説明

情報提供装置、情報提供方法、情報提供プログラム、及びそのプログラムを記憶するコンピュータ読取可能な記録媒体

【課題】ユーザのニーズを知るための情報を取引対象の提供者に提供すること。
【解決手段】情報提供装置50は、ユーザが複数の取引対象を比較したことを示す比較情報を記憶する比較履歴データベース32と、ユーザが他の取引対象と比較した上で注文した取引対象を示す予約情報を記憶する予約実績データベース33とを参照して、比較情報に含まれ、且つ該比較情報に対応する注文情報に含まれない取引対象を第1取引対象として特定する第1対象特定部51と、上記データベース32,33を参照して、第1取引対象と比較され且つユーザに注文された第2取引対象を抽出する第2対象抽出部52と、取引対象情報を記憶する施設データベース31から読み出した第2取引対象の取引対象情報に基づいて推薦情報を生成する推薦情報生成部53と、推薦情報を第1取引対象の提供者に提示する送信部54とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一形態は、取引対象の提供者にとって有用な情報を提供するための情報提供装置、情報提供方法、情報提供プログラム、及びそのプログラムを記憶するコンピュータ読取可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ユーザが取引対象を比較できるようにするための仕組みが知られている。例えば、下記非特許文献1に示されるウェブサイトは、ユーザが取引対象である商品の一覧に含まれる任意の2以上の商品にチェックを付けて比較ボタンを押すとそれらの商品の比較表を表示する機能を有している。ユーザはその比較表を参考に商品を選ぶことができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】株式会社カカクコム、「価格.com」、[online]、インターネット<URL: http://kakaku.com/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、ユーザのニーズを酌み取りたい取引対象の提供者からすれば、ユーザによる取引対象の比較の様子を知ることができれば便利である。そこで、ユーザのニーズを知るための情報を取引対象の提供者に提供することが要請されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一形態に係る情報提供装置は、ユーザが複数の取引対象を比較したことを示す比較情報を記憶する比較情報記憶部と、ユーザが他の取引対象と比較した上で注文した取引対象を示す注文情報を記憶する注文情報記憶部とを参照して、比較情報に含まれ、且つ該比較情報に対応する注文情報に含まれない取引対象を第1取引対象として特定する特定部と、比較情報記憶部及び注文情報記憶部を参照して、第1取引対象と比較され且つユーザに注文された第2取引対象を抽出する抽出部と、取引対象情報を記憶する取引対象記憶部から読み出した第2取引対象の取引対象情報に基づいて推薦情報を生成する生成部と、推薦情報を第1取引対象の提供者に提示する提示部とを備える。
【0006】
本発明の一形態に係る情報提供方法は、情報提供装置により実行される情報提供方法であって、ユーザが複数の取引対象を比較したことを示す比較情報を記憶する比較情報記憶部と、ユーザが他の取引対象と比較した上で注文した取引対象を示す注文情報を記憶する注文情報記憶部とを参照して、比較情報に含まれ、且つ該比較情報に対応する注文情報に含まれない取引対象を第1取引対象として特定する特定ステップと、比較情報記憶部及び注文情報記憶部を参照して、第1取引対象と比較され且つユーザに注文された第2取引対象を抽出する抽出ステップと、取引対象情報を記憶する取引対象記憶部から読み出した第2取引対象の取引対象情報に基づいて推薦情報を生成する生成ステップと、推薦情報を第1取引対象の提供者に提示する提示ステップとを含む。
【0007】
本発明の一形態に係る情報提供プログラムは、ユーザが複数の取引対象を比較したことを示す比較情報を記憶する比較情報記憶部と、ユーザが他の取引対象と比較した上で注文した取引対象を示す注文情報を記憶する注文情報記憶部とを参照して、比較情報に含まれ、且つ該比較情報に対応する注文情報に含まれない取引対象を第1取引対象として特定する特定部と、比較情報記憶部及び注文情報記憶部を参照して、第1取引対象と比較され且つユーザに注文された第2取引対象を抽出する抽出部と、取引対象情報を記憶する取引対象記憶部から読み出した第2取引対象の取引対象情報に基づいて推薦情報を生成する生成部と、推薦情報を第1取引対象の提供者に提示する提示部とをコンピュータに実行させる。
