説明

情報処理装置、端末装置、情報提示システム、評価スコアの算出方法、及びプログラム

【課題】状況に適合した高精度の推薦結果を得られるように推薦アルゴリズムの組み合わせ方を好適に制御すること。
【解決手段】アイテム間の関連度を示す第1のスコアを算出する第1のスコア算出部と、アイテム間の関連度を示す第2のスコアを算出する第2のスコア算出部と、同じアイテムの組に対して前記第1のスコア算出部により算出された第1のスコアと前記第2のスコア算出部により算出された第2のスコアとの関係を示す関係情報に基づき、前記第2のスコア算出部により算出された第2のスコアを前記第1のスコアと同等の尺度に変換して変換後スコアを算出する尺度変換部と、同じアイテムの組について前記第1のスコア算出部により算出された第1のスコアと前記尺度変換部により算出された変換後スコアとを組み合わせて評価スコアを算出する評価スコア算出部とを備える、情報処理装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、情報処理装置、端末装置、情報提示システム、評価スコアの算出方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワークを利用したビジネスが急拡大している。例えば、オンラインで商品を購入することが可能なオンラインストアなどのシステムは広く一般に利用されている。こうしたオンラインストアの多くには、ユーザに商品を推薦する仕組みが設けられている。例えば、ある商品の詳細情報をユーザが閲覧すると、その商品に関連する商品の情報が推薦商品としてユーザに提示される。
【0003】
このような仕組みは、例えば、下記の特許文献1に記載されている協調フィルタリングなどの方法を利用して実現される。この協調フィルタリングとは、嗜好の似たユーザに関する情報(例えば、購入履歴など)を利用して推薦商品を抽出する方法である。この協調フィルタリングを用いると、購入履歴のない新規ユーザに対しても、そのユーザと嗜好が似たユーザに関する情報を利用して推薦商品を提示することが可能になる。但し、ユーザ数が少なく、嗜好が似たユーザが見つかりにくい状況では、対象ユーザの嗜好に合った好適な推薦商品を提示することが難しい。
【0004】
また、関連商品の抽出には、コンテンツベースフィルタリングと呼ばれる方法が利用されることもある。このコンテンツベースフィルタリングとは、ユーザの購入履歴を利用して、そのユーザに提示すべき推薦商品を抽出する方法である。このコンテンツベースフィルタリングは各ユーザの購入履歴を解析して推薦商品を抽出する方法であるため、この方法を用いると、ユーザ数が少ない場合など、嗜好が似たユーザが見つかりにくい状況においても好適な推薦商品を抽出することができる。但し、購入履歴の少ないユーザに対しては、対象ユーザの嗜好に合った好適な推薦商品を提示することが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−167901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、協調フィルタリング及びコンテンツベースフィルタリングは、それぞれ長所と短所とを有している。そのため、高い精度でユーザの嗜好に合った好適な推薦商品を提示するには、これらの方法を状況に応じて使い分けたり、両者を組み合わせて利用したりすることが求められる。なお、ここではユーザに提示すべき対象物として商品を例示したが、他のユーザを提示すべき場合もあるし、音楽コンテンツや映像コンテンツなどを提示すべき場合もあるし、何らかの情報を提示すべき場合もある。そこで、以下では、ユーザに提示すべき対象物のことをアイテムと呼ぶことにする。
【0007】
アイテムを推薦するための方法として、ここでは一般的な協調フィルタリング及びコンテンツベースフィルタリングを例示したが、これらの方法は多くの人によって改良が進められている。そして、ここで例示した方法の他にも、アイテムの推薦に利用可能な様々な推薦アルゴリズムが提案されている。しかし、どの推薦アルゴリズムも、それぞれ長所と短所とを有しており、どのような状況でも好適な推薦結果を得ることができるような推薦アルゴリズムは知られてない。そのため、状況に応じて複数の推薦アルゴリズムを使い分けたり、複数の推薦アルゴリズムを好適に組み合わせたりする技術が求められている。
【0008】
そこで、本技術は、上記のような事情を受けて考案されたものであり、本技術の目的とするところは、状況に適合した高精度の推薦結果を得られるように推薦アルゴリズムの組み合わせ方を好適に制御することが可能な、新規かつ改良された情報処理装置、端末装置、情報提示システム、評価スコアの算出方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本技術のある観点によれば、アイテム間の関連度を示す第1のスコアを算出する第1のスコア算出部と、アイテム間の関連度を示す第2のスコアを算出する第2のスコア算出部と、同じアイテムの組に対して前記第1のスコア算出部により算出された第1のスコアと前記第2のスコア算出部により算出された第2のスコアとの関係を示す関係情報に基づき、前記第2のスコア算出部により算出された第2のスコアを前記第1のスコアと同等の尺度に変換して変換後スコアを算出する尺度変換部と、同じアイテムの組について前記第1のスコア算出部により算出された第1のスコアと前記尺度変換部により算出された変換後スコアとを組み合わせて評価スコアを算出する評価スコア算出部と、を備える、情報処理装置が提供される。
【0010】
また、上記の情報処理装置は、同じアイテムの組について前記第1のスコア算出部により算出された第1のスコアと前記第2のスコア算出部により算出された第2のスコアとを対象に回帰分析を実行して前記関係情報を生成する関係情報生成部をさらに備えていてもよい。
【0011】
また、前記関係情報生成部は、定期的に前記関係情報を生成し直す、ように構成されていてもよい。
【0012】
また、前記評価スコア算出部は、第1の重み値を用いて前記第1のスコアを重み付けし、第2の重み値を用いて前記変換後スコアを重み付けし、重み付け後の前記第1のスコアと、重み付け後の前記変換後スコアとを加算して前記評価スコアを算出する、ように構成されていてもよい。
【0013】
また、上記の情報処理装置は、ユーザからフィードバックを受けた対象アイテムに関連するアイテムが前記評価スコアに基づいて当該ユーザに推薦され、推薦されたアイテムに対して当該ユーザがフィードバックを与えた場合に、当該推薦されたアイテムに与えられたフィードバックがポジティブな傾向を示すフィードバックであるか否かを判定するフィードバック判定部と、前記推薦されたアイテムに対して前記ユーザがフィードバックを与えた場合に、前記フィードバック判定部による判定結果に応じて前記第1の重み値及び前記第2の重み値を調整する重み値調整部と、をさらに備えていてもよい。この場合、前記重み値調整部は、前記フィードバック判定部によりポジティブな傾向を示すフィードバックであると判定され、かつ、前記第1のスコアが前記変換後スコアより大きい場合に、前記第1の重み値を増加させ、前記第2の重み値を減少させ、前記フィードバック判定部によりポジティブな傾向を示すフィードバックであると判定され、かつ、前記第1のスコアが前記変換後スコアより小さい場合に、前記第1の重み値を減少させ、前記第2の重み値を増加させ、前記フィードバック判定部によりポジティブな傾向を示すフィードバックでないと判定され、かつ、前記第1のスコアが前記変換後スコアより大きい場合に、前記第1の重み値を減少させ、前記第2の重み値を増加させ、前記フィードバック判定部によりポジティブな傾向を示すフィードバックでないと判定され、かつ、前記第1のスコアが前記変換後スコアより小さい場合に、前記第1の重み値を増加させ、前記第2の重み値を減少させる。
【0014】
また、前記重み値調整部は、前記第1の重み値を増加させる機会が生じた回数CUと、前記第1の重み値を減少させる機会が生じた回数CDとをカウントするカウント部と、所定のタイミングで前記回数CUと前記回数CDとを比較するカウント数比較部と、前記所定のタイミングで前記カウント数比較部による比較結果が得られた場合に、当該比較結果に応じて前記第1の重み値及び前記第2の重み値を調整する調整実行部と、を有していてもよい。この場合、前記調整実行部は、前記回数CUが前記回数CDを上回る場合に、前記第1の重み値を増加させ、前記第2の重み値を減少させ、前記回数CUが前記回数CDを下回る場合に、前記第1の重み値を減少させ、前記第2の重み値を増加させる。
【0015】
また、上記の情報処理装置は、ユーザからフィードバックを受けた対象アイテムに関連するアイテムが前記評価スコアに基づいて当該ユーザに推薦され、推薦されたアイテムに対して当該ユーザがフィードバックを与えた場合に、当該推薦されたアイテムに与えられたフィードバックがポジティブな傾向を示すフィードバックであるか否かを判定するフィードバック判定部と、前記推薦されたアイテムに対して前記ユーザがフィードバックを与えた場合に、前記フィードバック判定部による判定結果に応じて前記第1の重み値及び前記第2の重み値を調整する重み値調整部と、をさらに備えていてもよい。この場合、前記評価スコア算出部は、第1の重み値を用いて前記第1のスコアを重み付けし、第2の重み値を用いて前記変換後スコアを重み付けし、同じ第3の重み値を用いて前記第1のスコア及び前記変換後スコアをさらに重み付けし、重み付け後の前記第1のスコアと、重み付け後の前記変換後スコアとを加算して前記評価スコアを算出し、前記重み値調整部は、前記第3の重み値が1の場合に前記第1の重み値及び前記第2の重み値を変更せず、前記フィードバック判定部によりポジティブな傾向を示すフィードバックであると判定され、かつ、前記第3の重み値が1より大きい場合に、前記第1の重み値を増加させ、前記第2の重み値を減少させ、前記フィードバック判定部によりポジティブな傾向を示すフィードバックであると判定され、かつ、前記第3の重み値が1より小さい場合に、前記第1の重み値を減少させ、前記第2の重み値を増加させ、前記フィードバック判定部によりポジティブな傾向を示すフィードバックでないと判定され、かつ、前記第3の重み値が1より大きい場合に、前記第1の重み値を減少させ、前記第2の重み値を増加させ、前記フィードバック判定部によりポジティブな傾向を示すフィードバックでないと判定され、かつ、前記第3の重み値が1より小さい場合に、前記第1の重み値を増加させ、前記第2の重み値を減少させる。
【0016】
また、前記重み値調整部は、前記第1の重み値を増加させる機会が生じた回数CUと、前記第1の重み値を減少させる機会が生じた回数CDとをカウントするカウント部と、所定のタイミングで前記回数CUと前記回数CDとを比較するカウント数比較部と、前記所定のタイミングで前記カウント数比較部による比較結果が得られた場合に、当該比較結果に応じて前記第1の重み値及び前記第2の重み値を調整する調整実行部と、を有していてもよい。この場合、前記調整実行部は、前記回数CUが前記回数CDを上回る場合に、前記第1の重み値を増加させ、前記第2の重み値を減少させ、前記回数CUが前記回数CDを下回る場合に、前記第1の重み値を減少させ、前記第2の重み値を増加させる。
【0017】
また、上記の情報処理装置は、前記重み値調整部により前記第1の重み値及び前記第2の重み値が変更された場合に、変更後の前記第1の重み値及び変更後の前記第2の重み値をユーザ毎に管理する個別重み値管理部をさらに備えていてもよい。
【0018】
また、上記の情報処理装置は、前記評価スコア算出部により算出された評価スコアをユーザに提示する評価スコア提示部をさらに備えていてもよい。
【0019】
また、上記の情報処理装置は、アイテム間の関連度を示す第3〜第Nのスコア(N≧3)を算出する第3〜第Nのスコア算出部をさらに備えていてもよい。この場合、前記尺度変換部は、同じアイテムの組に対して前記第1のスコア算出部により算出された第1のスコアと前記第Mのスコア算出部(2≦M≦N)により算出された第Mのスコアとの関係を示す第Mの関係情報に基づき、前記第Mのスコア算出部により算出された第Mのスコアを前記第1のスコアと同等の尺度に変換して第Mの変換後スコアを算出し、前記評価スコア算出部は、同じアイテムの組に対応する前記第1のスコア算出部により算出された第1のスコアと前記尺度変換部により算出された第2〜第Nの変換後スコアとを組み合わせて評価スコアを算出する。
【0020】
また、上記の情報処理装置は、ユーザからフィードバックを受けた対象アイテムとの間で、前記評価スコア算出部により算出された評価スコアが高い値となるアイテムを検出する推薦アイテム検出部と、前記推薦アイテム検出部により検出されたアイテムを前記ユーザに推薦する推薦部と、をさらに備えていてもよい。
【0021】
また、前記関係情報生成部は、k番目(k=1〜K)のアイテムの組に対して前記第1のスコア算出部により算出された第1のスコアXkと前記第2のスコア算出部により算出された第2のスコアYkとを座標点(Xk,Yk)とする座標点の分布について線形回帰分析又は非線形回帰分析により回帰直線又は回帰曲線を示す関数を導出し、当該回帰曲線又は回帰曲線を示す関数を前記関係情報とする、ように構成されていてもよい。
【0022】
また、前記第1のスコア算出部は、協調フィルタリング又はコンテンツベースフィルタリングにより前記第1のスコアを算出し、前記第2のスコア算出部は、コンテンツベースフィルタリング又は協調フィルタリングのうち、前記第1のスコア算出部と異なる方法により前記第2のスコアを算出する、ように構成されていてもよい。
