説明

情報処理システムおよび情報処理方法

【課題】 データの伝送効率に優れ、処理能力が高い情報処理システムおよび情報処理方法を提供すること。
【解決手段】 映像入力部150と映像処理部200との間で映像信号を伝送可能なシステムにおいて、映像信号の垂直同期期間内の垂直ブランキング期間を利用して、間欠的に発生する制御データ(コマンドデータ等)を最優先にして伝送すると共に、同期期間毎に発生する同期データ(ホワイトバランス調整データ等)が当該ブランキング期間内で一部しか伝送できない場合はその同期データを当該ブランキング期間内に含ませずに伝送を行い、また、その伝送できなかった同期データは間欠的に発生する制御データ等が伝送されない空きブランキング期間を利用して伝送を行うようにする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、分離されている映像入力部と映像処理部との間でデータの送受信を行う情報処理システムおよび情報処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来における情報処理システムの一例として、図8の映像入力装置の構成を例に挙げて説明する。100は、映像入力部である単焦点カメラ部である。200は、映像処理部である画像処理部である。400はホスト部である。単焦点カメラ部100と画像処理部200とは、ケーブル109で接続されている。画像処理部200はバスインタフェース208により、ホスト部400と接続されている。ホスト部400からバスインタフェース208を経由して画像処理部200及び単焦点カメラ部100の制御を行う。
【0003】ここで、単焦点カメラ部100の構成について説明する。106はシステム制御部であり、CPU、ROM、RAM、制御ポート、通信ポート等の機能を有するワンチップマイコンからなる。システム制御部106は、単焦点カメラ部100の各デバイスを制御し、画像処理部200の双方向通信を行うと共に、ホスト部400からの制御データであるコマンドを解釈してホスト部400から要求された動作を行う。
【0004】101は、撮像レンズ、フォーカスレンズ、フォーカスレンズを手動で動かすためのフォーカスリングを備えたレンズ部である。102はレンズ部101を通過する入射光量を調整するアイリスユニットであり、アイリスおよびアイリスを手動で動かすためのアイリスリングを備えている。103は、レンズ部101及びアイリス102を経由した映像を光電変換して電気信号に変換するCCD等の撮像素子である。105は、撮像素子103の画素数に応じて蓄積動作、読み出し動作、リセット動作を制御するTG等の撮像素子駆動回路である。制御信号110を経由してシステム制御部106から制御することによりシャッタースピードを変えることができる。108はSSG等の同期信号発生回路であり、撮像素子駆動回路(TG)105のクロックから水平同期信号(HD)、垂直同期信号(VD)、映像クロック等の映像同期信号112を発生する。104は、撮像素子103の蓄積電化のノイズを低減するためにサンプリングホールドを行うと共に、映像信号114のゲインを調整するS/H・AGC回路であり、映像信号114を出力する。制御信号111の経由でシステム制御部106から制御することにより、映像信号114のゲイン調整をする。115は、映像信号114とシステム制御部106からの制御データとを多重し画像処理部200に送信すると共に、画像処理部200からのデータを分離してシステム制御部106に通知するデータ多重分離部である。113は、単焦点カメラ部100と画像処理部200との間で双方向データ通信を行うデータ線及びデータ制御線であり、システム制御部106のシリアル通信ポートとデータ多重分離部115との間に接続されている。107はコネクタで、ケーブル109からの脱着が可能てある。
【0005】次に、映像処理部200について説明する。250はシステム制御部であり、CPU、ROM、RAM、制御ポート、通信ポート等の機能を有するワンチップマイコンからなる。システム制御部250は、画像処理部200の各デバイスの制御、オートホワイトバランス制御、単焦点カメラ部100との通信、バスインタフェース208を介したホスト部400との通信を行い、また、ホスト部400からの制御データであるコマンドを解釈し、ホスト部400から要求された動作を行う。
【0006】231は、映像信号とデータ信号が多重された映像データ多重信号232を映像信号217と制御データ信号222に分離すると共に、システム制御部250からデータを垂直同期期間内で信号化し単焦点カメラ部100に送信するデータ多重分離部である。
【0007】201は、単焦点カメラ部100からケーブル109を介して伝送された映像信号217をデジタル信号218に変換するAD変換回路である。202は、デジタル変換された映像信号218を規格化されたデジタル映像信号219に変換する処理を行う信号処理回路である。信号処理回路202は、垂直同期信号の周期で、ホワイトバランス制御のためのホワイトバランスデータを通知するための割り込み信号をシステム制御部250に発生させる。割り込みを認識したシステム制御部250はシリアルデータライン223を介してこれらの情報(ホワイトバランスデータ等)を読み出し、システム制御部250のRAMエリアに書き込む。
