説明

情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム

【課題】パラメータを説明変数と関連付けた形で推定することにより、キャッシュフローをより適切に予測することを目的とする。
【解決手段】日付情報ごとに設けられる預金残高の値を示す預金残高情報と、日付情報ごとに設けられる複数種類の変数の各変数の値を示す説明変数情報と、複数種類の変数を規定した説明変数定義情報とを記憶部から読み込み、預金残高情報の残高変化率を算出し、日付情報をキーとして、算出した残高変化率と説明変数情報とを統合した統合情報を生成し、説明変数定義情報に規定された変数を含む複数の条件を生成し、複数の条件と統合情報の説明変数情報とを比較して、複数の条件の各々に対応する各ノードに統合情報の残高変化率を分類し、ノードに属する残高変化率の情報とノードに対応する条件とを記憶部に記憶することで課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
銀行は、資産に占める金融資産の割合が高く、外部からの資金調達の割合が高いため、金利リスクにさらされている。バーゼルIIでは、銀行にバンキング勘定の金利リスクの管
理体制の整備を要求しており、金融庁の「総合的な監督指針」では、金利ショックや金利変動により資産・負債などに自己資本の合計20%以上を超える経済価値の低下が発生する銀行をアウトライヤー銀行として定義し、これに該当する銀行には当局から必要に応じて業務改善命令などが出されることになる。このため、銀行では、ALM(Asset Liability Management)などのリスク管理を適切に行う必要がある。
金利リスクを測る指標としては、一般的にデュレーション、アウトライヤー比率などがあり、それらを計算する際、金融資産・負債のキャッシュフローを予測する必要がある。
【0003】
流動性預金は、銀行の負債の大部分を占める主要な資金調達手段であり、流動性預金のキャッシュフローの予測方法によって、銀行が保有する金利リスクが大きく異なって計測されることになり、ALMへ与える影響は大きいため、流動性預金のキャッシュフローの予測方法が重要となる。
しかしながら、流動性預金については、定期預金や債券のように満期が定まっておらず、預金者の要求に応じて残高が変動するリスクに晒されている。残高変動には、年金支払・ボーナス支払のような季節要因によるもの、マクロ要因によるものや、預金者の個別要因による入出金などがある。流動性預金のうち、引き出されることなく長期間、銀行に滞留する部分はコア預金と称される。残高だけでなく、預金金利も固定ではないため、キャッシュフローの見積もりが難しく、流動性預金のキャッシュフローを適切に予測することは困難である。
【0004】
また、金融庁の「総合的な監督指針」では、コア預金の定義について、銀行の内部管理上、合理的に預金者の行動をモデル化し、コア預金額の認定と期日への振り分けとを適切に実施している場合には、その定義に従えばよいということが1つの指針として示されており、近似、様々なコア預金内部管理モデルが提案されている。
その1つとして、AA−Kijimaモデルというコア預金内部管理モデルが開示されている(非特許文献1参照)。AA−Kijimaモデルでは、残高推移をもとにレジームスイッチング法によりパラメータを推定するモデルであり、預金残高が幾何ブラウン運動する(預金残高が対数正規分布に従う)と仮定してVaR(Volume at Risk)が算出される。
レジームスイッチング法とは(流動性預金の分析に用いた場合)、預金残高の推移に幾つかのトレンド(局面)があると考えて、過去の預金残高の推移データからトレンドごとに残高変化率を求める手法である。局面としては、残高上昇期(預金残高が大きく上昇していた時期)、残高安定期(預金残高が概ね横ばい、又は微増・微減であった時期)、残高下降期(預金残高が下落していた時期)がある。
【0005】
また、VaRとは、将来時点の保守的な残高の推計値を示す指標であり、預金残高がある水準を下回る確率が100(1−α)%となるような預金残高の水準を意味しており、Value at Riskと同じ考え方で計算される指標である。換言するならば、VaRとは、コア預金が流出し続けるストレスシナリオを考えたときに、信頼水準100α%で起こり得る最悪の預金残高である。VaRは、1年後、2年後などの各時点の最悪時の預金残高を、残高変化率μやボラティリティσを用いて算出される。そして、算出されたVaRに基づいてマチュリティラダーを展開し、アウトライヤー比率が算出される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「銀行勘定金利リスク管理のための内部モデル(AA−Kijima Model)について」、証券アナリストジャーナル、P79−92、2007年4月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、レジームスイッチング法では、パラメータ(μ、σ)が説明変数と関連付けられた形で推定されないため、リスク指標を計算する目的以外に、他の銀行実務で利用するのが容易でない。
