情報データ生成装置、情報データ生成方法、及び情報データ生成プログラム
【課題】 再生時に欠落が生じない情報データを再生すること可能とする。
【解決手段】 積層ホログラム情報記憶媒体の記録データ用回折格子層に記録される情報データを生成する情報データ生成装置であって、再生光を検出する光検出器上に再生すべき基画像データを入力する基画像データ入力部18と、基画像データの振幅あるいは位相のいずれか一方あるいは両方に変調をかけ、これを基画像変調データとする画像変調部20と、基画像変調データと伝達関数の複素共役との積を、基画像変調データに対応させたい記録データ用回折格子層上での情報データの領域に制限して、光検出器上で面積分の値を算出し、その結果を記録データ用回折格子層上での情報データとする情報データ変換部19とを有する。
【解決手段】 積層ホログラム情報記憶媒体の記録データ用回折格子層に記録される情報データを生成する情報データ生成装置であって、再生光を検出する光検出器上に再生すべき基画像データを入力する基画像データ入力部18と、基画像データの振幅あるいは位相のいずれか一方あるいは両方に変調をかけ、これを基画像変調データとする画像変調部20と、基画像変調データと伝達関数の複素共役との積を、基画像変調データに対応させたい記録データ用回折格子層上での情報データの領域に制限して、光検出器上で面積分の値を算出し、その結果を記録データ用回折格子層上での情報データとする情報データ変換部19とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報データ生成装置、情報データ生成方法、及び情報データ生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の積層ホログラムROMを用いた記録媒体、記録再生装置、記録再生方法を以下に説明する(特許文献1参照)。
図14は、記憶媒体1’の側面(断面)を示す図であり、コア層2’とクラッド層3’とが交互に積層し、コア層2’とクラッド層3‘との境界に回折格子層4’が設けられた構造を成す。回折格子層4’には情報データが、例えば、凹凸形状によって記憶されている。
【0003】
図15は、記憶媒体1’に対する再生装置5’の側面を示す図であり、光ヘッド6’と、光検出器7’とから構成される。光ヘッド6’は記憶媒体1’の所望のコア層2’に入射光8’を入射させる機能を有する。再生方法は以下の通りである。光ヘッド6’により記憶媒体1’の所望のコア層2’に入射光8’を入射させると、光は前記コア層2’に隣接した回折格子層4’に記憶されている情報データ(凹凸形状)に回折され、再生光9’となって記憶媒体1’の上面に出射する。これを光検出器7’で検出すると、記憶媒体1’に記憶された情報データを再生することができる。記憶媒体1’は小型大容量化でき、また再生装置5’は構成、構造が単純なため小型化できる。積層ホログラムROMは将来の小型大容量なコンテンツ配布用メモリとして期待されている。
【0004】
近年、コンテンツの著作権を不正コピー、偽造行為などから守るため、ROM型記憶媒体に対して例えば、固有ID情報データを付与する必要性が生じてきた。このためには、記憶媒体個々に対して各々異なる情報データを記録できること、さらにできればこの情報データを図15に示すような積層ホログラムROM再生用の装置で再生できることが要求される。上記従来技術においては、記憶媒体1’への情報データの記録は、原盤を用いたスタンピング法により行われる。この方法では、コンテンツデータのような全く同一の情報データを有した記憶媒体を大量に生産することは得意とするものの、媒体固有IDのような1枚1枚異なる情報データを有する記憶媒体を作製することは生産性、コスト面で割りが合わず、苦手である。また、記憶媒体1’はROM専用媒体であり、媒体作製後には情報データを記録することができない。
以上、従来技術では記憶媒体に媒体固有IDのような記憶媒体1枚1枚に異なる情報データを記録させることは困難であるという問題があった。
【特許文献1】特開平11−345419号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した記憶媒体に媒体固有IDのような記憶媒体1枚1枚に異なる情報データを記録させることは困難であるという問題を解決するために、本発明者は、既に新規な積層ホログラム記憶媒体を提案している(特願2004−262330号)。この積層ホログラム記憶媒体は、図1に示すように、少なくとも1つ以上のコア層と、前記コア層を挟むように配置した1つ以上のクラッド層と、前記コア層の上面あるいは下面あるいはコア層内に設けられ、形状あるいは屈折率分布として情報データが記憶され、情報データ再生光として出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、コア層あるいは記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはギャップ層を介して、あるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層から離して設けられ、情報データが光の透過、不透過性を持つ穴の有無あるいは透過率の大小により情報を示す記録マークの有無として記録される1つ以上の記録層とから構成される。
【0006】
上記構成の積層ホログラム記憶媒体では、記録層に識別番号等の、各積層ホログラム記憶媒体毎の固有の情報データを書き込んだ後に、上部にコンテンツの情報データが書き込まれた回折格子層からなる記録層を貼り付け等により形成するため、記録層に対する情報データの書き込みが容易に行えるものである。これにより、記憶媒体個々に固有の情報データを記録することができ、記憶媒体の個々を管理することが可能となり、記憶媒体に記憶されたコンテンツの著作権を、不正コピー、偽造行為から守ることができる効果が得られるものである。
【0007】
ところで、このように構成された積層ホログラム記憶媒体の記録データ用回折格子層に記録される情報データを、再生光が上記積層ホログラム記憶媒体の上方または下方に配置された光検出器に結像するように形成するための従来の情報データ生成装置及び情報データ生成方法について説明する。
【0008】
〈従来の情報データ生成装置、情報データ生成方法〉
次に、従来の情報データ生成装置を図16に示す。同図において、情報生成装置17は、少なくとも、光検出器7上で検出すべき基画像データを入力する1つ以上の基画像データ入力部18と、前記基画像データを記録データ用回折格子層43上の情報データ(記録データ)へ変換する1つ以上の情報データ変換部19とから構成される。
次に、図16に示した情報データ生成装置17で行う従来の情報データ生成方法(処理)について説明する。なお、以下では記録データ用回折格子層43における記録データは凹凸形状により形成されることを前提とするが、他(屈折率変化など)に対しても同様である。
【0009】
従来の情報データ生成方法は、基画像データ入力部18にて、光検出器上に再生すべき基画像データを入力し、次に情報データ変換部19にて、基画像データと伝達関数の複素共役との積を光検出器上で面積分し、その結果を記録データ用回折格子層上での情報データとする。
次に、図17に情報データ生成フローを示す。同図において、まず、基画像データ入力部18にて、光検出部7上に再生すべき基画像データを入力し、これを表す波面関数をu0(a0,θ0)とおく(ステップ400)。
ここで、a0は波面関数u0の振幅、θ0は位相であり、波面関数は光検出器7上で二次元に分布する関数である(以下、他のデータを表す波面関数に対しても同様)。 次に、情報データ変換部19にて、波面関数u0と伝達関数gの逆数g−1(複素共役)との積を、光検出器7上で面積(変換)する(ステップ401)。
【0010】
【数1】
この計算結果をuh(ah,θh)とおく(ステップ402)。このuh(ah,θh)が求めるべき記録データ用回折格子層43上での記録データを表す波面関数(ホログラムデータ)である(記録データ用回折格子層43上で二次元に分布)。なお、物理的に記録データ用回折格子層43に記録データ(ホログラムデータ)を形成する際には、記録データ用回折格子層43に隣接するコア層2に入射光8が入射・導波し、記録データ用回折格子層43の凹凸形状(ホログラムデータ)によって回折・散乱する再生光9の、凹凸形状によって回折・散乱した直後の再生光の波面関数がuh(ah,θh)となるよう、uh(ah,θh)を基に凹凸形状を設計、作製すればよい。
【0011】
なお、u0,uh,urなど本明細書中でのデータを表す関数は二次元的に分布しているが、ディジタル的な扱いをする場合は、i行j列(i,jは整数)の複数の点が二次元的に分布する点の集まりとして表現される。すなわち、u0のi行j列番目の振幅はa0(i,j)の値、位相はθ0(i,j)の値をとるなどといった表現となる。また、伝達関数gは例えば、g=(exp[I・K・r])/rのような形で表現され、例えば、記録データ用回折格子層43上のある点光源に対する光検出器7上のある点の光の複素振幅比を表す関数である。ここで、I=√(-1),K=2π/(λ/n)(K:光の波数,λは光の波長,nは屈折率),rは例えば、光検出器上7上のある点と記録データ用回折格子層43上のある点との間の距離を表す。
【0012】
図18において、記憶媒体1と光検出器7との間に光学的障害物がない場合には、上記の装置、手法により問題なく記録データ用回折格子層43上の記録データ(情報データ)を生成できる。しかしながら、記憶媒体1と光検出器7との間に例えば、開口マスク10の開口間部100のような光学的障害物がある場合には、これが再生光(あるいは計算上の逆再生光91)を遮り、光検出器7上に再生される再生像92の再生データの一部あるいは全部が欠落する結果を招くことがある。
図18は、光検出器7上に基画像データA200(例えば、二次元バーコードの1セルに対応)を作成し、これを基画像データとして記録データ用回折格子層43上に基画像データA200に対応した記録データA201を計算した結果の例(基画像の振幅、位相をほぼ一様とした場合)を示す図である。
【0013】
光検出器7と記憶媒体1間には開口マスク10が配され、開口間部100によって計算上の逆再生光91が遮られている。このため、記録データ用回折格子層43上の記録データA201にも、開口間部100に対応した箇所においてデータが欠落した箇所ができる。図19はこうして生成された記録データA201から再生光9が再生される様子を示す図である。
記録データA201のデータが欠落した箇所からは再生光9は出射しないため、結果として光検出器7上で検出される再生画像データA202にも欠落した箇所が生じる(図19中の再生画像データA202の中央の暗部)。
【0014】
図20は同様に基画像データA200から記録データA201を計算した結果の例(基画像の振幅、位相をほぼ一様とした場合)を示す図である。光検出器7と記憶媒体1間には開口マスク10がないものとして計算している。この場合、計算上の逆再生光91は遮られることがないため、欠落部分なしに記録データA201は計算される。図21は、この記録データA201からの再生光9を、光検出器7と記憶媒体1間に図18と同様に開口マスク10を配して再生する場合を示す。
【0015】
記録データA201からは欠落なしに再生光9が出射されるが、その一部が開口間部100により遮られるため、光検出器7上には図19と同様、一部が欠落した再生像として再生画像データA202が再生される。
以上、いずれの場合も再生画像データには欠落(開口間部の影)が生じ、再生画像データが正確に再生されないという問題が発生する。このような場合、最悪の状態では例えば、再生画像データのデコードを行うことが困難となるという問題が有った。
【0016】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、再生時に欠落が生じない情報データを再生すること可能とする情報データ生成装置、情報データ生成方法及び情報データ生成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、少なくとも、1つ以上のコア層と、コア層の上面あるいは下面あるいはコア層内に設けられた形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、コア層あるいは記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体の記録データ用回折格子層に記録される情報データを生成する情報データ生成装置であって、再生光を検出する光検出器上に再生すべき基画像データを入力する基画像データ入力部と、基画像データの振幅あるいは位相のいずれか一方あるいは両方に変調をかけ、これを基画像変調データとする画像変調部と、基画像変調データと伝達関数の複素共役との積を、基画像変調データに対応させたい記録データ用回折格子層上での情報データの領域に制限して、光検出器上で面積分の値を算出し、その結果を記録データ用回折格子層上での情報データとする情報データ変換部とを有することを特徴とする。
