情報処理装置及び情報処理システム
【課題】自動取引装置のユニット毎の障害が発生する危険度を提供し、保守作業の優先度を判別することが可能な情報処理装置および情報処理システムを提供する。
【解決手段】複数の自動取引装置200の稼動状況の情報を提供する情報処理装置100は、上記自動取引装置の取引種別毎の取引件数に基づき、上記自動取引装置を構成する交換可能な単位であるユニット別の動作回数を示すユニット動作回数を算出するユニット動作回数算出部115と、上記ユニット動作回数及び上記自動取引装置の障害情報に基づいて、所定の期間における、所定の単位ユニット動作回数毎の休止回数を示す危険度を上記ユニット毎に算出する危険度算出部116とを有する。
【解決手段】複数の自動取引装置200の稼動状況の情報を提供する情報処理装置100は、上記自動取引装置の取引種別毎の取引件数に基づき、上記自動取引装置を構成する交換可能な単位であるユニット別の動作回数を示すユニット動作回数を算出するユニット動作回数算出部115と、上記ユニット動作回数及び上記自動取引装置の障害情報に基づいて、所定の期間における、所定の単位ユニット動作回数毎の休止回数を示す危険度を上記ユニット毎に算出する危険度算出部116とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理システムに関し、特に、自動取引装置の監視のための情報処理装置及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ATM(Automatic Teller Machine)などの自動取引装置が普及しており、私たちは、この自動取引装置を利用することによって銀行などの金融機関の営業時間外であっても金融取引を行うことができる。この自動取引装置の稼働状況を効率的に監視するために、ネットワークを介して自動取引装置の稼動状況を監視するための集中監視センターが設けられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、一定期間内に発生した障害の情報から、自動取引装置一台毎に保守作業の必要量の情報を提供し、自動取引装置のメンテナンスの効率を向上させることのできる自動機診断システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−133490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、自動取引装置のどの部位が関連する動作を行っている最中に起きた障害であるかは判別することはできず、自動取引装置のどの部位に注力して保守作業を行うべきかを判別することができないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、自動取引装置のユニット毎の障害が発生する危険度を提供し、保守作業の優先度を判別することが可能な、新規かつ改良された情報処理装置及び情報処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、複数の自動取引装置の稼動状況の情報を提供する情報処理装置であって、上記自動取引装置の取引種別毎の取引件数に基づき、上記自動取引装置を構成する交換可能な単位であるユニット別の動作回数を示すユニット動作回数を算出するユニット動作回数算出部と、上記ユニット動作回数及び上記自動取引装置の障害情報に基づいて、所定の期間における、所定の単位ユニット動作回数毎の休止回数を示す危険度を上記ユニット毎に算出する危険度算出部とを有する、情報処理装置が提供される。
【0008】
かかる構成によれば、情報処理装置は、自動取引装置の取引種別毎の取引件数から、自動取引装置のユニット毎に動作した回数を算出することができる。そして、算出されたユニット毎の動作回数と障害情報に含まれる休止回数とに基づいて、所定の単位ユニット動作回数毎の休止回数を示す危険度を算出することができるようになる。危険度は、ユニット毎の単位動作回数毎の休止回数を示している。このため、ユーザはこの危険度を参照することにより、動作回数の多少に関わらず同じ基準で障害の発生する危険性の度合いを知ることができる。そして、この値はユニット毎に算出されているため、ユーザは、どのユニットに問題が集中しているのか否かを知ることができる。
【0009】
また、上記ユニット毎の危険度の情報を含む保守情報参照画面の表示を制御する表示制御部をさらに有してもよい。
【0010】
また、上記保守情報参照画面は、一の自動取引装置のユニット毎の上記危険度と、他の自動取引装置のユニット毎の上記危険度とを、同じユニットの危険度同士を比較することができるように配置された画面であってもよい。
【0011】
また、上記ユニット動作回数算出部は、上記自動取引装置の取引の種別と、上記取引において動作される上記ユニットとの関係を示す関連マトリックス表に基づいて、上記ユニット動作回数を算出してもよい。
【0012】
また、上記危険度算出部は、上記休止回数を休止時点からの経過日数に応じた経過回数に所定のルールに基づいて変換し、上記経過回数を用いて上記危険度を算出してもよい。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、複数の自動取引装置と、上記自動取引装置の稼働状況の情報を提供する情報処理装置と、を有し、上記自動取引装置は、取引種別毎の取引件数を記録する取引件数記録部を有し、上記情報処理装置は、上記自動取引装置の取引種別毎の取引件数に基づき、上記自動取引装置を構成する交換可能な単位であるユニット別の動作回数を示すユニット動作回数を算出するユニット動作回数算出部と、上記ユニット動作回数及び上記自動取引装置の障害情報に基づいて、所定の期間における、所定の単位ユニット動作回数毎の休止回数を示す危険度を上記ユニット毎に算出する危険度算出部と、を有することを特徴とする、情報処理システムが提供される。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本発明によれば、自動取引装置のユニット毎の障害が発生する危険度を提供し、保守作業の優先度を判別することが可能な、新規かつ改良された情報処理装置及び情報処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る監視システムの構成図である。
【図2】自動取引装置の構成を示すブロック図である。
【図3】保守サーバの構成を示すブロック図である。
【図4】監視システムの動作を示すシーケンス図である。
【図5】障害情報の通知形式を示す説明図である。
【図6】自動取引装置における取引件数の記録例を示す説明図である。
【図7】保守サーバにおける取引件数の日次集計例を示す説明図である。
【図8】保守サーバにおける取引件数の月次集計例を示す説明図である。
【図9】保守サーバにおける取引件数の月次集計データの一例を示す説明図である。
【図10】取引種別とユニット動作の関連マトリクス表の一例を示す説明図である。
【図11】障害情報の月次データの一例を示す説明図である。
【図12】ユニット動作回数及び危険度の算出例を示す説明図である。
【図13】保守情報参照画面の一例を示す説明図である。
【図14】保守情報参照画面の他の一例を示す説明図である。
【図15】経過日数と経過回数との関連を示す関係表の一例である。
【図16】経過回数を含む障害情報の月次データの一例を示す説明図である。
【図17】経過回数に基づいたユニット動作回数及び危険度の算出例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0017】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.システム構成
2.自動取引装置の構成
3.保守サーバの構成
4.システム動作例
5.危険度算出の変形例
【0018】
<1.システム構成>
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る監視システムの概略構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る監視システムの構成図である。
【0019】
監視システム1は、監視センター10と店舗20と保守拠点30とに設置された各装置が通信網42及び通信網52により接続されている。
【0020】
監視センター10は、店舗20に設置された自動取引装置200の稼動状態を集中監視するための装置が設置された場所である。また、店舗20は、自動取引装置200が1又は複数設置された場所であり、例えば金融機関の店舗や無人の出張所であってもよい。保守拠点30は、保守拠点端末300を有し、インターネット等の通信網42を介して監視センター10と接続されている。
【0021】
(監視センター10)
監視センター10には、監視サーバ180と、保守サーバ100と、保守端末170と、Webサーバ190とが主に設置されている。
【0022】
