説明

情報処理プログラム、情報処理方法、及び携帯端末

【課題】バリューの使用形態に応じた柔軟なチャージを実現する。
【解決手段】携帯端末7は、バリューを記憶するICチップ12と、電子マネーアプリケーション15を備えている。電子マネーアプリケーション15は、残高基準金額とオートチャージ金額を記憶している。(1)電子マネーアプリケーション15は、ICチップ12に現在のバリュー残高を要求する。(2)ICチップ12は、電子マネーアプリケーション15にバリュー残高を送信する。(3)電子マネーアプリケーション15は、バリュー残高が残高基準金額以下であるか否かを判断する。(4)電子マネーアプリケーション15は、バリュー残高が残高基準金額以下であった場合、オートチャージ金額分のチャージを行うように電子マネーサーバ2に要求する。(5)電子マネーサーバ2は、ICチップ12にチャージを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理プログラム、情報処理方法、及び携帯端末に関し、例えば、電子マネーを処理するものに関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリペイド方式の電子マネーシステムでは、バリューと呼ばれる金銭と同様の交換価値を付与した電子情報をユーザが携帯するIC(Integrated Circuit)チップに記憶させ、これを店舗の端末などで減額することにより商品やサービスの決済を行う。
ICチップが記憶するバリューの金額(以下、バリュー残高)を増額する処理は、チャージと呼ばれ、チャージの際に、バリュー相当の金額をユーザから徴収することにより、バリューと実際の金銭との対応が図られ、バリューの交換価値が担保される。
【0003】
このように、プリペイド方式の電子マネーシステムでは、予めICチップにバリュー残高を記憶しており、これを減額して決済するため、決済時にバリュー残高が足りないと決済できないことになる。
このため、特許文献1では、バリューを自動的にチャージする技術が提案されている。
この技術では、携帯電話内にバリューを記憶し、チェック時刻になると携帯電話がバリュー残高をチェックする。
そして、バリュー残高が、予め設定されている最低残高未満となると、携帯電話は、金融機関サーバにアセスして資金をホールドした後、電子バリュー発行システムにアクセスしてバリューをチャージする。
【0004】
ところで、電子マネーの使用形態は、ユーザごとに異なり、特許文献1の技術では、バリューの使用形態に応じた柔軟なチャージが困難であるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−25618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、バリューの使用形態に応じた柔軟なチャージを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明では、貨幣価値の金額を記憶し、外部端末から入力される金額変更情報に従って前記記憶した金額を増減するICチップから、前記記憶した金額を所定のタイミングで取得する金額取得機能と、前記取得した金額が所定の条件を満たすか否かを判断する判断機能と、前記判断機能で前記取得した金額が所定の条件を満たすと判断された場合に、前記ICチップが記憶する金額の増額を所定のサーバに要求する増額要求機能と、前記要求に対して前記所定のサーバから承認情報を受信した場合に、所定の金額を増額する金額変更情報を前記ICチップに入力して、前記ICチップの記憶する金額を増額させる増額機能と、をコンピュータに実現させる情報処理プログラムを提供する。
請求項2に記載の発明では、前記所定のタイミングは、所定時刻となった場合のタイミング、前記増額機能が前記ICチップに前記サーバから受信した金額変更情報を入力してから所定時間経過後のタイミング、金額変更情報によって前記ICチップが記憶する金額を減額したタイミング、前記ICチップの記憶する金額が所定の条件を満たすと予測されるタイミング、の内の少なくとも何れかであることを特徴とする請求項1に記載の情報処理プログラムを提供する。
請求項3に記載の発明では、前記ICチップは、個別に金額が増減可能な複数の個別用の金額記憶手段と、個別用の金額記憶手段に移動可能な金額を記憶する移動用の金額記憶手段と、を備えており、前記金額取得機能は、前記移動用又は個別用の金額記憶手段の内の少なくとも1つの金額を取得し、前記増額機能は、前記金額変更情報によって前記移動用の金額記憶手段の記憶する金額を増額させ、前記移動用の金額記憶手段が記憶する金額を任意の個別用の金額記憶手段に移動する金額移動機能をコンピュータに実現させることを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載の情報処理プログラムを提供する。
請求項4に記載の発明では、前記金額移動機能は、前記個別用の金額記憶手段が記憶する金額が所定の条件を満たした場合に、前記移動用の金額記憶手段が記憶する金額を当該所定の条件を満たした個別用の金額記憶手段に移動することを特徴とする請求項3に記載の情報処理プログラムを提供する。
請求項5に記載の発明では、前記増額機能が前記移動用の金額記憶手段の記憶する金額を増額させた場合に、前記移動用の金額記憶手段の記憶する金額を所定の優先順位に従って複数の前記個別用の金額記憶手段に配分する配分機能をコンピュータに実現させる請求項3、又は、請求項4に記載の情報処理プログラムを提供する。
請求項6に記載の発明では、前記ICチップの記憶する金額の減額の状況を用いて前記判断機能における所定の金額を設定する金額設定機能をコンピュータに実現させる請求項1から請求項5までの内の何れか1の請求項に記載の情報処理プログラムを提供する。
請求項7に記載の発明では、前記増額機能で増額させる所定の金額は、前記金額記憶手段が記憶する最大金額から現在の金額を減算した金額、又は、前記金額記憶手段が記憶する最大金額から1回当たりの平均増額金額を減算した金額の内の何れかであることを特徴とする請求項1から請求項5までの内の何れか1の請求項に記載の情報処理プログラムを提供する。
請求項8に記載の発明では、金額取得手段と、判断手段と、増額要求手段と、増額手段と、を備えたコンピュータにおいて、前記金額取得手段が、貨幣価値の金額を記憶し、外部端末から入力される金額変更情報に従って前記記憶した金額を増減するICチップから、前記記憶した金額を所定のタイミングで取得する金額取得ステップと、前記判断手段が、前記取得した金額が所定の条件を満たすか否かを判断する判断ステップと、前記増額要求手段が、前記判断手段で前記取得した金額が所定の条件を満たすと判断された場合に、前記ICチップが記憶する金額の増額を所定のサーバに要求する増額要求ステップと、前記増額手段が、前記要求に対して前記所定のサーバから承認情報を受信した場合に、所定の金額を増額する金額変更情報を前記ICチップに入力して、前記ICチップの記憶する金額を増額させる増額ステップと、から構成されたことを特徴とする情報処理方法を提供する。
請求項9に記載の発明では、貨幣価値の金額を記憶し、外部端末から入力される金額変更情報に従って前記記憶した金額を増減するICチップから、前記記憶した金額を所定のタイミングで取得する金額取得手段と、前記取得した金額が所定の条件を満たすか否かを判断する判断手段と、前記判断手段で前記取得した金額が所定の条件を満たすと判断された場合に、前記ICチップが記憶する金額の増額を所定のサーバに要求する増額要求手段と、前記要求に対して前記所定のサーバから承認情報を受信した場合に、所定の金額を増額する金額変更情報を前記ICチップに入力して、前記ICチップの記憶する金額を増額させる増額手段と、を具備したことを特徴とする携帯端末を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、条件設定などによって、バリューの使用形態に応じた柔軟なチャージを実現する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態の概要を説明するための図である。
【図2】電子マネーシステムのネットワーク構成を示した図である。
【図3】携帯端末の構成を説明するための図である。
【図4】電子マネーサーバのハードウェア的な構成の一例を示した図である。
【図5】オートチャージ設定画面を示した図である。
【図6】オートチャージ利用の登録を行う手順を説明するためのフローチャートである。
【図7】オートチャージ処理の手順を説明するためのフローチャートである。
【図8】第2の実施の形態を説明するための図である。
【図9】第3の実施の形態に係るICチップの構成を示した図である。
【図10】第3の実施の形態の変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(A)実施形態の概要
図1は、実施の形態の概要を説明するための図である。
携帯端末7は、バリューを記憶するICチップ12と、電子マネーアプリケーション15を備えている。電子マネーアプリケーション15は、予めユーザが設定した残高基準金額とオートチャージ金額を記憶している。
以下、括弧に示した番号の順に従ってオートチャージが行われる。
【0011】
(1)電子マネーアプリケーション15は、ICチップ12に現在のバリュー残高を要求する。
