んでいる。一部の人々では、一次中隔8は二次中隔9まで延びてそれと重なり合う。一次中隔8は非常に薄いことがある。PFOが存在するとき、血液は一次中隔8と二次中隔9との間の(“PFOトンネル”と呼ばれる)通路6Aを通って移動し得る。付加的に又は代替的に、ASDの存在は、開孔6Bとして概略的に示されるような中隔組織における開孔を通して血液が移動することを可能にする。VSDは、開孔6Cが心臓の左心室と右心室との間の中隔に存在することを除きASDに類似している。
【0027】
PDAは動脈管における欠陥から生まれる。人間の血液循環は、全身循環路及び肺循環路を具備する。人間の発育の胎児段階において、前記の2つの循環路は動脈管により互いに結合されている。前記脈管は大動脈(身体に対する循環)を肺動脈(肺循環路)に接続している。幼児の正常の発育中に、この脈管は出生後に閉じられる。もし発育が不完全であれば、前記脈管が閉じないということが起こり得る結果として、前記の2つの血液循環路は出生後でさえも依然として接続されたままである。
【0028】
特に具体的に記載されなければ、“開孔”6は、とりわけ、PFO6A、ASD6B、VSD6C及びPDAなどの上述の特定の心臓欠陥を指している。
【0029】
本明細書中で用いられるように、“遠位”はカテーテル挿入箇所から離間する方向を指し、また“近位”は挿入箇所に近い方向を指す。
【0030】
本明細書中で用いられるように、“記憶”もしくは“形状記憶”は、保存の間、又は生体内での投入のプロセスの間のような一定の時間間隔において変形されるにも拘わらず、意図された形状を回復して維持するという材料の特性を指す。
【0031】
次に図2乃至図5を参照すると、本発明の閉塞器デバイス10は、独特の形を有する2本の別個の形状記憶ワイヤ12、14を具備する。前記ワイヤは、生体再吸収可能ポリマ、形状記憶ポリマ、形状記憶合金、生体適合性金属、生体再吸収可能金属、又はそれらの組み合わせのような、生体適合性の金属もしくはポリマで形成され得る。特定の例としては、限定的なものとしてではなく、鉄、マグネシウム、ステンレス鋼、ニチノール、又はこれらの及び類似の材料の組み合わせが挙げられる。本発明に対して好適な金属はニチノール合金である。ニチノール(ニッケル・チタン/海軍兵器研究所に対する略語)とは一群の金属間材料であり、ニッケル(55重量%)とチタンとの略々等しい混合物を含有する。材料特性を調節もしくは“調整”すべく他の元素が添加され得る。ニチノールは、独特の挙動、特に明確な“形状記憶性”及び並はずれた弾性を示す。概して、記憶能力を備えた任意の生体適合性材料が本発明に使用され得る。形状記憶ポリマ及び合金の熱的な形状記憶及び/又は超弾性は、閉塞器10が投入プロセスの間において変形されるにも拘わらず、生体内でその意図された形状を回復して維持することを可能にする。特定の実施例において、前記記憶はまた、PFOトンネルのような開孔を押圧して閉じることも支援し得る。ワイヤの直径又は太さは、デバイスのサイズ及びタイプに依存し、即ちデバイスが大きい程ワイヤの直径は大きくなる。概して、約0.2mm〜約0.8mmの直径を有するワイヤが使用され得る。
【0032】
図2乃至図5に示されるように、各ワイヤ12もしくは14は、夫々のワイヤ14もしくは12の鏡像を形成している。詳細には、各ワイヤ12、14は、2つの近位四分円形又は四分ディスク12B、12B'又は14B、14B'に加え、遠位半円形又は半体ディスク12A、14Aを形成する。各ワイヤの2つの近位四分円形は協働して、近位半円形又は半体ディスク12B、12B'又は14B、14B'を形成する。夫々のワイヤの2つの遠位半円形12A、14Aは協働して、閉塞器10の遠位円形又は遠位ディスク16を構成する。“四つ葉のクローバ”形状を形成する4個の近位四分円形12B、12B'、14B、14B'は、閉塞器10の近位円形又は近位ディスク18を構成する。
【0033】
