説明

悪臭中和方法

揮発性アルデヒドの混合物を有する悪臭制御組成物を供給することによる悪臭中和方法が提供される。一部の実施形態では、悪臭制御組成物は、酸触媒を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揮発性アルデヒドの混合物を有する悪臭制御組成物を供給することによる悪臭中和方法に関する。
【背景技術】
【0002】
悪臭を低減させる又は被覆する製品は、当該技術分野において周知であり、広く特許文献に記載されている。これらの製品は、空気中又は布地若しくは他の表面上に特異的に作用するように設計され得る。例えば、米国特許第5,942,217号、同第5,955,093号及び同第6,033,679号を参照されたい。しかしながら、魚及び尿の悪臭などのアミン系の悪臭、並びに、ニンニク、玉ねぎ、足及び糞便の悪臭などのイオウ系の悪臭といったような、全ての臭気が市場製品により効果的に制御されるわけではない。更に、組成物が悪臭に顕著な効果を示すのに必要な時間は、悪臭に対する製品の有効性について消費者を懐疑的にさせ得る。例えば、消費者は、製品が悪臭を顕著に低減させ始める前に、処理空間を去り得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5,942,217号
【特許文献2】米国特許第5,955,093号
【特許文献3】米国特許第6,033,679号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
広範囲の悪臭の克服における難しさは、悪臭を中和、被覆又は収容するために、製品の多様な品揃えが生じていることである。悪臭を中和すると共に、アミン系及びイオウ系の悪臭などの広範囲の悪臭に対して有効であり、一方で、悪臭に対して圧倒的な芳香剤を過度に加えるものではない、即効悪臭制御組成物に対する必要が存在したままである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態では、表面上の悪臭を中和する方法が提供され、この方法は、2−エトキシベンジルアルデヒド、2−イソプロピル−5−メチル−2−ヘキセナール、5−メチルフルフラール、5−メチル−チオフェン−カルボキシアルデヒド、アドキサル、p−アニスアルデヒド、ベンジルアルデヒド、ブルゲナール、桂皮アルデヒド、サイマール、デシルアルデヒド、フローラルスーパー(floral super)、フロルヒドラル、ヘリオナル、ラウリルアルデヒド、リグストラール、リラール、メロナール、o−アニスアルデヒド、ピノアセトアルデヒド、P.T.ブシナール、チオフェンカルボキシアルデヒド、トランス−4−デセナール、トランストランス2,4−ノナジエナール、ウンデシルアルデヒド及びこれらの混合物からなる群から選択される2種以上の揮発性アルデヒドを有効量含む悪臭制御組成物を上記表面に接触させることを含む。
【0006】
別の実施形態では、空気中の悪臭を中和する方法が提供され、この方法は、25℃で測定したときに約0.001トール(0.133Pa)〜0.03トール(4.00Pa)を各々有する2種以上の揮発性アルデヒドを有効量含む悪臭制御組成物を空気中に分散させることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】様々な酸触媒と組み合わせたチオフェンカルボキシアルデヒドによるブタンチオールの低減を示すグラフ。
【図2】イオウ系悪臭に対する本発明による悪臭制御組成物の一実施形態の性能を示すグラフ。
【図3】アミン系悪臭に対する本発明による悪臭制御組成物の一実施形態の性能を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、揮発性アルデヒドの混合物を有する悪臭制御組成物を供給することによる悪臭中和方法に関する。
【0009】
「悪臭」は、排便に関する複合的な臭気などの、通常、ほとんどの人にとって嫌な又は不快な化合物を指す。
【0010】
「中和する」又は「中和」は、悪臭化合物を低減又は除去する化合物又は製品の能力を指す。臭気の中和は部分的であってもよく、所定の状況で複数種の悪臭化合物のいくつかのみに作用するか、又は、1種の悪臭化合物の一部のみに作用する。悪臭化合物は化学反応により中和されて、金属イオン封鎖により、キレート化により、会合により、又は、悪臭化合物の悪臭を低下させる若しくは悪臭が全くしないようにするいずれかの他の相互作用により、新たな化学物質を生じ得る。臭気の中和は、悪臭化合物の状態に対応する変化が全くない悪臭を認識する能力における変化とは対照的に、悪臭化合物における変化によるものであり、臭気被覆又は臭気ブロックから区別され得る。
【0011】
I.悪臭制御組成物
悪臭制御組成物は揮発性アルデヒドの混合物を含み、純粋な悪臭中和を供給するように設計されており、臭気を単に隠す又は被覆することにより機能するものではない。純粋な悪臭中和は、感覚及び分析により測定可能(例えば、ガスクロマトグラフ)な悪臭の低減を供給する。したがって、悪臭制御組成物が純粋な悪臭中和を供給する場合には、この組成物は、気相及び/又は液相中の悪臭を低減する。
【0012】
1.揮発性アルデヒド
悪臭制御組成物は、化学反応を介して気相及び/又は液相中の悪臭を中和する揮発性アルデヒドの混合物を含む。このような揮発性アルデヒドは、反応性アルデヒド(RA)とも呼ばれる。揮発性アルデヒドは、シッフ塩基形成経路に従ってアミン系臭気と反応し得る。揮発性アルデヒドは、イオウ系臭気とも反応し、気相及び/又は液相中にチオールアセタール、へミチオールアセタール及びチオールエステルを形成し得る。実質上、製品の所望の芳香特性に負の影響を全く有さないことが、これらの気相及び/又は液相揮発性アルデヒドにとって望ましいものであり得る。部分的に揮発性であるアルデヒドは、本明細書で使用される揮発性アルデヒドと考えられ得る。
【0013】
好適な揮発性アルデヒドは、25℃で測定したときに、約0.0001トール(0.0133Pa)〜100トール(13332Pa)、又は約0.0001トール(0.0133Pa)〜約10トール(1333Pa)、又は約0.001トール(0.133Pa)〜約50トール(6666Pa)、又は約0.001トール(0.133Pa)〜約20トール(2666Pa)、又は約0.001トール(0.133Pa)〜約0.100トール(13.3Pa)、又は約0.001トール(0.133Pa)〜0.06トール(8.00Pa)、又は約0.001トール(0.133Pa)〜0.03トール(4.00Pa)、又は約0.005トール(0.667Pa)〜約20トール(2666Pa)、又は約0.01トール(1.33Pa)〜約20トール(2666Pa)、又は約0.01トール(1.33Pa)〜約15トール(2000Pa)、又は約0.01トール(1.33Pa)〜約10トール(1333Pa)、又は約0.05トール(6.67Pa)〜約10トール(1333Pa)の範囲の蒸気圧(VP)を有し得る。