(2)ICチップ12は、電子マネーアプリケーション15からの要求に対し、電子マネーアプリケーション15にバリュー残高を送信する。
(3)電子マネーアプリケーション15は、ICチップ12から受信したバリュー残高が残高基準金額以下であるか否かを判断する。
(4)電子マネーアプリケーション15は、バリュー残高が残高基準金額以下であった場合、オートチャージ金額分のチャージを行うように電子マネーサーバ2に要求する。
(5)電子マネーサーバ2は、電子マネーアプリケーション15からの要求を受けてICチップ12にチャージを実行する。
【0012】
(B)実施形態の詳細
(第1の実施の形態)
図2は、電子マネーシステム1のネットワーク構成を示した図である。
電子マネーシステム1は、携帯端末7、電子マネーサーバ2、クレジット会社サーバ3、インターネット4、基地局5、加盟店81に設置された店舗端末8などから構成されている。
【0013】
携帯端末7は、例えば、スマートフォンや携帯電話などのインターネット通信機能を有する携帯型の端末であって、ICチップ12を内蔵している。
携帯端末7は、基地局5と無線通信することによりインターネット4を介して電子マネーサーバ2と通信することができる。
【0014】
ICチップ12は、近距離無線通信用のアンテナを備えており、店舗端末8と近距離無線通信を行うことができる。
ICチップ12は、バリューを記憶することができ、店舗端末8から送信されるコマンドを実行することにより、チャージや決済を行うことができる。
また、ICチップ12は、携帯端末7を介して電子マネーサーバ2と通信し、電子マネーサーバ2から送信されるコマンドを実行することにより、チャージや決済を行うこともできる。
【0015】
携帯端末7には、ICチップ12に対してオートチャージを行う電子マネーアプリケーション15がインストールされている。
電子マネーアプリケーション15は、定期的にICチップ12のバリュー残高を確認し、バリュー残高が残高基準金額以下である場合は、電子マネーサーバ2にアクセスして、電子マネーサーバ2にチャージを要求する。
【0016】
この要求に対し、電子マネーサーバ2は、ICチップ12に対してコマンドを送信し、ICチップ12にチャージする。
このように、電子マネーアプリケーション15によって行われる自動的なチャージをオートチャージと呼ぶことにする。
【0017】
電子マネーサーバ2は、電子マネーシステム1におけるバリューの流通を管理するサーバである。
電子マネーサーバ2は、定期的、又は、不定期に店舗端末8からチャージや決済の履歴を記録したログデータを収集する。そして、これとICチップ12に直接チャージや決済を行った際のログデータを合わせて集計し、バリューの流通と通貨との対応をとっている。
【0018】
加盟店81は、小売店舗、営業所、営業車両などのユーザから対価を取って商品やサービスを提供する事業者である。
加盟店81は、電子マネーシステム1が提供する電子マネーサービスを利用する連合体に加盟しており、単数、又は複数の店舗端末8を備えている。
【0019】
店舗端末8は、ICチップ12と近距離無線通信を行い、ICチップ12にコマンドを送信してチャージや決済を行う。
店舗端末8は、ICチップ12との処理内容を記録したログデータを定期、又は不定期にバッチ処理にて電子マネーサーバ2に送信する。
【0020】
クレジット会社サーバ3は、クレジット会社がクレジットカードによる支払を管理するためのサーバである。
ICチップ12のユーザは、当該クレジット会社と契約しており、電子マネーサーバ2に自己のクレジットカード番号を登録してある。
クレジット会社サーバ3は、電子マネーサーバ2がICチップ12にチャージする際に、その代金をユーザのクレジットカード番号にて決済する。
【0021】
図3は、携帯端末7の構成を説明するための図である。
携帯端末7は、端末機能部10、ICチップ12、両者を接続するインターフェース部11、及び近距離無線用のアンテナを備えたICチップで形成された端末通信部16を備えている。なお、端末通信部16を内蔵したICチップ12も存在する。
【0022】
ICチップ12は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)などを備えており、コンピュータとしての機能を有している。
後述するように、端末機能部10もコンピュータとしての機能を有しており、携帯端末7は、2つのコンピュータがインターフェース部11によって接続した状態となっている。
【0023】
EEPROMには、OS(Operating System)の他、例えば、ポイントカードとして機能するアプリケーションや会員カードとして機能するアプリケーションなど、複数のアプリケーションソフトウェアをインストールして実行することが可能である。
本実施の形態では、電子マネー処理用のアプリケーションプログラムがインストールしてあり、当該プログラムをCPUで実行することにより、バリュー処理部17、電子マネー記憶部18などが構成される。
【0024】
電子マネー記憶部18は、電子マネー機能部ID、バリュー残高、ログデータなどを記憶している。
電子マネー機能部IDは、ICチップ12にインストールされている電子マネー処理用のアプリケーションを特定するための識別情報である。
バリュー残高は、現在記憶しているバリューの金額である。
ログデータは、チャージ、決済、残高参照など、電子マネーに関する処理が行われた場合の処理内容を記録したログデータである。
【0025】
バリュー処理部17は、端末通信部16を介して店舗端末8から入力されたコマンドを実行する。これにより、バリュー処理部17は、チャージや決済、残高参照、電子マネー機能部IDの参照、ログデータの参照などを行う。
なお、端末通信部16は、近距離無線用のアンテナを備えており、店舗端末8とバリュー処理部17の通信を仲介する。店舗端末8は、近距離無線用のアンテナを備えたリーダライタを備えており、端末通信部16は、リーダライタを介して店舗端末8と通信する。
【0026】
チャージを行うチャージコマンドとしては、加算コマンド、又は上書きコマンドを利用することができる。
加算コマンドは、パラメータで指定した金額分の加算処理をバリュー処理部17に行わせる命令である。
例えば、1000円分のチャージを行う場合、バリュー処理部17は、店舗端末8から入力された加算コマンドに従って、電子マネー記憶部18のバリュー残高に1000円を加算し、加算後の値を電子マネー記憶部18のバリュー残高に上書きする。
【0027】
上書きコマンドは、パラメータで指定した金額での上書き処理をバリュー処理部17に行わせる命令である。
例えば、1000円分のチャージを行う場合、まず、店舗端末8は、残高参照コマンドによってICチップ12からバリュー残高を読み出す。次に、店舗端末8は、当該バリュー残高に1000円を加算し、加算後の値で上書きする上書きコマンドをICチップ12に入力する。ICチップ12は、これを実行して、電子マネー記憶部18のバリュー残高を上書きする。
【0028】
また、決済を行う決済コマンドとしては、減算コマンド、又は上書きコマンドを利用することができる。
減算コマンドは、パラメータで指定した金額分の減算処理をバリュー処理部17に行わせる命令である。
【0029】
例えば、1000円分の決済を行う場合、バリュー処理部17は、店舗端末8から入力された減算コマンドに従って、電子マネー記憶部18のバリュー残高から1000円を減算し、減算後の値を電子マネー記憶部18のバリュー残高に上書きする。
上書きコマンドで決済する場合は、上書きコマンドでチャージする場合と同様にして行うことができる。
チャージコマンドに加算コマンドと上書きコマンドの何れを用いるか、また、決済コマンドに減算コマンドと上書きコマンドの何れを用いるかは、電子マネーシステム1のシステム設計による。
【0030】
端末機能部10は、CPU、ROM、RAM、EEPROM、マルチタッチスクリーン、スピーカ、マイクロフォン、RF回路などを備えたコンピュータであって、インターフェース部11を介してICチップ12と接続している。
端末機能部10は、RF回路によって基地局5と通信することができ、また、インターフェース部11を介してICチップ12と通信することができる。
【0031】
EEPROMには、OSの他、ブラウザやゲームなど複数のアプリケーションソフトウェアをインストールして実行することが可能である。
マルチタッチスクリーンは、携帯端末7の表示画面に設置されており、ユーザが画面を指先でタッチして項目を選択するなどしてアプリケーションソフトウェアを操作できるようになっている。
【0032】
本実施の形態では、EEPROMに電子マネーに関する各種サービスを提供するアプリケーションソフトウェアである電子マネーアプリケーション15をインストールして動作させる。
電子マネーアプリケーション15は、例えば、電子マネーサーバ2から電子マネーアプリケーション15用のプログラムを端末機能部10にダウンロードしてインストールしたり、あるいは、当該プログラムを記録した記録媒体をユーザに配布して、当該記録媒体から端末機能部10にインストールして形成される。
【0033】
電子マネーアプリケーション15は、携帯端末7の通信機能を用いて電子マネーサーバ2と通信することができる。
そして、電子マネーアプリケーション15は、電子マネーサーバ2に対してユーザ登録やオートチャージの設定を行ったり、電子マネーサーバ2と協働してオートチャージを実施したりする。