監視サーバ180は、自動取引装置200の稼働状況を集中監視するための装置であり、自動取引装置200が状態変化を起こした場合には、その状態変化に関する情報を取得してATM状態受信履歴182として記録保持しておく。また、監視サーバ180は、自動取引装置200から受信した状態変化の情報が障害に関する情報である場合には、障害情報を保守サーバ100に通知する。
【0023】
保守サーバ100は、自動取引装置200の保守を行うために必要な情報を集計及び診断し、提供する情報処理装置である。保守サーバ100は、例えば自動取引装置200の状態を示す情報を生成する。本実施形態において保守サーバ100は、自動取引装置200を構成するユニット毎の保守作業の必要量を示す危険度を算出する。
【0024】
本実施形態に係る保守サーバ100は、自動取引装置200を構成するユニット毎の保守作業の必要量を、休止の危険度を用いて定量的に表すと共に、使用量に応じて他の装置との相対的な比較を可能とする。特に、装置毎の危険度の情報は、自動取引装置200のリプレース判断の材料として用いられる。また、ユニット毎の危険度の情報を他の装置と比較することによって、例えば危険度が共通して高いユニットがある場合には、ユニット共通の不良である可能性が高いという情報を得ることができる。ここで、ユニットは、例えば図2に示される各ブロック単位であってもよいし、更に細かいサブユニットや部品単位としてもよい。ユニットは、その単位で交換することのできる部品又は部品の集合をひとつの単位とすることが好ましい。
【0025】
或いは、取引量の情報は、自動取引装置200の配置換えの判断に用いられる。自動取引装置200の単位期間当たりの取引量は、その自動取引装置200が設置される場所によって大きく異なる。例えば、東京に設置された自動取引装置200は、人口が多い分使用頻度が高く、取引量は多くなる可能性が高い。自動取引装置200は、一般的に取引量に応じて磨耗や劣化が進行し、機器動作に異常が発生するリスクが高まる。即ち、取引量に応じて休止発生件数が多くなる。このため、全国に自動取引装置200を設置している金融機関などでは、定期的に自動取引装置200の配置換えを行うことによって、自動取引装置200の累積取引量が分散するようにして自動取引装置200の稼動年数が延びるようにコントロールしている。保守サーバ100の詳細な構成については、後述される。
【0026】
保守端末170は、保守サーバ100が情報を生成および診断するときの条件を設定する機能を有する。例えば、保守端末170は、基準値入力部172を有し、保守サーバ100が危険度を算出するときの基準となる値、例えば、後述する集計期間および単位ユニット動作回数などの値を保守サーバ100に入力する。
【0027】
Webサーバ190は、インターネット等の広域ネットワークである通信網42を介してアクセスすることのできるWebページを提供するサーバである。Webサーバ190は、保守サーバ100が集計した自動取引装置200の診断情報を含む診断画面を提供する。
【0028】
(店舗20)
店舗20は、例えば金融機関の店舗や無人出張所などを含み、自動取引装置200が設置されている。店舗20は、通信網52を介して監視センター10と接続されている。図1においては、店舗20が2つ示されているが、当然、監視センター10に接続される店舗20は2つとは限らない。1又は複数の店舗20が監視センター10と接続され、それぞれに設置された自動取引装置200の稼動状況を示す情報が監視センター10に収集される。自動取引装置200の詳細な構成については、後述される。
【0029】
(保守拠点30)
保守拠点30は、自動取引装置200の保守を行う拠点である。例えば、保守拠点30は、自動取引装置200の保守会社であってもよい。また、保守拠点30は、金融機関の本社などであってもよい。保守拠点30には、保守拠点端末300が設置され、インターネット等の広域ネットワークである通信網42を介してWebサーバ190にアクセスすることで、保守サーバ100が集計した自動取引装置200の診断情報を含む診断画面を参照することができる。
【0030】
保守拠点30においては、上記の診断画面を参照することにより、自動取引装置200の保守作業の計画を立てることができる。また、本実施形態において提供される診断画面により、自動取引装置200を構成するユニット毎の保守作業の必要量を定量的かつ相対的な比較ができるようになる。保守拠点30においては、かかる情報に基づいて、自動取引装置200の配置換えや、自動取引装置200のリプレース判断を容易にすることができる。
【0031】
以上、監視システム1の主な構成について説明してきた。ここで、次に説明する保守サーバ100の機能についての理解を容易にするために、まず自動取引装置200の構成について図2を参照しながら説明する。
【0032】
<2.自動取引装置の構成>
図2は、自動取引装置200の構成を示すブロック図である。自動取引装置200は、通信部202と、制御部210と、顧客操作表示部220と、カードリーダライタ232と、通帳記帳部234と、紙幣入出金部236と、硬貨入出金部238と、ジャーナルプリンタ240と、記憶部250とを主に有する。
【0033】
通信部202は、通信網52を介して監視サーバ180などと接続する通信インタフェースである。また、通信部202は、図示しない勘定系のネットワークとも接続する。なお、ここでは勘定系のネットワークと、保守および監視のためのネットワークとが別である場合について説明するが、かかる例に限定されず、同じネットワーク内に勘定系の装置と保守および監視のための装置とが接続されてもよい。
【0034】
制御部210は、自動取引装置200の各機能を制御する機能を有する。この制御部210は、記憶部250に記憶されたプログラムに基づいて自動取引装置200全体の動作を制御する。本実施形態において、制御部210は、取引件数記録部211と障害検知部212と障害情報送信部214との機能を主に有する。
【0035】
取引件数記録部211は、自装置の取引種別毎の取引件数を記憶部250に記録する機能を有する。記憶部250は、取引件数情報252を有し、取引件数記録部211は、自装置内で取引が行われると、取引件数情報252の各値を更新する。取引件数記録部211の記録する取引件数情報252の一例が、図3に示される。取引件数情報252は、集計期間511と、総取引件数512と、取引種別取引件数513とを主に含む。集計期間511は、例えば年月日情報511aと時間帯情報511bとを含む。集計期間511は任意の期間とすることができるが、合算したときに1日の期間が途切れなく連続して集計できる必要がある。総取引件数512は、集計期間511中の取引件数の合計である。取引種別取引件数513は、総取引件数512の詳細を示し、取引種別の取引件数を示す。取引種別取引件数513a〜513hの合計が、総取引件数512となる。
【0036】
状態変化検知部212は、自動取引装置200内で発生した状態変化を検知する機能を有する。状態変化検知部212は、自装置内の状態変化として障害を検知すると、例えばその障害の内容に応じて予め割り当てられたエラーコードを特定する。状態変化検知部212は、特定したエラーコードを含む障害情報を生成し、状態変化情報送信部214に入力する。
【0037】
状態変化検知部212において生成される障害情報の一例が、図4に示される。ここで示される障害情報400は、取引コード410とデバイスコード420とエラーコード430とを主に含む。取引コード410は、障害が発生したときに実行されていた取引を特定するための情報であり、支払、入金、残高照会等の取引種別がコードで記録される。取引コード410は、例えば現金振込のように更に細分化された単位であってもよい。また、取引中のどの段階まで進行していたかを表す進行状況があわせて記録されてもよい。デバイスコード420は、障害がどのデバイスで発生したかを判別するための情報であり、例えば紙幣入出金部、ジャーナルプリンタなどがコードで記録される。このデバイスは、上述のユニットに相当する単位である。エラーコード430は、障害の内容を判別することのできる情報である。体系化された詳細コードなどを含め、障害の発生箇所とその要因、およびその対処方法が明確に判別できるコードであることが望ましい。
【0038】
障害情報送信部214は、状態変化検知部212により生成された状態変化の情報を、通信部202を用いて監視サーバ100に送信する機能を有する。検知された状態変化が障害である場合には、障害情報を状態変化の情報として送信する。
【0039】
顧客操作表示部220は、操作部222と表示部224との機能を有する。例えば、顧客操作表示部220は、表示部224としての液晶ディスプレイの上に操作部としてのタッチスクリーンを積層することによって操作部としての機能と表示部としての機能とが一体的に構成されてもよい。顧客操作表示部220は、顧客からの操作入力を受付けて制御部210に入力する機能を有するとともに、制御部210の制御に従って顧客に対して画面を表示する。
【0040】