【0008】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたもので、パラメータを説明変数と関連付けた形で推定することにより、キャッシュフローをより適切に予測することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明に係る情報処理装置は、記憶部を有する情報処理装置であって、日付情報ごとに設けられる預金残高の値を示す預金残高情報と、日付情報ごとに設けられる複数種類の変数の各変数の値を示す説明変数情報と、複数種類の変数を規定した説明変数定義情報とを前記記憶部から読み込む読込手段と、前記預金残高情報の残高変化率を算出し、日付情報をキーとして、算出した残高変化率と前記説明変数情報とを統合した統合情報を生成する生成手段と、前記説明変数定義情報に規定された変数を含む複数の条件を生成し、前記複数の条件と前記統合情報の説明変数情報とを比較して、前記複数の条件の各々に対応する各ノードに前記統合情報の残高変化率を分類し、ノードに属する残高変化率の情報と前記ノードに対応する条件とを関連付けて前記記憶部に記憶する分類手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
ここで、「読込手段」は、例えば、後述するデータ読込部21に対応する。「生成手段」は、例えば、後述する分析用データ作成部22に対応する。「分類手段」は、例えば、後述する残高変化率分類部23に対応する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、パラメータを説明変数と関連付けた形で推定することにより、キャッシュフローをより適切に予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】流動性預金リスク管理システムの一例を示す図である。
【図2】情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図3】情報処理装置の機能構成の一例を示す図である。
【図4】情報処理装置における処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
【図5A】時系列データの項目、処理の後に追加される項目の一例を示す図である。
【図5B】時系列データの項目、処理の後に追加される項目の一例を示す図である。
【図5C】時系列データの項目、処理の後に追加される項目の一例を示す図である。
【図6】分析用データの一例を示す図である。
【図7】残高変化率の分析用データの実際の値の一例を示す図である。
【図8】ボラティリティの分析用データの実際の値の一例を示す図である。
【図9】ツリーのノードに対応する条件を決定する方法の一例を示す図である。
【図10】説明変数定義データの一例を示す図である。
【図11】ディスプレイに表示される画面の一例を示す図である。
【図12A】VaRの一例を示す図である。
【図12B】マチュリティラダーの一例を示す図である。
【図12C】エクスポージャーの一例を示す図である。
【図13】入力データの一例を示す図である。
【図14】計算結果の一例を示す図である。
【図15】計算結果の一例を示す図である。
【図16】市場金利データ、預金金利データの一例を示す図である。
【図17】計算結果の一例を示す図である。
【図18A】預金残高の予測に関わる内容の一例を示す図である。
【図18B】ツリーの一例を示す図である。
【図18C】処理プログラムの一例を示す図である。
【図19】預金残高予測の計算結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0014】
図1は、本実施形態に係る流動性預金リスク管理システムの一例を示す図である。流動性預金リスク管理システムでは、複数種類の用途(流動性預金のリスク指標の算出、預金残高の予測など)に利用可能なパラメータが算出され、記憶され、管理される。流動性預金リスク管理システムは、情報処理装置100、及び記憶装置200を含んで構成される。情報処理装置100、及び記憶装置200は、ネットワーク300を介して通信可能に接続されている。
情報処理装置100は、コンピュータの一例であり、記憶装置200から各種のデータを取得し、記録媒体400から各種のデータを読み込み、取得したデータと読み込んだデータとから流動性預金のリスク指標(後述のデュレーション、アウトライヤー比率)などを算出するための各種のパラメータを求める。
記憶装置200は、コンピュータの一例であり、銀行内のサーバ、または、日本銀行、経済産業省、総務省などのサーバであり、各種のデータを記憶する。なお、図1では、説明の便宜上、記憶装置200を一台だけ示しているが、記憶装置200は、複数台であってもよい。
【0015】
図2は、情報処理装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。情報処理装置100は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、HD(Hard Disk)14、入力装置15、表示装置16、記録媒体ドライブ装置17、及びインターフェース装置18を含んで構成される。
【0016】
