説明

情報処理装置

【課題】記憶媒体と無線通信する自装置以外の装置と、該記憶媒体との間の無線通信を阻害せずに、記憶媒体に記憶されている情報を読み出して表示する情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置は、無線通信により情報の読み出し及び書き込みをする記憶媒体との間で通信に利用する周波数帯域において受信電力を検出するキャリア検出部と、前記キャリア検出部により検出された受信電力の状況に応じて、前記記憶媒体に向けた信号を送受信する動作の制限をしながら前記記憶媒体と通信する通信部と、前記通信部が前記記憶媒体から受信した情報を表示する表示部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記憶媒体と通信する情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、近距離無線通信を利用した非接触型のICカードなどの記憶媒体を利用した商取引が普及している。このような商取引では、非接触型の記憶媒体を専用のリーダライタ装置にかざすことにより、記憶媒体とリーダライタ装置とが通信をして支払いなどの処理が行われている。具体的には、リーダライタ装置に接続された端末装置が、リーダライタ装置を介して、記憶媒体に備えられている不揮発性の記憶領域に記憶されている利用可能金額などを示す電子マネー情報を読み出し、新たな情報を書き込んで更新することにより、支払いなどの処理が行われている(特許文献1)。
【0003】
現在の記憶媒体には、内部に記憶している電子マネー情報などを表示する機能を備えていない記憶媒体がある。そのため、専用のリーダライタ装置が接続されている端末装置に、記憶媒体に記憶されている情報を読み出させて表示させたり、書き換え可能なリライト層を記憶媒体の表面に有する場合にはリライト層の表面に印刷させたりすることで、記憶媒体に記憶されている電子マネー情報などを表示させている。
【0004】
上述の方法では、端末装置がないところではリアルタイムに電子マネー情報などを確認することができないので、例えば、買い物の支払いなどの前に利用可能な金額を即時に確認することができず、利便性を損なっていた。そこで、記憶媒体に記憶されている電子マネー情報を即時に確認できるように、記憶媒体に記憶されている情報を読み出して表示する携帯型のビューワーなどの情報処理装置が利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−250136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、記憶媒体を情報処理装置に取り付けた状態で、支払い処理などを行う場合、記憶媒体に記憶されている情報を読み出すために情報処理装置が送信する信号と、支払い処理を実行する端末装置に接続されたリーダライタ装置から送信される信号とが干渉することがある。この場合、支払い処理を実行する端末装置と、記憶媒体とが正しく通信を行うことができず、支払い処理を行うことができないという問題があった。すなわち、情報処理装置が、記憶媒体と無線通信を行う自装置以外の装置と、当該記憶媒体との間の無線通信を阻害してしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、記憶媒体と無線通信する自装置以外の装置と、該記憶媒体との間の無線通信を干渉せずに、記憶媒体に記憶されている情報を読み出して表示することができる情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記問題を解決するために、本発明は、無線通信により情報の読み出し及び書き込みをする記憶媒体との間で通信に利用する周波数帯域において受信電力を検出するキャリア検出部と、前記キャリア検出部により検出された受信電力の状況に応じて、前記記憶媒体に向けた信号を送受信する動作の制限をしながら前記記憶媒体と通信する通信部と、前記通信部が前記記憶媒体から受信した情報を表示する表示部とを備えることを特徴とする情報処理装置である。
【0009】
(2)また、本発明は、上記に記載の発明において、前記通信部は、前記キャリア検出部により検出される受信電力の値が予め定められた基準電力値以下の場合、自装置以外の装置と前記記憶媒体とが通信をしていないと判定し、前記記憶媒体に向けた送信をし、前記キャリア検出部の検出する受信電力の値が前記基準電力値より大きい場合、自装置以外の装置と前記記憶媒体とが通信をしていると判定し、前記記憶媒体に向けた送信をしないことを特徴とする。
【0010】
(3)また、本発明は、上記に記載の発明において、前記通信部は、前記記憶媒体に向けて信号を送信している場合に、前記キャリア検出部が前記基準電力値より大きい受信電力を検出すると、信号の送信を停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、記憶媒体と無線通信を行う自装置以外の装置と、該記憶媒体との間の無線通信に干渉せずに、記憶媒体に記憶されている情報を読み出して表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態における情報処理装置1の外形の一例を示す模式図である。