カードリーダライタ232は、カード読取り及びカード書込み機能を有する装置である。カードリーダライタ232は、挿入されたキャッシュカードなどから、磁気ストライプ及びICチップに書き込まれた情報を読取ることができる。また、キャッシュカードなどの磁気ストライプ及びICチップに情報を書き込むこともできる。さらに、カードリーダライタ232は、明細票印刷機能を有し、取引結果などを明細票に印刷して顧客に対して明細票を発行することができるようになっている。
【0041】
通帳記帳部234は、通帳に設けられた磁気ストライプの読取り及び書込み、並びに、通帳印刷機能を有する。通帳記帳部234は、自動取引装置200の前面に設けられた通帳挿入排出口に利用者が挿入した通帳の磁気ストライプから口座番号などの識別情報などを読取ることができ、図示しないホストコンピュータから取得した口座情報などを通帳に記帳することができる。
【0042】
紙幣入出金部236は、制御部210の制御を受けて紙幣の入出金処理を行う。ここで入金処理は、例えば利用者が自動取引装置200の前面に設けられた紙幣入出金口に投入した紙幣に対して、紙幣の種類を識別するとともに紙幣の枚数を計数して収納する処理である。また、出金処理は、例えば利用者の操作に従って指定された金額に想到する紙幣を計数して紙幣入出金口に搬送して払いだす処理である。
【0043】
硬貨入出金部238は、制御部210の制御に従って硬貨の入出金処理を行う。ここで入金処理は、例えば利用者が自動取引装置200の前面に設けられた硬貨入出金口に投入した硬貨に対して、硬貨の種類を識別すると共に、硬貨の枚数を計数して収納する処理である。また、出勤処理は、例えば利用者の操作に従って指定された金額に相当する硬貨を計数して硬貨入出金口に搬送して払いだす処理である。
【0044】
ジャーナルプリンタ240は、自動取引装置200における取引履歴及び障害履歴などに関する情報であるジャーナルデータを印字するプリンタである。プリンタ240は、例えば所定のジャーナル用紙にこのジャーナルデータを印字する。
【0045】
記憶部250は、情報を記憶する記憶媒体である。記憶部250は、例えば自動取引装置200の全体の動作を制御するプログラム、表示部224に表示する画面データ、及び利用者が行う取引に必要な情報などを記憶する。さらに、記憶部250は、自動取引装置200において行われた取引の件数を記憶する取引件数情報252を有している。取引件数記録部211は、自装置内で取引が行われるとこの取引件数情報252の取引件数を更新する。この記憶部250に用いられる記憶媒体としては、例えばハードディスク(Hard Disk)などの磁気記録媒体や、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、PRAM(Phase change Random Access Memory)などの不揮発性メモリが挙げられるがこれに限られない。
【0046】
<3.保守サーバの構成>
次に、保守サーバ100の構成について図5を参照しながら説明する。図5は、保守サーバ100の構成を示すブロック図である。
【0047】
保守サーバ100は、通信部102と、制御部110と、記憶部120とを主に有する。制御部110は、障害情報記録部112と、取引件数集計部114と、ユニット動作回数算出部115と、危険度算出部116と、表示制御部118との機能を有する。また、記憶部120は、障害情報122と、危険度情報124と、取引件数126とを主に記憶する。
【0048】
通信部102は、例えば監視サーバ180、保守端末170、及びWebサーバ190などと接続する機能を有する通信インタフェースである。通信部102は、制御部110の制御に従ってこれらの各装置と接続する機能を有する。
【0049】
制御部110は、保守サーバ100全体の動作を制御する機能を有する。制御部110は、例えばCPU(Central Processing Unit)などの演算装置により構成され、例えば記憶部120に記憶された制御プログラムを読出し、そのプログラムを解釈して実行することにより各種の制御処理を実現する。
【0050】
障害情報記録部112は、監視サーバ180により自動取引装置200から受信された状態変化情報が障害に関する情報であった場合に、監視サーバ180から送信された障害情報を通信部102を介して取得し、記憶部120の障害情報122に記録する。
【0051】
取引件数集計部114は、自動取引装置200から定期的に取引件数情報252を収集し、取引件数情報252を集計して得られる集計取引件数情報126を記憶部120に記録する。ここで、取引件数集計部114により集計される集計取引情報126の一例が図6及び図7に示される。図6は、取引件数集計部114が自動取引装置200から取得した取引件数情報を集計して得られる日次の集計取引件数情報520を示す。図7は、取引件数集計部114が図6の日次の集計取引件数情報520をさらに集計することによって得られる、月次の集計取引件数情報530を示す。
【0052】
取引件数集計部114は、例えば図3において示された、自動取引装置200の取引件数情報252を自動取引装置200から定期的に取得する。そして、取引件数情報252を集計し、例えば図6に示される日次の集計取引件数情報520を生成する。このとき、取引件数集計部114は、自動取引装置200から取引件数情報252と共に、その自動取引装置200に関する情報を取得し、集計取引件数情報520として記録する。例えば、自動取引装置200に関する情報としては、お客様ID521、店番522、機番523、機種524などが挙げられる。図6には、例として1台についての日次の集計取引件数情報520を挙げられる。しかし実際には、取引件数集計部114は、この集計取引件数情報520を、保守サーバ100が管理する自動取引装置200の台数分の集計をそれぞれ行う。
【0053】
また、取引件数集計部114は、日次の集計取引件数情報520をさらに集計し、月次の集計取引件数情報530を生成する。図7の符号620により示される1レコードは、図6の符号610により示される1か月分の日次データを集計したものである。取引件数集計部114は、複数の日次集計取引件数情報520を集計し、月次集計取引件数情報530を生成する。
【0054】
ユニット動作回数算出部115は、次に説明する危険度算出部116がユニット毎の危険度を算出するために必要なユニット動作回数を算出する。具体的には、ユニット動作回数算出部は、自動取引装置200の取引種別毎の取引件数の情報に基づいて、ユニット毎の動作回数であるユニット動作回数を算出する。
【0055】
危険度算出部116は、ユニット動作回数算出部115により算出されたユニット毎の動作回数および自動取引装置200の障害情報122に基づいて、所定の単位ユニット動作回数毎の休止回数を示す危険度をユニット毎に算出する。
【0056】
ユニット動作回数算出部115および危険度算出部116の行う算出処理について、図8〜図11を用いて説明する。図8は、図7に示された月次集計取引件数情報の1レコードを示す説明図である。以下、この月次集計取引件数情報602について危険度を算出する処理について説明する。
【0057】
ユニット動作回数算出部115は、例えば図9に示す、各ユニットと取引動作との関連を示す関連マトリックス表を用いて、ユニット動作回数を算出する。ユニット動作回数とは、各ユニットが動作した回数である。自動取引装置200において、取引件数は取引種別毎に記録されている。この取引種別毎の取引件数の情報から、ユニットが動作したユニット動作回数を算出するために、関連マトリックス表が用いられる。関連マトリックス表620は、自動取引装置の機種524毎に、ユニット622と、取引種別625における各ユニットの動作の有無の関係が示される。この関連マトリックス表620に含まれる各値は、保守端末170の基準値入力部172からの入力により変更することができる。
【0058】
例えば、この関連マトリックス表620を参照すると、紙幣入出金部は、支払い、入金、および振込取引の際には動作し、照会、記帳、両替、振替の際には動作しないことがわかる。関連マトリックス表620を用いて算出されたユニット動作回数が図11の符号646に示される。ユニット動作回数646は、ユニット動作回数算出部115が、各取引種別毎の取引件数の値に、ユニット毎の動作の有無に応じた関連マトリックス表620中の値を乗算した取引種別毎のユニット動作回数642を累積加算することにより求められる。
【0059】
そして、危険度算出部116は、ユニット動作回数算出部115により算出されたユニット動作回数646と、図10に示される障害情報630とに基づいて、ユニット毎の休止危険度648を算出する。例えば、本実施形態においては、休止危険度は、休止回数を分子とし、ユニット動作回数を分母とした値を1000倍した値である。すなわち、ユニット毎の休止危険度は、当該ユニットが1000回動作当たりの休止回数を示す。ここでは、単位ユニット動作回数を1000回としたが、本発明はかかる例に限定されない。この単位ユニット動作回数は、保守端末170の基準値入力部172からの入力操作により変更することができるように構成されている。なお、自動取引装置200全体の休止危険度は、各ユニット毎の休止危険度を合算した値649である。
【0060】