CPU11は、必要に応じて、ROM12やHD14からプログラムを読み出して、RAM13に格納し、プログラムを実行することで、後述する機能の一部を提供したり、後述するフローチャートに示す処理等を実行したりする。ROM12は、情報処理装置100の電源投入時に最初に読み込まれるプログラム等を記憶する。RAM13は、情報処理装置100のメインメモリであり、CPU11で用いられる各種のデータを一時記憶する。HD14は、テーブル等の各種のデータを記憶する。
【0017】
入力装置15は、情報処理装置100の操作者(又はユーザ)が操作するキーボード、マウス等を含んで構成され、キーボード、マウス等の操作(ユーザ操作)に応答して情報処理装置100に各種の操作情報等を入力する。表示装置16は、情報処理装置100のユーザが利用するディスプレイ等を含んで構成され、各種の情報(又は画面)等をディスプレイに表示する。記録媒体ドライブ装置17は、記録媒体ドライブ装置に挿入された記録媒体400のデータを読み書きする。インターフェース装置18は、情報処理装置100をネットワーク300等に接続する。
【0018】
なお、上述したプログラムなどの各種のデータは、例えば、CD−ROM等の記録媒体400によって情報処理装置100に提供されてもよいし、ネットワーク300等を介してダウンロードされてもよい。例えば、記録媒体400からプログラムが提供される場合は、プログラムのインストールを指示するユーザ操作に応答して、プログラムが記録媒体400から記録媒体ドライブ装置17を介してHD14に格納される。
また、付言するならば、記憶装置200は、情報処理装置100と同様のハードウェア構成を有する。
【0019】
図3は、情報処理装置100の機能構成の一例を示す図である。図3では、情報処理装置100の機能の概要を説明し、その詳細については図4以降を参照して説明する。
データ読込部21は、預金残高データ(預金残高情報の一例)などを含む時系列データ(説明変数情報の一例)などをHD14から読み込む。なお、HD14には、記憶装置200から取得された時系列データ、記録媒体400から取得されて格納された各種のデータが事前に格納されている。
分析用データ作成部22は、データ読込部21で読み込まれた時系列データから、時系列データに含まれる預金残高データをもとに預金残高の変化率を示す残高変化率を算出し、算出した残高変化率をもとに預金残高の変動幅の比率を示すボラティリティを算出して分析用のデータ(統合情報の一例である分析用データ)を作成(生成)する。
【0020】
残高変化率分類部23は、分析用データの残高変化率を説明する決定木、CARTなどのツリーを構築する。ボラティリティ分類部24は、分析用データのボラティリティを説明する決定木、CARTなどのツリーを構築する。
残高変化率決定部25は、構築された残高変化率のツリーをもとに、預金残高の最低水準についての見通しを示す預金残高VaRα(t)の算出に用いるパラメータ(ストレス時の残高変化率μs)を決定する。ボラティリティ決定部26は、構築されたボラティリティのツリーをもとに、VaRα(t)の算出に用いるパラメータ(ストレス時のボラティリティσs)を決定する。
【0021】
VaRα(t)算出部27は、残高変化率決定部25及びボラティリティ決定部26で決定されたパラメータ(μs、σs)などを用いてストレス時の預金残高VaRα(t)を算出する。
マチュリティラダー算出部28は、年限毎に流出するキャッシュフローの金額を示すマチュリティラダーXiを算出する。エクスポージャー算出部29は、預金金利の市場金利への追随率(β)を考慮してマチュリティラダーXiを調整した金額を示すエクスポージャーYiを算出する。
リスク指標算出部30は、平均デュレーションD、アウトライヤー比率などの流動性預金のリスク指標を算出する。
預金残高予測部31は、構築された残高変化率のツリーと直近の時系列データとをもとに預金残高を予測するための情報を出力する。
【0022】
図4は、情報処理装置100における処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
まず、データ読込部21は、HD14に格納された各種のデータを読み込む(SQ10、SQ12)。ここで、HD14には、銀行の基幹システムなどから取得された時系列データ(1)と、日本銀行、経済産業省、総務省などの各省庁のホームページを介して取得された時系列データ(2)とが格納されている。
例えば、時系列データ(1)は、預金種類、預金者、金額階層などの区分ごとの預金残高データである。また、例えば、時系列データ(2)は、預金金利(定期預金などの金利を含む。)データ、市場データ(有担レートデータ、無有担レートデータなど)、マクロ指標データ(鉱工業生産指数データ、GDPデータなど)である。なお、各時系列データは、日、週、月、四半期、年などの日付情報ごとのデータである。
また、HD14には、記録媒体400から取得された、或いはネットワーク300を介してダウンロードされた後述する説明変数定義データ(説明変数定義情報の一例)が格納されている。
【0023】
分析用データ作成部22は、データ読込部21で読み込まれた各種のデータから分析用データを作成する(SQ14〜SQ24)。
SQ14では、分析用データ作成部22は、被説明変数データとして、時系列データ(1)に含まれる預金残高データ(V0、・・・、VN)をもとに残高変化率Riを下記の式を用いて算出する。なお、算出された残高変化率Ri(残高変化率データ)は、RAM13、HD14などの記憶デバイス(記憶部の一例)に保持される。
【数1】

