説明

患者−換気装置間の同調不良の検出

患者と圧力支援システムとの同調不良を検出する方法は、圧力支援システムにより患者に供給されるガスの流れと関連がある患者フローデータを受け取ることと、圧力支援システムにより決定される患者の呼吸の相を表すI/E状態信号を受け取ることと、患者フローデータ及びI/E状態信号を解析し、患者フローデータ及びI/E状態信号の少なくとも1つに基づいて呼吸についての同調不良を宣言することとを含んでいる。この方法は、患者フローデータ及びI/E状態信号の少なくとも1つに基づいて幾つかの所定の基準の少なくとも1つが満たされているかどうかを決定することと、これらの幾つかの所定の基準の少なくとも1つが満たされていると決定された場合、当該呼吸について同調不良を宣言することとを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、その内容が参照されることによって本明細書に組み込まれる2009年2月25日に出願された米国仮出願番号61/155,363号の米国特許法第119条(e)の下での優先権の利益を主張する。
【0002】
本発明は、陽性気道圧支援システムに係り、より詳細には、患者と通常の換気装置(ventilator)のような圧力支援システムとの同調不良(dyssynchrony)を検出する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
患者自身の換気努力を増強する又はその代わりをするように、酸素、空気又は他の酸素若しくは呼吸ガスの混合物のような流体を患者の気道に供給するために、従来の換気装置又は圧力支援システムを利用することが知られている。換気装置により与えられる圧力支援療法の1つの基本的な形態は、患者に供給されるガスの圧力が患者の呼吸周期によって変化する二相性陽圧療法である。
【0004】
二相性圧力支援システムでは、患者の呼吸周期の吸気相の間、吸気気道陽圧(IPAP)が与えられ、呼気相の間、呼気気道陽圧(EPAP)が与えられる。患者がIPAPの圧力と比較してかなり低い圧力に対して息を吐くようにEPAPはIPAPよりも低く、それによって、患者の快適さを高めている。ペンシルベニア州マリーズヴィルのレスピロニクス社により製造されている圧力支援デバイスのBiPAP(登録商標)ファミリーは、圧力支援療法のこの二相の形態を与える圧力支援装置の例である。また、米国特許第5,433,193号、第5,313,937号、第5,239,995号、第5,148,802号、第6,532,960号及び第6,640,806号公報を含む幾つかの米国特許公報において、この二相性圧力支援システムが詳細に説明されており、これらの全ては、参照することにより本明細書中にそれらの全部が記載されているように本明細書にここで明確に組み込まれたものとする。
【0005】
更に、換気装置の4つの基本的な動作を制御するために、種々のモードにおいて従来の換気装置を動作させることが知られている。上記4つの基本的な動作は、1)換気周期の呼気相から吸気相への移行であるトリガポイント、2)換気装置が呼吸ガスの流れを供給する吸気相、3)吸気相から呼気相への移行であるサイクルポイント及び4)呼気相である。典型的には監視され、換気装置がこれらの4つの動作のうちの1つ又はそれ以上をどのように実行するかを制御するために用いられる4つの主要な変数又はパラメータが存在する。これらの変数は、容積、圧力、患者への又は患者からの流体の流れ及び時間である。
【0006】
患者による自発呼吸努力が実質的にない典型的な生命維持の状況では、換気装置が患者を換気する全責任を負う換気の調節(control)モードが与えられる。この換気のモードでは、換気装置の上記トリガ及びサイクルポイントは時間に基づいて決定される。患者がある程度の自発呼吸努力を示す他の状況では、換気の補助(assist)モード又は支援モードが典型的には与えられる。換気装置のこれらのモードの両方は、換気装置に患者自身の呼吸努力を増強又は補助させる。上記補助モードでは、換気装置のトリガポイントの決定は患者の行為に基づいており、サイクルポイントの決定は時間に基づいて行われる。上記支援モードでは、トリガ及びサイクルポイントの両方が患者に基づくものであって、時間には基づいていない。また、換気の補助/調節モードと呼ばれるこれらの2つのモードの組み合わせを用いることも知られている。この換気のモードでは、患者がある期間に呼吸努力を始めない場合にのみ、換気装置が吸気の流れ(バックアップ呼吸)を引き起こす。従って、トリガポイントは、患者の行為又は時間のどちらにも基づくものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記換気の補助、支援及び補助/調節モードでは、換気装置の動作が患者の自発呼吸努力と同期し、換気装置は、患者が自身の吸気努力を始める時間に又はほぼその時間に呼吸ガスの吸気流を引き起こし、適切な時間、好ましくは患者が呼吸周期の自身の呼気相を開始する時に呼吸パターンの呼気相に切り替えることが重要である。換気の補助、支援又は補助/調節モードにおいて動作する従来の換気装置は、典型的には、圧力、流量又は容積のような患者のパラメータを監視し、いつ吸気流の供給を自発的に引き起こすかを決定する際にこの監視されるパラメータを変数として用いる。典型的には、上記監視されるパラメータは、閾値と比較され、閾値を上回る場合は、呼気から吸気への移行(トリガ)又は吸気から呼気への移行(サイクル)が始まる。
【0008】
同調不良は、患者の呼吸ドライブと換気装置により生成される呼吸とが互いに同期していない状態である。同調不良は、これらに限定されないが、とりわけ、固定されたバックアップレート、換気の必要性について考慮することなく流量ベースの基準によって引き起こされる時間が設定された(timed)呼吸(例えば、必要なより長い呼吸の中断を介した換気)及び正確さに欠けるトリガのような種々の理由のために生じ得る。同調不良は、患者にとって不快であり、換気装置との戦いと表現され得る。多くの場合、換気装置が圧力を上昇させると、患者によって同調不良が気付かれ、患者は、息を吐き出そうとするか、又は患者が息を吸い込もうとする際に圧力を低下させようとする。患者の不快感に加えて、同調不良は、換気装置が、重要な患者のパラメータ(例えば、一回換気量、最大吸気流量、呼吸速度等)についての間違った判断を下し、それらの判断に基づいて正確さに欠ける決定を下すか又は医師若しくは他の介護者に正しくない情報を与えるようにしてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一形態では、患者と圧力支援システムとの同調不良を検出する方法であって、上記圧力支援システムにより上記患者に供給されるガスの流れと関連がある患者フローデータを受け取ることと、上記患者の呼吸の相を表すI/E状態信号を得ることと、上記患者フローデータ及び上記I/E状態信号を解析し、上記患者フローデータ及び上記I/E状態信号の少なくとも1つに基づいて呼吸についての同調不良を宣言することとを含む当該方法が提供される。上記I/E状態信号は、圧力支援システムにより生成され得る。また、上記受け取ること、得ること及び解析することは、上記圧力支援システムにより行われ得る。代替として、上記患者フローデータを受け取ることは、上記圧力支援システムから分離した同調不良検出装置において患者フローデータを受け取ることを有し、上記I/E状態信号を得ることは、上記同調不良検出装置において上記圧力支援システムから上記I/E状態信号を受け取ることを有し、上記解析することは上記同調不良検出装置により行われる。他の形態では、上記I/E状態信号を得ることは、上記圧力支援システムにより上記患者に供給されるガスの流れの圧力と関連がある圧力データを受け取ることと、上記圧力データに基づいて上記I/E状態信号を生成することとを有する。上記患者フローデータを受け取ることは、上記圧力支援システムから分離した同調不良検出装置において上記患者フローデータを受け取ることを有していてもよく、上記圧力データを受け取ること及び上記I/E状態信号を生成することは、上記同調不良検出装置において上記圧力データを受け取ること及び上記同調不良検出装置において上記I/E状態信号を生成することを有していてもよく、上記解析することは上記同調不良検出装置により行われてもよい。
【0010】
特定の形態では、上記方法は、上記患者フローデータ及び上記I/E状態信号の少なくとも1つに基づいて、幾つかの所定の基準の少なくとも1つが満たされているかどうかを決定することを更に有し、上記宣言することは、上記幾つかの所定の基準の少なくとも1つが満たされていることが決定された場合に当該呼吸について上記同調不良を宣言することを含んでいる。上記幾つかの所定の基準は、(i)所定の数を超える当該呼吸についての上記患者フローデータにおける容積の要件を満たしたフローの傾きの反転の数、(ii)所定の正の値を超える上記I/E状態信号により示される当該呼吸の呼気相の少なくとも一部の間の増分一回換気量、(iii)当該呼吸の間の一回換気量の絶対値が所定の値を超えていること、(iv)上記I/E状態信号により示される当該呼吸の呼気相の長さが、上記I/E状態信号により示される当該呼吸の吸気相の長さの所定の割合(又は、代替として所定の持続時間)を超えていないこと、及び(v)上記I/E状態信号により示される当該呼吸の吸気相の間の一回換気量が所定の負の値よりも小さいことの1つ若しくはそれ以上又は全てを含んでいる。