【0034】
また、電子マネーアプリケーション15は、インターフェース部11を介してICチップ12と通信することもできる。
これにより、電子マネーアプリケーション15は、ICチップ12に残高参照コマンドを入力してICチップ12からバリュー残高を読み出したり、ID参照コマンドを入力して電子マネー機能部IDを読み出したり、ログデータ参照コマンドを入力してログデータを読み出したりすることができる。
【0035】
電子マネーアプリケーション15は、ユーザが設定した残高基準金額を記憶している。
残高基準金額は、オートチャージを実行する際の基準となる金額である。
電子マネーアプリケーション15は、定期的に(例えば、1時間おきに)ICチップ12に残高参照コマンドを入力してバリュー残高を取得し、バリュー残高が残高基準金額以下(あるいは未満)となると、オートチャージ動作を開始する。
【0036】
この場合、電子マネーアプリケーション15は、電子マネーサーバ2にアクセスしてオートチャージの要求を行う。
そして、電子マネーアプリケーション15は、この要求に対して電子マネーサーバ2が送信してきたチャージコマンドをICチップ12に入力して、ICチップ12にチャージさせる。
この際、電子マネーアプリケーション15は、電子マネーサーバ2からICチップ12に至る通信経路を暗号化してセキュリティを高めている。
【0037】
なお、本実施の形態では、電子マネーサーバ2にオートチャージ金額を記憶しておき、これをオートチャージに使用するが、電子マネーアプリケーション15にオートチャージ金額を記憶しておき、これをオートチャージの度に電子マネーサーバ2に送信するように構成してもよい。
【0038】
図4は、電子マネーサーバ2のハードウェア的な構成の一例を示した図である。
電子マネーサーバ2は、CPU21、ROM22、RAM24、通信制御部23、記憶部25などがバスラインで接続されて形成され、情報処理サーバを構成している。
【0039】
CPU21は、所定のプログラムに従って各種の情報処理を行う中央処理装置である。
本実施の形態では、携帯端末7からオートチャージの要求を受けてオートチャージを行ったり、店舗端末8からログデータを収集して集計したりする。
なお、これらの機能の全てをCPU21で行う必要はなく、複数台のサーバ装置を組み合わせて電子マネーサーバ2と同等の機能を有するシステムを構成してもよい。
【0040】
ROM22は、読み出し専用のメモリであり、電子マネーサーバ2を動作させるための基本的なプログラムやパラメータなどが記憶されている。
RAM24は、読み書き可能なメモリであって、CPU21にワーキングメモリを提供したり、記憶部25に記憶されたプログラムやデータをロードして記憶したりなどする。
通信制御部23は、店舗端末8と通信したり、インターネット4や基地局5を介して携帯端末7と通信したりする。
【0041】
記憶部25は、例えばハードディスクなどの大容量の記憶装置を用いて構成されており、各種プログラムを格納したプログラム格納部26、データを格納したデータ格納部27などから構成されている。
プログラム格納部26には、OS、オートチャージを行うためのプログラム、ログデータを処理するプログラム、その他のプログラムが格納されている。
【0042】
データ格納部27には、携帯端末7や電子マネーカードのICチップ12で電子マネーシステム1を使用するユーザを登録したユーザDB(データベース)、オートチャージの条件などを登録したオートチャージ登録DB、図示しないが、加盟店81を登録した加盟店DB、バリューによる取引履歴を記録した取引履歴DB、その他のデータベースが格納されている。
【0043】
ユーザDBには、ユーザID、パスワード、ユーザの氏名、住所、生年月日、電話番号、電子メールアドレス、ICチップ12の電子マネー機能部ID、クレジットカード番号、オートチャージの利用登録の有無などが、ユーザIDごとに対応づけられて記憶されている。このように、電子マネーシステム1では、オートチャージを利用する旨をユーザDBに登録したユーザがオートチャージサービスの対象となる。
なお、ユーザDBには、ユーザの預貯金口座(例えば、銀行口座)からオートチャージの代金を引き落とす場合は、ユーザの預貯金口座番号(例えば、銀行口座番号)を記憶し、オートチャージ金額を電話料金に合算する場合は、携帯電話会社のユーザIDを記憶する。また、複数の決済手段(クレジットカード、預貯金口座など)を用いる場合は、決済手順を記憶することもできる。
【0044】
オートチャージ登録DBには、電子マネー機能部ID、残高基準金額、オートチャージ金額、日額限度額、月額限度額などが、ユーザごとに対応づけられて記憶されている。
残高基準金額は、電子マネーアプリケーション15に記憶しているものと同じである。そのため、必ずしも電子マネーサーバ2が記憶する必要はないが、ICチップ12の管理のために電子マネーサーバ2にも記憶してある。
【0045】
オートチャージ金額は、1回のオートチャージでICチップ12にチャージする金額である。
日額限度額は、オートチャージによる1日当たりのチャージ合計値の上限値である。
月額限度額は、オートチャージによる1ヶ月当たりのチャージ合計値の上限値である。
また、1日当たりの限度回数、1ヶ月当たりの限度回数を設定するように構成してもよい。
【0046】
図5は、携帯端末7に表示されるオートチャージ設定画面を示した図である。
オートチャージ設定画面は、電子マネーアプリケーション15が電子マネーサーバ2にアクセスして表示したものである。
なお、電子マネーサーバ2が携帯端末7に提供する画面には、この他に、ユーザ登録画面など各種のものがある。
【0047】
オートチャージ設定画面では、「1.オートチャージ金額を選択して下さい。」との表示の下に、残高基準金額設定欄31とオートチャージ金額設定欄32が表示されている。
残高基準金額設定欄31、オートチャージ金額設定欄32は、何れもドロップダウンメニューとなっており、ユーザがそれぞれ、残高基準金額、1回のオートチャージでチャージする金額を選択するようになっている。なお、ユーザが任意の金額を入力するように構成することもできる。
【0048】
その下側には、「2.1日のオートチャージ上限額を選択して下さい。」との表示があり、これに続いて上限額設定欄33が表示されている。
上限額設定欄33は、ドロップダウンメニューとなっており、ユーザが、1日の上限額を選択するようになっている。なお、ユーザが任意の金額を入力するように構成することもできる。
なお、図示しないが、更に、「3.1ヶ月のオートチャージ上限額を選択して下さい。」などと、1ヶ月間の上限を選択(あるいは任意の金額を入力)する欄も設けられている。
【0049】
更に、上限額設定欄33の下側には、設定ボタン34と戻るボタン35が表示されている。
設定ボタン34は、ユーザが選択した内容を電子マネーサーバ2に通知するためのボタンであり、設定ボタン34が選択されると、電子マネーアプリケーション15は、ユーザが設定した内容を電子マネーサーバ2に送信する。
戻るボタン35は、オートチャージ設定画面を表示する前に表示していた画面に戻るためのボタンである。
【0050】
図6は、オートチャージ利用の登録を行う手順を説明するためのフローチャートである。
以下の処理は、携帯端末7のICチップ12に実装されたCPU、携帯端末7の端末機能部10に実装されたCPU、電子マネーサーバ2のCPU21が、それぞれ、電子マネー処理用のアプリケーションプログラム、電子マネーアプリケーション15のプログラム、及び電子マネーサーバ用のプログラムに従って行うものである。
【0051】
まず、電子マネーアプリケーション15は、ユーザの操作により、電子マネーサーバ2にアクセスする。すると、電子マネーサーバ2は、電子マネーアプリケーション15にトップ画面データを送信し、電子マネーアプリケーション15は、これを用いてトップ画面を表示する。トップ画面には、オートチャージ設定用のボタンが表示されている。
【0052】
ユーザがオートチャージ設定用のボタンを選択すると、電子マネーアプリケーション15は、ディスプレイに認証画面を表示する(ステップ5)。
なお、携帯端末7が電子マネーサーバ2に認証画面データを要求し、これに対して電子マネーサーバ2が送信してきた認証画面データを用いて認証画面を表示するように構成することもできる。
認証画面には、パスワード入力欄と送信ボタンが設けられており、ユーザがパスワード入力欄にパスワードを入力すると、電子マネーアプリケーション15は、当該パスワードを受け付けてRAMなどに一時記憶する(ステップ15)。
【0053】
そして、ユーザが送信ボタンを選択すると電子マネーアプリケーション15は、ICチップ12にID参照コマンドを入力してICチップ12から電子マネー機能部IDを読み出し、RAMに記憶しておいたパスワードと電子マネー機能部IDを認証情報として電子マネーサーバ2に送信する(ステップ20)。
【0054】
電子マネーサーバ2は、電子マネーアプリケーション15から認証情報を受信すると、これをユーザDBに記憶してあるパスワードと電子マネー機能部IDとを対比することにより認証を行い(ステップ25)、電子マネーアプリケーション15に認証結果を送信する(ステップ30)。
電子マネーアプリケーション15は、電子マネーサーバ2から認証結果を受信すると、これを用いて認証結果画面を表示する。
