説明

悪臭排出装置を備えた洋便器

本発明は、上側内面に流体噴射孔12が形成され、その下側に流体排出通路18が連結される便器本体10と、便器本体の上面に開閉可能に装着される便座30と、流体噴射孔12と流体排出通路18の間に連結されて、流体噴射孔を通じて水または空気を吸い込んで流体排出通路で排出させる吸入管42と、吸入管の一側に設置されて吸入力を発生させる吸入ファンアセンブリー44と、便座に設置されて吸入ファンアセンブリーを駆動させるスイッチング部材46とで構成されて、流体噴射孔を通じて便器本体内部の空気を吸入して流体排出通路で排出させることによって便器本体内の悪臭を取り除くことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は悪臭排出装置を備えた洋便器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、建物を新築する時、トイレを最も簡単且つ便利で、きれいに利用することができるように住居空間内に設置するようになった。現在トイレは単純な排泄空間から脱して休憩空間として機能をして、その利用の便宜性とともに快適性が重要な要素として登場した。
【0003】
トイレで大便及び小便などの用便を解決する便器の大部分を、用便をする人が楽に座って処理することができるような洋便器がたくさん普及されている。
【0004】
ところが、このような洋便器の普及によってトイレの清潔性は大きく向上されたが、その反面、小さくて密閉された空間であるトイレの最大問題点は、用便の時広がるアンモニア性の悪臭で、これはトイレの快適さを阻害する最大要因となり、特に管理が相対的に疎かな公衆トイレの場合、悪臭はトイレの利用をためらわせ、トイレを汚く使うようにする主な原因になっている。
【0005】
上記のような洋便器がトイレの清潔性の問題を解決するのに一助しているが、用便の中の悪臭はアンモニア性ガスで、用便の排出時ガス状に大量排出されて空気中に拡散するため、用便が水中に落下する過程で多量に拡散される悪臭の発生までを阻むことはできないという問題点がある。
【0006】
このために、通常、トイレには換気扇を設置してトイレ内部の空気を外部に排出することで快適な環境を維持するようにするが、悪臭がトイレの内部に広がって、トイレの壁面に設置された換気扇による外部換気はトイレ内部空間の換気にたくさんの時間が所要されることで、用便をした後、たくさんの時間を経てからこそ悪臭が除去された快適な環境を取り戻すことができるようになることで、トイレを頻繁に利用する場合、例えば公衆トイレの場合、大きい効果がないという問題点が指摘されている。
【0007】
これを解決するために、芳香剤などを用いてトイレ内部の臭いを取り除く方法が使われるが、この場合、芳香剤を持続的に使わなければならないため、費用がたくさんかかり、人体に有害な問題が発生される。
【0008】
また、従来技術による換気扇の場合、空気のみ吸い込むように送風力が比較的弱くなり、トイレ内の悪臭排出性能が低下する問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、用便をする時、流体噴射孔を通じて便器内部で発生される悪臭を吸い込んで流体排出通路で排出させることによって、悪臭をより効果的に取り除くことができる悪臭排出装置を備えた洋便器を提供することである。
【0010】
他の課題は、空気以外に水も吸入可能にして、容器本体に形成される流体噴射孔を通じて容器本体内の悪臭を吸い込むことができ、悪臭吸入のための別途の孔が必要なく、設置が便利で、費用を減らすことができる悪臭排出装置を備えた洋便器を提供することである。
【0011】
また他の課題は、悪臭排出装置が便器本体に設置されるので、別途の悪臭排出配管が不必要で、設置費用及び製造費用を顕著に減らすことができる悪臭排出装置を備えた洋便器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施例による上側内面に流体噴射孔が形成され、その下側に流体排出通路が連結される便器本体、便器本体の上面に開閉可能に装着される便座、流体噴射孔と流体排出通路の間に連結されて、流体噴射孔を通じて水または空気を吸い込んで流体排出通路で排出させる吸入管、吸入管の一側に設置されて吸入力を発生させる吸入ファンアセンブリー、及び便座に設置されて吸入ファンアセンブリーを駆動させるスイッチング部材を含む。
【0013】
吸入管は悪臭が逆流することを遮断するように、その一側に水が常に満たされるU字状管が設置される悪臭排出装置を具備することができる。
【0014】
吸入ファンアセンブリーは、吸入管に連結されるファンハウジングと、ファンハウジングの内部に固定される駆動モーターと、駆動モーターの回転軸に固定されて、吸入力を発生させる吸入ファンとを含むことができる。
【0015】