【0023】
また、上記の情報処理装置は、前記第2のスコアが大きくなりにくいアイテムを強く推薦したい場合に、前記第1の重み値を低下させ、前記第2の重み値を増加させる重み値調整部をさらに備えていてもよい。
【0024】
また、前記評価スコア算出部は、所定の条件を満たすまで前記第2のスコアが正しく算出されないアイテムがある場合に、前記所定の条件を満たすまでの期間、当該アイテムを含むアイテムの組について前記第1のスコア算出部により算出された第1のスコアを用いて評価スコアを算出するように構成されていてもよい。
【0025】
また、上記課題を解決するために、本技術の別の観点によれば、アイテムに対してフィードバックを与えるためのフィードバック入力部と、前記フィードバック入力部によりフィードバックが与えられたアイテムの情報をサーバ装置に通知するフィードバック通知部と、前記フィードバック通知部により情報が通知されたアイテムと他のアイテムとの間の関連度を示す評価スコアを前記サーバ装置から取得する評価スコア取得部と、前記評価スコア取得部により取得した評価スコア又は当該評価スコアの高いアイテムに関する情報をユーザに提示する情報提示部と、を備え、前記サーバ装置は、アイテム間の関連度を示す第1のスコアを算出する第1のスコア算出部と、アイテム間の関連度を示す第2のスコアを算出する第2のスコア算出部と、同じアイテムの組に対して前記第1のスコア算出部により算出された第1のスコアと前記第2のスコア算出部により算出された第2のスコアとの関係を示す関係情報に基づき、前記第2のスコア算出部により算出された第2のスコアを前記第1のスコアと同等の尺度に変換して変換後スコアを算出する尺度変換部と、同じアイテムの組について前記第1のスコア算出部により算出された第1のスコアと前記尺度変換部により算出された変換後スコアとを組み合わせて評価スコアを算出する評価スコア算出部と、を有する、端末装置が提供される。
【0026】
また、上記課題を解決するために、本技術の別の観点によれば、アイテムに対してフィードバックを与えるためのフィードバック入力部と、前記フィードバック入力部によりフィードバックが与えられたアイテムの情報をサーバ装置に通知するフィードバック通知部と、前記フィードバック通知部により情報が通知されたアイテムと他のアイテムとの間の関連度を示す評価スコアを前記サーバ装置から取得する評価スコア取得部と、前記評価スコア取得部により取得した評価スコア又は当該評価スコアの高いアイテムに関する情報をユーザに提示する情報提示部と、を有する、端末装置と;アイテム間の関連度を示す第1のスコアを算出する第1のスコア算出部と、アイテム間の関連度を示す第2のスコアを算出する第2のスコア算出部と、同じアイテムの組に対して前記第1のスコア算出部により算出された第1のスコアと前記第2のスコア算出部により算出された第2のスコアとの関係を示す関係情報に基づき、前記第2のスコア算出部により算出された第2のスコアを前記第1のスコアと同等の尺度に変換して変換後スコアを算出する尺度変換部と、同じアイテムの組について前記第1のスコア算出部により算出された第1のスコアと前記尺度変換部により算出された変換後スコアとを組み合わせて評価スコアを算出する評価スコア算出部と、を有する、前記サーバ装置と;を含む、情報提示システムが提供される。
【0027】
また、上記課題を解決するために、本技術の別の観点によれば、アイテム間の関連度を示す第1のスコアを算出する第1のスコア算出ステップと、アイテム間の関連度を示す第2のスコアを算出する第2のスコア算出ステップと、同じアイテムの組に対して前記第1のスコア算出ステップで算出された第1のスコアと前記第2のスコア算出ステップで算出された第2のスコアとの関係を示す関係情報に基づき、前記第2のスコア算出ステップで算出された第2のスコアを前記第1のスコアと同等の尺度に変換して変換後スコアを算出する尺度変換ステップと、同じアイテムの組について前記第1のスコア算出ステップで算出された第1のスコアと前記尺度変換ステップで算出された変換後スコアとを組み合わせて評価スコアを算出する評価スコア算出ステップと、を含む、評価スコアの算出方法が提供される。
【0028】
また、上記課題を解決するために、本技術の別の観点によれば、アイテム間の関連度を示す第1のスコアを算出する第1のスコア算出機能と、アイテム間の関連度を示す第2のスコアを算出する第2のスコア算出機能と、同じアイテムの組に対して前記第1のスコア算出機能により算出された第1のスコアと前記第2のスコア算出機能により算出された第2のスコアとの関係を示す関係情報に基づき、前記第2のスコア算出機能により算出された第2のスコアを前記第1のスコアと同等の尺度に変換して変換後スコアを算出する尺度変換機能と、同じアイテムの組について前記第1のスコア算出機能により算出された第1のスコアと前記尺度変換機能により算出された変換後スコアとを組み合わせて評価スコアを算出する評価スコア算出機能と、をコンピュータに実現させるためのプログラムが提供される。
【0029】
また、上記課題を解決するために、本技術の別の観点によれば、上記のプログラムが記録された、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体が提供される。
【発明の効果】
【0030】
以上説明したように本技術によれば、状況に適合した高精度の推薦結果を得られるように推薦アルゴリズムの組み合わせ方を好適に制御することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】推薦アルゴリズムの組み合わせ方法の一例を示す説明図である。
【図2】推薦アルゴリズムの組み合わせ方法の一例を示す説明図である。
【図3】推薦アルゴリズムの組み合わせ方法の一例を示す説明図である。
【図4】推薦アルゴリズムの組み合わせ方法の一例を示す説明図である。
【図5】推薦アルゴリズムの組み合わせ方法の一例を示す説明図である。
【図6】本技術の一実施形態に係る推薦アルゴリズムの組み合わせ方法について説明するための説明図である。
【図7】本技術の一実施形態に係る推薦アルゴリズムの組み合わせ方法について説明するための説明図である。
【図8】本技術の一実施形態に係る推薦アルゴリズムの組み合わせ方法を実現することが可能な推薦システムのシステム構成について説明するための説明図である。
【図9】本技術の一実施形態に係る推薦システムにおいて実行される処理の概要について説明するための説明図である。
【図10】本技術の一実施形態に係るサーバ装置の機能構成について説明するための説明図である。
【図11】本技術の一実施形態に係るユーザ端末の機能構成について説明するための説明図である。
【図12】本技術の一実施形態に係る補正関数の導出方法について説明するための説明図である。
【図13】本技術の一実施形態に係る重み値の設定方法について説明するための説明図である。
【図14】本技術の一実施形態に係る推薦処理の流れについて説明するための説明図である。
【図15】本技術の一実施形態に係る統合関連スコアの算出方法について説明するための説明図である。
【図16】スコア体系の違いに起因して生じる関連スコアへの影響について説明するための説明図である。
【図17】本技術の一実施形態に係る関連スコアの補正方法を適用した場合に得られる効果について説明するための説明図である。
【図18】本技術の一実施形態に係る補正関数の導出方法(拡張例)について説明するための説明図である。
【図19】本技術の一実施形態に係る重み値の設定方法(拡張例)について説明するための説明図である。
【図20】本技術の一実施形態に係る推薦処理の流れ(拡張例)について説明するための説明図である。
【図21】本技術の一実施形態に係る重み値の調整方法について説明するための説明図である。
【図22】本技術の一実施形態に係る重み値の調整方法について説明するための説明図である。
【図23】本技術の一実施形態に係る重み値の調整方法について説明するための説明図である。
【図24】本技術の一実施形態に係る重み値の調整方法について説明するための説明図である。
【図25】本技術の一実施形態に係るサーバ装置及びユーザ端末が有する機能を実現することが可能なハードウェア構成例について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に添付図面を参照しながら、本技術に係る好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0033】
[説明の流れについて]
ここで、以下で記載する説明の流れについて簡単に述べる。
【0034】
まず、図1〜図5を参照しながら、推薦アルゴリズムの組み合わせ方法の一例について説明する。次いで、図6及び図7を参照しながら、本技術の一実施形態に係る推薦アルゴリズムの組み合わせ方法について説明する。次いで、図8を参照しながら、本技術の一実施形態に係る推薦アルゴリズムの組み合わせ方法を実現することが可能な推薦システムのシステム構成について説明する。次いで、図9を参照しながら、本技術の一実施形態に係る推薦システムにおいて実行される処理の概要について説明する。
【0035】
次いで、図10を参照しながら、本技術の一実施形態に係るサーバ装置100の機能構成について説明する。次いで、図11を参照しながら、本技術の一実施形態に係るユーザ端末200の機能構成について説明する。次いで、図12を参照しながら、本技術の一実施形態に係る補正関数の導出方法について説明する。次いで、図13を参照しながら、本技術の一実施形態に係る重み値の設定方法について説明する。次いで、図14を参照しながら、本技術の一実施形態に係る推薦処理の流れについて説明する。次いで、図15を参照しながら、本技術の一実施形態に係る統合関連スコアの算出方法について説明する。
【0036】
次いで、図16を参照しながら、スコア体系の違いに起因して生じる関連スコアへの影響について説明する。次いで、図17を参照しながら、本技術の一実施形態に係る関連スコアの補正方法を適用した場合に得られる効果について説明する。次いで、図18を参照しながら、本技術の一実施形態に係る補正関数の導出方法(拡張例)について説明する。次いで、図19を参照しながら、本技術の一実施形態に係る重み値の設定方法(拡張例)について説明する。次いで、図20を参照しながら、本技術の一実施形態に係る推薦処理の流れ(拡張例)について説明する。
【0037】
次いで、図21〜図24を参照しながら、本技術の一実施形態に係る重み値の調整方法について詳細に説明する。次いで、図25を参照しながら、本技術の一実施形態に係るサーバ装置100及びユーザ端末200が有する機能を実現することが可能なハードウェア構成例について説明する。最後に、同実施形態の技術的思想について纏め、当該技術的思想から得られる作用効果について簡単に説明する。
【0038】
(説明項目)
1:はじめに
1−1:推薦アルゴリズムの組み合わせ例
1−2:推薦アルゴリズムの組み合わせ方法
1−3:スコア体系の違いについて
2:基本構成
2−1:推薦アルゴリズムの組み合わせ方法
2−2:推薦システムの構成
2−2−1:システム構成
2−2−2:処理の概要
2−2−3:サーバ装置100の機能構成
2−2−4:ユーザ端末200の機能構成
2−3:事前処理の流れ
2−3−1:補正関数の導出方法
2−3−2:重み値の設定方法
2−4:推薦処理の流れ
3:拡張例
3−1:事前処理の流れ
3−1−1:補正関数の導出方法
3−1−2:重み値の設定方法
3−2:推薦処理の流れ
4:フィードバックに応じた重み値の調整方法
4−1:システム重み値の調整方法
4−1−1:調整例#1
4−1−2:調整例#2
4−2:ユーザ重み値の調整方法
5:補足説明
5−1:フィードバックを利用しない重み値の調整方法
5−2:補正関数の更新について
5−3:関連スコアの付かないアイテムについて
6:ハードウェア構成例
7:まとめ
【0039】
<1:はじめに>
はじめに、複数の推薦アルゴリズムを単純に組み合わせた場合に生じる課題及びその課題を解決する手段の概要について説明する。
【0040】
[1−1:推薦アルゴリズムの組み合わせ例]
まず、推薦アルゴリズムの組み合わせ例について説明する。ここでは組み合わせる推薦アルゴリズムの例として、協調フィルタリングとコンテンツベースフィルタリングとを挙げるが、組み合わせ可能な推薦アルゴリズムはこれらに限定されない。
【0041】
一例として、協調フィルタリングとコンテンツベースフィルタリングとを組み合わせる場合について考えてみよう。図1に示すように、協調フィルタリングは、アイテムに対するフィードバックのログが多い場合に高精度の推薦結果が得られるという長所を有する。一方で、協調フィルタリングは、ログが少ない場合に利用できないという短所を有する。なお、ここで言うフィードバックとは、アイテムの購入、アイテムの選択、アイテムの視聴、アイテムに関する詳細情報の閲覧、Like/Dislikeボタンの押下、レビュー付けなどを意味する。
【0042】
また、コンテンツベースフィルタリングは、ログの数に依存せずに安定した推薦結果が得られるという長所を有する。一方で、コンテンツベースフィルタリングは、推薦の際に体系立ったメタ情報を必要とするという短所を有する。また、協調フィルタリングとコンテンツベースフィルタリングとを対比した場合、ログの数が多い場合には協調フィルタリングの方が高精度の推薦結果を出力する。