【0011】
他の形態では、上記宣言することは、上記患者フローデータ及び上記I/E状態信号に基づいて、複数の呼吸について複数の同調不良を宣言することを含み、当該方法は、上記複数の同調不良に基づいて同調不良のフラグ波形を生成することを更に含んでいる。この方法は、また、上記複数の同調不良に基づいて上記圧力支援システムの動作を変更すること及び/又は上記複数の同調不良に基づいて上記患者の状態についての情報を検出することを更に含んでいてもよい。代替として、この方法は、宣言された上記同調不良に基づいて上記圧力支援システムの動作を変更すること及び/又は宣言された上記同調不良に基づいて上記患者の状態についての情報を検出することを更に含んでいる。
【0012】
1つの特定の形態では、上記宣言することは、上記患者フローデータ及び上記I/E状態信号の両方に基づいて、呼吸についての同調不良を宣言することを含んでいる。
【0013】
ガスの流れを作り出す圧力生成システムと、前記圧力生成システムに動作可能に結合され、患者の気道に前記ガスの流れを供給する患者回路と、前記圧力生成システムに動作可能に結合された制御器とを含む圧力支援システムもまた提供される。上記制御器は、圧力支援システムにより上記患者に供給される上記ガスの流れと関連がある患者フローデータを受け取ることと、上記圧力支援システムにより決定される上記患者の呼吸の相を表すI/E状態信号を受け取ることと、先に説明した形態の1つ又はそれ以上に従って、上記患者フローデータ及び上記I/E状態信号を解析し、上記患者フローデータ及び上記I/E状態信号の少なくとも1つに基づいて呼吸についての同調不良を宣言することとにより上記患者と上記圧力支援システムとの同調不良を検出する。
【0014】
患者と圧力支援システムとの同調不良を検出する装置であって、上記圧力支援システムから分離した筐体と、上記筐体の内部に設けられ、上記圧力生成システムに動作可能に結合された制御器とを有し、上記制御器は、上記圧力支援システムにより上記患者に供給される上記ガスの流れと関連がある患者フローデータを受け取ることと、(上記圧力支援システムから又は受け取った患者圧力データに基づいて信号を生成することにより)上記患者の呼吸の相を表すI/E状態信号を得ることと、先に説明した形態の1つ又はそれ以上に従って、上記患者フローデータ及び上記I/E状態信号を解析し、上記患者フローデータ及び上記I/E状態信号の少なくとも1つに基づいて呼吸についての同調不良を宣言することとにより上記患者と上記圧力支援システムとの同調不良を検出する当該装置もまた提供される。
【0015】
本発明のこれら及びその他の目的、特徴及び特性、構造体の関連する要素の機能及び動作の方法並びに製造の各部分と経済性との組み合わせは、添付の図面を参照して以下の説明及び添付の特許請求の範囲を考慮するとより明らかになるであろう。これらの全ては、本明細書の一部を形成している。添付の図面では、同様の参照符号は異なる図面の対応する部分を示している。しかしながら、図面は、専ら実例及び説明の目的のためであり、本発明の限定の定義として意図されてはいないことがはっきりと理解されるべきである。明細書及び特許請求の範囲において用いられているような「a」、「an」及び「the」の単数形は、文脈が明らかに指示していない限り複数の指示対象を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の1つの特定の限定されない実施の形態に係る圧力支援システムの模式図である。
【図2A】正常な呼吸についての有効患者フロー波形、dQ/dt、患者圧力波形及びI/E状態信号を示しており、これは本発明の一実施に係る同調不良を検出する第1の基準を説明している。
【図2B】フローの限られた呼吸についての有効患者フロー波形、dQ/dt、患者圧力波形及びI/E状態信号を示しており、これは本発明の一実施に係る同調不良を検出する第1の基準を説明している。
【図2C】同調不良の呼吸についての有効患者フロー波形、dQ/dt、患者圧力波形及びI/E状態信号を示しており、これは本発明の一実施に係る同調不良を検出する第1の基準を説明している。
【図3A】正常な呼吸についての有効患者フロー波形、患者圧力波形及びI/E状態信号を示しており、これは本発明の一実施に係る同調不良を検出する第2の基準を説明している。
【図3B】同調不良の呼吸についての有効患者フロー波形、患者圧力波形及びI/E状態信号を示しており、これは本発明の一実施に係る同調不良を検出する第2の基準を説明している。
【図4A】正常な呼吸についての有効患者フロー波形、患者圧力波形及びI/E状態信号を示しており、これは本発明の一実施に係る同調不良を検出する第3の基準を説明している。
【図4B】同調不良の呼吸についての有効患者フロー波形、患者圧力波形及びI/E状態信号を示しており、これは本発明の一実施に係る同調不良を検出する第3の基準を説明している。
【図5A】正常な呼吸についての有効患者フロー波形、患者圧力波形及びI/E状態信号を示しており、これは本発明の一実施に係る同調不良を検出する第4の基準を説明している。
【図5B】同調不良の呼吸についての有効患者フロー波形、患者圧力波形及びI/E状態信号を示しており、これは本発明の一実施に係る同調不良を検出する第4の基準を説明している。
【図6A】正常な呼吸についての有効患者フロー波形、患者圧力波形及びI/E状態信号を示しており、これは本発明の一実施に係る同調不良を検出する第5の基準を説明している。
【図6B】同調不良の呼吸についての有効患者フロー波形、患者圧力波形及びI/E状態信号を示しており、これは本発明の一実施に係る同調不良を検出する第5の基準を説明している。
【図7】本発明の1つの特定の実施の形態に係る圧力支援システムと患者との同調不良を検出する方法の流れ図である。
【図8】本発明の代替の実施の形態に係る圧力支援システムと分離した同調不良検出装置とを有するシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
例えば、限定されないが、上、下、左、右、上部、下部、前、後ろ及びその誘導体のような本明細書において用いられる方向性の表現は、図面に示されている構成要素の方向付けと関連があり、図面に明示されていない限り、特許請求の範囲を限定するものではない。
【0018】
本明細書で使用される限りにおいては、2つ又はそれ以上の部品又は構成要素が互いに「結合」されているという表現は、部品がつなぎ合わせられていることを意味するか、直接的に又は1つ若しくはそれ以上の中間の部品若しくは構成要素を介してともに動作することを意味する。本明細書で使用される限りにおいては、2つ又はそれ以上の部品又は構成要素が互いに「係合」しているという表現は、部品が直接的に又は1つ若しくはそれ以上の中間の部品若しくは構成要素を介して互いに対して力を及ぼすことを意味する。本明細書で使用される限りにおいては、「数」という用語は1又は1よりも大きい整数(すなわち複数)を意味する。
【0019】
本明細書において非常に詳細に説明されるように、本発明は、圧力支援システム(例えば、換気装置)により与えられる治療中にいつ同調不良が起こっているのかを決定する方法体系を提供する。その情報は、例えば、圧力支援システムの動作を変更するために(例えば、パラメータの変更、トレンドからのデータ点の除去、バックアップ呼吸の速度の変更及び/又は内部パラメータの変更であるが、これらに限定されない。)又は患者についての情報(例えば、患者の過剰の/不十分な換気、患者の苦痛、患者の睡眠状態(起きているか寝ているか)等であるが、これらに限定されない。)を検出するために用いられる。
【0020】
いつ同調不良が起こっているのかを決定する際、1つの特定の実施の形態における方法体系は、圧力支援システムにより生成される以下のデータを使用する。すなわち、(i)10サンプル/秒(これに限定されない。)のような所定のサンプルレートでサンプリングされる患者のフローを表す有効患者フロー波形と、(ii)圧力支援システムにより決定される患者の感知された呼吸の状態(すなわち、吸気相又は呼気相)を示すI/E状態信号(従って、I/E状態信号はこれらの状態の移行を識別する。)とを使用する。更に、上記方法体系は、第1の値(例えば、a1)は検出された同調不良を表し、第2の値(例えば、a0)は同調不良がないことを表す同調不良のフラグ波形を出力することを企図している。1つの特定の限定されない例では、(例えば、a1によって表される)同調不良の状態が、ある呼吸のうちでその状態が検出された時間から次の呼吸が始まった後100msの時点まで出力され、他の全ての時間では、同調不良が全く出力されない(例えば、a0によって表される)。また、この同調不良の情報は、ユーザインターフェース及び/又は外部媒体に出力され得る。
【0021】