【0055】
電子マネーサーバ2がユーザの認証に失敗した場合、認証結果画面には、認証エラーを通知する内容が表示され、ユーザは、オートチャージの設定を行うことができない。
一方、電子マネーサーバ2がユーザの認証に成功した場合、認証結果画面には、オートチャージのサービスを受けるに際しての規約と、当該規約に同意する旨を入力する同意ボタンが表示される。
なお、規約表示とその同意は、初回時や規約改訂時に行うように構成することができる。
【0056】
ユーザが同意ボタンを選択すると、電子マネーアプリケーション15は、図5に示したオートチャージ設定画面を表示する(ステップ35)。
なお、携帯端末7が電子マネーサーバ2にオートチャージ設定画面データを要求し、これに対して電子マネーサーバ2が送信してきたオートチャージ設定画面データを用いてオートチャージ設定画面を表示するように構成することもできる。
【0057】
電子マネーアプリケーション15は、ユーザがオートチャージ設定画面から各種条件を選択することにより登録情報(残高基準金額、オートチャージ金額、日額限度額、月額限度額など)の入力を受け付ける(ステップ45)。
ユーザが、設定するボタンを選択すると電子マネーアプリケーション15は、登録情報を電子マネーサーバ2に送信する(ステップ50)。この際に、電子マネーアプリケーション15は、後にバリュー残高の確認で用いるために残高基準金額をEEPROMなどに記憶する。
【0058】
電子マネーサーバ2は、電子マネーアプリケーション15から登録情報を受信し、これをオートチャージ登録DBに記録することにより登録処理を行う(ステップ55)。
以上のようにして、オートチャージサービスに関する登録処理が完了する。
【0059】
図7は、オートチャージ処理の手順を説明するためのフローチャートである。
まず、電子マネーアプリケーション15は、前回のバリュー残高の確認から(初回の場合は、オートチャージ機能が起動してから)所定時間が経過したか否かを判断する(ステップ105)。
【0060】
所定時間が経過していない場合(ステップ105;N)、電子マネーアプリケーション15は、引き続きステップ105で所定時間が経過したか否かを確認する。
所定時間が経過した場合(ステップ105;Y)、電子マネーアプリケーション15は、ICチップ12に残高参照コマンドを入力することによりバリュー残高の通知を要求する(ステップ110)。
【0061】
ICチップ12は、電子マネーアプリケーション15から残高参照コマンドの入力を受け付けると、電子マネー記憶部18からバリュー残高を読み出して電子マネーアプリケーション15に送信する(ステップ115)。
電子マネーアプリケーション15は、ICチップ12からバリュー残高を取得すると、当該バリュー残高と予め記憶しておいた残高基準金額を比較し、バリュー残高が残高基準金額以下か否かを判断する(ステップ120)。
【0062】
バリュー残高が残高基準金額以下でない場合(ステップ120;N)、電子マネーアプリケーション15は、ステップ105の処理に戻る。
バリュー残高が残高基準以下である場合(ステップ120;Y)、電子マネーアプリケーション15は、ID参照コマンドをICチップ12に入力して電子マネー機能部IDを読み出す。
【0063】
次に、電子マネーアプリケーション15は、電子マネーサーバ2にアクセスしてオートチャージを要求すると共に電子マネー機能部IDを電子マネーサーバ2に送信する(ステップ125)。
なお、チャージコマンドとして上書きコマンドを用いる場合は、電子マネーサーバ2が上書きコマンドを生成するために、電子マネーアプリケーション15は、バリュー残高を読み出して電子マネーサーバ2に送信する。
【0064】
この要求は、ユーザに確認せずに行ってもよいし、あるいは、ユーザにオートチャージの許可を求める画面を表示し、ユーザからオートチャージの許可が得られた場合に行うように構成してもよい。
また、本実施の形態では、オートチャージの登録の際に認証処理を行っているため、オートチャージの際には認証を行わないが、オートチャージの度にパスワードの入力を求めて認証するように構成してもよい。
【0065】
電子マネーサーバ2は、電子マネーアプリケーション15からオートチャージの要求を受けると、後述のリモートロック機能が作動しているか否かを確認し、リモートロック機能が作動している場合は、電子マネーアプリケーション15にエラーメッセージを送信して処理を終了する。また、エラーメッセージの送付、及び表示は、行わないように構成することもできる。以下も同様である。
リモートロック機能が作動していない場合、電子マネーサーバ2は、電子マネー機能部IDをキーとしてオートチャージ登録DBからユーザが設定したオートチャージ金額を検索する。
【0066】
次いで、電子マネーサーバ2は、今回のオートチャージが、ユーザが設定した日額限度額、及び月額限度額を満たしているか否かを判断する(ステップ130)。
なお、電子マネーサーバ2は、オートチャージの度に、金額とオートチャージを行った日時刻を記録しており、当該記録を用いて判断する。
【0067】
電子マネーサーバ2は、図示しないが、今回のオートチャージが日額限度額、及び月額限度額を満たしていない場合は、電子マネーアプリケーション15にエラーメッセージを送信して処理を終了する。
一方、これら限度額を満たしている場合、電子マネーサーバ2は、クレジット会社サーバ3にアクセスしてユーザが登録したクレジットカード番号にてオートチャージ金額分の決済処理を行う(ステップ135)。
次に、電子マネーサーバ2は、オートチャージ金額分を増額するチャージコマンドを生成し、電子マネーアプリケーション15に送信する(ステップ140)。
【0068】
電子マネーアプリケーション15は、電子マネーサーバ2からチャージコマンドを受信して(ステップ145)、これをICチップ12に入力する(ステップ150)。
ICチップ12は、電子マネーアプリケーション15からチャージコマンドの入力を受けると、これを実行してバリュー残高をオートチャージ金額分だけ増額する(ステップ155)。
【0069】
なお、図示しないが、ICチップ12は、オートチャージに成功すると、電子マネーアプリケーション15が端末機能部10を用いて、その旨を電子マネーサーバ2に通知し、電子マネーサーバ2は、今回のオートチャージ金額を、次回のオートチャージの際に日額限度額、及び月額限度額の確認のために記録する。
更に、電子マネーサーバ2が、オートチャージした旨を携帯端末7に電子メールなどで通知するように構成することもできる。
【0070】
以上のように、電子マネーアプリケーション15は、定期的にICチップ12のバリュー残高を確認するが、この方式は、電子マネーアプリケーション15がICチップ12のバリュー残高を常時把握していない場合に特に有効である。
【0071】
即ち、ICチップ12は、端末機能部10から独立して動作することができるため、ICチップ12が店舗端末8と通信してチャージや決済を行った場合に、その旨をICチップ12が電子マネーアプリケーション15に通知しないと、電子マネーアプリケーション15は、ICチップ12のバリュー残高を把握することができない。
このように構成されている場合、電子マネーアプリケーション15がICチップ12のバリュー残高を定期的に確認することにより、バリュー残高の残高基準金額割れを検出することができる。
【0072】
また、携帯端末7が第三者に渡ってオートチャージ機能を悪用されるのを防止するため、電子マネーサーバ2は、リモートロック機能を有している。
リモートロック機能では、ユーザからのアクセスを受け、ユーザ認証が成功した場合にオートチャージのサービスを停止する。ユーザ認証に用いる情報の組み合わせは、例えば、(ユーザ氏名、電子メールアドレス、パスワード)、(ユーザ氏名、生年月日、電子メールアドレス、パスワード)、(電話番号、生年月日、電子メールアドレス、パスワード)などを用いることが可能である。
【0073】
また、本実施の形態では、電子マネーサーバ2がチャージコマンドを生成して、電子マネーアプリケーション15がこれをICチップ12に入力したが、電子マネーサーバ2がオートチャージの許可を電子マネーアプリケーション15に与え、電子マネーアプリケーション15がチャージコマンドを生成するように構成することもできる。
【0074】
また、本実施の形態では、電子マネーアプリケーション15は、定期的にICチップ12のバリュー残高を確認したが、例えば、8時、10時、13時、・・・など、予め決められた時刻に確認するように構成したり、又は、前回オートチャージしてから所定時間経過した時刻に確認するように構成することができる。
更に、ICチップ12のバリューで決済(支払)した直後に電子マネーアプリケーション15がICチップ12のバリュー残高を確認するように構成することもできる。
また、残高確認の周期を十分に短くすれば、決済した直後にオートチャージを行うことができる。
【0075】
また、バリュー残高が残高基準金額以下となった場合に、ユーザに警告を表示してオートチャージは行わないようにユーザが設定できるように電子マネーアプリケーション15を構成することもできる。
また、第1の残高基準金額と第2の残高基準金額(第1の残高基準金額>第2の残高基準金額)を設け、第1の残高金額以下となった場合にユーザに警告を発し、第2の残高基準金額以下となった場合にオートチャージを実施するように電子マネーアプリケーション15を構成することもできる。
