説明

情報処理装置および処理プログラム

【課題】キャッシュ領域におけるキャッシュアウトの発生の有無を報知することのできる情報処理装置を提供する。
【解決手段】ラスタライズ処理手段によるラスタライズ処理を実行する前に、印刷情報を解析してキャッシュデータとして保存する対象となるオブジェクトを検出し、当該オブジェクトのキャッシュデータの容量を算出する算出手段と、該算出手段で算出された各キャッシュデータの容量を合計し、その合計した容量が予め設定された限界値に達したか否かを判定する判定手段と、該判定手段による判定結果を報知する報知手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置および処理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
高速プリンタ等に搭載される情報処理装置の一種としてのプリンタ制御部では、一般的に、ページ記述言語で記述されたページ記述言語で記述されたデータ(印刷情報)をビットマップデータに変換する所謂ラスタライズ処理を行っている。
【0003】
このラスタライズ処理を高速化する技術として、従来からキャッシュ技術が知られている。
【0004】
ここで、キャッシュ技術とは、ページ記述言語で記述されたデータに含まれる各種のオブジェクト(オーバーレイ、フォント、イメージ等)について、ラスタライズ処理後のビットマップデータ等をキャッシュメモリに格納して、次回以降の各オブジェクトの呼び出しを当該キャッシュメモリを介して行うことにより、全体の処理の高速化を図る技術である。
【0005】
また、ラスタライズ処理に先立って、プレスキャンを行い、オブジェクト毎に総登場回数を算出し、ラスタライズ処理部側でオブジェクト毎にキャッシュの利用回数を計数し、総登場回数に達した場合に、そのオブジェクトをキャッシュアウトすることで、キャッシュ領域を有効活用する技術が開示されている(特開平06−186950号公報)。
【0006】
但し、前記従来技術は、キャッシュアウトが生じるか否かをユーザに知らせる機能は有していなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平06−186950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、キャッシュ領域におけるキャッシュアウトの発生の有無を報知することのできる情報処理装置および処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、請求項1の発明に係る情報処理装置は、ページ記述言語で記述された印刷情報を受信する受信手段と、該受信手段で受信された前記印刷情報を格納する格納手段と、前記印刷情報をビットマップデータに変換するラスタライズ処理を実行する少なくとも1つのラスタライズ処理手段と、前記印刷情報に含まれる各オブジェクト毎に前記ラスタライズ処理で生成されるビットマップデータをキャッシュデータとして保存する保存手段と、前記ラスタライズ処理手段による前記ラスタライズ処理を実行する前に、前記印刷情報を解析してキャッシュデータとして保存する対象となるオブジェクトを検出し、当該オブジェクトのキャッシュデータの容量を算出する算出手段と、該算出手段で算出された各キャッシュデータの容量を合計し、その合計した容量が予め設定された限界値に達したか否かを判定する判定手段と、該判定手段による判定結果を報知する報知手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明に係る情報処理装置は、請求項1に記載の発明について、前記ラスタライズ処理手段に関する情報を取得する取得手段を備え、前記判定手段は、前記取得手段で取得された前記ラスタライズ処理手段に関する情報を勘案して前記限界値に達したか否かを判定することを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明に係る情報処理装置は、請求項2に記載の発明について、前記ラスタライズ処理手段に関する情報は、前記ラスタライズ処理手段の数、前記各ラスタライズ処理手段が備える前記保存手段のキャッシュ限界容量、分散処理の有無に関する情報の少なくとも1つを含むことを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明に係る情報処理装置は、請求項1から請求項3の何れかに記載の発明について、前記判定手段は、印刷開始時にキャッシュデータの保存対象となるオブジェクトのキャッシュデータの容量を合計し、当該合計容量を超えた際のページ数、もしくは、キャッシュアウトが発生しない範囲となる1ページ前のページ数情報を算出し、前記報知手段は、キャッシュアウトが発生する旨の報知を行うと共に、前記ページ数情報を報知することを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明に係る情報処理装置は、請求項1から請求項3の何れかに記載の発明について、前記ラスタライズ処理手段は、前記判定手段で、印刷開始時におけるキャッシュデータの保存対象となるオブジェクトのキャッシュデータの容量の総合計値が、前記ラスタライズ処理手段が備える前記保存手段のキャッシュ限界容量を超えないと判