図1は、本発明の種々の実施の形態を説明するために本明細書において用いられる本発明の1つの特定の限定されない実施の形態に係る圧力支援システム50の模式図である。図1を参照すると、圧力支援システム50は、通常のCPAP又は二相性の圧力支援デバイスにおいて用いられる送風機のようなガスフロー発生器52を含んでおり、このガスフロー発生器は、任意の好適なソース、例えば、酸素、空気、他の気体若しくは気体の混合物、周囲の大気又はそれらを合わせたものの加圧タンクから概して矢印Cにより示されている呼吸ガスを受け取る。ガスフロー発生器52は、相対的に高い圧力及び低い圧力、すなわち、一般的に周囲の大気圧に等しいか又はそれを上回る圧力で患者54の気道に供給するために、空気、酸素又はその混合物のような呼吸ガスの流れを発生させる。
【0022】
概して矢印Dにより示されている呼吸ガスの加圧された流れは、呼吸ガスの流れを患者54の気道に伝達するために、典型的には、患者54により装着されるか、そうでなければ患者54に取り付けられる任意の既知の構成の呼吸マスク又は患者インターフェース58に供給導管56を介して供給される。供給導管56及び患者インターフェースデバイス58は、多くの場合、ひとまとめにして患者回路と呼ばれる。例示的な実施の形態では、患者インターフェース58は、制御器64に動作可能に結合された、患者54に供給されるガスの圧力を測定する圧力センサを含んでいる。
【0023】
図1に示されている圧力支援システム50は、単肢(single-limb)システムとして知られているものであり、これは、上記患者回路が患者54を圧力支援システム50に接続する供給導管56のみを含んでいることを意味する。そのようなものとして、矢印Eにより示されているように呼気ガスをシステムから抜くために、供給導管56には排気口57が設けられている。排気口57は、供給導管56に設けられることに加えて又はその代わりに、患者インターフェースデバイス58のような他の場所に設けられ得ることに注意されたい。排気口57は、ガスを圧力支援システム50から抜く所望の様式に依存して、幅広い種類の構成を有し得ることも理解されたい。
【0024】
本発明は、また、圧力支援システム50が患者54に接続された排気導管と供給導管とを有する二肢システムであることも企図している。二肢システム(両肢(dual-limb)システムとも呼ばれる。)では、排気導管は、患者54からの排気ガスを運び、患者54から遠位の端部に排気弁を含んでいる。そのような実施の形態における排気弁は、典型的には、一般に呼気終末陽圧(PEEP)として知られるシステム内の所望のレベル又は圧力を維持するために能動的に制御される。
【0025】
更に、図1に示されている説明された例示的な実施の形態では、患者インターフェース58は鼻マスクである。しかしながら、患者インターフェース58は、鼻/口マスク、フルフェイスマスク、鼻カニューレ、鼻ピロー、気管チューブ、気管内チューブ又は適切なガスの流れを伝達する機能を与える任意の他のデバイスを含むことを理解されたい。また、本発明の目的のために、「患者インターフェース」という表現は、供給導管56及び加圧呼吸ガスのソースを患者54に接続する任意の他の構造体を含む場合がある。
【0026】
図示されている実施の形態では、圧力支援システム50は、供給導管56に設けられたバルブ60の形態で圧力制御器を含んでいる。バルブ60は、患者54に供給されるフロー発生器52からの呼吸ガスの流れの圧力を制御する。この目的のために、フロー発生器52及びバルブ60は、患者54に供給されるガスの圧力及び/又は流れを制御するために協働するので、ひとまとめにして圧力発生システムと呼ばれる。しかしながら、フロー発生器52の送風速度を変化させることのような患者54に供給されるガスの圧力を制御する他の技術が、単独で又は圧力制御バルブと組み合わせて本発明によって考えられていることは明らかであろう。従って、バルブ60は、必須ではなく、患者54に供給される呼吸ガスの流れの圧力を制御するために用いられる技術に依存している。バルブ60が取り除かれる場合、上記圧力発生システムはフロー発生器52のみに対応し、上記患者回路内のガスの圧力は、例えば、フロー発生器52のモータの速度を制御することにより制御される。
【0027】
圧力支援システム50は、更に、供給導管56内の呼吸ガスの流れを測定するフローセンサ62を含んでいる。図1に示されている特定の実施の形態では、フローセンサ62は供給導管56に沿って挿入されており、ほとんどの場合、バルブ60の下流に挿入される。フローセンサ62はフロー信号QMEASUREDを生成し、このフロー信号QMEASUREDは、制御器64に与えられ、患者54に向かうガスの流れを決定するために制御器64により用いられる。これは、本明細書の他の部分で説明されたような本発明において使用される有効患者フロー波形を生成するために用いられる。勿論、患者54で直接的に又は供給導管56に沿った他の場所で流れを測定すること、フロー発生器52の動作に基づいて患者フローを測定すること及びバルブ60の上流のフローセンサを用いて患者フローを測定することのような(これらに限定されない。)患者54の呼吸フロ−を測定する他の技術が、本発明によって考えられている。
【0028】
制御器64は、例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、又はデータ用の記憶媒体を与えるメモリ(図示せず)及び圧力支援システム50の動作を制御する制御器64により実行可能なソフトウェアを含んでいるか、若しくはこれらに動作可能に結合された何らかの他の好適な処理デバイスである。上記処理デバイスは、患者の呼吸の特徴を監視することと、それに基づいて本明細書で非常に詳細に説明されるように呼吸ガスのフローを制御することとを含んでいる。最後に、圧力支援システム50により用いられる種々のパラメータを設定するとともに、医師又は介護者のようなユーザに情報及びデータを表示し、出力する入出力デバイス66が設けられている。
【0029】
本発明の例示的な限定されない実施の形態では、圧力支援システム50は、本質的には二相性の圧力支援システムとして機能し、従って、患者54に異なるIPAP及びEPAPのレベルを与えるために、そのようなシステムにおいて必要な能力の全てを含んでいる。これは、最大及び最小のIPAP及びEPAPの設定値のような二相の圧力を与えるために入力コマンド、信号、命令又は他の情報経由の必要なパラメータを受け取ることを含んでいる。フローセンサ62からのフロー信号QMEASUREDもまた制御器64に与えられ、これは所望の吸気及び呼気波形を出力するために上記圧力発生システムを制御する。
【0030】
典型的には、圧力支援動作の実行は、フロー信号QMEASUREDに基づいて実際の患者フローを推定又は決定することと、患者が呼吸周期の吸気相にあるか呼気相にあるかを決定し、患者54の感知された呼吸状態を示すI/E状態信号(バイナリ形式)(Iは吸気相を表し、Eは呼気相を表す。)を与えることと、圧力支援システム50をトリガ及びサイクルすることとを含んでいる。また、一例示的な実施の形態では、圧力支援システム50は自動バックアッププロセスを実行する。この自動バックアッププロセスでは、ある期間に中枢性無呼吸又は呼吸努力の停止が検出されると、「機械呼吸」又は「バックアップ呼吸」が圧力支援システム50により患者に自動的に供給され、従って、肺を換気する。そのため、圧力支援システム50は、換気の調節、補助、支援及び補助/調節モードを与えることができる。
【0031】
単肢システムである本発明の一例示的な実施の形態では、制御器64は、任意の通常の技術を用いて圧力支援システム50からのガスの漏れを推定し、この漏れの推定を実際の患者フローの決定に組み込む。単肢システムは、排気口を通る既知のリークと、患者インターフェースの患者との接触部位及び患者回路につながっている種々の導管におけるリークのような他の不明なリークとを含んでいるので、このリークの推定は単肢システムにおいて必要とされる。二肢システムでは、直接的に排気ガスのフローを測定するためにフローセンサが典型的には排気口に設けられるので、リークの推定は必要とされない。そのようなシステムでは、患者フローは、測定された患者に供給されるフローから測定された排気フローを引くことによって決定され得る。リークの検出は、患者フローの決定の精度を高めるために二肢システムにおいて行われ得ることが理解される。
【0032】
Sanders等による米国特許第5,148,802号、Zdrojkowski等による米国特許第5,313,937号、Sanders等による米国特許第5,433,193号、Zdrojkowski等による米国特許第5,632,269号、Zdrojkowski等による米国特許第5,803,065号、Zdrojkowski等による米国特許第6,029,664号、Hill等による米国特許第6,920,875号公報には、患者に異なるIPAP及びEPAPのレベルを与えるためにどのように必要な機能を果たすかが説明されており、これらのそれぞれの内容は、参照することにより本明細書に組み込まれたものとする。これらの機能は、リークを検出し、推定する技術及び患者の呼吸状態を検出し、リークの存在下における患者への呼吸ガスの2つのレベルでの供給を管理する、例えば、トリガ及びサイクルする技術を含んでいる。従って、これらの機能の詳細な説明は、単純かつ簡潔にするために本願から省略される。
【0033】