【0014】
揮発性アルデヒドはまた、一定の沸点(B.P.)及びオクタノール/水分配係数(P)を有し得る。本明細書において言及される沸点は、101.3kPa(760mmHg)である通常の標準気圧の下で測定される。標準の101.3Pa(760mmHg)での多くの揮発性アルデヒドの沸点は、例えば、Steffen Arctander著、1969年発行の「Perfume and Flavor Chemicals(Aroma Chemicals)」に与えられている。
【0015】
揮発性アルデヒドのオクタノール/水分配係数は、オクタノール中と水中におけるその平衡濃度の比である。悪臭制御組成物で用いられる揮発性アルデヒドの分配係数は、基底10に対するそれらの対数logPの形態でより簡便に示されてもよい。多くの揮発性アルデヒドのlogP値は、報告されている。例えば、Daylight Chemical Information Systems,Inc.(Daylight CIS)(Irvine,California)から入手可能なPomona92データベースを参照されたい。しかしながら、logP値は、やはりDaylight CISから入手可能な「CLOGP」プログラムによって最も便宜よく計算される。このプログラムはまた、それらがPomona92データベースにおいて入手可能な場合には、実験的なlogPの値も一覧にしている。「LogP計算値」(ClogP)は、HanschとLeoのフラグメント法により決定される(参考A.Leo、Comprehensive Medicinal Chemistry,Vol.4、C.Hansch、P.G.Sammens、J.B.Taylor及びC.A.Ramsden編、p.295,Pergamon Press,1990)。フラグメント法は、各揮発性アルデヒドの化学構造に基づいたものであり、原子の数と種類、原子の結合性及び化学結合を考慮したものである。ClogP値は、最も信頼でき、またこの物理化学的特性の評価に広く用いられており、好ましくは悪臭制御組成物のための揮発性アルデヒドの選択において実験的なlogP値の代わりに用いられる。
【0016】
ClogP値は、4つの群により定義することができ、揮発性アルデヒドはこれらの群のうちの1つ以上から選択され得る。第一群は、約250℃以下のB.P.と約3以下のClogPとを有する揮発性アルデヒドを含む。第二群は、250℃以下のB.P.と3.0以上のClogPとを有する揮発性アルデヒドを含む。第三群は、250℃以上のB.P.と3.0以下のClogPとを有する揮発性アルデヒドを含む。第四群は、250℃以上のB.P.と3.0以上のClogPとを有する揮発性アルデヒドを含む。悪臭制御組成物は、1つ以上のClogP群からの揮発性アルデヒドのいずれかの組み合わせを含み得る。
【0017】
一部の実施形態では、本発明の悪臭制御組成物は、悪臭制御組成物全体の約0重量%〜約30重量%若しくは約25重量%の第一群からの揮発性アルデヒド、及び/又は約0重量%〜約10重量%若しくは約10重量%の第二群からの揮発性アルデヒド、及び/又は約10重量%〜約30重量%若しくは約30重量%の第三群からの揮発性アルデヒド、及び/又は約35重量%〜約60重量%若しくは約35重量%の第四群からの揮発性アルデヒドを含み得る。
【0018】
悪臭制御組成物に使用され得る例示的な揮発性アルデヒドとしては、アドキサル(2,6,10−トリメチル−9−ウンデセナール)、ブルゲオナール(4−t−ブチルベンゼンプロピオンアルデヒド)、リレストラリス33(2−メチル−4−t−ブチルフェニル)プロパナール)、桂皮アルデヒド、シンナムアルデヒド(フェニルプロペナール、3−フェニル−2−プロペナール)、シトラール、ゲラニアール、ネラール(ジメチルオクタジエナール、3,7−ジメチル−2,6−オクタジエン1−アール)、シクラールC(2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−カルバルデヒド)、フロルヒドラル(3−(3−イソプロピル−フェニル)−ブチルアルデヒド)、シトロネラール(3,7−ジメチル6−オクテナール)、サイマール、シクラメンアルデヒド、シクロサル、ライムアルデヒド(α−メチル−p−イソプロピルフェニルプロピルアルデヒド)、メチルノニルアセトアルデヒド、アルデヒドC12 MNA(2−メチル−1−ウンデカナール)、ヒドロキシシトロネラール、シトロネラール水和物(7−ヒドロキシ−3,7−ジメチルオクタン−1−アール)、ヘリオナル(α−メチル−3,4−(メチレンジオキシ)−ヒドロシンナムアルデヒド、ヒドロシンナムアルデヒド(3−フェニルプロパナール、3−フェニルプロピオンアルデヒド)、イントレレベンアルデヒド(ウンデカ−10−エン−1−アール)、リグストラール、トリバータル(2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド)、ジャスモレンジ、サチンアルデヒド(2−メチル−3−トリルプロピオンアルデヒド、4−ジメチルベンゼンプロパナール)、リラール(4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド)、メロナール(2,6−ジメチル−5−ヘプテナール)、メトキシメロナール(6−メトキシ−2,6−ジメチルヘプタナール)、メトキシシンナムアルデヒド(トランス−4−メトキシシンナムアルデヒド)、ミラックアルデヒドイソヘキセニルシクロヘキセニル−カルボキシアルデヒド、トリファーナル(trifernal)((3−メチル−4−フェニルプロパナール、3−フェニルブタナール)、リリアール、P.T.ブシナール、リスメラール、ベンゼンプロパナール(4−tert−ブチル−α−メチル−ヒドロシンナムアルデヒド)、Dupical、トリシクロデシリデンブタナール(4−トリシクロ5210−2,6デシリデン−8ブタナール)、Melafleur(1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−8,8−ジメチル−2−ナフトアルデヒド)、メチルオクチルアセトアルデヒド、アルデヒドC−11 MOA(2−メチルデカ−1−アール)、Onicidal(2,6,10−トリメチル−5,9−ウンデカジエン−1−アール)、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、Muguetアルデヒド50(3,7−ジメチル−6−オクテニル)オキシアセトアルデヒド)、フェニルアセトアルデヒド、Mefranal(3−メチル−5−フェニルペンタナール)、Triplal、Vertocitralジメチルテトラヒドロベンゼンアルデヒド(2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド)、2−フェニルプロプリオンアルデヒド、ヒドロトロープアルデヒド、Canthoxal、アニシルプロパナール4−メトキシ−α−メチルベンゼンプロパナール(2−アニシリデンプロパナール)、Cylcemone A(1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−8,8−ジメチル−2−ナフトアルデヒド)及びPrecylcemone B(1−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
