情報表示用パネルの製造方法
【課題】簡単な工程で表示媒体を充填でき、しかも、表示媒体を充填すべきエリアのコントロール、および、表示媒体のセル内への充填量のコントロールが容易な情報表示用パネルの製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも一方が透明な対向する2枚の基板間の隔壁13で形成されたセル14内に、少なくとも1種類以上の粒子から構成される光学的反射率および帯電性を有する少なくとも1種類以上の表示媒体3を封入し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルの製造方法において、表示媒体をセル内に充填するにあたり、隔壁上にスクリーン15を配置し、スクリーン上に表示媒体を載せ、板状部材16をスクリーンと接触させた状態でスクリーン上を移動させることで、表示媒体をセル内に充填する。
【解決手段】少なくとも一方が透明な対向する2枚の基板間の隔壁13で形成されたセル14内に、少なくとも1種類以上の粒子から構成される光学的反射率および帯電性を有する少なくとも1種類以上の表示媒体3を封入し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルの製造方法において、表示媒体をセル内に充填するにあたり、隔壁上にスクリーン15を配置し、スクリーン上に表示媒体を載せ、板状部材16をスクリーンと接触させた状態でスクリーン上を移動させることで、表示媒体をセル内に充填する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一方が透明な対向する2枚の基板間の隔壁で形成されたセル内に、少なくとも1種類以上の粒子から構成される光学的反射率および帯電性を有する少なくとも1種類以上の表示媒体を封入し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置(LCD)に代わる情報表示装置として、電気泳動方式、エレクトロクロミック方式、サーマル方式、2色粒子回転方式等の技術を用いた情報表示装置が提案されている。
【0003】
これら従来技術は、LCDと比較すると、通常の印刷物に近い広い視野角が得られる、消費電力が小さい、メモリー機能を有している等のメリットがあることから、次世代の安価な情報表示装置に使用可能な技術として考えられており、携帯端末用情報表示、電子ペーパー等への展開が期待されている。特に最近では、分散粒子と着色溶液から成る分散液をマイクロカプセル化し、これを対向する基板間に配置して成る電気泳動方式が提案され、期待が寄せられている。
【0004】
しかしながら、電気泳動方式では、液中を粒子が泳動するために液の粘性抵抗により応答速度が遅くなるという問題がある。さらに、低比重の溶液中に酸化チタン等の高比重の粒子を分散させているため沈降しやすくなっており、分散状態の安定性維持が難しく、情報表示の繰り返し書き換えの安定性に欠けるという問題を抱えている。また、マイクロカプセル化にしても、セルサイズをマイクロカプセルレベルにして、見かけ上、上述した欠点が現れにくくしているだけであって、本質的な問題は何ら解決されていない。
【0005】
一方、溶液中での挙動を利用する電気泳動方式に対し、溶液を使わず、導電性粒子と電荷輸送層とを基板の一部に組み入れる方式も提案され始めている(例えば、非特許文献1参照)。しかし、電荷輸送層、さらには電荷発生層を配置するために構造が複雑化するとともに、導電性粒子に電荷を一定に注入することは難しいため、表示書き換えの安定性に欠けるという問題もある。
【0006】
上述した種々の問題を解決するための一方法として、少なくとも一方が透明な対向する2枚の基板間の隔壁で形成されたセル内に、少なくとも1種類以上の粒子から構成される光学的反射率および帯電性を有する少なくとも1種類以上の表示媒体を封入し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルが知られている。
【非特許文献1】趙 国来、外3名、“新しいトナーディスプレイデバイス(I)”、1999年7月21日、日本画像学会年次大会(通算83回)“Japan Hardcopy’99”論文集、p.249-252