本発明は、圧力支援システム50と患者54との同調不良が、(フロー信号QMEASUREDに基づき、患者フローを表す)制御器64により生成される有効患者フロー波形と、制御器64により生成されるI/E状態信号とに基づいて決定され得る圧力支援システム50の制御器64において実行される方法を提供する。一例示的な実施の形態では、同調不良の発生は、個々の呼吸と関連する有効患者フロー波形及びI/E状態信号の部分を調べ、幾つかの所定の基準の1つ又はそれ以上が存在するかどうかを決定することによって制御器64により決定される。1つの特定の実施の形態についての特定の基準が、図2Aないし図6Bに関連して以下に説明される。
【0034】
第1の基準は、図2A、2B及び2Cに示されており、(I/E状態信号により示されるような)ある呼吸において存在するフローの傾き(すなわち、dQ/dt)の反転の数に基づいている。本明細書において用いられる「反転」という用語は、正から負へ又は負から正への符号の変化を意味している。従って、大きくなっている信号の傾きは正であり、小さくなっている信号の傾きは負である。これらは、信号の絶対値には関係ない(例えば、フローが10msで−20LPMから−5LPMになると、傾きは正であるのに対して、フローが10msで+20LPMから+5LPMになると、傾きは負である。)。フラットな信号はゼロの傾きである。本明細書で説明される方法は、ゼロの傾きの区間又は点を無視しており、符号の真の反転を待つ。より具体的には、(I/E状態信号、すなわち、ある呼吸の開始を信号で知らせる1つのIの始まりから次の呼吸の開始を信号で知らせる次のIの始まりまでにより示される)一回の呼吸における(一時的な低下、瞬間的な急上昇及び患者フロー波形上のより大きい変動として現れる)フローの傾きの反転の数が決定される。その数がある経験的に決定された数を超える場合、そのような状態は、圧力支援システム50と調和していない少なくとも何らかの患者の呼吸ドライブを示しているので、同調不良の状態が宣言される。上記ある経験的に決定された数は、例えば、標準的な傾きの反転に相当する2(吸気のピーク後の1回及び呼気の谷の後の1回)であるが、これに限定されない。
【0035】
真の同調不良により引き起こされる傾きの反転とフローの限られた呼吸により引き起こされる傾きの反転とを区別するために、容積を基準にしたテストが用いられる。容積を基準にしたテストの基本原理は、同調不良において起こる患者フローについての強い呼吸ドライブに関連した変化が、フローの限られた呼吸のために見られる小さい一時的な低下よりも非常に大きくかつ速いことである。ある経験的に決定された期間内における容積の変化が、ある経験的に決定された容積の閾値を上回っていると、その特定のフローの傾きの反転は無視される。本明細書及び特許請求の範囲における記述の場合、上述した容積を基準にしたテストを満たしているフローの傾きの反転は、「容積の要件を満たしたフローの傾きの反転」と呼ばれる。上記経験的に決定された容積は、負の傾きについては−21ml、正の傾きについては18mlであり得るが、これに限定されない。上記経験的に決定された期間は、200ミリ秒であり得るが、これに限定されない。しかしながら、そのような上述した数の全てに関して、他の経験的に決定される数が本発明の範囲内において可能であることが理解されるべきである。
【0036】
図2Aは、正常な呼吸についての有効患者フロー波形、患者圧力波形(圧力支援システム50により与えられる圧力)、dQ/dt及びI/E状態信号を示しており、フローの傾きの反転が数えられ、2に等しい。図2Bは、フローの限られた呼吸についての有効患者フロー波形、患者圧力波形、dQ/dt及びI/E状態信号を示しており、フローの傾きの反転が数えられ、2に等しい。このケースは、フローの限られた呼吸により生じる吸気のピークにおける小さい一時的な低下は短期的な傾きの変化を引き起こすが、これらの傾きの変化は上述した容積の基準を満たしていない状況を説明するために与えられている。図2Cは、同調不良の呼吸についての有効患者フロー波形、患者圧力波形、dQ/dt及びI/E状態信号を示しており、フローの傾きの反転が数えられ、4に等しい。これは、全ての個々の傾きの反転が上述した容積の基準を満たし、従って真の傾きの反転として数えられる真の同調不良のケースである。
【0037】
第2の基準は、図3A及び図3Bに示されており、I/E状態信号により示されるような圧力支援システム50により与えられる呼気圧(例えば、EPAP)の開始後の(言い換えれば、圧力支援システム50により決定される呼気相の間の)増分一回換気量に基づき、特に、そのような増分一回換気量が何らかの経験的に決定された正の数よりも大きいかどうかに基づいている。慣習のために、正のフローは正の一回換気量になり、負のフローは負の一回換気量になることを前提としている。より具体的には、一回の呼吸についての全フロー信号が調べられ、圧力支援システム50により決定される呼気相の少なくとも一部に対応するその部分(すなわち、当該呼吸についてのEの初めから当該呼吸についてのEの終わりまで)についての一回換気量が決定される(一回換気量は、全フロー信号の曲線の下の領域(積分)である。)。
【0038】
ある実施の形態では、用いられる呼気相の部分は、呼気相の開始の後、第1の所定の時間(例えば、約400ms)において始まり、その後、所定の持続時間(例えば、全体の部分を約900msの長さにするように約500ms)の間続く。他の実施の形態では、用いられる呼気相の部分は、呼気相全体である。そのように決定される増分一回換気量が限定されない25mlのような経験的に決定された正の数よりも大きいと、そのような状態は、圧力支援システム50が呼気圧(例えば、EPAP)にサイクルすることを決定した後、患者54がある経験的に決定された期間に吸入を続けたことを示しているので、同調不良の状態が宣言される。図3Aは、正常な呼吸についての有効患者フロー波形、患者圧力波形(圧力支援システム50により与えられる圧力)及びI/E状態信号を示しており、圧力支援システム50により決定される呼気中の増分一回換気量はハッチングが施されており、−500mlに等しい。図3Bは、同調不良の呼吸についての有効患者フロー波形、患者圧力波形及びI/E状態信号を示しており、圧力支援システム50により決定される呼気中の増分一回換気量はハッチングが施されており、+100mlに等しい。
【0039】
第3の基準は、図4A及び図4Bに示されており、(I/E状態信号により示されるような)ある呼吸の間の合計の一回換気量の絶対値に基づいている。慣習のために、正のフローは正の一回換気量になり、負のフローは負の一回換気量になることを前提としている。より具体的には、(I/E状態信号、すなわち、ある呼吸の開始を信号で知らせる1つのIの始まりから次の呼吸の開始を信号で知らせる次のIの始まりまでにより示されるような)一回の呼吸における合計の一回換気量の絶対値が、全フロー信号から決定される。その数が限定されない800mlのようなある経験的に決定された数を超えていると、同調不良の状態が宣言される。これは、理想の世界では、一回の呼吸についての合計の一回換気量がゼロに近づくべきであるという理由のケースであり、一回の呼吸における合計の一回換気量の絶対値が高い正の数である状況は、同期に関して何らかの異常があることを示している。例えば、患者54は、サイクルを示すI/E状態信号の持続期間中、ある大きい呼吸周期内にあり、圧力支援システム50により与えられる比較的弱いドライブに気付かないことがある。この種の同調不良は覚醒状態において生じ、患者54のドライブが無力である(swamp)と、かなり弱いバックアップが圧力支援システム50により与えられる。
【0040】
図4Aは、正常な呼吸についての有効患者フロー波形、患者圧力波形(圧力支援システム50により与えられる圧力)及びI/E状態信号を示しており、圧力支援システム50により決定される一回の呼吸の間の合計の一回換気量はハッチングが施されており、ゼロに近づいている。図4Bは、同調不良の呼吸についての有効患者フロー波形、患者圧力波形及びI/E状態信号を示しており、圧力支援システム50により決定される一回の呼吸の間の合計の一回換気量はハッチングが施されており、(この例では経験的に決定された数よりも大きい)+250mlに等しい。
【0041】
第4の基準は、図5A及び図5Bに示されており、圧力支援システム50により駆動される一回の呼吸における呼気相の長さ(持続時間)(すなわち、当該呼吸についてのI/E状態信号のEの長さ)に基づいている。より具体的には、次の呼吸が始まる際、I/E信号により示される前の呼吸の呼気相の長さが調べられ、その長さが十分であるかどうかに関しての決定がなされる。そのようにするために、1つの実施の形態では、呼気相の長さが、吸気相の長さ(持続時間)の経験的に決定された割合(例えば、75%)と比較され、上記経験的に決定された長さの割合を超えていないと、同調不良の状態が宣言される。他の実施の形態では、呼気相の長さが、1秒のような経験的に決定された持続時間と比較され、上記経験的に決定された持続時間を超えていないと、同調不良の状態が宣言される。
【0042】
図5Aは、正常な呼吸についての有効患者フロー波形、患者圧力波形(圧力支援システム50により与えられる圧力)及びI/E状態信号を示しており、I/E信号により示される一回の呼吸の呼気相の長さは(この例では、1秒の吸気の長さの経験的に決定された75%よりも大きい)2秒である。図5Bは、同調不良の呼吸についての有効患者フロー波形、患者圧力波形及びI/E状態信号を示しており、I/E信号により示される一回の呼吸の呼気相の長さは(この例では、1秒の吸気の長さの経験的に決定された75%よりも小さい)0.5秒である。
