説明

情報自動削除取消機能を有する情報通信装置

【課題】 自動削除情報付きのコンテンツ情報を受信した側で、自動削除情報に含まれる削除条件を変更して削除条件の取消を行うことにより、自動削除の実行を取消すことが可能な情報表示装置を提供する。
【解決手段】 制御部107はコンテンツ情報削除条件変更権限を検知し、端末IDを参照してコンテンツ情報削除条件変更権限のランクを判定する。端末IDが取消可能クラスであった場合、操作者が削除条件の取消操作を行うことにより削除条件を取消することを可能とする。その後、送信元に削除条件の取消を行った旨を送信し、コンテンツ情報を指定サーバへ保存してコンテンツ情報記憶部110から完全に削除し、さらにコンテンツ情報の自動削除が完了した旨を送信元に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツ情報を自動で削除することのできる情報通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ等の情報通信端末を携帯して、会議に参加する形態が普及しつつあり、会議の場で電子データ(以下、データと略す)によるその場限りの機密資料が配布されることが多い。その場合、配布したその場限りの機密資料の確実な削除が問題となる。
この機密資料の確実な削除に係る技術として、通信される機密資料のデータにエリア限定情報を付与することで、利用場所が制限された情報を管理する技術がある(例えば、特許文献1)。
【0003】
しかしながら、特許文献1に開示されている技術は、情報の送信側の都合のみで自動削除条件が設定されるので、例えば、自動削除が設定された電子データ(以下、データと略す)による機密資料を、会議の席でダウンロードした通信端末を保持する者が、相応の権限を有する者であって、その機密資料を強制的に削除しなくても良い場合であっても、会議終了後に、その者がその通信端末を保持したまま、別の場所で開催される会議へ移動するまたは自席に戻る際、限定されたエリア外に出た瞬間に、その通信端末にダウンロードされたデータは強制的に削除されてしまうという柔軟性の欠如があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−101823
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、上記従来技術の欠点を解決するために、コンテンツ情報を受信した側で通信したコンテンツ情報の自動削除情報に含まれる削除条件を変更し、自動削除の実行を取消すことが可能な情報表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、ネットワークを介した通信または近傍の機器とのローカル通信により情報を受信し、前記受信した情報を表示する情報通信装置において、 前記ネットワークを介した通信または近傍の機器とのローカル通信によりコンテンツ情報を受信するコンテンツ情報受信手段と、前記受信したコンテンツ情報を記憶するコンテンツ情報記憶手段と、情報を表示する情報表示手段と、前記受信したコンテンツ情報の自動削除に係る自動削除情報を受信する自動削除情報受信手段と、前記受信した自動削除情報に従って対応するコンテンツ情報を削除するコンテンツ情報削除手段と、前記受信したコンテンツ情報の削除を取り消すコンテンツ情報削除取消手段と、を有し、 コンテンツ情報および前記コンテンツ情報に対応する自動削除情報を受信した場合に、前記コンテンツ情報記憶手段は前記受信したコンテンツ情報を記憶し、前記情報表示手段は前記記憶したコンテンツ情報または前記コンテンツ情報を受信した旨の情報を表示し、 前記コンテンツ情報削除手段は前記自動削除情報に含まれている削除条件を抽出し、現在時刻または自情報通信装置が存在している場所が前記抽出した削除条件に合致し、且つ前記コンテンツ情報削除取消手段が前記受信したコンテンツ情報の削除を取り消していないならば、前記対応するコンテンツ情報を前記コンテンツ情報記憶手段から自動的に削除することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、受信したコンテンツ情報に含まれる自動削除情報の削除条件を受信側で、自動削除の取消しまたは自動削除条件の変更が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の情報通信装置を含む機能ブロック図。
【図2】本発明の情報通信装置がコンテンツ情報を受信する場合のフローチャート図。
【図3】本発明の情報通信装置がコンテンツ情報を送信する場合のフローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0009】