【0008】204は、規格されたデジタル信号映像219を多重化したコンポジット信号221に変換するためのエンコーダ回路であり、映像出力コネクタ210にコンポジット信号221を出力する。206は、信号処理回路202及びSRC207からのデジタル映像信号216,213を蓄積する画像メモリである。205は、画像メモリ206の読み出し・書き込みの制御を行うメモリコントローラ回路である。207は、画像処理回路部200のデジタル映像信号213とホスト部400のデジタル映像信号214の縦横比の違いを変換して吸収するスキャンレートコンバータ回路(SRC)である。203は、エンコーダ204への出力25が、信号処理回路202のデジタル映像信号219か、画像メモリ206のデジタル映像信号216かを選択する切替回路であり、制御線224によりシステム制御部250により制御される。208は、ホスト部400であるコンピュータのバスに接続されるバスインタフェース回路であり、ホスト部400と画像処理部200との間でデジタル映像信号214、制御データ226のデータ通信を行うとともに、ホスト部400からメモリコントローラ205、SRC207の制御を行うインタフェースを提供する。
【0009】215は、単焦点カメラ部100の映像同期信号112と対応する画像処理部200の映像同期信号であり、信号処理回路202、メモリコントローラ205、エンコーダ204に映像同期信号を提供する。
【0010】222は、単焦点カメラ部100と画像処理部200との間で双方向にデータ通信を行うシリアルデータ線及びシリアルデータ制御線であり、システム制御部250のシリアルデータポートに接続されている。
【0011】226は、ホスト部400と画像処理部200との間で双方向にデータ通信を行うパラレルデータ線及び制御線であり、システム制御部250の制御ポートに接続されている。
【0012】図9は、単焦点カメラ部100と画像処理部200との間での垂直ブランキング期間(垂直帰線消去期間)でのデータ10の伝送を示す図である。垂直同期期間Vt は、垂直ブランキング期間Vb と映像有効期間Va からなる。データ10は、垂直ブランキング期間Vb で映像信号に多重化される。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】単焦点カメラ部100と画像処理部200でデータ通信を行う場合、1回の垂直ブランキング期間Vb 内で伝送できるデータは限られた長さである。
【0014】図8の場合、1回の垂直同期期間Vt 内で画像処理部200から単焦点カメラ部100へコマンドデータやACKデータの制御データを送信する場合、通常、最大で16バイト(コマンドデータ)+3バイト(ACKデータ)の19バイトを送信する必要がある。これは1回の垂直ブランキング期間Vb に最大送信可能なバイト数の32バイト以下を満たすため、全てのデータを送信できる。
【0015】しかし、伝送する情報量が多くなるズームヘッド(後述する図1のズームカメラ部150を参照)の場合、コマンドデータやACKデータの制御データの他に、同期期間毎に発生する垂直同期データを全てを送信しようとすると、最大で16バイト(コマンドデータ)+3バイト(ACKデータ)の26バイト(垂直同期データ)の45バイトとなってしまう。これは、1回の垂直ブランキング期間Vb に送信可能なデータ総数である32バイトをオーバーしてしまう。
【0016】このようにズームカメラ部でオートフォーカスや自動露出を行う場合、垂直ブランキング期間Vb 毎にこれらの制御に必要なデータを画像処理部200からズームヘッドに送信するのでデータ送信量が増える。このように伝送する情報量の密度が高い装置においては、1回の垂直ブランキング期間Vb 内でデータの伝送が終わらなくなってしまうという問題点がある。
【0017】そこで本発明の目的は、映像入力部と、映像処理部が分離した映像入力装置等の情報処理システムにおいて、データの伝送効率に優れ、処理能力が高い情報処理システムおよびその情報処理方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は、第1の情報処理装置と第2の情報処理装置との間で情報信号を双方向に伝送して情報処理を行う情報処理システムに関するものであり、前記情報信号の同期期間内のブランキング期間に、間欠的に発生する制御データと当該同期期間毎に発生する同期データとを多重化して伝送する第1手段と、前記同期期間内の前記ブランキング期間において伝送されるデータのうち前記制御データを優先して伝送すると共に当該ブランキング期間の最大伝送長を超えて一部分しか伝送できないデータに対しては当該データを当該ブランキング期間に含ませずに伝送を行う第2手段と、前記ブランキング期間内において伝送されたデータのうち前記制御データと前記同期データとを識別する第3手段とを、前記第1および前記第2の情報処理装置にそれぞれ設けることによって、情報処理システムを構成した。
