説明

情報機器の配線構造

【目的】 各種装置の情報機器への取り付けにおいて、取り付ける回路基板として片面回路基板を用いることができ、取り付け部材の積層においても小型化が可能な情報機器の配線構造を提供する。
【構成】 情報処理を行うための処理手段が設けられたメイン基板1と電気的に接続される複数個の取り付け部材3を備えた情報機器において、複数個の取り付け部材3に、折り曲げ可能な回路基板2上の片面において、折り曲げ中心線26を中心線とする対称な位置に搭載される取り付け部材を含ませた配線構造とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、情報機器に関し、特に、コンピュータ、通信機能を有する情報機器、ワードプロセッサ等の携帯が可能な情報機器において、情報機器が備える各種装置間の接続を行うための配線構造に関する。
【0002】
【従来の技術】コンピュータ、通信機能を有する電子機器、ワードプロセッサ等の情報機器は種々の機能を有しており、それらの機能を実現するために機器内に各種装置を搭載したり、あるいは機器外部にある装置と接続する接続コネクタを設置している。例えば、ハードディスク駆動装置(HDD)、フロッピーディスク駆動装置(FDD)等の駆動装置は、情報機器内に内蔵したり、あるいはコネクタを介して接続可能とし、また、モデムカード、半導体メモカード、LANカード等の種々の機能を実現するためのカードは、コネクタを介して接続可能としている。
【0003】これら種々の機能を有したカードとしてPCMCIAカードが普及してきている。このPCMCIAカードは、PCMCIAとよばれる規格に従って構成されるカードであり、その用途に応じて、タイプI、タイプII、タイプIII の厚みの異なる三種類のカードが設定され、例えば、3.3mm、5mm、及び10mmの厚みを有している。そして、これら三種類のPCMCIAカードを接続するコネクタとしてカードスロットが用いられいる。
【0004】一般に、情報機器に種々の装置を取り付ける場合に、特に携帯型の情報機器では薄型化、小型化等を実現する構成が求められいる。このような構成として、例えば、前記PCMCIAカードの場合では、通常三種類のPCMCIAカードに対してカードスロットを共用することができるように、タイプIとタイプIIのPCMCIAカードは同一のカードコネクタによって対応し、タイプIII のPCMCIAカードはタイプI/タイプII用のカードコネクタを2つ重ねた構成によって対応している。
【0005】したがって、このタイプI/タイプII用のカードコネクタを2つ重ねた構成のカードスロットによって、タイプIもしくはタイプIIのPCMCIAカードを二枚、あるいはタイプIとタイプIIのPCMCIAカードを一枚ずつ、または、タイプIII のPCMCIAカードを一枚装着することができ、これによって、カードコネクタの共通化を行っている。
【0006】そのため、このような構成とするためには、PCMCIAカードを装着するためのPCMCIAコネクタを二層とした積層構造とすることが必要である。
【0007】従来、PCMCIAコネクタを二層の積層構造とする構成として、以下の構成のものが知られている。
【0008】(1)図9の(a)に示すように、リジット板あるいは薄い両面回路基板の回路基板5の両面に、該回路基板を挟むようにして第1カードコネクタ31と第2カードコネクタ32の2つのPCMCIAコネクタを取り付ける構成。
【0009】(2)図9の(b)に示すように、あらかじめ二層に積層して構成したPCMCIAコネクタを、回路基板の片面に取り付ける構成。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従来の情報機器の配線構造においては、PCMCIAコネクタ等の取り付け部材を設置する基板として両面回路基板を用いる場合には、取り付け部材を両面回路基板にはんだ付けする工数が2工程となって実装に要する手間とコストがかかり、また、スルーホールによって回路基板の面積がとられて配線に要する面積が不足し、そのため、十分な配線面積を確保するためには大きな回路基板が必要となる。
【0011】この両面回路基板の使用を避けて、片面回路基板に設置する場合には、前記したはんだ付けの工程数の増加を減少させることができるものの、積層するためにはあらかじめ取り付け部材を積層しておく必要があり、新たな工程の増加を招くことになる。
【0012】また、取り付け部材を積層して取り付ける場合に、取り付ける基板としてメイン基板等のリジット板により構成された厚い回路基板を用いる場合には、取り付け部材と回路基板の厚みが重なることになり、携帯型の情報機器の薄型化に支障が生じるという問題がある。