定された場合にはラスタライズ処理を開始し、キャッシュ限界容量を超えると判定された場合にはラスタライズ処理を実行しないことを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明に係る処理プログラムは、ページ記述言語で記述された印刷情報を受信する受信過程と、受信された前記印刷情報を格納する格納過程と、前記印刷情報をビットマップデータに変換するラスタライズ処理を実行するラスタライズ処理過程と、前記印刷情報に含まれる各オブジェクト毎に前記ラスタライズ処理で生成されるビットマップデータをキャッシュデータとして保存する保存過程と、前記ラスタライズ処理を実行する前に、前記印刷情報を解析してキャッシュデータとして保存する対象となるオブジェクトを検出し、当該オブジェクトのキャッシュデータの容量を算出する算出過程と、算出された各キャッシュデータの容量を合計し、その合計した容量が予め設定された限界値に達したか否かを判定する判定過程と、該判定過程による判定結果を報知する報知過程とを演算手段に実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば以下の効果を奏することができる。
【0016】
すなわち、請求項1に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、印刷を実行する前に、印刷情報をラスタライズ処理した際にキャッシュ容量を超えるか否か確認できるので、キャッシュアウトが発生してラスタライズ処理に過度の時間を要する事態を未然に防ぐ情報処理装置を提供することができる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、キャッシュ領域におけるキャッシュアウトの発生の有無をより正確に報知することのできる情報処理装置を提供することができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、キャッシュ領域におけるキャッシュアウトの発生の有無をより確実に報知することのできる情報処理装置を提供することができる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、キャッシュアウトが発生する旨の報知およびページ数情報の報知に基づいて適切な対策を取ることのできる情報処理装置を提供することができる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、利便性を向上できる情報処理装置を提供することができる。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、印刷を実行する前に、印刷情報をラスタライズ処理した際にキャッシュ容量を超えるか否か確認できるので、キャッシュアウトが発生してラスタライズ処理に過度の時間を要する事態を未然に防ぐ処理プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施の形態に係る情報処理装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図2】ページにオーバーレイが貼りつけられた例を示す説明図である。
【図3】第1の実施例に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【図4】印刷処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】印刷処理の処理手順の続きを示すフローチャートである。
【図6】印刷処理の処理手順の続きを示すフローチャートである。
【図7】オーバーレイテーブルの構成例を示す表である。
【図8】第2の実施例に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【図9】印刷処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】印刷処理の処理手順の続きを示すフローチャートである。
【図11】印刷処理の処理手順の続きを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一例としての実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。ここで、添付図面において同一の部材には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略されている。なお、ここでの説明は本発明が実施される最良の形態であることから、本発明は当該形態に限定されるものではない。
【0024】
図1から図11を参照して、本発明についての実施の形態に係る情報処理装置PR1について説明する。
【0025】
まず、図1を参照して情報処理装置PR1の機能構成について説明する。
【0026】
本実施の形態に係る情報処理装置PR1は、ページ記述言語で記述された印刷情報を生成する例えばホストコンピュータ等で構成される情報処理装置(外部装置)C1からLAN等のネットワークNを介して前記印刷情報を受信してロール紙等の記録媒体に画像形成を行う高速プリンタ等として構成される。
【0027】