更に他の例示的なアルデヒドとしては、アセトアルデヒド(エタナール)、ペンタナール、吉草酸アルデヒド、アミルアルデヒド、Scentenal(オクタヒドロ−5−メトキシ−4,7−メタノ−1H−インデン−2−カルボキシアルデヒド)、プロピオンアルデヒド(プロパナール)、シクロシトラール、β−シクロシトラール、(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−アセトアルデヒド)、イソシクロシトラール(2,4,6−トリメチル−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド)、イソブチルアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソ吉草酸アルデヒド(3−メチルブチルアルデヒド)、メチルブチルアルデヒド(2−メチルブチルアルデヒド、2−メチルブタナール)、ジヒドロシトロネラール(3,7−ジメチルオクタン−1−アール)、2−エチルブチルアルデヒド、3−メチル−2−ブテナール、2−メチルペンタナール、2−メチル吉草酸アルデヒド、ヘキセナール(2−ヘキセナール、トランス−2−ヘキセナール)、ヘプタナール、オクタナール、ノナナール、デカナール、ラウリルアルデヒド、トリデカナール、2−ドデカナール、メチルチオブタナール、グルタルアルデヒド、ペンタンジアール、グルタルアルデヒド、ヘプテナール、シス若しくはトランス−ヘプテナール、ウンデセナール(2−、10−)、2,4−オクタジエナール、ノネナール(2−、6−)、デセナール(2−、4−)、2,4−ヘキサジエナール、2,4−デカジエナール、2,6−ノナジエナール、オクテナール、2,6−ジメチル5−ヘプテナール、2−イソプロピル−5−メチル−2−ヘキセナール、トリファーナル(Trifernal)、βメチルベンゼンプロパナール、2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−アセトアルデヒド、フェニルブテナール(2−フェニル2−ブテナール)、2.メチル−3(p−イソプロピルフェニル)−プロピオンアルデヒド、3−(p−イソプロピルフェニル)−プロピオンアルデヒド、p−トリルアセトアルデヒド(4−メチルフェニルアセトアルデヒド)、アニスアルデヒド(p−メトキシベンゼンアルデヒド)、ベンズアルデヒド、ベルンアルデヒド(Vernaldehyde)(1−メチル−4−(4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセンカルボアルデヒド)、ヘリオトロピン(ピペロナール)3,4−メチレンジオキシベンズアルデヒド、α−アミル桂皮アルデヒド、2−ペンチル−3−フェニルプロペンアルデヒド、バニリン(4−メトキシ3−ヒドロキシベンズアルデヒド)、エチルバニリン(3−エトキシ4−ヒドロキシベンズアルデヒド)、ヘキシル桂皮アルデヒド、Jasmonal H(α−n−ヘキシル−シンナムアルデヒド)、フローラルオゾン(パラ−エチル−α,α−ジメチルヒドロシンナムアルデヒド)、Acalea(p−メチル−α−ペンチルシンナムアルデヒド)、メチルシンナムアルデヒド、α−メチルシンナムアルデヒド(2−メチル3−フェニルプロペナール)、α−ヘキシルシンナムアルデヒド(2−ヘキシル3−フェニルプロペナール)、サリチルアルデヒド(2−ヒドロキシベンズアルデヒド)、4−エチルベンズアルデヒド、クミンアルデヒド(4−イソプロピルベンズアルデヒド)、エトキシベンズアルデヒド、2,4−ジメチルベンズアルデヒド、ベラトルムアルデヒド(3,4−ジメトキシベンズアルデヒド)、シリンガアルデヒド(3,5−ジメトキシ4−ヒドロキシベンズアルデヒド)、カテックアルデヒド(Catechaldehyde)(3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド)、サフラナール(2,6,6−トリメチル−1,3−ジエンメタナール)、ミルテナール(ピナ−2−エン−1−カルバルデヒド)、ペリルアルデヒドL−4(1−メチルエテニル)−1−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド)、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセンカルボキシアルデヒド、2−メチル−2−ペンテナール、2−メチルペンテナール、ピルボアルデヒド、ホルミルトリシクロデカン、マンダリンアルデヒド、Cyclemax、ピノアセトアルデヒド、Corps Iris、Maceal及びCorps 4322が挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
一実施形態では、悪臭制御組成物は、2−エトキシベンジルアルデヒド、2−イソプロピル−5−メチル−2−ヘキセナール、5−メチルフルフラール、5−メチル−チオフェン−カルボキシアルデヒド、アドキサル、p−アニスアルデヒド、ベンジルアルデヒド、ブルゲナール、桂皮アルデヒド、サイマール、デシルアルデヒド、フローラルスーパー(4,8−ジメチルデカ−4,9−ジエナール)、フロルヒドラル、ヘリオナル、ラウリルアルデヒド、リグストラール、リラール、メロナール、o−アニスアルデヒド、ピノアセトアルデヒド、P.T.ブシナール、チオフェンカルボキシアルデヒド、トランス−4−デセナール、トランストランス2,4−ノナジエナール、ウンデシルアルデヒド及びこれらの混合物からなる群から選択される2種以上の揮発性アルデヒドの混合物を含む。
【0021】
一部の実施形態では、悪臭制御組成物は、即効揮発性アルデヒドを含む。「即効揮発性アルデヒド」は、(1)40秒未満で20%以上のアミン臭気を低減する、又は、(2)30分未満で20%以上のチオール臭気を低減する、揮発性アルデヒドを指す。
【0022】
一実施形態では、悪臭制御組成物は、表1に列挙され、本明細書でアコードAと呼ぶ揮発性アルデヒドの混合物を含む。
【0023】
【表1】