【0008】
本発明の一形態に係るコンピュータ読取可能な記録媒体は、ユーザが複数の取引対象を比較したことを示す比較情報を記憶する比較情報記憶部と、ユーザが他の取引対象と比較した上で注文した取引対象を示す注文情報を記憶する注文情報記憶部とを参照して、比較情報に含まれ、且つ該比較情報に対応する注文情報に含まれない取引対象を第1取引対象として特定する特定部と、比較情報記憶部及び注文情報記憶部を参照して、第1取引対象と比較され且つユーザに注文された第2取引対象を抽出する抽出部と、取引対象情報を記憶する取引対象記憶部から読み出した第2取引対象の取引対象情報に基づいて推薦情報を生成する生成部と、推薦情報を第1取引対象の提供者に提示する提示部とをコンピュータに実行させる情報提供プログラムを記憶する。
【0009】
このような形態によれば、比較情報に含まれ且つ注文情報に含まれない第1取引対象が特定される。この第1取引対象は、ユーザに他の取引対象と比較はされたが、注文まで至らなかった取引対象である。続いて、その第1取引対象と比較され且つ注文された第2取引対象が抽出され、当該第2取引対象の情報に基づいて推薦情報が生成され、その推薦情報が第1取引対象の提供者に提示される。このように、注文に結びつかなかった第1取引対象の提供者に対して、当該第1取引対象との比較の末に注文を受けた第2取引対象の情報を提示することで、当該提供者はユーザのニーズを知ることができる。
【0010】
別の形態に係る情報提供装置では、生成部が、比較情報記憶部を参照して第2取引対象の検索数を求め、該検索数が所定の閾値以上である第2取引対象の取引対象情報に基づいて推薦情報を生成してもよい。この場合には、ユーザのニーズが多く見込まれる第2取引対象の情報に基づいて推薦情報が生成されるので、推薦情報の有用性が高まる。
【0011】
さらに別の形態に係る情報提供装置では、生成部が、比較情報記憶部及び注文情報記憶部を参照して第2取引対象の転換率を求め、該転換率が所定の閾値以上である第2取引対象の取引対象情報に基づいて推薦情報を生成してもよい。この場合には、ユーザのニーズが多く見込まれる第2取引対象の情報に基づいて推薦情報を生成することができる。この場合には、ユーザのニーズが多く見込まれる第2取引対象の情報に基づいて推薦情報が生成されるので、推薦情報の有用性が高まる。
【0012】
さらに別の形態に係る情報提供装置では、取引対象情報が、取引対象そのものの属性を示す固定情報と、該取引対象の付加属性を示す付加情報とを含み、生成部が、第2取引対象の固定情報を用いることなく、該第2取引対象の付加情報に基づいて推薦情報を生成してもよい。
【0013】
さらに別の形態に係る情報提供装置では、比較情報が、複数の取引対象のウェブページの間でページ遷移が発生した場合に当該複数の取引対象を関連付けることで生成されてもよい。このようにページ遷移を考慮することで、ユーザが比較した取引対象を精度良く推定して比較情報を自動的に生成することができる。
【0014】
さらに別の形態に係る情報提供装置では、比較情報が、所定の時間範囲内において所定時間以上表示された複数のウェブページに対応する複数の取引対象を関連付けることで生成されてもよい。このように表示時間を考慮することで、ユーザが比較した取引対象を精度良く推定して比較情報を自動的に生成することができる。
【0015】
さらに別の形態に係る情報提供装置では、比較情報が、複数の取引対象について同じページ遷移の操作が発生した場合に当該複数の取引対象を関連付けることで生成されてもよい。このようにページ遷移の操作を考慮することで、ユーザが比較した取引対象を精度良く推定して比較情報を自動的に生成することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一側面によれば、ユーザのニーズを知るための情報を取引対象の提供者に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態に係る宿泊予約システムの全体構成を示す図である。
【図2】施設情報及びプラン情報の例を示す図である。
【図3】比較情報の例を示す図である。
【図4】予約情報の例を示す図である。
【図5】図1に示す情報提供装置のハードウェア構成を示す図である。
【図6】図1に示す情報提供装置の機能構成を示すブロック図である。