【0018】
また、請求項2に記載の発明は、少なくとも、1つ以上のコア層と、コア層の上面あるいは下面あるいはコア層内に設けられた形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、コア層あるいは記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体の記録データ用回折格子層に記録される情報データを生成する情報データ生成装置であって、光検出器上に再生すべき基画像データを入力する基画像データ入力部と、基画像データを、開口間部によりデータ欠落しない1つ以上の基画像データと、開口間部によりデータ欠落する1つ以上の基画像データとに分け、データ欠落する基画像データに対して計算上の逆再生光が開口を通過するよう位相シフトを施し、前記データ欠落しない基画像データと前記位相シフトを施した基画像データとを足し合わせ、これを基画像位相シフトデータとする画像位相シフト部と、基画像位相シフトデータと伝達関数の複素共役との積を光検出器上で面積分し、その結果を記録データ用回折格子層上での情報データとする情報データ変換部とを有することを特徴とする。
【0019】
また、請求項3に記載の発明は、少なくとも、1つ以上のコア層と、コア層の上面あるいは下面あるいはコア層内に設けられた形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、コア層あるいは記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体の記録データ用回折格子層に記録される情報データを生成する情報データ生成方法であって、基画像データ入力部にて、光検出器上に再生すべき基画像データを入力し、次に画像変調部にて基画像データの振幅あるいは位相のいずれか一方あるいは両方に変調をかけ、これを基画像変調データとし、次に情報データ変換部にて、基画像変調データと伝達関数の複素共役との積を、基画像変調データに対応させたい記録データ用回折格子層上での情報データの領域に制限して、光検出器上で面積分の値を算出し、その結果を記録データ用回折格子層上での情報データとすることを特徴とする。
【0020】
また、請求項4に記載の発明は、少なくとも、1つ以上のコア層と、コア層の上面あるいは下面あるいはコア層内に設けられた形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、コア層あるいは記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体の記録データ用回折格子層に記録される情報データを生成する情報データ生成方法であって、基画像データ入力部にて、光検出器上に再生すべき基画像データを入力し、次に画像位相シフト部にて基画像データを、開口間部によりデータ欠落しない1つ以上の基画像データと、開口間部によりデータ欠落する1つ以上の基画像データとに分け、データ欠落する基画像データに対して計算上の逆再生光が開口を通過するよう位相シフトを施し、前記データ欠落しない基画像データと前記位相シフトを施した基画像データとを足し合わせ、これを基画像位相シフトデータとし、次に情報データ変換部にて、基画像位相シフトデータと伝達関数の複素共役との積を光検出器上で面積分し、その結果を記録データ用回折格子層上での情報データとすることを特徴とする。
【0021】
また、請求項5に記載の発明は、少なくとも、1つ以上のコア層と、コア層の上面あるいは下面あるいはコア層内に設けられた形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、コア層あるいは記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体の記録データ用回折格子層に記録される情報データを生成する情報データ生成プログラムであって、基画像データ入力部にて、光検出器上に再生すべき基画像データを入力する第1のステップと、画像変調部にて基画像データの振幅あるいは位相のいずれか一方あるいは両方に変調をかけ、これを基画像変調データとする第2のステップと、情報データ変換部にて、基画像変調データと伝達関数の複素共役との積を、基画像変調データに対応させたい記録データ用回折格子層上での情報データの領域に制限して、光検出器上で面積分の値を算出し、その結果を記録データ用回折格子層上での情報データとする第3のステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明によれば、積層ホログラムROM記憶媒体に、媒体固有IDのような記憶媒体1枚1枚に異なる情報データを記録することが可能となる。
また、本ROM再生用の装置によりこの情報データを再生することが可能となる。
さらに、記憶媒体と光検出器間に開口マスクの開口間部などの再生光を遮光するものが配された場合にも、データの欠落無しに、再生光を再生検出することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
<積層ホログラム記憶媒体及び記録再生方法、装置>
以下、本発明が適用される記憶媒体及び記録再生方法、装置について説明する。
本発明が適用対象となる積層ホログラム記憶媒体は、少なくとも、2つ以上のコア層と、前記コア層を挟むように配置した3つ以上のクラッド層と、前記一部のコア層とこれを挟むクラッド層との境界あるいはコア層内に設けられ、形状あるいは屈折率分布として情報データが記憶され、情報データを再生光として出射する1つ以上の回折格子層と、前記他のコア層とこれを挟むクラッド層との境界あるいはコア層内に設けられ、情報データが形状あるいは屈折率分布により記憶され、情報データを再生光として出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記他のコア層あるいは記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはギャップ層を介して、あるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層から離して設けられ、情報データが光の透過、不透過性を持つ穴の有無あるいは透過率の大小により情報を示す記録マークの有無として記録される1つ以上の記録層とから構成されることを特徴としている。
【0025】
図1は、本発明の適用対象となる積層ホログラム記憶媒体である記憶媒体の構成の一例を示す図である。同図において、記憶媒体1は、3つのコア層2と、前記コア層2を挟むように配置した4つのクラッド層3と、前記コア層2とクラッド層3との境界あるいはコア層2内に設けた2つの回折格子層4と、特定の1つのコア層2とこれを挟むクラッド層3(ギャップ層44)との境界あるいはコア層2内に設けた1つの記録データ用回折格子層43と、前記コア層2にクラッド層3(ギャップ層44)を介して配された記録層42とから構成される。図3ではコア層2を3つ、クラッド層3を4つとしたが、コア層2は2つあるいは4つ以上、クラッド層3は前記コア層2を挟む数だけあればよい。図では回折格子層4、記録データ用回折格子層43はコア層2の下面、クラッド層3との境界に設けられている。
【0026】
さらに、本発明の適用対象となる記憶媒体は、少なくとも1つ以上のコア層と、前記コア層を挟むように配置した1つ以上のクラッド層と、前記コア層の上面あるいは下面あるいはコア層内に設けられ、形状あるいは屈折率分布として情報データが記憶され、情報データ再生光として出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、コア層あるいは記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはギャップ層を介して、あるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層から離して設けられ、情報データが光の透過、不透過性を持つ穴の有無あるいは透過率の大小により情報を示す記録マークの有無として記録される1つ以上の記録層とから構成されることを特徴とする。
【0027】
図2にその記憶媒体の構成の一例を示す。同図において、1つのコア層2の下に1つのクラッド層3が設けられ、コア層2とクラッド層3との境界、すなわちコア層2の下面に1つの記録データ用回折格子層が設けられ、コア層の上に1つのギャップ層44を介して1つの記録層42が設けられた構成をなす。この場合も特定の記録型媒体の用途では同様の効果を奏する。
【0028】
回折格子層4、記録データ用回折格子層43には情報データが例えば、凹凸形状、あるいは屈折率分布として記憶されており、またこれらの位置はコア層2とクラッド層3、ギャップ層44との境界(上面、下面)あるいはコア層内であり、いずれも同様の効果を奏する。記録層42、記録データ用回折格子層43及びギャップ層44は1つだけでなく、複数でも同様の効果を奏する。また、回折格子層4、記録データ用回折格子層43、記録層42は、コア層2に直接隣接させてもよく、またギャップ層を介して配しても同様の効果を奏する。コア層、クラッド層の材料としては樹脂、ガラス、光学結晶などが使用でき、ギャップ層としてはクラッド層3と同様の特性を有する材料(樹脂、ガラス、光学結晶など)を用いることができる。
【0029】
記録層42は、光(赤外光、可視光、紫外光、レーザ光、X線、電子線などを含む)あるいは熱が当たると形状あるいは屈折率などの光学特性が変化し、光に対する透過/不透過性(透明/不透明変化、透過率の大小、穴有り/無しなどを含む)機能を有する材料が利用できる。例えば、特定の光、熱が当たると不透明から透明に変わる(あるいはその逆)、あるいは形状変化/昇華により消失する(穴が開く)ような特性を有する材料が利用できる(記録層42上にこのようにして形成された跡を記録マーク45と呼ぶこととする)。透過部分を記録マーク45としても、あるいは不透過部分を記録マーク45としてもよい。
【0030】
回折格子層4、記録データ用回折格子層43は、隣接するコア層2に入射した入射光8を、例えば、凹凸形状あるいは屈折率分布として記憶された情報データにより回折し、再生光9として出射する機能を有している。なお、クラッド層3、ギャップ層44は複数あってもよく、さらに記憶媒体1の上下表面にクラッド層、コア層、ギャップ層などと同様の光学特性を有する保護層を設けてもよい。
【0031】
図3は、記憶媒体1に記憶された情報データを再生する再生装置の一例を示す側面図である。同図において、再生装置5は、光ヘッド6と、光検出器7と、開口マスク10と、再生光学系12とから構成される。
記憶媒体1は下から、クラッド層3、記録データ用回折格子層43、コア層2、ギャップ層44、記録層42、クラッド層3、…、クラッド層3、回折格子層4、コア層2、クラッド層3、回折格子層4、コア層2、クラッド層3の順に積層した構成をなす。
再生装置5は、記憶媒体1の上方に開口マスク10、再生光学系12、光検出器7の順に配された構造をなす。
【0032】
光ヘッド6は、記憶媒体1の所望のコア層2に入射光8を入射させる機能を有する。再生光9は入射光8が回折格子層4及び記録データ用回折格子層43における情報データに対応する凹凸形状あるいは屈折率分布によって回折され、記憶媒体1の上方外部へ出射する光であり、光検出器7上で検出される。光検出器7は、再生光9を検出する機能を有し、CCD、CMOSなどの二次元光センサ、ラインスキャナなどの一次元センサ、PDなどのゼロ次元(点)センサなどが使用できる。
【0033】
再生光学系12は、回折格子層4及び記録データ回折格子層43から出射した再生光9を光検出器7に結像させる機能を有し、例えば、開口マスク10、レンズ、プリズム、ハーフミラー、(偏光)ビームスプリッタ、ミラー、偏光子、液晶素子など各種光学部品及びこれらを組合せたものから構成することができる。
開口マスク10は記憶媒体1から出射した再生光9が光検出器7に入射するまでの光路の途中に配置され、回折格子層4の1つ1つに多重に情報データを記憶した場合、回折格子層4から出射する複数の情報データに対応した複数の再生光9を分離再生する機能有する。
【0034】
具体的には1つ以上の開口を有するマスクからなり、各開口は開閉可能な機能を有する。開口位置が固定したマスクを図3の横方向に移動して記憶媒体1に対して相対的に開口位置を変えるもの(結果的に開閉机上と同等の機能)(メタル抜き、ガラス基板上に金属膜コートなどで作製)、複数の液晶素子で構成し電子的に開閉を操作するものなどが挙げられる。なお、再生光学系12、開口マスク10は必ずしも必要とは限らない。
【0035】
〈情報データの記録、再生過程〉
以下に記憶媒体1への情報データ記録過程を示す。記憶媒体1内の回折格子層4へのコンテンツなどROM情報データ記録、例えば、原盤を用いたスタンピング法により行なわれる。
