説明

患者動き検出装置

【課題】
本発明の課題は、クリップが外れる、患者が外すことに対応してこれに対してもナースコールが対応動作をする患者動き検出装置を提供することである。
【解決手段】
本発明の患者動き検出装置は、クリップの外れとバーの引き抜きのどちらも検出するように、クリップに電極をつけ、電極から導電ワイヤを介して検出装置に内蔵したバーの引き抜き用検出スイッチに並列に接続して、バーの引き抜きでは、引き抜き用スイッチが導通/非導通し、クリップのはずれでは、並列の接続回路でクリップの両電極の導通/非導通にするように、クリップに接続したバーまでの紐より、クリップから並列の接続点または、検出装置の筐体に付けたコネクタまでの導電ワイヤの長さを実質的に長く構成することでクリップの外れの検出も可能にしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院や介護施設等で通常では動くことが危険な患者等が動いたことを検出し、ナースコール等に連動して報知するための患者動き検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の患者動き検出装置は、患者が動くと患者に取り付けられた紐が引かれ、スイッチがはいるという引き抜き方式の装置が多く提案されている。
特許文献1では、引き抜き方式のナースコールスイッチが提案されている。スイッチを押す代わりに板状体を引き抜くと、スイッチが入るようになっている。
特許文献2では、やはり、棒状体のものが引き抜かれることでナースコールスイッチが入るものであるが、引き抜きの方向によって引き抜きに差異がないような仕掛けをしている。
特許文献3では、やはり板状体を引き抜きすることで、親機のナースコールのスイッチが入るようになっている。図3にこれを示す。ナースコール装置の子機である患者動き検出装置300は、スイッチ回路310とバー患者連結具320からなっている。バー患者連結具320は、患者の衣服等につけるクリップ321とこれとバー322を結ぶ紐323からなり、バー322は、引き抜きを検出するための板状体または棒状体である。
スイッチ回路310は、筐体311の面にバー322を出し入れするバー穴312があり、ここにバー322を入れるとスイッチ313が非導通または導通に、引き出すと逆に導通または非導通になる。このスイッチ313に直列にこの回路が使用しない状態において回路を切っておくためのメインスイッチ314があって、筐体311の表面に手動の操作部が配置されている。更に、図のようにスイッチ313とメインスイッチ314を含む両端の電極は、コネクタ315として外部に導出され、親機のナースコールの回路に接続していて、スイッチ313の非導通または導通を検知し警報を鳴らすようになっている。
【0003】
以上のどの提案も引き抜きによる患者動き検出装置である。簡単な構成で検出が可能であるが、実際の医療現場では、以下の問題が発生してその欠点があることが露見している。
即ち、棒状体または板状体に付いた紐の先には患者の衣服等に取り付けるクリップがあるが、これが先に外れる、患者が外すなどして、患者が動いているにも関わらず棒状体または板状体が引き抜かれることがないため、ナースコールのブザーがならないという不具合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−305259
【特許文献2】特開2004−313312
【特許文献3】特許第3629199号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、上記のクリップが外れる、患者が外すことに対応してこれに対してもナースコールが対応動作をする患者動き検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の患者動き検出装置は、クリップの外れと棒状体または板状体の引き抜きのどちらも検出するように、クリップのはずれを検出するようにクリップに電極をつけ、クリップから導電ワイヤを検出装置に内蔵した棒状体または板状体の引き抜き用スイッチに並列に接続して、棒状体または板状体の引き抜きでは、引き抜き用スイッチが導通/非導通(オン/またはオフ)し、クリップのはずれに対応しては、並列の接続回路でクリップの両電極の導通/非導通にするように、クリップに接続した棒状体または板状体までの紐より、クリップから並列の接続点または、検出装置の筐体に付けたコネクタまでの導電ワイヤの長さを実質的に長く構成することでクリップの外れの検出も可能にしたことを特徴とする。以下、請求項に沿って説明する。
【0007】