【図7】図1に示す情報提供装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】実施形態に係る情報提供プログラムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
まず、図1〜6を用いて、実施形態に係る宿泊予約システム1の機能及び構成を説明する。宿泊予約システム1は、宿泊施設(共用施設)の予約を受け付けるウェブサイト(宿泊予約サイト)をユーザに提供するコンピュータシステムである。図1に示すように、宿泊予約システム1は、ユーザ端末10と、ホテルや旅館などの宿泊施設に設置された提供者端末20と、データベース群30と、予約管理装置40と、情報提供装置50とを備えている。ユーザ端末10、提供者端末20、データベース群30、予約管理装置40、及び情報提供装置50は、インターネットや無線LAN、移動体通信網などで構成されている通信ネットワークNを介して互いに通信することが可能である。図1ではユーザ端末10及び提供者端末20をそれぞれ3台示しているが、宿泊予約システム1内におけるこれらの装置の台数は任意である。
【0020】
ユーザ端末10は、部屋の予約をするユーザが所有する端末である。ユーザ端末10の例として高機能携帯電話機(スマートフォン)や携帯情報端末(PDA)、パーソナルコンピュータ(PC)などが挙げられるが、携帯端末の種類はこれらに限定されない。ユーザはユーザ端末10を操作して宿泊予約サイトにアクセスして、宿泊施設及び宿泊プランを検索したり、その検索により見つけた宿泊施設及び宿泊プランを予約したりすることができる。
【0021】
提供者端末20は、宿泊予約システム1での予約対象である部屋及び宿泊プランを提供する宿泊施設の端末である。提供者端末20の例としてはPCが挙げられるが、各種携帯端末も提供者端末20として利用可能である。宿泊施設の管理者は提供者端末20を操作して、施設に関する施設情報や宿泊プランに関するプラン情報を施設データベース31に登録することが可能である。また、提供者端末20は宿泊プランを作成する際に参考し得る推薦情報を情報提供装置50から取得することが可能である。この施設情報、プラン情報、及び推薦情報については後述する。
【0022】
データベース群30は、宿泊予約システム1内で用いられる各種の情報を記憶する手段である。データベース群30は、施設データベース(取引対象記憶部)31、比較履歴データベース(比較情報記憶部)32、及び予約実績データベース(注文情報記憶部)33を備えている。
【0023】
施設データベース31は、施設情報(固定情報)及びプラン情報(付加情報)という、宿泊施設に関する二種類の情報(取引対象情報)を記憶する手段である。施設情報及びプラン情報は提供者端末20により施設データベース31に登録される。
【0024】
施設情報は、宿泊施設の設備や環境を示す情報であり、変更が困難なハードウェア面の属性に関する情報であるともいえる。あるいは、施設情報は宿泊施設そのものの属性を示す情報であるともいえる。施設情報の内容としては、例えば、宿泊施設の所在地、温泉の有無、露天風呂やレストラン、スポーツ施設などの各種設備の有無、周辺施設や観光スポットの有無などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
一方、プラン情報は、宿泊施設が提供する宿泊プラン(以下では単に「プラン」という)を示す情報であり、状況に応じて比較的容易に変更することができるソフトウェア面の属性に関する情報であるともいえる。プラン情報の内容としては、例えば、食事の内容、飲み放題などの飲食サービスの有無、マッサージやエステなどの付加サービスの有無、連泊の可否、レイトチェックインの有無、提示価格、提供期間(利用可能日)、施設に対するユーザの評価などが挙げられるが、これらに限定されない。上述したように、施設情報及びプラン情報は提供者端末20により施設データベース31に登録される。
【0026】
施設情報及びプラン情報の例を図2に示す。図2の例では、「ホテルP」の施設情報として、所在地に関する「栃木」というキーワードと、設備に関する「温泉」「露天風呂」「テニスコート」というキーワードとが登録されている。また、「ホテルP」のプラン情報として、料理に関する「肉」というキーワード、提供期間「10月10日〜10月31日」、及び価格「20000〜30000円」とを含む「プランA」のプラン情報と、料理に関する「海老」というキーワード、提供期間「10月1日〜11月30日」、及び金額「15000〜20000円」を含む「プランB」のプラン情報とが登録されている。