【0043】
このように、協調フィルタリングとコンテンツベースフィルタリングとはそれぞれ長所及び短所を有する。そのため、状況に応じて協調フィルタリングとコンテンツベースフィルタリングとを使い分けることが好ましい。例えば、ログが少ない状況では協調フィルタリングを利用し、ログが多い状況ではコンテンツベースフィルタリングを利用することが好ましい。そこで、本件発明者は、複数の推薦アルゴリズム(例えば、協調フィルタリングとコンテンツベースフィルタリング)を組み合わせ、状況に依らずに高精度の推薦結果を得ることが可能な推薦アルゴリズムの開発を試みた。
【0044】
[1−2:推薦アルゴリズムの組み合わせ方法]
まず、本件発明者は、複数の推薦アルゴリズム(以下、第1の推薦アルゴリズム、第2の推薦アルゴリズム)を単純に組み合わせる方法について検討した。その中で、本件発明者は、第1の推薦アルゴリズムを用いて算出した関連スコアAと、第2の推薦アルゴリズムを用いて算出した関連スコアBとを線形結合した関連スコアQに基づいて推薦アイテムを選択する推薦システムについて検討した。以下、この方法について簡単に説明する。
【0045】
図2に示すように、まず、この推薦システムは、第1の推薦アルゴリズムを用いてアイテムiとアイテムjとの間の関連スコアA(i,j)を算出する(S11)。また、この推薦システムは、第2の推薦アルゴリズムを用いてアイテムiとアイテムjとの間の関連スコアB(i,j)を算出する(S11)。次いで、この推薦システムは、ステップS11で算出した2つの関連スコアA(i,j)及びB(i,j)を線形結合して関連スコアQ(i,j)を算出する(S12)。例えば、この推薦システムは、下記の式(1)により関連スコアQ(i,j)を算出する。但し、q1、q2は、所定の係数である。
【0046】
【数1】

【0047】
次いで、推薦システムは、ステップS12で算出した関連スコアQ(i,j)に基づいて推薦アイテムを選択する(S13)。例えば、推薦システムは、推薦のシードとなるアイテムがiである場合、推薦アイテムとして、関連スコアQ(i,j)の大きなアイテムjを選択する。なお、係数q1、q2は、第1の推薦アルゴリズムを重視するか、第2の推薦アルゴリズムを重視するかを決める重み値である。例えば、q1>q2に設定すれば第1の推薦アルゴリズムによる推薦結果が強く反映され、q1<q2に設定すれば第2の推薦アルゴリズムによる推薦結果が強く反映されると期待される。
【0048】
[1−3:スコア体系の違いについて]
しかし、第1の推薦アルゴリズムのスコア体系と、第2の推薦アルゴリズムのスコア体系とが大きく異なる場合、重み値をq1>q2に設定しても第1の推薦アルゴリズムによる推薦結果が強く反映されないことがある。また、重み値をq1=q2に設定しても、スコア体系の違いにより、一方の推薦アルゴリズムによる推薦結果が強く反映されることがある。例えば、関連スコアA(i,j)及びB(i,j)が図3に示すような値になったと仮定しよう。この例において、関連スコアA(i,j)は、関連スコアB(i,j)よりも桁違いに大きい。
【0049】
一方で、2つの関連スコアA(i,j)及びB(i,j)をそれぞれ参照すると、関連スコアA(i,j)の大きなアイテムの組み合わせ(i,j)に対しては、関連スコアB(i,j)も大きな値となっていることが分かる。つまり、図4に示すように、2つの関連スコアA(i,j)及びB(i,j)には相関関係がある。より詳細にみると、図4の例では、2つの関連スコアA(i,j)及びB(i,j)の間に近似的に線形の関係が見て取れる。なお、図4の例は、(Xn,Yn)=(A(i,j),B(i,j))をX−Y平面上にプロットしたものである(n=1〜m)。
【0050】
しかしながら、関連スコアA(i,j)が関連スコアB(i,j)よりも桁違いに大きいため、図5に示すように、上記の式(1)に基づいて関連スコアQ(i,j)を算出すると、第1の推薦アルゴリズムの影響が優勢となる。ここでは2つの推薦アルゴリズムを1:1に組み合わせる例(q1=q2の場合)を挙げたが、第2の推薦アルゴリズムの影響を強くする意図でq1=0.8、q2=0.2と設定しても、この例では第1の推薦アルゴリズムの影響が優勢となる。このように、推薦アルゴリズム間におけるスコア体系の違いにより、ユーザの意図とは異なる推薦結果が出てしまうことがある。
【0051】
なお、本件発明者は、推薦アルゴリズムの組み合わせ毎に重み値を最適化する方法についても検討したが、推薦アルゴリズムの特性を十分に分析した上で最適な重み値を決める必要があるため、このような最適な重み値を決めることは難しいという結論に至った。また、ログの数やメタ情報の数に応じて最適な重み値が変化した場合に、一度決めた重み値を大幅に変更することは難しい。そこで、本件発明者は、スコア体系を適切に補正する方法を考案した。以下、この方法及びこの方法を適用した推薦システムについて説明する。
【0052】
<2:基本構成>
以下、本技術の一実施形態に係る推薦システムの基本構成について説明する。
【0053】
[2−1:推薦アルゴリズムの組み合わせ方法]
まず、図6を参照しながら、本技術の一実施形態に係る推薦アルゴリズムの組み合わせ方法の概要について説明する。図6は、本技術の一実施形態に係る推薦アルゴリズムの組み合わせ方法の概要について説明するための説明図である。
【0054】
図6に示すように、まず、推薦システムは、第1の推薦アルゴリズムを用いてアイテムiとアイテムjとの間の関連スコアA(i,j)を算出する(S101)。また、推薦システムは、第2の推薦アルゴリズムを用いてアイテムiとアイテムjとの間の関連スコアB(i,j)を算出する(S101)。次いで、推薦システムは、ステップS101で算出した2つの関連スコアA(i,j)及びB(i,j)のスコア体系を整合させる(S102)。例えば、推薦システムは、関連スコアB(i,j)を補正して関連スコアB’(i,j)を算出する(S102)。
【0055】
次いで、推薦システムは、ステップS101で算出した関連スコアA(i,j)、及びステップS102で算出した関連スコアB’(i,j)を線形結合して関連スコアQ(i,j)を算出する(S103)。例えば、推薦システムは、下記の式(2)により関連スコアQ(i,j)を算出する。但し、q1、q2は、所定の係数である。
【0056】
【数2】

【0057】
次いで、推薦システムは、ステップS103で算出した関連スコアQ(i,j)に基づいて推薦アイテムを選択する(S104)。例えば、推薦システムは、推薦のシードとなるアイテムがiである場合、推薦アイテムとして、関連スコアQ(i,j)の大きなアイテムjを選択する。なお、係数q1、q2は、第1の推薦アルゴリズムを重視するか、第2の推薦アルゴリズムを重視するかを決める重み値である。
【0058】
上記のように、本技術の一実施形態に係る推薦システムは、関連スコアB(i,j)を補正する。ここで、図7を参照しながら、この補正方法について説明を補足する。
【0059】
先に参照した図5の例では、関連スコアA(i,j)≫B(i,j)であった。この例に基づき、(Xn,Yn)=(A(i,j),B(i,j))をX−Y平面上にプロットすると、図7のようになる。補正前は関連スコアA(i,j)≫B(i,j)の関係があるため、各点はY=w*X+w0(但し、w≪1)の周辺に位置する。一方、補正後は関連スコアA(i,j)≒B’(i,j)の関係になるため、各点はY=Xの周辺に位置する。つまり、推薦システムは、(Xn,Yn)の集合に対する回帰直線の傾きが1に近づくように、関連スコアB(i,j)を補正する。なお、後述するように、(Xn,Yn)に関する回帰分析の結果が直線になるとは限らない点に注意されたい。
【0060】
以上、本技術の一実施形態に係る推薦アルゴリズムの組み合わせ方法の概要について説明した。以下では、この方法及びこの方法を適用した推薦システムの構成について、より詳細に説明する。
【0061】
[2−2:推薦システムの構成]
次に、本技術の一実施形態に係る推薦システムの構成について説明する。
【0062】
(2−2−1:システム構成)
まず、図8を参照しながら、本技術の一実施形態に係る推薦システムのシステム構成について説明する。図8は、本技術の一実施形態に係る推薦システムのシステム構成について説明するための説明図である。
【0063】
図8に示すように、本技術の一実施形態に係る推薦システムは、主に、サーバ装置100、及びユーザ端末200により構成される。また、このサーバ装置100とユーザ端末200とは、ネットワーク10により接続されている。そして、ネットワーク10には、管理者端末20が接続されている。さらに、サーバ装置100には、記憶装置130が接続されている。この記憶装置130は、サーバ装置100に内蔵されていてもよいし、ネットワーク10又はその他の通信網を介してサーバ装置100に接続されていてもよい。
【0064】
ここで、記憶装置130に格納される情報について説明する。記憶装置130には、例えば、アイテム、アイテムに付与されたメタ情報、アイテムに対してユーザが与えたフィードバックのログなどの情報が格納される。また、記憶装置130には、個々の推薦アルゴリズムによる関連スコアの算出結果、推薦アルゴリズムを組み合わせる際に用いる重み値、関連スコアの補正に用いる補正関数、重み値の補正量などの情報が格納される。
【0065】
(2−2−2:処理の概要)
次に、図9を参照しながら、本技術の一実施形態に係る推薦システムにより実行される処理の概要について説明する。図9は、本技術の一実施形態に係る推薦システムにより実行される処理の概要について説明するための説明図である。
【0066】
図9に示すように、まず、システム管理者は、管理者端末20を用いて推薦アルゴリズムの組み合わせ毎に重み値を設定する(S111)。ステップS111で設定された重み値は、サーバ装置100により記憶装置130に格納される。次いで、サーバ装置100は、個々の推薦アルゴリズムにより関連スコアを算出する(S112)。例えば、あるアイテム(シード)に対してフィードバックが与えられた場合に、サーバ装置100は、そのアイテムを対象に個々の推薦アルゴリズムにより関連スコアを算出する。ステップS112で算出された関連スコアは、記憶装置130に格納される。
【0067】
次いで、サーバ装置100は、記憶装置130に格納した関連スコアを用いて補正関数を生成する(S113)。例えば、サーバ装置100は、第2の推薦アルゴリズムにより算出された関連スコアB(i,j)を補正して第1の推薦アルゴリズムにより算出された関連スコアA(i,j)のスコア体系に近似するような補正関数fを生成する。つまり、サーバ装置100は、A(i,j)≒f(B(i,j))となるような補正関数fを生成する。ステップS113で生成された補正関数fは、記憶装置130に格納される。
【0068】
次いで、サーバ装置100は、ユーザ端末200を介してユーザにより入力されたフィードバックを取得する(S114)。次いで、サーバ装置100は、ステップS114で取得したフィードバックに応じてシステム内で共通に用いる重み値を補正する(S115)。ステップS115で補正されたシステム内で共通の重み値は、記憶装置130に格納される。さらに、サーバ装置100は、ステップS114で取得したフィードバックに応じてユーザ毎の重み値を補正する(S116)。ステップS116で補正されたユーザ毎の重み値は、記憶装置130に格納される。
【0069】
次いで、サーバ装置100は、ステップS112で算出した関連スコアをステップS113で生成した補正関数により補正した後、ステップS115及びS116で補正した重み値を用いて関連スコアを組み合わせる。さらに、サーバ装置100は、組み合わせた関連スコアに基づいてユーザに推薦すべきアイテムを選択する。そして、サーバ装置100は、選択したアイテムをユーザに推薦し(S117)、一連の処理を終了する。以上、本技術の一実施形態に係る推薦システムにより実行される処理の概要について説明した。
【0070】
(2−2−3:サーバ装置100の機能構成)
次に、図10を参照しながら、本技術の一実施形態に係るサーバ装置100の機能構成について、より詳細に説明する。図10は、本技術の一実施形態に係るサーバ装置100の機能構成について、より詳細に説明するための説明図である。
【0071】
図10に示すように、サーバ装置100は、主に、複数の個別関連スコア算出部101と、補正関数生成部102と、個別関連スコア補正部103と、統合関連スコア算出部104と、推薦アイテム選択部105とを有する。さらに、サーバ装置100は、重み値調整部106と、フィードバック判定部107とを有する。また、重み値調整部106は、システム重み値補正部1061と、ユーザ重み値補正部1062とを含む。なお、図10の例では個別関連スコア算出部101が3つ設けられているが、個別関連スコア算出部101の数は、組み合わせる推薦アルゴリズムの数に応じて増減される。
【0072】
以下、(1)事前処理、及び(2)ユーザによりアイテムs(以下、シードアイテムs)に対して与えられたフィードバックに応じて推薦すべきアイテムr(以下、推薦アイテムr)を選択する処理の流れに沿ってサーバ装置100の機能構成について説明する。
【0073】
(1)事前処理