一方、媒体固有のID情報データ記録に際しては光線照射系あるいは電子線照射系を用いて、記録層42に光に対する透過/不透過性を示す箇所(記録マーク45)(透明/不透明、透過率の大小、穴有り/無しなどを含む)を形成、描画、あるいは空間光変調器などを用いた一括投影により行う。この記録マーク45の位置、形状などに対応させて、記録層42に情報データを記録する。記録層42の形状、屈折率変化、消失(穴開き)などが記録マーク45として機能する。
【0036】
記録過程は図1、図2の記憶媒体を作製した後に行ってもよく、また記録層が表層に露出している段階で行ってもよい(この場合には、記録過程の後に図1、2の記憶媒体の構成に積層、作製する)。なお、記録データ回折格子層43の凹凸形状などの形成は、上記回折格子層4と同様、例えば、原盤を用いたスタンピング法により行うことができる。
次に記憶媒体1の情報データ再生過程を示す。記憶媒体1内の回折格子層4の情報データ(コンテンツなどのROM情報)の再生は、回折格子層4に隣接するコア層2に光ヘッド6から入射光8を入射させ、回折格子層4から出射される再生光9を光検出器7で検出して行う(コンテンツなどROM情報の回折格子層4における記録、再生は従来技術と同様のものが利用できる)。
【0037】
一方、ID情報データ(媒体固有情報など)の再生に際しては、記録データ用回折格子層43に隣接するコア層2に光ヘッド6から入射光8を入射させ、記録データ用回折格子層43から出射される再生光9が、記録層42において、例えば、記録マーク45が有る箇所では透過し、無い場所では透過しないといったように情報データを有する記録層42における記録マーク45の有無に対応して、光検出器7において光の明暗パターンとして検出することにより行う。
【0038】
ここで記録データ用回折格子層43の記録データ(情報データ)を再生光9が光検出器7に結像するように形成しておくと、光検出器7の位置で光学的なボケなどを低減させることができ、記録層42に記録した情報データの再生を確実にできるため有利である。
なお、上記のようにID情報データに対しても、回折格子層4の情報データ(コンテンツなどのROM情報)と同様の光学系、機構系を用いて再生が可能であるため、従来のROM再生装置を再生装置として用いることができる。
【0039】
以下に上記課題を解決する本発明の情報データ生成装置及び情報データ生成方法の実施形態を、具体的に説明する。なお、以下の実施形態においても上述の情報データ生成装置17と同様の構成要素である基画像データ入力部18、及び情報データ変換部19が使用され、上述と同様の機能を有するものとする。
【0040】
〈第1実施形態〉
本発明の第1実施形態に係る情報データ生成方法は、基画像データ入力部にて、光検出器上に再生すべき基画像データを入力し、次に、基画像データの振幅あるいは位相のいずれか一方あるいは両方に変調をかけ、これを基画像変調データとし、次に情報データ変換部にて、基画像変調データと伝達関数の複素共役との積を、積分値を基画像(変調)データに対応させたい記録データ用回折格子層上での情報データの領域に制限して、光検出器上で面積分し、その結果を記録データ用回折格子層上での情報データとすることを特徴とする。
【0041】
図4に本発明の第1実施形態に係る情報データ生成装置及び情報データ生成方法を示す。すなわち、図4は、本発明の第1実施形態に係る情報データ生成装置の各部の機能と、情報データの生成フローを示している。
同図において、まず、基画像データ入力部18において、光検出器7上に再生すべき基画像データu0(a0,θ0)を入力する(ステップ100)。
次いで、画像データ変調部20において基画像データu0(a0,θ0)の振幅a0あるいは位相θ0のいずれか一方あるいは両方に変調をかけ、これを基画像変調データu0’(a0’,θ0’)とする(ステップ101)。
【0042】
次に、情報データ変換部19において、基画像変調データu0’と伝達関数gの逆数g−1(複素共役)との積を面積分を次式のように行う。
【0043】
【数2】
ここで、面積分は光検出器7上で行うが、その積分値は基画像(変調)データに対応させたい記録データの領域に制限して計算する(ステップ102)。
次いで、その計算結果を記録データ回折格子層43上での情報データ(記録データ)uh(ah,θh)とする(ステップ103)。このuh(ah,θh)が求めるべき記録データ用回折格子層43上での記録データを表す波面関数(ホログラムデータ)である。
【0044】
上記で、振幅変調とは例えば、振幅値(画像データの明暗度)を8bit(=256階調)で表した場合、二次元分布する基画像データの各点の振幅値を基画像の領域内で一様とならないように0と255の間で規則的にあるいはランダムに変化させた値とすることを意味する。これは例えば、図18、図20などに示す基画像データA200の振幅値がu0では二次元的に分布する全ての点において255(真白に対応)だったものを、変調後のu0’では何点かおきに(点の間隔を規則的にあるいはランダムに)、その振幅値を0から255のうちのいずれかの値に(振幅値を規則的にあるいはランダムに)変化させて設定することに対応する。同様に位相変調とは、二次元分布する基画像データ各点の位相値を0から2πまでの値で、振幅値同様(点間隔をあるいは位相値自体を、規則的あるいはランダムに)変化させることを意味する。
【0045】
基画像データの各点の振幅値を変調して情報データを生成した場合、得られる再生光の各点の振幅値は、基画像データの各点の振幅値を再現するものではなくなる。しかし、本発明が対象とする積層ホログラム記憶媒体では、ディジタル量の記録再生を扱うことを前提としており、従って、積層ホログラム記憶媒体に記録される基画像データもディジタル量を表すものであり、かつ、積層ホログラム記憶媒体に記録された情報を再生する場合、再生された信号は、最終的に2値化処理され、ディジタル量を表すものとなることを前提としている。そのため本発明では、積層ホログラム記憶媒体の再生光の各点の振幅値が、基画像データの各点の振幅値に対応している必要はなく、再生光に対して、空間的フィルタリング処理を施したり、2値化処理時の閾値を適切に選ぶことにより、2値化処理後のデータをディジタル量としての基画像データに一致させることができる。
【0046】
図5に画像データ変調部における、基画像データ変調の様子を示す。画像データA200は、振幅、位相のいずれかあるいは両方に変調がかかった関数であり、基画像変調データu0’(a0’,θ0’)に対応するものである。この場合、図18、図20とは異なり、変調を施した効果として、画像データA200の各点からの計算上の逆再生光91は種々の角度成分を有するものとなり、このような計算上の逆再生光91によって記録データ用回折格子層43上に情報データ(記録データ)uh(ah,θh)が形成、作成される。
【0047】
図6は図5に対応する再生過程を示す図であり、画像データA200に対応して記録データ用回折格子層43上に作成された記録データA201から出射する再生光9は種々の角度成分を有するものとなり、図6に示すように光検出器7上に結像する再生画像データA202としては、開口間部100の遮光によるデータ欠落のない画像を得ることが可能となる。
【0048】
上記で面積分の積分値を基画像変調データに対応させたい記録データの領域に制限して計算する点について、図7、図8を用いて説明する。図7では、画像データA200から記録データA201への変換時の面積分の積分値を、画像データA200に対応させたい記録データ領域(記録データA201の領域)だけでなく、画像データA200の隣に位置する画像データB204に対応させたい記録データ領域(記録データB203の領域)まで広げて計算している。
画像データA200は変調されているため、これを記録データ用回折格子層43上に変換すると、図7に示す計算上の逆再生光91のように、記録データ用回折格子層43上の広い範囲に広がって変換されてしまう。
【0049】
図8は、図7に対応する再生過程を示した図である。図8では記録層42上に、画像データA200(再生画像データA202)に対応する記録マークA451はなく、代りに画像データB204(再生画像データB205)に対応する記録マークB452が形成されている。この場合、記録データB203から出射する再生光9は記録マークB452を透過し再生画像データA202の位置に明部を結像してしまう。
【0050】
すなわち、本来は記録データA201から出射する再生光9を記録マークA451を透過させ再生画像データA202とし、また記録データB203から出射する再生光9を記録マークB452を透過させ再生画像データB205とするというように、記録層42上の記録マーク45と光検出器7上の再生画像データを1対1に対応させて、記録層42上の記録マーク45の二次元配列状態を光検出器7上の明部(再生画像データA,Bなど)の二次元配列として検出することが本発明の媒体固有情報データの記録再生原理であるのに対し、図7のように面積分の積分値を基画像(変調)データに対応させたい記録データの領域に制限しないで計算すると、図8のように、記録マークB452を形成したにもかかわらず、これとは対応関係のない再生画像データA202が明部となってしまう。
【0051】
これを避けるためには、図5に示すように面積分の積分値の計算を基画像(変調)データに対応させたい記録データの領域に制限する。すなわち、上図において、画像データA200に対応する積分値の計算を記録データA201の領域に制限すれば、画像データA200に対応する記録データは記録データA201の領域にしか形成されないため、記録マークA451が形成された場合のみ再生画像データA202を明部とすることが可能となる。
【0052】
なお、面積分の積分値を基画像(変調)データに対応させたい記録データの領域に予め制限して計算する代わりに、面積分の積分値を記録データ用回折格子層43上の広い範囲で計算した後に基画像(変調)データに対応させたい記録データの領域以外の積分値をゼロに置換しても構わない。
【0053】
〈第2実施形態〉
本発明の第2実施形態に係る情報データ生成方法は、基画像データ入力部にて、光検出器上に再生すべき基画像データを入力し、次に基画像データを開口間部によりデータ欠落しない1つ以上の基画像データと、開口間部によりデータ欠落する1つ以上の基画像データとに分け、データ欠落するもデータに対し計算上の逆再生光が開口を通過するよう位相シフトを施し、前記データ欠落しない基画像データと前記位相シフトを施した基画像データとを足し合わせ、これを基画像位相シフトデータとし、次に情報データ変換部にて、基画像位相シフトデータと伝達関数の複素共役との積を光検出器上で面積分し、その結果を記録データ回折格子層上での情報データとすることを特徴とする。
【0054】
図9に、本発明の第2実施形態に係る情報データ生成装置及び情報データ生成方法を示す。すなわち、図9は、本発明の第2実施形態に係る情報データ生成装置の各部の機能と情報データ生成のフローを示している。まず、基画像データ入力部18において、光検出器7上に再生すべき基画像データu0(a0,θ0)を入力する(ステップ300)。
次に、画像データ位相シフト部21において、基画像データu0(a0,θ0)のうち開口間部100により影にならない(データ欠落しない)部分をu00,影になる(データ欠落する)部分をu01,u02,u03,…とし、u01,u02,u03,…に対し、計算上の逆再生光91が開口11を通過するよう、位相θ01,θ02,θ03,…にシフト(位相シフト)をかけ、θ01’,θ02’,θ03’,…としたものをu01’,u02’,u03’,…とする。
【0055】
u00及び新規に作成したu01’,u02’,u03’,…を合成(足し合わせる)して基画像位相シフトデータu0’’(a0’’,θ0’’)を作成する(ステップ301)。なお、ここでu00=u0でも構わない。これ以降に関しては図9に示すように図17、図4と同様にして、情報データ変換部19にて情報データ(記録データ)uhを計算すれば、これが求めるべき記録データ用回折格子層43上での記録データを表す波面関数(ホログラムデータ)となる(ステップ302、303)。
【0056】
ここで、位相シフトについて説明する。図10に示すように基画像データA200からの計算上の逆再生光91を一点鎖線のように垂直方向に対して角度+φだけ傾けて斜めに形成する場合を考える。この場合、例えば、元の位相θに2πρ/(λ/sinφ)を加えることで位相シフトが実施できる。なお、ここで、λは入射光8、再生光9などの光の波長、ρは光検出器7上に二次元的に分布する基画像データの各点の距離(光検出器7上に定めた原点からの距離)である。
【0057】