【0027】
比較履歴データベース32は、ユーザが複数の施設情報及びプラン情報を比較したことを示す比較情報を記憶する手段である。図3に示すように、比較情報は、比較操作を行ったユーザを特定するユーザIDと、選択された少なくとも二つの比較対象と、比較日時とを含んでいる。比較対象は施設IDとプランIDとの組合せで示される。例えば図3から、ユーザID「U001」で特定されるユーザがホテルPのプランAとホテルQのプランCとを比較したことが分かる。比較情報は、ユーザが施設及びプランを比較する操作を明示的に行った場合に、又はそのような操作が行われたと推定された場合に、予約管理装置40により生成及び格納される。
【0028】
予約管理装置40による比較情報の生成方法は限定されない。例えば、予約管理装置40は、プランの比較表(上記非特許文献1で示されるような態様の比較表)を得るためにユーザが比較対象として選択した複数の宿泊施設及び宿泊プランを関連付けることで比較情報を生成してもよい。
【0029】
また、予約管理装置40は、ウェブページを得るためのHTTPリクエストに含まれるユーザID及びURLを閲覧日時と関連付けて閲覧情報として所定のデータベースに記録し、その閲覧情報から得られるユーザ端末10でのページ遷移の態様に基づいて比較情報を生成してもよい。
【0030】
例えば、予約管理装置40は、特定の複数のプランの間でページ遷移が発生した場合に、当該複数のプランを含む比較情報を生成してもよい。例えば、ホテルPのプランAを示すウェブページWxと、旅館RのプランXを示すウェブページWyとについて、「ページWx→ページWy→ページWx」というページ遷移が発生していれば、予約管理装置40はホテルPのプランAと旅館RのプランXとが関連付けられた比較情報を生成する。また、ホテルQのプランCを示すページWzがあるとして「ページWx→ページWy→ページWz→ページWy→ページWx」というページ遷移が発生した場合に、予約管理装置40はホテルPのプランA、旅館RのプランX、及びホテルQのプランCが関連付けられた比較情報を生成してもよい。また、予約管理装置40はそのページの遷移の間に所定回数以上表示されたページのプランのみを関連付けてもよい。上記の例で閾値が2であれば、予約管理装置40はホテルPのプランAと旅館RのプランXとが関連付けられた比較情報を生成する。
【0031】
あるいは、予約管理装置40は、所定の時間範囲内(例えば10分以内)において所定時間以上(例えば1分以上)ユーザ端末10上に表示された複数のページに対応する複数のプランを含む比較情報を生成してもよい。例えば、閾値を1分として、ホテルPのプランAを示すウェブページWxと、旅館RのプランXを示すウェブページWyと、ホテルQのプランCを示すウェブページWzとについて「ページWx(閲覧時間1分)→ページWy(閲覧時間5秒)→ページWz(閲覧時間3分)」というページ遷移が発生していれば、予約管理装置40はホテルPのプランAとホテルQのプランCとが関連付けられた比較情報を生成する。また、ホテルSのプランEを示すページWvがあり、閾値を1分として、「ページWv(閲覧時間4分)→ページWx(閲覧時間1分)→ページWy(閲覧時間5秒)→ページWz(閲覧時間3分)」というページ遷移が発生していれば、予約管理装置40はホテルPのプランA、ホテルQのプランC、及びホテルSのプランEが関連付けられた比較情報を生成する。
【0032】
あるいは、予約管理装置40は、特定の複数のプランの間で同じページ遷移の操作が発生した場合に、当該複数のプランを含む比較情報を生成してもよい。具体的には、「ホテルPのプランAのページ」→「ホテルPの詳細ページ」→「旅館RのプランXのページ」→「旅館Rの詳細ページ」と遷移した際に、予約管理装置40は、同じパターンでページ遷移が行われたホテルPのプランAと旅館RのプランXとを関連付けることで比較情報を生成する。あるいは、予約管理装置40は、「ホテルPのプランAのページ」→「旅館Rの詳細ページ」→「旅館RのプランXのページ」というページ遷移が発生した際に、ホテルPのプランAと旅館RのプランXとが関連付けられた比較情報を生成してもよい。
【0033】
このようにページ遷移、表示時間、あるいはページ遷移の操作を考慮することで、ユーザが比較した取引対象を精度良く推定し、ユーザによる明示の比較操作を要することなく自動的に比較情報を生成することができる。
【0034】