【図2】本実施形態における情報処理装置1及び記憶媒体2の構成の一例を示す概略ブロック図である。
【図3】情報処理装置1に備えられている非接触IC112と、記憶媒体2に備えられている非接触IC21とに記憶されている情報の一例を示す図である。
【図4】本実施形態における情報処理装置1の制御処理を示すフローチャートである。
【図5】図4におけるステップS114のカード読取処理の詳細な動作の一例を示すフローチャートである。
【図6】本実施形態の情報処理装置1において表示パネル122に表示する情報を生成する過程の第1の例を示す図である。
【図7】本実施形態の情報処理装置1において表示パネル122に表示する情報を生成する過程の第2の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態による情報処理装置を説明する。
図1は、本実施形態における情報処理装置1の外形の一例を示す模式図である。なお、本実施形態では、記憶媒体2がカード状の形状をした場合を例にして説明する。
【0014】
同図に示すように、情報処理装置1は、記憶媒体2から読み出した情報を表示する表示パネル122と、ユーザによる操作に基づいて操作信号が入力される入力部13とを備えている。また、情報処理装置1には、カード状の記憶媒体2を差し込むことで、記憶媒体2を内部に収納するスロットを備えている。なお、図1において、入力部13は、1つの場合を示しているが、複数あってもよいし、表示パネル122上に配置されるタッチ式のパネルであってもよいし、加速度センサ(モーションセンサ)などでもよい。
【0015】
図2は、本実施形態における情報処理装置1及び記憶媒体2の構成の一例を示す概略ブロック図である。
同図に示すように、情報処理装置1は、通信部11と、表示部12と、入力部13と、電源部14と、キャリア検出部15とを備えている。記憶媒体2は、非接触IC(Integrated circuit;集積回路)21と、アンテナ(ループアンテナ)22とを備えている。
【0016】
情報処理装置1において、通信部11は、記憶媒体2と無線による通信を行い、記憶媒体2に備えられている非接触IC21が記憶している情報を読み出し、読み出した情報を表示部12に出力する。通信部11は、制御部111と、非接触IC112と、アンテナ(ループアンテナ)113とを備えている。
【0017】
制御部111は、受信した情報を非接触IC21に記憶させるカードモードと、記憶媒体2から情報を読み出すリーダライタモード(RWモード)との2つの動作モードを切り替えて、情報処理装置1内の各構成部に対する制御を行う。例えば、制御部111は、マイクロプロセッサ、マイクロプロセッサの記憶領域としてのRAM、マイクロプロセッサのプログラムが記憶されているROM、タイマなどを含み構成されている。
また、制御部111は、入力部13から入力される操作信号に基づいて、非接触IC112を制御し、非接触IC112を通じて読み出した記憶媒体2の情報を表示部12に表示させる処理を行う。
【0018】
非接触IC112は、アンテナ113を通じて通信を行い、記憶媒体2に記憶されている情報を読み出して制御部111に出力する。また、非接触IC112には、自装置を一意に識別できる識別子が予め記憶されている。また、非接触IC112が送信する信号の電力は、自装置(情報処理装置1)に差し込まれた記憶媒体2と通信ができる範囲内で可能な限り小さい電力に設定されている。この電力値は、シミュレーションや、実測に基づいて設定される。
【0019】
更に、非接触IC112は、不揮発性の記憶領域を有し、当該記憶領域にアプリケーション・プログラム及びデータが記憶されている。アンテナ113は、例えば、情報処理装置1の中央部に配置され、記憶媒体2が情報処理装置1に差し込まれた際に、記憶媒体2が有するアンテナ22と重ならない位置に配置されている。
【0020】
表示部12は、表示ドライバ121と、表示パネル122とを有している。表示ドライバ121は、通信部11から入力される情報を表示パネル122に応じた電気信号に変換して表示パネル122に出力する。
表示パネル122は、表示ドライバ121から入力された電気信号に応じた情報を表示する。例えば、表示パネル122には、液晶ディスプレイや、電子ペーパーなどが用いられる。
【0021】
入力部13は、図1において示したように、ユーザの操作による操作信号が入力される。入力部13は、例えば、機械式のスイッチや、抵抗膜方式又は静電容量方式のタッチ・センサなどが用いられる。入力部13には、例えば、ユーザの操作により、記憶媒体2に記憶されている情報を読み出して表示部12に表示させる操作情報が入力される。
電源部14は、情報処理装置1内に電源を供給する。電源部14としては、例えば、1次電池、2次電池などが用いられる。また、大容量のコンデンサと太陽電池とを組み合わせて電源部14を構成するようにしてもよい。