【0019】上記情報処理システムにおいて、前記第2の情報処理装置をホスト側の装置と接続し、当該ホスト側の装置からの制御に応じて前記制御データを間欠的に発生させ、当該制御データによって前記データの伝送制御を行うようにしてもよい。
【0020】また、本発明は、外部装置との間で情報信号を双方向に伝送して情報処理を行う情報処理装置に関するものであり、前記情報信号の同期期間内のブランキング期間に、間欠的に発生する制御データと当該同期期間毎に発生する同期データとを多重化して伝送する第1手段と、前記同期期間内の前記ブランキング期間において伝送されるデータのうち前記制御データを優先して伝送すると共に当該ブランキング期間の最大伝送長を超えて一部分しか伝送できないデータに対しては当該データを当該ブランキング期間に含ませずに伝送を行う第2手段と、前記ブランキング期間内において伝送されたデータのうち前記制御データと前記同期データとを識別する第3手段とを具備することによって、情報処理装置を構成した。
【0021】上記情報処理装置において、本装置にホスト側の装置を接続し、当該ホスト側の装置からの制御に応じて前記制御データを間欠的に発生させ、当該制御データによって前記データの伝送制御を行うか、又は、前記外部装置を前記ホスト側の装置と接続し、当該ホスト側の装置からの制御に応じて前記制御データを間欠的に発生させ、当該制御データによって前記データの伝送制御を行うようにしてもよい。
【0022】また、本発明は、映像入力部と、該映像入力部から分離された映像処理部とを有する映像入力装置に関するものであり、前記映像入力部および前記映像処理部の制御を行うホスト部と、映像信号の垂直ブランキング期間にデータを多重し伝送する手段と、垂直同期期間毎に発生する垂直同期データと前記ホスト部から送信されるホスト制御データとを識別する手段と、前記ホスト制御データには前記垂直同期データよりも優先順位を持たせておき、垂直ブランキング内で伝送できない垂直同期データを伝送しないようにする手段とによって、映像入力装置を構成した。
【0023】また、本発明は、第1の情報処理装置と第2の情報処理装置との間で情報信号を双方向に伝送して情報処理を行う情報処理方法に関するものであり、前記情報信号の同期期間内のブランキング期間に、間欠的に発生する制御データを、当該同期期間毎に発生する同期データに対して優先させて、前記制御データと前記同期データとを多重化して伝送すると共に、当該ブランキング期間内に一部分しか伝送できないデータに対しては当該データを当該ブランキング期間に含ませずに伝送を行うことによって前記情報処理を行うことができる。
【0024】上述したシステム又は装置においては、以下のような要件としてもよい。すなわち、前記第1の情報処理装置としては、ズームカメラや単焦点カメラ等の画像入力装置を用い、第2の情報処理装置としては、画像処理装置を用いることができる。また、前記優先して伝送される制御データにより伝送可能か否かを認識した後、当該制御データ以外の前記データを順次伝送するようにしたり、前記一部しか伝送できないデータ(同期データ等)を空きブランキング期間を利用して伝送したりする。
【0025】また、前記情報信号の前記同期期間としては画像信号の垂直又は水平の同期期間を用いることができ、前記ブランキング期間としては垂直又は水平のブランキング期間を用いることができる。また、前記制御データとしては、コマンドデータやACKデータを用いることができる。また、前記同期データとしては、露出調整データ、ホワイトバランス調整データ、フォーカス調整データ等を用いることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の一例である映像入力装置の構成を示す。ここでは、ズームカメラ部150の構成を例にとって説明する。なお、従来例(図8,図9参照)の単焦点カメラ部100との差異はズームレンズ121、アイリス122、撮像素子123であり、他の部分は単焦点カメラ部100と同様なのでここでの説明は省略する。
【0027】121は、撮像レンズ、フォーカスレンズ、フォーカスリングを動かすためのズームモータ、ズームレンズ、ズームリングを動かすためのズームモータを備えたレンズ部である。システム制御部106から制御線124を介して制御することにより、電動ズーム及びオートフォーカスができる。122は、レンズ部101を通過する入射光量を調整するアイリスユニットであり、アイリスおよびアイリスリングを動かすためのアイリスモータを備える。システム制御部106から制御線125を経由して制御を行うことにより、アイリスの開閉を制御する。システム制御部106は、アイリス、シャッタースピード、AGCゲインを制御して、映像処理部200から送信される被写体の明るさデータを一定に保つことにより自動露出を行うことができる。123は、レンズ部121及びアイリス部122を経由した映像を光電変換して電気信号に変換するCCD等の撮像素子である。
【0028】映像処理部200における従来例との差異を説明する。オートフォーカスと自動露出を実現するため、これらの制御に必要なデータを信号処理回路202から読み出し、ズームカメラ部150に送信しなければならない。