【0024】
別の実施形態では、悪臭制御組成物は、表2に列挙され、本明細書でアコードBと呼ぶ揮発性アルデヒドの混合物を含む。
【0025】
【表2】

【0026】
別の実施形態では、悪臭制御組成物は約71.2%の揮発性アルデヒドを含み、残部は他のエステル及びアルコール芳香剤原材料である。この混合物は表3に列挙され、本明細書ではアコードCと呼ぶ。
【0027】
【表3】

【0028】
アコードA、B又はCは、例えば、悪臭制御組成物の約10重量%の量で、他の芳香剤原材料と配合することができる。加えて、個々の揮発性アルデヒド又は複数の揮発性アルデヒドの様々な組み合わせを悪臭制御組成物中に配合することができる。ある実施形態では、揮発性アルデヒドは、悪臭制御組成物の最大100重量%、又は1重量%〜約100重量%、又は約2重量%〜約100重量%、又は約3重量%〜約100重量%、又は約50重量%〜約100重量%、又は約70重量%〜約100重量%、又は約80重量%〜約100重量%、又は約1重量%〜約20重量%、又は約1重量%〜約10重量%、又は約1重量%〜約5重量%、又は約1重量%〜約3重量%、又は約2重量%〜約20重量%、又は約3重量%〜約20重量%、又は約4重量%〜約20重量%、又は約5重量%〜約20重量%の量で存在し得る。
【0029】
揮発性が悪臭を中和するのに重要ではない一部の実施形態では、本発明は、例えば、ジ−、トリ−、テトラ−アルデヒドといったポリ−アルデヒドを含んでもよい。このような実施形態としては、リーブオン、洗浄中、リンスオフ型の用途のための洗濯洗剤、添加剤、及びこれらに類するものが挙げられる。
【0030】
2.酸触媒
本発明の悪臭制御組成物は、イオウ系悪臭を中和するために、有効量の酸触媒を含んでもよい。特定の弱酸は、液相及び気相中のチオールとのアルデヒド反応性に影響を有することが判明している。チオールとアルデヒドとの間の反応は、ヘミアセタール及びアセタール形成経路の機構に従う触媒反応であることが判明している。本悪臭制御組成物が酸触媒を含有し、イオウ系悪臭と接触すると、揮発性アルデヒドはチオールと反応する。この反応は、チオールアセタール化合物を形成し、したがって、イオウ系臭気を中和し得る。酸触媒がないと、へミチオールのみが形成される。
【0031】
好適な酸触媒は、Scifinderにより報告されている通り、25℃にて、約0.133Pa(0.001トール)〜約5066Pa(38トール)、又は約0.133Pa(0.001トール)〜約1867Pa(14トール)、又は約0.133Pa(0.001)〜約133(1)、又は約0.133(0.001)〜約2.67(0.020)、又は約0.667(0.005)〜約2.67(0.020)、又は約1.33(0.010)〜約2.67(0.020)の範囲のVPを有する。
【0032】
酸触媒は、弱酸であり得る。弱酸は、弱酸の解離に関する平衡定数である酸解離定数、Ka、により特徴付けられ、pKaは、Kaの10の対数にマイナスをかけたものに等しい。酸触媒は、約4.0〜約6.0、又は約4.3〜5.7、又は約4.5〜約5、又は約4.7〜約4.9のpKaを有し得る。好適な酸触媒としては、表4に列挙されているものが挙げられる。
【0033】
【表4】