【0013】前記厚い回路基板に代えて薄いフレキシブル回路基板(FPC)を用いることによって、情報機器の小型化、薄型化を図ることができるが、両面フレキシブル回路基板を用いる場合には、前記した両面回路基板における問題点があるとともに、コストが高くなるという問題点が生じ、片面フレキシブル回路基板を用いる場合には、前記した工程の増加という問題点がある。
【0014】そこで、本発明は前記した従来の問題点を解決して、各種装置の情報機器への取り付けにおいて、取り付ける回路基板として片面回路基板を用いることができ、取り付け部材の積層においても小型化が可能な情報機器の配線構造を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、情報処理を行うための処理手段が設けられたメイン基板と、該メイン基板と電気的に接続される複数個の取り付け部材を備えた情報機器において、複数個の取り付け部材に、折り曲げ可能な回路基板上の片面において、折り曲げ中心線に対して対称な位置に搭載される取り付け部材を含ませた配線構造とすることによって、前記目的を達成するものである。本発明における情報機器は、コンピュータ、通信機能を有する電子機器、ワードプロセッサ等の種々の機能を有した情報機器であって、それらの機能を実現するために機器内にハードディスク駆動装置(HDD)、フロッピーディスク駆動装置(FDD)などの駆動装置等を内蔵したり、あるいは接続コネクタを介して機器外部に設けた前記装置やモデムカード、半導体メモカード、LANカード等の種々の機能を実現するためのカードと接続することができる電子機器であり、それら各種装置の配線及び該装置をメイン基板側と接続する配線を、本発明の配線構造によって行うものである。
【0016】また、本発明の取り付け部材は、情報処理の機能を拡張する装置と接続するための拡張コネクタを含むものである。
【0017】本発明の一実施態様として、拡張コネクタを含む取り付け部材を、折り曲げ可能な回路基板上の片面に搭載する際、回路基板の折り曲げ中心線に対して対称な位置であって、回路基板の共通な一辺の並列した位置に設置する配線構造とするものであり、これによって、回路基板を折り曲げたときに対称位置にある取り付け部材によって積層構造を構成することができる。
【0018】また、本発明の他の実施態様として、拡張コネクタを含む取り付け部材を、折り曲げ可能な回路基板上の片面に搭載する際、折り曲げ中心線に対して対称な位置であって、回路基板の対向する辺の並列した位置に設置する配線構造とするものであり、これによって、回路基板を折り曲げたときに対称位置にある取り付け部材によって積層構造を構成することができる。
【0019】また、本発明の他の実施態様として、拡張コネクタを含む取り付け部材とメイン基板との電気的接続は、折り曲げ可能な回路基板の折り曲げ中心線と交差しない位置に配置された基板コネクタにより行う配線構造とするものであり、これによって、基板コネクタを変形させることなく回路基板を折り曲げることができる。
【0020】本発明の実施態様として、回路基板の折り曲げ中心線に沿って、該折り曲げ中心線と重ならない位置に補強部材を前記回路基板に貼り合わせる構造とするものであり、これによって、回路基板の折り曲げのガイドとすることができる。
【0021】また、本発明の他の実施態様として、折り曲げ中心線で折り曲げた位置において、補強部材の上面と回路基板下面とを貼り合わせる構造とするものであり、これによって、回路基板を折り曲げたときに回路基板が復元することを防止することができる。
【0022】また、本発明の他の実施態様として、回路基板と取り付け部材とが取り付けられる回路基板の取り付け部の下面に、厚み調整部材を貼り合わせる構造とするものであり、これによって、回路基板を薄くすることが可能となり、回路基板を折り曲げたときに回路基板が元に戻る復元力を減少させて、貼り合わせ部の剥がれを防止することができる。
【0023】本発明の実施態様は、取り付け部材として、情報処理の機能を拡張する装置と接続するための拡張コネクタを含むものであり、これによって、拡張コネクタを片面回路基板に積層して取り付けることができる。
【0024】また、本発明の他の実施態様は、拡張コネクタとしてカードコネクタを含むものであり、これによって、カードコネクタを片面回路基板に積層して取り付けることができる。
【0025】また、本発明の他の実施態様は、拡張コネクタとしてハードディスク駆動装置と接続するコネクタを含むものであり、これによって、ハードディスク駆動装置を片面回路基板に積層して取り付けることができる。
