説明

思考的品質改善システム

【課題】 思考的品質改善システムに関し、解析者の思考パターンに沿ったワークフローパターンを実現する。
【解決手段】 ワークフロー機能における、少なくとも集計、絞込み、分類を含むデータ加工エンジンの機能を汎用化しその組み合わせより、品質解析のデータの加工や処理を正規的に処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は思考的品質改善システムに関するものであり、例えば、解析者の思考パターンに沿ったワークフローパターンを実現し、エンジニアによる解析業務のノウハウを機能化し、解析の精度とスピードとの向上を図り、且つ、解析で得られた結果を元に定常化する問題について管理業務として解析の自動化を図るための構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造の品質改善については、工程、部門毎にエンジニアが対象データを規定し、解析手法をシステム化していた。その結果、製品トータルの品質改善にはそれら工程毎の解析手法、システムの使分け、組み合わせが必要となりエンジニア(人)の思考、判断でそれを行っている。
【0003】
本発明者は、実戦的な品質改善、エンジニアの思考、解析作業をスキル間差を補完した形でワークフロー化し、且つ、複数のエンジニアの意図的なコメントを入力し管理するリポジトリ技術を用いて、重要度の高いワークフローを自己学習させナレッジシステムへと成長させることを提案している(例えば、特許文献1参照)。この提案においては、エンジニアの解析ナビゲートを行うと共に、最終的に業務そのものの自動化を実現するとしている。
【0004】
しかし、この提案では、異なるエンジン間の連携時には固定条件を引き継ぐか、或いは、解析結果から判断して、再度エンジニアによるフロー操作が一部必要になるなどドリルダウンの自動化には至らなかった。また、ワークフローについても個々のエンジン間でフィルタ機能などがあることから、条件によって組み合わせられないフロー設計も生じていた。
【0005】
そこで、本発明者は、更にこの改善として、ワークフロー設計における各エンジン(処理部品)間で抽出条件や解析結果を連携していくことで、前段階のエンジンで指定した抽出や、フィルタ条件、解析結果を次のエンジンに渡すことで、ドリルダウンの自動化を計り、また様々なフロー分岐に対応するように、データ種や解析エンジンと切り離して独立の条件分岐と分類、フィルタエンジンを設けることを提案している(例えば、特許文献2参照)。この提案により、更にエンジニア思考に沿ったワークフロー設計が可能となる。
【0006】
この提案においては、ワークフロー設計をマトリックス上で行うものであり、一つのビジネスフローに対して一つのマトリックスが作成される。また、全般エンジンに列挙されるワークフローエンジンを用いて一つのビジネスフローに複数のワークフローを設定することが可能であり、マトリックスの1行が一つのワークフローに割り当てられる。複数のワークフローは、上から順にマトリックスの各行に作成されることによって、ワークフローの基本的な順番が定められる。
【0007】
ユーザーはエンジン選択領域にカテゴリー毎にグループ分けして列挙された各種のエンジンをクリックして、マトリックス上に各ワークフローを作成するとともに、各ワークフローの領域内に所定のエンジンを配置する。例えば、各種のエンジンは、全般エンジン、データ抽出エンジン、データ加工エンジン、結果エンジンなどにグループ分けしている。
【0008】
具体的には、全般エンジンに列挙されているワークフローエンジンをクリックしてマトリックス上に各ワークフローを作成する。次いで、抽出エンジン或いは加工エンジン等に列挙されるエンジンからビジネスフローにとって必要なエンジンを順次クリックして各ワークフローの領域内に配置する。この場合、各ワークフロー内に配置されたエンジンの配置位置に対応させて実行順序(seq番号)が発行されて、この実行順序にしたがって各エンジンによる処理が行われる。
【0009】
また、必要に応じて全般エンジンに列挙されているデータ連結線をクリックして、あるワークフローの領域内に配置されたエンジンと他のワークフローの領域内に配置されたエンジンとを連結する。このデータ連結線によって各エンジン間で自由にデータの流れを設定することができる。
【特許文献1】特開2005−182635号公報
【特許文献2】特開2007−188481号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上記の特許文献2の提案においても技術の課題として、ワークフローでのフィルタや分岐を行う際、エンジニアの解析思考に沿って、様々なグルーピングとフィルタとが発生し、データ種類を問わず、正規的にデータにランク付けを行ったり、度数を集計するエンジン機能の正規化が必要となっている。