【0029】信号処理回路202は、垂直同期信号の周期で、露出制御のために使用する被写体の明るさデータ、ホワイトバランス制御のためのホワイトバランスデータ、フォーカス制御のためのフォーカス焦合データ等の同期データを通知するための割り込み信号をシステム制御部250に発生させる。割り込みを認識したシステム制御部250は、シリアルデータライン223を介してこれらの情報を読み出し、システム制御部250のRAM254に書き込み、また、垂直ブランキング期間に自動露出のための被写体の明るさデータ、フォーカス制御のためのフォーカス焦合データなどの同期データをズームカメラ部150に送信する。
【0030】図2は、システム制御部250のブロック図である。システム制御部250はワンチップマイコン及びそれを制御するソフトウェアからなる。251は内部バスであり、252はCPUである。253はソフトウェアを格納するROMであり、254はソフトウェアのワーク領域として使用するRAMである。255は書き換え可能なROM(EEPROM)であり、制御に必要なデータが格納されている。256はタイマ部であり、257は各種デバイスを制御するためのI/O制御部である。258は、ズームカメラ部150およびホスト部400とのコマンド通信を行うと共に、画像処理部200の各デバイスとシリアル通信を行い、デバイスの制御を行うためのシリアル通信ポートである。
【0031】次に、ホスト部400と画像処理部200、ホスト部400とズームカメラ部150との間で通信される制御データとしてのホスト制御データ5を図3(A)(B)に基づいて説明する。
【0032】要求コマンド6は動作を要求するためのコマンドである。応答コマンド7は要求コマンド6に対する応答のコマンドであり、要求された動作を終了したら返送する。ACK8はコマンドを正常に受信したことを送信側に通知するためのフレームである。
【0033】図3(A)は、ホスト部400が画像処理部200に動作を要求する場合のシーケンスを示す。画像処理部200がホスト部400から要求コマンド6を受信した場合、画像処理部200は要求されたコマンドを実行し、実行が終了したらホスト部400に応答コマンド7を送信する。
【0034】図3(B)は、ホスト部400がズームカメラ部150に動作を要求する場合のシーケンスである。画像処理部200はホスト部400から受信したコマンドがズームカメラ部150宛のコマンドなら透過的にコマンドをズームカメラ部150に転送する。ズームカメラ部150からのコマンドがホスト部400宛ならば透過的にコマンドをホスト部400に転送する。
【0035】画像処理部200とズームカメラ部150で伝送されるコマンドデータ6,7、ACKデータ8は、ホスト部400がズームカメラ部150を制御する場合に発生する。このためコマンドデータ6,7、ACKデータ8等のホスト制御データ5は、垂直同期毎に発生するのではなく、ここではホスト部400からの制御に応じて間欠的に発生する。
【0036】次に、同期データとしての垂直同期データ13のシーケンスを図4に示す。
【0037】垂直同期データ13は、垂直同期毎に画像処理部200からズームカメラ部150へ送信される。画像処理部200からズームカメラ部150へは、フォーカス照合データ、明るさデータ等の垂直同期データ13が垂直同期毎に送信される。
【0038】次に、コマンドデータ11、ACKデータ12の制御データ、垂直同期データ13のフレームフォーマットを図5(A)(B)に基づいて説明する。
【0039】図5(A)は、コマンドデータ11のフレームフォーマットを示す。L14(レングス)はフレーム長であり、何バイトのデータでフレームが構成されるかを示す。FID15はフレーム識別子であり、フレームの属性を識別するために用いる。CID16はコマンド識別子であり、コマンドの種類を識別する。パラメータ17はコマンドに応じて決まる。コマンドフレームの長さは可変長であり、最小長は3バイトで最大長は16バイトである。
【0040】図5(B)は、ACKデータ12のフレームフォーマットである。L14は2バイト固定である。FID15は80h固定である。パラメータ16が00hの場合はフレームを正常に受信したことを示し、00h以外の時はエラーが発生したことを示す。パラメータ16の値によりエラーの要因を識別する。ACKデータ12のフレームの長さは3バイトの固定長である。
【0041】図5(C)は、垂直同期データ13のフレームフォーマットである。ズームカメラの場合、画像処理部200からズームカメラ部150へのフレーム長は26バイトである。Vデータとしては、前述したフォーカス照合データや明るさデータが含まれる。
【0042】図6(A)(B)は、フレーム識別子(FID)15とコマンド識別子(CID)16のフォーマットを示す。図6(A)は、FID15のビット構成を示す図である。bit7はフレームがコマンドデータ11のフレームかACKデータ12のフレームかを識別するビットである。bit6はズームカメラ部150と映像処理部200の通信時に有効なビットで、垂直同期データ13かホスト制御データ5かを識別するためのビットである。bit2,3は宛先デバイス指定ビットで、コマンドの宛先を指定するためのビットである。bit0,1は発行元指定ビットでコマンドの発行元を指定するビットである。