【0026】また、本発明の他の実施態様は、拡張コネクタとしてフロッピーディスク駆動装置と接続するコネクタを含むものであり、これによって、フロッピーディスク駆動装置を片面回路基板に積層して取り付けることができる。
【0027】本発明の実施態様として、折り曲げ可能な回路基板上において、コネクタを他の取り付け部材が搭載された辺と対向する辺に配設するものであり、これによって、コネクタと他の取り付け部材との干渉を避けることができる。
【0028】本発明の他の実施態様として、折り曲げ可能な回路基板上において、コネクタを他の取り付け部材が搭載された辺と隣接する辺に配設するものであり、これによって、コネクタと他の取り付け部材との干渉を避けることができる。
【0029】本発明の実施態様として、複数個の取り付け部材は入出力装置と接続するコネクタを含み、折り曲げ中心線に対して他の取り付け部材と非対称な位置に配置するものであり、これによって、コネクタと他の取り付け部材との干渉を避けることができる。
【0030】また、本発明の実施態様として、情報処理を行うための処理手段が設けられたメイン基板と、該メイン基板と電気的に接続され、情報機器の機能を拡張するための拡張カードを収納する拡張カードスロットを有し、該拡張カードスロットを第1カードコネクタ及び第2カードコネクタとを積み重ねて構成し、第1カードコネクタと第2カードコネクタにはそれぞれ薄型の拡張カードが一枚ずつ装着可能であり、第1カードコネクタと第2カードコネクタのいずれか一方のカードコネクタには厚型の拡張カードが一枚装着可能な情報機器において、メイン基板には、第1カードコネクタ及び第2カードコネクタと接続するための第1メイン基板コネクタを搭載し、該第1メイン基板コネクタと連結する片面に配線パターンが形成された折り曲げ可能な回路基板には、第1メイン基板コネクタと連結する第2メイン基板コネクタと、回路基板の一辺に第1カードコネクタと第2カードコネクタとを並列的に搭載し、第2メイン基板コネクタと第1カードコネクタ及び第2カードコネクタは、それぞれ折り曲げ可能な回路基板上に形成さた配線パターンによって電気的に接続し、折り曲げ可能な回路基板は、第1カードコネクタと第2カードコネクタの中心線を折り曲げ線とする回路基板の折り曲げによって、第1カードコネクタ及び第2カードコネクタを折り曲げた回路基板を境に背面関係の位置に積層する配線構造とするものであり、これによって、片面回路基板の片面に設置した第1カードコネクタ及び第2カードコネクタを積層して、情報機器を小型化することができる。
【0031】
【作用】本発明によれば、情報処理を行うための処理手段が設けられたメイン基板に対して電気的に接続される複数個の取り付け部材の内で、積層させる取り付け部材を、折り曲げ可能な回路基板上の片面の折り曲げ中心線に対して対称な位置に設置する配線構造とする。そして、この配線構造の回路基板を折り曲げ中心線に沿って折り曲げると、折り曲げ中心線に対して対称な位置に設置された取り付け部材は、積み重ねられて積層された構成とすることができ、この構成によって情報機器を小型化することができる。
【0032】この配線構造により積層される取り付け部材として情報処理の機能を拡張する装置と接続するための拡張コネクタを用いる場合には、拡張コネクタを積層することができる。
【0033】取り付け部材を、回路基板の片面上の折り曲げ中心線に対して対称な位置に設置する設置態様として、回路基板の共通な一辺の並列した位置に設置する配線構造、あるいは、回路基板の対向する辺の並列した位置に設置する配線構造とすることができ、これによって、回路基板を折り曲げたときに対称位置にある取り付け部材によって積層構造を構成することができる。
【0034】補強部材は回路基板の折り曲げのガイドとしての機能を有しており、補強部材を回路基板の折り曲げ中心線に沿って、該折り曲げ中心線と重ならない位置に貼り合わせ、この補強部材に沿って回路基板の折り曲げると、回路基板の折り曲げ処理を容易に行うことができる。また、折り曲げられた回路基板は、その回路基板の持つ復元力によって元の形状に戻ろうとするが、折り曲げ中心線で折り曲げた位置において、補強部材の上面と回路基板下面とを貼り合わせて、折り曲げた状態を保持することにより、回路基板の復元を防止することができる。