【0022】
キャリア検出部15は、非接触IC112を介してアンテナ113に接続されている。また、キャリア検出部15は、アンテナ113を通じて、記憶媒体2と通信をする周波数帯域において受信する信号の受信電力の値に基づいて、自装置以外の装置と記憶媒体2とが通信しているか否かを判定する。この基準電力値は、自装置以外の記憶媒体2と通信をする装置、例えば、電子マネー情報を利用して商取引の処理をする際に使用されるリーダライタ装置などの送信電力に基づいて設定される。
【0023】
具体的には、基準電力値は、自装置の非接触IC112の送信電力、及び記憶媒体の非接触IC21の送信電力より高く、リーダライタ装置などの送信電力より低く設定される。一般的に、記憶媒体2と通信できる範囲を広くするために、リーダライタ装置から送信される信号の電力は高く設定されているので、このような基準電力値を設定することは容易である。これにより、キャリア検出部15は、受信する信号の受信電力の値が基準電力値より高い場合、記憶媒体2が自装置以外の装置と通信をしていると判定し、受信する信号の電力の値が基準電力値以下の場合、記憶媒体2が自装置以外の装置と通信をしていないと判定する。また、自装置の非接触IC112が送信している信号と、自装置以外の装置から送信される信号とを受信電力の大きさにより区別することができる。
【0024】
記憶媒体2に備えられている非接触IC21は、アンテナ22を通じて無線通信を行う。また、非接触IC21は、情報処理装置1に備えられている非接触IC112と同様に、不揮発性の記憶領域を有し、当該記憶領域には、電子マネー情報などとともに、アプリケーション・プログラム及びデータが記憶されている。また、非接触IC21は、受信する信号に基づいて当該記憶領域に記憶されている情報を読み出して送信し、また、受信した信号に基づいて情報を記憶又は更新する。また、非接触IC21は、アンテナ22を通じて受信した信号により発電し、発電した電力により動作する。
【0025】
図3は、情報処理装置1に備えられている非接触IC112と、記憶媒体2に備えられている非接触IC21とに記憶されている情報の一例を示す図である。
図3(a)は、記憶媒体2に備えられている非接触IC21に記憶されている情報の一例である。記憶領域のうち、アプリケーション・プログラム及びデータが記憶されている領域は、複数のアプリケーション領域に分割され、各アプリケーション領域には、アプリケーション・プログラム又はデータが記憶されている。
【0026】
同図に示す例では、1番目の領域には、画像データが記憶されている。2番目の領域には、3番目以降のアプリケーション領域に記憶されているプログラム又はデータを選択するための表示機能アプリケーションが記憶されている。3番目の領域には、電子マネー情報の更新履歴を表示させる際に用いる履歴画像データと、更新履歴を示す文字情報を組版するためのスクリプトとを含む履歴表示アプリケーションが記憶されている。
【0027】
4番目の領域には、電子マネー情報として記憶されている利用可能な残高を表示させる際に用いる残高画像データと、残高を示す文字情報を組版するためのスクリプトとを含む残高表示アプリケーションが記憶されている。5番目の領域には、非接触IC21の記憶領域に記憶されているチケット情報を表示させる際に用いるチケット画像データと、文字情報を組版するためのスクリプトとを含むチケット表示アプリケーションが記憶されている。
以上のように、各領域には、アプリケーションに応じたプログラム(スクリプト)と、画像などのデータとが記憶されている。
【0028】
また、図3(b)は、情報処理装置1に備えられている非接触IC112に記憶されている情報の一例を示す図である。非接触IC112の記憶領域は、複数のアプリケーション領域に分割され、各アプリケーション領域には、アプリケーション・プログラム及びデータが記憶されている。
【0029】
同図に示す例では、1番目の領域には、画像データが記憶されている。2番目の領域には、3番目以降のプリケーション領域に記憶されているプログラム又はデータを選択するためのプログラムを含む表示機能アプリケーションが記憶されている。3番目の領域には、買い物や食事などで割引を受けられる電子クーポンを表す画像データを含むクーポン情報が記憶されている。4番目の領域には、地図を表す画像データを含む地図情報記憶されている。5番目の領域には、お店の特徴などを記載した文章を示す文章データを含む店舗情報が記憶されている。6番目の領域には、史跡の特徴などを記載した文章を示す文章データや、史跡の写真などを示す画像データを含む史跡情報が記憶されている。
以上のように、各領域には、アプリケーションに応じた情報が記憶されている。
【0030】
図4は、本実施形態における情報処理装置1の制御処理を示すフローチャートである。
同図に示す処理例では、情報処理装置1は、3つの割り込み処理ルーチンと、メイン処理ルーチンとを実行する。なお、ここでは、情報処理装置1には、記憶媒体2が差し込まれ、情報処理装置1以外に記憶媒体2と通信をする装置をリーダライタ装置とした場合を例にして説明する。