【0076】
また、オートチャージによるチャージにより、電子マネー記憶部18が記憶するバリューの最大金額を越える場合、自動的に最大チャージ金額をチャージするように電子マネーアプリケーション15を構成することもできる。
また、ユーザがオートチャージサービスの利用に登録している場合は、オートチャージ金額は電子マネーサーバ2が設定し、ユーザがオートチャージサービスの利用に登録していない場合は、ユーザが携帯端末7でオートチャージ金額を設定するように構成することもできる。
【0077】
更に、オートチャージ金額の決済方法は、各種の変形が可能である。
(決済方法の変形例1)
電子マネーサーバ2は、金融機関(例えば、銀行)のサーバと通信し、ユーザが登録した預貯金口座(例えば、銀行口座)からオートチャージ金額を引き落とす。
銀行口座からオートチャージ金額を引き落とす場合、電子マネーサーバ2は、クレジット会社サーバ3の代わりに銀行のサーバにアクセスし、銀行のサーバに対してユーザの口座からのオートチャージ金額の引き落としを依頼する。
(決済方法の変形例2)
クレジットカードの与信額や預貯金口座の残高が所定の条件を満たす場合(例えば、オートチャージ金額に満たない場合)、電子マネーサーバ2が、その旨のアラートを電子マネーアプリケーション15に送信して、ユーザに当該アラートを表示し、オートチャージを行わないように構成することもできる。
【0078】
(決済方法の変形例3)
クレジットカードの与信額や預貯金口座の残高が所定の条件を満たす場合(例えば、ユーザの設定した金額に満たない場合、過去の最大オートチャージ金額に満たない場合など)、電子マネーサーバ2が、その旨のアラートを電子マネーアプリケーション15に送信してユーザに当該アラートを表示し、それから、オートチャージを行うように構成することもできる。
【0079】
(決済方法の変形例4)
決済のために、複数のクレジットカード番号や複数の預貯金口座を登録しておく。
この場合、ユーザが優先順位を設定し、電子マネーサーバ2は、当該優先順位に従って決済するように構成することができる。
例えば、ユーザが、クレジットカード番号A、銀行口座D、クレジットカード番号B、銀行口座E、クレジットカード番号Cの順で優先順位を設定したとする。
【0080】
この場合、電子マネーサーバ2は、オートチャージに際して、最も優先順位の高いクレジットカード番号Aにて決済を試み、例えば、与信不足などで決済できない場合は、次に優先順位の高い銀行口座Dで決済を試みる。そして、残高不足などで銀行口座Dで決済できない場合は、次に優先順位の高いクレジットカード番号Bにて決済を試みる。以下、同様にして決済が完了するまで、あるいは、登録した全てのクレジットカード番号、及び銀行口座で決済できないことを確認するまで、リトライする。
【0081】
このように、電子マネーサーバ2に複数の決済アカウント(クレジットカード番号、預貯金口座)を優先順位付けして登録し、決済可能金額(クレジットカードの与信額、預貯金口座の残高)がオートチャージ金額に満たない場合に、決済が完了するまで優先順位に基づいて複数の決済アカウントで決済を試みるように構成すると、ユーザの利便性を高めることができる。
【0082】
(決済方法の変形例5)
変形例4において、決済できないクレジットカード番号、あるいは預貯金口座があった場合、電子マネーサーバ2は、これらの優先順位を、例えば、最下位に変更するなど、再設定するように構成する。
即ち、電子マネーサーバ2は、複数の決済アカウントの優先順位を決済の可否によって変更する。
【0083】
(決済方法の変形例6)
変形例4において、決済できないクレジットカード番号や預貯金口座があった場合、電子マネーサーバ2は、これらに決済ができなかった旨のフラグ情報を設定し、次回のオートチャージの際には、フラグ情報が設定されているものをスキップして(飛ばして)優先順位順に決済を試みるように構成することもできる。
【0084】
即ち、電子マネーサーバ2は、複数の決済アカウントで決済できないものがあった場合、次回にオートチャージする際には、当該決済できなかった決済アカウントを除いた決済アカウントで決済を試みる。そして、複数の決済アカウントに優先順位が設定されている場合は、当該決済できなかった決済アカウントを除いた決済アカウントにおいて、優先順位順に決済を試みる。
【0085】
(決済方法の変形例7)
携帯端末7が電話機能を備えており、ユーザが携帯電話会社と契約を結んでいる場合、オートチャージ金額を電話料金と合算して請求ユーザに請求することも可能である。
この手法は、例えば、デジタルコンテンツの購入代金を電話料金と合算する場合と同様である。
この場合、電子マネーサーバ2は、クレジット会社サーバ3の代わりに携帯電話事業者のサーバにアクセスし、オートチャージ金額の徴収を依頼する。
【0086】
(第2の実施の形態)
本実施の形態の電子マネーアプリケーション15は、ICチップ12のバリューでの支払後(例えば、直後)に、次回の残高確認までに残高不足となるか予想し、残高不足となると予想される場合に電子マネーサーバ2と通信して、ICチップ12に対して自動的にチャージする。
このように第2の実施の形態では、第1の実施の形態と同様の定期的なオートチャージに加え、バリュー残高の推移の予想値に基づいて、不定期なオートチャージも行う。
【0087】
図8(a)は、予想値に基づく不定期なオートチャージを行わない場合(即ち、第1の実施の形態の場合)に、縦軸をバリュー残高、横軸を時間としてバリュー残高の推移を黒点にて示した図である。
電子マネーアプリケーション15は、・・・、t(n)、t(n+1)、・・・と、周期Tにて定期的に電子マネー記憶部18のバリュー残高を確認する。
時刻t(n)では、バリュー残高が残高基準金額X円を上回っているため、電子マネーアプリケーション15は、オートチャージを実施しない。
【0088】
時刻t(n+1)では、バリュー残高が残高基準金額X円以下となっているため、電子マネーアプリケーション15は、オートチャージを実施し、オートチャージ金額Y円だけバリュー残高を増額させる。これによって、バリュー残高は、残高基準よりも大きいZ1円となる。
【0089】
図8(b)は、定期的なオートチャージに加え、予想値に基づく不定期なオートチャージを行う場合のバリュー残高の推移を示した図である。
電子マネーアプリケーション15は、周期Tによる定期的なバリュー残高の確認に他に、周期Tの期間内でもバリュー残高の推移を監視している。
【0090】
これは、電子マネーアプリケーション15が周期Tよりも短い周期で定期的にバリュー残高を確認するように構成したり、あるいは、ICチップ12で決済した場合に、その都度、決済後のバリュー残高を電子マネーアプリケーション15に通知するようにICチップ12を構成することにより実現することができる。
【0091】
電子マネーアプリケーション15がt1の時点で、バリュー残高が次回のt(n+1)におけるオートチャージまでの間に残高不足(バリュー残高が0円)になると予想したとする。予想は、図中の黒点に続く破線で示してある。
すると、電子マネーアプリケーション15は、次回の定期的なオートチャージを待たずにオートチャージを実施し、オートチャージ金額Y円だけバリュー残高を増額させる。これによって、バリュー残高は、定期的なオートチャージの前であっても0円とならずに残高基準よりも大きいZ2円となる。
予想方法としては、例えば、バリュー残高の推移を時間で微分した値を用いたり、その他、種々の指標による予想が可能である。
【0092】
なお、上の例では、次回の定期的なオートチャージまでにバリュー残高が0円になると予想される場合にオートチャージを行ったが、例えば、次回の定期的なオートチャージまでにバリュー残高が残高基準金額以下となる場合にオートチャージを実施するといったように他の基準を用いることも可能である。
あるいは、次回の定期的なオートチャージまでにバリュー残高が不足すると予想され、かつ、現在のバリュー残高が残高基準金額以下である場合にオートチャージを実施するといったように、複数の条件を組み合わせてもよい。
【0093】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態では、ユーティリティバリューを用いて電子マネー記憶部18にチャージする。
まず、ユーティリティバリューについて説明する。
第1の実施の形態では、1の電子マネーシステム1について説明したが、複数の事業者が、それぞれ独自の電子マネーシステムを運営する場合がある。
例えば、事業者Aが電子マネーシステム1a、事業者Bが電子マネーシステム1b、事業者Cが電子マネーシステム1cを運営しているとする。
【0094】
事業者A、B、Cは、独自のバリューを発行しており、それぞれの電子マネーシステム1a、1b、1c(図示せず)で独自に流通させている。
ユーティリティバリューとは、事業者A、B、Cの何れのバリューにも変換できる(両替できる)バリューである。
即ち、流通するバリューに事業者別などの複数のグループが存在する場合に、何れのグループのバリューにも変換できるバリューがユーティリティバリューである。
【0095】
図9は、第3の実施の形態に係るICチップ12の構成を示した図である。
ICチップ12は、電子マネー記憶部18a、18b、18cを備えており、それぞれに事業者A用のバリュー残高、事業者B用のバリュー残高、事業者C用のバリュー残高を記憶している。