上記の通り、サーバ装置100は、補正関数を用いて、組み合わせる関連スコアのスコア体系を整合させる。そのため、サーバ装置100は、既存のアイテム情報を利用して補正関数fを生成する。まず、サーバ装置100は、シードアイテムsになる可能性のある所定数のアイテムsを記憶装置130から取得する。さらに、サーバ装置100は、推薦アイテムrになる可能性のある所定数のアイテムrを記憶装置130から取得する。ここで取得したアイテムs、rは、個別関連スコア算出部101に入力される。
【0074】
アイテムs,rが入力されると、複数の個別関連スコア算出部101は、それぞれ割り当てられた推薦アルゴリズムを用いてアイテムs、rの関連スコアを算出する。例えば、第1の推薦アルゴリズムが割り当てられた個別関連スコア算出部101は、関連スコアA(s,r)を算出する。また、第2の推薦アルゴリズムが割り当てられた個別関連スコア算出部101は、関連スコアB(s,r)を算出する。なお、3以上の推薦アルゴリズムを組み合わせる場合、第3〜第Nの推薦アルゴリズム(N≧3)が割り当てられた個別関連スコア算出部101は、関連スコアC(s,r)、D(s,r)、…を算出する。但し、ここでは説明の都合上、2つの推薦アルゴリズムを組み合わせる場合について考える。
【0075】
個別関連スコア算出部101により算出された関連スコアA(s,r)及びB(s,r)は、記憶装置130に格納されると共に、補正関数生成部102に入力される。なお、補正関数生成部102には、関連スコアA(s,r)及びB(s,r)の組が複数入力される点に注意されたい。関連スコアA(s,r)及びB(s,r)が入力されると、補正関数生成部102は、入力された関連スコアA(s,r)及びB(s,r)を用いて補正関数fを生成する。例えば、関連スコアA(s,r)及びB(s,r)として、図3に示したA(i,j)及びB(i,j)(i=1,2、j=1,2,3)が入力された場合、補正関数生成部102は、回帰分析により補正関数f(この例ではf(X)=10*X+0.5;図4を参照)を生成する。
【0076】
なお、図3の例では、補正関数fが線形関数になるが、推薦アルゴリズムの組み合わせによっては補正関数fが線形関数になるとは限らない。その場合、補正関数生成部102は、多項式回帰、累乗回帰、対数回帰、指数回帰など、非線形回帰分析を実行して非線形の補正関数fを生成する。また、補正関数生成部102は、回帰分析の際、例えば、EM(Eexpectation Maximization)アルゴリズムやWake−Sleepアルゴリズムなどの回帰アルゴリズムを用いる。このようにして補正関数生成部102により生成された補正関数fは、記憶装置130に格納されると共に、個別関連スコア補正部103に入力される。なお、補正関数fが線形関数になる場合、最小二乗法アルゴリズムを用いると、補正関数f(X)=w*X+w0の係数は、下記の式(3)及び式(4)のようになる。但し、回帰分析に用いるサンプル数をmとする。
【0077】
【数3】

【0078】
以上、事前処理の1つとして補正関数fの導出方法について説明した。事前処理としては、補正関数fの他、重み値q1、q2の設定がある。この重み値q1、q2は、管理者端末20を介してシステム管理者により事前に設定される。また、システム管理者により設定された重み値q1、q2は、記憶装置130に格納される。
【0079】
(2)推薦アイテムrの選択処理
上記の事前処理が完了すると、シードアイテムsに対する推薦アイテムrの推薦が可能になる。シードアイテムsに対する推薦アイテムrの提示要求を受けると、個別関連スコア算出部101は、記憶装置130から推薦アイテムrの候補となるアイテムr1、r2、…を取得する。例えば、第1の推薦アルゴリズムを用いる個別関連スコア算出部101は、アイテムr1A、r2A、…を記憶装置130から取得する。また、第2の推薦アルゴリズムを用いる個別関連スコア算出部101は、アイテムr1B、r2B、…を記憶装置130から取得する。
【0080】
推薦アイテムrの候補となるアイテムr1A、r2A、…を取得した個別関連スコア算出部101は、シードアイテムsとアイテムr1A、r2A、…との間の関連スコアA(s,r1A)、A(s,r2A)、…を算出する。また、推薦アイテムrの候補となるアイテムr1B、r2B、…を取得した個別関連スコア算出部101は、シードアイテムsとアイテムr1B、r2B、…との間の関連スコアB(s,r1B)、B(s,r2B)、…を算出する。個別関連スコア算出部101により算出された関連スコアA(s,r1A)、A(s,r2A)、…、B(s,r1B)、B(s,r2B)、…は、個別関連スコア補正部103に入力される。
【0081】
関連スコアA(s,r1A)、A(s,r2A)、…、B(s,r1B)、B(s,r2B)、…が入力されると、個別関連スコア補正部103は、記憶装置130から補正関数fを取得する。そして、個別関連スコア補正部103は、取得した補正関数fを用いて関連スコアB(s,r1B)、B(s,r2B)、…を補正し、新たな関連スコアB’(s,r1B)、B’(s,r2B)、…を生成する。具体的には、個別関連スコア補正部103は、f(B(s,r1B))、f(B(s,r2B))、…を算出する。個別関連スコア補正部103により算出された新たな関連スコアB’(s,r1B)、B’(s,r2B)、…及び関連スコアA(s,r1A)、A(s,r2A)、…は、統合関連スコア算出部104に入力される。
【0082】
関連スコアA(s,r1A)、A(s,r2A)、…、B’(s,r1B)、B’(s,r2B)、…が入力されると、統合関連スコア算出部104は、入力された関連スコアA(s,r1A)、A(s,r2A)、…、B(s,r1B)、B(s,r2B)、…を線形結合して新たな関連スコア(以下、統合関連スコア)Q(s,r)(r∈{r1A,r2A,…,r1B,r2B,…})を算出する。このとき、統合関連スコア算出部104は、例えば、記憶装置130から取得した重み値q1、q2を用いて統合関連スコアQ(s,r)を算出する。
【0083】
統合関連スコア算出部104により算出された統合関連スコアQ(s,r)は、ユーザ端末200に提供される。また、統合関連スコア算出部104により算出された統合関連スコアQ(s,r)は、推薦アイテム選択部105に入力される。統合関連スコアQ(s,r)が入力されると、推薦アイテム選択部105は、入力された統合関連スコアQ(s,r)が大きい順に所定数のアイテムrを推薦アイテムとして選択する。そして、推薦アイテム選択部105は、選択した推薦アイテムrをユーザ端末200に提供する。
【0084】
ここで、重み値q1、q2について説明を補足する。先に説明したように、重み値q1、q2は、システム管理者により事前に設定される。但し、システム管理者により事前に設定された重み値q1、q2がユーザの嗜好に適合していない場合も考えられる。そこで、本技術の一実施形態においては、重み値q1、q2をユーザのフィードバックに応じて調整することが可能な仕組みをサーバ装置100に搭載することとした。重み値q1、q2の調整は、重み値調整部106により実行される。
【0085】
ユーザが推薦アイテムrに対してフィードバックを与えた場合、そのフィードバックは、フィードバック判定部107に入力される。フィードバックが入力されると、フィードバック判定部107は、入力されたフィードバックがポジティブな傾向を示すものか、ネガティブな傾向を示すものかを判定する。例えば、アイテムの購入、アイテムの選択、アイテムの視聴、アイテムに関する詳細情報の閲覧、Likeボタンの押下、スコアの高いレビュー付けなどは、ポジティブな傾向を示すフィードバックである。一方、DisLikeボタンの押下、スコアの低いレビュー付けなどはネガティブな傾向を示すフィードバックの一例である。
【0086】
フィードバック判定部107による判定結果は、重み値調整部106に入力される。この判定結果が入力されると、重み値調整部106は、入力された判定結果に応じて重み値q1、q2を調整する。なお、重み値調整部106による重み値の具体的な調整方法については後段において詳述する。重み値調整部106により調整された重み値q1、q2は、記憶装置130に格納される。
【0087】
以上、本技術の一実施形態に係るサーバ装置100の機能構成について説明した。なお、図10に示したサーバ装置100の機能構成は一例であり、一部の機能構成を省略したり、新たに機能構成を追加する変形も可能である。例えば、推薦アイテム選択部105を省略し、統合関連スコアだけをユーザ端末200に提供するようにサーバ装置100を構成してもよい。また、重み値調整部106及びフィードバック判定部107を省略し、システム管理者により設定された重み値q1、q2を永続的に利用するようにサーバ装置100を構成してもよい。
【0088】
(2−2−4:ユーザ端末200の機能構成)
次に、図11を参照しながら、本技術の一実施形態に係るユーザ端末200の機能構成について、より詳細に説明する。図11は、本技術の一実施形態に係るユーザ端末200の機能構成について、より詳細に説明するための説明図である。
【0089】
図11に示すように、ユーザ端末200は、主に、フィードバック通知部201と、統合関連スコア取得部202と、推薦アイテム取得部203と、情報提示部204とを有する。なお、ユーザ端末200は、図8に示すように、様々な形態で実施することが可能である。また、ユーザ端末200は、入力手段や表示手段などを搭載している。入力手段としては、例えば、キーボード、マウス、タッチセンサ、リモートコントローラなどの入力デバイスを例示することができる。また、表示手段としては、液晶ディスプレイや有機電界発光ディスプレイなどのディスプレイデバイスを例示することができる。
【0090】
ユーザ端末200は、例えば、アイテムを閲覧したり、アイテムにフィードバックを与えたりするために利用される。入力手段を用いてユーザがアイテムにフィードバックを与えると、そのフィードバックは、フィードバック通知部201に入力される。フィードバックが入力されると、フィードバック通知部201は、入力されたフィードバックをサーバ装置100に送信し、サーバ装置100に対してアイテムの推薦を要求する。この要求を受けると、上記の通り、サーバ装置100は、シードアイテムsに関する統合関連スコアQ(s,r)と推薦アイテムrとをユーザ端末200に提供する。
【0091】
ユーザ端末200は、統合関連スコア取得部202の機能により、サーバ装置100から統合関連スコアQ(s,r)を取得する。統合関連スコアQ(s,r)を取得すると、統合関連スコア取得部202は、取得した統合関連スコアQ(s,r)を情報提示部204に入力する。また、ユーザ端末200は、推薦アイテム取得部203の機能により、サーバ装置100から推薦アイテムrを取得する。推薦アイテムrを取得すると、推薦アイテム取得部203は、取得した推薦アイテムrを情報提示部204に入力する。統合関連スコアQ(s,r)及び推薦アイテムrが入力されると、情報提示部204は、入力された統合関連スコアQ(s,r)の大きい順に推薦アイテムrをユーザに提示する。
【0092】
以上、本技術の一実施形態に係るユーザ端末200の機能構成について説明した。なお、図11に示したユーザ端末200の機能構成は一例であり、一部の機能構成を省略したり、新たに機能構成を追加する変形も可能である。例えば、推薦アイテム取得部203を省略し、統合関連スコアだけをユーザに提示するようにユーザ端末200を構成してもよい。また、統合関連スコア取得部202を省略し、サーバ装置100から提供された順に推薦アイテムrをユーザに提示するようにユーザ端末200を構成してもよい。
【0093】
以上、推薦システムの構成について説明した。
【0094】
[2−3:事前処理の流れ]
次に、本技術の一実施形態に係る推薦処理の前に実行される事前処理の流れについて説明する。なお、以下で説明する事前処理は、主にサーバ装置100により実行される。
【0095】
(2−3−1:補正関数の導出方法)
まず、図12を参照しながら、本技術の一実施形態に係る補正関数の導出方法について説明する。図12は、本技術の一実施形態に係る補正関数の導出方法について説明するための説明図である。
【0096】
図12に示すように、サーバ装置100は、まず、個別関連スコア算出部101の機能により、推薦Seed(シードアイテム)になりうるアイテムsと、推薦Result(推薦アイテム)になりうるアイテムrとをそれぞれ所定数ずつ抽出する(S121)。以下、アイテムsの集合をS、アイテムrの集合をRと表記する。次いで、サーバ装置100は、個別関連スコア算出部101の機能により、s∈S及びr∈Rの全組み合わせについて関連スコアA(s,r)及びB(s,r)を算出する(S122)。次いで、サーバ装置100は、補正関数生成部102の機能により、関連スコアA(s,r)≒f(B(s,r))(∀s∈S、∀r∈R)となる補正関数fを導出する(S123)。次いで、サーバ装置100は、補正関数生成部102の機能により、ステップS123で導出した補正関数fを記憶装置130に格納する(S124)。
【0097】
以上、本技術の一実施形態に係る補正関数の導出方法について説明した。
【0098】
(2−3−2:重み値の設定方法)
次に、図13を参照しながら、本技術の一実施形態に係る重み値の設定方法について説明する。図13は、本技術の一実施形態に係る重み値の設定方法について説明するための説明図である。
【0099】