以上、危険度算出部116により算出された各値は、危険度情報124として記憶部120に記憶される。この危険度情報124を含む保守情報は、表示制御部118が生成する保守情報参照画面においてユーザに提供される。
【0061】
表示制御部118は、保守のために必要な保守情報を保守拠点端末300からの要求に応じて提供する機能部である。表示制御部118は、例えば図12および図13に示す参照画面を生成することにより保守情報を提供する。
【0062】
図12は、表示制御部118の提供する保守情報参照画面の一例を示す説明図である。保守情報参照画面710は、休止危険度の情報を、装置毎、およびユニット毎に提供する。例えば、保守拠点端末300がWebサーバ190を介してこの保守情報参照画面710を参照すると、ここで提供される休止危険度648およびユニット毎の休止危険度622は、単位ユニット動作回数当たりの数字となっているため、単純に休止回数が提供される場合と比較して、取引動作の多少に関わらず同じ基準で危険度を比較をすることができる。
【0063】
また、ユニット毎に休止危険度が算出されるため、同じ装置内でもどのユニットに問題が集中しているのか否かを判別することができる。例えば図12に示したように、危険度に応じた色で危険度の値を強調表示することにより、さらに視覚的に危険度を把握することができる。
【0064】
また、ユニット毎の休止危険度622および装置単位の休止危険度648は、自動取引装置200の老朽化によるリプレース判断や、共通的な障害発生要因の分析に利用される。例えば、装置内のユニットが共通的に高い危険度を示す場合(例えば図12のNo.711の値が1である自動取引装置1-9999−470−37−ATM−A−○○銀行 小出)には、老朽化が進み、リプレースや最適配置を必要している装置であると判断することができる。
【0065】
また、傾向として、紙幣入出金部の危険度622cは、全体的に高い数値を示している。このような場合には、ユニットに共通して障害発生要因となる不具合が隠れている可能性が高いことがわかる。
【0066】
図13は、図12の休止危険度をグラフ化して表示した保守情報参照画面720を示す説明図である。グラフ表示を用いることにより、視覚的に危険度の大小が比較される。
【0067】
<4.システム動作例>
ここで、以上に説明してきた監視システム1の動作を纏めたシーケンス図である図14を参照しながら、システム動作について説明する。
【0068】
まず、保守サーバ100の取引件数集計部114は、自動取引装置200から定期的に取引件数情報の取得を要求する(S103)。この取引件数情報取得要求に応じて、自動取引装置200は、取引件数情報を送信する。保守サーバ100は、自動取引装置200から送信された取引件数情報を集計して、記憶部120の集計取引件数126に記録する(S107)。以上の取引件数集計処理は、定期的に行われている。
【0069】
そして、自動取引装置200において障害が発生すると(S109)、自動取引装置200は、監視サーバ180に障害情報を送信する(S112)。ステップS112において自動取引装置200から障害情報を受信した監視サーバ180は、受信した障害情報に基づいて、自動取引装置状態の受信履歴情報を更新する(S113)。そして、監視サーバ180は、障害情報を保守サーバ100に送信する(S115)。
【0070】
監視サーバ180から障害情報を受信した保守サーバ100は、受信した障害情報を自装置内の記憶部120の障害情報122に記録する(S118)。ステップS109〜ステップS118の一連の処理は、自動取引装置200において障害が発生する度に行われてよい。また、本実施形態においては、監視サーバ180が障害情報を受信する度に、受信した障害情報を保守サーバ100に送信することとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、保守サーバ100が定期的に監視サーバ180のATM状態受信履歴から障害情報のみを抽出するようにしてもよい。
【0071】
そして、保守サーバ100のユニット動作回数算出部115および危険度算出部116は、危険度算出処理を実行する(S121)。そして、保守拠点端末300から保守情報参照要求が送信されると(S124)、保守サーバ100の表示制御部118は、算出された危険度を含む、保守情報の参照画面を生成し(S127)、保守拠点端末300に参照画面を表示させる(S130)。
【0072】
<5.危険度算出の変形例>
ここで、保守サーバ100における危険度算出の変形例について図15〜図17を参照しながら説明する。図15は、経過日数と経過回数との対応表である。また、図16は経過回数を考慮した障害情報を示す説明図である。図17は、経過度の概念を取り入れた場合の休止危険度算出例である。
【0073】
本変形例においては、過去に発生した障害ほど危険度に与える影響を少なくする。例えば、経過日数と経過回数との対応表810は、障害の起きた当日にはその障害の回数を1回として計算し、障害の発生から1日経過すると、その障害の回数を0.9回(ここで経過度に応じた値の回数を経過回数という。)として計算されることを示す。
【0074】
図16は、図10に示された障害情報に、経過回数812を導入した障害情報820である。このように、1回の障害をその障害発生からの経過日数に応じた回数としてカウントすることにより、過去に起きた障害ほど、危険度に与える影響を低減することができる。
【0075】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0076】
例えば、上記実施形態では、関連マトリックス表の値は、動作の有無に応じて1又は0の値としたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、動作の程度に応じて重み付けされた値が用いられてもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、自動取引装置毎の危険度の値として、ユニット毎の危険度の和が用いられたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、ユニット毎の危険度の平均値が用いられてもよい。
【0078】
尚、本明細書において、フローチャートに記述されたステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的に又は個別的に実行される処理をも含む。また時系列的に処理されるステップでも、場合によっては適宜順序を変更することが可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0079】
100 保守サーバ
102 通信部
110 制御部
112 障害情報記録部
114 取引件数集計部
115 ユニット動作回数算出部
116 危険度算出部
118 表示制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理システムに関し、特に、自動取引装置の監視のための情報処理装置及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ATM(Automatic Teller Machine)などの自動取引装置が普及しており、私たちは、この自動取引装置を利用することによって銀行などの金融機関の営業時間外であっても金融取引を行うことができる。この自動取引装置の稼働状況を効率的に監視するために、ネットワークを介して自動取引装置の稼動状況を監視するための集中監視センターが設けられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、一定期間内に発生した障害の情報から、自動取引装置一台毎に保守作業の必要量の情報を提供し、自動取引装置のメンテナンスの効率を向上させることのできる自動機診断システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−133490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、自動取引装置のどの部位が関連する動作を行っている最中に起きた障害であるかは判別することはできず、自動取引装置のどの部位に注力して保守作業を行うべきかを判別することができないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、自動取引装置のユニット毎の障害が発生する危険度を提供し、保守作業の優先度を判別することが可能な、新規かつ改良された情報処理装置及び情報処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、複数の自動取引装置の稼動状況の情報を提供する情報処理装置であって、上記自動取引装置の取引種別毎の取引件数に基づき、上記自動取引装置を構成する交換可能な単位であるユニット別の動作回数を示すユニット動作回数を算出するユニット動作回数算出部と、上記ユニット動作回数及び上記自動取引装置の障害情報に基づいて、所定の期間における、所定の単位ユニット動作回数毎の休止回数を示す危険度を上記ユニット毎に算出する危険度算出部とを有する、情報処理装置が提供される。