図10に画像データ位相シフト部における、基画像位相シフトデータ生成の様子を示す。画像データA200のうち、中央部分は開口間部100によってデータが欠落する部分である。この部分に関して角度+φだけ位相シフトし、斜め右下に計算上の逆再生光91を形成すると、開口間部100を避け、記録データA201上(図中右端部)に画像データA200のうち開口間部100によってデータが欠落する部分に対応する記録データを形成することができる。
【0058】
図11は、角度+φだけでなく、角度−φ方向にも位相シフトし、斜め右下及び斜め左下に計算上の逆再生光91を形成し、記録データA201上の右端部及び左端部に画像データA200のうち開口間部100によってデータが欠落する部分に対応する記録データを形成した例である。このように画像データA200の各部に対して、記録データA201上であれば複数の記録データを形成しても構わない。
【0059】
図12は図11に対応した再生過程を示す図である。記録データA201上には再生画像データA202のうち、開口間部100により欠落する可能性のあった中央部に明部を形成する再生光9を出射すべく記録データが(この場合右端及び左端に)形成されているため、再生画像データA202には開口間部100によるデータ欠落が生ずることなく再生光9が再生できている。
第2実施形態については、記録マークと再生画像データを1対1に対応させるためには、位相シフトして生成した計算上の逆再生光91が記録データ用回折格子層43上に照射される領域を、基画像データに対応させたい記録データの領域内に制限する必要がある。
【0060】
図13は、本発明の第2実施形態に係る情報データ生成装置及び情報データ生成方法の別の例を示す図である。図9に示す情報データ生成装置及び情報データ生成方法では、画像データ位相シフト部において、u00及び新規に作成したu01’,u02’,u03’,…を合成(足し合わせる)して基画像位相シフトデータu0’’(a0’’,θ0’’)を作成し、情報データ変換部19にて、基画像位相シフトデータu0’’(a0’’,θ0’’)と伝達関数gの逆数g−1(複素共役)との積の面積分(変換)、すなわち
【0061】
【数3】
を行って記録データ回折格子層上での情報データ(記録データ)uhを求めた。これに対し、図13に示す情報データ生成装置及び情報データ生成方法では、画像データ位相シフト部においてはu00及びu01’,u02’,u03’,…を作成するだけにとどめ、情報データ変換部19にてu00及びu01’,u02’,u03’,…の各々と伝達関数gの逆数g−1(複素共役)との積の面積分(変換)である
【0062】
【数4】
を行い、これらの結果の総和を次式により求める。
【0063】
【数5】
式(5)により求められた総和を記録データ用回折格子層上での情報データ(記録データ)uhとする。図9及び図13のいずれの方法も同様の効果を奏する。
【0064】
上記では情報データ生成装置、情報データ生成方法における画像データ関数(u0,uh,u0’,…など)の変換、逆変換は光検出器7上と記録データ用回折格子層43上との間で行う例を示したが、この間に例えば、開口マスク、記録層などまでの変換、逆変換を挿入(例えばu0からuhへの変換を、光検出器7上から記録データ用回折格子層43上へ直接行う代わりに、光検出器7上から開口マスク上へ変換し、その後開口マスクから記録層へ変換し、その後記録層から記録データ用回折格子層43上へ変換することを意味する)しても構わず、これらも本発明の範疇とする。
【0065】
上記では、光検出器7上の基画像データに対して変調、位相シフトを行ったが、記録データ用回折格子層43上の記録データに対して、同様の変調、位相シフトを行ってもよく、また光検出器7上と記録データ用回折格子層43上との間のどこか任意の位置において同様の変調、位相シフトを行ってもよく、いずれも同様の効果を奏する。
上記実施形態において、基画像データ入力部18、画像データ変調部20、画像データ位相シフト部21、及び情報データ変換部19での機能を、各々別の部で実施する実施例も、結果的に上記で記した手順が実行されれば同様の効果を奏するため、これらも本発明の範疇とする(例えば、図13の実施例も、本質的にはこれに属する)。
【0066】
本発明では、一般にはディジタル量を扱う場合が多く、従って、本願明細書中の関数も離散的な関数、また数式も離散数学的数式であることが多い。よって、例えば、本願明細書中で、積分型で記述した数式は、これに対応するサンメンション(和:Σ)型の数式に置換されてもよく、このように置換された実施例も本発明の範疇とする。
【0067】
本明細書で図示した実施形態は、本発明の典型的な実施形態に過ぎず、各実施形態をを組合せ、あるいは組み替えたものも同様の効果を奏し、本発明の範疇とする。
【0068】
なお、図4、9、13に示した本発明に係る情報データ生成装置の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより本発明の適用対象である記憶媒体の記録データ用回折格子層上に記憶される情報データを生成するようにしてもよい。
【0069】
なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0070】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明が適用される記憶媒体の構成例を示す側面(断面)図。
【図2】本発明が適用される記憶媒体の他の構成例を示す側面(断面)図。
【図3】本発明が適用される記憶媒体に記憶されている情報データを再生する再生装置の構成を示す図。
【図4】本発明の第1実施形態に係る情報生成装置の機能及び情報データ生成のフローを示す図。
【図5】図4に示した本発明の第1実施形態に係る情報生成装置における画像データ変調部における基画像データの変調の様子を示す説明図。
【図6】図5に対応する再生過程を示す説明図。
【図7】図4に示した本発明の第1実施形態に係る情報生成装置における情報データ変換部における基画像データの記録データへの変換時の様子を示す説明図。
【図8】図7に対応する再生過程を示す説明図。
【図9】本発明の第2実施形態に係る情報生成装置の機能及び情報生成のフローを示す図。
【図10】図9に示した本発明の第2実施形態に係る情報生成装置における画像データ位相シフト部における、基画像位相シフトデータの生成の様子の一例を示す説明図。
【図11】図9に示した本発明の第2実施形態に係る情報生成装置における画像データ位相シフト部における、基画像位相シフトデータの生成の様子の一例を示す説明図。
【図12】図11に対応する再生過程を示す説明図。
【図13】本発明の第2実施形態に係る情報生成装置の変形例の機能及び情報生成のフローを示す図。
【図14】従来の記憶媒体の構成を示す側面(断面)図。
【図15】図14に示す記憶媒体に記憶された情報データを再生する再生装置の構成を示す図。
【図16】従来の情報データ生成装置の構成を示すブロック図。
【図17】図16に示した従来の情報データ生成装置による情報データの生成フローを示す図。
【図18】図16に示した従来の情報データ生成装置の情報データ変換部により基画像データ記録データ(情報データ)に変換する様子の一例を示す図。
【図19】図18に対応する再生過程を示す図。
【図20】図16に示した従来の情報データ生成装置の情報データ変換部により基画像データ記録データ(情報データ)に変換する様子の他の例を示す図。
【図21】図20に対応する再生過程を示す図。
【符号の説明】
【0072】
1…記憶媒体、2…コア層、3…クラッド層、4…回折格子層、5…再生装置、6…光ヘッド、7…光検出器、8…入射光、9…再生光、10…開口マスク、11…開口、12…再生光学系、18…基画像データ入力部、19…情報データ変換部、20…画像データ変調部、21…画像データ位相シフト部、42…記録層、43…記録データ用回折格子層、44…ギャップ層、45…記録マーク、100…開口間部
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報データ生成装置、情報データ生成方法、及び情報データ生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の積層ホログラムROMを用いた記録媒体、記録再生装置、記録再生方法を以下に説明する(特許文献1参照)。
図14は、記憶媒体1’の側面(断面)を示す図であり、コア層2’とクラッド層3’とが交互に積層し、コア層2’とクラッド層3‘との境界に回折格子層4’が設けられた構造を成す。回折格子層4’には情報データが、例えば、凹凸形状によって記憶されている。
【0003】
図15は、記憶媒体1’に対する再生装置5’の側面を示す図であり、光ヘッド6’と、光検出器7’とから構成される。光ヘッド6’は記憶媒体1’の所望のコア層2’に入射光8’を入射させる機能を有する。再生方法は以下の通りである。光ヘッド6’により記憶媒体1’の所望のコア層2’に入射光8’を入射させると、光は前記コア層2’に隣接した回折格子層4’に記憶されている情報データ(凹凸形状)に回折され、再生光9’となって記憶媒体1’の上面に出射する。これを光検出器7’で検出すると、記憶媒体1’に記憶された情報データを再生することができる。記憶媒体1’は小型大容量化でき、また再生装置5’は構成、構造が単純なため小型化できる。積層ホログラムROMは将来の小型大容量なコンテンツ配布用メモリとして期待されている。
【0004】
近年、コンテンツの著作権を不正コピー、偽造行為などから守るため、ROM型記憶媒体に対して例えば、固有ID情報データを付与する必要性が生じてきた。このためには、記憶媒体個々に対して各々異なる情報データを記録できること、さらにできればこの情報データを図15に示すような積層ホログラムROM再生用の装置で再生できることが要求される。上記従来技術においては、記憶媒体1’への情報データの記録は、原盤を用いたスタンピング法により行われる。この方法では、コンテンツデータのような全く同一の情報データを有した記憶媒体を大量に生産することは得意とするものの、媒体固有IDのような1枚1枚異なる情報データを有する記憶媒体を作製することは生産性、コスト面で割りが合わず、苦手である。また、記憶媒体1’はROM専用媒体であり、媒体作製後には情報データを記録することができない。
以上、従来技術では記憶媒体に媒体固有IDのような記憶媒体1枚1枚に異なる情報データを記録させることは困難であるという問題があった。
【特許文献1】特開平11−345419号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した記憶媒体に媒体固有IDのような記憶媒体1枚1枚に異なる情報データを記録させることは困難であるという問題を解決するために、本発明者は、既に新規な積層ホログラム記憶媒体を提案している(特願2004−262330号)。この積層ホログラム記憶媒体は、図1に示すように、少なくとも1つ以上のコア層と、前記コア層を挟むように配置した1つ以上のクラッド層と、前記コア層の上面あるいは下面あるいはコア層内に設けられ、形状あるいは屈折率分布として情報データが記憶され、情報データ再生光として出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、コア層あるいは記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはギャップ層を介して、あるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層から離して設けられ、情報データが光の透過、不透過性を持つ穴の有無あるいは透過率の大小により情報を示す記録マークの有無として記録される1つ以上の記録層とから構成される。
【0006】
上記構成の積層ホログラム記憶媒体では、記録層に識別番号等の、各積層ホログラム記憶媒体毎の固有の情報データを書き込んだ後に、上部にコンテンツの情報データが書き込まれた回折格子層からなる記録層を貼り付け等により形成するため、記録層に対する情報データの書き込みが容易に行えるものである。これにより、記憶媒体個々に固有の情報データを記録することができ、記憶媒体の個々を管理することが可能となり、記憶媒体に記憶されたコンテンツの著作権を、不正コピー、偽造行為から守ることができる効果が得られるものである。
【0007】
ところで、このように構成された積層ホログラム記憶媒体の記録データ用回折格子層に記録される情報データを、再生光が上記積層ホログラム記憶媒体の上方または下方に配置された光検出器に結像するように形成するための従来の情報データ生成装置及び情報データ生成方法について説明する。
【0008】
〈従来の情報データ生成装置、情報データ生成方法〉
次に、従来の情報データ生成装置を図16に示す。同図において、情報生成装置17は、少なくとも、光検出器7上で検出すべき基画像データを入力する1つ以上の基画像データ入力部18と、前記基画像データを記録データ用回折格子層43上の情報データ(記録データ)へ変換する1つ以上の情報データ変換部19とから構成される。