各ワイヤの近位半円形12B、12B'又は14B、14B'は、括れ部分12C、14Cにより、遠位半円形12A又は14Aに接続されている。図2に示されるように、ワイヤ毎に、2つの括れ部分12C、14Cが在る。(各ワイヤから2つである)4つの括れ部分12C、14Cは全体として、閉塞器デバイス10の絞り領域もしくは括れ20を構成する。複数の括れ部分間の距離、即ち同一ワイヤ内での前記距離及びワイヤからワイヤへの前記距離の両方が、括れ20のサイズを決定する。括れ20のサイズは、特定の用途、及び閉塞器デバイス10のサイズに依存する。括れ部分12C、14Cの弾力性及び記憶、及び半径方向に拡開する能力が、開孔6内における閉塞器デバイス10の自動調心機構として働く。
【0034】
ハブ30:
2つの半体ディスクは、投入用取付け機構もしくはハブ30の接合部以外は、互いに取付け又は結合されていない。ワイヤ12、14の端部12D、14Dは、ハブ30に対して溶着もしくは別の方法で結合されている。
【0035】
被覆24A及び24B:
本発明の幾つかの実施例に依れば、遠位ディスク16及び/又は近位ディスク18は、図6及び図7に示された膜状被覆24A及び24Bを含み得る。膜状被覆24A及び24Bは、開孔6をより完全に覆うことを確実にすると共に、組織の封じ込め及び内皮化を促進することにより、組織の解剖学的な閉塞をより促進すると共に閉塞率を向上させる。被覆24A及び24Bは閉塞器デバイス10の安定化にも役立つ。
【0036】
膜状被覆24A及び24Bは、限定的なものとしてではなく、ダクロン(登録商標)、ポリエステル繊維、テフロン(登録商標)系材料、ePTFE、ポリウレタン、金属材料、ポリビニル・アルコール(PVA)、細胞外マトリクス(ECM)、又は他の生体工学材料、合成の生体吸収可能ポリマ材料、他の天然材料(例えばコラーゲン)、又は前述の材料の組み合わせなどを含む、組織成長を促進することができ及び/又は封止材として機能することができる任意の柔軟な生体適合性材料で形成され得る。例えば、膜状被覆24A及び24Bは、例えば(その全体が言及したことにより本明細書中に援用される)米国特許第7335426号に記述されたニチノール・フィルムもしくは箔などの、薄い金属製フィルム又は箔で形成され得る。好適な材料はポリ(テトラフルオロエチレン)(ePTFE)である、と言うのも、それは厚さ及び伸張能力のような幾つかの重要な特徴を兼ね備えるからである。膜状被覆24A及び24Bを閉塞器10に対して確実に固定するために、ループが膜状被覆24A及び24Bに対して縫合されてもよい。代替的に被覆は、ワイヤ12、14を介して閉塞器10に接着、溶着、又は別のやり方で取り付けられても良い。
【0037】
サイズ:
図2乃至図7に示されるように、遠位ディスク16及び近位ディスク18の直径は、接続括れ20の直径よりも概して5〜8mmだけ大きい。例えば、接続括れ20の直径が4mmであれば、ディスク16、18の直径はそれぞれ概ね約9mmである。括れ20における可撓性の故に、12mmの括れデバイスはまた、6mm〜12mmの欠陥内に配置され得る。より大きな括れ20もしくはより大きなデバイスに関して、ディスク・サイズの直径は比例的に増大する。
【0038】
7種以上のサイズで利用可能な閉塞器デバイス、特に異なるサイズの開孔6のための以下の直径:6mm、12mm、18mm、24mm、30mm、36mm、及び42mmを有する括れサイズで利用可能な閉塞器デバイスを想起することは本発明の範囲内にある。
【0039】
作用:
一般に、閉塞器10は、開孔6を通る血液の流れを阻止するために開孔6内へ挿入され得る。非限定的な例として、閉塞器10は、(図1における心臓1において示されるように)遠位ディスク16が左心房3内に配置され且つ近位ディスク18が右心房2内に配置されるように、PFO6A又はASD6Bを通して延在できる。これらの及び他の組織における開孔の閉塞、並びに他の種類の開孔の閉塞は、以下に記述されるように明らかとなろう。
【0040】
ここで図8乃至図10を参照すると、閉塞器デバイス10は、ハブ30にて該閉塞器デバイス10に取外し可能に取付けられた展開ケーブル34に取付けられる。図10に示されるように、ハブ30に対して展開ケーブル34を取外し可能に取付ける一つの方法は、ハブ30内の不図示の雌ねじに係合するネジ端部36を利用する螺合によるものである。展開ケーブル34をハブ30に取外し可能に接続するための他の公知の取付け手段が使用され得る。