【0043】
圧力支援システム50が呼吸をトリガし、呼気にサイクルし、その後直ちに再びトリガする場合、患者は典型的には息を吸っておらず、非常に短い呼気時間の後、再度息を吸うので、それは、何らかのおかしな相互作用が起きていることの表れであるという理由のために、上記第4の基準が使用される。これは、非常にまれにしか生じないが、2つの以下の状態のうちのどちらか一方が起こったことの表れであることが多い。すなわち、(1)圧力支援システム50が早く若しくは間違ってトリガした又は患者が自発呼吸を行うつもりであった直前に時間が設定された呼吸を与えた状態(これは、時間が設定された呼吸が与えられるケースにおいて生じるが、呼気圧の緩和(CFlex又はBiFlex)が与えられ、次の吸い込みの準備が整う前に、息を吐き終えた時に患者のフローが正にわずかに戻ると、自発的なトリガを誤って宣言するケースにおいても生じる。)、又は(2)圧力支援システム50が早くサイクルした状態であり、これは呼気にサイクルした時に患者が息を吐き終えていなかったことを意味する(これは、(特に、時間が設定された呼吸のケースで)圧力支援システム50上での吸い込みがある一定の時間に制限される設定により、又は、それほど多くはないが、患者フローがかなり減少し、その後、吸い込みの2回目の「バースト」のように増大する自発呼吸が行われると生じる。)。いずれにしても、上記の全ては、圧力支援システム50のトリガが患者の呼吸努力と同期していないケースであり、本発明が検出したいと望むものである。
【0044】
第5の基準は、図6A及び図6Bに示されており、I/E状態信号により示される吸気相の間の一回換気量に基づいており、特に、そのような吸気一回換気量がある経験的に決定された負の数よりも小さいかどうかに基づいている。慣習のために、正のフローは正の一回換気量になり、負のフローは負の一回換気量になることを前提としている。より具体的には、一回の呼吸についての全フロー信号が調べられ、圧力支援システム50により決定される呼気相に対応するその部分(すなわち、当該呼吸についてのIの始まりから当該呼吸についてのIの終わりまで)についての一回換気量が決定される(一回換気量は、全フロー信号の曲線の下の領域である。)。そのように決定される吸気一回換気量が、限定されない−83mlのような経験的に決定された負の数よりも小さいと、そのような状況は、決定された吸気相のほとんどの間患者54が息を吐いてことを示しているので、同調不良の状態が宣言される。図6Aは、正常な呼吸についての有効患者フロー波形、患者圧力波形(圧力支援システム50により与えられる圧力)及びI/E状態信号を示しており、吸気一回換気量は、ハッチングが施されており、500mlに等しい。図6Bは、同調不良の呼吸についての有効患者フロー波形、患者圧力波形及びI/E状態信号を示しており、吸気一回換気量は、ハッチングが施されており、(この例では例えば−25mlの経験的に決定された負の数よりも小さい)−70mlに等しい。
【0045】
図7は、1つの特定の実施の形態に係る圧力支援システム50と患者54との同調不良を検出する方法を示した流れ図である。図7に示されているステップは、一回の呼吸の間に行われるステップである。理解されるように、それらのステップは、監視されることになっている各呼吸について繰り返される。図7に示されている方法は、典型的には制御器64の一部と関連のある及び/又は制御器64の一部を形成する好適なメモリに記憶されたファームウェア及び/又はソフトウェアの形態の制御器64において実現され、該制御器64によって実行される。
【0046】
この方法はステップ100で始まり、ステップ100では、QMEASURED信号に基づいて生成される有効患者フロー波形データが、当該方法を実現する制御器64の単数又は複数のルーチンによって受け取られる。当業者によって理解されるように、上記有効患者フロー波形データは、例えば、図2Aないし図6Bに示されている有効患者フロー波形を生成するために用いられる。一例示的な実施の形態では、有効患者フロー波形データは、10サンプル/秒(10Hz)でQMEASUREDデータをサンプリングし、高速動作する単極ハイパスフィルタを用いてサンプリングされたデータをフィルタにかけ、以下のように、すなわち、y(n)=b1*y(n−1)+aθ*x(n)−a1(x−1)、ここで、b1=31/32及びa0=a1=(1+31/32)/2(これは、fc=0.05Hzを与える。)、y(n)=y(n−1)/2+x(n)/2//smoothingのようにデータを平滑化することにより生成される。結果として得られるデータは、本明細書において説明される計算のために用いられる有効患者フロー波形データであり、リークの推定と無関係である。
【0047】
ステップ100に続いて、この方法はステップ102に進む。ステップ102では、I/E状態信号に基づいて吸気相の開始が検出される(本明細書の他の箇所で説明されている。)。次に、ステップ104において、有効患者フロー波形の傾きが追跡され、本明細書の他の箇所で説明されたような有効患者フロー波形の傾きの反転が、受け取った有効患者フロー波形データに基づいて数えられる。ステップ106では、吸気一回換気量が全波形データに基づいて決定される。ステップ108では、呼気相の開始がI/E状態信号に基づいて検出される。ステップ110では、本明細書の他の箇所で説明されたような呼気相の所定の部分についての増分一回換気量が、有効患者フロー波形データに基づいて決定される。ステップ112では、呼気一回換気量が有効患者フロー波形データに基づいて決定される(これは、呼気相全体についての合計の一回換気量である。)。最後に、ステップ114において、呼気相の終わりがI/E状態信号に基づいて検出される。
【0048】
本発明によれば、図2Aないし図6Bに関連して説明された基準のいずれかが満たされていると決定されると、図7に示されているプロセスの間のいかなる時でも同調不良が宣言される。特に、同調不良は、(i)容積の要件を満たしたフローの傾きの反転の数が本明細書の他の箇所で説明されたある経験的に決定された数よりも大きい場合は、当該呼吸のうちの任意の時間に、(ii)増分一回換気量が対応する経験的に決定された正の数よりも大きい場合は、呼気圧の発生後、(iii)一回呼吸量全体の絶対値が本明細書の他の箇所で説明されたある経験的に決定された数よりも大きい場合は、当該呼吸の終わりに、(iv)前の呼吸の呼気相の長さが、本明細書の他の箇所で説明された経験的に決定された長さを超えていないので不十分であると決定された場合は、次の呼吸の初めに、又は(v)吸気一回換気量が本明細書の他の箇所で説明された対応する経験的に決定された負の数よりも小さい場合は、当該呼吸の吸気相の終わりに宣言される。
【0049】
本明細書の他の箇所で述べられたように、一度1つ又はそれ以上の同調不全の事象が検出されると、その情報は、圧力支援システム50の動作を変更するため及び/又は患者54についての情報を検出するために用いられる。圧力支援システム50の動作を変更は、バックアップレートを遅くすること、圧力支援を減らすこと、所与の圧力様式を止めること、(患者54がデバイスのペースよりも速い場合に)一回換気量を増やすこと、CFlexを加えること、EPAPを低減することを含んでいるが、これらに限定されない。患者54に関して検出される情報は、覚醒状態(睡眠状態)、患者の苦痛及び患者の過剰/不十分な換気を含んでいるが、これらに限定されない。
【0050】
図8は、本発明の代替の実施の形態に係るシステム116のブロック図である。システム116は、同調不良を検出するように構成されていないことを除き、図1に示されており、本明細書中に詳細に説明されている圧力支援システムと同様の圧力支援システム118を含んでいる。その代わりに、図8に示されているように、圧力支援システム118は、圧力支援システム118と圧力支援システム118を用いる患者との同調不良を検出する分離した同調不良検出装置120に動作可能に結合されている。特に、同調不良検出装置120は、筐体124内に設けられた制御器122を含んでおり、制御器122は、図示されている実施の形態では、圧力支援システム118からの以下のデータ、すなわち、(i)圧力支援システム118により患者に与えられるガスの流れと関連がある患者フローデータ及び(ii)圧力支援システム118により患者に与えられるガスの流れの圧力を示す患者圧力データを受け取るように構成されている。一実施の形態では、上記患者フローデータは、本明細書の他の箇所で説明された(及び圧力支援システム118により生成される)有効患者フロー波形データである。他の実施の形態では、上記患者フローデータはQMEASURED信号であり、そのケースでは、有効患者フロー波形データは、本明細書中において上述したやり方で制御器122により生成され得る。
【0051】