【0096】
電子マネー記憶部18aに記憶してあるバリュー残高は、事業者A用の店舗端末8aによってチャージや決済が可能であり、同様に、電子マネー記憶部18b、18cに記憶してあるバリュー残高は、事業者B、C用の店舗端末8b、8cによってチャージや決済が可能である。
【0097】
更に、ICチップ12は、ユーティリティバリュー残高を記憶する電子マネー記憶部18dを備えている。
電子マネー記憶部18dに対しては、ユーティリティバリューを発行する事業者が運営する電子マネーサーバ2dからユーティリティバリューをチャージすることができる。
【0098】
そして、電子マネー記憶部18dにチャージしたユーティリティバリューは、事業者A、B、C用のバリューに変換して電子マネー記憶部18a、18b、18cに移動することが可能である。このようにして、ユーティリティバリューによって、事業者が異なるバリューをチャージすることができる。
【0099】
例えば、ユーティリティバリューを事業者A用のバリューに変換して移動する場合、ICチップ12は、電子マネー記憶部18dにおいてユーティリティバリュー残高を移動金額分だけ減額し、電子マネー記憶部18aのバリュー残高を移動金額分だけ増額することによりバリューを移動させることができる。
【0100】
この処理は、電子マネーアプリケーション15が電子マネー記憶部18dのユーティリティバリュー残高を減額させる減算コマンド、又は、上書きコマンドと、電子マネー記憶部18aのバリュー残高を増額させる加算コマンド、又は、上書きコマンドを生成して、これらをICチップ12に実行させることにより行うことができる。
【0101】
あるいは、電子マネーアプリケーション15が電子マネーサーバ2dにアクセスし、電子マネーサーバ2dに、これらコマンドを生成してもらって、ICチップ12に入力するように構成することもできる。
なお、図示しないが、バリュー処理部17は、これら電子マネー記憶部18a〜18dに共通としてもよいし、あるいは、電子マネー記憶部18a〜18dごとに、バリュー処理部17a〜17dを備えてもよい。
【0102】
電子マネーサーバ2dが電子マネー記憶部18dにチャージしたユーティリティバリューの金額、及び、電子マネー記憶部18dから電子マネー記憶部18a〜18cに移動したバリューの金額は、電子マネーアプリケーション15が上記コマンドを生成して移動を行った場合は、ICチップ12のログデータにより、電子マネーサーバ2dが上記コマンドを生成した場合は、電子マネーサーバ2dのログデータにより分かり、これを用いて事業者間で金銭の授受を行って、実際の通貨と各事業者のバリューとの整合性を担保している。
【0103】
第3の実施の形態では、電子マネーアプリケーション15は、電子マネー記憶部18dのバリュー残高を確認し、残高基準金額以下となった場合に、電子マネーサーバ2dにアクセスして電子マネー記憶部18dにユーティリティバリューをオートチャージする。
オートチャージしたユーティリティバリューから電子マネー記憶部18a、18b、18cへのバリューの移動は、電子マネーアプリケーション15が自動的に行ってもよいし、ユーザが手動で行ってもよい。
【0104】
電子マネー記憶部18dのバリュー残高の確認は、定期的に行ってもよいし、あるいは、電子マネー記憶部18a、18b、18cのバリューで決済したときでもよい。後者の場合は、決済後の電子マネー記憶部18dのバリュー残高が残高基準金額以下であった場合に即時にオートチャージを実施する。
【0105】
なお、本実施の形態では、電子マネー記憶部18dのバリュー残高が残高基準金額以下の場合にユーティリティバリューをオートチャージしたが、電子マネー記憶部18a、18b、18cの内のいずれかの残高、又はこれらの内の特定の記憶部のバリュー残高が残高基準金額以下の場合にユーティリティバリューをオートチャージするように構成することもできる。
また、電子マネー記憶部18a、18b、18c、18dの内のいずれかの残高、又はこれらの内の特定の記憶部のバリュー残高が残高基準金額以下の場合にユーティリティバリューをオートチャージするように構成することもできる。
【0106】
次に、第3の実施の形態の変形例について説明する。
(変形例1)
変形例1では、電子マネーアプリケーション15は、電子マネー記憶部18a、18b、18cのバリュー残高のうち、決済後に残高基準金額以下となったものがあった場合、電子マネー記憶部18dのユーティリティバリュー残高を確認し、ユーティリティバリュー残高がある場合には、ユーティリティバリューを残高基準金額以下となった電子マネー記憶部18に移動する。
また、ユーティリティバリュー残高が不足する場合に電子マネー記憶部18dにオートチャージしてから残高基準金額以下となった電子マネー記憶部18に移動する。
バリューの移動金額は、例えば、予め設定した任意の金額としたり、あるいは、当該電子マネー記憶部18で記憶できる上限金額から現在金額を減じた金額するとすることができる。
【0107】
(変形例2)
変形例2では、事業者A、B、Cのバリューに優先順位を設定し、所定のタイミング(定期的、決済時など)ごとに、優先度の高い順に、設定した金額分だけユーティリティバリューを充当する。
例えば、優先順位を電子マネー記憶部18a、18b、18cの順とし、それぞれにX円、Y円、Z円を設定したとする。
電子マネーアプリケーション15は、何れかのバリュー残高が残高基準金額以下となった場合に、電子マネーサーバ2からX+Y+Z円のユーティリティバリューをチャージし、電子マネー記憶部18a、18b、18cに、それぞれX、Y、Z円分のユーティリティバリューを移動する。
【0108】
(変形例3)
変形例3では、電子マネー記憶部18a、18b、18cに予め上限額を設定し、当該上限額に達するまでユーティリティバリューを充当する。
例えば、電子マネー記憶部18a、18b、18cの上限額をX円、Y円、Z円としたとする。
電子マネーアプリケーション15は、何れかのバリュー残高が残高基準金額以下となった場合に、電子マネーアプリケーション15は、電子マネー記憶部18a、18b、18cのそれぞれについて、上限額とバリュー残高の差額を計算し、当該差額の合計金額分のユーティリティバリューを電子マネーサーバ2dからチャージし、電子マネー記憶部18a、18b、18cに、それぞれ差額分のユーティリティバリューを移動する。
【0109】
(変形例4)
変形例4では、電子マネーアプリケーション15は、電子マネー記憶部18a、18b、18cのバリュー残高の合計値を計算し、当該合計値が残高基準金額以下となった場合に、電子マネーサーバ2dからユーティリティバリューをオートチャージする。
ユーティリティバリューから電子マネー記憶部18a、18b、18cへのバリューの移動は、例えば、変形例2、3の方法を用いる。
【0110】
(変形例5)
図10は、変形例5を説明するための図である。
本変形例では、複数の事業者の運用するバリューのうちの1つをユーティリティバリューとして利用する。
ICチップ12は、電子マネー記憶部18a、18b、18cを備えており、電子マネー記憶部18bに記憶したバリューは、事業者A、Cの運営するバリューに変換して電子マネー記憶部18a、18cに移動することができる。
【0111】
また、ICチップ12は、店舗端末8bにアクセスして、電子マネー記憶部18bにバリューをチャージしたり、電子マネー記憶部18bのバリューで決済することもできる。
このように、電子マネー記憶部18bのバリューは、上記に説明したユーティリティバリューと同様に使用することができると共に、電子マネー記憶部18bにてチャージや決済を行うこともできる。
【0112】
この例では、事業者Bのバリューをユーティリティバリューとして使用したが、更に、複数の事業者のバリューをユーティリティバリューとして使用することもできる。
例えば、事業者A、Bのバリューをユーティリティバリューとして使用する場合、電子マネー記憶部18aのバリューは、電子マネー記憶部18b、18cに移動可能であり、電子マネー記憶部18bのバリューは、電子マネー記憶部18a、18cに移動できる。
この場合、例えば、電子マネー記憶部18a、18bの順に優先順位を設定して、優先順位の高いものから電子マネー記憶部18cにバリューを移動するなど、各種の運用が可能である。
【0113】
(第4の実施の形態)
本実施の形態では、電子マネーアプリケーション15が、バリューの利用状況に応じて最適な残高基準金額を算出することにより、残高基準金額を自動的に設定する。ICチップ12の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0114】
算出方法としては、単位期間当たり(例えば、1日当たり)の平均決済金額を用いる。
この場合、電子マネーアプリケーション15は、毎日所定時刻にICチップ12にアクセスして所定期間分(例えば、5日分)のログデータを読み出し、1日当たりの平均決済金額を算出する。そして、ICチップ12は、記憶している残高基準金額を算出した平均決済金額で更新する。
【0115】
なお、ICチップ12の記憶容量が小さく、所定期間分のログデータが記憶できない場合は、電子マネーアプリケーション15が、定期、又は不定期にICチップ12にアクセスしてICチップ12のログデータが上書きされる前にICチップ12のログデータを読み取って端末機能部10に記憶しておく。