【0031】
まずは、メイン処理ルーチンから説明する。
メイン処理が開始されると、キャリア検出部15は、記憶媒体2との通信で使用する周波数帯域の信号を受信すると、リーダライタ装置から送信された信号(RWキャリア)が送信されているか否かを判定して、制御部111に出力する(ステップS101)。
【0032】
リーダライタ装置から送信された信号が検出された場合(ステップS101、Yes)、制御部111は、動作モードをカードモードに切り替え(ステップS102)、リーダライタ装置から受信した信号に自装置の識別子が含まれている否かを非接触IC112に判定させる(ステップS103)。なお、ステップS103の判定において、不特定の装置を示すブロードキャスト用の識別子が含まれていた場合、自装置の識別子が含まれていると判定する。
【0033】
自装置の識別子が含まれていない場合(ステップS103、No)、制御部111は、後述するステップS109とステップS110とを順に行う。
一方、自装置の識別子が含まれていた場合(ステップS103、Yes)、制御部111は、非接触IC112を制御してリーダライタ装置から情報の受信を開始し(ステップS104)、リーダライタ装置から情報の受信が完了するまで、受信を継続する(ステップS105、ステップS106)。
【0034】
リーダライタ装置から情報の受信が完了すると(ステップS106、Yes)、制御部111は、受信した情報を変換して表示ドライバ121に出力する(ステップS107)。ここで、制御部111が行う変換は、例えば、圧縮されたデータの復元などである。
表示ドライバ121は、制御部111から入力された情報を表示パネル122に応じた電気信号に変換して出力し、表示パネル122に表示させる(ステップS108)。
続いて、制御部111は、予め定められた時間を設定してタイマ111Aを起動させ(ステップS109)、設定された時間が経過したことをタイマ111Aにより検出すると、一時的に動作を停止してスリープ状態(節電状態)になる(ステップS110)。
【0035】
ステップS101における判定で、リーダライタ装置から送信された信号が検出されなかった場合(ステップS101、No)、制御部111は、記憶媒体2から情報を読み出して表示させることを示す操作信号が入力部13に入力されているか否かを判定する(ステップS111)。ここで、記憶媒体2から情報を読み出して表示させることを示す操作信号とは、例えば、予め定められたスイッチをオンにすることにより入力される信号などである。
【0036】
記憶媒体2に記憶されている情報を表示させる操作信号が入力されていない場合(ステップS111、No)、制御部111は、ステップS109と、ステップS110とを順に行う。
一方、記憶媒体2から情報を読み出して表示させることを示す操作信号が入力されている場合(ステップS111、Yes)、制御部111は、動作モードをRWモードに切り替えて(ステップS112)、非接触IC112から記憶媒体2に向けて情報の読み出し要求を含む信号を送信させ(ステップS113)、非接触IC112を介して記憶媒体2に記憶されている情報を読み出す(ステップS114)。
【0037】
制御部111は、記憶媒体2から情報の読み出しが完了すると、非接触IC112に信号の送信を停止させて(ステップS115)、ステップS107〜ステップS110を順に行う。
【0038】
続いて、割り込み処理Aについて説明する。
キャリア検出部15は、リーダライタ装置からの信号(RWキャリア)を検出すると、制御部111にRWキャリアを検出したことを示す情報を出力する(ステップS141)。
制御部111は、RWキャリアを検出したことを示す情報が入力されると、表示ドライバ121にRWキャリアを検出したこと表示させる情報を出力して、表示パネル122に表示させ(ステップ143)、リアルタイム・インターラプト(Real Time Interrupt;RTI)により、メイン処理ルーチン(ステップS101〜ステップS115)の動作を行うように、各機能部を制御する。
【0039】
割り込み処理Bについて説明する。
制御部111は、入力部13からユーザによる操作信号が入力されると(ステップS151)、直前に表示部12に表示させた情報を再度表示させて(ステップS152)、RTIにより、メイン処理ルーチン(ステップS101〜ステップS115)の動作を行うように、各機能部を制御する。
【0040】
割り込み処理Cについて説明する。
制御部111は、設定された時間が経過したことをタイマ111Aの桁あふれ(Overflow;OVF)により検出すると(ステップS161)、表示ドライバ121に表示を停止させる信号を出力して、表示パネル122の表示を停止させ(ステップ162)、RTIにより、ステップS110の動作を行う。
【0041】