次に、図16に示した情報データ生成装置17で行う従来の情報データ生成方法(処理)について説明する。なお、以下では記録データ用回折格子層43における記録データは凹凸形状により形成されることを前提とするが、他(屈折率変化など)に対しても同様である。
【0009】
従来の情報データ生成方法は、基画像データ入力部18にて、光検出器上に再生すべき基画像データを入力し、次に情報データ変換部19にて、基画像データと伝達関数の複素共役との積を光検出器上で面積分し、その結果を記録データ用回折格子層上での情報データとする。
次に、図17に情報データ生成フローを示す。同図において、まず、基画像データ入力部18にて、光検出部7上に再生すべき基画像データを入力し、これを表す波面関数をu0(a0,θ0)とおく(ステップ400)。
ここで、a0は波面関数u0の振幅、θ0は位相であり、波面関数は光検出器7上で二次元に分布する関数である(以下、他のデータを表す波面関数に対しても同様)。 次に、情報データ変換部19にて、波面関数u0と伝達関数gの逆数g−1(複素共役)との積を、光検出器7上で面積(変換)する(ステップ401)。
【0010】
【数1】
この計算結果をuh(ah,θh)とおく(ステップ402)。このuh(ah,θh)が求めるべき記録データ用回折格子層43上での記録データを表す波面関数(ホログラムデータ)である(記録データ用回折格子層43上で二次元に分布)。なお、物理的に記録データ用回折格子層43に記録データ(ホログラムデータ)を形成する際には、記録データ用回折格子層43に隣接するコア層2に入射光8が入射・導波し、記録データ用回折格子層43の凹凸形状(ホログラムデータ)によって回折・散乱する再生光9の、凹凸形状によって回折・散乱した直後の再生光の波面関数がuh(ah,θh)となるよう、uh(ah,θh)を基に凹凸形状を設計、作製すればよい。
【0011】
なお、u0,uh,urなど本明細書中でのデータを表す関数は二次元的に分布しているが、ディジタル的な扱いをする場合は、i行j列(i,jは整数)の複数の点が二次元的に分布する点の集まりとして表現される。すなわち、u0のi行j列番目の振幅はa0(i,j)の値、位相はθ0(i,j)の値をとるなどといった表現となる。また、伝達関数gは例えば、g=(exp[I・K・r])/rのような形で表現され、例えば、記録データ用回折格子層43上のある点光源に対する光検出器7上のある点の光の複素振幅比を表す関数である。ここで、I=√(-1),K=2π/(λ/n)(K:光の波数,λは光の波長,nは屈折率),rは例えば、光検出器上7上のある点と記録データ用回折格子層43上のある点との間の距離を表す。
【0012】
図18において、記憶媒体1と光検出器7との間に光学的障害物がない場合には、上記の装置、手法により問題なく記録データ用回折格子層43上の記録データ(情報データ)を生成できる。しかしながら、記憶媒体1と光検出器7との間に例えば、開口マスク10の開口間部100のような光学的障害物がある場合には、これが再生光(あるいは計算上の逆再生光91)を遮り、光検出器7上に再生される再生像92の再生データの一部あるいは全部が欠落する結果を招くことがある。
図18は、光検出器7上に基画像データA200(例えば、二次元バーコードの1セルに対応)を作成し、これを基画像データとして記録データ用回折格子層43上に基画像データA200に対応した記録データA201を計算した結果の例(基画像の振幅、位相をほぼ一様とした場合)を示す図である。
【0013】
光検出器7と記憶媒体1間には開口マスク10が配され、開口間部100によって計算上の逆再生光91が遮られている。このため、記録データ用回折格子層43上の記録データA201にも、開口間部100に対応した箇所においてデータが欠落した箇所ができる。図19はこうして生成された記録データA201から再生光9が再生される様子を示す図である。
記録データA201のデータが欠落した箇所からは再生光9は出射しないため、結果として光検出器7上で検出される再生画像データA202にも欠落した箇所が生じる(図19中の再生画像データA202の中央の暗部)。
【0014】
図20は同様に基画像データA200から記録データA201を計算した結果の例(基画像の振幅、位相をほぼ一様とした場合)を示す図である。光検出器7と記憶媒体1間には開口マスク10がないものとして計算している。この場合、計算上の逆再生光91は遮られることがないため、欠落部分なしに記録データA201は計算される。図21は、この記録データA201からの再生光9を、光検出器7と記憶媒体1間に図18と同様に開口マスク10を配して再生する場合を示す。
【0015】
記録データA201からは欠落なしに再生光9が出射されるが、その一部が開口間部100により遮られるため、光検出器7上には図19と同様、一部が欠落した再生像として再生画像データA202が再生される。
以上、いずれの場合も再生画像データには欠落(開口間部の影)が生じ、再生画像データが正確に再生されないという問題が発生する。このような場合、最悪の状態では例えば、再生画像データのデコードを行うことが困難となるという問題が有った。
【0016】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、再生時に欠落が生じない情報データを再生すること可能とする情報データ生成装置、情報データ生成方法及び情報データ生成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、少なくとも、1つ以上のコア層と、コア層の上面あるいは下面あるいはコア層内に設けられた形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、コア層あるいは記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体の記録データ用回折格子層に記録される情報データを生成する情報データ生成装置であって、再生光を検出する光検出器上に再生すべき基画像データを入力する基画像データ入力部と、基画像データの振幅あるいは位相のいずれか一方あるいは両方に変調をかけ、これを基画像変調データとする画像変調部と、基画像変調データと伝達関数の複素共役との積を、基画像変調データに対応させたい記録データ用回折格子層上での情報データの領域に制限して、光検出器上で面積分の値を算出し、その結果を記録データ用回折格子層上での情報データとする情報データ変換部とを有することを特徴とする。
【0018】
また、請求項2に記載の発明は、少なくとも、1つ以上のコア層と、コア層の上面あるいは下面あるいはコア層内に設けられた形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、コア層あるいは記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体の記録データ用回折格子層に記録される情報データを生成する情報データ生成装置であって、光検出器上に再生すべき基画像データを入力する基画像データ入力部と、基画像データを、開口間部によりデータ欠落しない1つ以上の基画像データと、開口間部によりデータ欠落する1つ以上の基画像データとに分け、データ欠落する基画像データに対して計算上の逆再生光が開口を通過するよう位相シフトを施し、前記データ欠落しない基画像データと前記位相シフトを施した基画像データとを足し合わせ、これを基画像位相シフトデータとする画像位相シフト部と、基画像位相シフトデータと伝達関数の複素共役との積を光検出器上で面積分し、その結果を記録データ用回折格子層上での情報データとする情報データ変換部とを有することを特徴とする。
【0019】
また、請求項3に記載の発明は、少なくとも、1つ以上のコア層と、コア層の上面あるいは下面あるいはコア層内に設けられた形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、コア層あるいは記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体の記録データ用回折格子層に記録される情報データを生成する情報データ生成方法であって、基画像データ入力部にて、光検出器上に再生すべき基画像データを入力し、次に画像変調部にて基画像データの振幅あるいは位相のいずれか一方あるいは両方に変調をかけ、これを基画像変調データとし、次に情報データ変換部にて、基画像変調データと伝達関数の複素共役との積を、基画像変調データに対応させたい記録データ用回折格子層上での情報データの領域に制限して、光検出器上で面積分の値を算出し、その結果を記録データ用回折格子層上での情報データとすることを特徴とする。
【0020】
また、請求項4に記載の発明は、少なくとも、1つ以上のコア層と、コア層の上面あるいは下面あるいはコア層内に設けられた形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、コア層あるいは記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体の記録データ用回折格子層に記録される情報データを生成する情報データ生成方法であって、基画像データ入力部にて、光検出器上に再生すべき基画像データを入力し、次に画像位相シフト部にて基画像データを、開口間部によりデータ欠落しない1つ以上の基画像データと、開口間部によりデータ欠落する1つ以上の基画像データとに分け、データ欠落する基画像データに対して計算上の逆再生光が開口を通過するよう位相シフトを施し、前記データ欠落しない基画像データと前記位相シフトを施した基画像データとを足し合わせ、これを基画像位相シフトデータとし、次に情報データ変換部にて、基画像位相シフトデータと伝達関数の複素共役との積を光検出器上で面積分し、その結果を記録データ用回折格子層上での情報データとすることを特徴とする。
【0021】
また、請求項5に記載の発明は、少なくとも、1つ以上のコア層と、コア層の上面あるいは下面あるいはコア層内に設けられた形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、コア層あるいは記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体の記録データ用回折格子層に記録される情報データを生成する情報データ生成プログラムであって、基画像データ入力部にて、光検出器上に再生すべき基画像データを入力する第1のステップと、画像変調部にて基画像データの振幅あるいは位相のいずれか一方あるいは両方に変調をかけ、これを基画像変調データとする第2のステップと、情報データ変換部にて、基画像変調データと伝達関数の複素共役との積を、基画像変調データに対応させたい記録データ用回折格子層上での情報データの領域に制限して、光検出器上で面積分の値を算出し、その結果を記録データ用回折格子層上での情報データとする第3のステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明によれば、積層ホログラムROM記憶媒体に、媒体固有IDのような記憶媒体1枚1枚に異なる情報データを記録することが可能となる。
また、本ROM再生用の装置によりこの情報データを再生することが可能となる。
さらに、記憶媒体と光検出器間に開口マスクの開口間部などの再生光を遮光するものが配された場合にも、データの欠落無しに、再生光を再生検出することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
<積層ホログラム記憶媒体及び記録再生方法、装置>
以下、本発明が適用される記憶媒体及び記録再生方法、装置について説明する。
本発明が適用対象となる積層ホログラム記憶媒体は、少なくとも、2つ以上のコア層と、前記コア層を挟むように配置した3つ以上のクラッド層と、前記一部のコア層とこれを挟むクラッド層との境界あるいはコア層内に設けられ、形状あるいは屈折率分布として情報データが記憶され、情報データを再生光として出射する1つ以上の回折格子層と、前記他のコア層とこれを挟むクラッド層との境界あるいはコア層内に設けられ、情報データが形状あるいは屈折率分布により記憶され、情報データを再生光として出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記他のコア層あるいは記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはギャップ層を介して、あるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層から離して設けられ、情報データが光の透過、不透過性を持つ穴の有無あるいは透過率の大小により情報を示す記録マークの有無として記録される1つ以上の記録層とから構成されることを特徴としている。
【0025】