図13に示すように、サーバ装置100は、システム管理者が設定した推薦アルゴリズムの組み合わせに関する重み値q1、q2を記憶装置130に格納する(S131)。なお、システム管理者は、管理者端末20を用いて重み値q1、q2を入力する。管理者端末20に入力された重み値q1、q2は、ネットワーク10を介してサーバ装置100に入力される。そして、サーバ装置100に入力された重み値q1、q2は、上記のように、記憶装置130に格納される。但し、ここで説明した重み値q1、q2の設定方法は、事前処理における重み値の設定方法である。ユーザのフィードバックに応じた重み値q1、q2の調整方法については後段において詳述する。
【0100】
以上、本技術の一実施形態に係る重み値の設定方法について説明した。
【0101】
[2−4:推薦処理の流れ]
次に、図14を参照しながら、本技術の一実施形態に係る推薦処理の流れについて説明する。図14は、本技術の一実施形態に係る推薦処理の流れについて説明するための説明図である。なお、以下で説明する推薦処理は、主にサーバ装置100により実行される。
【0102】
ユーザが推薦Seed s’(シードアイテムs’)に対してフィードバックを与えると、図14に示すように、サーバ装置100は、ユーザ端末200からシードアイテムs’に対する推薦アイテムの提示要求を受信する(S141)。推薦アイテムの提示要求を受信すると、サーバ装置100は、個別関連スコア算出部101の機能により、第1の推薦アルゴリズムAを用いてシードアイテムs’と推薦アイテムの候補r1A、r2A、…との間の関連性を示す関連スコアA(s’,r1A)、A(s’,r2A)、…を算出する(S142)。次いで、サーバ装置100は、個別関連スコア算出部101の機能により、第2の推薦アルゴリズムBを用いてシードアイテムs’と推薦アイテムの候補r1B、r2B、…との間の関連性を示す関連スコアB(s’,r1B)、B(s’,r2B)、…を算出する(S143)。
【0103】
次いで、サーバ装置100は、個別関連スコア補正部103の機能により、補正関数fを用いて関連スコアB(s’,r1B)、B(s’,r2B)、…を補正し、新たな関連スコアB’(s’,r1B)、B’(s’,r2B)、…を算出する(S144)。但し、B’(s’,r1B)=f(B(s’,r1B))、B’(s’,r2B)=f(B(s’,r2B))、…である。次いで、サーバ装置100は、統合関連スコア算出部104は、重み値q1、q2を用いて、統合関連スコアQ(s’,r1A)、Q(s’,r2A)、…、Q(s’,r1B)、Q(s’,r2B)、…を算出する(S145)。次いで、サーバ装置100は、統合関連スコア算出部104の機能により、ステップS145で算出した統合関連スコアQ(s’,r1A)、Q(s’,r2A)、…、Q(s’,r1B)、Q(s’,r2B)、…をユーザ端末200に提供する(S146)。
【0104】
以上、本技術の一実施形態に係る推薦処理の流れについて説明した。ここでは統合関連スコアの算出処理に注目して説明したが、統合関連スコアの高いアイテムを推薦することにより精度の高いアイテムの推薦を実現することが可能である。
【0105】
(具体例)
ここで、図15を参照しながら、統合関連スコアの算出方法について、具体例を挙げて説明する。図15の例では、第1の推薦アルゴリズムAにより、シードアイテムs’に対して関連スコア(A(s’,r1A),A(s’,r2A),A(s’,r3A),A(s’,r4A))=(0.9,0.8,0.7,0.6)が算出されている。また、第2の推薦アルゴリズムBにより、シードアイテムs’に対して関連スコア(B(s’,r1B),B(s’,r2B),B(s’,r3B),B(s’,r4B))=(0.08,0.075,0.07,0.06)が算出されている。また、重み値は、q1=0.2及びq2=0.8に設定されているものとする。さらに、補正関数f(X)=10*X+0.5が事前処理により得られているものとする。
【0106】
この場合、まず、統合関連スコア算出部104は、関連スコアA(・)にq1を乗算して、(q1*A(s’,r1A),q1*A(s’,r2A),q1*A(s’,r3A),q1*A(s’,r4A))=(0.18,0.16,0.14,0.12)を算出する。また、個別関連スコア補正部103は、補正関数fを用いて関連スコアB(・)を補正し、(f(B(s’,r1B)),f(B(s’,r2B)),f(B(s’,r3B)),f(B(s’,r4B)))=(1.3,1.25,1.2,1.1)を算出する。次いで、統合関連スコア算出部104は、統合関連スコア算出部104は、関連スコアf(B(・))にq2を乗算して、(q2*f(B(s’,r1B)),q2*f(B(s’,r2B)),q2*f(B(s’,r3B)),q2*f(B(s’,r4B)))=(1.04,1.0,0.96,0.88)を算出する。
【0107】
次いで、統合関連スコア算出部104は、重み付けした関連スコアq1*A(・)及びq2*f(B(・))を統合して統合関連スコアQ(・)を算出する。具体的には、統合関連スコア算出部104は、Q(・)=q1*A(・)+q2*f(B(・))を算出する。図15の例では、(Q(s’,r1B),Q(s’,r2B),Q(s’,r3B),Q(s’,r4B),Q(s’,r1A),Q(s’,r2A),Q(s’,r3A),Q(s’,r4A))=(1.04,1.0,0.96,0.88,0.18,0.16,0.14,0.12)となる。補正関数fにより関連スコアB(・)を補正しない場合、q1<q2であるにも関わらず、図16に示すように、q1*A(・)>q2*B(・)となる。一方、補正関数fにより関連スコアB(・)を補正した場合、図17に示すように、q1*A(・)<q2*f(B(・))となる。
【0108】
重み値をq1<q2と設定するシステム管理者は、第1の推薦アルゴリズムAよりも第2の推薦アルゴリズムBを重視している。しかし、図16に示すように、補正関数fにより関連スコアB(・)を補正しない場合には、システム管理者の意図に反して第1の推薦アルゴリズムAが優勢になってしまうことがある。一方、補正関数fにより関連スコアB(・)を補正した場合には、この例のようにスコア体系が大きく異なる場合であっても、図17に示すように、スコア体系の違いに影響を受けずに適切な結果を得ることができる。その結果、重み値の設定に込めた意図を適切に反映させつつ、複数の推薦アルゴリズムを組み合わせることが可能になる。
【0109】
以上、本技術の一実施形態に係る推薦処理の流れについて説明した。
【0110】
<3:拡張例>
これまで、2つの推薦アルゴリズムを組み合わせる方法について説明してきた。しかし、本技術の一実施形態に係る方法は、3つ以上の推薦アルゴリズムを組み合わせる方法に拡張することも可能である。そこで、3つの推薦アルゴリズムを組み合わせる方法(以下、本拡張例)について説明する。
【0111】
[3−1:事前処理の流れ]
まず、本拡張例に係る推薦処理の前に実行される事前処理の流れについて説明する。なお、以下で説明する事前処理は、主にサーバ装置100により実行される。
【0112】
(3−1−1:補正関数の導出方法)
まず、図18を参照しながら、本拡張例に係る補正関数の導出方法について説明する。図18は、本拡張例に係る補正関数の導出方法について説明するための説明図である。
【0113】
図18に示すように、サーバ装置100は、まず、個別関連スコア算出部101の機能により、推薦Seed(シードアイテム)になりうるアイテムsと、推薦Result(推薦アイテム)になりうるアイテムrとをそれぞれ所定数ずつ抽出する(S151)。以下、アイテムsの集合をS、アイテムrの集合をRと表記する。次いで、サーバ装置100は、個別関連スコア算出部101の機能により、s∈S及びr∈Rの全組み合わせについて関連スコアA(s,r)、B(s,r)及びC(s,r)を算出する(S152)。
【0114】
次いで、サーバ装置100は、補正関数生成部102の機能により、関連スコアA(s,r)≒f(B(s,r))(∀s∈S、∀r∈R)となる補正関数fを導出する(S153)。次いで、サーバ装置100は、補正関数生成部102の機能により、関連スコアA(s,r)≒g(C(s,r))(∀s∈S、∀r∈R)となる補正関数fを導出する(S154)。次いで、サーバ装置100は、補正関数生成部102の機能により、ステップS153及びS154で導出した補正関数f及びgを記憶装置130に格納する(S155)。
【0115】
以上、本拡張例に係る補正関数の導出方法について説明した。
【0116】
(3−1−2:重み値の設定方法)
次に、図19を参照しながら、本拡張例に係る重み値の設定方法について説明する。図19は、本拡張例に係る重み値の設定方法について説明するための説明図である。
【0117】
図19に示すように、サーバ装置100は、システム管理者が設定した推薦アルゴリズムの組み合わせに関する重み値q1、q2を記憶装置130に格納する(S161)。なお、システム管理者は、管理者端末20を用いて重み値q1、q2、q3を入力する。管理者端末20に入力された重み値q1、q2、q3は、ネットワーク10を介してサーバ装置100に入力される。そして、サーバ装置100に入力された重み値q1、q2、q3は、上記のように、記憶装置130に格納される。但し、ここで説明した重み値q1、q2、q3の設定方法は、事前処理における重み値の設定方法である。ここで設定した重み値q1、q2、q3は、ユーザのフィードバックに応じて補正してもよい。
【0118】
以上、本拡張例に係る重み値の設定方法について説明した。
【0119】
[3−2:推薦処理の流れ]
次に、図20を参照しながら、本拡張例に係る推薦処理の流れについて説明する。図20は、本拡張例に係る推薦処理の流れについて説明するための説明図である。なお、以下で説明する推薦処理は、主にサーバ装置100により実行される。
【0120】
ユーザが推薦Seed s’(シードアイテムs’)に対してフィードバックを与えると、図20に示すように、サーバ装置100は、ユーザ端末200からシードアイテムs’に対する推薦アイテムの提示要求を受信する(S171)。推薦アイテムの提示要求を受信すると、サーバ装置100は、個別関連スコア算出部101の機能により、第1の推薦アルゴリズムAを用いてシードアイテムs’と推薦アイテムの候補r1A、r2A、…との間の関連性を示す関連スコアA(s’,r1A)、A(s’,r2A)、…を算出する(S172)。
【0121】
次いで、サーバ装置100は、個別関連スコア算出部101の機能により、第2の推薦アルゴリズムBを用いてシードアイテムs’と推薦アイテムの候補r1B、r2B、…との間の関連性を示す関連スコアB(s’,r1B)、B(s’,r2B)、…を算出する(S173)。次いで、サーバ装置100は、個別関連スコア算出部101の機能により、第3の推薦アルゴリズムCを用いてシードアイテムs’と推薦アイテムの候補r1C、r2C、…との間の関連性を示す関連スコアC(s’,r1C)、C(s’,r2C)、…を算出する(S174)。
【0122】
次いで、サーバ装置100は、個別関連スコア補正部103の機能により、補正関数fを用いて関連スコアB(s’,r1B)、B(s’,r2B)、…を補正し、新たな関連スコアB’(s’,r1B)、B’(s’,r2B)、…を算出する(S175)。但し、B’(s’,r1B)=f(B(s’,r1B))、B’(s’,r2B)=f(B(s’,r2B))、…である。次いで、サーバ装置100は、個別関連スコア補正部103の機能により、補正関数gを用いて関連スコアC(s’,r1C)、C(s’,r2C)、…を補正し、新たな関連スコアC’(s’,r1C)、C’(s’,r2C)、…を算出する(S176)。但し、C’(s’,r1C)=f(C(s’,r1C))、C’(s’,r2C)=f(C(s’,r2C))、…である。
【0123】
次いで、サーバ装置100は、統合関連スコア算出部104は、下記の式(5)に基づき、重み値q1、q2、q3を用いて、統合関連スコアQ(s’,r1A)、Q(s’,r2A)、…、Q(s’,r1B)、Q(s’,r2B)、…、Q(s’,r1C)、Q(s’,r2C)、…を算出する(S177)。次いで、サーバ装置100は、統合関連スコア算出部104の機能により、ステップS177で算出した統合関連スコアQ(s’,r1A)、Q(s’,r2A)、…、Q(s’,r1B)、Q(s’,r2B)、…、Q(s’,r1C)、Q(s’,r2C)、…をユーザ端末200に提供する(S178)。
【0124】
【数4】

【0125】
以上、本拡張例に係る推薦処理の流れについて説明した。ここでは統合関連スコアの算出処理に注目して説明したが、統合関連スコアの高いアイテムを推薦することにより精度の高いアイテムの推薦を実現することが可能である。
【0126】
<4:フィードバックに応じた重み値の調整方法>
これまで、ユーザのフィードバックに応じて重み値を調整する方法については詳細な説明を割愛してきた。以下、これまで割愛してきた重み値の調整方法について説明する。なお、以下で説明する重み値の調整方法は、サーバ装置100が有する機能のうち、主に重み値調整部106の機能により実現される。
【0127】
[4−1:システム重み値の調整方法]
ここで考える重み値には、システム全体で共通に利用する重み値(以下、システム重み値)と、ユーザ単位で個人化された重み値(以下、ユーザ重み値)とがある。まず、システム重み値の調整方法について説明する。なお、システム重み値の調整処理は、主にシステム重み値補正部1061により実行される。
【0128】
(4−1−1:調整例#1)