図1に示されている制御器62と同様に、制御器122は、例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、又はデータ用の記憶媒体を与えるメモリ(図示せず)及び本明細書中で説明されたような同調不良検出装置120の動作を制御する制御器122により実行可能なソフトウェアを含んでいるか、若しくはこれらに動作可能に結合された何らかの他の好適な処理デバイスである。また、図示されている実施の形態では、制御器122は、既知の方法を用いて受け取られる患者圧力データに基づいてI/Eの状態を示す信号を生成する。患者フローデータ及び患者圧力データを受け取り、その後、I/Eの状態を示す信号を生成することに対応して、制御器122は、更に、それに基づいて図7に示されている特定の実施の形態に従って圧力支援システム118と患者との同調不良を検出する。
【0052】
更に、図8において分かるように、同調不良検出装置120は、生成される同調不良の情報に基づいて圧力支援システム118の動作を変更(例えば、パラメータの変更、トレンドからのデータ点の除去、バックアップ呼吸の速度の変更及び/又は内部パラメータの変更であるが、これらに限定されない。)する、圧力支援システム118に与えられる1つ又はそれ以上の制御信号を生成し、出力するように構成されている。同調不良検出装置120は、更に、同調不良検出装置120の一部として与えられる又は同調不良検出装置120に動作可能に結合されたユーザインターフェース及び/又は外部媒体に生成される同調不良の情報を出力するように構成されている。加えて、同調不良検出装置120は、更にまた、生成される同調不良の情報に基づいて患者についての情報(例えば、患者の過剰の/不十分な換気、患者の苦痛、患者の睡眠状態(起きているか寝ているか)等であるが、これらに限定されない。)を検出し、その情報を同調不良検出装置120の一部として与えられる又は同調不良検出装置120に動作可能に結合されたユーザインターフェース及び/又は外部媒体に出力するように構成されている。
【0053】
他の実施の形態では、上述したように同調不良検出装置120においてI/Eの状態を示す信号を生成するのではなく、同調不良検出装置120は、代わりに、圧力支援システム118からI/E状態信号を受け取り、先に説明されたように同調不良を検出するためにその信号を用いる。更に他の実施の形態として、上述したように圧力支援システム118から直接圧力及びフローの情報を受け取るのではなく、同調不良検出装置120は、それ自体の圧力及びフロー計測器を用いて同調不良検出装置120自体にそれらの情報を集めるように構成されてもよい。
【0054】
最も実用的な好ましい実施の形態であるとこれまでのところ考えられることに基づいて実例の目的のために本発明が詳細に説明されたが、そのような詳細は単に上記目的のためであって、本発明は開示された実施の形態に限定されず、逆に、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲内にある変更形態及び同等の仕組みを範囲に含むように意図されていることを理解されたい。例えば、本発明は、可能な限りにおいて、任意の実施の形態の1つ又はそれ以上の特徴が任意の他の実施の形態の1つ又はそれ以上の特徴と組み合わせられ得ることを企図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者と圧力支援システムとの同調不良を検出する方法であって、
前記圧力支援システムにより前記患者に供給されるガスの流れと関連がある患者フローデータを受け取ることと、
前記患者の呼吸の相を表すI/E状態信号を得ることと、
前記患者フローデータ及び前記I/E状態信号を解析し、前記患者フローデータ及び前記I/E状態信号の少なくとも1つに基づいて呼吸についての同調不良を宣言することと
を有する、当該方法。
【請求項2】
I/E状態信号は、前記圧力支援システムにより決定される前記患者の呼吸の相を表し、前記圧力支援システムにより生成される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記受け取ること、得ること及び解析することが、前記圧力支援システムにより行われる、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記患者フローデータを受け取ることが、前記圧力支援システムから分離した同調不良検出装置において患者フローデータを受け取ることを有し、前記I/E状態信号を得ることが、前記同調不良検出装置において前記圧力支援システムから前記I/E状態信号を受け取ることを有し、前記解析することが前記同調不良検出装置により行われる、請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記I/E状態信号を得ることが、前記圧力支援システムにより前記患者に供給される前記ガスの流れの圧力と関連がある圧力データを受け取ることと、前記圧力データに基づいて前記I/E状態信号を生成することとを有する、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記患者フローデータを受け取ることが、前記圧力支援システムから分離した同調不良検出装置において前記患者フローデータを受け取ることを有し、前記圧力データを受け取ること及び前記I/E状態信号を生成することが、前記同調不良検出装置において前記圧力データを受け取ること及び前記同調不良検出装置において前記I/E状態信号を生成することを有し、前記解析することが前記同調不良検出装置により行われる、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記患者フローデータ及び前記I/E状態信号の少なくとも1つに基づいて、幾つかの所定の基準の少なくとも1つが満たされているかどうかを決定することを更に有し、前記宣言することが、前記幾つかの所定の基準の少なくとも1つが満たされていることが決定された場合に当該呼吸について前記同調不良を宣言することを有する、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記幾つかの所定の基準が、(i)所定の数を超える当該呼吸についての前記患者フローデータにおける容積の要件を満たしたフローの傾きの反転の数、(ii)所定の正の値を超える前記I/E状態信号により示される当該呼吸の呼気相の少なくとも一部の間の増分一回換気量、(iii)当該呼吸の間の一回換気量の絶対値が所定の値を超えていること、(iv)前記I/E状態信号により示される当該呼吸の呼気相の長さが、前記I/E状態信号により示される当該呼吸の吸気相の長さの所定の割合を超えていないこと、及び(v)前記I/E状態信号により示される当該呼吸の吸気相の間の一回換気量が所定の負の値よりも小さいことのうちの1つ又はそれ以上を含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記幾つかの所定の基準が、(i)所定の数を超える当該呼吸についての前記患者フローデータにおける容積の要件を満たしたフローの傾きの反転の数、(ii)所定の正の値を超える前記I/E状態信号により示される当該呼吸の呼気相の少なくとも一部の間の増分一回換気量、(iii)当該呼吸の間の一回換気量の絶対値が所定の値を超えていること、(iv)前記I/E状態信号により示される当該呼吸の呼気相の長さが所定の持続時間を超えていないこと、及び(v)前記I/E状態信号により示される当該呼吸の吸気相の間の一回換気量が所定の負の値よりも小さいことのうちの1つ又はそれ以上を含む、請求項7記載の方法。
【請求項10】
前記幾つかの所定の基準が、(i)所定の数を超える当該呼吸についての前記患者フローデータにおける容積の要件を満たしたフローの傾きの反転の数、(ii)所定の正の値を超える前記I/E状態信号により示される当該呼吸の呼気相の少なくとも一部の間の増分一回換気量、(iii)当該呼吸の間の一回換気量の絶対値が所定の値を超えていること、(iv)前記I/E状態信号により示される当該呼吸の呼気相の長さが、前記I/E状態信号により示される当該呼吸の吸気相の長さの所定の割合を超えていないこと、及び(v)前記I/E状態信号により示される当該呼吸の吸気相の間の一回換気量が所定の負の値よりも小さいことを含む、請求項7記載の方法。
【請求項11】
前記幾つかの所定の基準が、(i)所定の数を超える当該呼吸についての前記患者フローデータにおける容積の要件を満たしたフローの傾きの反転の数、(ii)所定の正の値を超える前記I/E状態信号により示される当該呼吸の呼気相の少なくとも一部の間の増分一回換気量、(iii)当該呼吸の間の一回換気量の絶対値が所定の値を超えていること、(iv)前記I/E状態信号により示される当該呼吸の呼気相の長さが所定の持続時間を超えていないこと、及び(v)前記I/E状態信号により示される当該呼吸の吸気相の間の一回換気量が所定の負の値よりも小さいことを含む、請求項7記載の方法。
【請求項12】
