説明

情報処理装置及び掃除用部材

【課題】筐体内部の複数箇所に分散して蓄積したゴミを取り除くことができる情報処理装置及び掃除用部材を提供する。
【解決手段】筐体の表面に複数の開口部が設けられ、複数の開口部に差し込まれる掃除用部材を介して、筐体の内部に蓄積したゴミが吸引される情報処理装置であって、掃除用部材は、ゴミを吸引する吸引装置に対して差し込みと抜き取りが自在である接続口と、複数の開口部に対して差し込みと抜き取りが自在である複数のゴミ吸引口と、を備えており、接続口が吸引装置に差し込まれ、かつ、複数のゴミ吸引口が複数の開口部に差し込まれた状態にて吸引装置の吸引動作が行われることにより、筐体の内部における複数の異なる箇所にそれぞれ蓄積したゴミが、複数のゴミ吸引口から吸引され、接続口を介して吸引装置内に搬送される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体の内部に蓄積したゴミを吸引することが可能な情報処理装置及び掃除用部材に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばパソコン等の情報処理装置には、筐体の表面に吸気口が備えられているが、この吸気口にフィルタを装着することで、外部の塵や埃(以下、ゴミという)が筐体の内部に侵入することを防いでいる。しかし、フィルタを通過する微細なゴミもあるため、ある程度の時間が経つと、筐体内部にゴミが蓄積される。このような場合、例えばデスクトップ型のパソコンでは、筐体内部を露出させてゴミを取り除くことになるが、そのためには筐体ケースを取り外すなどの作業が必要となるため、手間がかかる。また、例えばノート型のパソコンでは、筐体内部を露出させることができない構成となっており、ゴミを取り除くことはできない。
【0003】
このような筐体内部に蓄積したゴミを取り除くための技術例として、例えば特許文献1に開示されているものがある。この特許文献1の構成では、筐体の一部において、筐体内部に空気を送り込むためのダクトと、その送り込まれた空気の力により筐体内部のゴミを排出するためのダクトとを設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−40191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の構成では、筐体内部に送り込まれた空気が筐体内で循環することもあり得るため、蓄積したゴミが確実に排出されるとは限らない。さらに、排出されずに残ったゴミが、空気の循環により、筐体内部に拡散して蓄積するおそれもある。
【0006】
なお、一般的に、筐体内部に蓄積するゴミは、複数箇所に分散して蓄積する傾向があるが、分散したゴミを取り除く場合、一度に取り除けることが望ましい。これは、特許文献1の構成では解決できない問題である。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、筐体内部の複数箇所に分散して蓄積したゴミを取り除くことができる情報処理装置及び掃除用部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために、本発明の情報処理装置は、筐体の表面に複数の開口部が設けられ、複数の開口部に差し込まれる掃除用部材を介して、筐体の内部に蓄積したゴミが吸引される情報処理装置であって、掃除用部材は、ゴミを吸引する吸引装置に対して差し込みと抜き取りが自在である接続口と、複数の開口部に対して差し込みと抜き取りが自在である複数のゴミ吸引口と、を備えており、接続口が吸引装置に差し込まれ、かつ、複数のゴミ吸引口が複数の開口部に差し込まれた状態にて吸引装置の吸引動作が行われることにより、筐体の内部における複数の異なる箇所にそれぞれ蓄積したゴミが、複数のゴミ吸引口から吸引され、接続口を介して吸引装置内に搬送されることを特徴とする。
【0009】
本発明の掃除用部材は、所定の装置の筐体の表面に設けられた複数の開口部に差し込まれ、筐体の内部に蓄積したゴミを吸引するための掃除用部材であって、ゴミを吸引する吸引装置に対して差し込みと抜き取りが自在である接続口と、複数の開口部に対して差し込みと抜き取りが自在である複数のゴミ吸引口と、を備えており、接続口が吸引装置に差し込まれ、かつ、複数のゴミ吸引口が複数の開口部に差し込まれた状態にて吸引装置の吸引動作が行われることにより、筐体の内部における複数の異なる箇所にそれぞれ蓄積したゴミを、複数のゴミ吸引口から吸引し、接続口を介して吸引装置内に搬送することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、筐体内部の複数箇所に分散して蓄積したゴミを取り除くことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る情報処理装置及び掃除用部材の使用前の状態を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る情報処理装置及び掃除用部材の使用時の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態(実施形態)について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