【0043】図6(B)は、CID16のビット構成を示す図である。bit7は応答コマンドの場合に有効なビットで要求コマンドで指示された機能が正常に終了した場合は0、正常に終了できなかった場合は1をセットする。このビットによって否定応答と肯定応答を区別する。bit10−bit0はコマンド種別ビットでコマンドの種類を特定する。
【0044】信号処理回路202は、システム制御部250のRAMエリアに書き込まれた被写体の明るさデータ、フォーカス照合データの垂直同期データ13をズームカメラ部150に垂直同期毎に送信する。ズームカメラ部150は被写体の明るさデータを用いて、撮像素子駆動回路(TG)105のシャッタースピード、S/H・AGC回路104のゲイン、アイリス部122のアイリスリング部を制御することにより自動露出を実現する。また、ズームカメラ部150はフォーカス照合データを用いてズームレンズ部121のフォーカスリングを制御することによりオートフォーカスを実現する。
【0045】この場合、1回の垂直同期期間で画像処理部200からズームカメラ部150に送信できるデータは32バイトである。また、コマンドデータ11のフレームの最大長は16バイト、ACKデータ12のフレームのデータ長は3バイトである。1回の垂直同期期間では垂直同期データ13、コマンドデータ11、ACKデータ12のフレームはそれぞれ1フレームまで送信できる。
【0046】従来例でも述べたように、単焦点カメラ部100の場合はコマンドデータ11のフレーム、ACKデータ12のフレームを送信する場合、最大で16バイト+3バイトで19バイト送信する必要がある。これは1回の垂直ブランキング期間に最大伝送可能なバイト数32バイト以下である。ところがズームカメラ部150の場合は、コマンドデータ11のフレーム、ACKデータ12のフレーム、垂直同期データ13のフレーム全てを送信すると、最大で16バイト+3バイト+26バイトで45バイトとなってしまう。これは1垂直ブランキング期間に送信可能なデータ数32バイトをオーバーしてしまう。
【0047】そこでズームヘッド部150にデータを送信する場合は、1回の垂直ブランキング期間にコマンドデータ11とACKデータ12を優先的に送り、垂直同期データ13が伝送可能ならば送信するようにする。コマンドデータ11とACKデータ12は、ホスト部400からの制御により間欠的に発生する。垂直同期データ13は垂直同期期間毎に発生するが、コマンドデータ11とACKデータ12の伝送のために途中で欠落してもズームカメラ部150の自動露出、オートフォーカス制御には有為な影響を与えない。
【0048】次に、画像処理部200のシステム制御部250がズームカメラ部150に、1回の垂直ブランキング期間Vb にコマンドデータ11のフレーム、ACKデータ12のフレーム、垂直同期データ13のフレームを送信する動作を図7のフローチャートで説明する。
【0049】まず、画像処理部200は、ホスト部400から受信したコマンドデータ11のフレームヘッダのFID15の宛先ビットがズームカメラ部150に送るコマンドであるかを判定する(S1)。送信するコマンドデータ11があれば、多重分離化部231へ送信する送信バッファにこのコマンドデータ11をセットする(S2)。また、送信するACKデータ12があるかをチェックする(S3)。直前の垂直ブランキング期間でズームカメラ部150からコマンドデータ11を受信したならACKデータ12を送信する必要がある。ACKデータ12を送信する必要があればS4へ進み、多重分離化部231へ送信する送信バッファにACKデータ12をセットする。そして、多重分離化部231へ送信する送信バッファに垂直同期データ13を送信するための26バイトの空きがあるかをチェックする(S5〜S6)。そして、もし垂直同期データ13が送信可能であれば送信バッファに垂直同期データ13をセットし(S7)、送信不可能であればセットしないでS8へ進む。そして、送信バッファにセットされたデータを多重分離化部231へ送信する。
【0050】本実施例では、同期期間として垂直同期期間を例にとり、垂直ブランキング期間内で、ホスト制御データ5、垂直同期データ13の優先順位でデータを伝送制御する例を挙げたが、これに限るものではなく、水平同期期間内の水平ブランキング期間についても同様に優先順位をつけて伝送制御することが可能である。
【0051】なお、本発明における情報処理システムおよび状態処理方法は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用しても良い。また、本発明における情報処理システムおよび情報処理方法は、システム或は装置にプログラムを供給することによって達成される場合にも適用できることは言うまでもない。この場合、本発明を達成するためのソフトウェアによって表されるプログラムを格納した記憶媒体を該システム或は装置に読み出すことによって、そのシステム或は装置が、本発明における情報処理システムおよび状態処理方法の効果を享受することが可能となる。
【0052】