ファンハウジングは、空気や水が吸入される吸入口が形成される吸入空間と、吸入空間と第1隔壁で区画され、空気や水が排出される排出口が形成され、吸入ファンが配置される吸入ファン設置空間と、吸入ファン設置空間と第2隔壁で区画され、駆動モーターが設置される駆動モーター設置空間とを含むことができる。
【0016】
第2隔壁には、駆動モーターの回転軸が通過する回転軸貫通孔が形成され、回転軸貫通孔の周辺には回転軸貫通孔を通じて水が駆動モーターに流入されるのを遮断するシーリング部材が設置されることができる。
【0017】
吸入ファンは、その中央側に水や空気が吸入され、その外周面で水や空気が吐出されるファンである悪臭排出装置を具備することができる。
【0018】
スイッチング部材は、便座を押す圧力によって信号を発生させるスイッチが用いられることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の実施例によれば、水を便器本体内部に噴射する流体噴射孔を通じて便器本体内部の悪臭を吸い込んで流体排出通路で排出させることによって、悪臭をより効果的に除去することができるという長所がある。
【0020】
また、流体噴射孔と流体排出通路の間に連結される吸入管で空気以外に水も吸入されることができるようにして、既存の流体噴射孔を通じて便器本体内部の悪臭を吸い込んで製造費用を減らすことができるという長所がある。
【0021】
また、吸入管にU字状管を設置して水が常に溜まるようにすることによって、悪臭の逆流を阻むための別途の装置なしに便利に悪臭の逆流を阻むことができるという長所がある。
【0022】
また、悪臭排出装置が便器本体に設置されるか、便器本体と一体に製造されることができるので、設置が容易で、別途の設置作業が不必要で、費用及び設置時間を減らすことができるという長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施例による悪臭排出装置が備えられた洋便器の側面図である。
【図2】本発明の一実施例による悪臭排出装置が備えられた洋便器の断面図である。
【図3】本発明の一実施例による悪臭排出装置の構成図である。
【図4】本発明の一実施例による吸入ファンアセンブリーの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施することができるように、本発明の実施例について添付した図面を参照で詳しく説明する。しかし、本発明は各種相異する形態に具現されることができ、ここで説明する実施例に限定されない。明細書全般において、類似する部分に対しては同じ図面符号を付ける。
【0025】
図1は本発明の一実施例による悪臭排出装置を備えた洋便器の側面図で、図2は本発明の一実施例による悪臭排出装置を備えた洋便器の断面図である。
【0026】
洋便器は、便器本体10と、便器本体10の内部に洗浄水を供給する水タンク20と、便器本体10の上部にヒンジ連結される便座30と、便器本体10に設置されて便座30に座ると便器本体10の内部で発生される悪臭を排出させる悪臭排出装置40とを含む。
【0027】
便器本体10は上部内壁面に円周方向に沿って複数の流体噴射孔12が形成されて、水タンク20に貯蔵された水が流体噴射孔12を通じて便器本体10の内部に噴射されて便器本体10内部を洗浄する。
【0028】
便器本体10の上側内部には複数の流体噴射孔12と連結される水循環路14が円周方向に沿って形成され、この水循環路は水タンク20と水供給通路16で連結される。
【0029】
便器本体10の下部には便器本体10に流入された水が汚水と一緒に浄化槽に排出される流体排出通路18が形成される。
【0030】
便座30はその一側が便器本体10の上側に形成されたヒンジ連結部32にヒンジ連結されて、便器本体10の上面に接触され、その下面には便器本体10の上面に接触される支持部材34が装着される。
【0031】
水槽20は水が供給される水供給管22が垂直に連結され、この水供給管22には水タンク20の内部に供給された水が所定水位になると、水供給管22を閉鎖するフロート24が設置され、水供給通路16の入口には水供給通路16を開閉するゴムバルブ26が配置され、このゴムバルブ26はレバーとチェーン28で連結されて、レバーの動作によって水供給通路16を開閉する。
【0032】
悪臭排出装置40は、図3に示すように、流体噴射孔12と流体排出通路18との間に連結される吸入管42a、42bと、この吸入管42の一側に設置されて、吸入力を発生させる吸入ファンアセンブリー44と、便座30の下面に設置されて、便座30に使用者が座ると吸入ファンを駆動させるスイッチング部材46とを含む。
【0033】
吸入管42a、42bは複数の流体噴射孔12が連結される水循環路14の一側と吸入ファンアセンブリー44の吸入口の間に連結される第1吸入管42aと、吸入ファンアセンブリー44の排出口と流体排出通路18の間に連結される第2吸入管42bとを含む。