予約実績データベース33は、ユーザによる宿泊施設の予約を示す予約情報(注文情報)を記憶する手段である。図4に示すように、予約情報は、ユーザID、施設ID、プランID、利用日、価格、及び予約日時を含んでいる。予約情報は、ユーザ端末10がユーザ操作に応じて予約処理を予約管理装置40に要求し、予約管理装置40がその要求に応じて予約受付処理を実行した際に、当該予約管理装置40により生成及び格納される。
【0035】
なお、各データベースの構成は上記の例に限定されず、任意の方針で各データベースを正規化または冗長化してもよい。
【0036】
予約管理装置40は、宿泊予約サイトを介して宿泊施設の検索や、施設及びプランの比較情報の提供、宿泊予約の受付などのような、宿泊予約に関する様々なサービスをユーザに提供するコンピュータである。
【0037】
以上を前提として情報提供装置50について説明する。情報提供装置50は、宿泊プランの作成に資する推薦情報を宿泊施設に提供するコンピュータである。
【0038】
図5に示すように、情報提供装置50は、オペレーティングシステムやアプリケーション・プログラムなどを実行するCPU501と、ROM及びRAMで構成される主記憶部502と、ハードディスクなどで構成される補助記憶部503と、ネットワークカードなどで構成される通信制御部504と、キーボードやマウスなどの入力部505と、ディスプレイなどの出力部506とで構成される。
【0039】
後述する情報提供装置50の各機能的構成要素は、CPU501や主記憶部502の上に所定のソフトウェアを読み込ませ、CPU501の制御の下で通信制御部504や入力部505、出力部506などを動作させ、主記憶部502や補助記憶部503におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。処理に必要なデータやデータベースは主記憶部502や補助記憶部503内に格納される。なお、図5では情報提供装置50が1台のコンピュータで構成されているように示しているが、情報提供装置50の機能を複数台のコンピュータに分散させてもよい。
【0040】
図6に示すように、情報提供装置50は機能的構成要素として第1対象特定部51、第2対象抽出部52、推薦情報生成部53、及び送信部(提示部)54を備えている。
【0041】
第1対象特定部51は、比較情報に含まれ、且つ該比較情報に対応する予約情報に含まれない施設及びプランを第1取引対象として特定する手段である。すなわち、第1取引対象とは、ユーザによる比較の結果予約されなかった施設及びプランのことである。
【0042】
まず、第1対象特定部51は比較履歴データベース32内の比較情報と予約実績データベース33内の予約情報とを参照して、これら二種類の情報を対応付ける。この対応付けは、一人のユーザによる一連の操作を特定することを意味する。第1対象特定部51は、同一のユーザに関する比較情報の比較日時と予約情報の予約日時とを比較して、時間的に連続している比較情報及び予約情報を対応付けることで、一人のユーザによる一連の操作を特定する。
【0043】
続いて、第1対象特定部51は一連の操作として対応付けられた比較情報及び予約情報を参照して、比較情報に含まれ且つ予約情報に含まれない施設及びプランの組合せを抽出する。例えば、図3,4に示すユーザID「U001」の比較情報及び予約情報が関連付けられたとすれば、第1対象特定部51はホテルPのプランAを第1取引対象として特定する。
【0044】
第1対象特定部51は、各ユーザの各回の操作について第1取引対象を特定する。ユーザは三つ以上の施設及びプランを比較する場合があるが、この場合には、第1対象特定部51は一つの一連の操作に対して複数の第1取引対象を特定する。第1対象特定部51は第1取引対象を示す情報、すなわち施設ID及びプランIDの組合せを第2対象抽出部52に出力する。
【0045】
第2対象抽出部52は、第1取引対象である施設及びプランの組合せと比較され、且つユーザにより予約された施設及びプランの組合せを第2取引対象として抽出する手段である。第2対象抽出部52は入力された1以上の第1取引対象のそれぞれについて以下の処理を実行する。
【0046】
まず、第2対象抽出部52は比較履歴データベース32及び予約実績データベース33を参照して、一連の操作において第1取引対象と比較され且つその後予約の申込みがあった施設及びプランの組合せを特定する。例えば、図3,4に示すユーザID「U001」の比較情報及び予約情報が互いに関連付けられ、ユーザID「U003」の比較情報及び予約情報が互いに関連付けられたとすれば、第1対象特定部51はホテルQのプランCと旅館RのプランXとを、第1取引対象「ホテルPのプランA」に対応する第2取引対象として抽出する。このように、一つの第1取引対象に対して複数の第2取引対象が抽出されうる。
