説明

患者案内表示システムの導入及び運営方法

【課題】システムの導入及び運営費用をスポンサー料金で賄い、また料金の集配を契約窓口代理店に一本化して各種手続を簡略化し、画面情報を随時更新できるようにする。
【解決手段】医療機関8は契約窓口代理店9を通じてリース業者10とリース契約を締結し、リース業者10は患者案内表示装置を機器販売メーカー6から購入して機器販売メーカー6へ販売代金を立替え納入し、機器販売メーカー6は患者案内表示装置を医療機関へ8設置する。そして、契約窓口代理店9はスポンサーを募り、スポンサー11は宣伝広告を医療機関の患者案内表示装置に表示させてもらう見返りとしてスポンサー料金を契約窓口代理店9へ支払う。このスポンサー料金でシステムの導入費用やリース料金等の諸経費を賄うようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院等の医療機関の中央待合室や各診療科の前等に設置された患者案内表示装置に関するものであり、待合表示だけでなく、希望する内容のコンテンツを配信してもらい、患者が退屈することなく、且つ効率よく、診察までの時間を過ごせるようにし、またその導入と運営をスポンサー料金で賄うようにした発明に関するものである。
【背景技術】
【0002】
病院などの医療機関では、特許文献1に示すように、中央待合室や各診療科の前、更には診療科の中待合室等に患者案内表示装置が設置されている。このような患者案内表示装置は、本来的には、患者の待合順番及び待合時間等の待合に関する情報を表示しており、その他の情報として担当医情報、急患が入った場合のお知らせ画面、火災などが発生した場合の緊急非難路の案内図等を表示したり、休み時間にはTV映像等を表示するようにしている。
【0003】
ところが、この特許文献1に記載された患者案内表示装置では、表示される情報量が不足しており、待合時間が長くなった場合等には退屈して苛々することがあった。また患者案内表示装置は、そのシステムの全体としてはかなりの大掛かりなものであり、極めて高額であるので中規模又は小規模の病院等では導入をためらうこともあった。そこで、本出願人は、先に特許文献2で示す医院内の医療情報表示システムの発明を出願済みである。この先願発明では、医院内の患者案内表示装置に、待合に関する情報の他に、宣伝広告をも表示するようにし、この宣伝広告によるスポンサー料金によって、患者案内表示装置の販売代金と、リース料金などの運営費用を賄うようにしている。これにより、中規模又は小規模の病院等でも患者案内表示装置の導入が実現でき、また診察の順番を待っている患者は待合に関する情報以外に、薬剤メーカーからの新薬などに関する情報や、新しくなった医療精度の内容に関する行政情報、更には地域の商店街の情報等の各種の情報を得ることができ、待合時間が長くなっても退屈しないで済むという利点がある。
【特許文献1】特開平8−180102号公報
【特許文献2】特開2004−13807号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
然しながら、特許文献2に示す発明では、患者案内表示装置の販売代金と、リース料金の支払い及びスポンサー料金の流れについては開示されていなかった。また特許文献2のシステムでは、病院等の医療機関と、医療機器を取り扱う業者(メーカー)と、リース業者と、広告業者との相互の連携が個別的であり、各人がそれぞれの契約、事務処理及び料金のやりとりを行わねばならず、煩雑であった。
【0005】
本発明は従来の前記課題に鑑みてこれを改良除去したものであって、システムの導入費用や運営費用をスポンサー料金で賄うことができ、また各種料金の集配を契約窓口代理店に一本化することで、事務処理を含めた手続を簡略化することができ、更には画面情報を随時更新できるようにした患者案内表示システムの導入及び運営方法を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