【0034】
このような吸入管42a、472bは複数の流体噴射孔12が連結される水循環路14の一側に流体噴射孔12を通じて便器本体10内部の空気または水を吸い込んで、吸入された空気または水を流体排出通路18で排出する。
【0035】
このような吸入管42a、42bは、便器本体10を製造する時一体に製造されてもよく、別途に製造されて便器本体10に設置されてもよい。
【0036】
そして、吸入管42a、42bは便器本体10の左側や右側の中の何れか一つに設置される。即ち、吸入管42a、42bは便器本体10が設置される場所によって便器本体10の左側と右側の中の何れか一方に設置される。
【0037】
このような吸入管42a、42bは便器本体10の空気を吸い込むとともに、流体噴射孔12を通じて噴射される水も一緒に吸入して吸入管42a、42bを通過し、吸入管42a、42bに吸入された水は吸入ファンアセンブリー44を洗浄する役割を果たし、後述するU字状管50に満たされる水を供給する役割を果たす。
【0038】
第2吸入管42bと流体排出通路18の間にはU字状管50が設置され、このU字状管50の内部に水が常に満たされているようにすることによって、吸入管42を通じて悪臭が便器本体10に逆流することを防止する。
【0039】
また、U字状管50は、第2吸入管42bに回転可能に連結されるとともに、上下方向に所定幅だけ移動することができるように結合される。
【0040】
即ち、便器本体10に吸入管42a、42bを結合させる時、ある程度の組み立て公差が発生し、これを相殺させるためにU字状管50は第2吸入管42bに回転可能に連結されて、所定幅だけ直線移動可能に結合される。
【0041】
このようなU字状管50と第2吸入管42bの間の結合構造は多様な形態に設置されることができ、一例として第2吸入管42bの端部にU字状管50が挿入され、第2吸入管42bとU字状管50の間にシーリング部材52を備えて密封し、第2吸入管42bにカバー部材54がボルト締結される構造が適用されることができる。
【0042】
吸入ファンアセンブリー44は、図4に示すように、吸入管42に連結されるファンハウジング60と、上記ファンハウジング60の内部に固定される駆動モーター66と、この駆動モーター66の回転軸78に固定されて吸入力を発生させる吸入ファン68とを含む。
【0043】
ファンハウジング60は空気や水が吸入される吸入空間70と、吸入ファン68が回転可能に配置される吸入ファン設置空間72と、駆動モーター66が設置される駆動モーター設置空間74で、隔壁62、64によって区画される。
【0044】
吸入空間70の側面には吸入管42と連結される吸入口80が形成され、送風ファン設置空間72の側面には排出口82が形成される。
【0045】
吸入空間70と吸入ファン設置空間72は第1隔壁62で区画され、この第1隔壁62には吸入通路76が形成される。そして、吸入ファン設置空間72と駆動モーター設置空間74は第2隔壁64で区画され、この第2隔壁64には駆動モーター66の回転軸78が通過する回転軸貫通孔84が形成され、この回転軸貫通孔84の周辺にはこの回転軸貫通孔84を通じて水が駆動モーターに流入されることを遮断するシーリング部材86が設置される。
【0046】
シーリング部材86は駆動モーターに水が流入されることを遮断することができるゴム材質など多様な材質で形成されることができる。
【0047】
吸入ファン68はその中央側に水や空気が吸入され、その外周面から排出される構造で形成される。即ち、吸入空間に流入された水や空気が吸入通路を通じて送風ファンの中央に流入され、送風ファンで中央に流入された水や空気は送風ファンの外周面で排出される。
【0048】
吸入ファン68は約8000RPMで回転されるファンで、高速回転されることができる構造を備えている。このように、吸入ファン68が高速回転されるので、既存の流体噴射孔12が小さくても充分に吸入力を発揮して悪臭吸入性能を向上させることができる。
【0049】
また、本実施例による悪臭除去装置は、空気だけではなく水も一緒に吸い込むので、空気と水を充分に吸い込むことができる吸入力の強い吸入ファンが適用される。
【0050】
そして、吸入管42a、42bの場合、悪臭が吸入される流体噴射孔から悪臭が排出される流体排出通路までの距離が最短距離であるので悪臭排出がそれだけ早くなって、悪臭排出性能を向上することができる。
【0051】
スイッチング部材46は、便座30の下面または便器本体10の上面に設置されて、便座30に使用者が座るとその圧力によって作動されるスイッチで、圧力を受けると信号を発生させる何れの形態のスイッチも適用可能である。
【0052】
前述したように構成される本発明の一実施例による悪臭排出装置の作用を以下で詳細に説明する。