【0011】
また、エンジニアによる詳細な解析やフロー設計を行う過程の解析の課題として、対話形式で一つの結果から次の解析を行うオブジェクト形式のドリルダウン解析を、ワークフローのフレームに融合させることが必要となっている。
【0012】
したがって、本発明は、思考的品質改善システムにおいて、解析者の思考パターンに沿ったワークフローパターンを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一観点からは、ワークフロー機能における、少なくとも集計、絞込み、分類を含むデータ加工エンジンの機能を汎用化しその組み合わせより、品質解析のデータの加工や処理を正規的に処理することを特徴とした思考的品質改善システムが提供される。
【発明の効果】
【0014】
開示の思考的品質解析システムによれば、ワークフローのデータ加工エンジンの組み合わせの自由度を高めることができ、より柔軟にエンジニアの思考に沿った解析フローを作成することが可能となる。これにより、複雑化し、高度化する製造障害問題に対し、多角的な品質解析手法をシステム化(機能化)し、それにより、改善の手番短縮と自動化を図ることができる。
【0015】
また、製造品質の改善と安定維持に掛かる時間を短縮し、且つ、エンジニア工数を削減することで製造コストを大幅に削減することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
ここで、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は基本的なシステムの基本設計に関する技術であり、システム開発における基本仕様である。ワークフローでのソフトウェアの内部処理については上述の特許文献2で開示しており、本発明は特許文献2の技術課題を解決し、よりエンジニアの思考に沿ったシステムを実現させるための改善技術として、以下、基本仕様を説明する。本発明の改善による思考的な品質改善システムにおいては、ワークフロー機能でのデータのグルーピング、集計、絞り込み、分類等のエンジン機能を正規化し、その組み合わせにより、解析者の思考パターンに沿ったワークフローパターンを実現する。そのために、グルーピング、集計、絞り込み、分類等において、各エンジニアが任意に条件を設定できるように各データ加工エンジンを汎用化する。
【0017】
また、データのランク付けをフィルタのエンジン、度数などのカウントを集計のエンジンごとに機能の正規化を行い、データ種別に関係なく、自由に加工し、尚且つその加工エンジンの組み合わせを行うことで、様々な判断と分岐のフローパターンを構築可能とする。
【0018】
その結果、エンジニア思考による数値判断と数値挙動との判断とを正規化したエンジンの組み合わせで実現でき、複数のエンジンの処理の組み合わせで、いくつもの判断、分岐のワークフローの作成が可能となる。例えば、品質解析でのLOT処理回数や規格緩和による救済率、面内分布の指標化などを専用に機能化でしなくても、エンジンの組み合わせによって実現可能になる。
【0019】
この場合、各データ加工エンジンで、日付データの絞り込みや分類付けなどの処理機能を予め共通化するように各データ加工エンジンを構成し、日付処理の機能を正規化する。
更新日時等を表す年月日時分秒については各種の表記があるが、例えば、〔yyyymmdd hhmmss〕形式に統一して日付処理を行い、各種の日時表記の異なるデータの共通的な取扱を可能にする。
【0020】
また、ワークフローによる定型(自動) 処理と結果画面からのオブジェクトのドリルダウン解析とを並行して処理可能とする。例えば、一つの結果から次の結果へのドリルダウンとワークフローの融合の実現手段としては結果画面から、フロー制御のXML(eXtensible Markup Language)処理を起動させることで、実際はワークフローでの制御に統一しつつ、解析者には結果画面からの対話的な処理とフロー画面からの自動処理とを融合させ、解析と管理とをシームレス化する。
【0021】
このように、結果画面からのフロー制御のXML処理をバックで行なうことにより、解析者には一つの結果画面から次の解析へとドリルダウンの解析が可能となり、一つのデータを詳細に掘り下げて要因特定を行う対話形式のドリルダウン解析とワークフローによる定型の自動監視とを融合でき、要因特定から監視フローの設定が可能となる。
【0022】
また、ワークフロー機能におけるデータ集計エンジンに、グルーピング集計の項目を指定される項目で自動取得し、内部的なグループキーとして保持する機能を持たせることが望ましい。