【0034】
悪臭制御組成物の所望の用途に依存して、酸触媒を選択する際に、香り特性又は悪臭制御組成物の香りへの作用を考えてもよい。悪臭制御組成物の一部の実施形態では、中立〜好ましい香りを供給する酸触媒を選択することが望ましいものであり得る。このような酸触媒は、25℃にて測定したときに、約0.001トール(0.133Pa)〜約0.020トール(2.67Pa)、又は約0.005トール(0.667Pa)〜約0.020トール(2.67Pa)、又は約0.010トール(1.33Pa)〜約0.020トール(2.67Pa)のVPを有し得る。このような酸触媒の非限定例としては、カルボン酸不純物を有する5−メチルチオフェンカルボキシアルデヒド、コハク酸又は安息香酸が挙げられる。
【0035】
悪臭制御組成物は、悪臭制御組成物の約0.05重量%〜約5重量%、又は約0.1重量%〜約1.0重量%、又は約0.1重量%〜約0.5重量%、又は約0.1重量%〜約0.4重量%、又は約0.4重量%〜約1.5重量%、又は約0.4重量%の酸触媒を含み得る。
【0036】
酢酸系中に、本悪臭制御組成物は、約0.4%の酢酸を含み得る(50:50のTC:DPM、0.4%の酢酸)。
【0037】
【表5】