【発明の効果】上述したように、本発明によれば、情報信号(映像信号等)の同期期間(垂直同期期間等)内のブランキング期間(垂直ブランキング期間等)を利用して、間欠的に発生する制御データ(コマンド,ACKデータ等)、同期期間毎に発生する同期データ(ホワイトバランス調整データ等)の優先順位に従って伝送を行うと共に、当該ブランキング期間内で一部しか伝送できないデータに対しては当該データを当該ブランキング期間内に含ませずに伝送を行い、その伝送できなかったデータは、間欠的に発生する制御データ等が伝送されない空きブランキング期間を利用して伝送を行うようにしたので、伝送するデータ長が1ブランキング期間の最大伝送長を超えたような場合でも、データを効率良く伝送することができ、情報処理能力を高めることができる。
【0053】また、この場合、制御データを外部のホスト側の装置からの制御に応じて発生することによって、離間した位置から効率良く伝送制御を行うことができる。これにより、本発明を例えばカメラヘッドが分離した映像入力装置に応用した場合、処理能力が高く、性能の優れた自動露出やオートフォーカスを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態である情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】映像処理部におけるシステム制御部の構成を示すブロック図である。
【図3】コマンドフレームの伝送シーケンスを示すものであり、(A)はホスト部と映像処理部との間の伝送シーケンスを示す説明図、(B)は映像処理部とカメラ部との間の伝送シーケンスを示す説明図である。
【図4】垂直同期データフレームの伝送シーケンスを示す説明図である。
【図5】(A)はコマンドフレームのフォーマットを示す説明図、(B)はACKフレームのフォーマットを示す説明図、(C)は垂直同期データフレームのフォーマットを示す説明図である。
【図6】(A)はフレーム識別子の構成を示す説明図、(B)はコマンド識別子の構成を示す説明図である。
【図7】システム制御部のカメラ部への送信動作を示すフローチャートである。
【図8】従来の情報処理のシステム構成例を示すブロック図である。
【図9】従来におけるデータ転送の伝送シーケンスを示す説明図である。
【符号の説明】
5 制御データ
11 コマンドデータ
12 ACKデータ
13 同期データ
112 同期データ
114 情報信号(映像信号)
150 画像入力装置(映像入力装置、ズームカメラ)
200 画像処理装置(映像処理装置)
215 同期データ
217 情報信号(映像信号)

【特許請求の範囲】
【請求項1】 第1の情報処理装置と第2の情報処理装置との間で情報信号を双方向に伝送して情報処理を行う情報処理システムであって、前記情報信号の同期期間内のブランキング期間に、間欠的に発生する制御データと当該同期期間毎に発生する同期データとを多重化して伝送する第1手段と、前記同期期間内の前記ブランキング期間において伝送されるデータのうち前記制御データを優先して伝送すると共に当該ブランキング期間の最大伝送長を超えて一部分しか伝送できないデータに対しては当該データを当該ブランキング期間に含ませずに伝送を行う第2手段と、前記ブランキング期間内において伝送されたデータのうち前記制御データと前記同期データとを識別する第3手段とを前記第1および前記第2の情報処理装置にそれぞれ設けたことを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】 前記優先して伝送される制御データにより伝送可能か否かを認識した後、当該制御データ以外の前記データを順次伝送するようにしたことを特徴とする請求項1記載の情報処理システム。
【請求項3】 前記一部しか伝送できないデータを、空きブランキング期間を利用して伝送するようにしたことを特徴とする特徴とする請求項1又は2記載の情報処理システム。
【請求項4】 前記一部しか伝送できないデータは、前記同期データであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項5】 前記情報信号の前記同期期間は、画像信号の垂直同期期間であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項6】 前記ブランキング期間は、垂直ブランキング期間であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項7】 前記情報信号の前記同期期間は、前記画像信号の水平同期期間であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項8】 前記ブランキング期間は、水平ブランキング期間であることを特徴とする請求項1ないし4,7のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項9】 前記制御データは、コマンドデータを含むことを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項10】 前記制御データは、ACKデータを含むことを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項11】 前記同期データは、露出調整データを含むことを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項12】 