情報処理装置PR1は、ページ記述言語で記述された印刷情報(印刷データ)を受信する受信部100(受信手段の一例)と、受信部100で受信された印刷データを格納する受信データ格納部101(格納手段の一例)と、印刷データをビットマップデータに変換するラスタライズ処理を実行するラスタライズ処理部102(ラスタライズ処理手段の一例)と、印刷データに含まれる各オブジェクト毎に前記ラスタライズ処理で生成されるビットマップデータをキャッシュデータとして保存するキャッシュメモリで構成されるキャッシュデータ保存部103(保存手段の一例)と、ラスタライズ処理部102によるラスタライズ処理を実行する前に、印刷データを解析してキャッシュデータとして保存する対象となるオブジェクトを検出し、当該オブジェクトのキャッシュデータの容量を算出するキャッシュサイズキャッシュサイズ算出部104(算出手段の一例)と、キャッシュサイズキャッシュサイズ算出部104で算出された各キャッシュデータの容量を合計し、その合計した容量が予め設定された限界値に達したか否かを判定する判定部105(判定手段の一例)と、判定部105による判定結果をタッチパネル等で構成されるモニタ300に表示して報知する報知部106(報知手段の一例)とを備えている。
【0028】
また、ラスタライズ処理部102に関する情報を取得する情報取得部107(取得手段の一例)を備えている。
【0029】
そして、判定部105は、情報取得部107で取得されたラスタライズ処理部102に関する情報を勘案して前記限界値に達したか否かを判定するようにしてもよい。
【0030】
なお、ラスタライズ処理部102に関する情報としては、例えば、ラスタライズ処理部102の数、各ラスタライズ処理部102が備えるキャッシュデータ保存部103のキャッシュ限界容量、分散処理の有無に関する情報の少なくとも1つを含むようにしてもよい。
【0031】
また、判定部105は、印刷開始時にキャッシュデータの保存対象となるオブジェクトのキャッシュデータの容量を合計し、当該合計容量を超えた際のページ数、もしくは、キャッシュアウトが発生しない範囲となる1ページ前のページ数情報を算出し、報知部106は、キャッシュアウトが発生する旨の報知を行うと共に、前記ページ数情報を報知するようにしてもよい。
【0032】
また、ラスタライズ処理部102は、判定部105で、印刷開始時にキャッシュデータの保存対象となるオブジェクトのキャッシュデータの容量の合計値が、ラスタライズ処理部102が備えるキャッシュデータ保存部103のキャッシュ限界容量を超えないと判定された場合にはラスタライズ処理を開始し、キャッシュ限界容量を超えると判定された場合にはラスタライズ処理を実行しないようにしてもよい。
【0033】
なお、ラスタライズ処理部102において分散処理が有る場合には、1つのラスタライズ処理部102においてページ記述言語で記述されたデータ全てをラスタライズ処理した場合を想定して判断するようにしてもよい。
【0034】
図2に、本実施の形態に係る情報処理装置PR1による報知例を示す。
【0035】
図2に示す報知例では、「キャッシュ容量が足りません。」とのメッセージに加えて、キャッシュ容量が足りなくなったオブジェクトデータ種類(例えば、オーバーレイ)、キャッシュ全容量(例えば、100Mバイト)、保存できなかったオブジェクトのIDとキャッシュサイズ(例えば、00100、1Mバイト)、発生ページ(例えば、100ページ目)などの情報を表示している。
【0036】
これにより、この報知を見たユーザ等は、印刷データのページ数を減らしたり、或いはキャッシュサイズを減らすように印刷データを修正するなどの措置をとり、印刷業務の効率が向上される。
【0037】
(第1の実施例)
【0038】
次に、図3〜図9を参照して、本発明の第1の実施例について説明する。
【0039】
第1の実施例に係る情報処理装置PR1aは、図1のブロック図に示すような構成を備えている。
【0040】
図3において、ハードディスク装置等で構成される受信データ保存部300は、ページデータD1およびオーバーレイデータD2等を格納している。
【0041】
また、画像形成部200は、出力画像出力部201および出力部202から構成されている。
【0042】
ここで、図3に示す主要部の動作について説明する。
【0043】
受信部100は、印刷データを受信し、受信しながら受信したデータをページデータとオーバーレイデータなどオブジェクトデータに分類して、保存する。
【0044】
キャッシュサイズ算出部104は、ページデータの中身からオーバーレイ呼び出しコマンドを検索し、オーバーレイ呼び出しコマンドがあれば、そのオーバーレイについてキャッシュが有効か確認する。
【0045】
そして、キャッシュが有効であれば、そのオーバーレイがオーバーレイテーブル(図7参照)に登録されているか確認する。
【0046】
登録されていれば、そのオーバーレイの処理を終了して、次のオーバーレイ呼び出しコマンドを検索し、オーバーレイテーブルに未登録であれば、オーバーレイテーブルに登録し、オーバーレイのx方向とy方向の幅情報から、オーバーレイ領域の画素数を算出し、その値をキャッシュサイズ(キャッシュ容量)とする。
【0047】
判定部105は、キャッシュサイズをこれまでのオーバーレイのキャッシュの合計サイズに加算し、合計サイズがキャッシュ限界量を超えていないか判定する。