前記I/E状態信号により示される当該呼吸の吸気相及び呼気相に関して、前記患者フローデータに存在する容積の要件を満たしたフローの傾きの反転の数を決定することを更に有し、前記宣言することは、前記容積の要件を満たしたフローの傾きの反転の数が所定の数を超えていることが決定された場合、当該呼吸について同調不良を宣言することを有する、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記I/E状態信号により示される当該呼吸の呼気相の少なくとも一部に関して、前記患者フローデータから増分一回換気量を決定することを更に有し、前記宣言することは、前記増分一回換気量が所定の正の値を超えていることが決定された場合、当該呼吸について同調不良を宣言することを有する、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記I/E状態信号により示される当該呼吸の吸気相及び呼気相に関して、前記患者フローデータから一回換気量の絶対値を決定することを更に有し、前記宣言することは、前記絶対値が所定の値を超えていることが決定された場合、当該呼吸について同調不良を宣言することを有する、請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記I/E状態信号により示される当該呼吸の呼気相の長さを決定することを更に有し、前記宣言することは、前記長さが前記I/E状態信号により示される当該呼吸の前記吸気相の長さの所定の割合を超えていないことが決定された場合、当該呼吸について同調不良を宣言することを有する、請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記I/E状態信号により示される当該呼吸の呼気相の長さを決定することを更に有し、前記宣言することは、前記長さが所定の持続時間を超えていないことが決定された場合、当該呼吸について同調不良を宣言することを有する、請求項1記載の方法。
【請求項17】
前記I/E状態信号により示される当該呼吸の吸気相に関して、前記患者フローデータから一回換気量を決定することを更に有し、前記宣言することは、前記一回換気量が所定の負の値よりも小さいことが決定された場合、当該呼吸について同調不良を宣言することを有する、請求項1記載の方法。
【請求項18】
前記宣言することは、前記患者フローデータ及び前記I/E状態信号に基づいて、複数の呼吸について複数の同調不良を宣言することを有し、当該方法は、前記複数の同調不良に基づいて同調不良のフラグ波形を生成することを更に有する、請求項1記載の方法。
【請求項19】
前記宣言することは、前記患者フローデータ及び前記I/E状態信号に基づいて、複数の呼吸について複数の同調不良を宣言することを有し、当該方法は、前記複数の同調不良に基づいて前記圧力支援システムの動作を変更することを更に有する、請求項1記載の方法。
【請求項20】
前記宣言することは、前記患者フローデータ及び前記I/E状態信号に基づいて、複数の呼吸について複数の同調不良を宣言することを有し、当該方法は、前記複数の同調不良に基づいて前記患者の状態についての情報を検出することを更に有する、請求項1記載の方法。
【請求項21】
宣言された前記同調不良に基づいて前記圧力支援システムの動作を変更することを更に有する、請求項1記載の方法。
【請求項22】
宣言された前記同調不良に基づいて前記患者の状態についての情報を検出することを更に有する、請求項1記載の方法。
【請求項23】
前記宣言することは、前記患者フローデータ及び前記I/E状態信号の両方に基づいて、呼吸についての同調不良を宣言することを有する、請求項1記載の方法。
【請求項24】
ガスの流れを作り出す圧力生成システムと、
前記圧力生成システムに動作可能に結合され、患者の気道に前記ガスの流れを供給する患者回路と、
前記圧力生成システムに動作可能に結合された制御器と
を有する圧力支援システムであって、前記制御器は、
前記圧力支援システムにより前記患者に供給される前記ガスの流れと関連がある患者フローデータを受け取ることと、
前記圧力支援システムにより決定される前記患者の呼吸の相を表すI/E状態信号を受け取ることと、
前記患者フローデータ及び前記I/E状態信号を解析し、前記患者フローデータ及び前記I/E状態信号の少なくとも1つに基づいて呼吸についての同調不良を宣言すること
により前記患者と前記圧力支援システムとの同調不良を検出する、当該圧力支援システム。
【請求項25】
前記制御器は、前記患者フローデータ及び前記I/E状態信号の少なくとも1つに基づいて、幾つかの所定の基準の少なくとも1つが満たされているかどうかを更に決定し、前記宣言することが、前記幾つかの所定の基準の少なくとも1つが満たされていることが決定された場合に当該呼吸について前記同調不良を宣言することを有する、請求項24記載の圧力支援システム。
【請求項26】
前記幾つかの所定の基準が、(i)所定の数を超える当該呼吸についての前記患者フローデータにおける容積の要件を満たしたフローの傾きの反転の数、(ii)所定の正の値を超える前記I/E状態信号により示される当該呼吸の呼気相の少なくとも一部の間の増分一回換気量、(iii)当該呼吸の間の一回換気量の絶対値が所定の値を超えていること、(iv)前記I/E状態信号により示される当該呼吸の呼気相の長さが、前記I/E状態信号により示される当該呼吸の吸気相の長さの所定の割合を超えていないこと、及び(v)前記I/E状態信号により示される当該呼吸の吸気相の間の一回換気量が所定の負の値よりも小さいことのうちの1つ又はそれ以上を含む、請求項25記載の圧力支援システム。
【請求項27】
前記幾つかの所定の基準が、(i)所定の数を超える当該呼吸についての前記患者フローデータにおける容積の要件を満たしたフローの傾きの反転の数、(ii)所定の正の値を超える前記I/E状態信号により示される当該呼吸の呼気相の少なくとも一部の間の増分一回換気量、(iii)当該呼吸の間の一回換気量の絶対値が所定の値を超えていること、(iv)前記I/E状態信号により示される当該呼吸の呼気相の長さが所定の持続時間を超えていないこと、及び(v)前記I/E状態信号により示される当該呼吸の吸気相の間の一回換気量が所定の負の値よりも小さいことのうちの1つ又はそれ以上を含む、請求項25記載の圧力支援システム。
【請求項28】
前記幾つかの所定の基準が、(i)所定の数を超える当該呼吸についての前記患者フローデータにおける容積の要件を満たしたフローの傾きの反転の数、(ii)所定の正の値を超える前記I/E状態信号により示される当該呼吸の呼気相の少なくとも一部の間の増分一回換気量、(iii)当該呼吸の間の一回換気量の絶対値が所定の値を超えていること、(iv)前記I/E状態信号により示される当該呼吸の呼気相の長さが、前記I/E状態信号により示される当該呼吸の吸気相の長さの所定の割合を超えていないこと、及び(v)前記I/E状態信号により示される当該呼吸の吸気相の間の一回換気量が所定の負の値よりも小さいことを含む、請求項25記載の圧力支援システム。
【請求項29】
前記幾つかの所定の基準が、(i)所定の数を超える当該呼吸についての前記患者フローデータにおける容積の要件を満たしたフローの傾きの反転の数、(ii)所定の正の値を超える前記I/E状態信号により示される当該呼吸の呼気相の少なくとも一部の間の増分一回換気量、(iii)当該呼吸の間の一回換気量の絶対値が所定の値を超えていること、(iv)前記I/E状態信号により示される当該呼吸の呼気相の長さが所定の持続時間を超えていないこと、及び(v)前記I/E状態信号により示される当該呼吸の吸気相の間の一回換気量が所定の負の値よりも小さいことを含む、請求項25記載の圧力支援システム。
【請求項30】
前記制御器が、更に、前記I/E状態信号により示される当該呼吸の吸気相及び呼気相に関して、前記患者フローデータに存在する容積の要件を満たしたフローの傾きの反転の数を決定し、前記宣言することは、前記容積の要件を満たしたフローの傾きの反転の数が所定の数を超えていることが決定された場合、当該呼吸について同調不良を宣言することを有する、請求項24記載の圧力支援システム。
【請求項31】
前記制御器が、更に、前記I/E状態信号により示される当該呼吸の呼気相の少なくとも一部に関して、前記患者フローデータから増分一回換気量を決定し、前記宣言することは、前記増分一回換気量が所定の正の値を超えていることが決定された場合、当該呼吸について同調不良を宣言することを有する、請求項24記載の圧力支援システム。
【請求項32】
前記制御器が、更に、前記I/E状態信号により示される当該呼吸の吸気相及び呼気相に関して、前記患者フローデータから一回換気量の絶対値を決定し、前記宣言することは、前記絶対値が所定の値を超えていることが決定された場合、当該呼吸について同調不良を宣言することを有する、請求項24記載の圧力支援システム。
【請求項33】
前記制御器が、更に、前記I/E状態信号により示される当該呼吸の呼気相の長さを決定し、前記宣言することは、前記長さが前記I/E状態信号により示される当該呼吸の前記吸気相の長さの所定の割合を超えていないことが決定された場合、当該呼吸について同調不良を宣言することを有する、請求項24記載の圧力支援システム。
【請求項34】
前記制御器が、更に、前記I/E状態信号により示される当該呼吸の呼気相の長さを決定し、前記宣言することは、前記長さが所定の持続時間を超えていないことが決定された場合、当該呼吸について同調不良を宣言することを有する、請求項24記載の圧力支援システム。
【請求項35】
前記制御器が、更に、前記I/E状態信号により示される当該呼吸の吸気相に関して、前記患者フローデータから一回換気量を決定し、前記宣言することは、前記一回換気量が所定の負の値よりも小さいことが決定された場合、当該呼吸について同調不良を宣言することを有する、請求項24記載の圧力支援システム。
【請求項36】