まず、図21を参照しながら、本技術の一実施形態に係るシステム重み値の調整方法の一例(調整例#1)について説明する。図21は、本技術の一実施形態に係るシステム重み値の調整方法の一例(調整例#1)について説明するための説明図である。
【0129】
図21に示すように、サーバ装置100は、まず、推薦Seed s(シードアイテムs)に対する推薦Result r(推薦アイテムr)がユーザに推薦された際に、そのユーザが入力したフィードバックを取得する(S181)。次いで、サーバ装置100は、フィードバック判定部107の機能により、取得したフィードバックがポジティブな傾向を示すフィードバックであるか否かを判定する(S182)。取得したフィードバックがポジティブな傾向を示すフィードバックであると判定された場合、サーバ装置100は、処理をステップS183に進める。一方、取得したフィードバックがポジティブな傾向を示すフィードバックでないと判定された場合、サーバ装置100は、処理をステップS184に進める。
【0130】
処理がステップS183に進んだ場合、システム重み値補正部1061は、重み値の補正量dをd=d0に設定する(S183)。一方、処理がステップS184に進んだ場合、システム重み値補正部1061は、重み値の補正量dをd=−d0に設定する(S184)。なお、重み値の変動分d0は、システム管理者が予め設定しておくものとする。
【0131】
ステップS183及びS184の処理を完了すると、サーバ装置100は、処理をステップS185に進める。処理がステップS185に進んだ場合、システム重み値補正部1061は、2つの関連スコアA(s,r)及びB(s,r)がA(s,r)>f(B(s,r))の条件を満たすか否かを判定する(S185)。A(s,r)>f(B(s,r))の条件を満たすと判定された場合、サーバ装置100は、処理をステップS186に進める。一方、A(s,r)>f(B(s,r))の条件を満たさないと判定された場合、サーバ装置100は、処理をステップS187に進める。
【0132】
処理がステップS186に進んだ場合、システム重み値補正部1061は、重み値q1、q2を下記の式(6)に基づいて補正する(S186)。一方、処理がステップS187に進んだ場合、システム重み値補正部1061は、重み値q1、q2を下記の式(7)に基づいて補正する(S187)。ステップS186又はS187の処理が完了した場合、サーバ装置100は、システム重み値の調整に係る一連の処理を終了する。
【0133】
【数5】

【0134】
(具体例)
ここで、図22を参照しながら、システム重み値の調整方法の具体例について説明する。例えば、システム管理者が設定した重み値をq1=0.2、q2=0.8、重み値の変動分をd0=0.1とする。また、補正関数がf(X)=0.5−0.5X、関連スコアがA(s,r1)=0.3、A(s,r2)=0.3、B(s,r1)=0.6、B(s,r2)=0.2であったとする。この場合、f(B(s,r1))=0.2、f(B(s,r2))=0.4となる。重み値を調整しない場合、統合関連スコアQ(・)は、図22に示すように、Q(s,r1)=0.22、Q(s,r2)=0.38となる。サーバ装置100は、これらの統合関連スコアQ(・)に基づいてユーザにアイテムr1、r2を推薦する。
【0135】
その後、ユーザがr1に対してフィードバックを与えると、サーバ装置100は、重み値q1、q2(システム重み値)を補正する。フィードバックがポジティブな傾向を示すものである場合、サーバ装置100は、図22の例において、関連スコアA(・)に乗算させる重み値q1をd0だけ増加させ、関連スコアB(・)に乗算される重み値q2をd0だけ減少させる。一方、フィードバックがネガティブな傾向を示すものである場合、サーバ装置100は、図22の例において、関連スコアA(・)に乗算させる重み値q1をd0だけ減少させ、関連スコアB(・)に乗算される重み値q2をd0だけ増加させる。
【0136】
本技術の一実施形態において、システム重み値q1、q2は、推薦アイテムに対するユーザのフィードバックに応じて上記の方法により調整されうる。
【0137】
(4−1−2:調整例#2)
次に、図23及び図24を参照しながら、本技術の一実施形態に係るシステム重み値の調整方法の一例(調整例#2)について説明する。図23及び図24は、本技術の一実施形態に係るシステム重み値の調整方法の一例(調整例#2)について説明するための説明図である。
【0138】
図23に示すように、まず、サーバ装置100は、重み値調整部106の機能により、統合関連スコアの算出方法を複数用意する(S191)。例えば、下記の式(8)〜式(10)に示す3通りの算出方法が用意される。但し、z1、z2は、条件0<z2<1<z1を満たす所定の係数である。統合関連スコアの算出方法を複数用意した後、推薦Seed s(シードアイテムs)に対する推薦Result(推薦アイテム)の提示が要求された場合に、サーバ装置100は、統合関連スコアの算出方法を1つ選択する(S192)。次いで、サーバ装置100は、ステップS192で選択した算出方法を用いて統合関連スコアを算出し、その算出結果に基づいて推薦アイテムrを推薦する(S194)。
【0139】
【数6】

【0140】
次いで、図24に示すように、サーバ装置100は、推薦アイテムrに対するフィードバックを待ち受け、フィードバックを受けたか否かを判定する(S195)。フィードバックを受けた場合、サーバ装置100は、処理をステップS196に進める。一方、フィードバックを受けない場合、サーバ装置100は、処理をステップS197に進める。例えば、サーバ装置100は、推薦アイテムrをユーザに推薦した後、所定時間だけフィードバックを待ち受け、所定時間が経過してもフィードバックを受けない場合に処理をステップS197に進める。
【0141】
処理をステップS196に進めた場合、サーバ装置100は、ステップS193(図23を参照)において統合関連スコアの算出方法に上記の式(8)に示す方法(以下、Q(・)の方法)を用いたか否かを判定する(S196)。統合関連スコアの算出方法としてQ(・)の方法を用いた場合、サーバ装置100は、処理をステップS197に進める。一方、統合関連スコアの算出方法としてQ(・)の方法を用いていない場合、サーバ装置100は、処理をステップS198に進める。処理をステップS197に進めた場合、サーバ装置100は、重み値q1、q2の調整に関して何にもしない(S197)。
【0142】
処理をステップS198に進めた場合、サーバ装置100は、フィードバック判定部107の機能により、フィードバックがポジティブな傾向を示すものであるか否かを判定する(S198)。フィードバックがポジティブな傾向を示すものであると判定した場合、サーバ装置100は、処理をステップS199に進める。一方、フィードバックがポジティブな傾向を示すものでないと判定した場合、サーバ装置100は、処理をステップS200に進める。
【0143】
処理がステップS199に進んだ場合、システム重み値補正部1061は、重み値の補正量dをd=d0に設定する(S199)。一方、処理がステップS200に進んだ場合、システム重み値補正部1061は、重み値の補正量dをd=−d0に設定する(S200)。なお、重み値の変動分d0は、システム管理者が予め設定しておくものとする。
【0144】
ステップS199及びS200の処理を完了すると、サーバ装置100は、処理をステップS201に進める。処理がステップS201に進んだ場合、システム重み値補正部1061は、Q’(・)を用いたか否かを判定する(S201)。Q’(・)を用いた場合、サーバ装置100は、処理をステップS202に進める。一方、Q’(・)を用いていない場合、サーバ装置100は、処理をステップS203に進める。Q’(・)を用いた推薦結果は、関連スコアA(・)が強調されたものである。そのため、Q’(・)を用いた推薦結果にフィードバックが与えられた場合、関連スコアA(・)に付される重みを強化することで、よりユーザの嗜好に合った推薦結果が得られるようになる。
【0145】
処理がステップS202に進んだ場合、システム重み値補正部1061は、重み値q1、q2を上記の式(6)に基づいて補正する(S202)。一方、処理がステップS203に進んだ場合、システム重み値補正部1061は、重み値q1、q2を上記の式(7)に基づいて補正する(S203)。ステップS202又はS203の処理が完了した場合、サーバ装置100は、システム重み値の調整に係る一連の処理を終了する。
【0146】
以上、本技術の一実施形態に係るシステム重み値の調整方法について説明した。なお、上記の説明においては、ユーザのフィードバックを受ける度にシステム重み値を調整する方法を紹介したが、システム重み値の調整タイミングを次のように変更してもよい。例えば、上記の式(6)又は式(7)により重み値を補正する機会が生じた際に、その機会が生じた回数をカウントしておき、所定のタイミングで、そのカウント数に応じた補正量で重み値を補正する方法が考えられる。
【0147】
例えば、所定のタイミングで、重み値q1を増加させる機会が生じた回数CUが、重み値q1を減少させる機会が生じた回数CDを上回っていた場合(CU>CD)、重み値q1をd0だけ増加させ、重み値q2をd0だけ減少させる。逆に、所定のタイミングで、重み値q1を増加させる機会が生じた回数CUが、重み値q1を減少させる機会が生じた回数CDを下回っていた場合(CU<CD)、重み値q1をd0だけ減少させ、重み値q2をd0だけ増加させる。このような処理にすることで、重み値の変更頻度を減らし、計算コストを低減させると共に安定した推薦結果を得ることが可能になる。
【0148】
[4−2:ユーザ重み値の調整方法]
次に、本技術の一実施形態に係るユーザ重み値の調整方法について説明する。これまでシステム全体で共通に利用されるシステム重み値q1、q2について説明してきたが、ここで、ユーザ重み値q1’(u)、q2’(u)の考えを導入する。uは個々のユーザを識別するためのインデックスを表す。また、ユーザ重み値q1’(u)、q2’(u)は、ユーザ毎に異なる値となる。このユーザ重み値q1’(u)、q2’(u)を考慮する場合、統合関連スコアQ(・)は、例えば、下記の式(11)又は式(12)のように表現される。
【0149】
【数7】

【0150】
ユーザからフィードバックを受けた場合、サーバ装置100は、図21や、図23及び図24に示した方法により補正量を決定し、その補正量の一部をシステム重み値q1、q2の補正量に割り当て、残りをユーザ重み値q1’、q2’に割り当てる。なお、両者の割合は、システム管理者が予め設定しておくものとする。また、ユーザ重み値q1’、q2’に対して、より大きな補正量が割り当てられるように両者の割合を設定する方が好ましい。さらに、ユーザ重み値q1’、q2’に割り当てられる補正量の割合は、|A(・)−f(B(・))|に応じて決定してもよいし、フィードバックのカウント差|CU−CD|に応じて決定してもよい。また、この割合の増分は、フィードバックの回数mに基づく変化係数v^m(但し、v<1)に比例してもよい。
【0151】
<5:補足説明>
これまで、本技術の一実施形態について説明してきた。以下では、この説明に付加可能な構成について簡単に説明する。また、一部の説明を補足する。
【0152】
[5−1:フィードバックを利用しない重み値の調整方法]
上記の説明においては、フィードバックに応じて重み値を調整する方法について説明してきたが、フィードバックを利用せずに重み値を調整する方法も考えられる。その一つとして、複数の重み値を用意しておき、状況に応じて重み値を使い分ける方法が考えられる。
【0153】
例えば、協調フィルタリングにより推薦結果が強調されやすいタイプのアイテム群(以下、第1のアイテム群)と、コンテンツベースフィルタリングにより推薦結果が強調されやすいタイプのアイテム群(以下、第2のアイテム群)とが存在するものと仮定する。いま、キャンペーンやイベント、或いは、営業上の理由など、何らかの理由で強調したいアイテムが第1のアイテム群に属しているものとしよう。この場合、協調フィルタリングの重み値を増加させ、コンテンツベースフィルタリングの重み値を低下させることが好ましい。
【0154】
より具体的な例について考えてみよう。例えば、協調フィルタリングとコンテンツベースフィルタリングとを組み合わせる場合において、新刊の発売日は新刊の推薦結果を強調するために協調フィルタリングの重み値を低下させ、コンテンツベースフィルタリングの重み値を増加させるなどの方法が考えられる。新刊のようにメタ情報の少ないアイテムは、コンテンツベースフィルタリングにより推薦される可能性が低い。一方で、新刊の発売日に新刊を強く推薦したいという要望がある。そこで、このような状況では、新刊の発売日に協調フィルタリングの重み値を増加させ、新刊が推薦されやすい状況を作ることが好ましい。
【0155】
なお、ここで説明した調整方法と、これまで説明してきたフィードバックを利用する重み値の調整方法とを組み合わせてもよい。
【0156】
[5−2:補正関数の更新について]
上記の説明においては、補正関数の更新について触れてこなかった。しかし、アイテムに付与されるメタ情報の数や、フィードバックのログが増加することにより、スコア体系に変化が生じることがある。例えば、コンテンツベースフィルタリングの場合、メタ情報の数が増加することによりスコア体系が変化する。一方、協調フィルタリングの場合、ログが増加することによりスコア体系が変化する。そのため、時間の経過に伴って適切な補正関数の形状が変化すると考えられる。そのため、サーバ装置100は、補正関数生成部102の機能により、定期的に補正関数の再生成を実行して記憶装置130に格納されている補正関数を更新することが好ましい。