【0035】また、回路基板と取り付け部材とが取り付けられる回路基板の取り付け部の下面に設けられる厚み調整部材は、厚みの薄い回路基板の使用を可能とするとともに、該薄い回路基板の使用によって生ずる両取り付け部材間のピッチずれを調整するたとができ、さらに、該厚み調整部材を回路基板に貼り合わせることにより、折り曲げた状態を保持して回路基板が元に戻る復元力を減少させて、貼り合わせ部が剥がれることを防止することができる。
【0036】拡張コネクタを含む取り付け部材とメイン基板との電気的接続を、折り曲げ可能な回路基板の折り曲げ中心線と交差しない位置に配置された基板コネクタにより行う配線構造とすると、回路基板を折り曲げの際には、回路基板は折り曲げ中心線付近のみ変形し、基板コネクタの設置された箇所は変形しない。そのため、支障なく回路基板の折り曲げを行うことができ、また、基板コネクタの変形を避けることができる。
【0037】取り付け部材として、情報処理の機能を拡張する装置と接続するための拡張コネクタを含むことができる。この拡張コネクタとしては、例えば、カードコネクタやハードディスク駆動装置と接続するコネクタやフロッピーディスク駆動装置と接続するコネクタを用いることができ、本発明の配線構造によって、これら拡張コネクタを片面回路基板に積層して取り付けることができる。
【0038】折り曲げ可能な回路基板上において、コネクタを他の取り付け部材が搭載された辺と対向する辺、あるいは、他の取り付け部材が搭載された辺と隣接する辺、に配設すると、回路基板を折り曲げた際に、コネクタと他の取り付け部材とは異なる位置となるため、相互干渉を避けることができる。
【0039】また、入出力装置と接続するコネクタを取り付け部材として、折り曲げ中心線に対して他の取り付け部材と非対称な位置に配置すると、回路基板を折り曲げた際に、コネクタと他の取り付け部材とは異なる位置となるため、相互干渉を避けることができる。
【0040】メイン基板と折り曲げ可能な回路基板に搭載された第1カードコネクタ及び第2カードコネクタとの接続するためは、メイン基板側の第1メイン基板コネクタと折り曲げ可能な回路基板側の第2メイン基板コネクタとによって行われる。折り曲げ可能な回路基板側においては、その片面に配線パターンが形成され、第2メイン基板コネクタと、回路基板の一辺に第1カードコネクタと第2カードコネクタとを並列的に搭載する。この第2メイン基板コネクタと第1カードコネクタ及び第2カードコネクタは、それぞれ折り曲げ可能な回路基板上に形成さた配線パターンによって電気的に接続する。折り曲げ可能な回路基板は、第1カードコネクタと第2カードコネクタの中心線を折り曲げ線として折り曲げると、第1カードコネクタ及び第2カードコネクタを折り曲げた回路基板を境にした背面関係の位置に積層した配置状態となる。これによって、片面回路基板の片面に設置した第1カードコネクタ及び第2カードコネクタを積層して、情報機器を小型化することができる。
【0041】第1カードコネクタ及び第2カードコネクタとを積み重ねた構成によって、情報機器の機能を拡張するための拡張カードを収納する拡張カードスロットを構成し、第1カードコネクタと第2カードコネクタにはそれぞれ薄型の拡張カードが一枚ずつ装着可能であり、第1カードコネクタと第2カードコネクタのいずれか一方のカードコネクタには厚型の拡張カードが一枚装着可能となる。
【0042】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0043】(実施例の構成)図1は本発明の実施例を説明する斜視図であり、図2は本発明の実施例を説明する平面図である。図1,2において、本発明の配線構造による回路基板2は、例えばFPCと呼ばれる折り曲げ可能な回路基板(以下、単に回路基板という)によって形成することができる。配線パターン20は回路基板2の片方の面のパターン面28に形成され、他方の面の裏面29には配線パターンは形成されない。この片面の回路基板は、通常の片面回路基板として知られているものを用いることができる。
【0044】回路基板2の形状は任意とすることがてきるが、図示する回路基板2では第1辺21〜第4辺24を有したほぼ四角形の回路基板により構成し、第1辺21と第2辺22、及び第3辺23と第4辺24は対向している。
【0045】回路基板2の一方の面のほぼ中央の位置には、図示しないメイン基板との接続を行うための第2メイン基板コネクタ30を設置する配線パターンが形成され、また、回路基板2の同一の面の辺部には、ハードディスク駆動装置(HDD)、フロッピーディスク駆動装置(FDD)などの駆動装置やモデムカード、半導体メモカード、LANカード等の種々の機能を実現するためのカード等の取り付け部材3を接続する配線パターンが形成されている。両配線パターンは、パターン面28に形成された配線パターン20によって接続され、取り付け部材3とメイン基板は、第2メイン基板コネクタ30及び配線パターン20により電気的に接続されることになる。