図1は本発明の情報通信装置を含む機能ブロック図である。図1において、1は他端末、2はネットワーク、3は本発明の情報通信装置、101はNW対応部、102はタイマ部、103は場所検知部、104は削除処理部、105は自動削除情報送受信部、106はコンテンツ情報送受信部、107は制御部、108は操作部、109は情報表示部、110はコンテンツ情報記憶部を示す。
【0010】
NW対応部101は、ネットワークを介した通信を行う。
【0011】
自動削除情報送受信部105は、コンテンツ情報の自動削除に係る自動削除情報や、自動削除情報の変更取消を行った端末の端末IDおよび変更内容についての情報を送受信する。また自動削除情報に従ってコンテンツ情報の削除を完了した旨の情報を送受信する。
【0012】
コンテンツ情報送受信部106は、他端末とのコンテンツ情報の送受信を行う。タイマ部102は、現在時刻を削除処理部104に送信する。ここでタイマ部102は本装置に搭載するシステム時計を利用してもよい。場所検知部103は、本装置の現在場所を検知し、削除処理部104に送信する。ここで場所検知部103は、本装置が帰属している無線アクセスポイントのIDを取得し、前記無線アクセスポイントの設置箇所に係るデータベースにより、本装置10が存在している場所を検出するようにしてもよいし、或いはRFICタグリーダを内蔵し、各場所の壁や床などに設置されたタグを検出することで、本装置が存在している場所を検出するようにしてもよい。
【0013】
削除処理部104は、他端末1からコンテンツ情報を受信する場合は、受信したコンテンツ情報の自動削除に係る自動削除情報に従い、現在時刻または本装置が現在存在する場所が削除条件と合致するかどうかを判定し、制御部107にコンテンツ情報削除の指示を行う。また、本装置がコンテンツ情報を配信する場合は、制御部107からの指示に応じてコンテンツ情報の削除条件又コンテンツ情報削除条件変更権限を生成し、他端末1への送信を行う。
【0014】
尚、本実施例における削除条件とは、コンテンツ情報削除要求時刻と、コンテンツ情報記憶可能エリアを意味する。また、コンテンツ情報削除条件変更権限とは、コンテンツ情報に削除条件と共に付与され、削除条件の取消、または削除条件の変更を行うことが可能な権限である。それぞれ取消可能クラス、変更可能クラス、変更不可クラスと分類され、コンテンツ情報を受信した端末の端末IDを参照し、削除条件の取消、または取消条件の変更を行うことが可能な端末であるか否かを判定する。コンテンツ情報削除条件変更権限のクラスについては簡単化のため、3つのクラスで記載しているが、例えば位置情報のみ変更可能なクラスや、日時情報のみ変更可能なクラスのように、権限を細かく設定してもよい。また、端末IDを参照するだけに限らず、使用者個人を認証するいずれかの方法を用いて参照してもよい。
【0015】
制御部107は、本発明の情報通信装置3の具体的な動作の制御を行う。また、コンテンツ情報削除条件変更権限を検知し、端末IDを参照してコンテンツ情報削除条件変更権限のランクを判定する。端末IDが取消可能クラスであった場合、操作者が削除条件の取消操作を行うことにより削除条件を取消することを可能とし、変更可能クラスであった場合は、操作者が削除条件の変更操作を行うことにより削除条件を変更することを可能とする。端末IDが変更不可クラスであった場合は、削除条件の変更を行うことを不可とする。
【0016】
コンテンツ情報記憶部110は、コンテンツ情報を受信した場合に受信したコンテンツ情報を記憶する。尚、コンテンツ情報記憶部110で記憶するコンテンツ情報は、ネットワーク2を介してダウンロードを行うものとする。
【0017】
情報表示部109はLCD等を具備し、本装置の表示に係る動作を行う。他端末1からコンテンツ情報を受信する場合は、受信したコンテンツ情報や、受信したコンテンツ情報の自動削除に係る自動削除情報を表示する。さらに、コンテンツ情報削除条件変更権限が取消可能クラスか、変更可能クラスであった場合に、削除条件の取消又は変更を行うか否かを操作者に促す表示を行う。また、本装置がコンテンツ情報を配信する場合は、配信したコンテンツ情報、他端末1に送信するコンテンツ情報の自動削除に係る自動削除情報、及び他端末1から受信するコンテンツ情報の自動削除が完了した旨の情報を表示する。
【0018】
操作部108は、キーボードやタッチパネル、ポインティングデバイス等を具備し、本装置への指示を入力するためのキー等の操作を行う。
【0019】
図2は、本発明の情報通信装置3がコンテンツ情報における自動削除情報を取消または変更する場合のフローチャートを示す。社内の会議室にてコンテンツ情報を用いた会議をする場合を例として、図1および図2を用いて本発明の情報通信装置3の動作を説明する。
【0020】
図2において本装置の電源が投入されることで本機能の動作を開始する。会議の主催者よりコンテンツ情報を受信すると(S201)、コンテンツ情報記憶部110は受信したコンテンツ情報を一時的に記憶し(S202)、情報表示部109は前記記憶したコンテンツ情報を表示する。