【0047】
第2対象抽出部52は、各第1取引対象について1以上の第2取引対象を抽出すると、第1取引対象と第2取引対象との組合せを示す情報を推薦情報生成部53に出力する。
【0048】
推薦情報生成部53は、第2対象抽出部52から入力された第1及び第2の取引対象の情報に基づいて、プラン情報に関する提案を示す推薦情報を生成し、その推薦情報を送信部54に出力する手段である。推薦情報生成部53は入力された第1及び第2の取引対象の組のそれぞれについて推薦情報を生成する。
【0049】
推薦情報の生成方法は限定されない。例えば、推薦情報生成部53は入力された第2取引対象の施設情報及びプラン情報を施設データベース31から取得し、その施設情報及びプラン情報を用いて推薦情報を生成してもよい。あるいは、推薦情報生成部53は第2取引対象のプラン情報のみを用いて推薦情報を生成してもよい。これは、施設情報が設備などのハードウェア面に関する情報であって、宿泊施設にとっては設備に関する提案を得ても容易に対応することが困難であるのに対して、プラン情報はソフトウェア面に関する情報であって、宿泊施設は比較的容易に宿泊プランを変更できるからである。
【0050】
また、推薦情報生成部53は被検索数、予約数、あるいは転換率(コンバージョン・レート。アクセス数に対して取引(注文)が成立する確率)を基準に第2取引対象を順位付け又は選択することで、多くの予約が見込まれるプランを作成し得るような推薦情報を生成してもよい。一例として、推薦情報生成部53は被検索数、予約数、あるいは転換率の降順に第2取引対象を順位付けし、順位が高い第2取引対象の情報ほどより強く推薦するような推薦情報を生成してもよい。あるいは、推薦情報生成部53は被検索数、予約数、あるいは転換率についての閾値を予め保持し、被検索数、予約数、あるいは転換率が当該閾値以上の第2取引対象の情報のみを用いて推薦情報を生成してもよい。
【0051】
推薦情報生成部53はこれらの指標を用いて、例えば、「ニーズの高い『蟹+連泊』のプランαと、転換率の高い『マッサージ+エステ』のプランβがお勧めです」というような推薦情報を生成する。
【0052】
このように推薦情報の生成方法は任意であるが、いずれにしても、推薦情報生成部53は生成した推薦情報を送信部54に出力する。なお、推薦情報は、宿泊施設がそのまま流用することが可能な新プランの情報として表現されてもよいし、あくまでも宿泊施設が新プランを作成する際の統計情報として表現されてもよい。
【0053】
送信部54は、入力された推薦情報を、第1取引対象に対応する宿泊施設の提供者端末20に送信する手段である。これによりその宿泊施設に推薦情報が提示される。
【0054】
次に、図7を用いて、情報提供装置50の動作を説明するとともに本実施形態に係る情報提供方法について説明する。
【0055】
まず、第1対象特定部51が、比較対象として選択されたが予約されなかった施設及びプランの組合せを第1取引対象として特定する(ステップS11、特定ステップ)。具体的には、第1対象特定部51は一連の操作として対応付けられた比較情報及び予約情報を参照して、比較情報に含まれ且つ予約情報に含まれない施設及びプランの組合せを第1取引対象として特定する。
【0056】
続いて、第2対象抽出部52が、第1取引対象と比較され且つ予約の申込みを受けた施設及びプランの組合せを第2取引対象として抽出する(ステップS12、抽出ステップ)。具体的には、第2対象抽出部52は比較履歴データベース32及び予約実績データベース33を参照して、一連の操作において第1取引対象と比較され且つその後予約の申込みがあった施設及びプランの組合せを抽出する。
【0057】
続いて、推薦情報生成部53が、抽出された第2取引対象の施設情報及びプラン情報に基づいて、上述したような様々な手法のいずれかを用いて、第1取引対象の提供者に示す推薦情報を生成する(ステップS13、生成ステップ)。そして、送信部54が生成された推薦情報を第1取引対象に対応する提供者端末20に送信する(ステップS14、提示ステップ)。これにより、第1取引対象に対応する宿泊施設の管理者はユーザのニーズを把握することができ、そのニーズに合致する宿泊プランを検討することができる。
【0058】
次に、図8を用いて、コンピュータを情報提供装置50として機能させるための情報提供プログラムを説明する。