【実施例1】
【0023】
以上を前提として、次に、図1を用いて、本発明の実施例1のエンジンの正規化を説明する。ここでは、一例として、モニタ特性値を旧規格を新規格へと規格緩和した際の救済LISTとそのデータトレンドとを自動作成するフローを説明する。
【0024】
まず、全般エンジンにグループ化された内のワークフローエンジンをクリックして、縦3行、横9行のマトリックスのワークフロー領域を作成する。次いで、データ抽出エンジンにグループ化された「LOT抽出」エンジン及び「モニタ抽出」エンジンを順次クリックするとともに、データ加工エンジンにグループ化された「フィルタ」エンジン、「集計」エンジン及び「フィルタ」エンジンを順次クリックして上段(ワークフロー内の1行目)に配置する。次いで、データ加工エンジンにグループ化された「フィルタ」エンジン、「集計」エンジン、「フィルタ」エンジン及び「マージ」エンジンを順次クリックして中段(ワークフロー内の2行目)に配置する。次いで、データ加工エンジンにグループ化された「マージ」エンジン及び「フィルタ」エンジンと結果エンジンにグループ化された「トレンド」エンジンを順次クリックして下段(ワークフロー内の3行目)に配置する。次いで、全般エンジンにグループ化されたデータ連結線によって各エンジン間の連結を行う。
【0025】
各ワークフロー内に配置されたエンジンの配置位置に対応して、上段から順に左から右方向に流れるように実行順序(seq番号)が発行されて、この実行順序にしたがって各エンジンによる処理が行われる。
【0026】
ここで、具体的動作を説明すると、まず、上段(1行目)の左から3つめの「フィルタ」エンジンは閾値電圧Vthが旧規格0.35mV以上の条件(0.35m>)を外れたデータを切り出し、次の「集計」エンジンでそのロット(LOT)、ウェーハ(WF)単位で規格外の点数の集計を行い、更に「フィルタ」エンジンを介してその規格外の点数がウェーハ(WF)内で例えば3点以上となるロット(LOT)、ウェーハ(WF)を切り出して、旧規格での出荷NGと判定されたロット(LOT)、ウェーハ(WF)のLISTを作成する。
【0027】
次いで、中段(2行目)の左から3つめの「フィルタ」エンジンは閾値電圧Vthが新規格0.345mV以上の条件(0.345m>)を外れたデータを切り出し、次の「集計」エンジンでロット(LOT)、ウェーハ(WF)単位で規格外の点数の集計を行い、更に「フィルタ」エンジンを介してその規格外の点数がウェーハ(WF)内で3点以内となるロット(LOT)、ウェーハ(WF)を切り出して、新規格で出荷OKと判定されたロット(LOT)、ウェーハ(WF)のLISTを作成する。
【0028】
次いで、この上段(1行目)の旧規格での判定NGと中段(2行目)の新規格での判定OKとのLISTを「マージ」エンジンによりロット(LOT)とウェーハ(WF)で完全一致(and条件)でマージ処理することで、旧規格ではNGで新規格ではOKとなったLIST、つまりは新規格で救済したロット(LOT)とウェーハ(WF)のLISTができる。
【0029】
次いで、中段(2行目)の救済ロット(LOT)とウェーハ(WF)のLISTと、元の「モニタデータ抽出」エンジンとを下段(3行目)の「マージ」エンジンで完全一致(and条件)でマージ処理することで、救済したロット(LOT)とウェーハ(WF)に元の測定データを結合させることができ、結果、救済ロット(LOT)とウェーハ(WF)モニタデータのトレンドを自動作成することができる。
【0030】
このように、正規化された「フィルタ」エンジンと「集計」エンジンと「マージ」エンジンとを階層的に組み合わせることで、例えば、規格変更の後で旧規格で出荷NGだったものを新規格で救済したロット(LOT)、ウェーハ(WF)でのモニタトレンドのトレンド作成を行う機能をプログラムソースに直接コーディングすることなく、3つのエンジンの組み合わせを行うことで機能化する。
【実施例2】
【0031】
次に、図2及び図3を用いて、本発明の実施例2の正規化されたエンジンの組み合わせによる内部処理について説明する。これは、正規化された「フィルタ」エンジンと「集計」エンジンと「マージ」エンジンを組み合わせることで、固有なデータの絞込みや集計など、従来はプログラムソースに直接コーディングしていたデータ処理のループをGUI(Graphical User Interface)上で、エンジニア自ら解析の思考に応じて設計し、機能化するものである。
【0032】