【0046】取り付け部材3としては、例えば、第1カードコネクタ31、第2カードコネクタ32、ハードディスクコネクタ33、入出力装置コネクタ34等がある。第1カードコネクタ31及び第2カードコネクタ32は、モデムカード、半導体メモカード、LANカード、HDDカード等のカードを接続するためのコネクタであり、図示する実施例では、回路基板2の第1辺21a及び第2辺21bに設置される。この第1カードコネクタ31及び第2カードコネクタ32には、図2に示すような第1カードスロット機構41及び第2カードスロット機構43が併設され、情報機器の外部から情報機器のハウジングに形成された拡張スロットを介して挿入された第1カード40、第2カード42が接続される。なお、第1カードスロット機構41及び第2カードスロット機構43は、カードのカードコネクタへの挿入及び取外しを行う機構である。
【0047】図1,2に示す実施例では、第1カードコネクタ31及び第2カードコネクタ32は、回路基板2の一辺の側において中心線26(図中の一点鎖線)を挟んで対称な位置に配置されており、配線パターン20を介して第2メイン基板コネクタ30に接続され、中心線26を折り曲げ線として回路基板2を折り曲げたとき第1カードコネクタ31及び第2カードコネクタ32が積層されるよう構成している。なお、この第1カードコネクタ31及び第2カードコネクタ32を、回路基板2の対向する辺、例えば、第3辺23と第4辺24に中心線26を挟んで対称な位置に配置する構成とすることもでき、この場合にも、中心線26を折り曲げ線として回路基板2を折り曲げたとき第1カードコネクタ31及び第2カードコネクタ32が積層されるよう構成することができる。
【0048】第1カードコネクタ31及び第2カードコネクタ32が設置される回路基板2の裏面29には、図示しない厚み調整部材を取り付けることができる。この厚み調整部材は、第1カードコネクタ31と第2カードコネクタ32が積層して一つの拡張カードスロットを構成した場合に、前記回路基板の折り曲げ性を良くするために、この回路基板の厚みを薄くすると、標準化された第1カードコネクタ31と第2カードコネクタ32のピッチに対して回路基板の厚みが設定間隔よりも狭くなることを調整する機能を持つものであり、また、回路基板を折り曲げて他方の回路基板と貼り合わせることにより、回路基板が元の形状の復元する復元力を小さくして、貼り合わせ部の剥がれを防止する機能を持たせることができるものである。
【0049】また、ハードディスクコネクタ33は、情報機器が使用する記憶装置としてハードディスク駆動装置を用いる場合に、該ハードディスク駆動装置を接続するためのコネクタであり、図示する実施例では、回路基板2の第2辺22に形成した配線パターンに接続し設置している。このハードディスクコネクタ33も、第1カードコネクタ31及び第2カードコネクタ32が設置されたパターン面28と同一の面に設置され、配線パターン20を介して第2メイン基板コネクタ30に接続されている。
【0050】また、入出力装置コネクタ34は、情報機器が使用する入力装置あるいは出力装置を接続するためのコネクタであり、図示する実施例では、回路基板2の第2辺22であって、ハードディスクコネクタ33とは中心線26を挟んで反対側に形成した配線パターン25と接続可能としている。
【0051】図示する実施例において、取り付け部材3を情報機器に実装した段階では、第1カードコネクタ31と第2カードコネクタ32は、中心線26に対して対称な位置に設置することにより重なりあって積層されるのに対して、ハードディスクコネクタ33と入出力装置コネクタ34は、これとは逆に中心線26に対して対称な位置からずらして設置することによって重なりあわないようにして相互干渉を避けている。
【0052】なお、取り付け部材3と回路基板2の辺部に形成された配線パターンとの接続は、取り付け部材3の持つコネクタ内に配線パターンを挿入して配線パターンを挾持させ、コネクタ中の接点と電気的に接続することにより行ったり、あるいは接点同士をはんだ付けすることにより行うことができる。
【0053】第2メイン基板コネクタ30は、回路基板2の配線パターン20とメイン基板とを電気的に接続するものであって、回路基板2のほぼ中央部分に、折り曲げ線である中心線26と交差しない位置に配置される。図では、折り曲げ線と平行な位置に配置されている。