【0008】
かかる構成によれば、情報処理装置は、自動取引装置の取引種別毎の取引件数から、自動取引装置のユニット毎に動作した回数を算出することができる。そして、算出されたユニット毎の動作回数と障害情報に含まれる休止回数とに基づいて、所定の単位ユニット動作回数毎の休止回数を示す危険度を算出することができるようになる。危険度は、ユニット毎の単位動作回数毎の休止回数を示している。このため、ユーザはこの危険度を参照することにより、動作回数の多少に関わらず同じ基準で障害の発生する危険性の度合いを知ることができる。そして、この値はユニット毎に算出されているため、ユーザは、どのユニットに問題が集中しているのか否かを知ることができる。
【0009】
また、上記ユニット毎の危険度の情報を含む保守情報参照画面の表示を制御する表示制御部をさらに有してもよい。
【0010】
また、上記保守情報参照画面は、一の自動取引装置のユニット毎の上記危険度と、他の自動取引装置のユニット毎の上記危険度とを、同じユニットの危険度同士を比較することができるように配置された画面であってもよい。
【0011】
また、上記ユニット動作回数算出部は、上記自動取引装置の取引の種別と、上記取引において動作される上記ユニットとの関係を示す関連マトリックス表に基づいて、上記ユニット動作回数を算出してもよい。
【0012】
また、上記危険度算出部は、上記休止回数を休止時点からの経過日数に応じた経過回数に所定のルールに基づいて変換し、上記経過回数を用いて上記危険度を算出してもよい。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、複数の自動取引装置と、上記自動取引装置の稼働状況の情報を提供する情報処理装置と、を有し、上記自動取引装置は、取引種別毎の取引件数を記録する取引件数記録部を有し、上記情報処理装置は、上記自動取引装置の取引種別毎の取引件数に基づき、上記自動取引装置を構成する交換可能な単位であるユニット別の動作回数を示すユニット動作回数を算出するユニット動作回数算出部と、上記ユニット動作回数及び上記自動取引装置の障害情報に基づいて、所定の期間における、所定の単位ユニット動作回数毎の休止回数を示す危険度を上記ユニット毎に算出する危険度算出部と、を有することを特徴とする、情報処理システムが提供される。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本発明によれば、自動取引装置のユニット毎の障害が発生する危険度を提供し、保守作業の優先度を判別することが可能な、新規かつ改良された情報処理装置及び情報処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る監視システムの構成図である。
【図2】自動取引装置の構成を示すブロック図である。
【図3】保守サーバの構成を示すブロック図である。
【図4】監視システムの動作を示すシーケンス図である。
【図5】障害情報の通知形式を示す説明図である。
【図6】自動取引装置における取引件数の記録例を示す説明図である。
【図7】保守サーバにおける取引件数の日次集計例を示す説明図である。
【図8】保守サーバにおける取引件数の月次集計例を示す説明図である。
【図9】保守サーバにおける取引件数の月次集計データの一例を示す説明図である。
【図10】取引種別とユニット動作の関連マトリクス表の一例を示す説明図である。
【図11】障害情報の月次データの一例を示す説明図である。
【図12】ユニット動作回数及び危険度の算出例を示す説明図である。
【図13】保守情報参照画面の一例を示す説明図である。
【図14】保守情報参照画面の他の一例を示す説明図である。
【図15】経過日数と経過回数との関連を示す関係表の一例である。
【図16】経過回数を含む障害情報の月次データの一例を示す説明図である。
【図17】経過回数に基づいたユニット動作回数及び危険度の算出例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0017】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.システム構成
2.自動取引装置の構成
3.保守サーバの構成
4.システム動作例
5.危険度算出の変形例
【0018】
<1.システム構成>
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る監視システムの概略構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る監視システムの構成図である。
【0019】
監視システム1は、監視センター10と店舗20と保守拠点30とに設置された各装置が通信網42及び通信網52により接続されている。
【0020】
監視センター10は、店舗20に設置された自動取引装置200の稼動状態を集中監視するための装置が設置された場所である。また、店舗20は、自動取引装置200が1又は複数設置された場所であり、例えば金融機関の店舗や無人の出張所であってもよい。保守拠点30は、保守拠点端末300を有し、インターネット等の通信網42を介して監視センター10と接続されている。
【0021】
(監視センター10)
監視センター10には、監視サーバ180と、保守サーバ100と、保守端末170と、Webサーバ190とが主に設置されている。
【0022】
監視サーバ180は、自動取引装置200の稼働状況を集中監視するための装置であり、自動取引装置200が状態変化を起こした場合には、その状態変化に関する情報を取得してATM状態受信履歴182として記録保持しておく。また、監視サーバ180は、自動取引装置200から受信した状態変化の情報が障害に関する情報である場合には、障害情報を保守サーバ100に通知する。
【0023】
保守サーバ100は、自動取引装置200の保守を行うために必要な情報を集計及び診断し、提供する情報処理装置である。保守サーバ100は、例えば自動取引装置200の状態を示す情報を生成する。本実施形態において保守サーバ100は、自動取引装置200を構成するユニット毎の保守作業の必要量を示す危険度を算出する。
【0024】
本実施形態に係る保守サーバ100は、自動取引装置200を構成するユニット毎の保守作業の必要量を、休止の危険度を用いて定量的に表すと共に、使用量に応じて他の装置との相対的な比較を可能とする。特に、装置毎の危険度の情報は、自動取引装置200のリプレース判断の材料として用いられる。また、ユニット毎の危険度の情報を他の装置と比較することによって、例えば危険度が共通して高いユニットがある場合には、ユニット共通の不良である可能性が高いという情報を得ることができる。ここで、ユニットは、例えば図2に示される各ブロック単位であってもよいし、更に細かいサブユニットや部品単位としてもよい。ユニットは、その単位で交換することのできる部品又は部品の集合をひとつの単位とすることが好ましい。
【0025】
或いは、取引量の情報は、自動取引装置200の配置換えの判断に用いられる。自動取引装置200の単位期間当たりの取引量は、その自動取引装置200が設置される場所によって大きく異なる。例えば、東京に設置された自動取引装置200は、人口が多い分使用頻度が高く、取引量は多くなる可能性が高い。自動取引装置200は、一般的に取引量に応じて磨耗や劣化が進行し、機器動作に異常が発生するリスクが高まる。即ち、取引量に応じて休止発生件数が多くなる。このため、全国に自動取引装置200を設置している金融機関などでは、定期的に自動取引装置200の配置換えを行うことによって、自動取引装置200の累積取引量が分散するようにして自動取引装置200の稼動年数が延びるようにコントロールしている。保守サーバ100の詳細な構成については、後述される。
【0026】
保守端末170は、保守サーバ100が情報を生成および診断するときの条件を設定する機能を有する。例えば、保守端末170は、基準値入力部172を有し、保守サーバ100が危険度を算出するときの基準となる値、例えば、後述する集計期間および単位ユニット動作回数などの値を保守サーバ100に入力する。
【0027】
Webサーバ190は、インターネット等の広域ネットワークである通信網42を介してアクセスすることのできるWebページを提供するサーバである。Webサーバ190は、保守サーバ100が集計した自動取引装置200の診断情報を含む診断画面を提供する。
【0028】
(店舗20)
店舗20は、例えば金融機関の店舗や無人出張所などを含み、自動取引装置200が設置されている。店舗20は、通信網52を介して監視センター10と接続されている。図1においては、店舗20が2つ示されているが、当然、監視センター10に接続される店舗20は2つとは限らない。1又は複数の店舗20が監視センター10と接続され、それぞれに設置された自動取引装置200の稼動状況を示す情報が監視センター10に収集される。自動取引装置200の詳細な構成については、後述される。