ここで、図5Aに、時系列データ(1)の項目の一例と、SQ14の処理の後に追加される項目の一例とを示す。
【0024】
また、分析用データ作成部22は、被説明変数データとして、記憶デバイスに保持されている残高変化率Riを読み出して、ボラティリティσjを下記の式を用いて算出する。なお、算出されたボラティリティσj(ボラティリティデータ)は、記憶デバイスに保持される。
【数2】

ここで、mは、ボラティリティσjの推定に用いるデータ数である。
なお、図5Aでは残高変化率の項目が追加されているが、ここでは、残高変化率の項目に代えて、ボラティリティの項目が追加される。また、ここでの計算で追加される項目の例については図示を省略する。
【0025】
ここで、分析用データ作成部22は、上述のように算出した値について季節調整の処理を行ってもよい(SQ16)。季節調整の処理としては、例えば一般的な処理プログラム「X−12−ARIMA」を採用することができる。
【0026】
SQ18では、分析用データ作成部22は、説明変数データとして、時系列データ(1)に含まれる預金種類(当座/普通/貯蓄/通知/別段・納税)、預金者(法人/個人/公金など)、金額階層、データ基準月などのデータから、金利差、変化率、変化幅などを算出する。例えば、金利差は、定期預金金利から普通預金金利を減算した値などであり、変化幅は、基準日Tnにおける普通金利からTn−1における普通金利を減算した値などであるが、説明の便宜上、詳細は省略する。なお、算出された値(説明変数Aデータ)は、記憶デバイスに保持される。
ここで、図5Bに、時系列データ(1)の項目の一例と、SQ18の処理の後に追加される項目の一例とを示す。
【0027】
SQ20では、分析用データ作成部22は、説明変数データとして、時系列データ(2)に含まれる預金金利(定期預金などの金利を含む。)データ、市場データ、マクロ指標データなどから、金利差、変化率、変化幅などを算出する。なお、算出された値(説明変数Bデータ)は、記憶デバイスに保持される。
図5Cに、時系列データ(2)の項目の一例と、SQ20の処理の後に追加される項目の一例とを示す。
ここで、分析用データ作成部22は、上述のように算出した値(説明変数Bデータ)について季節調整の処理を行ってもよい(SQ22)。
なお、処理の順序は、上述した順序に限られるものではなく、また、固定される必要もない。
【0028】
SQ24では、分析用データ作成部22は、被説明変数データ、説明変数Aデータ、説明変数Bデータを記憶デバイスから読み出し、被説明変数データ、説明変数Aデータ、及び説明変数Bデータを基準日、基準月などをキーとして統合することで分析用データを作成する。なお、作成された分析用データは、記憶デバイスに記憶される。
図6に、分析用データの一例を示す。この例では、残高変化率の分析用データを示しているが、ボラティリティの分析用データも同様である。また、図7に、残高変化率の分析用データの実際の値の一例を示し、図8に、ボラティリティの分析用データの実際の値の一例を示す。
【0029】
SQ26では、残高変化率分類部23は、記憶デバイスから分析用データと説明変数定義データとを読み出し、分析用データに含まれる残高変化率を説明するツリーを作成する。
図9及び図10を参照してツリーの作成の概要について説明する。図9は、ツリーのノードに対応する条件を決定する方法の一例を示す図である。図10は、説明変数定義データの一例を示す図である。なお、説明変数定義データには、複数種類の変数が規定されている。
まず、残高変化率分類部23は、条件1(説明変数定義データの第1の項目及び該第1の項目の第1の値の組み合わせ)を満たす残高変化率の分布と、条件1を満たさない条件(not条件1)の残高変化率の分布とを求める。続いて、残高変化率分類部23は、両者の分布の二乗誤差SE(square error)を下記の式を用いて算出する。
【0030】
【数3】