【0059】
情報提供プログラムP1は、メインモジュールP10、第1対象特定モジュールP11、第2対象抽出モジュールP12、推薦情報生成モジュールP13、及び送信モジュールP14を備えている。
【0060】
メインモジュールP10は、情報提供機能を統括的に制御する部分である。第1対象特定モジュールP11、第2対象抽出モジュールP12、推薦情報生成モジュールP13、及び送信モジュールP14を実行することにより実現される機能はそれぞれ、上記の第1対象特定部51、第2対象抽出部52、推薦情報生成部53、及び送信部54の機能と同様である。
【0061】
情報提供プログラムP1は、例えば、CD−ROMやDVD−ROM等の記録媒体または半導体メモリに固定的に記録された態様で提供される。また、情報提供プログラムP1は、搬送波に重畳されたコンピュータデータ信号として通信ネットワークを介して提供されてもよい。
【0062】
以上説明したように、本実施形態によれば、比較情報に含まれ且つ注文情報に含まれない第1取引対象が特定される。この第1取引対象は、ユーザに他の取引対象と比較はされたが、注文まで至らなかった取引対象である。続いて、その第1取引対象と比較され且つ注文された第2取引対象が抽出され、当該第2取引対象の情報に基づいて推薦情報が生成され、その推薦情報が第1取引対象の提供者に提示される。このように、注文に結びつかなかった第1取引対象の提供者に対して、当該第1取引対象との比較の末に注文を受けた第2取引対象の情報を提示することで、当該提供者はユーザのニーズを知ることができる。
【0063】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0064】
上記実施形態では本発明を宿泊予約システムに適用したが、本発明は、商品購入を受け付ける仮想商店街のシステムや、ゴルフ場(ゴルフコンペのプラン)の予約を受け付けるシステムなどにも適用可能である。したがって、取引対象も宿泊施設の部屋及び宿泊プランに限定されず、有体物又は無体物の商品(サービス)であってもよいし、ゴルフ場などの共用施設の利用であってもよい。固定情報及び付加情報で示される属性は取引対象ごとに異なる。例えば取引対象が文房具であれば、文房具そのものの属性(寸法や色、機能など)は固定情報で示され、提供者が変更可能な属性(送料や増量の有無など)は付加情報で示される。
【0065】
上記実施形態における予約管理装置40及び情報提供装置50は一つの装置(サーバ)に統合してもよい。その場合には、情報提供装置は、比較情報を生成して比較履歴データベース32に格納する比較情報登録部や、予約情報を生成して予約実績データベース33に登録する予約情報登録部の機能なども備える。
【符号の説明】
【0066】
1…宿泊予約システム、10…ユーザ端末、20…提供者端末、30…データベース群、31…施設データベース、32…比較履歴データベース、33…予約実績データベース、40…予約管理装置、50…情報提供装置、51…第1対象特定部、52…第2対象抽出部、53…推薦情報生成部、54…送信部、P1…情報提供プログラム、P10…メインモジュール、P11…対象特定モジュール、P12…対象抽出モジュール、P13…推薦情報生成モジュール、P14…送信モジュール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが複数の取引対象を比較したことを示す比較情報を記憶する比較情報記憶部と、ユーザが他の取引対象と比較した上で注文した取引対象を示す注文情報を記憶する注文情報記憶部とを参照して、前記比較情報に含まれ、且つ該比較情報に対応する前記注文情報に含まれない取引対象を第1取引対象として特定する特定部と、
前記比較情報記憶部及び前記注文情報記憶部を参照して、前記第1取引対象と比較され且つユーザに注文された第2取引対象を抽出する抽出部と、
取引対象情報を記憶する取引対象記憶部から読み出した前記第2取引対象の取引対象情報に基づいて推薦情報を生成する生成部と、
前記推薦情報を第1取引対象の提供者に提示する提示部と
を備える情報提供装置。
【請求項2】
前記生成部が、前記比較情報記憶部を参照して前記第2取引対象の検索数を求め、該検索数が所定の閾値以上である第2取引対象の取引対象情報に基づいて前記推薦情報を生成する、
請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記生成部が、前記比較情報記憶部及び前記注文情報記憶部を参照して前記第2取引対象の転換率を求め、該転換率が所定の閾値以上である第2取引対象の取引対象情報に基づいて前記推薦情報を生成する、