而して、前記課題を解決するために本発明が採用した請求項1の手段は、患者の受付番号又は診察券番号等から待ち時間及び待ち順番を表示する患者案内表示装置を病院等の医療機関へ設置し、該設置された患者案内表示装置へスポンサーからの広告を配信するシステムであって、医療機関は契約窓口代理店を通じてリース業者とリース契約を締結し、リース業者は患者案内表示装置を機器販売メーカーから購入して機器販売メーカーへ販売代金を立替え納入し、機器販売メーカーは患者案内表示装置を医療機関へ設置し、契約窓口代理店はスポンサーを募り、スポンサーは宣伝広告を医療機関の患者案内表示装置に表示させてもらう見返りとしてスポンサー料金を契約窓口代理店へ支払い、契約窓口代理店は前記スポンサー料金のうちからリース業者へ前記販売立替金とリース料金を支払うと共に、医療機関と表示画面構築会社へスポンサー料金の一部を支払い、表示画面構築会社はスポンサー料金の一部から契約窓口代理店へ手数料を支払うようにしたことを特徴とする患者案内表示システムの導入及び運営方法である。
【0007】
本発明が採用した請求項2の手段は、スポンサーについての宣伝広告のコンテンツの作成を機器販売メーカーが行うようにした請求項1に記載の患者案内表示システムの導入及び運営方法である。
【0008】
本発明が採用した請求項3の手段は、スポンサーについての宣伝広告のコンテンツの作成をコンテンツ作成業者が行うようにした請求項1に記載の患者案内表示システムの導入及び運営方法である。
【0009】
本発明が採用した請求項4の手段は、宣伝広告のコンテンツを医療機関側へ提示し、医療機関側の要望に応じて患者案内表示装置へ配信するようにした請求項2又は3に記載の患者案内表示システムの導入及び運営方法である。
【0010】
本発明が採用した請求項5の手段は、宣伝広告のコンテンツの医療機関側への配信が、認証センターを介して行われる請求項1〜4のいずれか1つに記載の患者案内表示システムの導入及び運営方法である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明にあっては、病院等の医療機関側は、契約窓口代理店を通じてリース業者とリース契約をするだけでよい。リース業者は、患者案内表示システムを機器販売メーカーから購入して料金を立て替えて支払い、機器販売メーカーは患者案内表示システムを病院等の医療機関側へ設置する。契約窓口代理店は、スポンサーを募り、医療機関側へ設置した患者案内表示システムのディスプレイへスポンサーの広告を表示することで、スポンサー料金を徴収するようにしている。
契約窓口代理店は、このスポンサー料金から前記機器の販売代金と、リース料金と、システムの運営による利益とを賄うことができる。また、これらの料金の取扱いを集約して取り扱うことで、各人の事務手続を簡略化することができる。
【0012】
請求項2の発明にあっては、スポンサーの広告を機器販売メーカーが作成することにより、機器販売メーカーは患者案内表示システムの販売代金の他に、コンテンツの作成料金をも得ることができる。
【0013】
請求項3の発明にあっては、スポンサーの広告をコンテンツ作成業者が作成するようにしたものである。機器販売メーカー以外の専門の業者へ委託することにより、その内容の充実を実現することが可能である。
【0014】
請求項4の発明にあっては、広告の内容を病院などの医療機関側が選択できるので、医療機関側にとっては便利である。
【0015】
請求項5の発明にあっては、広告の配信を認証センターを介して行うようにしている。これは病院側は個人情報などの非公開文書や保存データが多く、公的機関等によって認証されていないアクセスを拒む必要があるからである。これにより、病院側は安心して任意のスポンサーを選択することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明の構成を図面に示す発明の実施の形態に基づいて説明すると次の通りである。図1及び図2は本発明の一実施の形態に係る患者案内表示システムを示すものであり、図1の図(A)はシステム導入の流れを示すブロック図、図(B)はリース料金支払いの流れを示すブロック図、図(C)はスポンサー料金の流れを示すブロック図である。図2は患者案内表示システムの全体構成を示す図面である。
【0017】
図2に示す如く、患者案内表示システムは、病院等の医療機関の中央待合室や各診療科の前並びに中待合室等に設置された患者の案内表示を行うプラズマディスプレイや医師用のモニター等のディスプレイ1を有し、これらは院内LANにより接続されている。ディスプレイ1に表示する画像については、表示サーバー2のソフトウェアで操作を行う。表示サーバー2は、ファイアーウォール3を介してインターネット4へ接続されており、更にPKI認証センター5へ接続されている。PKI認証センター5は、公的な認証機関である。このPKI認証センター5には、表示画面の構築会社(機器販売メーカー6が兼用することもある。又は専門の宣伝広告用のコンテンツ作成業者)7がアクセスできるようになっている。