【0054】図2において、回路基板2において、中心線26と対称な位置に形成される二つの穴は回路基板2を情報機器に取り付けるための取り付け穴27である。
【0055】上記実施例では、取り付け部材として、第1カードコネクタ31と第2カードコネクタ32、ハードディスクコネクタ33、入出力装置コネクタ34を用い、第1カードコネクタ31と第2カードコネクタ32を第1辺21に配置して積層させ、ハードディスクコネクタ33、入出力装置コネクタ34を第2辺22に配置する例を示しているが、情報機器に接続するその他の素子を用いることもでき、また、回路基板2上において配置する辺を異ならせることもできる。この場合、回路基板2を折り曲げた状態で積層状態とする取り付け部材については中心線26に対して対称な位置に配置し、相互干渉をさける取り付け部材については中心線26に対して非対称な位置とし、対称な位置からはずれた配置とする配置関係については、前記実施例と同様である。
【0056】(実施例の作用)次に、図3の本発明の実施例の動作を説明する動作図、及び図4の本発明の実施例の回路基板を折り曲げた状態を示す平面図を用いて、前記図1,2で示した展開状態から折り曲げた状態について説明する。
【0057】図3において、左側に示すものは折り曲げた状態を示し、右側に示すものは折り曲げ前の展開状態の回路基板の一部を示している。展開状態にある回路基板2の内、第3辺23の側を中心線26を折り曲げ線として折り曲げ(図中の破線の矢印)、パターン面28が下方を向くようにして第4辺24側の回路基板の下側に配置させる。この折り曲げ動作によって、第2カードコネクタ32は第1カードコネクタ31の下側で重なる位置となって積層状態となり、一方、ハードディスクコネクタ33は入出力装置コネクタ34の下側であって重ならない位置となる。
【0058】この状態の回路基板2を情報機器に取り付けることにより、第1カードコネクタ31及び第2カードコネクタ32には第1カード40及び第2カード42が挿入可能となり、ハードディスクコネクタ33にはハードディスク44が取り付け可能となり、入出力用配線パターン25は入出力装置コネクタ34と接続可能となる。
【0059】また、図4は折り曲げた状態の回路基板2にカードを取り付けた状態を示し、積層状態にある第1カードコネクタ31と第2カードコネクタ32に第1カード40と第2カード42を挿入しており、図では第1カード40が見え、第2カード42は第1カード40の下側となっている。
【0060】次に、図5の本発明の実施例の回路基板に取り付け部材を取り付けた状態を示す斜視図、及び図6の本発明の実施例による回路基板に取り付け部材を取り付けた状態を示す平面図を用いて、前記図3,4で示した折り曲げた状態の回路基板の各取り付け部材にそれぞれの装置を接続した状態について説明する。
【0061】第1カードコネクタ31には第1カード40が取り付けられ、該第1カードコネクタ31の下側に積層された第2カードコネクタ32には第2カード42が取り付けられる。また、ハードディスクコネクタ33にはハードディスク44が取り付けれ、入出力用配線パターン25は入出力装置コネクタ34が取り付けられる。この入出力装置コネクタ34には、例えば、トラックボール45やスピーカやスイッチ類等の外部装置46が接続される。
【0062】また、回路基板2上の第2メイン基板コネクタ30にはメイン基板1側の第1メイン基板コネクタ10が接続され、回路基板2とメイン基板1との接続が行われる。
【0063】図6の平面図においては、トラックボール45を搭載したユニットを回路基板2に取り付けた様子を示している。折り曲げた状態の回路基板2において、取り付け部材が設けられていない部分は回路基板2のみの厚みであるため、この部分には前記ユニット等の装置を配置することが可能となる。図5,6の状態における断面を図8の折り曲げた状態の回路基板の断面図を用いて説明する。図8の(a)は、図6中のA−A線における断面の概略を示している。第1カードコネクタ31と第2カードコネクタ32とは積層状態にあり、回路基板2の裏面29側で各カードコネクタの裏側には厚み調整部材35が取り付けられる。この厚み調整部材35は、第1カードコネクタ31と第2カードコネクタ32の間のピッチを調整する機能や、また、回路基板を折り曲げて他方の回路基板と貼り合わせることにより、回路基板が元の形状の復元する復元力を小さくして、貼り合わせ部の剥がれを防止する機能を持つものである。