【0048】
そして、キャッシュ限界量を超えていなければ、そのオーバーレイの処理を終わらせて、次のオーバーレイ呼び出しコマンドを検索する。
【0049】
一方、キャッシュ限界量を超えていると判定された場合には、報知部106は、その時点のページ数とキャッシュサイズが大き過ぎてキャッシュアウトが生じ、ラスタライズ処理が遅くなる旨のメッセージをタッチパネル等で構成されるモニタ300に表示する。また、処理を続行するか、やめるか等のユーザ選択項目をモニタ300に表示するようにしてもよい。
【0050】
これにより、ユーザは、印刷処理を続行するかやめるか判断し、タッチパネルで操作することとなり、利便性が向上される。
【0051】
また、最後のページまでキャッシュサイズの合計がキャッシュ限界量を超えなかった場合、または、印刷処理続行が選択された場合は、ラスタライズ処理と印刷を開始することとなる。
【0052】
次に、図4から図6のフローチャートを参照して、本実施例に係る情報処理装置PR1aで実行される印刷処理の処理手順について説明する。
【0053】
ステップS101では、ホストコンピュータC1から印刷データの受信を開始し、ステップS102では、受信部100で印刷データを受信してステップS103に移行する。
【0054】
ステップS103では、受信部100は、受信した1ジョブ分の印刷データを解析して、ページデータとオーバーレイデータなどのオブジェクトに分類してステップS104に移行する。
【0055】
ステップS104では、ジョブ全体のデータを受信したか否かが判定され、「No」の場合にはステップS102に戻り、「Yes」の場合にはステップS105に移行する。
【0056】
ステップS105では、キャッシュサイズ算出部104は、受信した印刷ジョブのページデータのコマンドを読み込んでステップS106に移行する。
【0057】
ステップS106では、オーバーレイ呼び出しコマンドか否かが判定され、「No」の場合にはステップS110に移行して、ジョブ最後のコマンドでないか否かが判定される。
【0058】
そして、「Yes」の場合にはステップS102に戻り、「No」の場合にはステップS111に移行して、ラスタライズ処理を開始し、印刷用紙に出力して処理を終了する。
【0059】
一方、ステップS106で「Yes」と判定された場合には、ステップS107に移行して、キャッシュ対象か否かが判定され、「No」の場合には前出のステップS110に移行し、「Yes」の場合にはステップS108に移行する。
【0060】
ステップS108では、オーバーレイテーブル(図7参照)に今回のオーバーレイが登録されているか否かが判定され、「Yes」の場合には前出のステップS110に移行し、「No」の場合にはステップS109に移行する。
【0061】
ステップS109では、オーバーレイテーブルに今回のオーバーレイを登録し、オーバーレイの情報から領域情報(xの幅、yの幅)を読み出し、その積からキャッシュサイズ(キャッシュ容量)を算出してステップS112に移行する。
【0062】
ステップS112では、キャッシュサイズを合計値に加算してステップS113に移行する。
【0063】
ステップS113では、合計値がキャッシュデータ保存部103のキャッシュ限界容量を超えるか否かが判定され、「No」の場合にはステップS102に戻り、「Yes」の場合にはステップS114に移行する。
【0064】
ステップS114では、現在処理中のページ数ではキャッシュアウトが生じるため、ラスタライズ処理に時間がかかる旨のメッセージをモニタ300に表示してステップS115に移行する。
【0065】
ステップS115では、ユーザの操作に基づいて、印刷処理を続行するか否かが判定され、「Yes」の場合にはステップS102に移行し、「No」の場合には印刷処理を終了する。
【0066】
このように、本実施例に係る情報処理装置PR1aによれば、印刷処理を実行する前に、印刷データをラスタライズ処理した際にキャッシュ容量を超えるか否かを確認して、キャッシュアウトが発生してラスタライズ処理に過度の時間を要する事態が未然に防止される。
【0067】
(第2の実施例)
【0068】
次に、図8〜図11を参照して、本発明の第2の実施例について説明する。
【0069】
第2の実施例に係る情報処理装置M1は、図1のブロック図に示すような構成を備えている。
【0070】
なお、図8に示す例では、画像形成部200は、ネットワークNを介して情報処理装置M1と接続されるプリンタPR2で構成されている。
【0071】
また、報知部106から出力される情報は、ネットワークNを介して接続される端末の画面600に表示されるようになっている。
【0072】
図8において、ハードディスク装置等で構成される印刷ジョブデータ保存部500は、ジョブデータ10(ページデータD11およびオーバーレイデータD12を含む)を格納している。
【0073】
ここで、図8に示す主要部の動作について説明する。
【0074】
キャッシュサイズ算出部104、判定部105は、印刷ジョブデータ保存部500から、対象の印刷ジョブデータを検索する。
【0075】
なお、プリンタPR2からキャッシュ設定情報を受け取る場合には、プリンタ装置PR2からキャッシュ設定情報を受信し、キャッシュ限界容量の情報を取得する。あるいは、端末からキャッシュ限界容量を入力するようにしてもよい。