【0018】
また患者案内表示システムは、表示サーバー7によってディスプレイ1の画面表示が操作されるようになっているが、具体的には、表示サーバー7が、受付用のサーバーからの情報と、患者待ち受け用のサーバーからの情報と、医事コンピュータからの情報と、PKI認証センター5を通じて表示画面の構築会社7が作成した画面情報とを入手し、これらの情報を管理し、ディスプレイ1へ任意の情報を画面表示するようにしている。
【0019】
次に、上記構成の患者案内表示システムを病院等の医療機関8へ導入設置し、運営する場合を説明する。図1に示すように、この実施の形態にあっては、病院等の医療機関8と、契約窓口代理店9と、リース業者10と、患者案内表示システムのハードウエア及びソフトウエアに関する取扱い業者(以下は、単に機器販売メーカーという)6と、表示画面構築会社7と、宣伝広告のスポンサー11とが関係し、これらの間で契約、納品、金銭の授受、その他のやりとりが行われる。
【0020】
患者案内表示システムの導入に際しては、図1の図(A)に示すように、契約窓口代理店9の営業活動により、先ず病院などの医療機関8が患者案内表示システムを導入したい旨の意思表示をすると、契約窓口代理店9は、リース業者10に連絡し、医療機関8とリース業者10との間で前記患者案内表示システムのリース契約を成立させる。そして、リース業者10は、機器販売メーカー6から患者案内表示システムを購入し、機器販売メーカー6に対してその購入代金を立て替えて納める。一方、機器販売メーカー6は、販売した患者案内表示システムを病院等の医療機関8へ納入し、設置する。
【0021】
患者案内表示システムの設置後は、契約窓口代理店9がスポンサー11を募る。スポンサー11が決まると、契約窓口代理店9はその表示画面の製作を表示画面構築会社7へ依頼する。当該表示画面広告会社7は、製作した画面情報を、PKI認証センター5を通じてインターネット4経由で病院などの医療機関8の表示サーバー2へ送信する。表示サーバー2では、この画面情報をハードディスクなどに保存するようにしている。そして、医療機関8側で採用された画面情報が、所定のソフトウエアにより表示サーバー2のメモリー部から読み出され、中央待合室や各診療科の前などに設置されたディスプレイ1に表示されるようになっている。
【0022】
スポンサー11は、図1の図(B)に示す如ように、前記医療機関8のディスプレイ1で宣伝広告を画面表示してもらう見返りとしてスポンサー料金を契約窓口代理店9へ支払う。契約窓口代理店9は、そのスポンサー料金のうちからリース業者10に対して、立て替えた患者案内表示システムの購入代金と、本来病院などの医療機関8がリース業者10に支払わなければならないリース料金とを支払う。これにより、病院などの医療機関8は、患者案内表示システムの導入・設置及び運営に関して料金を支出することはない。
【0023】
また契約窓口代理店9は、図1の図(C)に示すように、前記スポンサー11から徴収したスポンサー料金の一部を、表示画面の作成料金として表示画面構築会社7へ納入すると共に、宣伝広告の掲載料として病院などの医療機関8に対しても納入する。表示画面構築会社7は、そのうちから一部を手数料として契約窓口代理店9へ納入する。なお、表示画面構築会社7が契約窓口代理店9へ納入する手数料は、予め契約窓口代理店9が表示画面構築会社7へ支払うスポンサー料金から差し引くようにしてもよい。
【0024】
このようにこの実施の形態では、患者案内表示システムの導入及び設置費用と、リース料金と、表示画面の作成料金と、契約窓口代理店9の手数料と、病院などの医療機関8の宣伝広告の掲載料の全てを前記スポンサー料金から賄うことができる。スポンサー11の数が多くなれば、これらの料金の増収及び利益が大きくなることは当然である。
【0025】