まず、本発明の情報処理装置の一実施形態であるPC(Personal Computer)及び本発明の掃除用部材の一実施形態であるアタッチメントの構成について説明する。図1は、本実施形態のPC及びアタッチメントの使用前(掃除実行前)の状態を示す図である。
【0014】
本実施形態のPC3について説明する。図1に示すように、本実施形態のPC3は、筐体の表面に、3つの開口部31、32、33が設けられている。これら開口部31、32、33に対して、後述するアタッチメント1が抜き差しされる。なお、アタッチメント1が差し込まれていない場合に、開口部31、32、33からゴミが侵入することを防ぐため、図示しない蓋部材等を用いて、開口部31、32、33を閉じた状態にできるように構成してもよい。
【0015】
また、図1に示すように、本実施形態のPC3は、筐体の内部において、ゴミが蓄積する箇所(以下、ゴミ蓄積箇所という)が3つある。これらゴミ蓄積箇所41、42、43はそれぞれ、筐体内部において互いに異なる箇所であり、予め定められた箇所である。本実施形態のPC3は、筐体内部において、予め定められたゴミ蓄積箇所41、42、43に、ゴミが蓄積されるように設計されている。
【0016】
本実施形態のアタッチメント1について説明する。図1に示すように、本実施形態のアタッチメント1は、特殊な形状となっており、3つのゴミ吸引口11、12、13と、1つの接続口14とを備える。これらゴミ吸引口11、12、13及び接続口14は、内部が空洞(例えば円柱状のパイプ)になっており、吸引されるゴミの搬送路として機能する。
【0017】
接続口14は、掃除機の吸引口(例えばホースの先端部分)2に対して、差し込みと抜き取りが自在(矢印a参照)となっている。掃除機は、家庭などで一般的に使用されているものである。
【0018】
ゴミ吸引口11、12、13は、PC3の筐体表面に設けられた開口部31、32、33に対して、差し込みと抜き取りが自在(矢印b参照)である。例として、ゴミ吸引口11は開口部31に、ゴミ吸引口12は開口部32に、ゴミ吸引口13は開口部33に、それぞれ対応している。また、ゴミ吸引口11は、開口部31に差し込まれたときに、ゴミ蓄積箇所41に到達するように設計されている。同様に、ゴミ吸引口12は、開口部32に差し込まれたときに、ゴミ蓄積箇所42に到達するように設計されている。同様に、ゴミ吸引口13は、開口部33に差し込まれたときに、ゴミ蓄積箇所43に到達するように設計されている。なお、ここでいう「到達」とは、ゴミ吸引口がゴミ蓄積箇所に接触する、又は、ゴミ吸引口がゴミの蓄積箇所の近傍に位置することを意味する。また、図1の例では、ゴミ吸引口11と12を同じ形状とし、ゴミ吸引口13はゴミ吸引口11、12の形状とは異なる形状としている。ゴミ吸引口11、12の形状は略円形であり、ゴミ吸引口13の形状は略長方形となっている。そして、ゴミ吸引口13の略長方形の面積の方がゴミ吸引口11、12の略円形の面積よりも大きく、ゴミの吸引量が多くなっている。このように、ゴミ吸引口の形状や面積は任意に設計することができる。
【0019】
以上のように構成された本実施形態のPC及びアタッチメントの使用時について説明する。図2は、本実施形態のPC及びアタッチメントの使用時(掃除実行前)の状態を示す図である。
【0020】
ユーザは、PC3の内部の掃除を思い立ったときに、アタッチメント1と掃除機を用意し、アタッチメント1の接続口14を掃除機の吸引口2に差し込み、両者を接続する。
【0021】
次に、ユーザは、PC3の開口部31、32、33が開いた状態(アタッチメント1を差し込み可能な状態)であることを確認し、アタッチメント1の各ゴミ吸引口11、12、13を、PC3の開口部31、32、33にそれぞれ差し込む。
【0022】
このときの状態が図2である。図2に示すように、開口部31、32、33から差し込まれたゴミ吸引口11、12、13は、それぞれゴミ蓄積箇所41、42、43に到達する。
【0023】
ユーザは、掃除機のスイッチを入れ、吸引動作を開始する。これにより、ゴミ蓄積箇所41、42、43にそれぞれ蓄積したゴミは、ゴミ吸引口11、12、13から同時に吸引され、接続口14及び掃除機の吸引口2を介して搬送され、掃除機内に蓄積される。
【0024】
ユーザは、掃除が終了したら、アタッチメント1をPC3及び掃除機の吸引口2から抜き取る。
【0025】
以上説明したように、本実施形態によれば、ユーザは、筐体内部の複数箇所に分散して蓄積したゴミを同時に取り除くことができる。また、本実施形態によれば、ユーザは、掃除を行う際にPCの筐体内部を露出させる作業(例えばPCケースの取り外し)を行う必要がないので、ユーザの手間が省け、また、ノート型PCにも適用でき、ノート型PCの筐体内部の掃除を行うことができる。