【0076】
キャッシュサイズ算出部104は、ページデータの中身からオーバーレイ呼び出しコマンドを検索し、オーバーレイ呼び出しコマンドがある場合には、そのオーバーレイについてキャッシュが有効か確認する。
【0077】
そして、キャッシュが有効であれば、そのオーバーレイがオーバーレイテーブル(図7参照)に登録されているか確認し、登録されている場合には、そのオーバーレイの処理を終了して、次のオーバーレイ呼び出しコマンドを検索する。
【0078】
また、オーバーレイテーブルに未登録である場合には、オーバーレイテーブルに登録し、オーバーレイのx方向とy方向の幅情報からオーバーレイ領域の画素数を算出し、その値をキャッシュサイズ(キャッシュ容量)とする。
【0079】
判定部105は、キャッシュサイズをこれまでのオーバーレイのキャッシュの合計値に加算し、合計値がキャッシュ限界量を超えていないか判定する。
【0080】
そして、キャッシュ限界量を超えていなければ、そのオーバーレイの処理を終わらせて、次のオーバーレイ呼び出しコマンドを検索する。
【0081】
また、キャッシュ限界量を超えている場合には、報知部106は、その時点のページ数とキャッシュサイズが大き過ぎてキャッシュアウトが発生し、ラスタライズ処理が遅くなる旨のメッセージを端末画面600に表示する。
【0082】
なお、最後のページまでキャッシュサイズの合計がキャッシュ限界量を超えなかった場合には、キャッシュサイズに問題ない旨のメッセージを表示するようにしてもよい。
【0083】
次に、図9から図11のフローチャートを参照して、本実施例に係る情報処理装置M1で実行される印刷処理の処理手順について説明する。
【0084】
この処理が開始されると、まずステップS201でプリンタPR1から入手したキャッシュ設定を使用するか否かが判定され、「No」の場合にはステップS202で端末からキャッシュ容量を入力してステップS205に移行する。
【0085】
また、「Yes」の場合にはステップS203に移行して、プリンタPR2にキャッシュ設定情報を依頼してステップS204に移行する。
【0086】
ステップS204では、プリンタPR2からキャッシュ設定情報を取得(例えば、キャッシュ容量:50Mバイト等)してステップS205に移行する。
【0087】
ステップS205では、キャッシュサイズ算出部104は、印刷ジョブのページデータのコマンドを読み込んでステップS206に移行する。
【0088】
ステップS206では、オーバーレイ呼び出しコマンドか否かが判定され、「No」の場合にはステップS210に移行する。
【0089】
ステップS210では、ジョブ最後のコマンドではないかが判定され。「Yes」の場合にはステップS102に移行し、「No」の場合にはステップS211に移行して、キャッシュサイズに問題はない旨のメッセージを端末画面600に表示して処理を終了する。
【0090】
一方、ステップS206で「Yes」と判定された場合にはステップS207に移行して、キャッシュ対象か否かが判定され、「No」の場合には前出のステップS210に移行し、「Yes」の場合にはステップS208に移行する。
【0091】
ステップS208では、オーバーレイテーブル(図7参照)に今回のオーバーレイを登録し、オーバーレイの情報から領域情報(Xの幅、Yの幅)を読み出し、その積からキャッシュサイズ(キャッシュ容量)を算出してステップS212に移行する。
【0092】
ステップS212では、キャッシュサイズを合計値に加算してステップS213に移行する。
【0093】
ステップS213では、合計値がキャッシュ限界容量を超えるか否かが判定され、「No」の場合にはステップS210に移行し、「Yes」の場合にはステップS214に移行する。
【0094】
ステップS214では、現在処理中のページ数ではキャッシュアウトが生じるため、ラスタライズ処理に時間がかかる旨のメッセージをモニタ300に表示して処理を終了する。
【0095】
このように、本実施例に係る情報処理装置M1によれば、プリンタPR2で印刷処理を実行する前に、印刷データをラスタライズ処理した際にキャッシュ容量を超えるか否かを確認して、キャッシュアウトが発生してラスタライズ処理に過度の時間を要する事態が未然に防止される。
【0096】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈すべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0097】
また、プログラムを用いる場合には、ネットワークを介して提供し、或いはCD−ROM等の記録媒体に格納して提供することが可能である。
【0098】
即ち、画像処理プログラムを含む所定のプログラムを記録媒体としてのハードディスク等の記憶装置に記録する場合に限らず、当該所定のプログラムを次のようにして提供することも可能である。
【0099】
例えば、所定のプログラムをROMに格納しておき、CPUが、この所定のプログラムをこのROMから主記憶装置へローディングして実行するようにしてもよい。
【0100】