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した情報表示用パネルの製造方法において、表示媒体をセル内に充填する方法として、表示媒体をセル上方から散布してセル内に充填することが考えられる。図24は従来の表示媒体充填方法の一例を説明するための図である。図24において、上方にノズル51を有する容器52の下部に、表面上に隔壁53を設けてセル54を形成した基板55を設置し、隔壁53の頂上部にマスク57を載せて、ノズル51から表示媒体56を散布することで、表示媒体56をセル54内に充填していた。この散布方法では、充填に要する時間が長く、特に複数種類の表示媒体をセル内に充填する際、同一内容の工程を表示媒体の種類の数だけ繰り返す必要があるためより長時間を要してしまう問題があった。この問題を解消するために、セルを形成した基板上に表示媒体を載せ板状部材を移動させてスキージすることで、表示媒体をセル内に充填することも考えられるが、このスキージ方法では、表示媒体を充填すべきエリアのコントロール、および、表示媒体の充填量のコントロールが難しい問題があった。
【0008】
本発明の目的は上述した問題点を解消して、簡単な工程で表示媒体を充填でき、しかも、表示媒体を充填すべきエリアのコントロール、および、表示媒体のセル内への充填量のコントロールが容易な情報表示用パネルの製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の情報表示用パネルの製造方法は、少なくとも一方が透明な対向する2枚の基板間の隔壁で形成されたセル内に、少なくとも1種類以上の粒子から構成される光学的反射率および帯電性を有する少なくとも1種類以上の表示媒体を封入し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルの製造方法において、表示媒体をセル内に充填するにあたり、隔壁上にスクリーンを配置し、スクリーン上に表示媒体を載せ、板状部材をスクリーンと接触させた状態でスクリーン上を移動させることで、表示媒体をセル内に充填することを特徴とするものである。
【0010】
なお、本発明の情報表示用パネルの製造方法の好適例としては、隔壁で形成されたセルの位置と、スクリーンメッシュ開口部の配置位置もしくはスクリーンの孔の配置位置とを、1対1に対応するようにして行うこと、光学的反射率および帯電性の異なる複数種類の表示媒体をセル内に充填するにあたり、光学的反射率および帯電性の異なる複数種類の表示媒体の混合物をセル内に充填すること、スクリーンの目開き形状により、表示媒体を充填すべきエリアをコントロールすること、スクリーンの種類、サイズ、および、板状部材の移動条件により、表示媒体のセル内への充填量をコントロールすること、基板に電極が設けられた情報表示用パネルの製造方法であって、電極の配置位置と、スクリーンメッシュ開口部の配置位置もしくはスクリーンの孔の配置位置とを、1対1に対応するようにして行うこと、がある。
【発明の効果】
【0011】
本発明の情報表示用パネルの製造方法によれば、表示媒体をセル内に充填するにあたり、隔壁上にスクリーンを配置し、スクリーン上に表示媒体を載せ、板状部材をスクリーンと接触させた状態でスクリーン上を移動させることで、表示媒体をセル内に充填しているため、簡単な工程で充填でき、しかも、表示媒体を充填すべきエリアのコントロール、および、表示媒体のセル内への充填量のコントロールが容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
まず、本発明の製造方法に従って製造した情報表示用パネルの基本的な構成について説明する。本発明の情報表示用パネルでは、対向する基板間に封入された表示媒体に電界が付与される。付与された電界方向に沿って、帯電した表示媒体が電界の力やクーロン力などによって引き寄せられ、それら表示媒体が電界方向の変化によって移動することにより、画像等の情報表示がなされる。従って、表示媒体が、均一に移動し、かつ、表示情報の書換え安定性あるいは表示情報の継続表示安定性を維持できるように、情報表示用パネルを設計する必要がある。ここで、表示媒体を構成する粒子にかかる力は、粒子同士のクーロン力により引き付けあう力の他に、電極との電気鏡像力、分子間力、液架橋力、重力などが考えられる。
【0013】
本発明の製造方法に従って製造した情報表示用パネルの例を、図1〜図3に基づき説明する。
【0014】
図1に示す例では、少なくとも1種以上の粒子から構成される光学的反射率および帯電特性の異なる少なくとも2種類以上の表示媒体3(ここでは粒子群からなる白色表示媒体3Wと粒子群からなる黒色表示媒体3Bを示す)を、基板1と基板2との間に封入し、基板間に何らかの電圧印加手段を用いることにより発生する電界に応じて、基板1、2と垂直に移動させ、黒色表示媒体3Bを観察者に視認させて黒色の表示を行うか、あるいは、白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色の表示を行っている。なお、図1に示す例では、基板1、2との間に隔壁4を形成して複数の四角形セルを格子状に設けている(図の手前にある隔壁は省略している)。