請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記取引対象情報が、取引対象そのものの属性を示す固定情報と、該取引対象の付加属性を示す付加情報とを含み、
前記生成部が、前記第2取引対象の固定情報を用いることなく、該第2取引対象の付加情報に基づいて前記推薦情報を生成する、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記比較情報が、複数の取引対象のウェブページの間でページ遷移が発生した場合に当該複数の取引対象を関連付けることで生成されたものである、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の情報提供装置。
【請求項6】
前記比較情報が、所定の時間範囲内において所定時間以上表示された複数のウェブページに対応する複数の取引対象を関連付けることで生成されたものである、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の情報提供装置。
【請求項7】
前記比較情報が、複数の取引対象について同じページ遷移の操作が発生した場合に当該複数の取引対象を関連付けることで生成されたものである、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の情報提供装置。
【請求項8】
情報提供装置により実行される情報提供方法であって、
ユーザが複数の取引対象を比較したことを示す比較情報を記憶する比較情報記憶部と、ユーザが他の取引対象と比較した上で注文した取引対象を示す注文情報を記憶する注文情報記憶部とを参照して、前記比較情報に含まれ、且つ該比較情報に対応する前記注文情報に含まれない取引対象を第1取引対象として特定する特定ステップと、
前記比較情報記憶部及び前記注文情報記憶部を参照して、前記第1取引対象と比較され且つユーザに注文された第2取引対象を抽出する抽出ステップと、
取引対象情報を記憶する取引対象記憶部から読み出した前記第2取引対象の取引対象情報に基づいて推薦情報を生成する生成ステップと、
前記推薦情報を第1取引対象の提供者に提示する提示ステップと
を含む情報提供方法。
【請求項9】
ユーザが複数の取引対象を比較したことを示す比較情報を記憶する比較情報記憶部と、ユーザが他の取引対象と比較した上で注文した取引対象を示す注文情報を記憶する注文情報記憶部とを参照して、前記比較情報に含まれ、且つ該比較情報に対応する前記注文情報に含まれない取引対象を第1取引対象として特定する特定部と、
前記比較情報記憶部及び前記注文情報記憶部を参照して、前記第1取引対象と比較され且つユーザに注文された第2取引対象を抽出する抽出部と、
取引対象情報を記憶する取引対象記憶部から読み出した前記第2取引対象の取引対象情報に基づいて推薦情報を生成する生成部と、
前記推薦情報を第1取引対象の提供者に提示する提示部と
をコンピュータに実行させる情報提供プログラム。
【請求項10】
ユーザが複数の取引対象を比較したことを示す比較情報を記憶する比較情報記憶部と、ユーザが他の取引対象と比較した上で注文した取引対象を示す注文情報を記憶する注文情報記憶部とを参照して、前記比較情報に含まれ、且つ該比較情報に対応する前記注文情報に含まれない取引対象を第1取引対象として特定する特定部と、
前記比較情報記憶部及び前記注文情報記憶部を参照して、前記第1取引対象と比較され且つユーザに注文された第2取引対象を抽出する抽出部と、
取引対象情報を記憶する取引対象記憶部から読み出した前記第2取引対象の取引対象情報に基づいて推薦情報を生成する生成部と、
前記推薦情報を第1取引対象の提供者に提示する提示部と
をコンピュータに実行させる情報提供プログラムを記憶するコンピュータ読取可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−30109(P2013−30109A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167309(P2011−167309)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【特許番号】特許第5044035号(P5044035)
【特許公報発行日】平成24年10月10日(2012.10.10)
【出願人】(399037405)楽天株式会社 (416)