mk:ターミナルノードkに該当するデータ数
K:ターミナルノードの数
Ri:ターミナルノードkに該当するデータiにおける残高変化率
【0031】
なお、本実施形態では、二乗誤差を用いて説明するが、二乗誤差に代えて、絶対誤差(absolute deviation)を採用してもよい。この場合、残高変化率分類部23は、2つの分布の絶対誤差ADを下記の式を用いて算出する。
【0032】
【数4】

mk:ターミナルノードkに該当するデータ数
K:ターミナルノードの数
Ri:ターミナルノードkに該当するデータiにおける残高変化率
【0033】
続いて、残高変化率分類部23は、条件2(説明変数定義データの第1の項目及び該第1の項目の第2の値の組み合わせ)を満たす残高変化率の分布と、条件2を満たさない条件(not条件2)の残高変化率の分布とを求める。続いて、残高変化率分類部23は、両者の分布の二乗誤差を同様に算出する。
そして、残高変化率分類部23は、全ての条件(説明変数定義データの第1〜第nの項目について、該第1〜第nの項目のそれぞれに属する各値(残高変化率のデータ)を2つにグループ分けする全ての分類)について二乗誤差を算出すると、二乗誤差が最小となる条件(条件A及びnot条件A)を特定する。それをもとに、残高変化率分類部23は、条件Aに該当するノードと、not条件Aに該当するノードとを生成する。
【0034】
つまり、残高変化率分類部23は、図10にある変数名の全てについて、かつ、変数名ごとに、当該変数名に属するデータを2つにグループ分けして二乗誤差を算出する。このグループ分けの条件は、変数名ごとに複数存在するが、残高変化率分類部23は、全てのグループ分け(すなわち全ての条件)について二乗誤差を算出し、算出した二乗誤差が最小となる条件を特定する。
変数名がカテゴリ変数を示す場合には、残高変化率分類部23は、カテゴリに含まれるデータの組み合わせ(コンビネーション)に基づいてデータを2つにグループ分けする(後述する変数名「MONTH」の例に対応)。また、変数名が連続変数を示す場合には、残高変化率分類部23は、当該変数名に属するいずれかの値を閾値としてデータを2つにグループ分けする(後述する変数名「普通預金金利t」の例に対応)。
【0035】
また、残高変化率分類部23は、同様にして条件を特定することを繰り返し、条件Aに該当するノード、または、not条件Aに該当するノードのいずれかのターミナルノードをさらに2つの分布に分けたとき、二乗誤差が最小となる条件(条件B及びnot条件B)を特定する。それをもとに、残高変化率分類部23は、例えば、条件Aに該当するノードから2つのノード(条件Bに該当するノード、及びnot条件Bに該当するノード)を生成する。
このようにして、残高変化率分類部23は、条件の特定、ノードの生成を繰り返し、ターミナルノードの数が一定の値を上回ったと判断した場合、条件を特定する処理を終了する。つまり、残高変化率分類部23は、条件Aに該当するノードからさらに2つのノードを生成して二乗誤差を算出すると共に、not条件Aに該当するノードから2つのノードを生成して二乗誤差を算出した上で、二乗誤差が最小となる条件(条件B及びnot条件B)を特定し、二乗誤差が最小となる方のノードから、条件Bに該当するノードと、not条件Bに該当するノードとを生成する。
【0036】
すなわち、残高変化率分類部23は、条件に該当するときとそうでないときに分けると2つの分布が最も大きく異なるような条件及びnot条件を探索することを繰り返し(即ち、前記2つの分布の二乗誤差が最小となる、又は前記2つの分布の絶対誤差が最小となるときの条件およびnot条件を探索することを繰り返し)、複数の条件を生成する。そして、残高変化率分類部23は、生成した複数の条件と分析用データの時系列データとを比較して、複数の条件の各々に対応する各ノードに分析用データの残高変化率を順次分類し、ノードに属する残高変化率の情報(ノードに属するデータにおける被説明変数の平均、標準偏差、データ個数など)とこのノードに対応する条件とをノードデータ(ノード情報)とし、各ノードデータを関連付けたツリーの情報を記憶デバイスに記憶することで、残高変化率を説明するツリーを作成する。なお、記憶する方法は、上記の方法に限られるものではなく、例えば、生成された順に(ノードごとに)ノードデータを記憶デバイスに記憶してもよい。
【0037】
図11に、残高変化率分類部23による処理の結果(ツリーの情報など)を示すディスプレイに表示される画面の一例(出力画面500)を示す。
例えば、ターミナルノード4は、「鉱工業生産指数t−1<=100.75」、「金利差3t−1>0.04」、「Δ定期預金金利1>−0.12」、「定期預金金利7t−1<=1.78」、「Δ有担翌日物月末t−1>−0.20」の全ての条件が満たされる場合のノードである。
【0038】
ここで、最初の条件の探索についてみると、まず、残高変化率分類部23は、説明変数定義データを参照し、項目「1」の変数名「MONTH」を読み出す。変数名「MONTH」の種類はカテゴリ変数であり、取り得る値は、「1月」〜「12月」である。カテゴリ変数は、データの属性を表すフラグであり、形式上は数値として表現されていても、大小関係には特段の意味がないような変数である。そこで、残高変化率分類部23は、「1月」、「2月」、・・・、「12月」、「1月+2月」、「1月+3月」、・・・、「1月+12月」、「1月+2月+3月」、・・・の全ての組み合わせの条件及びnot条件を生成し、全ての条件及びnot条件について、残高変化率の分布の二乗誤差を算出する。そして、項目「2」の変数名「QUARTER」についても同様に各条件の二乗誤差を算出する。
そして、残高変化率分類部23は、説明変数定義データを参照し、項目「3」の変数名「普通預金金利t」を読み出す。変数名「普通預金金利t」の種類は連続変数であり、取り得る値は、預金残高変化率の分析用データに含まれる普通預金金利1の各データ(図7に示す「0.1」、「0.092」、「0.08」など)である。故に、残高変化率分類部23は、「0.1」、「0.092」、「0.08」・・・の全ての値を閾値として、閾値以下・超(または、閾値未満・以上)により条件及びnot条件を生成し、全ての条件及びnot条件について、残高変化率の分布の二乗誤差を算出する。
【0039】
残高変化率分類部23は、このようにして、図10に示す項目「1」から項目「116」までの説明変数定義データの全ての項目の条件及びnot条件について、残高変化率の分布の二乗誤差を算出すると、その中で最も二乗誤差が小さくなる条件及びnot条件(この例では、鉱工業生産指数t−1<=「100.75」、及び鉱工業生産指数t−1>「100.75」)を特定する。
そして、残高変化率分類部23は、各ノードについて、ノードの個数の中で説明変数がどれだけばらついているかを示す標準偏差、残高変化率の平均、データの個数を示すデータ個数Nを求めてツリーの情報として記憶デバイスに記憶する。
ここで、残高変化率分類部23は、平均、標準偏差を下記の式を用いて算出する。
【0040】
【数5】