【0029】
(保守拠点30)
保守拠点30は、自動取引装置200の保守を行う拠点である。例えば、保守拠点30は、自動取引装置200の保守会社であってもよい。また、保守拠点30は、金融機関の本社などであってもよい。保守拠点30には、保守拠点端末300が設置され、インターネット等の広域ネットワークである通信網42を介してWebサーバ190にアクセスすることで、保守サーバ100が集計した自動取引装置200の診断情報を含む診断画面を参照することができる。
【0030】
保守拠点30においては、上記の診断画面を参照することにより、自動取引装置200の保守作業の計画を立てることができる。また、本実施形態において提供される診断画面により、自動取引装置200を構成するユニット毎の保守作業の必要量を定量的かつ相対的な比較ができるようになる。保守拠点30においては、かかる情報に基づいて、自動取引装置200の配置換えや、自動取引装置200のリプレース判断を容易にすることができる。
【0031】
以上、監視システム1の主な構成について説明してきた。ここで、次に説明する保守サーバ100の機能についての理解を容易にするために、まず自動取引装置200の構成について図2を参照しながら説明する。
【0032】
<2.自動取引装置の構成>
図2は、自動取引装置200の構成を示すブロック図である。自動取引装置200は、通信部202と、制御部210と、顧客操作表示部220と、カードリーダライタ232と、通帳記帳部234と、紙幣入出金部236と、硬貨入出金部238と、ジャーナルプリンタ240と、記憶部250とを主に有する。
【0033】
通信部202は、通信網52を介して監視サーバ180などと接続する通信インタフェースである。また、通信部202は、図示しない勘定系のネットワークとも接続する。なお、ここでは勘定系のネットワークと、保守および監視のためのネットワークとが別である場合について説明するが、かかる例に限定されず、同じネットワーク内に勘定系の装置と保守および監視のための装置とが接続されてもよい。
【0034】
制御部210は、自動取引装置200の各機能を制御する機能を有する。この制御部210は、記憶部250に記憶されたプログラムに基づいて自動取引装置200全体の動作を制御する。本実施形態において、制御部210は、取引件数記録部211と障害検知部212と障害情報送信部214との機能を主に有する。
【0035】
取引件数記録部211は、自装置の取引種別毎の取引件数を記憶部250に記録する機能を有する。記憶部250は、取引件数情報252を有し、取引件数記録部211は、自装置内で取引が行われると、取引件数情報252の各値を更新する。取引件数記録部211の記録する取引件数情報252の一例が、図3に示される。取引件数情報252は、集計期間511と、総取引件数512と、取引種別取引件数513とを主に含む。集計期間511は、例えば年月日情報511aと時間帯情報511bとを含む。集計期間511は任意の期間とすることができるが、合算したときに1日の期間が途切れなく連続して集計できる必要がある。総取引件数512は、集計期間511中の取引件数の合計である。取引種別取引件数513は、総取引件数512の詳細を示し、取引種別の取引件数を示す。取引種別取引件数513a〜513hの合計が、総取引件数512となる。
【0036】
状態変化検知部212は、自動取引装置200内で発生した状態変化を検知する機能を有する。状態変化検知部212は、自装置内の状態変化として障害を検知すると、例えばその障害の内容に応じて予め割り当てられたエラーコードを特定する。状態変化検知部212は、特定したエラーコードを含む障害情報を生成し、状態変化情報送信部214に入力する。
【0037】
状態変化検知部212において生成される障害情報の一例が、図4に示される。ここで示される障害情報400は、取引コード410とデバイスコード420とエラーコード430とを主に含む。取引コード410は、障害が発生したときに実行されていた取引を特定するための情報であり、支払、入金、残高照会等の取引種別がコードで記録される。取引コード410は、例えば現金振込のように更に細分化された単位であってもよい。また、取引中のどの段階まで進行していたかを表す進行状況があわせて記録されてもよい。デバイスコード420は、障害がどのデバイスで発生したかを判別するための情報であり、例えば紙幣入出金部、ジャーナルプリンタなどがコードで記録される。このデバイスは、上述のユニットに相当する単位である。エラーコード430は、障害の内容を判別することのできる情報である。体系化された詳細コードなどを含め、障害の発生箇所とその要因、およびその対処方法が明確に判別できるコードであることが望ましい。
【0038】
障害情報送信部214は、状態変化検知部212により生成された状態変化の情報を、通信部202を用いて監視サーバ100に送信する機能を有する。検知された状態変化が障害である場合には、障害情報を状態変化の情報として送信する。
【0039】
顧客操作表示部220は、操作部222と表示部224との機能を有する。例えば、顧客操作表示部220は、表示部224としての液晶ディスプレイの上に操作部としてのタッチスクリーンを積層することによって操作部としての機能と表示部としての機能とが一体的に構成されてもよい。顧客操作表示部220は、顧客からの操作入力を受付けて制御部210に入力する機能を有するとともに、制御部210の制御に従って顧客に対して画面を表示する。
【0040】
カードリーダライタ232は、カード読取り及びカード書込み機能を有する装置である。カードリーダライタ232は、挿入されたキャッシュカードなどから、磁気ストライプ及びICチップに書き込まれた情報を読取ることができる。また、キャッシュカードなどの磁気ストライプ及びICチップに情報を書き込むこともできる。さらに、カードリーダライタ232は、明細票印刷機能を有し、取引結果などを明細票に印刷して顧客に対して明細票を発行することができるようになっている。
【0041】
通帳記帳部234は、通帳に設けられた磁気ストライプの読取り及び書込み、並びに、通帳印刷機能を有する。通帳記帳部234は、自動取引装置200の前面に設けられた通帳挿入排出口に利用者が挿入した通帳の磁気ストライプから口座番号などの識別情報などを読取ることができ、図示しないホストコンピュータから取得した口座情報などを通帳に記帳することができる。
【0042】
紙幣入出金部236は、制御部210の制御を受けて紙幣の入出金処理を行う。ここで入金処理は、例えば利用者が自動取引装置200の前面に設けられた紙幣入出金口に投入した紙幣に対して、紙幣の種類を識別するとともに紙幣の枚数を計数して収納する処理である。また、出金処理は、例えば利用者の操作に従って指定された金額に想到する紙幣を計数して紙幣入出金口に搬送して払いだす処理である。
【0043】
硬貨入出金部238は、制御部210の制御に従って硬貨の入出金処理を行う。ここで入金処理は、例えば利用者が自動取引装置200の前面に設けられた硬貨入出金口に投入した硬貨に対して、硬貨の種類を識別すると共に、硬貨の枚数を計数して収納する処理である。また、出勤処理は、例えば利用者の操作に従って指定された金額に相当する硬貨を計数して硬貨入出金口に搬送して払いだす処理である。
【0044】
ジャーナルプリンタ240は、自動取引装置200における取引履歴及び障害履歴などに関する情報であるジャーナルデータを印字するプリンタである。プリンタ240は、例えば所定のジャーナル用紙にこのジャーナルデータを印字する。
【0045】
記憶部250は、情報を記憶する記憶媒体である。記憶部250は、例えば自動取引装置200の全体の動作を制御するプログラム、表示部224に表示する画面データ、及び利用者が行う取引に必要な情報などを記憶する。さらに、記憶部250は、自動取引装置200において行われた取引の件数を記憶する取引件数情報252を有している。取引件数記録部211は、自装置内で取引が行われるとこの取引件数情報252の取引件数を更新する。この記憶部250に用いられる記憶媒体としては、例えばハードディスク(Hard Disk)などの磁気記録媒体や、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、PRAM(Phase change Random Access Memory)などの不揮発性メモリが挙げられるがこれに限られない。
【0046】
<3.保守サーバの構成>
次に、保守サーバ100の構成について図5を参照しながら説明する。図5は、保守サーバ100の構成を示すブロック図である。
【0047】
保守サーバ100は、通信部102と、制御部110と、記憶部120とを主に有する。制御部110は、障害情報記録部112と、取引件数集計部114と、ユニット動作回数算出部115と、危険度算出部116と、表示制御部118との機能を有する。また、記憶部120は、障害情報122と、危険度情報124と、取引件数126とを主に記憶する。
【0048】
通信部102は、例えば監視サーバ180、保守端末170、及びWebサーバ190などと接続する機能を有する通信インタフェースである。通信部102は、制御部110の制御に従ってこれらの各装置と接続する機能を有する。