図1は、本発明の適用対象となる積層ホログラム記憶媒体である記憶媒体の構成の一例を示す図である。同図において、記憶媒体1は、3つのコア層2と、前記コア層2を挟むように配置した4つのクラッド層3と、前記コア層2とクラッド層3との境界あるいはコア層2内に設けた2つの回折格子層4と、特定の1つのコア層2とこれを挟むクラッド層3(ギャップ層44)との境界あるいはコア層2内に設けた1つの記録データ用回折格子層43と、前記コア層2にクラッド層3(ギャップ層44)を介して配された記録層42とから構成される。図3ではコア層2を3つ、クラッド層3を4つとしたが、コア層2は2つあるいは4つ以上、クラッド層3は前記コア層2を挟む数だけあればよい。図では回折格子層4、記録データ用回折格子層43はコア層2の下面、クラッド層3との境界に設けられている。
【0026】
さらに、本発明の適用対象となる記憶媒体は、少なくとも1つ以上のコア層と、前記コア層を挟むように配置した1つ以上のクラッド層と、前記コア層の上面あるいは下面あるいはコア層内に設けられ、形状あるいは屈折率分布として情報データが記憶され、情報データ再生光として出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、コア層あるいは記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはギャップ層を介して、あるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層から離して設けられ、情報データが光の透過、不透過性を持つ穴の有無あるいは透過率の大小により情報を示す記録マークの有無として記録される1つ以上の記録層とから構成されることを特徴とする。
【0027】
図2にその記憶媒体の構成の一例を示す。同図において、1つのコア層2の下に1つのクラッド層3が設けられ、コア層2とクラッド層3との境界、すなわちコア層2の下面に1つの記録データ用回折格子層が設けられ、コア層の上に1つのギャップ層44を介して1つの記録層42が設けられた構成をなす。この場合も特定の記録型媒体の用途では同様の効果を奏する。
【0028】
回折格子層4、記録データ用回折格子層43には情報データが例えば、凹凸形状、あるいは屈折率分布として記憶されており、またこれらの位置はコア層2とクラッド層3、ギャップ層44との境界(上面、下面)あるいはコア層内であり、いずれも同様の効果を奏する。記録層42、記録データ用回折格子層43及びギャップ層44は1つだけでなく、複数でも同様の効果を奏する。また、回折格子層4、記録データ用回折格子層43、記録層42は、コア層2に直接隣接させてもよく、またギャップ層を介して配しても同様の効果を奏する。コア層、クラッド層の材料としては樹脂、ガラス、光学結晶などが使用でき、ギャップ層としてはクラッド層3と同様の特性を有する材料(樹脂、ガラス、光学結晶など)を用いることができる。
【0029】
記録層42は、光(赤外光、可視光、紫外光、レーザ光、X線、電子線などを含む)あるいは熱が当たると形状あるいは屈折率などの光学特性が変化し、光に対する透過/不透過性(透明/不透明変化、透過率の大小、穴有り/無しなどを含む)機能を有する材料が利用できる。例えば、特定の光、熱が当たると不透明から透明に変わる(あるいはその逆)、あるいは形状変化/昇華により消失する(穴が開く)ような特性を有する材料が利用できる(記録層42上にこのようにして形成された跡を記録マーク45と呼ぶこととする)。透過部分を記録マーク45としても、あるいは不透過部分を記録マーク45としてもよい。
【0030】
回折格子層4、記録データ用回折格子層43は、隣接するコア層2に入射した入射光8を、例えば、凹凸形状あるいは屈折率分布として記憶された情報データにより回折し、再生光9として出射する機能を有している。なお、クラッド層3、ギャップ層44は複数あってもよく、さらに記憶媒体1の上下表面にクラッド層、コア層、ギャップ層などと同様の光学特性を有する保護層を設けてもよい。
【0031】
図3は、記憶媒体1に記憶された情報データを再生する再生装置の一例を示す側面図である。同図において、再生装置5は、光ヘッド6と、光検出器7と、開口マスク10と、再生光学系12とから構成される。
記憶媒体1は下から、クラッド層3、記録データ用回折格子層43、コア層2、ギャップ層44、記録層42、クラッド層3、…、クラッド層3、回折格子層4、コア層2、クラッド層3、回折格子層4、コア層2、クラッド層3の順に積層した構成をなす。
再生装置5は、記憶媒体1の上方に開口マスク10、再生光学系12、光検出器7の順に配された構造をなす。
【0032】
光ヘッド6は、記憶媒体1の所望のコア層2に入射光8を入射させる機能を有する。再生光9は入射光8が回折格子層4及び記録データ用回折格子層43における情報データに対応する凹凸形状あるいは屈折率分布によって回折され、記憶媒体1の上方外部へ出射する光であり、光検出器7上で検出される。光検出器7は、再生光9を検出する機能を有し、CCD、CMOSなどの二次元光センサ、ラインスキャナなどの一次元センサ、PDなどのゼロ次元(点)センサなどが使用できる。
【0033】
再生光学系12は、回折格子層4及び記録データ回折格子層43から出射した再生光9を光検出器7に結像させる機能を有し、例えば、開口マスク10、レンズ、プリズム、ハーフミラー、(偏光)ビームスプリッタ、ミラー、偏光子、液晶素子など各種光学部品及びこれらを組合せたものから構成することができる。
開口マスク10は記憶媒体1から出射した再生光9が光検出器7に入射するまでの光路の途中に配置され、回折格子層4の1つ1つに多重に情報データを記憶した場合、回折格子層4から出射する複数の情報データに対応した複数の再生光9を分離再生する機能有する。
【0034】
具体的には1つ以上の開口を有するマスクからなり、各開口は開閉可能な機能を有する。開口位置が固定したマスクを図3の横方向に移動して記憶媒体1に対して相対的に開口位置を変えるもの(結果的に開閉机上と同等の機能)(メタル抜き、ガラス基板上に金属膜コートなどで作製)、複数の液晶素子で構成し電子的に開閉を操作するものなどが挙げられる。なお、再生光学系12、開口マスク10は必ずしも必要とは限らない。
【0035】
〈情報データの記録、再生過程〉
以下に記憶媒体1への情報データ記録過程を示す。記憶媒体1内の回折格子層4へのコンテンツなどROM情報データ記録、例えば、原盤を用いたスタンピング法により行なわれる。
一方、媒体固有のID情報データ記録に際しては光線照射系あるいは電子線照射系を用いて、記録層42に光に対する透過/不透過性を示す箇所(記録マーク45)(透明/不透明、透過率の大小、穴有り/無しなどを含む)を形成、描画、あるいは空間光変調器などを用いた一括投影により行う。この記録マーク45の位置、形状などに対応させて、記録層42に情報データを記録する。記録層42の形状、屈折率変化、消失(穴開き)などが記録マーク45として機能する。
【0036】
記録過程は図1、図2の記憶媒体を作製した後に行ってもよく、また記録層が表層に露出している段階で行ってもよい(この場合には、記録過程の後に図1、2の記憶媒体の構成に積層、作製する)。なお、記録データ回折格子層43の凹凸形状などの形成は、上記回折格子層4と同様、例えば、原盤を用いたスタンピング法により行うことができる。
次に記憶媒体1の情報データ再生過程を示す。記憶媒体1内の回折格子層4の情報データ(コンテンツなどのROM情報)の再生は、回折格子層4に隣接するコア層2に光ヘッド6から入射光8を入射させ、回折格子層4から出射される再生光9を光検出器7で検出して行う(コンテンツなどROM情報の回折格子層4における記録、再生は従来技術と同様のものが利用できる)。
【0037】
一方、ID情報データ(媒体固有情報など)の再生に際しては、記録データ用回折格子層43に隣接するコア層2に光ヘッド6から入射光8を入射させ、記録データ用回折格子層43から出射される再生光9が、記録層42において、例えば、記録マーク45が有る箇所では透過し、無い場所では透過しないといったように情報データを有する記録層42における記録マーク45の有無に対応して、光検出器7において光の明暗パターンとして検出することにより行う。
【0038】
ここで記録データ用回折格子層43の記録データ(情報データ)を再生光9が光検出器7に結像するように形成しておくと、光検出器7の位置で光学的なボケなどを低減させることができ、記録層42に記録した情報データの再生を確実にできるため有利である。
なお、上記のようにID情報データに対しても、回折格子層4の情報データ(コンテンツなどのROM情報)と同様の光学系、機構系を用いて再生が可能であるため、従来のROM再生装置を再生装置として用いることができる。
【0039】
以下に上記課題を解決する本発明の情報データ生成装置及び情報データ生成方法の実施形態を、具体的に説明する。なお、以下の実施形態においても上述の情報データ生成装置17と同様の構成要素である基画像データ入力部18、及び情報データ変換部19が使用され、上述と同様の機能を有するものとする。
【0040】
〈第1実施形態〉
本発明の第1実施形態に係る情報データ生成方法は、基画像データ入力部にて、光検出器上に再生すべき基画像データを入力し、次に、基画像データの振幅あるいは位相のいずれか一方あるいは両方に変調をかけ、これを基画像変調データとし、次に情報データ変換部にて、基画像変調データと伝達関数の複素共役との積を、積分値を基画像(変調)データに対応させたい記録データ用回折格子層上での情報データの領域に制限して、光検出器上で面積分し、その結果を記録データ用回折格子層上での情報データとすることを特徴とする。
【0041】
図4に本発明の第1実施形態に係る情報データ生成装置及び情報データ生成方法を示す。すなわち、図4は、本発明の第1実施形態に係る情報データ生成装置の各部の機能と、情報データの生成フローを示している。
同図において、まず、基画像データ入力部18において、光検出器7上に再生すべき基画像データu0(a0,θ0)を入力する(ステップ100)。
次いで、画像データ変調部20において基画像データu0(a0,θ0)の振幅a0あるいは位相θ0のいずれか一方あるいは両方に変調をかけ、これを基画像変調データu0’(a0’,θ0’)とする(ステップ101)。
【0042】
次に、情報データ変換部19において、基画像変調データu0’と伝達関数gの逆数g−1(複素共役)との積を面積分を次式のように行う。
【0043】
【数2】
ここで、面積分は光検出器7上で行うが、その積分値は基画像(変調)データに対応させたい記録データの領域に制限して計算する(ステップ102)。
次いで、その計算結果を記録データ回折格子層43上での情報データ(記録データ)uh(ah,θh)とする(ステップ103)。このuh(ah,θh)が求めるべき記録データ用回折格子層43上での記録データを表す波面関数(ホログラムデータ)である。
【0044】
上記で、振幅変調とは例えば、振幅値(画像データの明暗度)を8bit(=256階調)で表した場合、二次元分布する基画像データの各点の振幅値を基画像の領域内で一様とならないように0と255の間で規則的にあるいはランダムに変化させた値とすることを意味する。これは例えば、図18、図20などに示す基画像データA200の振幅値がu0では二次元的に分布する全ての点において255(真白に対応)だったものを、変調後のu0’では何点かおきに(点の間隔を規則的にあるいはランダムに)、その振幅値を0から255のうちのいずれかの値に(振幅値を規則的にあるいはランダムに)変化させて設定することに対応する。同様に位相変調とは、二次元分布する基画像データ各点の位相値を0から2πまでの値で、振幅値同様(点間隔をあるいは位相値自体を、規則的あるいはランダムに)変化させることを意味する。
【0045】
基画像データの各点の振幅値を変調して情報データを生成した場合、得られる再生光の各点の振幅値は、基画像データの各点の振幅値を再現するものではなくなる。しかし、本発明が対象とする積層ホログラム記憶媒体では、ディジタル量の記録再生を扱うことを前提としており、従って、積層ホログラム記憶媒体に記録される基画像データもディジタル量を表すものであり、かつ、積層ホログラム記憶媒体に記録された情報を再生する場合、再生された信号は、最終的に2値化処理され、ディジタル量を表すものとなることを前提としている。そのため本発明では、積層ホログラム記憶媒体の再生光の各点の振幅値が、基画像データの各点の振幅値に対応している必要はなく、再生光に対して、空間的フィルタリング処理を施したり、2値化処理時の閾値を適切に選ぶことにより、2値化処理後のデータをディジタル量としての基画像データに一致させることができる。
【0046】