【0041】
図8及び図9に示されるように、展開ケーブル34がハブ30に係合されたとき、閉塞器デバイス10は、最初は開放チャネル42を有する可撓性の投入用カテーテル40内に収容されている。閉塞器デバイス10を示す図8を参照すると、その場合に遠位ディスク16は、ワイヤ12及び14の記憶拡開に起因して拡開されており、また投入用カテーテル40の開放チャネル42内に収容されている。閉塞器デバイス10の配置の初期段階の間、遠位ディスク16及び近位ディスク18の両方、並びに被覆24A及び24Bは、投入用カテーテル40の開放チャネル42内に収容されている。この様にして、カテーテル40は、すでに配置された外装体を通して血管内へ送り込まれて、血管系を介して心臓の欠陥まで前進させられる。
【0042】
例えば心臓における孔などの、閉塞される必要がある開孔を投入用カテーテル40が越えたなら、図8に示されるようにデバイス10はカテーテル40から部分的に前進させられる。デバイス10がカテーテル40を離脱するにつれ、被覆24Aを含む遠位ディスク16は、開孔の遠位側で拡開し始める。ワイヤ12及び14の記憶能力により、閉塞器デバイス10は、遠位ディスク16が心臓の開孔の遠位側で拡開するように、その通常形状へ戻り始める。図9に示されるように、遠位ディスク16がカテーテル開口42から完全に抜け出たなら、遠位ディスク16及び取付けられた被覆24Aは完全に拡開される。括れ20を露出するために、カテーテル40は更に引き戻され、すると括れ20は、ワイヤ12及び14の記憶形状に起因して、抜け出して拡開し始める。有利には、括れ20を形成するワイヤの各々が心臓における開孔に当接して付勢されることで、その開孔内における閉塞器10のあつらえの装着(custom fit)デバイスを与えるように、括れ20が拡開するように設計される。カテーテル40が更に引き戻されたとき、近位ディスク18及び被覆24Bは、それらの拡開のプロセスを前記開孔の近位側において開始する。近位ディスク18がカテーテル40から完全に送り出されたとき、それは拡開し、前記開孔に対するシールを効果的に形成する。遠位ディスク16及び近位ディスク18は、開孔に当接して付勢される括れ20における各ワイヤの作用により所定位置に固定される。図10に示されるように、この段階において、展開ケーブル34はハブ30から取り外され、またカテーテル40及び展開ケーブル34は身体から取出される。閉塞器デバイス10は前記開孔の領域にて心臓内に残置される。数ヶ月に亙り、皮膚組織及び他の膜質構造が閉塞器デバイス10に結合し、そのことにより閉塞器デバイス10を心臓内の特定の領域に永続的に係止する。
【0043】
2本のワイヤ12、14は、組織の両側にて丸いディスク16、18を形成するように働く。ディスク16、18は、ワイヤ12、14の記憶能力の故に、円形状を維持する。被覆24A、24Bは、各ディスクを安定化すると共に、欠陥を完全に閉塞するように働く。
【0044】
閉塞器デバイス10を括れ20において自動調心式とするために、括れ部分12C、14Cにおけるワイヤ12、14は十分に分離されている。この設計態様の適合性の故に、閉塞器デバイス10は、一般的な(丸形、楕円形の)形状の中隔欠陥内で自動調心するはずである、と言うのも括れ20はどんなタイプの開口にも順応できるからである。
【0045】
もし大径の括れ20が必要ならば、括れ20は、バルーンの助けを(必要とされたときにのみ)借りて、より大きなサイズへ拡開する能力を有する。かくして、中央チャネル50が展開ケーブル34、ハブ30及びネジ端部36を貫通して延在する。(不図示の)バルーンは、閉塞器デバイスがカテーテル40から取出されて拡開された後、中央チャネル50を通して押し進められる。バルーンは、括れ20内に配置されて拡開される。括れ20は、バルーンの穏やかな圧力が付与されたときに膨張可能、即ち拡開可能である。前記膨張により、括れ部分12C、14Cが拡開される。所望の直径に到達したなら、バルーンは収縮されて中央チャネル50を通して引き戻される。閉塞器デバイス10が安定したとわかったなら、デバイス10は上述したように展開ケーブル34から分離される。多くの場合において、バルーンの膨張は必要とされない。