【0038】
酸触媒が揮発性アルデヒド(又はRA)と共に存在する場合には、酸触媒は、揮発性アルデヒドのみの悪臭有効性と比較して、悪臭への揮発性アルデヒド有効性を増加し得る。例えば、1%の揮発性アルデヒドと1.5%の安息香酸は、5%の単独の揮発性アルデヒド以上の悪臭除去効果を提供する。
【0039】
悪臭制御組成物は、約3〜約8、又は約4〜約7、又は約4〜約6のpHを有し得る。
【0040】
3.任意成分
悪臭制御組成物は、所望により、マスキング剤、臭気ブロック剤及び/又は希釈剤を含んでもよい。例えば、悪臭制御組成物は、悪臭を中和するための揮発性アルデヒドと芳香剤イオノンと希釈剤との混合物を含み得る。あるいは、悪臭制御組成物は、100%揮発性アルデヒドから構成されてもよい。
【0041】
「臭気マスキング剤」は、悪臭化合物を被覆する又は隠す既知の化合物(例えば、芳香剤原材料)を指す。臭気マスキングは、悪臭化合物を感知する能力を制限するように投与される不快ではない又は好ましい匂いを有する化合物を含み得る。臭気マスキングは、予想された悪臭と一緒になって、臭気化合物の組み合わせにより提供される全体の匂いの知覚を変化させる化合物の選択を伴い得る。
【0042】
「臭気ブロック剤」は、ヒトの嗅覚を鈍らせる既知の化合物を指す。
【0043】
例示的な希釈剤としては、ジプロピレングリコールメチルエーテル及び3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0044】
悪臭制御組成物はまた、所望により、快楽効果を供給するだけの(すなわち、悪臭を中和しないが、快い香りは供給する)芳香剤原材料を含み得る。好適な芳香剤は、米国特許第6,248,135号に開示されており、これは参照によりその全体が組み込まれる。
【0045】
II.選択方法
本発明はまた、悪臭を中和するための揮発性アルデヒドを選択するための方法を含む。この方法は、40秒の時点で少なくとも20%のアミン系臭気を除去する、及び/又は、30分の時点で少なくとも20%のチオール系臭気を除去する、アルデヒドを選択することを含み得る。
【0046】
本組成物のための揮発性アルデヒドの選択には、上記に列挙したVPの範囲内に収まるアルデヒドが考えられ得る。例えば、本方法は、25℃にて測定すると、約0.001トール(0.133Pa)〜約10トール(1333Pa)のVPを有する揮発性アルデヒドを選択することを含み得る。
【0047】
単に快楽効果のために、揮発性アルデヒドの混合物の他に芳香剤物質を利用することが所望される場合、本方法はまた、芳香剤物質の香り特性に有害な影響を有さない揮発性アルデヒドを選択することを含み得る。
【0048】
悪臭制御組成物中に含まれる揮発性アルデヒドの選択は、多くの商業上及び規制上の制約により導かれ得、これらの制約は時間及び地域によって様々であり得る。これらの制約としては、繰り返して皮膚をさらすことの長時間の影響、接触し得る他の表面への影響(布地の黄変又は硬質表面の汚損若しくは損傷の傾向など)及び時間を経ての揮発性アルデヒドの化学的安定性などの安全に関するものを挙げることができる。
【0049】
III.使用方法
本発明の悪臭制御組成物は、気相及び/又は液相中の悪臭を中和する広範囲の用途に使用され得る。一部の実施形態では、悪臭制御組成物は、エネルギー作動式気相システム中での使用のために配合され得る。本明細書で使用するとき、「エネルギー作動式」は、電池、電気壁コンセントなどの電気エネルギー源を用いることにより作動して標的の活性物質を放出するシステムを指す。このようなシステムでは、揮発性アルデヒドのVPは、25℃にて測定したときに、約0.001トール(0.133Pa)〜約20トール(2666Pa)、又は約0.01トール(1.33Pa)〜約10トール(1333Pa)であり得る。エネルギー作動式気相システムの一例は、液体電気プラグインタイプ空気フレッシュニング装置である。
【0050】
一部の実施形態では、悪臭制御組成物は、非エネルギー作動式気相システムでの使用のために配合され得る。本明細書で使用するとき、「非エネルギー作動式」は、受動的に又は電気エネルギー源の必要なく標的活性物質を放出するシステムを指す。エアゾール噴霧器及び従来の引き金/ポンプ式噴霧器が、想定の非エネルギー作動式システムである。このような非エネルギー作動式システムでは、揮発性アルデヒドのVPは、25℃にて測定したときに、約0.01トール(1.33Pa)〜約20トール(2666Pa)、又は約0.05トール(6.67Pa)〜約10トール(1333Pa)であり得る。非エネルギー作動式気相システムの非限定例は、商品名Renuzit(登録商標)Crystal Elementsで既知のものなどの受動的空気フレッシュニング散布器、布地及び空気フレッシュニングスプレー及び身体脱臭剤などのエアゾールスプレーである。
【0051】
他の実施形態では、悪臭制御組成物は、液相組成物中での使用のために配合され得る。このようなシステムでは、VPは、25℃にて測定したときに、約0トール(0Pa)〜約20トール(2666Pa)、又は約0.0001トール(0.0133Pa)〜約10トール(1333Pa)であり得る。液相システムの非限定例は、洗濯洗剤及び添加剤などの液体洗濯製品、食器洗剤、身体洗浄剤、シャンプー、コンディショナーなどの個人衛生製品である。
【0052】
悪臭制御組成物はまた、プラスチック、織布又は不織布(例えば、紙製品用セルロース繊維)などの基材での使用のために配合され得る。このような基材は、ペットフード包装、ペーパータオル、ティッシュ、ゴミ袋、おむつ、乳児用拭き取り用品、成人用失禁製品、生理用ナプキン及びタンポンなどの女性用衛生製品として使用され得る。悪臭制御組成物はまた、汚水浄化層又は下水処理施設などの商業又は産業システムにおける使用のために配合され得る。
【実施例】
【0053】
分析試験−アミン系及びイオウ系悪臭における揮発性アルデヒドの効果
1mLのブチルアミン(アミン系悪臭)及びブタンチオール(イオウ系悪臭)を1.2リットルのガスサンプリングバッグの中にピペットで加えることにより、悪臭標準物質を調製する。次に、このバッグに窒素を容量まで充填し、少なくとも12時間にわたって静置して、平衡状態にする。
【0054】
表6に列挙した各揮発性アルデヒドと表1〜3に列挙した各アコード(A、B及びC)の1μL試料を個々の10mLシラン処理済みヘッドスペースバイアル瓶の中にピペットで加える。バイアル瓶を密封し、少なくとも12時間にわたって平衡化させる。各試料について4回繰り返す(ブチルアミン分析のために2回、ブタンチオール分析のために2回)。
【0055】
平衡化期間後、1.5mLの標的悪臭標準物質を各10mLバイアル瓶の中に注入する。チオール分析のために、試料と悪臭標準物質とを含有するバイアル瓶を30分にわたって室温で保持する。次に、1mLヘッドスペース注射器を使用して、各試料/悪臭物質250μLをGC/MSの、スプリット/スプリットレスインレットの中に注入する。アミン分析のために、1mLヘッドスペース注射器を使用して、各試料/悪臭物質500μLをGC/MSの、スプリット/スプリットレスインレットの中に直ちに注入する。アミン分析のためにGCピローを使用して、実行時間を短縮する。
【0056】
次に、静的ヘッドスペース機能を持つMPS−2オートサンプラー装置を用い、DB−5の20mで厚さ1μmのカラムによりGC/MSを使用して、試料を分析する。各イオン電流についてのイオン抽出によりデータを分析し(チオールについては56、アミンについては30)、面積を用いて、各試料について悪臭標準物質から低減パーセントを計算する。
【0057】
表6は、それぞれ40秒及び30分の時点のアミン系及びイオウ系悪臭の中和における特定の揮発性アルデヒドの効果を示す。
【0058】
【表6】