図2は、本技術を用いてGUIで配置設計したワークフローである。ここでは、一例として、モニタ特性値の出荷判定における2つの測定項目の組み合わせ判定で出荷OKと判定した、ロット(LOT)、ウェーハ(WF)での、特定のウェーハ(WF)内測定点の平均値とを集計するフローを説明する。フローの内容は、ウェーハ(WF)面内の規格(合否) 判定で項目Aは測定9点中、全点(9点) が規格内、且つ項目Bは測定9点中、7点が規格内となる組み合わせのロット(LOT)、ウェーハ(WF)を出荷OKと判定し、その判定OKのデータを用いてウェーハ(WF)内の特定の即定点である上(TOP)と下(BOTTOM)との位置データを抽出し、それぞれ項目AとBとで、ロット(LOT)、ウェーハ(WF)毎にグループ平均を算出するものとなっている。なお、ここでは、ウェーハ(WF)内の中央、上、下、右、左、右上、左上、右下、左下の9つの測定位置で項目AでMOSFETの閾値電圧Vthを測定し、項目BでMOSFETのオン時のドレイン電流Ionを測定した場合として説明する。
【0033】
図2に示すように、縦5行、横6列のワークフロー領域内の1段目(1行目)に2つの「フィルタ」エンジンと1つの「集計」エンジンを順次配置する。2段目(2行目)には「フィルタ」エンジン、「集計」エンジン、「フィルタ」エンジン、「マージ」エンジンを順次配置する。3段目(3行目)には「フィルタ」エンジン、「集計」エンジン、「フィルタ」エンジンを順次配置する。4段目(4行目)には2つの「フィルタ」エンジン、1つの「集計」エンジン、2つの「マージ」エンジンを順次配置する。この場合も、各ワークフロー内に配置されたエンジンの配置位置に対応して、上段から順に左から右方向に流れるように実行順序(seq番号)が発行されて、この実行順序にしたがって各エンジンによる処理が行われる。
【0034】
図3は、図2に示したワークフローの背景で処理される加工、計算の流れのフローチャートである。まず、右端列のフローにおいて最初に図2に示した1段目(1行目)に配置した各エンジンによる処理を説明する。まず、フローチャート中央上段のデータ抽出で項目AとBのデータを抽出し、次いで、「フィルタ」エンジンの分類機能を用いてウェーハ(WF)面内の測定位置情報(X,Y)項目を結合し、測定位置のラベルを作成する。次いで、右端列のフローに移り、次いで、「フィルタ」エンジンにより項目Aについての上位置(TOP)、下位置(BOTTOM)を前段の測定位置ラベルに対して条件抽出し、「集計」エンジンにより項目Aの上位置(TOP)と下位置(BOTTOM)のデータをロット(LOT)、ウェーハ(WF)毎にグループ平均を算出する。
【0035】
次いで、右から2列目のフローにおいて、図2に示した2段目(2行目)に配置した各エンジンによる処理を説明する。まず、「フィルタ」エンジンにより項目Aについて、スクラップ規格条件内122054>を満たすものを抽出する。次いで、「集計」エンジンによりロット(LOT)、ウェーハ(WF)毎のグループ集計で、例えば、−0.006431≦,0.16468≧の出荷規格条件でのデータ度数を算出する。次いで、「フィルタ」エンジンにより集計したデータ度数項目で、全点(9点)のものを抽出し、項目Aの出荷判定OKのロット(LOT)、ウェーハ(WF)のLISTを作成する。これは、閾値電圧Vthに関しては厳密な出荷管理が必要であるためである。
【0036】
次いで、「マージ」エンジンにより、項目Aの出荷判定OKのロット(LOT)、ウェーハ(WF)のLISTと、右端列のワークフローの「集計」エンジンで集計した上位置(TOP)と下位置(BOTTOM)のグループ平均値とをロット(LOT)、ウェーハ(WF)の完全一致(and条件)で論理積結合する。
【0037】
次いで、右から3列目のフローにおいて、図2に示した3段目(3行目)に配置した各エンジンによる処理を説明する。まず、「フィルタ」エンジンにより項目Bについて、例えば、−0.006431≦,0.16468≧の出荷規格条件を満たすものを抽出する。次いで、「集計」エンジンによりロット(LOT)、ウェーハ(WF)のグループでそのデータ度数を算出する。次いで、「フィルタ」エンジンにより集計したデータ度数項目で7点以上のものを抽出し、項目Bの出荷OKのロット(LOT)、ウェーハ(WF)のLISTを作成する。これは、ドレイン電流Ionに関しては閾値電圧Vthより条件を緩和しても良いためである。
【0038】
次いで、左端列のフローにおいて図2に示した4段目(4行目)に配置した各エンジンによる処理を説明する。まず、最初に「フィルタ」エンジンにより項目Bに関して、−1≦,1≧の条件により測定トラブルによる異常値を除外する。これは、製造プロセスでの異常で発生したものではなく、測定の際のプローブの接触不良等で発生してしまう、事故の測定データであり、本来の特性データではない。この異常値が混在したままで品質判定で誤った判定を行う要因となるため、「フィルタ」エンジンで除外する。