【0046】
制限ワイヤ60、62(図11):
閉塞器デバイス10の安定性を高めて、括れ20又は近位ディスク18もしくは遠位ディスク16の深刻な捲縮を回避するために、括れ20は図11に示されるように一本以上の制限ワイヤ60、62により囲繞され得る。制限ワイヤ60、62は、ワイヤ12及び14と同一のワイヤ材料で作成されるか、又はプラスチック・ワイヤ、釣り糸などのような異なる材料であり得る。制限ワイヤ60、62は、括れ部分12C、14Cに対して溶着されるか、又は別のやりかたで結合されてよい。制限ワイヤ60もしくは62の目的もまた、必要であれば、括れ20の円周を制限することである。通常は1本の制限ワイヤ60が適当であるが、安定性をより向上させるために第2の制限ワイヤ62も組み入れられることが可能である。
【0047】
代替実施例:
次に、本発明の閉塞器デバイス10の代替実施例のための図12乃至図15が参照される。特に断りのない限り、各実施例における類似構造に対しては同一の参照番号が付与される。
【0048】
閉塞器デバイス100の代替実施例のための図12A及び図12Bが参照される。この実施例における閉塞器デバイス100はPDA処置用に設計されている。この実施例は、それが2本のワイヤではなく4本のワイヤ112、114、116、118で構成されることを除き、先に記述された実施例に類似している。この場合、各ワイヤは、その隣接ワイヤの各々の鏡像を形成している。例えば、ワイヤ112は、ワイヤ114並びにワイヤ118等の鏡像を形成している。4本のワイヤ112、114、116、118の各々は、近位四分ディスク112B、114B、116B、118B及び遠位四分ディスク112A、114A、116A、118Aを形成する。近位四分ディスク112B、114B、116B、118Bは協働して“四つ葉のクローバ”形状の近位ディスク111を形成し、また遠位四分ディスク112A、114A、116A、118Aは協働して同様に“四つ葉のクローバ”形状の遠位ディスク110を形成する。この実施例は、括れ20が4本のワイヤ112、114、116、118の各々の単一部分で構成されるという点においても、前述の実施例から異なる。この実施例は更に、それがネジ機構を備えた第2ハブ119を具備するという点で、前述の実施例から異なる。第2ハブ119は、まさに近位端部112D、114D(及び図12Bにおいて112D、114Dの背後の116D、118D)が近位ハブ30に結合されるのと同様に、4本のワイヤ112、114、116、118の各々の遠位端部112E、114E(及び図12Bにおいて112E、114Eの背後の116E、118E)により遠位ディスク110に結合されている。ワイヤ112、114、116、118は、溶着又は当業界で知られている他の手段によりハブ30、119に結合され得る。括れ20の長さは4〜8mmのどこかである。これに加え、遠位ディスク110は典型的には、括れ20よりも4〜8mmだけ大きい。但し、近位ディスク111は括れ20の直径よりも、通常は1〜3mm、好適には2mmだけ大きい。故に、遠位ディスク110の直径は近位ディスク111の直径よりも大きい。
【0049】
次に、閉塞器デバイス120の第2の代替実施例のための図13を参照する。この実施例は、図12A及び図12Bに示された実施例と同様に、4本のワイヤ112、114、116、118と、2個のハブ30、119とを使用する。それは、大きな動脈及び静脈における開孔を閉じるべく設計されている。閉塞器デバイス120において、遠位ディスク122及び近位ディスク124は、それらが静脈及び動脈の閉塞に適合性を有するように改変されている。この用途のために、接続括れ20はディスク122、124の各々の直径と等しいか又はほぼ等しい。括れ20の直径は、ディスク122、124の直径よりも1mmだけ小さい。前記括れの長さは、4〜8mmである。この実施例は、冠状動脈瘻、動静脈瘻、及び動静脈形成異常の閉塞において使用され得る。
【0050】