【0116】
本実施の形態におけるオートチャージ処理の手順は、図7と同じである。ただし、ステップ120において、電子マネーアプリケーション15は、ICチップ12のバリュー残高と、更新した残高基準金額を比較し、バリュー残高が残高基準金額以下か否かを判断する。
【0117】
(変形例1)
本変形例では、残高基準金額として1回当たりの平均決済金額を用いる。
この場合、電子マネーアプリケーション15は、定期的、又は不定期にICチップ12のログデータを参照して所定回数分の決済金額を読み出し、これを平均して1回当たりの平均決済金額を算出する。
そして、電子マネーアプリケーション15は、記憶している残高基準金額を算出した1回当たりの平均金額で上書きする。
【0118】
(変形例2)
本変形例では、残高基準金額を電子マネーサーバ2が残高基準金額を算出する。
電子マネーサーバ2は、店舗端末8からICチップ12との処理に係るログデータを収集し、単位期間当たりの平均決済金額や1回当たりの平均決済金額などを計算して残高基準金額を算出する。
電子マネーサーバ2は、電子マネーアプリケーション15がアクセスしてきた際に、残高基準金額を電子マネーアプリケーション15に送信し、電子マネーアプリケーション15は、これを受信して記憶する。
【0119】
(第5の実施の形態)
本実施の形態では、電子マネーアプリケーション15が、オートチャージ金額を算出することにより、オートチャージ金額を自動的に設定する。ICチップ12の構成は、第1の実施の形態と同様である。
例えば、電子マネーアプリケーション15は、電子マネー記憶部18の最大チャージ可能金額から現在のバリュー残高を減算した値をオートチャージを行う際に計算し、当該値によるオートチャージを電子マネーサーバ2に要求する。
また、最大チャージ可能金額から1回当たりの平均チャージ金額を減算した値をオートチャージ金額としてもよい。
【0120】
以上に説明した実施の形態、及び変形例によって、次の効果を得ることができる。
(1)携帯端末7は、定期的にICチップ12のバリュー残高を自動的に確認し、残高が残高基準金額以下であるときに、電子マネーサーバ2と通信してオートチャージするため、ユーザがバリューを管理し、手動でチャージする手間を省くことができる。
(2)ICチップ12にオートチャージすることにより、ユーザがICチップ12のバリューでの支払の際に残高不足となる事態を抑制することができる。
(3)店舗端末8にオートチャージ用の機能を追加するのは困難であるが、電子マネーシステム1では、電子マネーアプリケーション15と電子マネーサーバ2の通信により、オートチャージを実現することができる。
(4)電子マネーアプリケーション15では、残高不足の予想、最適値など、残高基準金額を柔軟に設定することができ、オートチャージ金額も柔軟に設定することができる。
(5)電子マネーアプリケーション15は、ユーティリティバリューをオートチャージすることにより、複数のグループのバリューが混在するシステムに対応することができる。
(6)従来の、携帯端末が金融機関にアクセスして認証を得てから、電子バリュー発行システムにリダイレクトしてチャージする方式は、チャージに時間を要するが、電子マネーシステム1では、与信枠の確認や銀行残高の確認は、電子マネーサーバ2が行うため、携帯端末7は、電子マネーサーバ2にのみ通信して短時間にオートチャージすることができる。
【0121】
以上に説明した実施の形態、及び変形例によって、次の構成を得ることができる。
ICチップ12は、電子マネー記憶部18によってバリュー残高を記憶し、外部から入力されるコマンドによってバリュー残高を増減するため、貨幣価値(バリュー)の金額を記憶し、外部端末(店舗端末8や端末機能部10など)から入力される金額変更情報(チャージコマンド、決済コマンド)に従って前記記憶した金額を増減するICチップとして機能している。
そして、端末機能部10で実現された電子マネーアプリケーション15は、例えば、定期的に、又は、バリュー残高が0となると予想される時点など、所定のタイミングで電子マネー記憶部18からバリュー残高を読み出すため、前記記憶した金額を所定のタイミングで取得する金額取得機能を備えている。
また、電子マネーアプリケーション15は、ICチップ12からバリュー残高を読み取って、残高基準金額以下という条件を満たすか否かを判断するため、前記取得した金額が所定の条件を満たすか否かを判断する判断機能を備えている。
また、電子マネーアプリケーション15は、ICチップ12のバリュー残高が残高基準金額以下であるという条件を満たすと判断した場合に、電子マネーサーバ2にアクセスしてICチップ12に対するオートチャージを要求するため、前記判断機能で前記取得した金額が所定の条件を満たすと判断された場合に、前記ICチップが記憶する金額の増額を所定のサーバに要求する増額要求機能を備えている。
また、電子マネーアプリケーション15は、電子マネーサーバ2からチャージのためのコマンドを受信してICチップ12に入力し、ICチップ12のチャージを行う。電子マネーサーバ2からの当該コマンドの送信は、電子マネーサーバ2がオートチャージを承認した承認情報としての機能を有しているため、電子マネーアプリケーション15は、前記要求に対して前記所定のサーバから承認情報を受信した場合に、所定の金額を増額する金額変更情報を前記ICチップに入力して、前記ICチップの記憶する金額を増額させる増額機能を有している。また、電子マネーアプリケーション15が電子マネーサーバ2からオートチャージの承認を受けて、電子マネーアプリケーション15がチャージのためのコマンドを生成してICチップ12に入力してもよい。
このように、電子マネーアプリケーション15を端末機能部10で実現するプログラムは、上記機能をコンピュータに実現させる情報処理プログラムに相当する。
【0122】
第1の実施の形態では、電子マネーアプリケーション15は、定期的にICチップ12のバリュー残高を確認するが、この場合、電子マネーアプリケーション15は、確認周期で規定される所定時刻にバリュー残高をICチップ12から取得している。また、この所定時刻は、予め決められた時刻であってもよい。
第1の実施の形態では、前回のオートチャージから所定時間経過後に電子マネーアプリケーション15がICチップ12のバリュー残高を確認するように構成することもできる。
第1の実施の形態では、ICチップ12のバリューで支払をした際に電子マネーアプリケーション15がICチップ12のバリュー残高を確認するように構成することもできる。
また、第2の実施の形態では、バリュー残高の予想値が所定の条件を満たす場合に電子マネーアプリケーション15がICチップ12のバリュー残高を確認している。また、以上のタイミングを組み合わせてもよい。
このように、前記所定のタイミングは、所定時刻となった場合のタイミング、前記増額機能が前記ICチップに前記サーバから受信した金額変更情報を入力してから所定時間経過後のタイミング、金額変更情報によって前記ICチップが記憶する金額を減額したタイミング、前記ICチップの記憶する金額が所定金額以下となると予測されるタイミング、の内の少なくとも何れかとすることができる。
【0123】
第3の実施の形態では、ICチップ12は、例えば、個別に金額が増減可能な事業者別のバリューを記憶し、これら事業者別のバリューに移動可能なユーティリティバリューも記憶するため、前記ICチップは、個別に金額が増減可能な複数の個別用の金額記憶手段と、前記個別用の金額記憶手段に移動可能な金額を記憶する移動用の金額記憶手段と、を備えている。
そして、電子マネーアプリケーション15は、電子マネー記憶部18dのユーティリティバリュー残高が残高基準金額以下となった場合にユーティリティバリューに対してオートチャージを行ったり、また、電子マネー記憶部18a〜18cの事業者別のバリュー残高が残高基準金額以下となった場合にユーティリティバリューに対してオートチャージを行うため、前記金額取得機能は、前記移動用又は個別用の金額記憶手段の内の少なくとも1つの金額を取得し、前記増額機能は、前記金額変更情報によって前記移動用の金額記憶手段の記憶する金額を増額させている。
また、電子マネーアプリケーション15は、電子マネー記憶部18dにオートチャージしたバリューを電子マネー記憶部18a、18b、18cに移動するため、前記移動用の金額記憶手段が記憶する金額を任意の個別用の金額記憶手段に移動する金額移動機能を備えている。
【0124】
第3の実施の形態の変形例1では、電子マネー記憶部18a、18b、18cの内、決済後に残高基準金額以下となった電子マネー記憶部18があった場合に、電子マネー記憶部18dのユーティリティバリューを当該電子マネー記憶部18に移動するため、前記金額移動機能は、前記個別用の金額記憶手段が記憶する金額が所定の条件を満たした場合に、前記移動用の金額記憶手段が記憶する金額を当該所定の条件を満たした個別用の金額記憶手段に移動している。
【0125】
第3の実施の形態の変形例2では、電子マネー記憶部18a、18b、18cに優先順位を設定しておき、電子マネー記憶部18dにオートチャージした際に、当該優先順位に従って電子マネー記憶部18dのユーティリティバリューを配分するため、電子マネーアプリケーション15は、前記増額機能が前記移動用の金額記憶手段の記憶する金額を増額させた場合に、前記移動用の金額記憶手段の記憶する金額を所定の優先順位に従って複数の前記個別用の金額記憶手段に配分する配分機能を備えている。