前記宣言することは、前記患者フローデータ及び前記I/E状態信号に基づいて、複数の呼吸について複数の同調不良を宣言することを有し、前記制御器は、更に、前記複数の同調不良に基づいて同調不良のフラグ波形を生成する、請求項24記載の圧力支援システム。
【請求項37】
前記宣言することは、前記患者フローデータ及び前記I/E状態信号に基づいて、複数の呼吸について複数の同調不良を宣言することを有し、前記制御器は、更に、前記複数の同調不良に基づいて前記圧力支援システムの動作を変更する、請求項24記載の圧力支援システム。
【請求項38】
前記宣言することは、前記患者フローデータ及び前記I/E状態信号に基づいて、複数の呼吸について複数の同調不良を宣言することを有し、前記制御器は、更に、前記複数の同調不良に基づいて前記患者の状態についての情報を検出する、請求項24記載の圧力支援システム。
【請求項39】
前記宣言することは、前記患者フローデータ及び前記I/E状態信号の両方に基づいて、呼吸についての同調不良を宣言することを有する、請求項24記載の圧力支援システム。
【請求項40】
患者と圧力支援システムとの同調不良を検出する装置であって、
前記圧力支援システムから分離した筐体と、
前記筐体の内部に設けられ、前記圧力生成システムに動作可能に結合された制御器と
を有し、前記制御器は、
前記圧力支援システムにより前記患者に供給されるガスの流れと関連がある患者フローデータを受け取ることと、
前記患者の呼吸の相を表すI/E状態信号を得ることと、
前記患者フローデータ及び前記I/E状態信号を解析し、前記患者フローデータ及び前記I/E状態信号の少なくとも1つに基づいて呼吸についての同調不良を宣言することと
により前記患者と前記圧力支援システムとの同調不良を検出する、当該装置。
【請求項41】
前記患者フローデータを受け取ることが、前記圧力支援システムから当該同調不良検出装置において患者フローデータを受け取ることを有し、前記I/E状態信号を得ることが、当該同調不良検出装置において前記圧力支援システムから前記I/E状態信号を受け取ることを有する、請求項40記載の装置。
【請求項42】
前記I/E状態信号を得ることが、前記圧力支援システムにより前記患者に供給される前記ガスの流れの圧力と関連がある圧力データを受け取ることと、前記圧力データに基づいて前記I/E状態信号を生成することとを有する、請求項40記載の装置。
【請求項43】
前記制御器が、更に、前記患者フローデータ及び前記I/E状態信号の少なくとも1つに基づいて、幾つかの所定の基準の少なくとも1つが満たされているかどうかを決定し、前記宣言することが、前記幾つかの所定の基準の少なくとも1つが満たされていることが決定された場合に当該呼吸について前記同調不良を宣言することを有する、請求項40記載の装置。
【請求項44】
前記幾つかの所定の基準が、(i)所定の数を超える当該呼吸についての前記患者フローデータにおける容積の要件を満たしたフローの傾きの反転の数、(ii)所定の正の値を超える前記I/E状態信号により示される当該呼吸の呼気相の少なくとも一部の間の増分一回換気量、(iii)当該呼吸の間の一回換気量の絶対値が所定の値を超えていること、(iv)前記I/E状態信号により示される当該呼吸の呼気相の長さが、前記I/E状態信号により示される当該呼吸の吸気相の長さの所定の割合を超えていないこと、及び(v)前記I/E状態信号により示される当該呼吸の吸気相の間の一回換気量が所定の負の値よりも小さいことのうちの1つ又はそれ以上を含む、請求項43記載の装置。
【請求項45】
前記幾つかの所定の基準が、(i)所定の数を超える当該呼吸についての前記患者フローデータにおける容積の要件を満たしたフローの傾きの反転の数、(ii)所定の正の値を超える前記I/E状態信号により示される当該呼吸の呼気相の少なくとも一部の間の増分一回換気量、(iii)当該呼吸の間の一回換気量の絶対値が所定の値を超えていること、(iv)前記I/E状態信号により示される当該呼吸の呼気相の長さが所定の持続時間を超えていないこと、及び(v)前記I/E状態信号により示される当該呼吸の吸気相の間の一回換気量が所定の負の値よりも小さいことのうちの1つ又はそれ以上を含む、請求項43記載の装置。
【請求項46】
前記幾つかの所定の基準が、(i)所定の数を超える当該呼吸についての前記患者フローデータにおける容積の要件を満たしたフローの傾きの反転の数、(ii)所定の正の値を超える前記I/E状態信号により示される当該呼吸の呼気相の少なくとも一部の間の増分一回換気量、(iii)当該呼吸の間の一回換気量の絶対値が所定の値を超えていること、(iv)前記I/E状態信号により示される当該呼吸の呼気相の長さが、前記I/E状態信号により示される当該呼吸の吸気相の長さの所定の割合を超えていないこと、及び(v)前記I/E状態信号により示される当該呼吸の吸気相の間の一回換気量が所定の負の値よりも小さいことを含む、請求項43記載の装置。
【請求項47】
前記幾つかの所定の基準が、(i)所定の数を超える当該呼吸についての前記患者フローデータにおける容積の要件を満たしたフローの傾きの反転の数、(ii)所定の正の値を超える前記I/E状態信号により示される当該呼吸の呼気相の少なくとも一部の間の増分一回換気量、(iii)当該呼吸の間の一回換気量の絶対値が所定の値を超えていること、(iv)前記I/E状態信号により示される当該呼吸の呼気相の長さが所定の持続時間を超えていないこと、及び(v)前記I/E状態信号により示される当該呼吸の吸気相の間の一回換気量が所定の負の値よりも小さいことを含む、請求項43記載の装置。
【請求項48】
前記制御器が、更に、前記I/E状態信号により示される当該呼吸の吸気相及び呼気相に関して、前記患者フローデータに存在する容積の要件を満たしたフローの傾きの反転の数を決定し、前記宣言することは、前記容積の要件を満たしたフローの傾きの反転の数が所定の数を超えていることが決定された場合、当該呼吸について同調不良を宣言することを有する、請求項40記載の装置。
【請求項49】
前記制御器が、更に、前記I/E状態信号により示される当該呼吸の呼気相の少なくとも一部に関して、前記患者フローデータから増分一回換気量を決定し、前記宣言することは、前記増分一回換気量が所定の正の値を超えていることが決定された場合、当該呼吸について同調不良を宣言することを有する、請求項40記載の装置。
【請求項50】
前記制御器が、更に、前記I/E状態信号により示される当該呼吸の吸気相及び呼気相に関して、前記患者フローデータから一回換気量の絶対値を決定し、前記宣言することは、前記絶対値が所定の値を超えていることが決定された場合、当該呼吸について同調不良を宣言することを有する、請求項40記載の装置。
【請求項51】
前記制御器が、更に、前記I/E状態信号により示される当該呼吸の呼気相の長さを決定し、前記宣言することは、前記長さが前記I/E状態信号により示される当該呼吸の前記吸気相の長さの所定の割合を超えていないことが決定された場合、当該呼吸について同調不良を宣言することを有する、請求項40記載の装置。
【請求項52】
前記制御器が、更に、前記I/E状態信号により示される当該呼吸の呼気相の長さを決定し、前記宣言することは、前記長さが所定の持続時間を超えていないことが決定された場合、当該呼吸について同調不良を宣言することを有する、請求項40記載の装置。
【請求項53】
前記制御器が、更に、前記I/E状態信号により示される当該呼吸の吸気相に関して、前記患者フローデータから一回換気量を決定し、前記宣言することは、前記一回換気量が所定の負の値よりも小さいことが決定された場合、当該呼吸について同調不良を宣言することを有する、請求項40記載の装置。
【請求項54】
前記宣言することは、前記患者フローデータ及び前記I/E状態信号に基づいて、複数の呼吸について複数の同調不良を宣言することを有し、前記制御器は、更に、前記複数の同調不良に基づいて同調不良のフラグ波形を生成する、請求項40記載の装置。
【請求項55】
前記宣言することは、前記患者フローデータ及び前記I/E状態信号に基づいて、複数の呼吸について複数の同調不良を宣言することを有し、前記制御器は、更に、前記複数の同調不良に基づいて前記圧力支援システムの動作を変更する、請求項40記載の装置。
【請求項56】
前記宣言することは、前記患者フローデータ及び前記I/E状態信号に基づいて、複数の呼吸について複数の同調不良を宣言することを有し、前記制御器は、更に、前記複数の同調不良に基づいて前記患者の状態についての情報を検出する、請求項40記載の装置。
【請求項57】
前記宣言することは、前記患者フローデータ及び前記I/E状態信号の両方に基づいて、呼吸についての同調不良を宣言することを有する、請求項40記載の装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−518513(P2012−518513A)
【公表日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−551546(P2011−551546)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【国際出願番号】PCT/IB2010/050294
【国際公開番号】WO2010/097717
【国際公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)