上述のように、制御部111は、リーダライタ装置から送信される信号を検出すると非接触IC112に送信を停止させる(ステップS142)。また、制御部111は、入力部13に入力された操作信号により動作を開始する場合、リーダライタ装置から送信される信号を検出すると動作モードを、信号を送信しないカードモードとして動作させる(ステップS151〜S153、ステップS101、S102)。
これにより、情報処理装置1は、リーダライタ装置と記憶媒体2との通信に干渉せずに、記憶媒体2に記憶されている情報を読み出して表示することができる。
【0042】
図5は、図4におけるステップS114のカード読取処理の詳細な動作の一例を示すフローチャートである。
ステップS114の動作が開始されると、制御部111は、記憶媒体2に記憶されている2番目のアプリケーション領域(図3(a))から表示機能プログラムを読み出して実行する(ステップS201)。制御部111は、ユーザの操作によりスクロールなどして選択されたアプリケーション領域を示す操作信号が入力部13を通じて入力され、選択されたアプリケーション領域から読み出した情報にスクリプトが含まれているか否かを判定する(ステップS202)。
【0043】
スクリプトが含まれている場合(ステップS202、Yes)、制御部111は、選択されたアプリケーション領域に記憶されている情報を、非接触IC112を介して読み出し(ステップS203)、読み出した情報に含まれる画像データを表示パネル122に表示できるサイズに設定し(ステップS204)、読み出した情報に含まれる文字情報をスクリプトに従って組版を行う(ステップS205)。
制御部111は、読み出した情報に含まれる画像データが圧縮されている場合、復元し(ステップS206)、読み出した情報に複数の画像データが含まれている場合、当該複数の画像データを組版して表示パネル122に表示する情報を生成する。制御部111は、生成した情報を表示ドライバ121に出力して、表示パネル122に表示させる(ステップS208)
【0044】
ステップS202において、スクリプトが含まれていない場合(ステップS202、No)、制御部111は、読み出した情報に含まれる画像データがJPEG2000形式であるか否かを判定する(ステップS211)。
画像データの形式がJPEG2000である場合(ステップS211、Yes)、制御部111は、ステップS206〜ステップS208の動作を行う。一方、画像データの形式がJPEG2000でない場合(ステップS211、No)、画像データのフォーマットがビットマップ形式(BitMap;BMP)であるか否かを判定する(ステップS221)。
【0045】
画像データの形式がBMPである場合(ステップS221、Yes)、制御部111は、ビットマップ形式の画像データを表示パネル122に表示できるサイズに設定し(ステップS222)、ステップS208の動作を行う。
一方、画像データの形式がBMPでない場合(ステップS211、No)、制御部111は、表示パネル122に何も表示させない情報を生成して(ステップS231)、ステップS208の動作をする。すなわち、表示パネル122のクリアを行う。
【0046】
図6は、本実施形態の情報処理装置1において表示パネル122に表示する情報を生成する過程の一例を示す図である。ここでは、記憶媒体2に記憶されている情報のうち、図3(a)において3番目のアプリケーション領域に記憶されている履歴表示アプリケーションが選択された場合について説明する。
図6において、画像データ6aは、履歴画像データの一例を示す図である。履歴画像データ6aには、図示するように、電子マネー情報による支払いをした年月日を示す「年月日」列と、支払い額を示す「支払」列と、支払い後の残高を示す「残高」列と、備考欄として「備考」列とが予め含まれている。
【0047】
電子マネー情報6bは、記憶媒体2から読み出された情報の一例である。制御部111は、記憶媒体2から読み出した電子マネー情報6bに対して文字コード変換を行い、文字情報6cに変換する。制御部111は、記憶媒体2から読み出した情報に含まれるスクリプトに基づいて、文字コード変換により得られた文字情報6cに対して組版をし、組版をした文字情報と、支払い画像データとを重ね合わせた情報を生成し、生成した情報を表示ドライバ121に出力して表示パネル122に表示させる。
【0048】
図7は、本実施形態の情報処理装置1において表示パネル122に表示する情報を生成する過程の図6と異なる一例を示す図である。ここでは、記憶媒体2に記憶されている情報のうち、図3(a)において5番目のアプリケーション領域に記憶されているチケット表示アプリケーションが選択された場合について説明する。
図7において、画像データ7aは、チケット画像データの一例を示す図である。チケット画像データには、表示するチケットの種別、航空券などの搭乗券や、イベントの入場券などを表す画像が予め含まれている。
【0049】
チケット表示アプリケーションには、チケット項目情報7bが含まれている。制御部111は、チケット表示アプリケーションに含まれているチケット項目情報7bに基づいて、記憶媒体2からチケット情報7cを読み出し、読み出したチケット情報を文字情報に変換する。そして、制御部111は、変換により得られた文字情報と、画像データ7aとを組み合わせた情報を生成し、生成した情報を表示ドライバ121に出力して表示パネル122に表示させる。