【0064】また、第2メイン基板コネクタ30にはメイン基板1側の第1メイン基板コネクタ10が接続されている。なお、第2メイン基板コネクタ30の裏面側に補強部材36を設け、回路基板2の折り曲げ時において、回路基板の折り曲げをガイドする機能を持たせることができ、さらに、この補強部材の上面と回路基板の下面とを貼り合わせることにより、折り曲げ時の形状を維持して、回路基板の復元を防止する機能を持たせることができる。
【0065】図8の(b)は、図6中のB−B線における断面の概略を示しており、折り曲げた状態の回路基板2の一方の側には入出力装置コネクタ34が配置され、他方の側にはハードディスクコネクタ33が配置されている。
【0066】次に、本発明の実施例の回路基板に各取り付け部材を介してそれぞれの装置を接続したものを情報機器に取り付け状態を、図7の本発明の実施例による回路基板を取り付けた情報機器の平面図を用いて説明する。図7に示す情報機器は、キーボード6と表示部7を有しており、回路基板2及び回路基板2に取り付けられた装置の情報機器内における位置を破線で示している。図に示す配置は、回路基板2(図中の斜線部)の薄い部分にトラックボールユニット47を配置したものであり、回路基板2の一方(図中の右側)には情報機器内に内蔵されたハードディスク44が接続され、回路基板2の他方(図中の左側)にはカード40,42が接続される。また、回路基板2の他の辺(図中の上方)には情報機器のキーボード6の下方に配置されたメイン基板と接続されている。
【0067】(実施例の効果)折り曲げた状態の回路基板において、取り付け部材が設置されていない部分の厚みは充分薄いため、情報機器における装置を配置することができ、情報機器の小型化を図ることができる。
【0068】また、片面の回路基板を用いることにより、回路基板への取り付け部材の取り付け操作が容易となり、両面回路基板を用いた場合に生じるスルーホールによる設置面積の減少を防ぐことができる。さらに、片面回路基板を単に折り曲げる簡易な操作によって回路基板の両側に取り付け部材を配置することができる。
【0069】また、回路基板に設けた一つのメイン基板コネクタによって、複数個の取り付け部材とメイン基板との接続を行うことができる。
【0070】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、各種装置の情報機器への取り付けにおいて、取り付ける回路基板として片面回路基板を用いることができ、取り付け部材の積層においても小型化が可能な情報機器の配線構造を提供ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を説明する斜視図である。
【図2】本発明の実施例を説明する平面図である。
【図3】本発明の実施例の動作を説明する動作図である。
【図4】本発明の実施例の回路基板を折り曲げた状態を示す平面図である。
【図5】本発明の実施例の回路基板に取り付け部材を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施例による回路基板に取り付け部材を取り付けた状態を示す平面図である。
【図7】本発明の実施例による回路基板を取り付けた情報機器の平面図である。
【図8】本発明の実施例の折り曲げた状態の回路基板の断面図である。
【図9】従来の回路基板を説明する断面図である。
【符号の説明】
1 メイン基板
2 回路基板
3 取り付け部材
6 キーボード
7 表示部
10,30 メイン基板コネクタ
20 配線パターン
21〜24 回路基板の辺部(第1辺〜第4辺)
25 入出力用配線パターン
26 中心線
27 取り付け穴
28 パターン面
29 裏面
31,32 カードコネクタ
33 ハードディスクコネクタ
34 入出力装置コネクタ
35 厚さ調整部材
36 補強部材
40,42 カード
41,43 カードスロット機構
44 ハードディスク
45 トラックボール
46 外部装置
47 トラックボールユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】 情報処理を行うための処理手段が設けられたメイン基板と、該メイン基板と電気的に接続される複数個の取り付け部材を備えた情報機器において、前記複数個の取り付け部材は、折り曲げ可能な回路基板上の片面において、折り曲げ中心線に対して対称な位置に搭載される取り付け部材を含むことを特徴とする情報機器の配線構造。
【請求項2】 折り曲げ中心線に対して対称な位置に搭載される取り付け部材は、折り曲げ可能な回路基板の一辺の並列した位置に設置されることを特徴とする請求項1記載の情報機器の配線構造。
【請求項3】 折り曲げ中心線に対して対称な位置に搭載される取り付け部材は、折り曲げ可能な回路基板の対向する辺の並列した位置に設置されることを特徴とする請求項1記載の情報機器の配線構造。