【0059】
表7は、それぞれアコードA、B及びCの、40秒及び30分の時点でのブチルアミン及びブタンチオールの低減パーセントを示す。
【0060】
【表7】

【0061】
分析試験−イオウ系悪臭における酸触媒の効果
イオウ系悪臭における酸触媒の効果を試験するために、上記分析試験を、酸触媒を含有する試料を用いて繰り返す。特に、以下の対照及び酸触媒試料の各々の1μLアリコートを、二通り用意した個々の10mLシラン処理済みヘッドスペースバイアル瓶にピペットを用いて加える:対照としてのチオフェンカルボキシアルデヒド;チオフェンカルボキシアルデヒドとDPM中0.04%、DPM中0.10%、DPM中0.43%、DPM中1.02%及びDPM中2.04%での以下の酸触媒各々との50/50混合物:フェノール、メシチレン酸、カプリル酸、コハク酸、ピバル酸、チグリン酸及び安息香酸。
【0062】
図1は、低蒸気圧酸触媒が、対照と比較して最大で3倍良好なイオウ系悪臭の除去を提供することを示す。
【0063】
分析試験−アミン系及びイオウ系悪臭における揮発性アルデヒド及び酸触媒の効果
表8及び9の概要の通りに揮発性アルデヒド(又はRA)と酸触媒とを含有する試料配合物を用いて、上記分析試験を繰り返す。
【0064】
表8及び9は、1.5%の酸触媒と共に最小1%の揮発性アルデヒドを有する芳香剤混合物が、5%の揮発性アルデヒドを有する同一の芳香剤混合物よりもブチルアミン及びブタンチオールを良好に低減することを示す。
【0065】
【表8】

【0066】
【表9】

【0067】
感覚試験−イオウ系悪臭における揮発性アルデヒドの効果
Presto(商標)スキレットを換気フードの中に置き、121℃(250°F)にする。80グラムのCrisco(登録商標)油をスキレットの中に置き、スキレットの蓋で覆う。平衡化のために10分そのままにしておく。スキレットの蓋を取り外し、温度計で油の温度をチェックする。50グラムの刻んだ商業的に調製された水中ニンニクをスキレットの中に置く。スキレットを蓋で覆う。2.5分にわたって又はニンニクが半透明になるまで調理する。一部は茶色に変色し始めるが、焦げてはいない。ニンニクをスキレットから取り出す。4枚のペトリ皿の各々に5グラムのニンニクを置く。各ペトリ皿にカバーを置く。
【0068】
カバーで覆ったペトリ皿各々を個々の試験チャンバの中に置く。各試験チャンバは、幅99.70cm(39.25インチ)、深さ63.5cm(25インチ)、高さ54.6cm(21.5インチ)であり、0.34立方メートル(12.2立方フィート)の容量を有する。試験チャンバは、Electro−Tech Systems(Glenside,PA)から購入することができる。各試験チャンバは、Newark Electronics(Chicago,IL)から購入されるファン(Newarkカタログ番号70K9932,115 VAC,90CFM)を装備する。
【0069】
ペトリ皿の蓋を取り外して、70〜80の開始臭気強度段階を提供するのに十分な滞留時間(約1分)にわたって悪臭をさらす。いったん試験チャンバが開始臭気強度段階に到達したら、試験チャンバからペトリ皿を取り出す。
【0070】
次に、3つのFebreze(登録商標)Noticeable(商標)空気フレッシュニング装置(Procter and Gamble Companyにより流通)各々に表10に示した対照組成物を充填する。
【0071】
【表10】

【0072】
装置は、低強度位置に設定し、4つの試験チャンバのうちの3つの中にコンセントを差し込む。全ての扉は閉まっている。
【0073】
5、15、20、30、45及び60分の時点で、訓練を受けた評価者が各チャンバを開け、悪臭強度についてチャンバの臭いを嗅ぎ、表11の尺度に基づいて悪臭スコアを付ける。逐次評価者が入れ替わる間、チャンバの扉は閉まっているが、鍵はかけられていない。スコアは集計され、各時間間隔についての平均スコアが記録される。
【0074】
【表11】