【0021】
受信したコンテンツ情報にコンテンツ情報の自動削除に係る自動削除情報が含まれていない場合は(S203、NO)、コンテンツ情報を保存して(S204)本フローを終了する。
【0022】
受信したコンテンツ情報が機密文書であり、コンテンツ情報に削除条件が含まれている場合は(S203、YES)、受信したコンテンツ情報に含まれる削除条件を抽出し、情報表示部109に表示する(S205)。
【0023】
尚、本説明でのコンテンツ情報に付与された削除条件は、以下の通りとする。
場所:会議室1を出た場合に削除する。
時刻:午後3時を過ぎた場合に削除する。
【0024】
本装置が削除条件付きのコンテンツ情報を受信すると、制御部107にてコンテンツ情報削除条件変更権限と端末IDを照合し、本装置が取消可能クラス又は変更可能クラスであるか否かを判定する(S206)。
【0025】
本装置のコンテンツ情報削除条件変更権限が変更不可クラスであった場合(S206、NO)、受信したコンテンツ情報に予め付与された削除条件に基づき、コンテンツ情報の自動削除を行う。
【0026】
コンテンツ情報の自動削除を行う場合、タイマ部102から現在時刻を、場所検知部103から現在場所の情報をそれぞれ取得する(S207)。次に、S207で取得した現在時刻が削除条件の午後3時を過ぎているか否かを判定し(S208)、午後3時を過ぎていた場合(S208、YES)にコンテンツ情報をコンテンツ情報記憶部110から完全に削除し(S220)、コンテンツ情報の自動削除が完了した旨を送信元に送信し(S221)、フローを終了する。
【0027】
現在時刻が午後3時を過ぎていない場合(S208、NO)、次にS207で取得した現在位置が削除条件の会議室1であるか否かを判定する(S209)。現在位置が会議室1ではなかった場合(S209、NO)、本装置にて保持しているコンテンツ情報が一時削除済ではない場合(S210、NO)、コンテンツ情報の一時削除を行い(S211)、S207に戻り削除時刻に達するまで繰り返す。また、コンテンツ情報が既に一時削除されていた場合(S210、YES)、そのままS207へ戻る。
【0028】
本装置が会議室1に存在している場合(S209、YES)、さらにコンテンツ情報が一時削除されているか否かを判定し(S212)、一時削除済ではない場合(S212、NO)、なにも行わずにS207に戻る。ここで本装置が別のエリアから会議室1のエリアに戻り、会議室1のエリアから外れている間にコンテンツ情報が一時削除されていた場合(S212、YES)、コンテンツ情報を復元し(S213)、S207へ戻る。
【0029】
次に、本装置の削除条件変更権限が取消可能クラス又は変更可能クラスである場合(S206、YES)、情報表示部109は削除条件の取消又は変更を行うか否かの操作を促す表示を行う。本装置の削除条件変更権限が変更可能クラスである、又は取消可能クラスだが削除条件の取消を行わないと選択された場合(S214、NO)、さらに削除条件の変更を行うか否かを判定する(S215)。
【0030】
削除条件の変更を行わない場合(S215、NO)、受信したコンテンツ情報に予め付与された削除条件に基づき、コンテンツ情報の自動削除を行う。また、削除条件の変更を行う場合(S215、YES)、削除条件に含まれる時刻又は場所について操作部108から入力することにより変更し、コンテンツ情報に付与された削除条件を上書きする(S216)。その後、削除条件を変更した旨をコンテンツ情報の送信元に通知し(S217)、変更した削除条件に基づいてコンテンツ情報の自動削除を行う。
【0031】
本装置が削除条件変更権限の取消可能クラスであり、削除条件の取消を行うと選択した場合(S214、YES)コンテンツ情報の送信元に削除条件の取消を行った旨を送信し(S218)、コンテンツ情報を指定サーバへ保存する(S219)。次にコンテンツ情報をコンテンツ情報記憶部110から完全に削除し(S220)、コンテンツ情報の自動削除が完了した旨を送信元に送信し(S221)、フローを終了する。
【0032】
図3は、本発明の情報通信装置3がコンテンツ情報を送信する場合のフローチャートである。図1および図3を用いて本発明の情報通信装置3の動作を説明する。
【0033】
本フローは会議で使用するコンテンツ情報を他端末1に送信する場合に開始し、コンテンツ情報ごとにマルチタスク的にフローを実行する。コンテンツ情報を送信する際に、送信するコンテンツ情報に削除条件を付与するか否かを判定する(S301)。本装置の使用者の操作等により、送信するコンテンツ情報に削除条件を付与しないと判定した場合(S301、NO)、コンテンツ情報をそのまま送信し(S308)、フローを終了する。
【0034】