閉塞器デバイス130第3の代替実施例のための図14が参照される。閉塞器デバイス130の重要性は左心耳の閉塞に在る。デバイス130は、心耳の解剖学的構造に適合すべく改変されている。遠位ディスク132は、デバイス130が鼓動により外方に押し出されない様に改変されている。左心耳用の閉塞器デバイス130に対し、遠位ディスク132の記憶ワイヤ構造は、2個〜8個の隆起部もしくはフック136を形成するように作られている。心臓の左心耳における開孔内へのデバイス10の挿入時に、各フック136は左心房の心臓組織の外側部分を把持することで、デバイス130が心臓の収縮により左心耳から外方に押し出されることを阻止することを支援する。近位ディスク134は、典型的には平坦であると共に、図2乃至図7における近位ディスク18により形成されるディスクに類似している。近位ディスク134は心臓の心房内壁に当接する。典型的に、括れ20は直径が約4〜8mmである。前記括れの長さは、4〜16mmの範囲にあり得る。
【0051】
閉塞器デバイス140の第4の代替実施例のための図15が参照される。閉塞器デバイス140は、膜様部心室中隔(“PVS”)欠損を閉塞することが意図される。この実施例は、図12A及び図12Bに示された実施例と同様に、4本のワイヤ112、114、116、118及び2個のハブ30、119を使用する。閉塞器デバイス140は、4本のワイヤの内の2本が切り詰められた遠位四分ディスクを形成して、遠位ディスク142がディスクのほぼ半分を失う効果を有するという点において他の実施例と異なる。故に、デバイス140は、2枚のディスクと対照的に、略々1.5枚のディスクを有している。半体の遠位ディスク142はまた、近位ディスク144より相当に長寸でもある。典型的に、遠位ディスク142は直径が6〜8mmである。これに加え、遠位ディスク142は143にて収束もしくは内側に湾曲し、即ちそれは、デバイス140がPVS欠陥内に挿入されるときに心室中隔に接触するようにある角度で曲げられている。(詳細については以下を参照。)(長寸の遠位ディスクと対照的に)近位ディスクの下縁部は前記括れよりも3〜4mmだけ大であり、また近位ディスクの他の半体は前記括れよりも2〜3mmだけ大きい。各ディスクはまた、同一デバイスにおいて夫々異なる形状となる様にも改変され得る。代替的に、ディスク角度は、括れ20に対して直交する平面に関して傾斜した様態で角度を付けられることにより生成され得る。
【0052】
他の実施例は、本明細書において明示的に記述された各実施例の任意の組み合わせを含んでよい。本発明は、本明細書において図示されて記述された部材の特定の構成及び配置に制限されるのではなく、以下の各請求項の範囲内に収まるようなその改変された形態を包含することは理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織における開孔を閉塞するためのデバイスであって、
a.第1可撓性ワイヤ及び第2可撓性ワイヤであって、前記第1及び第2ワイヤの各々は形状記憶特性を備え、並びに前記第1及び第2ワイヤの各々は、前記第1ワイヤの第1半円形状が前記第2ワイヤの第1半円形状と対向することで第1ディスクを形成し且つ前記第1ワイヤの第2半円形状が前記第2ワイヤの第2半円形状と対向することで第2ディスクを形成するように、第1及び第2の略半円形状へ成形されており、更に、前記第1及び第2ディスクの各々は、前記第1ワイヤの2つの区画と前記第2ワイヤの2つの区画とから形成された自動調心括れにより分離されている、第1可撓性ワイヤ及び第2可撓性ワイヤと、
b.前記第1及び第2ディスクの各々の上のシール被覆であって、前記開孔を閉塞するシールを提供するシール被覆と、を具備するデバイス。
【請求項2】