ところで、図1に示す待合室等に設置される患者待ち受け用のディスプレイ1には、診察の進捗状況に応じて順次、リアルタイムで受付番号等が表示されるので、患者は受付時などに発券された番号チケットの番号が表示されるのを待てばよい。これにより、患者は現在の診察状況をその表示番号から知ることができる。また患者は、待合室で待機している間において、待ち受け用のディスプレイ1に、表示画面構築会社7が作成した宣伝広告画面や院内情報等を見ることができる。具体的な画面例としては、病院側からのお知らせや健康保険証の取扱等についてのお知らせ等の他に、自治体からの医療制度の法改正についてのお知らせ、薬剤メーカーからの新薬の宣伝広告、その他、地域の商店街からの広告等が考えられる。これらの画面情報並びにディスプレイ1で表示される情報は、表示サーバー2内に保存されており、患者案内表示システムのソフトウエアによって随意読み出されてディスプレイ1に表示されるようになっている。
【0026】
またこの実施の形態に係る患者案内表示システムの運営にあたっては、表示画面構築会社7は、契約窓口代理店9が新しく募ったスポンサー11の情報画面やその他の病院等の医療機関8が採用したいような画面情報を作成し、これをPKI認証センター5を通じてインターネット4経由で病院等の医療機関8の表示サーバー2へ送信し、医療機関8側が必要な画面情報を採用できるようにしている。これにより、随時、画面情報を更新することが可能であり、評判のいい画面情報を表示する等の選択も可能となり、その使い勝手が極めて便利である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施の形態に係る患者案内表示システムを示すものであり、図(A)はシステム導入の流れを示すブロック図、図(B)はリース料金支払いの流れを示すブロック図、図(C)はスポンサー料金の流れを示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る患者案内表示システムの全体構成を示す図面である。
【符号の説明】
【0028】
1…ディスプレイ、2…表示サーバー、3…ファイアーウォール、4…インターネット 、5…PKI認証センター、7…表示画面構築会社、8…病院等の医療機関、9…契約 窓口代理店、10…リース業者、11…スポンサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の受付番号又は診察券番号等から待ち時間及び待ち順番を表示する患者案内表示装置を病院等の医療機関へ設置し、該設置された患者案内表示装置へスポンサーからの広告を配信するシステムであって、医療機関は契約窓口代理店を通じてリース業者とリース契約を締結し、リース業者は患者案内表示装置を機器販売メーカーから購入して機器販売メーカーへ販売代金を立替え納入し、機器販売メーカーは患者案内表示装置を医療機関へ設置し、契約窓口代理店はスポンサーを募り、スポンサーは宣伝広告を医療機関の患者案内表示装置に表示させてもらう見返りとしてスポンサー料金を契約窓口代理店へ支払い、契約窓口代理店は前記スポンサー料金のうちからリース業者へ前記販売立替金とリース料金を支払うと共に、医療機関と表示画面構築会社へスポンサー料金の一部を支払い、表示画面構築会社はスポンサー料金の一部から契約窓口代理店へ手数料を支払うようにしたことを特徴とする患者案内表示システムの導入及び運営方法。
【請求項2】
スポンサーについての宣伝広告のコンテンツの作成を機器販売メーカーが行うようにした請求項1に記載の患者案内表示システムの導入及び運営方法。
【請求項3】
スポンサーについての宣伝広告のコンテンツの作成をコンテンツ作成業者が行うようにした請求項1に記載の患者案内表示システムの導入及び運営方法。
【請求項4】
宣伝広告のコンテンツを医療機関側へ提示し、医療機関側の要望に応じて患者案内表示装置へ配信するようにした請求項2又は3に記載の患者案内表示システムの導入及び運営方法。
【請求項5】
宣伝広告のコンテンツの医療機関側への配信が、認証センターを介して行われる請求項1〜4のいずれか1つに記載の患者案内表示システムの導入及び運営方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−107237(P2006−107237A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−294762(P2004−294762)
【出願日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(395000337)株式会社アステックコーポレーション (32)