mk:あるノードkに属するデータ数
Ri:あるノードkに属するデータiにおける残高変化率
【0041】
例えば、出力画面500では、「鉱工業生産指数t−1<=100.75」の場合(ノード2)、残高変化率の平均が「0.005(0.5%)」であり、標準偏差が「0.011」であり、データ個数Nが「97」であることが示されている。
換言するならば、鉱工業生産指数の1カ月前の値が「100.75」(いわゆる閾値)を上回るときとそうでないときに分けると、預金残高の変化の状況が最も大きく異なることが示され、閾値を上回るときは、残高変化率が概ね「−0.4%±0.3%」の範囲の値となる場合が多いことが示されている。
【0042】
次に、残高変化率分類部23は、説明変数定義データを参照し、探索した条件を満たすデータに対して、同様の処理を繰り返す。すなわち、残高変化率分類部23は、図11の例では、ノード2に含まれる97個のデータを対象として、説明変数定義データを参照し、同様の処理、すなわち、図10に示す項目「1」から項目「116」までの説明変数定義データの全ての項目の条件及びnot条件について、残高変化率の分布の二乗誤差を算出すると、その中で最も二乗誤差が小さくなる条件及びnot条件を特定する処理を順次繰り返していく。このようにして、図11の例では、金利差3t−1>「0.04」、Δ定期預金金利1>「−0.12」、定期預金金利7t−1<=「1.78」の各条件が順次特定される。
【0043】
なお、一度条件に用いられた変数でも、別の閾値や組合せ(コンビネーション)で条件として用いられてノードを分岐させる可能性がある。このようにして、残高変化率分類部23は、残高変化率の情報、条件の情報などを含むツリーの情報を記憶デバイスに格納し、残高変化率を説明するツリーを作成する。
これにより、どのような条件に該当する局面において残高変化率がどのような値を取り得るか、レジームスイッチング法における局面に相当するものが、ツリーのノードとして、説明変数と関連付けた形式のデータとして格納される。
【0044】
また、SQ26では、ボラティリティ分類部24は、残高変化率分類部23と同様の処理をボラティリティについて行う。そして、ボラティリティ分類部24は、ボラティリティを説明するツリーを作成し、ボラティリティの情報(ノードに属するデータにおける被説明変数の平均、標準偏差、データの個数など)、条件の情報などを含むツリーの情報を記憶デバイスに格納する。
【0045】
ここで、当分野のモデルでは、パラメータ(残高変化率μ、ボラティリティσなど)の算出において説明変数に預金金利などを用いたいという要請が強い。例えば預金金利は、概ね一定であるが、時折、政策金利の変化に伴って大きく変化(ジャンプ)するため、回帰分析などでは適切にパラメータを算出することが困難である。また、預金者や基準月のようなカテゴリ変数を説明変数に用いる場合にも同様の課題がある。そこで、本実施形態では、説明変数と被説明変数の関係が線形になるとは限らない場合でも適切に取り扱うことができるツリー(決定木)を生成することで、パラメータを算出する構成を採用した。
また、上述ように作成されるツリーによれば、どのような条件(状況)において、預金残高が下落したり、ボラティリティが大きくなったりするか、実務的な観点からモデル化することが可能となる。例えば、商品区分、預金者、金額階層、金利(金利差)、季節性、マクロ指標などと預金残高の関係性を求めることができるようになる。
付言するならば、説明変数データ、説明変数定義データについては、ユーザが事前に選定したものを適宜利用することができるので、その意義はより大きい。
【0046】
SQ28では、残高変化率決定部25は、残高変化率のツリーの情報から残高変化率が最悪のケースの値を決定する。より具体的には、残高変化率決定部25は、各ノードのノードデータをもとに例えば各ノードの残高変化率の平均値の絶対値が最も大きいノードの残高変化率の平均値の負数をストレス時の残高変化率μsとして決定する。すなわち、残高変化率決定部25は、ツリーの情報をもとに、下記の式を用いてストレス時の残高変化率μs求める。なお、図11の例では、「−6.8%(ターミナルノード2の残高変化率の平均)」が決定される。
【数6】

【0047】
また、SQ28では、ボラティリティ決定部26は、ボラティリティが最悪のケースの値(ストレス時のボラティリティσs)を例えば下記の式より求める。
【数7】

【0048】
SQ30では、VaRα(t)算出部27は、ストレス時の預金残高VaRα(t)を算出する(VaR算出処理)。図12Aに、預金残高と時刻とVaRα(t)との関係の一例を示す。
まず、VaRα(t)算出部27は、入力された基準日から出力データの満期まで、キャッシュフロー等の計算に用い得る日付tを展開する。すなわち、VaRα(t)算出部27は、Δt=Ti+1−Tiが出力データの間隔(入力された出力データ間隔)に沿うように設定する。
【0049】
【数8】

ここで、ひと月を1/12年とすると、T0は、「0」(基準日)であり、TNは、出力データの満期(年)であるので、Tiは、基準日からの期間(年率)で表される。
図13に、VaR算出処理などで用いられる予め入力される入力データの一例を示す。本実施形態では、入力装置15、記録媒体ドライブ装置17、インターフェース装置18等を介して、基準日、信頼水準、入力データ間隔、出力データ間隔、出力データ満期の情報が予め記憶デバイスに格納されている。
【0050】
次に、VaRα(t)算出部27は、SQ28で算出されたパラメータ(μs、σs)、予め入力された値などを記憶デバイスから読み出してVaRα(t)を算出する。ここで、預金残高が幾何ブラウン運動に従って変化するとき、時刻tにおける預金残高Vtは、下記の式の確率分布に従うと考えられる(ここで、εtは、期待値0、分散tの正規分布に従う確率変数である。)。
【数9】

0:基準日残高
μs:ストレス時の残高変化率
σs:ストレス時のボラティリティ
【0051】
そして、VaRα(t)算出部27は、上記の式をもとに、信頼水準αのVaRα(t)を下記の式により算出する。
【数10】

Φ-1(z):標準正規分布累積確率の逆関数
【0052】
図14に、VaRα(t)算出部27による計算結果の一例を示す。なお、VaRα(t)算出部27による計算結果は、記憶デバイスに格納される。
この例では、基準日「2010/9/30」から、出力データ間隔「月次(ひと月)」ごとに、出力データ満期「10年(2020/9/30)」まで計算されたVaRα(t)の値が示されている。なお、図14に示す項目(項目1〜項目5)については、分析用データの項目をそのまま用いる構成としてもよいし、分析用データの項目のうちユーザが指定した項目を用いる構成としてもよい。
【0053】
SQ32では、マチュリティラダー算出部28は、マチュリティラダーXiを算出する(マチュリティラダー算出処理)。図12Bに、預金残高と時刻とVaRα(t)とマチュリティラダーXiとの関係の一例を示す。マチュリティラダーXiは、預金残高の減少分(キャッシュ・アウト・フロー)に相当し、VaRα(t)の年限毎の差分を示す。
より具体的には、マチュリティラダー算出部28は、VaRα(t)をもとに、下記の式を用いてマチュリティラダーXiを算出する。
【0054】
【数11】