【0050】
本実施形態における情報処理装置1は、キャリア検出部15の検出する受信電力により、自装置以外の装置が記憶媒体2と通信をしているか否かを検出して、記憶媒体2に向けた信号を送信するか否かを判定する。これにより、自装置以外の装置と、記憶媒体2との通信に干渉することなく、記憶媒体2に記憶されている情報を読み出すことができる。例えば、支払い処理を実行する端末装置と、記憶媒体2とが通信をすることにより、記憶媒体2に記憶されている電子マネー情報を利用した支払いを行う場合、情報処理装置1は、記憶媒体2に向けた信号の送信を停止するので、支払い処理を阻害することがない。
【0051】
また、情報処理装置1は、記憶媒体2と独立した構成としているので、情報処理装置1に備えられた電源部14から電力を供給できなくなった場合においても、記憶媒体2と、リーダライタ装置などの他の装置との通信を阻害することはない。そのため、ユーザは、情報処理装置1が動作しない場合でも、記憶媒体2を利用した支払いなどの処理を行うことができる。
【0052】
なお、本実施形態において、制御部111は、記憶媒体2が他の装置と通信をしていることを検出した場合、表示パネル122に記憶媒体2が通信中であることを示す情報を表示するようにしてもよい。これにより、ユーザに記憶媒体2から情報を読み出せないことを通知することができる。
また、本実施形態では、情報処理装置1と、記憶媒体2とが独立した構成を説明したが、情報処理装置1が記憶媒体2を含む構成にしてもよい。その場合、情報処理装置1の内部に、非接触IC21及びアンテナ22が含まれることになる。
【0053】
また、制御部111は、記憶媒体2が他の装置と通信をしていることを検出した場合、キャリア検出部15の検出する受信電力が基準電力値以下に低下したことにより、当該通信が完了したと判定して、記憶媒体2から情報を読み出して表示するようにしてもよい。これにより、他の装置との通信(支払い処理)などで記憶媒体2の情報が更新された場合に、表示パネル122に表示する情報を更新することができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0054】
また、上述の制御部111は内部に、コンピュータシステムを有していてもよい。その場合、上述した制御処理及びカード読取処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われることになる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0055】
非接触ICカードなどの記憶媒体を利用した既存のシステムに干渉することなく、当該記憶媒体に記憶されている情報を読み出し表示することができる。
【符号の説明】
【0056】
1…情報処理装置、2…記憶媒体、11…通信部、12…表示部、13…入力部、14…電源部、15…キャリア検出部、21…非接触IC、22…アンテナ、111…制御部、112…非接触IC、113…アンテナ、121…表示ドライバ、122…表示パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信により情報の読み出し及び書き込みをする記憶媒体との間で通信に利用する周波数帯域において受信電力を検出するキャリア検出部と、
前記キャリア検出部により検出された受信電力の状況に応じて、前記記憶媒体に向けた信号を送受信する動作の制限をしながら前記記憶媒体と通信する通信部と、
前記通信部が前記記憶媒体から受信した情報を表示する表示部と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記通信部は、前記キャリア検出部により検出される受信電力の値が予め定められた基準電力値以下の場合、自装置以外の装置と前記記憶媒体とが通信をしていないと判定し、前記記憶媒体に向けた送信をし、前記キャリア検出部の検出する受信電力の値が前記基準電力値より大きい場合、自装置以外の装置と前記記憶媒体とが通信をしていると判定し、前記記憶媒体に向けた送信をしない
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記通信部は、前記記憶媒体に向けて信号を送信している場合に、前記キャリア検出部が前記基準電力値より大きい受信電力を検出すると、信号の送信を停止する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−180878(P2011−180878A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−45221(P2010−45221)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】