【0126】
第4の実施の形態では、バリューの利用状況に応じて残高基準金額を動的に最適金額に設定するため、電子マネーアプリケーション15は、前記ICチップの記憶する金額の減額の状況を用いて前記判断機能における所定の金額を設定する金額設定機能を備えている。
【0127】
第5の実施の形態では、最大チャージ可能金額から現在のバリュー残高を減算した金額をオートチャージ金額としたり、最大チャージ可能金額から1回当たりの平均チャージ金額を減算した値をオートチャージ金額としたりなど、オートチャージ金額を動的に設定するため、電子マネーアプリケーション15のオートチャージ金額、即ち、前記増額機能で増額させる所定の金額は、前記金額記憶手段が記憶する最大金額から現在の金額を減算した金額、又は、前記金額記憶手段が記憶する最大金額から1回当たりの平均増額金額を減算した金額のうちの何れかとすることができる。
【0128】
また、電子マネーアプリケーション15が実現された端末機能部10は、金額取得手段と、判断手段と、増額要求手段と、増額手段と、を備えたコンピュータとして機能しており、前記金額取得手段で、貨幣価値の金額を記憶し、外部端末から入力される金額変更情報に従って前記記憶した金額を増減するICチップから、前記記憶した金額を所定のタイミングで取得する金額取得ステップと、前記判断手段で、前記取得した金額が所定の条件を満たすか否かを判断する判断ステップと、前記増額要求手段で、前記判断手段で前記取得した金額が所定の条件を満たすと判断された場合に、前記ICチップが記憶する金額の増額を所定のサーバに要求する増額要求ステップと、前記増額手段で、前記要求に対して前記所定のサーバから承認情報を受信した場合に、所定の金額を増額する金額変更情報を前記ICチップに入力して、前記ICチップの記憶する金額を増額させる増額ステップと、を行うことができる。
【0129】
また、電子マネーアプリケーション15が実現された端末機能部10を備えた携帯端末7は、貨幣価値の金額を記憶し、外部端末から入力される金額変更情報に従って前記記憶した金額を増減するICチップから、前記記憶した金額を所定のタイミングで取得する金額取得手段と、前記取得した金額が所定の条件を満たすか否かを判断する判断手段と、前記判断手段で前記取得した金額が所定の条件を満たすと判断された場合に、前記ICチップが記憶する金額の増額を所定のサーバに要求する増額要求手段と、前記要求に対して前記所定のサーバから承認情報を受信した場合に、所定の金額を増額する金額変更情報を前記ICチップに入力して、前記ICチップの記憶する金額を増額させる増額手段と、を具備したことを特徴とする携帯端末として機能している。
【0130】
また、貨幣価値の金額を記憶し、外部端末から入力される金額変更情報に従って前記記憶した金額を増減するICチップから、前記記憶した金額を所定のタイミングで取得する金額取得機能と、前記取得した金額が所定の条件を満たすか否かを判断する判断機能と、前記判断機能で前記取得した金額が所定の条件を満たすと判断された場合に、前記ICチップが記憶する金額の増額を所定のサーバに要求する増額要求機能と、前記要求に対して前記所定のサーバから承認情報を受信した場合に、所定の金額を増額する金額変更情報を前記ICチップに入力して、前記ICチップの記憶する金額を増額させる増額機能と、をコンピュータに実現させる情報処理プログラムを記録した記録媒体を提供することもできる。
【符号の説明】
【0131】
1 電子マネーシステム
2 電子マネーサーバ
3 クレジット会社サーバ
4 インターネット
5 基地局
7 携帯端末
8 店舗端末
10 端末機能部
11 インターフェース部
12 ICチップ
15 電子マネーアプリケーション
16 端末通信部
17 バリュー処理部
18 電子マネー記憶部
21 CPU
22 ROM
23 通信制御部
24 RAM
25 記憶部
26 プログラム格納部
27 データ格納部
81 加盟店

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨幣価値の金額を記憶し、外部端末から入力される金額変更情報に従って前記記憶した金額を増減するICチップから、前記記憶した金額を所定のタイミングで取得する金額取得機能と、
前記取得した金額が所定の条件を満たすか否かを判断する判断機能と、
前記判断機能で前記取得した金額が所定の条件を満たすと判断された場合に、前記ICチップが記憶する金額の増額を所定のサーバに要求する増額要求機能と、
前記要求に対して前記所定のサーバから承認情報を受信した場合に、所定の金額を増額する金額変更情報を前記ICチップに入力して、前記ICチップの記憶する金額を増額させる増額機能と、
をコンピュータに実現させる情報処理プログラム。
【請求項2】
前記所定のタイミングは、所定時刻となった場合のタイミング、前記増額機能が前記ICチップに前記サーバから受信した金額変更情報を入力してから所定時間経過後のタイミング、金額変更情報によって前記ICチップが記憶する金額を減額したタイミング、前記ICチップの記憶する金額が所定の条件を満たすと予測されるタイミング、の内の少なくとも何れかであることを特徴とする請求項1に記載の情報処理プログラム。
【請求項3】
前記ICチップは、個別に金額が増減可能な複数の個別用の金額記憶手段と、個別用の金額記憶手段に移動可能な金額を記憶する移動用の金額記憶手段と、を備えており、
前記金額取得機能は、前記移動用又は個別用の金額記憶手段の内の少なくとも1つの金額を取得し、
前記増額機能は、前記金額変更情報によって前記移動用の金額記憶手段の記憶する金額を増額させ、
前記移動用の金額記憶手段が記憶する金額を任意の個別用の金額記憶手段に移動する金額移動機能をコンピュータに実現させることを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載の情報処理プログラム。
【請求項4】
前記金額移動機能は、前記個別用の金額記憶手段が記憶する金額が所定の条件を満たした場合に、前記移動用の金額記憶手段が記憶する金額を当該所定の条件を満たした個別用の金額記憶手段に移動することを特徴とする請求項3に記載の情報処理プログラム。
【請求項5】
前記増額機能が前記移動用の金額記憶手段の記憶する金額を増額させた場合に、前記移動用の金額記憶手段の記憶する金額を所定の優先順位に従って複数の前記個別用の金額記憶手段に配分する配分機能をコンピュータに実現させる請求項3、又は、請求項4に記載の情報処理プログラム。
【請求項6】
前記ICチップの記憶する金額の減額の状況を用いて前記判断機能における所定の金額を設定する金額設定機能をコンピュータに実現させる請求項1から請求項5までの内の何れか1の請求項に記載の情報処理プログラム。
【請求項7】
前記増額機能で増額させる所定の金額は、前記金額記憶手段が記憶する最大金額から現在の金額を減算した金額、又は、前記金額記憶手段が記憶する最大金額から1回当たりの平均増額金額を減算した金額の内の何れかであることを特徴とする請求項1から請求項5までの内の何れか1の請求項に記載の情報処理プログラム。
【請求項8】
金額取得手段と、判断手段と、増額要求手段と、増額手段と、を備えたコンピュータにおいて、
前記金額取得手段が、貨幣価値の金額を記憶し、外部端末から入力される金額変更情報に従って前記記憶した金額を増減するICチップから、前記記憶した金額を所定のタイミングで取得する金額取得ステップと、
前記判断手段が、前記取得した金額が所定の条件を満たすか否かを判断する判断ステップと、
前記増額要求手段が、前記判断手段で前記取得した金額が所定の条件を満たすと判断された場合に、前記ICチップが記憶する金額の増額を所定のサーバに要求する増額要求ステップと、
前記増額手段が、前記要求に対して前記所定のサーバから承認情報を受信した場合に、所定の金額を増額する金額変更情報を前記ICチップに入力して、前記ICチップの記憶する金額を増額させる増額ステップと、
から構成されたことを特徴とする情報処理方法。
【請求項9】
貨幣価値の金額を記憶し、外部端末から入力される金額変更情報に従って前記記憶した金額を増減するICチップから、前記記憶した金額を所定のタイミングで取得する金額取得手段と、
前記取得した金額が所定の条件を満たすか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段で前記取得した金額が所定の条件を満たすと判断された場合に、前記ICチップが記憶する金額の増額を所定のサーバに要求する増額要求手段と、
前記要求に対して前記所定のサーバから承認情報を受信した場合に、所定の金額を増額する金額変更情報を前記ICチップに入力して、前記ICチップの記憶する金額を増額させる増額手段と、
を具備したことを特徴とする携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−178105(P2012−178105A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41433(P2011−41433)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(501044116)楽天Edy株式会社 (48)