前記同期データは、ホワイトバランス調整データを含むことを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項13】 前記同期データは、フォーカス調整データを含むことを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項14】 前記第2の情報処理装置をホスト側の装置と接続し、当該ホスト側の装置からの制御に応じて前記制御データを間欠的に発生させ、当該制御データによって前記データの伝送制御を行うようにしたことを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項15】 前記第1の情報処理装置は、画像入力装置であることを特徴とする請求項1ないし14のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項16】 前記画像入力装置は、ズームカメラであることを特徴とする請求項15記載の情報処理システム。
【請求項17】 前記画像入力装置は、単焦点カメラであることを特徴とする請求項15記載の情報処理システム。
【請求項18】 前記第2の情報処理装置は、画像処理装置であることを特徴とする請求項1ないし17のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項19】 外部装置との間で情報信号を双方向に伝送して情報処理を行う情報処理装置であって、前記情報信号の同期期間内のブランキング期間に、間欠的に発生する制御データと当該同期期間毎に発生する同期データとを多重化して伝送する第1手段と、前記同期期間内の前記ブランキング期間において伝送されるデータのうち前記制御データを優先して伝送すると共に当該ブランキング期間の最大伝送長を超えて一部分しか伝送できないデータに対しては当該データを当該ブランキング期間に含ませずに伝送を行う第2手段と、前記ブランキング期間内において伝送されたデータのうち前記制御データと前記同期データとを識別する第3手段とを具備したことを特徴とする情報処理装置。
【請求項20】 前記優先して伝送される制御データにより伝送可能か否かを認識した後、当該制御データ以外の前記データを順次伝送するようにしたことを特徴とする請求項19記載の情報処理装置。
【請求項21】 前記一部しか伝送できないデータを、空きブランキング期間を利用して伝送するようにしたことを特徴とする特徴とする請求項19又は20記載の情報処理装置。
【請求項22】 前記一部しか伝送できないデータは、前記同期データであることを特徴とする請求項19ないし21のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項23】 前記情報信号の前記同期期間は、画像信号の垂直同期期間であることを特徴とする請求項19ないし22のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項24】 前記ブランキング期間は、垂直ブランキング期間であることを特徴とする請求項19ないし23のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項25】 前記情報信号の前記同期期間は、前記画像信号の水平同期期間であることを特徴とする請求項19ないし22のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項26】 前記ブランキング期間は、水平ブランキング期間であることを特徴とする請求項19ないし22,25のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項27】 前記制御データは、コマンドデータを含むことを特徴とする請求項19ないし26のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項28】 前記制御データは、ACKデータを含むことを特徴とする請求項19ないし27のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項29】 前記同期データは、露出調整データを含むことを特徴とする請求項19ないし28のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項30】 前記同期データは、ホワイトバランス調整データを含むことを特徴とする請求項19ないし29のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項31】 前記同期データは、フォーカス調整データを含むことを特徴とする請求項19ないし30のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項32】 本装置にホスト側の装置を接続し、当該ホスト側の装置からの制御に応じて前記制御データを間欠的に発生させ、当該制御データによって前記データの伝送制御を行うようにしたことを特徴とする請求項19ないし31のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項33】 前記外部装置は、画像入力装置であることを特徴とする請求項32のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項34】 前記画像入力装置は、ズームカメラであることを特徴とする請求項33記載の情報処理装置。