請求項1記載の発明は、患者動き検出装置であって、患者の動きをバーの引き抜きにより検出してナースコール装置を応答させるための子機であって、スイッチ回路とバー患者連結具を有し、前記バー患者連結具は、前記患者の衣服等につけるクリップと、バーを有し、前記スイッチ回路は、これを内蔵する筐体と、前記筐体に備えられた前記バーを挿抜する挿抜穴と、前記バーが前記挿抜穴に挿入した状態と抜きだした状態で導通と非導通状態が変わるスイッチと、前記スイッチに直列に接続し回路が使用しない状態において回路を切っておくためのものであって、これをON/OFFして導通/非導通状態を変えるための手動ノブを前記筐体の表面に備えたメインスイッチと、前記スイッチと前記メインスイッチの直列回路の両端をナースコールに接続するための第一のコネクタとを有し、
前記クリップは、一方が他方に対して回転可能に軸支され、前記衣服等を挟みこむための互いに向き合った二つの板と、挟み込み又はその解除において前記板を戻すための復元体と、前記板の両方に備えられた互いに向き合い、前記挟み込み又はその解除により接触又は離間することで導通又は非導通状態となる対の電極とを有し、前記対の電極から導電ワイヤを引き伸ばし、第二のコネクタを介して前記スイッチの端子に並列に接続し、前記バーには、これに結節した紐があり、前記紐の前記バーから遠いほうの端を、前記クリップか又は、前記導電ワイヤの前記第二のコネクタに近い途中に接続し、その接続箇所から前記第二のコネクタまでの前記導電ワイヤの長さをその接続箇所からの前記バーまでの前記紐と前記バーの長さの合計より大きくし、患者の動きによる前記バーの引き抜きと前記クリップの前記対の電極の導通又は非導通状態により前記クリップの外れとを検出することを可能としたことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の患者動き検出装置において、前記接続箇所から前記第二のコネクタまでの前記導電ワイヤを伸縮する巻き線で構成し、伸ばした状態では、前記接続箇所からの前記バーまでの前記紐と前記バーの長さの合計より大きくしたことを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の患者動き検出装置において、前記クリップの一方の板の他方の板と向き合う面とは反対側の面と、前記他方の板から前記反対側の面を超える位置に延設部を設け、前記延設部の間に前記対の電極を有するようにしたことを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の患者動き検出装置において、前記一方の板の他方の板と向き合う面とは反対側の面と前記向き合う面の両方に電極を設け両者を電気的に接続して前記対の電極の一方を形成し、これを共通の前記導電ワイヤに接続したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上の様に構成されているので、本発明の患者動き検出装置は、クリップの外れとバーの引き抜きの両方を検出可能であるので、望まれざる患者自体の取り外しや緩みによるクリップ外れにも対応ができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明による患者動き検出装置の一実施態様を示す図である。
【図2】本発明による患者動き検出装置に用いる電極付のクリップの一実施態様を示す図である。
【図3】従来の患者動き検出装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明による患者動き検出装置は、クリップの外れとバーの引き抜きのどちらも検出するように、クリップに電極をつけ、電極から導電ワイヤを介して検出装置に内蔵したバーの引き抜き用検出スイッチに並列に接続して、バーの引き抜きでは、引き抜き用スイッチが導通/非導通し、クリップのはずれでは、並列の接続回路でクリップの両電極の導通/非導通にするように、クリップに接続したバーまでの紐より、クリップから並列の接続点または、検出装置の筐体に付けたコネクタまでの導電ワイヤの長さを実質的に長く構成することでクリップの外れの検出も可能にしたことを特徴とする。
以下、実施例を用い説明する。
【0014】
図1は、本発明による患者動き検出装置の一実施態様を示す図である。
1−Aにおいて、ナースコール装置の子機である患者動き検出装置100は、スイッチ回路110とバー患者連結具120を有している。バー患者連結具120は、患者の衣服等につけるクリップ121とこれとバー122を結ぶ紐123を有し、更に、クリップ121は、クリップの状態によって導通と非導通になる互いに向き合った対の電極を有している。バー122は、引き抜きを検出するための板状体または棒状体である。
スイッチ回路110は、筐体111の面にバー122を出し入れするバー穴112があり、ここにバー122を入れるとスイッチ113が非導通または導通に、引き出すと逆に導通または非導通になる。さらに電極から導かれた導電ワイヤ124がスイッチ回路110の筐体111についた第二のコネクタ116を介してスイッチ113に並列に接続している。