【0157】
[5−3:関連スコアの付かないアイテムについて]
ところで、推薦アルゴリズムの種類によっては、あるアイテムに対する関連スコアが0となる可能性が考えられる。この場合、これまで説明してきた統合関連スコアの算出方法を用いると、そのアイテムに関する統合関連スコアが重み値の分だけ小さな値となってしまうことになる。このように、ある推薦アルゴリズムにおいて関連スコアが付かないことにより、統合関連スコアが小さな値となってしまうアイテムに対しては、例えば、関連スコアが付かない推薦アルゴリズムを除いた残りの推薦アルゴリズムを用いて統合関連スコアを算出するようにしてもよい。
【0158】
例えば、コンテンツベースフィルタリングの場合、メタ情報が付与されていないアイテムに対しては関連スコアが存在しない。この場合、メタ情報が蓄積されるまでの期間は、協調フィルタリングなどの他の推薦アルゴリズムを用いて統合関連スコアを算出し、その期間が経過した後、コンテンツベースフィルタリングを含む複数の推薦アルゴリズムを用いて統合関連スコアを算出するなどの方法が考えられる。
【0159】
また、次のような方法も考えられる。例えば、第2の推薦アルゴリズムBによる関連スコアB(s,r)が0となる場合、統合関連スコアQ(s,r)は、Q(s,r)=q1*A(s,r)となる。例えば、コンテンツベースフィルタリングの場合、メタ情報が付与されていないアイテムに対しては関連スコアが存在しない。そこで、このようなアイテムに対しては、例えば、Q(s,r)=(q1+q2)*A(s,r)により統合関連スコアを算出するようにしてもよい。また、関連スコアB(s,r)が0となるようなアイテムに対する統合関連スコアを下げるように調整してもよい。
【0160】
以上、本技術の一実施形態に係る構成について説明した。
【0161】
<6:ハードウェア構成例>
上記のサーバ装置100及びユーザ端末200が有する各構成要素の機能は、例えば、図25に示すハードウェア構成を用いて実現することが可能である。つまり、当該各構成要素の機能は、コンピュータプログラムを用いて図25に示すハードウェアを制御することにより実現される。なお、このハードウェアの形態は任意であり、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯電話、PHS、PDA等の携帯情報端末、ゲーム機、又は種々の情報家電がこれに含まれる。但し、上記のPHSは、Personal Handy−phone Systemの略である。また、上記のPDAは、Personal Digital Assistantの略である。
【0162】
図25に示すように、このハードウェアは、主に、CPU902と、ROM904と、RAM906と、ホストバス908と、ブリッジ910と、を有する。さらに、このハードウェアは、外部バス912と、インターフェース914と、入力部916と、出力部918と、記憶部920と、ドライブ922と、接続ポート924と、通信部926と、を有する。但し、上記のCPUは、Central Processing Unitの略である。また、上記のROMは、Read Only Memoryの略である。そして、上記のRAMは、Random Access Memoryの略である。
【0163】
CPU902は、例えば、演算処理装置又は制御装置として機能し、ROM904、RAM906、記憶部920、又はリムーバブル記録媒体928に記録された各種プログラムに基づいて各構成要素の動作全般又はその一部を制御する。ROM904は、CPU902に読み込まれるプログラムや演算に用いるデータ等を格納する手段である。RAM906には、例えば、CPU902に読み込まれるプログラムや、そのプログラムを実行する際に適宜変化する各種パラメータ等が一時的又は永続的に格納される。
【0164】
これらの構成要素は、例えば、高速なデータ伝送が可能なホストバス908を介して相互に接続される。一方、ホストバス908は、例えば、ブリッジ910を介して比較的データ伝送速度が低速な外部バス912に接続される。また、入力部916としては、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチ、及びレバー等が用いられる。さらに、入力部916としては、赤外線やその他の電波を利用して制御信号を送信することが可能なリモートコントローラ(以下、リモコン)が用いられることもある。
【0165】
出力部918としては、例えば、CRT、LCD、PDP、又はELD等のディスプレイ装置、スピーカ、ヘッドホン等のオーディオ出力装置、プリンタ、携帯電話、又はファクシミリ等、取得した情報を利用者に対して視覚的又は聴覚的に通知することが可能な装置である。但し、上記のCRTは、Cathode Ray Tubeの略である。また、上記のLCDは、Liquid Crystal Displayの略である。そして、上記のPDPは、Plasma DisplayPanelの略である。さらに、上記のELDは、Electro−Luminescence Displayの略である。
【0166】
記憶部920は、各種のデータを格納するための装置である。記憶部920としては、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)等の磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、又は光磁気記憶デバイス等が用いられる。但し、上記のHDDは、Hard Disk Driveの略である。
【0167】
ドライブ922は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体928に記録された情報を読み出し、又はリムーバブル記録媒体928に情報を書き込む装置である。リムーバブル記録媒体928は、例えば、DVDメディア、Blu−rayメディア、HD DVDメディア、各種の半導体記憶メディア等である。もちろん、リムーバブル記録媒体928は、例えば、非接触型ICチップを搭載したICカード、又は電子機器等であってもよい。但し、上記のICは、Integrated Circuitの略である。
【0168】
接続ポート924は、例えば、USBポート、IEEE1394ポート、SCSI、RS−232Cポート、又は光オーディオ端子等のような外部接続機器930を接続するためのポートである。外部接続機器930は、例えば、プリンタ、携帯音楽プレーヤ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、又はICレコーダ等である。但し、上記のUSBは、Universal Serial Busの略である。また、上記のSCSIは、Small Computer System Interfaceの略である。
【0169】
通信部926は、ネットワーク932に接続するための通信デバイスであり、例えば、有線又は無線LAN、Bluetooth(登録商標)、又はWUSB用の通信カード、光通信用のルータ、ADSL用のルータ、又は各種通信用のモデム等である。また、通信部926に接続されるネットワーク932は、有線又は無線により接続されたネットワークにより構成され、例えば、インターネット、家庭内LAN、赤外線通信、可視光通信、放送、又は衛星通信等である。但し、上記のLANは、Local Area Networkの略である。また、上記のWUSBは、Wireless USBの略である。そして、上記のADSLは、Asymmetric Digital Subscriber Lineの略である。
【0170】
<7:まとめ>
最後に、本実施形態の技術的思想について簡単に纏める。以下に記載する技術的思想は、例えば、PC、携帯電話、携帯ゲーム機、携帯情報端末、情報家電、カーナビゲーションシステム等、種々の情報処理装置に対して適用することができる。
【0171】
上記の情報処理装置の機能構成は次のように表現することができる。当該情報処理装置は、次のような第1のスコア算出部、第2のスコア算出部、尺度変換部、及び評価スコア算出部を有する。上記の第1のスコア算出部は、アイテム間の関連度を示す第1のスコアを算出する手段である。また、上記の第2のスコア算出部は、アイテム間の関連度を示す第2のスコアを算出する手段である。例えば、第1のスコア算出部は、第1の推薦アルゴリズムを用いて第1のスコアを算出する。また、第2のスコア算出部は、第1の推薦アルゴリズムとは異なる第2の推薦アルゴリズムを用いて第2のスコアを算出する。
【0172】
また、上記の尺度変換部は、同じアイテムの組に対して前記第1のスコア算出部により算出された第1のスコアと前記第2のスコア算出部により算出された第2のスコアとの関係を示す関係情報に基づき、前記第2のスコア算出部により算出された第2のスコアを前記第1のスコアと同等の尺度に変換して変換後スコアを算出する手段である。上記のように、第1のスコアと第2のスコアとは異なる推薦アルゴリズムを用いて算出されている。そのため、第1のスコア及び第2のスコアは、互いに異なるスコア体系を有する。そこで、尺度変換部は、第2のスコアを第1のスコアのスコア体系に合わせるように変換する。
【0173】
例えば、第1のスコアが第2のスコアよりも桁違いに大きくなるようなスコア体系の場合、第2のスコアを強調するような重み付けをしても、第1のスコアが推薦結果に強く影響してしまう。しかし、尺度変換部によりスコア体系を変換しておくことで、両スコアのスコア体系がほぼ同じ尺度になるため、ユーザの意図に関係なく一方のスコアが強調されてしまうことがなくなる。このようにして第2のスコアを変換した後、上記の評価スコア算出部は、同じアイテムの組について前記第1のスコア算出部により算出された第1のスコアと前記尺度変換部により算出された変換後スコアとを組み合わせて評価スコアを算出する。この評価スコアを用いることにより、状況に適合した高精度の推薦結果を得ることが可能になる。
【0174】
(備考)
上記のサーバ装置100は、情報処理装置の一例である。上記のユーザ端末200は、端末装置の一例である。上記の推薦システムは、情報提示システムの一例である。上記の個別関連スコア算出部101は、第1のスコア算出部、第2のスコア算出部、第3〜第Nのスコア算出部(N≧3)の一例である。上記の個別関連スコア補正部103は、尺度変換部の一例である。上記の統合関連スコア算出部104は、評価スコア算出部、評価スコア提示部の一例である。上記の補正関数生成部102は、関連情報生成部の一例である。上記の重み値調整部106は、カウント部、調整実行部、カウント数比較部、個別重み値管理部の一例である。上記の推薦アイテム選択部105は、推薦アイテム検出部、推薦部の一例である。上記の統合関連スコア取得部202は、評価スコア取得部の一例である。
【0175】
以上、添付図面を参照しながら本技術に係る好適な実施形態について説明したが、本技術はここで開示した構成例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本技術の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0176】
10 ネットワーク
20 管理者端末
100 サーバ装置
101 個別関連スコア算出部
102 補正関数生成部
103 個別関連スコア補正部
104 統合関連スコア算出部
105 推薦アイテム選択部
106 重み値調整部
1061 システム重み値補正部
1062 ユーザ重み値補正部
107 フィードバック判定部
130 記憶装置
200 ユーザ端末
201 フィードバック通知部
202 統合関連スコア取得部
203 推薦アイテム取得部
204 情報提示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アイテム間の関連度を示す第1のスコアを算出する第1のスコア算出部と、
アイテム間の関連度を示す第2のスコアを算出する第2のスコア算出部と、
同じアイテムの組に対して前記第1のスコア算出部により算出された第1のスコアと前記第2のスコア算出部により算出された第2のスコアとの関係を示す関係情報に基づき、前記第2のスコア算出部により算出された第2のスコアを前記第1のスコアと同等の尺度に変換して変換後スコアを算出する尺度変換部と、
同じアイテムの組について前記第1のスコア算出部により算出された第1のスコアと前記尺度変換部により算出された変換後スコアとを組み合わせて評価スコアを算出する評価スコア算出部と、
を備える、
情報処理装置。
【請求項2】
同じアイテムの組について前記第1のスコア算出部により算出された第1のスコアと前記第2のスコア算出部により算出された第2のスコアとを対象に回帰分析を実行して前記関係情報を生成する関係情報生成部をさらに備える、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記関係情報生成部は、定期的に前記関係情報を生成し直す、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記評価スコア算出部は、第1の重み値を用いて前記第1のスコアを重み付けし、第2の重み値を用いて前記変換後スコアを重み付けし、重み付け後の前記第1のスコアと、重み付け後の前記変換後スコアとを加算して前記評価スコアを算出する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