【請求項35】 前記画像入力装置は、単焦点カメラであることを特徴とする請求項33記載の情報処理装置。
【請求項36】 前記外部装置を前記ホスト側の装置と接続し、当該ホスト側の装置からの制御に応じて前記制御データを間欠的に発生させ、当該制御データによって前記データの伝送制御を行うようにしたことを特徴とする請求項19ないし31のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項37】 前記外部装置は、画像処理装置であることを特徴とする請求項36記載の情報処理装置。
【請求項38】 映像入力部と、該映像入力部から分離された映像処理部とを有する映像入力装置であって、前記映像入力部および前記映像処理部の制御を行うホスト部と、映像信号の垂直ブランキング期間にデータを多重し伝送する手段と、垂直同期期間毎に発生する垂直同期データと前記ホスト部から送信されるホスト制御データとを識別する手段と、前記ホスト制御データには前記垂直同期データよりも優先順位を持たせておき、垂直ブランキング内で伝送できない垂直同期データを伝送しないようにする手段とを具備したことを特徴とする映像入力装置。
【請求項39】 第1の情報処理装置と第2の情報処理装置との間で情報信号を双方向に伝送して情報処理を行う情報処理方法であって、前記情報信号の同期期間内のブランキング期間に、間欠的に発生する制御データを、当該同期期間毎に発生する同期データに対して優先させて、前記制御データと前記同期データとを多重化して伝送すると共に、当該ブランキング期間内に一部分しか伝送できないデータに対しては当該データを当該ブランキング期間に含ませずに伝送を行うことによって前記情報処理を行うことを特徴とする情報処理方法。
【請求項40】 前記優先して伝送される制御データにより伝送可能か否かを認識した後、当該制御データ以外の前記データを順次伝送することを特徴とする請求項39記載の情報処理方法。
【請求項41】 前記一部しか伝送できないデータを、空きブランキング期間を利用して伝送することを特徴とする請求項39又は40記載の情報処理方法。
【請求項42】 前記一部しか伝送できないデータは、前記同期データであることを特徴とする請求項39ないし41のいずれかに記載の情報処理方法。
【請求項43】 前記情報信号の前記同期期間は、画像信号の垂直同期期間であることを特徴とする請求項39ないし42のいずれかに記載の情報処理方法。
【請求項44】 前記ブランキング期間は、垂直ブランキング期間であることを特徴とする請求項39ないし43のいずれかに記載の情報処理方法。
【請求項45】 前記情報信号の前記同期期間は、前記画像信号の水平同期期間であることを特徴とする請求項39ないし42のいずれかに記載の情報処理方法。
【請求項46】 前記ブランキング期間は、水平ブランキング期間であることを特徴とする請求項39ないし42,45記載の情報処理方法。
【請求項47】 前記制御データは、コマンドデータを含むことを特徴とする請求項39ないし46のいずれかに記載の情報処理方法。
【請求項48】 前記制御データは、ACKデータを含むことを特徴とする請求項39ないし47のいずれかに記載の情報処理方法。
【請求項49】 前記同期データは、露出調整データを含むことを特徴とする請求項39ないし48のいずれかに記載の情報処理方法。
【請求項50】 前記同期データは、ホワイトバランス調整データを含むことを特徴とする請求項39ないし49のいずれかに記載の情報処理方法。
【請求項51】 前記同期データは、フォーカス調整データを含むことを特徴とする請求項39ないし50のいずれかに記載の情報処理方法。
【請求項52】 前記第2の情報処理装置と接続されたホスト側の装置からの制御に応じて前記制御データを間欠的に発生させ、当該制御データによって前記データの伝送制御を行うことを特徴とする請求項39ないし51のいずれかに記載の情報処理方法。
【請求項53】 前記第1の情報処理装置は、画像入力装置であることを特徴とする請求項39ないし52のいずれかに記載の情報処理方法。
【請求項54】 前記画像入力装置は、ズームカメラであることを特徴とする請求項39ないし53のいずれかに記載の情報処理方法。
【請求項55】 前記画像入力装置は、単焦点カメラであることを特徴とする請求項39ないし54のいずれかに記載の情報処理方法。
【請求項56】 前記第2の情報処理装置は、画像処理装置であることを特徴とする請求項39ないし55のいずれかに記載の情報処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図8】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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