前記第1ワイヤの前記2つの区画及び前記第2ワイヤの前記2つの区画は、該デバイスの自動調心構造形を維持するために半径方向外向きの力を生成する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記記憶ワイヤは、生体適合性の金属もしくはポリマ、即ち生体再吸収可能ポリマ、形状記憶ポリマ、形状記憶合金、生体適合性金属、生体再吸収可能金属、及びそれらの組み合わせから成る材料から選択される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記記憶ワイヤは、鉄、マグネシウム、ステンレス鋼、ニチノール、及びこれらの材料及び類似の材料の組み合わせから選択される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記記憶ワイヤはニチノール合金である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第1及び第2ワイヤの各々は第1及び第2端部を有し、前記第1及び第2ワイヤの前記第1及び第2端部の各々はハブに接続され、並びに前記ハブは、展開ケーブルに対する取付けのための投入用取付け機構を更に具備する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記被覆は、組織成長を促進することができ及び/又は封止材として機能することができる柔軟な生体適合性材料を具備する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記被覆は、ダクロン(登録商標)、ポリエステル繊維、テフロン(登録商標)系材料、ePTFE、ポリウレタン、金属材料、ポリビニル・アルコール、細胞外マトリクス、生体工学材料、合成の生体吸収可能ポリマ材料、コラーゲン、及び前述の材料の組み合わせから成る材料から選択される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記括れを囲繞する少なくとも一本の制限ワイヤを更に含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
動脈管開存処置のために構築された請求項6に記載のデバイスであって、
a.前記接続括れの長さは約4〜8mmであり、
b.前記第1ディスクは前記括れよりも約4〜8mmだけ大であり、
c.前記第2ディスクは前記括れよりも約1〜3mmだけ大であり、
更に、第2の対向するハブを具備するデバイス。
【請求項11】
血管における開孔を閉塞するために構築された請求項6に記載のデバイスであって、
前記接続括れの長さは、前記第1及び第2ディスクの長さと実質的に等しい、デバイス。
【請求項12】
左心耳を閉塞するために構築された請求項6に記載のデバイスであって、
a.前記第1ディスクは、弧状形に形成されると共に、左心房の心臓組織の外側部分を把持するための少なくとも一個のフックを具備し、及び
b.前記第2ディスクは略平坦である、デバイス。
【請求項13】
膜様部心室中隔欠陥を閉塞するために構築された請求項6に記載のデバイスであって、
前記第1ディスクは形状が半円形であり、
前記第1ディスクは前記第2ディスクよりも概ね大であり、
更に、該デバイスは第2の対向するハブを具備する、デバイス。
【請求項14】
心臓組織における開孔を閉塞するためのデバイスであって、
a.第1可撓性ワイヤ及び第2可撓性ワイヤであって、
i)前記第1及び第2ワイヤの各々は形状記憶特性を備え、
ii)前記第1及び第2ワイヤの各々は、前記第1ワイヤの第1半円形状が前記第2ワイヤの第1半円形状と対向することで第1ディスクを形成し且つ前記第1ワイヤの第2半円形状が前記第2ワイヤの第2半円形状と対向することで第2ディスクを形成するように、第1及び第2の略半円形状へ成形されており、
iii)前記第1及び第2ディスクの各々は、前記第1ワイヤの2つの区画と前記第2ワイヤの2つの区画とから形成された自動調心括れにより分離され、前記第1ワイヤの2つの区画及び前記第2ワイヤの前記2つの区画は、該デバイスの自動調心構造形を維持するために、半径方向外向きの力を生成し、並びに
iv)前記第1及び第2ワイヤの各々は第1及び第2端部を有し、前記第1及び第2ワイヤの前記第1及び第2端部の各々はハブに接続され、且つ前記ハブは、展開ケーブルに対する取付けのための投入用取付け機構を更に具備する、第1可撓性ワイヤ及び第2可撓性ワイヤと、
b.前記第1及び第2ディスクの各々の上のシール被覆であって、前記開孔を閉塞するシールを提供するとともに、組織成長を促進することができ及び/又は封止材として機能することができる柔軟な生体適合性材料を具備するシール被覆と、を具備するデバイス。