【0055】
図15に、マチュリティラダー算出部28による計算結果の一例を示す。なお、マチュリティラダー算出部28による計算結果は、記憶デバイスに格納される。
【0056】
また、SQ32では、エクスポージャー算出部29は、エクスポージャーYiを算出する(エクスポージャー算出処理)。図12Cに、マチュリティラダーXiと時刻とエクスポージャーYiとの関係の一例を示す。エクスポージャーYiは、市場金利に追随する部分は残存0年、追随しない固定金利の相当分をもともとの年限に立てたものである。
より具体的には、エクスポージャー算出部29は、マチュリティラダーXiをもとに、下記の式を用いてエクスポージャーYiを算出する。
【0057】
【数12】

β:金利の追随率
【0058】
ここで、エクスポージャー算出部29は、予め入力されて記憶デバイスに格納されている市場金利データxi、預金金利データyiなどを記憶デバイスから読み出して、下記の式を用いて追随率β、切片α、相関係数Rを算出する。ここで、市場金利データxi、預金金利データyiなどは、入力装置15、記録媒体ドライブ装置17、インターフェース装置18等を介して、予め記憶デバイスに格納されている。なお、追随率βは、事前に算出されていてもよい。図16に、市場金利データxi、預金金利データyiの一例を示す。
【0059】
【数13】

ここで、エクスポージャー算出部29は、Sxx、Ssyを、下記の式を用いて算出する。
【0060】
【数14】

なお、上述の内容は、yi=α+β・xiという回帰分析を最小二乗法により求める計算に相当する。
図17に、エクスポージャー算出部29による計算結果の一例を示す。なお、エクスポージャー算出部29による計算結果は、記憶デバイスに格納される。
【0061】
SQ34では、リスク指標算出部30は、エクスポージャーYiをもとに、流動性預金のリスク指標の一例であるデュレーションDを例えば下記の式を用いて算出する。
【数15】

【0062】
また、SQ34では、リスク指標算出部30は、エクスポージャーYiをもとに、流動性預金のリスク指標の一例であるアウトライヤー比率を算出する。
より具体的には、リスク指標算出部30は、(1)上下200ベーシスポイント(BP:1BP=0.01%)の平行移動による金利ショックによる、又は(2)保有期間1年間(240営業日)、観測期間が最低5年として上下1%の確率で発生する金利変動による、バンキング勘定の金利関連資産・負債やデリバティブ取引などの銀行勘定の金利リスク量と、Tier1自己資本、及びTier2自己資本の合計との比率を求める。
【0063】
SQ36では、預金残高予測部31は、時系列データ(2)の直近のデータ(預金金利データ、市場データ、マクロ指標データ等)を記憶デバイスから読み込む。
SQ38では、預金残高予測部31は、預金残高のツリーの情報を用いて預金残高の予測値を求める。図18Aに、預金残高の予測についてのイメージを示す。
より具体的には、預金残高予測部31によれば、読み出した直近のデータが、ツリーにおけるどのノードに属するかが判断され、直近のデータが属するノードの残高変化率の平均値、標準偏差、データ個数などがそのまま、或いは期待値、グラフ、表などに加工された情報が出力される。故に、ユーザは、出力された内容を見ることで預金残高を予測できるようになる。
【0064】
図18Bに、SQ26で作成されるツリーの一例を示す。ここでは、ツリーのノードのうち、末端のものをターミナルノードと称し、二重線の枠で表記している。
この例では、まず、直近のデータに含まれる指標1をもとに、閾値1以上・未満(或いは超・以下)により分岐される。次に、直近のデータに含まれる指標2をもとに、括弧内の値の何れかに該当するか否かにより分岐される。本実施形態では、指標1としては、連続変数の例、指標2としては、名目変数(カテゴリ変数)の例を示している。なお、Nは、そのノードに属するデータの個数であり、ツリーの作成の用に供した過去のデータのサンプルの数を示す。
【0065】
すなわち、預金残高予測部31は、指標1、指標2に基づいて分岐して、該当するターミナルノードのμをμ予測値とする。このとき、預金残高予測部31は、図18Cに示す処理プログラムの例(処理例600)に従って、μ予測値を決定する。
なお、預金残高予測部31は、同様にして、ボラティリティのツリーの情報を用いて予測値を求めてもよい。
【0066】
図19に、預金残高予測部31の出力データの一例を示す。予測値のμ、σは、図18Cに示す処理プログラムに従って決定された値である。また、預金残高増減は、下記の式により予測した預金残高Vα(t)から基準日残高V0を引いた値である。ここで、t、αについては、予測したい期間、信頼水準に応じた値が、入力装置15、記録媒体ドライブ装置17、インターフェース装置18等を介して設定され、例えば記憶デバイスに格納される。図19では、t=1W(1週間)、1M(1ヵ月)、とし、α=15.9%、84.1%としたときの、それぞれの期間・信頼水準における預金残高増減を求めた例を示す。
【数16】