【0049】
制御部110は、保守サーバ100全体の動作を制御する機能を有する。制御部110は、例えばCPU(Central Processing Unit)などの演算装置により構成され、例えば記憶部120に記憶された制御プログラムを読出し、そのプログラムを解釈して実行することにより各種の制御処理を実現する。
【0050】
障害情報記録部112は、監視サーバ180により自動取引装置200から受信された状態変化情報が障害に関する情報であった場合に、監視サーバ180から送信された障害情報を通信部102を介して取得し、記憶部120の障害情報122に記録する。
【0051】
取引件数集計部114は、自動取引装置200から定期的に取引件数情報252を収集し、取引件数情報252を集計して得られる集計取引件数情報126を記憶部120に記録する。ここで、取引件数集計部114により集計される集計取引情報126の一例が図6及び図7に示される。図6は、取引件数集計部114が自動取引装置200から取得した取引件数情報を集計して得られる日次の集計取引件数情報520を示す。図7は、取引件数集計部114が図6の日次の集計取引件数情報520をさらに集計することによって得られる、月次の集計取引件数情報530を示す。
【0052】
取引件数集計部114は、例えば図3において示された、自動取引装置200の取引件数情報252を自動取引装置200から定期的に取得する。そして、取引件数情報252を集計し、例えば図6に示される日次の集計取引件数情報520を生成する。このとき、取引件数集計部114は、自動取引装置200から取引件数情報252と共に、その自動取引装置200に関する情報を取得し、集計取引件数情報520として記録する。例えば、自動取引装置200に関する情報としては、お客様ID521、店番522、機番523、機種524などが挙げられる。図6には、例として1台についての日次の集計取引件数情報520を挙げられる。しかし実際には、取引件数集計部114は、この集計取引件数情報520を、保守サーバ100が管理する自動取引装置200の台数分の集計をそれぞれ行う。
【0053】
また、取引件数集計部114は、日次の集計取引件数情報520をさらに集計し、月次の集計取引件数情報530を生成する。図7の符号620により示される1レコードは、図6の符号610により示される1か月分の日次データを集計したものである。取引件数集計部114は、複数の日次集計取引件数情報520を集計し、月次集計取引件数情報530を生成する。
【0054】
ユニット動作回数算出部115は、次に説明する危険度算出部116がユニット毎の危険度を算出するために必要なユニット動作回数を算出する。具体的には、ユニット動作回数算出部は、自動取引装置200の取引種別毎の取引件数の情報に基づいて、ユニット毎の動作回数であるユニット動作回数を算出する。
【0055】
危険度算出部116は、ユニット動作回数算出部115により算出されたユニット毎の動作回数および自動取引装置200の障害情報122に基づいて、所定の単位ユニット動作回数毎の休止回数を示す危険度をユニット毎に算出する。
【0056】
ユニット動作回数算出部115および危険度算出部116の行う算出処理について、図8〜図11を用いて説明する。図8は、図7に示された月次集計取引件数情報の1レコードを示す説明図である。以下、この月次集計取引件数情報602について危険度を算出する処理について説明する。
【0057】
ユニット動作回数算出部115は、例えば図9に示す、各ユニットと取引動作との関連を示す関連マトリックス表を用いて、ユニット動作回数を算出する。ユニット動作回数とは、各ユニットが動作した回数である。自動取引装置200において、取引件数は取引種別毎に記録されている。この取引種別毎の取引件数の情報から、ユニットが動作したユニット動作回数を算出するために、関連マトリックス表が用いられる。関連マトリックス表620は、自動取引装置の機種524毎に、ユニット622と、取引種別625における各ユニットの動作の有無の関係が示される。この関連マトリックス表620に含まれる各値は、保守端末170の基準値入力部172からの入力により変更することができる。
【0058】
例えば、この関連マトリックス表620を参照すると、紙幣入出金部は、支払い、入金、および振込取引の際には動作し、照会、記帳、両替、振替の際には動作しないことがわかる。関連マトリックス表620を用いて算出されたユニット動作回数が図11の符号646に示される。ユニット動作回数646は、ユニット動作回数算出部115が、各取引種別毎の取引件数の値に、ユニット毎の動作の有無に応じた関連マトリックス表620中の値を乗算した取引種別毎のユニット動作回数642を累積加算することにより求められる。
【0059】
そして、危険度算出部116は、ユニット動作回数算出部115により算出されたユニット動作回数646と、図10に示される障害情報630とに基づいて、ユニット毎の休止危険度648を算出する。例えば、本実施形態においては、休止危険度は、休止回数を分子とし、ユニット動作回数を分母とした値を1000倍した値である。すなわち、ユニット毎の休止危険度は、当該ユニットが1000回動作当たりの休止回数を示す。ここでは、単位ユニット動作回数を1000回としたが、本発明はかかる例に限定されない。この単位ユニット動作回数は、保守端末170の基準値入力部172からの入力操作により変更することができるように構成されている。なお、自動取引装置200全体の休止危険度は、各ユニット毎の休止危険度を合算した値649である。
【0060】
以上、危険度算出部116により算出された各値は、危険度情報124として記憶部120に記憶される。この危険度情報124を含む保守情報は、表示制御部118が生成する保守情報参照画面においてユーザに提供される。
【0061】
表示制御部118は、保守のために必要な保守情報を保守拠点端末300からの要求に応じて提供する機能部である。表示制御部118は、例えば図12および図13に示す参照画面を生成することにより保守情報を提供する。
【0062】
図12は、表示制御部118の提供する保守情報参照画面の一例を示す説明図である。保守情報参照画面710は、休止危険度の情報を、装置毎、およびユニット毎に提供する。例えば、保守拠点端末300がWebサーバ190を介してこの保守情報参照画面710を参照すると、ここで提供される休止危険度648およびユニット毎の休止危険度622は、単位ユニット動作回数当たりの数字となっているため、単純に休止回数が提供される場合と比較して、取引動作の多少に関わらず同じ基準で危険度を比較をすることができる。
【0063】
また、ユニット毎に休止危険度が算出されるため、同じ装置内でもどのユニットに問題が集中しているのか否かを判別することができる。例えば図12に示したように、危険度に応じた色で危険度の値を強調表示することにより、さらに視覚的に危険度を把握することができる。
【0064】
また、ユニット毎の休止危険度622および装置単位の休止危険度648は、自動取引装置200の老朽化によるリプレース判断や、共通的な障害発生要因の分析に利用される。例えば、装置内のユニットが共通的に高い危険度を示す場合(例えば図12のNo.711の値が1である自動取引装置1-9999−470−37−ATM−A−○○銀行 小出)には、老朽化が進み、リプレースや最適配置を必要している装置であると判断することができる。
【0065】
また、傾向として、紙幣入出金部の危険度622cは、全体的に高い数値を示している。このような場合には、ユニットに共通して障害発生要因となる不具合が隠れている可能性が高いことがわかる。
【0066】
図13は、図12の休止危険度をグラフ化して表示した保守情報参照画面720を示す説明図である。グラフ表示を用いることにより、視覚的に危険度の大小が比較される。
【0067】
<4.システム動作例>
ここで、以上に説明してきた監視システム1の動作を纏めたシーケンス図である図14を参照しながら、システム動作について説明する。
【0068】
まず、保守サーバ100の取引件数集計部114は、自動取引装置200から定期的に取引件数情報の取得を要求する(S103)。この取引件数情報取得要求に応じて、自動取引装置200は、取引件数情報を送信する。保守サーバ100は、自動取引装置200から送信された取引件数情報を集計して、記憶部120の集計取引件数126に記録する(S107)。以上の取引件数集計処理は、定期的に行われている。
【0069】
そして、自動取引装置200において障害が発生すると(S109)、自動取引装置200は、監視サーバ180に障害情報を送信する(S112)。ステップS112において自動取引装置200から障害情報を受信した監視サーバ180は、受信した障害情報に基づいて、自動取引装置状態の受信履歴情報を更新する(S113)。そして、監視サーバ180は、障害情報を保守サーバ100に送信する(S115)。
【0070】