スイッチ113と導電ワイヤ123の並列接続した回路に直列にこの回路が使用しない状態において回路を切っておくためのメインスイッチ114があって、筐体111の表面に手動の操作部が配置されている。更に、図のようにスイッチ113と導電ワイヤ124、メインスイッチ114を含む回路は、第一のコネクタ115を介して外部に導出され、親機のナースコールの回路に接続していて、スイッチ113または対の電極の非導通または導通を検知し警報を鳴らすようになっている。導電ワイヤ124は、線材が絶縁被服材でカバーされている。
紐123と導電ワイヤ124の構成として、各種の形を取ることができる。
一つ目は、両者を全く別個のものとして構成する場合であり、紐123よりクリップ121から第二のコネクタ116までの導電ワイヤ124の長さを長くする。又は、導電ワイヤ124を巻いた状態で伸縮自在にした場合は、伸びた状態で長くなるようにする。
二つ目は、両者を兼用して構成した場合は、クリップ121からは、導電ワイヤ124のみを引き出し紐代わりにし、導電ワイヤ124を第二のコネクタ116に接続するが、導電ワイヤ124の途中から引き出した接続紐でバー122へ接続する。この場合、導電ワイヤ124の途中から引き出した接続点から第二のコネクタ116への導電ワイヤ124の長さを引き出した接続紐より十分長くする。又は、導電ワイヤ124を巻いた状態で伸縮自在にした場合は、伸ばした状態で長くなるようにする。このようにすると、導電ワイヤ124又は紐123が引かれた場合に効果的にバー122を引き出すことができる。
1−Aにおいては、二つ目の構成の場合の例を示していて、兼用の場合である。
更に、バー122とスイッチ113の動作は、1−Bにおいて、対の電極と導電ワイヤは、
図2において詳述する。
【0015】
1−Bにおいて、バー122とスイッチ113の動作は以下のようである。
上下の2枚の板117が適当な隙間を有して存在し、これがばね板118に支えられている。隙間にバー122を挿入した状態では、バー122に板117が押し広げられて隙間が拡大し、板117についた第一の対の電極119が離れて非導通の状態にある。これが下に示す状態である。上に示すようにバー122を引き出すと、ばね板118の復元により板117の隙間が狭まって第一の対の電極119が接触して導通の状態となる。
第一の対の電極119は、スイッチ113の二つの電極(端子)に対応している。従って、
第一の対の電極119は、1つは、1−Aの第一のコネクタ115へ接続し、他方は、メインスイッチ114に接続している。
【0016】
図2は、本発明による患者動き検出装置に用いる電極付のクリップの一実施態様を示す図である。2−Aにおいて、クリップは、互いに向き合った上板201と下板202があり、クリップ先端203は、衣服等を挟んだとき抜けにくいように突起204を有している。はさみ行動を行うためのノブ205があって、これが下板202から立ち上がった
係止片206に回転可能に軸支され、ノブ205を左回転すると、ノブ205についた突出部207が上板201を下側に押して上板201が下がり、クリップ先端203が衣服等を挟みこむようになる。上板201と下板202には各々、互いに向き合った第二の対の電極208が備えられているので、衣服等が挟まっている場合は、第二の対の電極208間の導通状態は非導通であり、衣服等が挟まってない場合は、導通状態となる。
従って、2−Aにおいては、挟んだ状態で衣服が抜けてしまった場合は、第二の対の電極208間の導通状態は導通状態となり、第二の対の電極208は、導電ワイヤ124を介して、図1の1−Aの第二のコネクタ116を通じ、スイッチ113に並列接続される。このため、バー122が抜けていなくて、スイッチ113が非導通でも回路は導通状態になり、ナースコール親機でブザーを鳴らすなどの動作を行うことになる。
【0017】
2−Bにおいて、2−Aとの違いを強調すると、上板201には延設部に上側に向いて電極が備えられ、下板202から上側に延設した電極保持片209にはこの電極と向き合った電極があって、両者が第三の対の電極210をなしている。ノブ205を右に回転すると、突出部207が上板201を押さなくなるので、上板201は、これについたバネ板の復元により上側に上がって、クリップ先端203が開き、挟みこみが解除される。このとき、第三の対の電極210は接触して導通状態になる。ノブ205に触って患者が意図的に開きクリップ121を外そうとした場合には、第三の対の電極210が導通状態になるので、導電ワイヤ124により、第二のコネクタ116を介して、スイッチ113に並列接続することで、回路は導通状態になりナースコール親機でブザーを鳴らすことができる。
勿論、この場合は、通常使用しない状態では、第三の対の電極210は接触して導通状態であるため、メインスイッチ114を切っておく必要がある。バー122を挿入し、クリップ121を衣服等に装着してから最後にメインスイッチ114を入れることが必要である。
【0018】
2−Cにおいては、図に見るように2−Aと2−Bの両方の電極を備えている場合であり、