【0075】
(表10の対照組成物の代わりに)表12に示しているプロトタイプ1を用いて上記プロトコルを繰り返す。
【0076】
【表12】

【0077】
表13に示しているプロトタイプ2を用いて、上記プロトコルを繰り返す。
【0078】
【表13】

【0079】
図2は、10%の本発明の悪臭制御組成物を有する配合物が、このような悪臭制御組成物を欠く対照組成物よりも多くのニンニクの悪臭を低減することを示す。
【0080】
感覚試験−アミン系悪臭における揮発性アルデヒドの効果
新鮮なアカウオ(ocean perch)の切り身を皮から剥がし、Magic Bullet(商標)フードチョッパーに入れる。魚肉を35〜40秒にわたって刻む。25グラムの刻んだ魚を計量し、60×15mmペトリ皿の中にぴったり収まるようにパテにする。更に3回繰り返すことで、その結果、4枚のペトリ皿の各々に1つの魚パテが存在するようになる。40gのCrisco(登録商標)油をPresto(商標)スキレットに加える。スキレットに蓋を置き、177℃(350°F)にする。平衡化のために10分そのままにしておく。蓋を取り外す。各パテの真ん中にスリットを刻み、1つのパテをスキレットの中に置き、揚げ始める。蓋を再び置く。2.5分後、魚パテをひっくり返し、更に2.5分揚げる。スキレットから魚パテを取り出し、10秒にわたってペーパータオル上で簡単に拭く。残りの3つのパテを同様に揚げる。各魚パテを60×15mmのペトリ皿の中に置き、蓋でカバーする。
【0081】
魚パテを収容する各ペトリ皿を個々の試験チャンバの中に入れる。試験チャンバの仕様は、上記イオウ系(ニンニク)悪臭試験におけるものと同一である。蓋を取り外して、70〜80の開始臭気強度段階を提供するのに十分な滞留時間(約1分)にわたって悪臭をさらす。いったん試験チャンバが開始臭気強度段階に到達したら、試験チャンバからペトリ皿を取り出す。
【0082】
次に、3つのFebreze(登録商標)Noticeable(商標)空気フレッシュニング装置(Procter and Gamble Companyにより流通)各々に表10に概要を示した対照組成物を充填する。装置は、低強度位置に設定し、4つの試験チャンバのうちの3つの中にコンセントを差し込む。全ての扉は閉まっている。
【0083】
5、15、20、30、45及び60分の時点で、訓練を受けた評価者が各チャンバを開け、悪臭強度についてチャンバの臭いを嗅ぎ、表9の尺度に基づいて悪臭スコアを付ける。逐次評価者が入れ替わる間、チャンバの扉は閉まっているが、鍵はかけられていない。スコアは集計され、各時間間隔についての平均スコアが記録される。
【0084】
(対照組成物の代わりに)表12に示しているプロトタイプ1を用い、次に表13に示しているプロトタイプ2を用いて上記プロトコルを繰り返す。
【0085】
図3は、10%の本発明の悪臭制御組成物を有する配合物が、このような悪臭制御組成物を欠く対照よりも多くの魚の悪臭を低減することを示す。
【0086】
感覚試験−アミン系及びイオウ系悪臭における揮発性アルデヒドと酸触媒との効果
表14に概要を示した2つの配合物を用いて、次に表15に概要を示した2つの配合物を用いて、ただし、表15の配合物はProcter and Gamble Companyにより流通している2つのFebreze(登録商標)Set & Refresh受動的空気フレッシュナー(Febreze Noticeable装置と対比)内に別々に充填されることを除き、アミン系及びイオウ系悪臭に対する上記感覚試験プロトコルを繰り返す。&結果は表14及び15に示されている。
【0087】
表14及び15は、1%の揮発性アルデヒドと1.5%の酸触媒とを有する芳香剤配合物が、5%の揮発性アルデヒドを単独で有する芳香剤配合物以上の悪臭除去効果を提供することを示す。
【0088】
【表14】

*成功基準を満たす:画定された時点での嗅覚等級<20。
【0089】
【表15】

*成功基準を満たす:画定された時点での嗅覚等級<20。
【0090】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図している。
【0091】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は出願書類を含め、本明細書において引用される全ての文献は、明示的に除外ないしは制限されない限り、その全体を参考として本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、それが本明細書において開示される若しくは請求されるいずれかの発明に関する先行技術であること、又はそれが単独で若しくは他のいかなる参照とのいかなる組み合わせにおいても、このような発明を教示する、提案する、又は開示することを認めるものではない。更に、本書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれた文献における同一の用語のいずれかの意味又は定義と相反する限りにおいて、本書においてその用語に与えられた定義又は意味が適用されるものとする。
【0092】
本発明の特定の実施形態が例示され、記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の「特許請求の範囲」で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面上の悪臭を中和する方法であって、該方法は、2−エトキシベンジルアルデヒド、2−イソプロピル−5−メチル−2−ヘキセナール、5−メチルフルフラール、5−メチル−チオフェン−カルボキシアルデヒド、アドキサル、p−アニスアルデヒド、ベンジルアルデヒド、ブルゲナール、桂皮アルデヒド、サイマール、デシルアルデヒド、フローラルスーパー(floral super)、フロルヒドラル、ヘリオナル、ラウリルアルデヒド、リグストラール、リラール、メロナール、o−アニスアルデヒド、ピノアセトアルデヒド、P.T.ブシナール、チオフェンカルボキシアルデヒド、トランス−4−デセナール、トランストランス2,4−ノナジエナール、ウンデシルアルデヒド及びこれらの混合物からなる群から選択される2種以上の揮発性アルデヒドを有効量含む悪臭制御組成物を前記表面に接触させることを含む、方法。
【請求項2】
前記2種以上の揮発性アルデヒドが、フローラルスーパー、o−アニスアルデヒド及びこれらの混合物から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記2種以上の揮発性アルデヒドが前記悪臭制御組成物の1重量%〜5重量%の量で存在し、前記悪臭制御組成物の0.4重量%〜1.5重量%の量で存在する酸触媒を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記表面が布地、カーペット及びこれらの組み合わせである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記表面が洗浄サイクルにある布地である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記表面が、おむつ、プラスチックゴミ袋からなる群から選択される不織布表面であり、前記布地を有効量の請求項1に記載の組成物に接触させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記表面が、有効量の請求項1に記載の組成物を有する調理台、キャビネット、壁、床、浴室表面及び台所表面からなる群から選択される硬質表面である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
約0.001トール(0.133Pa)〜0.03トール(4.00Pa)のVPを各々有する2種以上の揮発性アルデヒドを有効量含む悪臭制御組成物を空気中に分散させることを含む、空気中の悪臭を中和する方法。
【請求項9】
前記2種以上の揮発性アルデヒドが前記悪臭制御組成物の1重量%〜5重量%の量で存在し、前記悪臭制御組成物の0.4重量%〜1.5重量%の量で存在する酸触媒を更に含む、請求項8に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−522626(P2012−522626A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−504937(P2012−504937)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/059443
【国際公開番号】WO2011/084322
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】