ユーザからフィードバックを受けた対象アイテムに関連するアイテムが前記評価スコアに基づいて当該ユーザに推薦され、推薦されたアイテムに対して当該ユーザがフィードバックを与えた場合に、当該推薦されたアイテムに与えられたフィードバックがポジティブな傾向を示すフィードバックであるか否かを判定するフィードバック判定部と、
前記推薦されたアイテムに対して前記ユーザがフィードバックを与えた場合に、前記フィードバック判定部による判定結果に応じて前記第1の重み値及び前記第2の重み値を調整する重み値調整部と、
をさらに備え、
前記重み値調整部は、
前記フィードバック判定部によりポジティブな傾向を示すフィードバックであると判定され、かつ、前記第1のスコアが前記変換後スコアより大きい場合に、前記第1の重み値を増加させ、前記第2の重み値を減少させ、
前記フィードバック判定部によりポジティブなフィードバック傾向を示すであると判定され、かつ、前記第1のスコアが前記変換後スコアより小さい場合に、前記第1の重み値を減少させ、前記第2の重み値を増加させ、
前記フィードバック判定部によりポジティブな傾向を示すフィードバックでないと判定され、かつ、前記第1のスコアが前記変換後スコアより大きい場合に、前記第1の重み値を減少させ、前記第2の重み値を増加させ、
前記フィードバック判定部によりポジティブな傾向を示すフィードバックでないと判定され、かつ、前記第1のスコアが前記変換後スコアより小さい場合に、前記第1の重み値を増加させ、前記第2の重み値を減少させる、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記重み値調整部は、
前記第1の重み値を増加させる機会が生じた回数CUと、前記第1の重み値を減少させる機会が生じた回数CDとをカウントするカウント部と、
所定のタイミングで前記回数CUと前記回数CDとを比較するカウント数比較部と、
前記所定のタイミングで前記カウント数比較部による比較結果が得られた場合に、当該比較結果に応じて前記第1の重み値及び前記第2の重み値を調整する調整実行部と、
を有し、
前記調整実行部は、
前記回数CUが前記回数CDを上回る場合に、前記第1の重み値を増加させ、前記第2の重み値を減少させ、
前記回数CUが前記回数CDを下回る場合に、前記第1の重み値を減少させ、前記第2の重み値を増加させる、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
ユーザからフィードバックを受けた対象アイテムに関連するアイテムが前記評価スコアに基づいて当該ユーザに推薦され、推薦されたアイテムに対して当該ユーザがフィードバックを与えた場合に、当該推薦されたアイテムに与えられたフィードバックがポジティブな傾向を示すフィードバックであるか否かを判定するフィードバック判定部と、
前記推薦されたアイテムに対して前記ユーザがフィードバックを与えた場合に、前記フィードバック判定部による判定結果に応じて前記第1の重み値及び前記第2の重み値を調整する重み値調整部と、
をさらに備え、
前記評価スコア算出部は、
第1の重み値を用いて前記第1のスコアを重み付けし、第2の重み値を用いて前記変換後スコアを重み付けし、同じ第3の重み値を用いて前記第1のスコア及び前記変換後スコアをさらに重み付けし、重み付け後の前記第1のスコアと、重み付け後の前記変換後スコアとを加算して前記評価スコアを算出し、
前記重み値調整部は、
前記第3の重み値が1の場合に前記第1の重み値及び前記第2の重み値を変更せず、
前記フィードバック判定部によりポジティブな傾向を示すフィードバックであると判定され、かつ、前記第3の重み値が1より大きい場合に、前記第1の重み値を増加させ、前記第2の重み値を減少させ、
前記フィードバック判定部によりポジティブな傾向を示すフィードバックであると判定され、かつ、前記第3の重み値が1より小さい場合に、前記第1の重み値を減少させ、前記第2の重み値を増加させ、
前記フィードバック判定部によりポジティブな傾向を示すフィードバックでないと判定され、かつ、前記第3の重み値が1より大きい場合に、前記第1の重み値を減少させ、前記第2の重み値を増加させ、
前記フィードバック判定部によりポジティブな傾向を示すフィードバックでないと判定され、かつ、前記第3の重み値が1より小さい場合に、前記第1の重み値を増加させ、前記第2の重み値を減少させる、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記重み値調整部は、
前記第1の重み値を増加させる機会が生じた回数CUと、前記第1の重み値を減少させる機会が生じた回数CDとをカウントするカウント部と、
所定のタイミングで前記回数CUと前記回数CDとを比較するカウント数比較部と、
前記所定のタイミングで前記カウント数比較部による比較結果が得られた場合に、当該比較結果に応じて前記第1の重み値及び前記第2の重み値を調整する調整実行部と、
を有し、
前記調整実行部は、
前記回数CUが前記回数CDを上回る場合に、前記第1の重み値を増加させ、前記第2の重み値を減少させ、
前記回数CUが前記回数CDを下回る場合に、前記第1の重み値を減少させ、前記第2の重み値を増加させる、
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記重み値調整部により前記第1の重み値及び前記第2の重み値が変更された場合に、変更後の前記第1の重み値及び変更後の前記第2の重み値をユーザ毎に管理する個別重み値管理部をさらに備える、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記評価スコア算出部により算出された評価スコアをユーザに提示する評価スコア提示部をさらに備える、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
アイテム間の関連度を示す第3〜第Nのスコア(N≧3)を算出する第3〜第Nのスコア算出部をさらに備え、
前記尺度変換部は、
同じアイテムの組に対して前記第1のスコア算出部により算出された第1のスコアと前記第Mのスコア算出部(2≦M≦N)により算出された第Mのスコアとの関係を示す第Mの関係情報に基づき、前記第Mのスコア算出部により算出された第Mのスコアを前記第1のスコアと同等の尺度に変換して第Mの変換後スコアを算出し、
前記評価スコア算出部は、
同じアイテムの組に対応する前記第1のスコア算出部により算出された第1のスコアと前記尺度変換部により算出された第2〜第Nの変換後スコアとを組み合わせて評価スコアを算出する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項12】
ユーザからフィードバックを受けた対象アイテムとの間で、前記評価スコア算出部により算出された評価スコアが高い値となるアイテムを検出する推薦アイテム検出部と、
前記推薦アイテム検出部により検出されたアイテムを前記ユーザに推薦する推薦部と、
をさらに備える、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記関係情報生成部は、
k番目(k=1〜K)のアイテムの組に対して前記第1のスコア算出部により算出された第1のスコアXkと前記第2のスコア算出部により算出された第2のスコアYkとを座標点(Xk,Yk)とする座標点の分布について線形回帰分析又は非線形回帰分析により回帰直線又は回帰曲線を示す関数を導出し、当該回帰曲線又は回帰曲線を示す関数を前記関係情報とする、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記第1のスコア算出部は、協調フィルタリング又はコンテンツベースフィルタリングにより前記第1のスコアを算出し、
前記第2のスコア算出部は、コンテンツベースフィルタリング又は協調フィルタリングのうち、前記第1のスコア算出部と異なる方法により前記第2のスコアを算出する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記第2のスコアが大きくなりにくいアイテムを強く推薦したい場合に、前記第1の重み値を低下させ、前記第2の重み値を増加させる重み値調整部をさらに備える、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項16】
所定の条件を満たすまで前記第2のスコアが正しく算出されないアイテムがある場合に、前記評価スコア算出部は、前記所定の条件を満たすまでの期間、当該アイテムを含むアイテムの組について前記第1のスコア算出部により算出された第1のスコアを用いて評価スコアを算出する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項17】
アイテムに対してフィードバックを与えるためのフィードバック入力部と、
前記フィードバック入力部によりフィードバックが与えられたアイテムの情報をサーバ装置に通知するフィードバック通知部と、
前記フィードバック通知部により情報が通知されたアイテムと他のアイテムとの間の関連度を示す評価スコアを前記サーバ装置から取得する評価スコア取得部と、
前記評価スコア取得部により取得した評価スコア又は当該評価スコアの高いアイテムに関する情報をユーザに提示する情報提示部と、
を備え、
前記サーバ装置は、
アイテム間の関連度を示す第1のスコアを算出する第1のスコア算出部と、
アイテム間の関連度を示す第2のスコアを算出する第2のスコア算出部と、
同じアイテムの組に対して前記第1のスコア算出部により算出された第1のスコアと前記第2のスコア算出部により算出された第2のスコアとの関係を示す関係情報に基づき、前記第2のスコア算出部により算出された第2のスコアを前記第1のスコアと同等の尺度に変換して変換後スコアを算出する尺度変換部と、
同じアイテムの組について前記第1のスコア算出部により算出された第1のスコアと前記尺度変換部により算出された変換後スコアとを組み合わせて評価スコアを算出する評価スコア算出部と、
を有する、
端末装置。
【請求項18】
アイテムに対してフィードバックを与えるためのフィードバック入力部と、
前記フィードバック入力部によりフィードバックが与えられたアイテムの情報をサーバ装置に通知するフィードバック通知部と、
前記フィードバック通知部により情報が通知されたアイテムと他のアイテムとの間の関連度を示す評価スコアを前記サーバ装置から取得する評価スコア取得部と、
前記評価スコア取得部により取得した評価スコア又は当該評価スコアの高いアイテムに関する情報をユーザに提示する情報提示部と、
を有する、端末装置と;
アイテム間の関連度を示す第1のスコアを算出する第1のスコア算出部と、
アイテム間の関連度を示す第2のスコアを算出する第2のスコア算出部と、
同じアイテムの組に対して前記第1のスコア算出部により算出された第1のスコアと前記第2のスコア算出部により算出された第2のスコアとの関係を示す関係情報に基づき、前記第2のスコア算出部により算出された第2のスコアを前記第1のスコアと同等の尺度に変換して変換後スコアを算出する尺度変換部と、
同じアイテムの組について前記第1のスコア算出部により算出された第1のスコアと前記尺度変換部により算出された変換後スコアとを組み合わせて評価スコアを算出する評価スコア算出部と、
を有する、前記サーバ装置と;
を含む、
情報提示システム。
【請求項19】
アイテム間の関連度を示す第1のスコアを算出する第1のスコア算出ステップと、
アイテム間の関連度を示す第2のスコアを算出する第2のスコア算出ステップと、
同じアイテムの組に対して前記第1のスコア算出ステップで算出された第1のスコアと前記第2のスコア算出ステップで算出された第2のスコアとの関係を示す関係情報に基づき、前記第2のスコア算出ステップで算出された第2のスコアを前記第1のスコアと同等の尺度に変換して変換後スコアを算出する尺度変換ステップと、
同じアイテムの組について前記第1のスコア算出ステップで算出された第1のスコアと前記尺度変換ステップで算出された変換後スコアとを組み合わせて評価スコアを算出する評価スコア算出ステップと、
を含む、
評価スコアの算出方法。
【請求項20】
アイテム間の関連度を示す第1のスコアを算出する第1のスコア算出機能と、
アイテム間の関連度を示す第2のスコアを算出する第2のスコア算出機能と、
同じアイテムの組に対して前記第1のスコア算出機能により算出された第1のスコアと前記第2のスコア算出機能により算出された第2のスコアとの関係を示す関係情報に基づき、前記第2のスコア算出機能により算出された第2のスコアを前記第1のスコアと同等の尺度に変換して変換後スコアを算出する尺度変換機能と、
同じアイテムの組について前記第1のスコア算出機能により算出された第1のスコアと前記尺度変換機能により算出された変換後スコアとを組み合わせて評価スコアを算出する評価スコア算出機能と、
をコンピュータに実現させるためのプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2012−190061(P2012−190061A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−50478(P2011−50478)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】