動作の説明は、同じなので省略する。2−Aと2−Bの両方の電極は、同時には導通しないので、上板201に付いた電極を接続し、下板202に付いた電極と下板202から上側に延設した電極保持片209に付いた電極を接続して、両者から導電ワイヤ124を引き出してもよく、2−Cにおいてはそのような配線状態になっている。
【0019】
2−Dには、洗濯はさみタイプのクリップを示している。これも、本発明の患者動き検出装置のクリップとして使用できる。洗濯はさみはよく知られているので、動作の説明は要しないであろう。これにも対の電極が備えられ、導電ワイヤで引き出されている。
上記のクリップとの違いは、外された状態は、クリップが閉じるため、対の電極同士が導通状態になることである。
【産業上の利用可能性】
【0020】
以上のように本発明に係る患者動き検出装置では、クリップを引くことによるバーの抜け以外にクリップの衣服等からの抜け、意図的なクリップの解除をも検出できるので、親機のナースコールを確実に動作させることが可能になるので、産業上利用性が極めて大きい。
【符号の説明】
【0021】
100、300 患者動き検出装置
110、310 スイッチ回路
111、311 筐体
112、312 バー穴
113、313 スイッチ
114、314 メインスイッチ
115 第一のコネクタ
116 第二のコネクタ
117 板
118 ばね板
119 第一の対の電極
120、320 バー患者連結具
121、321 クリップ
122、322 バー
123 紐
124 導電ワイヤ
201 上板
202 下板
203 クリップ先端
204 突起
205 ノブ
206 係止片
207 突出部
208 第二の対の電極
209 電極保持片
210 第三の対の電極
315 コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の動きをバーの引き抜きにより検出してナースコール装置を応答させるための子機であって、スイッチ回路とバー患者連結具を有し、前記バー患者連結具は、前記患者の衣服等につけるクリップと、バーを有し、前記スイッチ回路は、これを内蔵する筐体と、前記筐体に備えられた前記バーを挿抜する挿抜穴と、前記バーが前記挿抜穴に挿入した状態と抜きだした状態で導通と非導通状態が変わるスイッチと、前記スイッチに直列に接続し回路が使用しない状態において回路を切っておくためのものであって、これをON/OFFして導通/非導通状態を変えるための手動ノブを前記筐体の表面に備えたメインスイッチと、前記スイッチと前記メインスイッチの直列回路の両端をナースコールに接続するための第一のコネクタとを有し、
前記クリップは、一方が他方に対して回転可能に軸支され、前記衣服等を挟みこむための互いに向き合った二つの板と、挟み込み又はその解除において前記板を戻すための復元体と、前記板の両方に備えられた互いに向き合い、前記挟み込み又はその解除により接触又は離間することで導通又は非導通状態となる対の電極とを有し、前記対の電極から導電ワイヤを引き伸ばし、第二のコネクタを介して前記スイッチの端子に並列に接続し、前記バーには、これに結節した紐があり、前記紐の前記バーから遠いほうの端を、前記クリップか又は、前記導電ワイヤの前記第二のコネクタに近い途中に接続し、その接続箇所から前記第二のコネクタまでの前記導電ワイヤの長さをその接続箇所からの前記バーまでの前記紐と前記バーの長さの合計より大きくし、患者の動きによる前記バーの引き抜きと前記クリップの前記対の電極の導通又は非導通状態により前記クリップの外れとを検出することを可能としたことを特徴とする患者動き検出装置。
【請求項2】
前記接続箇所から前記第二のコネクタまでの前記導電ワイヤを伸縮する巻き線で構成し、伸ばした状態では、前記接続箇所からの前記バーまでの前記紐と前記バーの長さの合計より大きくしたことを特徴とする請求項1記載の患者動き検出装置。
【請求項3】
前記クリップの一方の板の他方の板と向き合う面とは反対側の面と、前記他方の板から前記反対側の面を超える位置に延設部を設け、前記延設部の間に前記対の電極を有するようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の患者動き検出装置。
【請求項4】
前記一方の板の他方の板と向き合う面とは反対側の面と前記向き合う面の両方に電極を設け両者を電気的に接続して前記対の電極の一方を形成し、これを共通の前記導電ワイヤに接続したことを特徴とする請求項3記載の患者動き検出装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−74965(P2013−74965A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216021(P2011−216021)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(396020132)株式会社システック (101)
【出願人】(511237276)
【Fターム(参考)】