図5に画像データ変調部における、基画像データ変調の様子を示す。画像データA200は、振幅、位相のいずれかあるいは両方に変調がかかった関数であり、基画像変調データu0’(a0’,θ0’)に対応するものである。この場合、図18、図20とは異なり、変調を施した効果として、画像データA200の各点からの計算上の逆再生光91は種々の角度成分を有するものとなり、このような計算上の逆再生光91によって記録データ用回折格子層43上に情報データ(記録データ)uh(ah,θh)が形成、作成される。
【0047】
図6は図5に対応する再生過程を示す図であり、画像データA200に対応して記録データ用回折格子層43上に作成された記録データA201から出射する再生光9は種々の角度成分を有するものとなり、図6に示すように光検出器7上に結像する再生画像データA202としては、開口間部100の遮光によるデータ欠落のない画像を得ることが可能となる。
【0048】
上記で面積分の積分値を基画像変調データに対応させたい記録データの領域に制限して計算する点について、図7、図8を用いて説明する。図7では、画像データA200から記録データA201への変換時の面積分の積分値を、画像データA200に対応させたい記録データ領域(記録データA201の領域)だけでなく、画像データA200の隣に位置する画像データB204に対応させたい記録データ領域(記録データB203の領域)まで広げて計算している。
画像データA200は変調されているため、これを記録データ用回折格子層43上に変換すると、図7に示す計算上の逆再生光91のように、記録データ用回折格子層43上の広い範囲に広がって変換されてしまう。
【0049】
図8は、図7に対応する再生過程を示した図である。図8では記録層42上に、画像データA200(再生画像データA202)に対応する記録マークA451はなく、代りに画像データB204(再生画像データB205)に対応する記録マークB452が形成されている。この場合、記録データB203から出射する再生光9は記録マークB452を透過し再生画像データA202の位置に明部を結像してしまう。
【0050】
すなわち、本来は記録データA201から出射する再生光9を記録マークA451を透過させ再生画像データA202とし、また記録データB203から出射する再生光9を記録マークB452を透過させ再生画像データB205とするというように、記録層42上の記録マーク45と光検出器7上の再生画像データを1対1に対応させて、記録層42上の記録マーク45の二次元配列状態を光検出器7上の明部(再生画像データA,Bなど)の二次元配列として検出することが本発明の媒体固有情報データの記録再生原理であるのに対し、図7のように面積分の積分値を基画像(変調)データに対応させたい記録データの領域に制限しないで計算すると、図8のように、記録マークB452を形成したにもかかわらず、これとは対応関係のない再生画像データA202が明部となってしまう。
【0051】
これを避けるためには、図5に示すように面積分の積分値の計算を基画像(変調)データに対応させたい記録データの領域に制限する。すなわち、上図において、画像データA200に対応する積分値の計算を記録データA201の領域に制限すれば、画像データA200に対応する記録データは記録データA201の領域にしか形成されないため、記録マークA451が形成された場合のみ再生画像データA202を明部とすることが可能となる。
【0052】
なお、面積分の積分値を基画像(変調)データに対応させたい記録データの領域に予め制限して計算する代わりに、面積分の積分値を記録データ用回折格子層43上の広い範囲で計算した後に基画像(変調)データに対応させたい記録データの領域以外の積分値をゼロに置換しても構わない。
【0053】
〈第2実施形態〉
本発明の第2実施形態に係る情報データ生成方法は、基画像データ入力部にて、光検出器上に再生すべき基画像データを入力し、次に基画像データを開口間部によりデータ欠落しない1つ以上の基画像データと、開口間部によりデータ欠落する1つ以上の基画像データとに分け、データ欠落するもデータに対し計算上の逆再生光が開口を通過するよう位相シフトを施し、前記データ欠落しない基画像データと前記位相シフトを施した基画像データとを足し合わせ、これを基画像位相シフトデータとし、次に情報データ変換部にて、基画像位相シフトデータと伝達関数の複素共役との積を光検出器上で面積分し、その結果を記録データ回折格子層上での情報データとすることを特徴とする。
【0054】
図9に、本発明の第2実施形態に係る情報データ生成装置及び情報データ生成方法を示す。すなわち、図9は、本発明の第2実施形態に係る情報データ生成装置の各部の機能と情報データ生成のフローを示している。まず、基画像データ入力部18において、光検出器7上に再生すべき基画像データu0(a0,θ0)を入力する(ステップ300)。
次に、画像データ位相シフト部21において、基画像データu0(a0,θ0)のうち開口間部100により影にならない(データ欠落しない)部分をu00,影になる(データ欠落する)部分をu01,u02,u03,…とし、u01,u02,u03,…に対し、計算上の逆再生光91が開口11を通過するよう、位相θ01,θ02,θ03,…にシフト(位相シフト)をかけ、θ01’,θ02’,θ03’,…としたものをu01’,u02’,u03’,…とする。
【0055】
u00及び新規に作成したu01’,u02’,u03’,…を合成(足し合わせる)して基画像位相シフトデータu0’’(a0’’,θ0’’)を作成する(ステップ301)。なお、ここでu00=u0でも構わない。これ以降に関しては図9に示すように図17、図4と同様にして、情報データ変換部19にて情報データ(記録データ)uhを計算すれば、これが求めるべき記録データ用回折格子層43上での記録データを表す波面関数(ホログラムデータ)となる(ステップ302、303)。
【0056】
ここで、位相シフトについて説明する。図10に示すように基画像データA200からの計算上の逆再生光91を一点鎖線のように垂直方向に対して角度+φだけ傾けて斜めに形成する場合を考える。この場合、例えば、元の位相θに2πρ/(λ/sinφ)を加えることで位相シフトが実施できる。なお、ここで、λは入射光8、再生光9などの光の波長、ρは光検出器7上に二次元的に分布する基画像データの各点の距離(光検出器7上に定めた原点からの距離)である。
【0057】
図10に画像データ位相シフト部における、基画像位相シフトデータ生成の様子を示す。画像データA200のうち、中央部分は開口間部100によってデータが欠落する部分である。この部分に関して角度+φだけ位相シフトし、斜め右下に計算上の逆再生光91を形成すると、開口間部100を避け、記録データA201上(図中右端部)に画像データA200のうち開口間部100によってデータが欠落する部分に対応する記録データを形成することができる。
【0058】
図11は、角度+φだけでなく、角度−φ方向にも位相シフトし、斜め右下及び斜め左下に計算上の逆再生光91を形成し、記録データA201上の右端部及び左端部に画像データA200のうち開口間部100によってデータが欠落する部分に対応する記録データを形成した例である。このように画像データA200の各部に対して、記録データA201上であれば複数の記録データを形成しても構わない。
【0059】
図12は図11に対応した再生過程を示す図である。記録データA201上には再生画像データA202のうち、開口間部100により欠落する可能性のあった中央部に明部を形成する再生光9を出射すべく記録データが(この場合右端及び左端に)形成されているため、再生画像データA202には開口間部100によるデータ欠落が生ずることなく再生光9が再生できている。
第2実施形態については、記録マークと再生画像データを1対1に対応させるためには、位相シフトして生成した計算上の逆再生光91が記録データ用回折格子層43上に照射される領域を、基画像データに対応させたい記録データの領域内に制限する必要がある。
【0060】
図13は、本発明の第2実施形態に係る情報データ生成装置及び情報データ生成方法の別の例を示す図である。図9に示す情報データ生成装置及び情報データ生成方法では、画像データ位相シフト部において、u00及び新規に作成したu01’,u02’,u03’,…を合成(足し合わせる)して基画像位相シフトデータu0’’(a0’’,θ0’’)を作成し、情報データ変換部19にて、基画像位相シフトデータu0’’(a0’’,θ0’’)と伝達関数gの逆数g−1(複素共役)との積の面積分(変換)、すなわち
【0061】
【数3】
を行って記録データ回折格子層上での情報データ(記録データ)uhを求めた。これに対し、図13に示す情報データ生成装置及び情報データ生成方法では、画像データ位相シフト部においてはu00及びu01’,u02’,u03’,…を作成するだけにとどめ、情報データ変換部19にてu00及びu01’,u02’,u03’,…の各々と伝達関数gの逆数g−1(複素共役)との積の面積分(変換)である
【0062】
【数4】
を行い、これらの結果の総和を次式により求める。
【0063】
【数5】
式(5)により求められた総和を記録データ用回折格子層上での情報データ(記録データ)uhとする。図9及び図13のいずれの方法も同様の効果を奏する。
【0064】
上記では情報データ生成装置、情報データ生成方法における画像データ関数(u0,uh,u0’,…など)の変換、逆変換は光検出器7上と記録データ用回折格子層43上との間で行う例を示したが、この間に例えば、開口マスク、記録層などまでの変換、逆変換を挿入(例えばu0からuhへの変換を、光検出器7上から記録データ用回折格子層43上へ直接行う代わりに、光検出器7上から開口マスク上へ変換し、その後開口マスクから記録層へ変換し、その後記録層から記録データ用回折格子層43上へ変換することを意味する)しても構わず、これらも本発明の範疇とする。
【0065】
上記では、光検出器7上の基画像データに対して変調、位相シフトを行ったが、記録データ用回折格子層43上の記録データに対して、同様の変調、位相シフトを行ってもよく、また光検出器7上と記録データ用回折格子層43上との間のどこか任意の位置において同様の変調、位相シフトを行ってもよく、いずれも同様の効果を奏する。
上記実施形態において、基画像データ入力部18、画像データ変調部20、画像データ位相シフト部21、及び情報データ変換部19での機能を、各々別の部で実施する実施例も、結果的に上記で記した手順が実行されれば同様の効果を奏するため、これらも本発明の範疇とする(例えば、図13の実施例も、本質的にはこれに属する)。
【0066】
本発明では、一般にはディジタル量を扱う場合が多く、従って、本願明細書中の関数も離散的な関数、また数式も離散数学的数式であることが多い。よって、例えば、本願明細書中で、積分型で記述した数式は、これに対応するサンメンション(和:Σ)型の数式に置換されてもよく、このように置換された実施例も本発明の範疇とする。
【0067】
本明細書で図示した実施形態は、本発明の典型的な実施形態に過ぎず、各実施形態をを組合せ、あるいは組み替えたものも同様の効果を奏し、本発明の範疇とする。
【0068】
なお、図4、9、13に示した本発明に係る情報データ生成装置の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより本発明の適用対象である記憶媒体の記録データ用回折格子層上に記憶される情報データを生成するようにしてもよい。
【0069】
なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0070】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明が適用される記憶媒体の構成例を示す側面(断面)図。
【図2】本発明が適用される記憶媒体の他の構成例を示す側面(断面)図。
【図3】本発明が適用される記憶媒体に記憶されている情報データを再生する再生装置の構成を示す図。
【図4】本発明の第1実施形態に係る情報生成装置の機能及び情報データ生成のフローを示す図。
【図5】図4に示した本発明の第1実施形態に係る情報生成装置における画像データ変調部における基画像データの変調の様子を示す説明図。
【図6】図5に対応する再生過程を示す説明図。
【図7】図4に示した本発明の第1実施形態に係る情報生成装置における情報データ変換部における基画像データの記録データへの変換時の様子を示す説明図。
【図8】図7に対応する再生過程を示す説明図。
【図9】本発明の第2実施形態に係る情報生成装置の機能及び情報生成のフローを示す図。
【図10】図9に示した本発明の第2実施形態に係る情報生成装置における画像データ位相シフト部における、基画像位相シフトデータの生成の様子の一例を示す説明図。
【図11】図9に示した本発明の第2実施形態に係る情報生成装置における画像データ位相シフト部における、基画像位相シフトデータの生成の様子の一例を示す説明図。
【図12】図11に対応する再生過程を示す説明図。
【図13】本発明の第2実施形態に係る情報生成装置の変形例の機能及び情報生成のフローを示す図。
【図14】従来の記憶媒体の構成を示す側面(断面)図。