監視サーバ180から障害情報を受信した保守サーバ100は、受信した障害情報を自装置内の記憶部120の障害情報122に記録する(S118)。ステップS109〜ステップS118の一連の処理は、自動取引装置200において障害が発生する度に行われてよい。また、本実施形態においては、監視サーバ180が障害情報を受信する度に、受信した障害情報を保守サーバ100に送信することとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、保守サーバ100が定期的に監視サーバ180のATM状態受信履歴から障害情報のみを抽出するようにしてもよい。
【0071】
そして、保守サーバ100のユニット動作回数算出部115および危険度算出部116は、危険度算出処理を実行する(S121)。そして、保守拠点端末300から保守情報参照要求が送信されると(S124)、保守サーバ100の表示制御部118は、算出された危険度を含む、保守情報の参照画面を生成し(S127)、保守拠点端末300に参照画面を表示させる(S130)。
【0072】
<5.危険度算出の変形例>
ここで、保守サーバ100における危険度算出の変形例について図15〜図17を参照しながら説明する。図15は、経過日数と経過回数との対応表である。また、図16は経過回数を考慮した障害情報を示す説明図である。図17は、経過度の概念を取り入れた場合の休止危険度算出例である。
【0073】
本変形例においては、過去に発生した障害ほど危険度に与える影響を少なくする。例えば、経過日数と経過回数との対応表810は、障害の起きた当日にはその障害の回数を1回として計算し、障害の発生から1日経過すると、その障害の回数を0.9回(ここで経過度に応じた値の回数を経過回数という。)として計算されることを示す。
【0074】
図16は、図10に示された障害情報に、経過回数812を導入した障害情報820である。このように、1回の障害をその障害発生からの経過日数に応じた回数としてカウントすることにより、過去に起きた障害ほど、危険度に与える影響を低減することができる。
【0075】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0076】
例えば、上記実施形態では、関連マトリックス表の値は、動作の有無に応じて1又は0の値としたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、動作の程度に応じて重み付けされた値が用いられてもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、自動取引装置毎の危険度の値として、ユニット毎の危険度の和が用いられたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、ユニット毎の危険度の平均値が用いられてもよい。
【0078】
尚、本明細書において、フローチャートに記述されたステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的に又は個別的に実行される処理をも含む。また時系列的に処理されるステップでも、場合によっては適宜順序を変更することが可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0079】
100 保守サーバ
102 通信部
110 制御部
112 障害情報記録部
114 取引件数集計部
115 ユニット動作回数算出部
116 危険度算出部
118 表示制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の自動取引装置の稼動状況の情報を提供する情報処理装置であって、
前記自動取引装置の取引種別毎の取引件数に基づき、前記自動取引装置を構成する交換可能な単位であるユニット別の動作回数を示すユニット動作回数を算出するユニット動作回数算出部と、
前記ユニット動作回数及び前記自動取引装置の障害情報に基づいて、所定の期間における、所定の単位ユニット動作回数毎の休止回数を示す危険度を前記ユニット毎に算出する危険度算出部と、
を備えることを特徴とする、情報処理装置。
【請求項2】
前記ユニット毎の危険度の情報を含む保守情報参照画面の表示を制御する表示制御部をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記保守情報参照画面は、一の自動取引装置のユニット毎の前記危険度と、他の自動取引装置のユニット毎の前記危険度とを、同じユニットの危険度同士を比較することができるように配置された画面である、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記ユニット動作回数算出部は、前記自動取引装置の取引の種別と、前記取引において動作される前記ユニットとの関係を示す関連マトリックス表に基づいて、前記ユニット動作回数を算出する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記危険度算出部は、前記休止回数を休止時点からの経過日数に応じた経過回数に所定のルールに基づいて変換し、前記経過回数を用いて前記危険度を算出することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
複数の自動取引装置と、
前記自動取引装置の稼働状況の情報を提供する情報処理装置と、
を備え、
前記自動取引装置は、取引種別毎の取引件数を記録する取引件数記録部を有し、
前記情報処理装置は、
前記自動取引装置の取引種別毎の取引件数に基づき、前記自動取引装置を構成する交換可能な単位であるユニット別の動作回数を示すユニット動作回数を算出するユニット動作回数算出部と、
前記ユニット動作回数及び前記自動取引装置の障害情報に基づいて、所定の期間における、所定の単位ユニット動作回数毎の休止回数を示す危険度を前記ユニット毎に算出する危険度算出部と、
を有することを特徴とする、情報処理システム。
【請求項1】
複数の自動取引装置の稼動状況の情報を提供する情報処理装置であって、
前記自動取引装置の取引種別毎の取引件数に基づき、前記自動取引装置を構成する交換可能な単位であるユニット別の動作回数を示すユニット動作回数を算出するユニット動作回数算出部と、
前記ユニット動作回数及び前記自動取引装置の障害情報に基づいて、所定の期間における、所定の単位ユニット動作回数毎の休止回数を示す危険度を前記ユニット毎に算出する危険度算出部と、
を備えることを特徴とする、情報処理装置。
【請求項2】
前記ユニット毎の危険度の情報を含む保守情報参照画面の表示を制御する表示制御部をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記保守情報参照画面は、一の自動取引装置のユニット毎の前記危険度と、他の自動取引装置のユニット毎の前記危険度とを、同じユニットの危険度同士を比較することができるように配置された画面である、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記ユニット動作回数算出部は、前記自動取引装置の取引の種別と、前記取引において動作される前記ユニットとの関係を示す関連マトリックス表に基づいて、前記ユニット動作回数を算出する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記危険度算出部は、前記休止回数を休止時点からの経過日数に応じた経過回数に所定のルールに基づいて変換し、前記経過回数を用いて前記危険度を算出することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
複数の自動取引装置と、
前記自動取引装置の稼働状況の情報を提供する情報処理装置と、
を備え、
前記自動取引装置は、取引種別毎の取引件数を記録する取引件数記録部を有し、
前記情報処理装置は、
前記自動取引装置の取引種別毎の取引件数に基づき、前記自動取引装置を構成する交換可能な単位であるユニット別の動作回数を示すユニット動作回数を算出するユニット動作回数算出部と、
前記ユニット動作回数及び前記自動取引装置の障害情報に基づいて、所定の期間における、所定の単位ユニット動作回数毎の休止回数を示す危険度を前記ユニット毎に算出する危険度算出部と、
を有することを特徴とする、情報処理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−215993(P2011−215993A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−84943(P2010−84943)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(591051645)株式会社OKIソフトウェア (173)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(591051645)株式会社OKIソフトウェア (173)
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