【0067】
このように、上述した構成によれば、マクロ指標や預金金利などの説明変数と結びつけて預金残高変化率μやボラティリティσが推定される。つまり、マクロ指標や預金金利に基づいて、預金残高変化率μやボラティリティσの動きを分析したり説明したりすることができるようになる。また、上述した構成によれば、算出されるパラメータから、預金残高を予測することができるようになる。また、説明変数を適宜変更できるので、算出されるパラメータが単なるリスク指標を計算するためのものではなく、銀行実務に応用することができるようになる。
上述した実施形態によれば、パラメータを説明変数と関連付けた形で推定することにより、キャッシュフローをより適切に予測することができる。
【0068】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0069】
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 HD
15 入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部を有する情報処理装置であって、
日付情報ごとに設けられる預金残高の値を示す預金残高情報と、日付情報ごとに設けられる複数種類の変数の各変数の値を示す説明変数情報と、複数種類の変数を規定した説明変数定義情報とを前記記憶部から読み込む読込手段と、
前記預金残高情報の残高変化率を算出し、日付情報をキーとして、算出した残高変化率と前記説明変数情報とを統合した統合情報を生成する生成手段と、
前記説明変数定義情報に規定された変数を含む複数の条件を生成し、前記複数の条件と前記統合情報の説明変数情報とを比較して、前記複数の条件の各々に対応する各ノードに前記統合情報の残高変化率を分類し、ノードに属する残高変化率の情報と前記ノードに対応する条件とを関連付けて前記記憶部に記憶する分類手段と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記分類手段は、前記説明変数定義情報に規定された変数と、前記変数に対して予め規定された値あるいは前記統合情報に含まれる前記変数に対応する説明変数情報と、の各組み合わせについて条件及びnot条件を生成し、前記統合情報の残高変化率を条件及びnot条件の何れに分けた場合に前記残高変化率の2つの分布が最も大きく異なる条件及びnot条件を探索し、前記条件及びnot条件の各々をノードに対応する条件とし、次の条件を探索することを繰り返して、前記複数の条件を生成することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記生成手段は、算出した残高変化率の各々について、預金残高情報の変動幅の比率を示すボラティリティを算出し、日付情報をキーとして、算出したボラティリティと前記説明変数情報とを統合した統合情報を更に生成し、
前記分類手段は、前記説明変数定義情報に規定された変数を含む複数の条件を生成し、前記複数の条件と前記統合情報の説明変数情報とを比較して、前記複数の条件の各々に対応する各ノードに前記統合情報のボラティリティを分類し、ノードに属するボラティリティの情報と前記ノードに対応する条件とを関連付けて前記記憶部に記憶することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記各ノードに属する残高変化率の情報をもとに各ノードの残高変化率の平均値の絶対値が最も大きいノードの残高変化率の平均値の負数をストレス時の残高変化率として決定し、前記各ノードに属するボラティリティの情報をもとに各ノードのボラティリティの平均値が最も大きいノードのボラティリティの平均値をストレス時のボラティリティとして決定する決定手段と、
前記決定手段で決定されたストレス時の残高変化率とストレス時のボラティリティとを用いて、ストレス時の預金残高の値を示すVaRを算出するVaR算出手段と、
前記VaR算出手段で算出されたVaRを用いて、年限毎に流出するキャッシュフローの金額を示すマチュリティラダーを算出するマチュリティラダー算出手段と、
預金金利の市場金利への追随率を考慮して前記マチュリティラダー算出手段で算出されたマチュリティラダーを調整した金額を示すエクスポージャーを算出するエクスポージャー算出手段と、
前記エクスポージャー算出手段で算出されたエクスポージャーを用いて、金利リスクの指標を算出する指標算出手段と、
を更に有することを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記記憶部に記憶された各ノードの条件と、前記統合情報のある日付情報の説明変数情報とを比較して、前記日付情報に対応する前記統合情報の残高変化率が前記複数のノードのどのノードに属するかを特定し、特定したノードに属する残高変化率の情報を出力する出力手段を更に有することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
記憶部を有する情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
日付情報ごとに設けられる預金残高の値を示す預金残高情報と、日付情報ごとに設けられる複数種類の変数の各変数の値を示す説明変数情報と、複数種類の変数を規定した説明変数定義情報とを前記記憶部から読み込む読込工程と、
前記預金残高情報の残高変化率を算出し、日付情報をキーとして、算出した残高変化率と前記説明変数情報とを統合した統合情報を生成する生成工程と、
前記説明変数定義情報に規定された変数を含む複数の条件を生成し、前記複数の条件と前記統合情報の説明変数情報とを比較して、前記複数の条件の各々に対応する各ノードに前記統合情報の残高変化率を分類し、ノードに属する残高変化率の情報と前記ノードに対応する条件とを関連付けて前記記憶部に記憶する分類工程と、
を有することを特徴とする情報処理方法。
【請求項7】
記憶部を有するコンピュータを、
日付情報ごとに設けられる預金残高の値を示す預金残高情報と、日付情報ごとに設けられる複数種類の変数の各変数の値を示す説明変数情報と、複数種類の変数を規定した説明変数定義情報とを前記記憶部から読み込む読込手段と、
前記預金残高情報の残高変化率を算出し、日付情報をキーとして、算出した残高変化率と前記説明変数情報とを統合した統合情報を生成する生成手段と、
前記説明変数定義情報に規定された変数を含む複数の条件を生成し、前記複数の条件と前記統合情報の説明変数情報とを比較して、前記複数の条件の各々に対応する各ノードに前記統合情報の残高変化率を分類し、ノードに属する残高変化率の情報と前記ノードに対応する条件とを関連付けて前記記憶部に記憶する分類手段と、
して機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図18C】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−141765(P2012−141765A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293647(P2010−293647)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000191076)新日鉄ソリューションズ株式会社 (136)