【0015】
図2に示す例では、少なくとも1種以上の粒子から構成される光学的反射率および帯電特性の異なる少なくとも2種類以上の表示媒体3(ここでは粒子群からなる白色表示媒体3Wと粒子群からなる黒色表示媒体3Bを示す)を、基板1に設けた電極5と基板2に設けた電極6との間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1、2と垂直に移動させ、黒色表示媒体3Bを観察者に視認させて黒色の表示を行うか、あるいは、白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色の表示を行っている。なお、図2に示す例では、基板1、2との間に隔壁4を形成して複数の四角形セルを格子状に設けている(図の手前にある隔壁は省略している)。
【0016】
図3に示す例では、少なくとも1種以上の粒子から構成される1種類の光学的反射率と帯電性とを有する表示媒体3(ここでは粒子群からなる白色表示媒体3Wを示す)を、基板1に設けた電極5と電極6との間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1、2と平行に移動させ、白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色の表示を行うか、あるいは、電極6もしくは基板1を観察者に視認させて電極6もしくは基板1の色(白色表示媒体3Wとは異なる光学的反射率により発現される色)の表示を行っている。なお、図3に示す例では、基板1、2との間に隔壁4を形成して複数の四角形セルを格子状に設けている(図の手前にある隔壁は省略している)。
【0017】
以上の説明は、粒子群からなる白色表示媒体3Wを粉流体からなる白色表示媒体に、粒子群からなる黒色表示媒体3Bを粉流体からなる黒色表示媒体に、それぞれ置き換えた場合も同様に適用することが出来る。
【0018】
本発明の情報表示用パネルの製造方法における特徴は、表示媒体をセル内に充填するにあたり、隔壁上にスクリーンを配置し、スクリーン上に表示媒体を載せた状態で板状部材をスクリーンと接触させた状態でスクリーン上を移動させることで、表示媒体をセル内に充填する点にある。以下、本発明の特徴部分について、スクリーンが樹脂繊維で編んであるメッシュ状の布からなる場合、および、スクリーンが孔の開いた板からなる場合、を順に説明する。
【0019】
なお、スクリーンとして例えば用いる樹脂繊維で編んであるメッシュ状の布の材質としては、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維などの樹脂繊維のほか、金属繊維なども使用することができる。また、スクリーンとして例えば用いる孔の開いた板としては、SUS板、鋼板、銅板、アルミ板、鉄板などの金属板のほか、樹脂板、繊維補強した樹脂板や繊維補強した樹脂板の表面に金属コーティングした板などを使用することができる。さらに、板状部材(スキージともいう)の材質として、ウレタンゴム、天然ゴムのほか各種合成ゴムなどのゴム材や、ポリエステル樹脂、ナイロン樹脂、ポリアミド樹脂などの各種樹脂材や、各種ゴム材や各種樹脂材を被覆した金属板などがある。
【0020】
<スクリーンが樹脂繊維で編んであるメッシュ状の場合>
図4は本発明の情報表示用パネルの製造方法の一例を説明するための図である。図4に示す例において、11はガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂などからなる基板(図1〜図3における基板1または2に対応)、12はITO、金属などからなる電極膜(図1〜図3における電極5または6に対応)、13はセル14を形成するための隔壁(図1〜図3における隔壁4に対応)、15はポリエステルなどの樹脂繊維で編んであるメッシュ状スクリーン、16は板状部材(以下、スキージともいう)である。図4に示す例において、本発明では、表示媒体3をセル14内に充填するにあたり、隔壁13上にスクリーン15を配置し、スクリーン15上に表示媒体3を載せ、スキージ16をスクリーン15と接触させた状態でスクリーン15の一端から他端まで移動させることで、表示媒体3をスクリーン15を介してセル14内に充填している。
【0021】