【図15】図14に示す記憶媒体に記憶された情報データを再生する再生装置の構成を示す図。
【図16】従来の情報データ生成装置の構成を示すブロック図。
【図17】図16に示した従来の情報データ生成装置による情報データの生成フローを示す図。
【図18】図16に示した従来の情報データ生成装置の情報データ変換部により基画像データ記録データ(情報データ)に変換する様子の一例を示す図。
【図19】図18に対応する再生過程を示す図。
【図20】図16に示した従来の情報データ生成装置の情報データ変換部により基画像データ記録データ(情報データ)に変換する様子の他の例を示す図。
【図21】図20に対応する再生過程を示す図。
【符号の説明】
【0072】
1…記憶媒体、2…コア層、3…クラッド層、4…回折格子層、5…再生装置、6…光ヘッド、7…光検出器、8…入射光、9…再生光、10…開口マスク、11…開口、12…再生光学系、18…基画像データ入力部、19…情報データ変換部、20…画像データ変調部、21…画像データ位相シフト部、42…記録層、43…記録データ用回折格子層、44…ギャップ層、45…記録マーク、100…開口間部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、1つ以上のコア層と、コア層の上面あるいは下面あるいはコア層内に設けられた形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、コア層あるいは記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体の記録データ用回折格子層に記録される情報データを生成する情報データ生成装置であって、
再生光を検出する光検出器上に再生すべき基画像データを入力する基画像データ入力部と、
基画像データの振幅あるいは位相のいずれか一方あるいは両方に変調をかけ、これを基画像変調データとする画像変調部と、
基画像変調データと伝達関数の複素共役との積を、基画像変調データに対応させたい記録データ用回折格子層上での情報データの領域に制限して、光検出器上で面積分の値を算出し、その結果を記録データ用回折格子層上での情報データとする情報データ変換部と、
を有することを特徴とする情報データ生成装置。
【請求項2】
少なくとも、1つ以上のコア層と、コア層の上面あるいは下面あるいはコア層内に設けられた形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、コア層あるいは記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体の記録データ用回折格子層に記録される情報データを生成する情報データ生成装置であって、
光検出器上に再生すべき基画像データを入力する基画像データ入力部と、
基画像データを、開口間部によりデータ欠落しない1つ以上の基画像データと、開口間部によりデータ欠落する1つ以上の基画像データとに分け、データ欠落する基画像データに対して計算上の逆再生光が開口を通過するよう位相シフトを施し、前記データ欠落しない基画像データと前記位相シフトを施した基画像データとを足し合わせ、これを基画像位相シフトデータとする画像位相シフト部と、
基画像位相シフトデータと伝達関数の複素共役との積を光検出器上で面積分し、その結果を記録データ用回折格子層上での情報データとする情報データ変換部と、
を有することを特徴とする情報データ生成装置。
【請求項3】
少なくとも、1つ以上のコア層と、コア層の上面あるいは下面あるいはコア層内に設けられた形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、コア層あるいは記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体の記録データ用回折格子層に記録される情報データを生成する情報データ生成方法であって、
基画像データ入力部にて、光検出器上に再生すべき基画像データを入力し、次に画像変調部にて基画像データの振幅あるいは位相のいずれか一方あるいは両方に変調をかけ、これを基画像変調データとし、次に情報データ変換部にて、基画像変調データと伝達関数の複素共役との積を、基画像変調データに対応させたい記録データ用回折格子層上での情報データの領域に制限して、光検出器上で面積分の値を算出し、その結果を記録データ用回折格子層上での情報データとすることを特徴とする情報データ生成方法。
【請求項4】
少なくとも、1つ以上のコア層と、コア層の上面あるいは下面あるいはコア層内に設けられた形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、コア層あるいは記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体の記録データ用回折格子層に記録される情報データを生成する情報データ生成方法であって、
基画像データ入力部にて、光検出器上に再生すべき基画像データを入力し、次に画像位相シフト部にて基画像データを、開口間部によりデータ欠落しない1つ以上の基画像データと、開口間部によりデータ欠落する1つ以上の基画像データとに分け、データ欠落する基画像データに対して計算上の逆再生光が開口を通過するよう位相シフトを施し、前記データ欠落しない基画像データと前記位相シフトを施した基画像データとを足し合わせ、これを基画像位相シフトデータとし、
次に情報データ変換部にて、基画像位相シフトデータと伝達関数の複素共役との積を光検出器上で面積分し、その結果を記録データ用回折格子層上での情報データとすることを特徴とする情報データ生成方法。
【請求項5】
少なくとも、1つ以上のコア層と、コア層の上面あるいは下面あるいはコア層内に設けられた形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、コア層あるいは記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体の記録データ用回折格子層に記録される情報データを生成する情報データ生成プログラムであって、
基画像データ入力部にて、光検出器上に再生すべき基画像データを入力する第1のステップと、
画像変調部にて基画像データの振幅あるいは位相のいずれか一方あるいは両方に変調をかけ、これを基画像変調データとする第2のステップと、
情報データ変換部にて、基画像変調データと伝達関数の複素共役との積を、基画像変調データに対応させたい記録データ用回折格子層上での情報データの領域に制限して、光検出器上で面積分の値を算出し、その結果を記録データ用回折格子層上での情報データとする第3のステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする情報生成プログラム。
【請求項1】
少なくとも、1つ以上のコア層と、コア層の上面あるいは下面あるいはコア層内に設けられた形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、コア層あるいは記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体の記録データ用回折格子層に記録される情報データを生成する情報データ生成装置であって、
再生光を検出する光検出器上に再生すべき基画像データを入力する基画像データ入力部と、
基画像データの振幅あるいは位相のいずれか一方あるいは両方に変調をかけ、これを基画像変調データとする画像変調部と、
基画像変調データと伝達関数の複素共役との積を、基画像変調データに対応させたい記録データ用回折格子層上での情報データの領域に制限して、光検出器上で面積分の値を算出し、その結果を記録データ用回折格子層上での情報データとする情報データ変換部と、
を有することを特徴とする情報データ生成装置。
【請求項2】
少なくとも、1つ以上のコア層と、コア層の上面あるいは下面あるいはコア層内に設けられた形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、コア層あるいは記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体の記録データ用回折格子層に記録される情報データを生成する情報データ生成装置であって、
光検出器上に再生すべき基画像データを入力する基画像データ入力部と、
基画像データを、開口間部によりデータ欠落しない1つ以上の基画像データと、開口間部によりデータ欠落する1つ以上の基画像データとに分け、データ欠落する基画像データに対して計算上の逆再生光が開口を通過するよう位相シフトを施し、前記データ欠落しない基画像データと前記位相シフトを施した基画像データとを足し合わせ、これを基画像位相シフトデータとする画像位相シフト部と、
基画像位相シフトデータと伝達関数の複素共役との積を光検出器上で面積分し、その結果を記録データ用回折格子層上での情報データとする情報データ変換部と、
を有することを特徴とする情報データ生成装置。
【請求項3】
少なくとも、1つ以上のコア層と、コア層の上面あるいは下面あるいはコア層内に設けられた形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、コア層あるいは記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体の記録データ用回折格子層に記録される情報データを生成する情報データ生成方法であって、
基画像データ入力部にて、光検出器上に再生すべき基画像データを入力し、次に画像変調部にて基画像データの振幅あるいは位相のいずれか一方あるいは両方に変調をかけ、これを基画像変調データとし、次に情報データ変換部にて、基画像変調データと伝達関数の複素共役との積を、基画像変調データに対応させたい記録データ用回折格子層上での情報データの領域に制限して、光検出器上で面積分の値を算出し、その結果を記録データ用回折格子層上での情報データとすることを特徴とする情報データ生成方法。
【請求項4】
少なくとも、1つ以上のコア層と、コア層の上面あるいは下面あるいはコア層内に設けられた形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、コア層あるいは記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体の記録データ用回折格子層に記録される情報データを生成する情報データ生成方法であって、
基画像データ入力部にて、光検出器上に再生すべき基画像データを入力し、次に画像位相シフト部にて基画像データを、開口間部によりデータ欠落しない1つ以上の基画像データと、開口間部によりデータ欠落する1つ以上の基画像データとに分け、データ欠落する基画像データに対して計算上の逆再生光が開口を通過するよう位相シフトを施し、前記データ欠落しない基画像データと前記位相シフトを施した基画像データとを足し合わせ、これを基画像位相シフトデータとし、
次に情報データ変換部にて、基画像位相シフトデータと伝達関数の複素共役との積を光検出器上で面積分し、その結果を記録データ用回折格子層上での情報データとすることを特徴とする情報データ生成方法。
【請求項5】
少なくとも、1つ以上のコア層と、コア層の上面あるいは下面あるいはコア層内に設けられた形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、コア層あるいは記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体の記録データ用回折格子層に記録される情報データを生成する情報データ生成プログラムであって、
基画像データ入力部にて、光検出器上に再生すべき基画像データを入力する第1のステップと、
画像変調部にて基画像データの振幅あるいは位相のいずれか一方あるいは両方に変調をかけ、これを基画像変調データとする第2のステップと、
情報データ変換部にて、基画像変調データと伝達関数の複素共役との積を、基画像変調データに対応させたい記録データ用回折格子層上での情報データの領域に制限して、光検出器上で面積分の値を算出し、その結果を記録データ用回折格子層上での情報データとする第3のステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする情報生成プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2006−235465(P2006−235465A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−52952(P2005−52952)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
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