【請求項4】 前記複数個の取り付け部材とメイン基板との電気的接続は、折り曲げ可能な回路基板の折り曲げ中心線と交差しない位置に配置された基板コネクタにより行われることを特徴とする請求項1,2,又は3記載の情報機器の配線構造。
【請求項5】 前記回路基板の折り曲げ中心線に沿って、該折り曲げ中心線と重ならない位置に補強部材を前記回路基板に貼り合わせたことを特徴とする請求項1乃至4記載の情報機器の配線構造。
【請求項6】 前記回路基板と補強部材は、折り曲げ中心線で折り曲げた位置において、補強部材の上面と回路基板下面とを貼り合わせたことを特徴とする請求項5記載の情報機器の配線構造。
【請求項7】 前記回路基板と取り付け部材とが取り付けられる回路基板の取り付け部の下面に厚み調整部材を貼り合わせたことを特徴とする請求項1乃至6記載の情報機器の配線構造。
【請求項8】 前記取り付け部材は、情報処理の機能を拡張する装置と接続するための拡張コネクタを含むことを特徴とする請求項1乃至7記載の情報機器の配線構造。
【請求項9】 前記拡張コネクタは、カードコネクタを含むことを特徴とする請求項8記載の情報機器の配線構造。
【請求項10】 前記拡張コネクタは、ハードディスク駆動装置と接続するコネクタを含むことを特徴とする請求項8記載の情報機器の配線構造。
【請求項11】 前記拡張コネクタは、フロッピーディスク駆動装置と接続するコネクタを含むことを特徴とする請求項8記載の情報機器の配線構造。
【請求項12】 前記コネクタは、折り曲げ可能な回路基板上において、他の取り付け部材が搭載された辺と対向する辺に配設することを特徴とする請求項10,又は11記載の情報機器の配線構造。
【請求項13】 前記コネクタは、折り曲げ可能な回路基板上において、取り付け部材が搭載された辺と隣接する辺に配設することを特徴とする請求項10,又は11記載の情報機器の配線構造。
【請求項14】 前記複数個の取り付け部材は入出力装置と接続するコネクタを含み、折り曲げ中心線に対して他の取り付け部材と非対称な位置に配置されることを特徴とする請求項1乃至13記載の情報機器の配線構造。
【請求項15】 情報処理を行うための処理手段が設けられたメイン基板と、該メイン基板と電気的に接続され、情報機器の機能を拡張するための拡張カードを収納する拡張カードスロットを有し、該拡張カードスロットを第1カードコネクタ及び第2カードコネクタとを積み重ねて構成しており、第1カードコネクタと第2カードコネクタにはそれぞれ薄型の拡張カードが一枚ずつ装着可能であり、第1カードコネクタと第2カードコネクタのいずれか一方のカードコネクタには厚型の拡張カードが一枚装着可能な情報機器において、前記メイン基板には、第1カードコネクタ及び第2カードコネクタと接続するための第1メイン基板コネクタが搭載され、該第1メイン基板コネクタと連結する片面に配線パターンが形成された折り曲げ可能な回路基板には、第1メイン基板コネクタと連結する第2メイン基板コネクタと、該回路基板の一辺に第1カードコネクタと第2カードコネクタとが並列的に搭載され、前記第2メイン基板コネクタと第1カードコネクタ及び第2カードコネクタは、それぞれ折り曲げ可能な回路基板上に形成さた配線パターンによって電気的に接続され、前記折り曲げ可能な回路基板は、第1カードコネクタと第2カードコネクタの中心線を折り曲げ線とする回路基板の折り曲げによって、第1カードコネクタ及び第2カードコネクタを折り曲げた回路基板を境に背面関係の位置に積層することを特徴とする情報機器の配線構造。

【図8】
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【図9】
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【図1】
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【図2】
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【図7】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開平8−76890
【公開日】平成8年(1996)3月22日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−238434
【出願日】平成6年(1994)9月6日
【出願人】(000001960)シチズン時計株式会社 (1,939)