【0053】
使用者が便座30に座ると、便座に加えられる圧力によってスイッチング部材46が作動し、このスイッチング部材46の作動によって吸入ファンアセンブリー44の駆動モーター66に電源が印加される。そして、駆動モーター66が駆動され、この駆動モーター66と連結された吸入ファン68が回転しながら吸入管42に吸入力を発生させる。
【0054】
そして、便器本体に形成される流体噴射孔12を通じて便器本体10内部の空気が吸入管42に吸入され、吸入管42に吸入された空気は流体排出通路18で排出される。
【0055】
このように、便器本体10に使用者が座って用便をする時、便器本体10の内部で発生される悪臭が流体噴射孔12を通じて流体排出通路18で排出されて悪臭を取り除く。
【0056】
この時、流体噴射孔12を通じて水タンク20に貯蔵された水が容器本体10の内部に排出される場合にも、吸入管18に水が流入される。この場合吸入管18に吸入された水は吸入ファン68の吸入力によって排出されて、流体排出通路18に移動する。
【0057】
ここで、吸入ファンアセンブリー44のファンハウジング60には密封部材86が設置されて吸入ファン68を通過する水が駆動モーター66に流入されるのを遮断する。
【0058】
以上で本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるのではなく、特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の各種変形及び改良形態も本発明の権利範囲に属するべきである。
【符号の説明】
【0059】
10:便器本体
12:流体噴射孔
18:流体排出通路
20:水タンク
30:便座
32:ヒンジ連結部
34:支持部材
40:悪臭排出装置
42:吸入管
44:吸入ファンアセンブリー
46:スイッチング部材
50:U字状管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側に流体噴射孔が形成され、下側に流体排出通路が形成されている便器本体と、
前記便器本体の上面に開閉可能に装着される便座と、
前記流体噴射孔と前記流体排出通路を連結して前記流体噴射孔を通じて水または空気を吸い込んで流体排出通路で排出させる吸入管と、
前記吸入管の一側に設置されて吸入力を発生させる吸入ファンアセンブリーと、
前記便座に設置されて前記吸入ファンアセンブリーを駆動させるスイッチング部材とを含み、
前記吸入管はその一側に水が常に満たされたU字状管が連結されている悪臭排出装置を備えた洋便器。
【請求項2】
前記U字状管は前記吸入管に回転可能に連結されている請求項1に記載の悪臭排出装置を備えた洋便器。
【請求項3】
前記吸入ファンアセンブリーは前記吸入管に連結されているファンハウジングと、
前記ファンハウジングの内部に固定されている駆動モーターと、
前記駆動モーターの回転軸に固定されて、吸入力を発生させる吸入ファンとを含む請求項1に記載の悪臭排出装置を備えた洋便器。
【請求項4】
前記ファンハウジングは、
空気や水が吸入される吸入口が形成される吸入空間と、
前記吸入空間と第1隔壁で区画され、空気や水の排出される排出口が形成されており、前記吸入ファンが配置されている吸入ファン設置空間と、
前記吸入ファン設置空間と第2隔壁で区画され、前記駆動モーターが設置される駆動モーター設置空間とを含む請求項3に記載の悪臭排出装置を備えた洋便器。
【請求項5】
前記第2隔壁には前記駆動モーターの回転軸が通過する回転軸貫通孔が形成され、前記回転軸貫通孔の周辺には前記回転軸貫通孔を通じて流体が前記駆動モーターに流入されることを遮断するシーリング部材が設置されている請求項4に記載の悪臭排出装置を備えた洋便器。
【請求項6】
前記吸入ファンはその中央に水や空気が吸入され、その外周面で水や空気が吐出されるファンである請求項5に記載の悪臭排出装置を備えた洋便器。
【請求項7】
前記スイッチング部材は前記便座を押す圧力によって信号を発生させるスイッチである請求項1に記載の悪臭排出装置を備えた洋便器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−512360(P2013−512360A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541002(P2012−541002)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【国際出願番号】PCT/KR2010/007326
【国際公開番号】WO2011/065667
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(512140223)
【氏名又は名称原語表記】LEE, Mi−Ja
【Fターム(参考)】