送信するコンテンツ情報に削除条件を付与する場合(S301、YES)、削除処理部104で削除条件を付与した自動削除情報付きのコンテンツ情報を作成し(S302)、作成した自動削除情報付きコンテンツ情報を送信する(S303)。次に、送信先の他端末1から削除条件取消情報を受信したか否かを判定する(S304)。削除条件取消情報を受信したならば(S304、YES)、前記受信した削除条件取消情報の内容を情報表示部109に表示し(S306)、削除完了情報を受信し情報表示部109にコンテンツ情報の自動削除が完了した旨を表示した後(S307)、フローを終了する。
【0035】
削除条件取消情報を受信しないならば(S304、NO)、送信先の他端末1から削除条件変更情報を受信したか否かを判定する(S305)。削除条件変更情報を受信したならば(S305、YES)、前記受信した削除条件変更情報の内容を情報表示部109に表示し(S306)、削除完了情報を受信し情報表示部109にコンテンツ情報の自動削除が完了した旨を表示した後(S307)、フローを終了する。
【0036】
削除条件変更情報を受信しないならば(S305、NO)、削除完了情報を受信し情報表示部109にコンテンツ情報の自動削除が完了した旨を表示した後(S307)、フローを終了する。
【符号の説明】
【0037】
1 他端末
2 ネットワーク
3 本発明の情報通信装置
101 NW対応部
102 タイマ部
103 場所検知部
104 削除処理部
105 自動削除情報送受信部
106 コンテンツ情報送受信部
107 制御部
108 操作部
109 情報表示部
110 コンテンツ情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介した通信または近傍の機器とのローカル通信により情報を受信し、前記受信した情報を表示する情報通信装置において、
前記ネットワークを介した通信または近傍の機器とのローカル通信によりコンテンツ情報を受信するコンテンツ情報受信手段と、前記受信したコンテンツ情報を記憶するコンテンツ情報記憶手段と、情報を表示する情報表示手段と、前記受信したコンテンツ情報の自動削除に係る自動削除情報を受信する自動削除情報受信手段と、前記受信した自動削除情報に従って対応するコンテンツ情報を削除するコンテンツ情報削除手段と、前記受信したコンテンツ情報の削除を取り消すコンテンツ情報削除取消手段と、を有し、
コンテンツ情報および前記コンテンツ情報に対応する自動削除情報を受信した場合に、前記コンテンツ情報記憶手段は前記受信したコンテンツ情報を記憶し、前記情報表示手段は前記記憶したコンテンツ情報または前記コンテンツ情報を受信した旨の情報を表示し、
前記コンテンツ情報削除手段は前記自動削除情報に含まれている削除条件を抽出し、現在時刻または自情報通信装置が存在している場所が前記抽出した削除条件に合致し、且つ前記コンテンツ情報削除取消手段が前記受信したコンテンツ情報の削除を取り消していないならば、前記対応するコンテンツ情報を前記コンテンツ情報記憶手段から自動的に削除することを特徴とする情報自動削除取消機能を有する情報通信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報通信装置であって、
前記自動削除情報受信手段が前記抽出した削除条件に従って対応するコンテンツ情報を削除した場合または前記コンテンツ情報削除取消手段が前記受信したコンテンツ情報の削除を取り消した場合に、当該コンテンツ情報を削除した旨または削除が取消された事を当該コンテンツ情報の送信元または前記送信元に対応する宛先へ通知することを特徴とするコンテンツ情報自動削除取消機能を有する情報通信装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の情報通信装置であって、
前記コンテンツ情報削除手段は、自情報通信装置のクラスが前記抽出した削除条件に含まれている取消可能クラスに合致し、且つ予め定められた取消操作が為された場合に前記受信したコンテンツ情報の削除の取消を実行することを特徴とする情報自動削除取消機能を有する情報通信装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の情報通信装置であって、
前記コンテンツ情報削除取消手段が前記受信したコンテンツ情報の削除を取り消した場合に、当該コンテンツ情報を予め定められた所定のサーバに転送し、前記転送が正常終了した後に当該コンテンツ情報を前記コンテンツ情報記憶手段から自動的に削除することを特徴とする情報自動削除取消機能を有する情報通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−20404(P2013−20404A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152575(P2011−152575)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000134707)株式会社ナカヨ通信機 (522)
【Fターム(参考)】