【0026】
なお、上記実施形態では、アタッチメントのゴミ吸引口、PCの開口部及びゴミ蓄積箇所をそれぞれ3つずつとしたが、数はそれらに限定されない。
【0027】
また、上記実施形態では、ゴミを吸引する吸引装置の一例として掃除機を用いるものとしたが、埃や塵を吸引できる機能を有するものであれば、装置の種類は問わない。
【0028】
また、上記実施形態において、アタッチメントの形状及び材質については、PC内部の各種デバイス等を損傷するおそれがないものが好ましい。
【0029】
上記アタッチメントは、販売されるPCの付属品として、あるいは、別売りの部品として、ユーザに提供される。よって、PCの機種毎に、形状や材質を変えて製造されることが好ましい。
【0030】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。
【0031】
例えば、デスクトップ型のPCに適用する場合、上記アタッチメントと同様の部材(例えばパイプ)を筐体内部に設け、かつ、その部材と接続され、掃除機の吸引口が抜き差し自在な差し込み口を筐体表面に設けるようにしてもよい。これにより、上記実施形態と同様に、筐体内部の複数箇所に蓄積したゴミを同時に除去できる。
【0032】
また、例えば、アタッチメントを筐体内部に差し込んで掃除機の吸引動作を実行するのと同時に、PC内部に設けたファンを逆回転させるなどしてもよい。これにより、ゴミの吸引力が増し、より清掃効果を上げることができる。ただし、この場合は、ファンによる送風で筐体内にゴミが拡散しないように設計する必要がある。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、情報処理装置のみならず、筐体内部にゴミが蓄積する装置、機器、システムに適用できる。
【符号の説明】
【0034】
1 アタッチメント(掃除用部材の一例)
2 掃除機の吸引口
3 PC(情報処理装置の一例)
11、12、13 ゴミ吸引口
14 接続口
31、32、33 開口部
41、42、43 ゴミ蓄積箇所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の表面に複数の開口部が設けられ、前記複数の開口部に差し込まれる掃除用部材を介して、前記筐体の内部に蓄積したゴミが吸引される情報処理装置であって、
前記掃除用部材は、
ゴミを吸引する吸引装置に対して差し込みと抜き取りが自在である接続口と、
前記複数の開口部に対して差し込みと抜き取りが自在である複数のゴミ吸引口と、を備えており、
前記接続口が前記吸引装置に差し込まれ、かつ、前記複数のゴミ吸引口が前記複数の開口部に差し込まれた状態にて前記吸引装置の吸引動作が行われることにより、前記筐体の内部における複数の異なる箇所にそれぞれ蓄積したゴミが、前記複数のゴミ吸引口から吸引され、前記接続口を介して前記吸引装置内に搬送されることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記筐体の内部における複数の異なる箇所は、予め定められており、
前記複数のゴミ吸引口は、
前記複数の開口部に差し込まれたときに、前記予め定められた複数の異なる箇所に到達するように設計されていることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記予め定められた複数の異なる箇所は、
予めゴミが蓄積するように設計されていることを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記複数の開口部は、
前記複数のゴミ吸引口が差し込まれていないときに閉じた状態にできることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
所定の装置の筐体の表面に設けられた複数の開口部に差し込まれ、前記筐体の内部に蓄積したゴミを吸引するための掃除用部材であって、
ゴミを吸引する吸引装置に対して差し込みと抜き取りが自在である接続口と、
前記複数の開口部に対して差し込みと抜き取りが自在である複数のゴミ吸引口と、を備えており、
前記接続口が前記吸引装置に差し込まれ、かつ、前記複数のゴミ吸引口が前記複数の開口部に差し込まれた状態にて前記吸引装置の吸引動作が行われることにより、前記筐体の内部における複数の異なる箇所にそれぞれ蓄積したゴミを、前記複数のゴミ吸引口から吸引し、前記接続口を介して前記吸引装置内に搬送することを特徴とする掃除用部材。
【請求項6】
前記複数のゴミ吸引口は、
前記複数の開口部に差し込まれたときに、予め定められた前記筐体の内部における複数の異なる箇所に到達するように設計されていることを特徴とする請求項5記載の掃除用部材。

【図1】
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【図2】
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