【0039】
次いで、次の「フィルタ」エンジンにより項目Bについての測定位置ラベルから上位置(TOP)、下位置(BOTTOM)のデータを抽出し、「集計」エンジンにより項目Bの上位置(TOP)、下位置(BOTTOM)のデータをロット(LOT)、ウェーハ(WF)毎にグループ平均を算出する。次いで、「マージ」エンジンにより、右から3列目のフローで作成した項目Bの出荷OKのロット(LOT)、ウェーハ(WF)LISTと、左端フローの項目Bの上位置(TOP)、下位置(BOTTOM)のグループ平均値をロット(LOT)、ウェーハ(WF)の完全一致(and条件)で論理積結合する。
【0040】
最後に、中央下段の「マージ」エンジンにより、前段の2つの「マージ」エンジンの結果である項目Bの7点出荷OKでのウェーハ(WF)内、上位置(TOP)と下位置(BOTTOM)とのグループ平均値と、項目Aの全点(9点)出荷OKでのウェーハ(WF)内、上位置(TOP)と下位置(BOTTOM)とのグループ平均値とをロット(LOT)、ウェーハ(WF)の完全一致(and条件)で論理積結合する。
【0041】
以降、「グラフ」エンジンなどを用いて、2つの項目の組み合わせで出荷判定を合格したロット(LOT)、ウェーハ(WF)のLISTとその特定カ所のデータを表示したり、または、「CSV出力」エンジンなどを用いてデータの提供などを行い、フローは完結する。
【0042】
このように、本発明の実施例2においては、正規化したエンジンを組み合わせることによって、従来プログラムソースに直接コーディングしていたデータの処理や集計などのループをGUI上でしかもエンジニア自ら解析の思考に応じて、個々に任意設計し、機能化することができるので、実際のユーザのニーズに適う半導体製造プロセスの品質管理に資することができる。
【実施例3】
【0043】
次に、図4及び図5を参照して、本発明の実施例3の結果画面での対話形式のドリルダウン解析機能について説明する。この実施例3においては、図4に一例として示す裏のフロー設計画面のように、ドリルダウン操作に応じた、各エンジンの配置とその設定とがなされ、図5のトレンド解析の画面からヒストグラム解析の画面に対話形式のドリルダウンで画面推移する際、実際は図4の裏のフロー設計で、トレンドグラフのエンジンから条件を動的に次にヒストグラムのエンジンに移し、起動させることで、結果画面での対話形式のドリルダウン解析を実現する。
【0044】
即ち、フロー順の結果画面から他の解析エンジンへの条件連携や処理を裏起動できるようにして、実際の動作はフロー編集画面だが、視覚的なUIは結果画面から結果画面へとドリルダウン処理を行なうようにする。ここでは、フロー画面でトレンドエンジンの次のヒストグラムエンジンを裏起動し、実行する例を示している。
【0045】
図5は、トレンド解析の結果画面からヒストグラム解析の結果画面に移る様子を示した図である。このように、実際にはフロー編集のエンジンが動いているが、解析者には、トレンドを示す一つのグラフ結果から、次のヒストグラム解析に渡るドリルダウンのUIを実現させている。
【実施例4】
【0046】
次に、図6乃至図10を参照して、本発明の実施例4のデータ加工エンジンのアルゴリズム(ソフト設計書)を説明する。この実施例4においては、データの加工として、切り出し、分類、結合の3つの処理機能を正規化し、一つのGUIに集約化する。
【0047】
図6(a)乃至(c)はデータ加工エンジンのGUIのイメージ図であり、GUIでは切り出し、分類、結合をラジオボタン(排他的ボタン)のチェック(CHK)に応じて、条件タグが切り替わる。図6(a)はラジオボタンの通常フィルタ(切り出し)をチェックした場合を示し、ここでは、フィルタ候補一覧から「RADIUS 4」を選択し、条件として、「03−04」と「等しい」を完全一致(and条件)の論理積で設定した例を示している。
【0048】
また、図6(b)はラジオボタンの分類フィルタをチェックした場合を示し、フィルタ候補一覧から「BIN−RATE.PASS−0」を選択し、条件として「0.5以上0.8未満」を選択して設定した例を示している。また、図6(c)はラジオボタンの列結合フィルタをチェックした場合を示し、フィルタ候補一覧から「LOT」と「WAFER」を選択して結合した例を示している。
【0049】