また、上記所定のプログラムを、DVD−ROM、CD−ROM、MO(光磁気ディスク)、フレキシブルディスク、などのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布するようにしてもよい。
【0101】
さらには、画像形成装置等を通信回線(例えばインターネット)を介してサーバ装置あるいはホストコンピュータと接続するようにし、サーバ装置あるいはホストコンピュータから上記所定のプログラムをダウンロードした後、この所定のプログラムを実行するようにしてもよい。この場合、この所定のプログラムのダウンロード先としては、RAM等のメモリやハードディスクなどの記憶装置(記録媒体)が挙げられる。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明による情報処理装置および処理プログラムは、プリンタや複合機等に適用することができる。
【符号の説明】
【0103】
PR1(PR1a、M1) 情報処理装置
100 受信部
101 受信データ格納部
102 ラスタライズ処理部
103 キャッシュデータ保存部
104 キャッシュサイズ算出部
105 判定部
106 報知部
107 情報取得部
200 画像形成部
201 出力画像出力部
202 出力部
300 モニタ
500 印刷ジョブデータ保存部
600 端末画面
N ネットワーク
C1 外部装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ページ記述言語で記述された印刷情報を受信する受信手段と、
該受信手段で受信された前記印刷情報を格納する格納手段と、
前記印刷情報をビットマップデータに変換するラスタライズ処理を実行する少なくとも1つのラスタライズ処理手段と、
前記印刷情報に含まれる各オブジェクト毎に前記ラスタライズ処理で生成されるビットマップデータをキャッシュデータとして保存する保存手段と、
前記ラスタライズ処理手段による前記ラスタライズ処理を実行する前に、前記印刷情報を解析してキャッシュデータとして保存する対象となるオブジェクトを検出し、当該オブジェクトのキャッシュデータの容量を算出する算出手段と、
該算出手段で算出された各キャッシュデータの容量を合計し、その合計した容量が予め設定された限界値に達したか否かを判定する判定手段と、
該判定手段による判定結果を報知する報知手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記ラスタライズ処理手段に関する情報を取得する取得手段を備え、
前記判定手段は、前記取得手段で取得された前記ラスタライズ処理手段に関する情報を勘案して前記限界値に達したか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記ラスタライズ処理手段に関する情報は、前記ラスタライズ処理手段の数、前記各ラスタライズ処理手段が備える前記保存手段のキャッシュ限界容量、分散処理の有無に関する情報の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記判定手段は、印刷開始時にキャッシュデータの保存対象となるオブジェクトのキャッシュデータの容量を合計し、当該合計容量を超えた際のページ数、もしくは、キャッシュアウトが発生しない範囲となる1ページ前のページ数情報を算出し、
前記報知手段は、キャッシュアウトが発生する旨の報知を行うと共に、前記ページ数情報を報知することを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記ラスタライズ処理手段は、
前記判定手段で、印刷開始時におけるキャッシュデータの保存対象となるオブジェクトのキャッシュデータの容量の総合計値が、前記ラスタライズ処理手段が備える前記保存手段のキャッシュ限界容量を超えないと判定された場合にはラスタライズ処理を開始し、キャッシュ限界容量を超えると判定された場合にはラスタライズ処理を実行しないことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項6】
ページ記述言語で記述された印刷情報を受信する受信過程と、
受信された前記印刷情報を格納する格納過程と、
前記印刷情報をビットマップデータに変換するラスタライズ処理を実行するラスタライズ処理過程と、
前記印刷情報に含まれる各オブジェクト毎に前記ラスタライズ処理で生成されるビットマップデータをキャッシュデータとして保存する保存過程と、
前記ラスタライズ処理を実行する前に、前記印刷情報を解析してキャッシュデータとして保存する対象となるオブジェクトを検出し、当該オブジェクトのキャッシュデータの容量を算出する算出過程と、
算出された各キャッシュデータの容量を合計し、その合計した容量が予め設定された限界値に達したか否かを判定する判定過程と、
該判定過程による判定結果を報知する報知過程と、
を演算手段に実行させることを特徴とする処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−203836(P2012−203836A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70425(P2011−70425)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)