【請求項15】
前記記憶ワイヤは、生体適合性の金属もしくはポリマ、即ち生体再吸収可能ポリマ、形状記憶ポリマ、形状記憶合金、生体適合性金属、生体再吸収可能金属、及びそれらの組み合わせから成る材料から選択される、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記記憶ワイヤは、鉄、マグネシウム、ステンレス鋼、ニチノール、及びこれらの材料と類似の材料との組み合わせから選択される、請求項14に記載のデバイス。
【請求項17】
前記記憶ワイヤはニチノール合金である、請求項14に記載のデバイス。
【請求項18】
前記被覆は、ダクロン(登録商標)、ポリエステル繊維、テフロン(登録商標)系材料、ePTFE、ポリウレタン、金属材料、ポリビニル・アルコール、細胞外マトリクス、生体工学材料、合成の生体吸収可能ポリマ材料、コラーゲン、及び前述の材料の組み合わせから成る材料から選択される、請求項14に記載のデバイス。
【請求項19】
前記括れを囲繞する少なくとも一本の制限ワイヤを更に含む、請求項14に記載のデバイス。
【請求項20】
心臓における開孔欠陥内へ閉塞器デバイスを挿入して前記欠陥を通る血液の流れを阻止する方法であって、
前記閉塞器デバイスは、
第1可撓性ワイヤ及び第2可撓性ワイヤであって、前記第1及び第2ワイヤの各々は形状記憶特性を備え、並びに前記第1及び第2ワイヤの各々は、前記第1ワイヤの第1半円形状が前記第2ワイヤの第1半円形状と対向することで第1ディスクを形成し且つ前記第1ワイヤの第2半円形状が前記第2ワイヤの第2半円形状と対向することで第2ディスクを形成するように、第1及び第2の略半円形状へ成形されており、更に、前記第1及び第2ディスクの各々は、前記第1ワイヤの2つの区画と前記第2ワイヤの2つの区画とから形成された自動調心括れにより分離されている、第1可撓性ワイヤ及び第2可撓性ワイヤと、
前記第1及び第2ディスクの各々の上のシール被覆であって、心臓閉塞のためのシールを提供するシール被覆と、を具備し、
前記第1及び第2ワイヤの各々は第1及び第2端部を有し、前記第1及び第2ワイヤの前記第1及び第2端部の各々はハブに接続され、且つ、前記ハブは、取外し可能な展開ケーブルに対する取付けのための投入用取付け機構を更に具備しており、
a.前記閉塞器デバイスを前記取外し可能な展開ケーブルに取付ける段階と、
b.前記閉塞デバイスを、開放チャネルを有する可撓性の投入用カテーテル内に配置する段階と、
c.前記カテーテルを血管内へ送り込むと共に、前記カテーテルを血管系を介して心臓内の前記開孔欠陥へ前進させる段階と、
d.前記開孔欠陥を通して前記カテーテルを前進させる段階と、
e.前記閉塞器デバイスの前記第1ディスクが前記開孔欠陥の一方の側面上にて拡開するように、前記カテーテルを前記閉塞器から引き戻す段階と、
f.前記閉塞器デバイスの前記括れが前記開孔欠陥内で記憶保持により拡開することで前記閉塞器デバイスを自動調心する様に、前記閉塞器デバイスの前記第2ディスクが前記開孔欠陥の他方の側面上にて拡開するように、前記カテーテルを前記閉塞器デバイスから更に引き戻す段階と、
g.前記カテーテルを前記血管から更に引き戻す段階と、
h.前記展開ケーブルを前記ハブから取り外す段階と、を具備する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2012−519572(P2012−519572A)
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−554021(P2011−554021)
【出願日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際出願番号】PCT/US2009/004307
【国際公開番号】WO2010/104493
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(598123677)ゴア エンタープライズ ホールディングス,インコーポレイティド (279)
【Fターム(参考)】