従来の技術ではデータ種に応じて加工としての切り出し、分類、結合などの処理機能は個別にUI設計され、さらに実際のプログラムソースも個別のクラスでコーディングされていた。それに対し本発明では図6に示すように、切り出し、分類、結合の3つのソフトウェア仕様を標準化し、プログラムソースのクラスを揃え、共通化し、ユーザのUIの使用性(使い勝手)を向上させ、且つその組み合わせの自由度を飛躍的に向上させている。また、プログラムソースのクラスの共通化は、一つの基本機能の改版を3つの機能に反映でき、開発の効率化と共に機能改版での対応の柔軟性と手版短縮にも寄与することになる。なお、その際、日付や文字、数値などの条件は可能な限り正規化、共通化しソフトコーディングもクラス化することにより、開発の効率化を行うことが望ましい。
【0050】
なお、加工エンジンの基本アルゴリズムは図7乃至図10に示す通りであり、ここでは、各アルゴリズムを基本的概念として示している。図7は、加工エンジンの基本的アルゴリズムであり、渡されるエンジンの項目を読み、更に項目のデータをチェック(CHK)し、日付、文字、数値の条件設定を受ける。切り出し、分類、結合とクラスを共有しながら、処理の入力とその結果は正規的に保持する。これにより、この加工エンジン自体が繰り返し連結して、複合条件を処理することができる。この基本アルゴリズムに切り出しや分類、結合のサブクラスを追加して、それぞれを正規機能化する。
【0051】
図8は、加工エンジンの切り出し:文字項目のアルゴリズムの一例であり、図9は、加工エンジンの分類:文字項目のアルゴリズムの一例であり、また、図10は、加工エンジンの結合のアルゴリズムの一例である。
【0052】
以上、本発明の各実施例を説明してきたが、本発明は、各実施例に示した構成・条件に限られるものではない。例えば、上記の実施例1或いは実施例2は、半導体集積回路装置の品質管理に適用した例として示しているが、半導体集積回路装置の品質管理に限られるものではなく、各種の生産ラインにおける多様な製造過程の品質管理に適用されるものである。
【0053】
また、上記の実施例2においては、測定点数を9点として、項目A(Vth)については全点規格内を出荷OK条件とし、項目B(Ion)については7点以上規格内を出荷OKとしているが、各項目において規格内点数は任意である。また、測定点数は9点に限られるものではなく、中心、上、下、右、左の5点測定等の他の測定点数でも良く、測定点数に応じて規格内点数も変更する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】規格緩和による救済LISTとそのデータトレンドとを自動作成するフロー図である。
【図2】GUIで配置設計したワークフローである。
【図3】図2に示したワークフローの背景で処理される加工、計算の流れのフローチャートである。
【図4】裏のフロー設計画面の一例を示す図である。
【図5】トレンド解析の結果画面からヒストグラム解析の結果画面に移る様子を示した説明図である。
【図6】データ加工エンジンのGUIのイメージ図である。
【図7】加工エンジンの基本的アルゴリズムの説明図である。
【図8】加工エンジンの切り出し:文字項目のアルゴリズムの一例の説明図である。
【図9】加工エンジンの分類:文字項目のアルゴリズムの一例の説明図である。
【図10】加工エンジンの結合のアルゴリズムの一例の説明図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークフロー機能における、少なくとも集計、絞込み、及び、分類を含むデータ加工エンジンの機能を汎用化し、前記各データ加工エンジンの組み合わせより、品質解析のデータの加工或いは処理を正規的に処理することを特徴とする思考的品質改善システム。
【請求項2】
前記データ加工エンジンの内の一つのエンジンから複数のエンジンを並列して起動させる対話的なドリルダウン処理をすることを特徴とする請求項1記載の思考的品質改善システム。
【請求項3】
前記データ加工エンジンで、少なくとも日付データの絞り込み及び分類付けを含む処理機能を共通化し、日付処理の機能を正規化したことを特徴とする請求項1または2に記載の思考的品質改善システム。
【請求項4】
前記データ加工エンジンの内の集計エンジンにおいて、データ集計のグルーピング集計の項目を指定される項目で自動取得し、内部的なグループキーとして保持することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の思考的品質改善システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−92260(P2010−92260A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−261487(P2008−261487)
【出願日】平成20年10月8日(2008.10.8)
【出願人】(308014341)富士通マイクロエレクトロニクス株式会社 (2,507)