本例では、スクリーン15を介してスキージ16により表示媒体3をセル14内に充填することで、表示媒体3を簡単な工程で容易にセル14内に充填することができる。特に、複数種類の表示媒体3、例えば図1〜図2に示すような情報表示用パネルを作製する際に、白色表示媒体3Wと黒色表示媒体3Bとを順番に充填できるばかりではなく、両混合物を表示媒体3とすることで、一度の操作で白色表示媒体3Wと黒色表示媒体3Bとをセル14内に充填できるため、上記効果は大きくなる。
【0022】
また、スクリーン15を用いて表示媒体3をセル14内に充填しているため、表示媒体3を充填しない部分、例えば、隔壁13の頭頂部や基板11の外側の部分、に対応するスクリーン15の部分を目封じして構成することで、表示媒体3をセル14内にのみ充填させることができ、表示媒体3を充填すべきエリアをコントロールすることができる。さらに、スクリーン15の種類、サイズを変更することで、および、スキージ16の移動条件(例えば、移動中の接触圧や移動速度などの条件)を変更することで、表示媒体3のセル14内への充填率、充填量をコントロールすることができる。
【0023】
<スクリーンが孔の開いた板状の場合>
図5は本発明の情報表示用パネルの製造方法の他の例を説明するための図である。図5に示す例において、11はガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂などからなる基板(図1〜図3における基板1または2に対応)、12はITO、金属などからなる電極膜(図1〜図3における電極5または6に対応)、13はセル14を形成するための隔壁(図1〜図3における隔壁4に対応)、21は孔22が設けられたSUS等の金属板からなるスクリーン、16は板状部材(以下、スキージともいう)である。図5に示す例において、本発明では、表示媒体3をセル14内に充填するにあたり、隔壁13上にスクリーン21を配置し、スクリーン21上に表示媒体3を載せ、スキージ16をスクリーン21と接触させた状態でスクリーン21の一端から他端まで移動させることで、表示媒体3をスクリーン21を介してセル14内に充填している。
【0024】
図5に示す例において、スクリーン21と孔22との位置関係については、(1)セル14の位置と1対1で完全に対応した位置に孔22を設ける例、(2)セル14の大きさよりも十分に小さい大きさの孔22を多数設ける例(充填量が均一になり、セル毎で充填量のバラツキがおきにくい)、(3)隔壁13の位置と完全同期し、隔壁の上には孔22が配置されないようにした例(隔壁上に表示媒体が載ることがない)、のいずれの例をも好適に用いることができる。
【0025】
また、図5に示す例において、スクリーン21に設ける孔22の大きさについては、孔22の総面積がセル14の面積の5%〜70%程度であることが好ましい。
【0026】
さらに、図5に示す例において、孔22の形状については、(1)隔壁13の形状と同じ形状の孔22とする例(例えば、隔壁が六角形ハニカムなら6角形、隔壁が四角形なら四角形)、(2)隣のセル14と混ぜたくない方向には細い形の長方形の孔22とする例(カラー用に、ラインごとに異なる色の表示媒体を充填する場合には、同じ色の方向に長辺を持ち、異なる色のセル14側が短辺となるような長方形の孔22を持つスクリーン21を使用する。または、同じ方向に長軸、短軸を持つ楕円形の孔22を持つスクリーン21を使用する。)、のいずれの例をも好適に用いることができる。
【0027】
図6〜図16はそれぞれ本発明で用いるスクリーン21における隔壁13とスクリーン21の孔22との位置関係の一例を示す図である。なお、図6〜図16の例では、隔壁13と孔22との位置関係をより明瞭に示すため、本来、スクリーン21に隠れて見えない隔壁13を図中に記載している。
【0028】
図6〜図9に示す例はいずれも四角形のセルを格子状に配置した隔壁の例を示している。図6に示す例では、四角形セルを格子状に配置した隔壁13と円形の孔22とが1対1で対応するスクリーン21の例を示している。図7に示す例では、四角形セルを格子状に配置した隔壁13と円形の小さい孔22の5個とが1対1で対応するスクリーン21の例を示している。図8に示す例では、四角形のセルを格子状に配置した隔壁13と四角形の孔22とが1対1で対応するスクリーン21の例を示している。図9に示す例では、四角形セルを格子状に配置した隔壁13と角部を丸めた四角形の孔22とが1対1で対応するスクリーン21の例を示している。
【0029】
図10〜図12に示す例はいずれも三角形セルをハニカムマトリックス状に配置した隔壁の例を示している。図10に示す例では、三角形セルをハニカムマトリックス状に配置した隔壁13と円形の孔22とが1対1で対応するスクリーン21の例を示している。図11に示す例では、三角形セルをハニカムマトリックス状に配置した隔壁13と三角形の孔22とが1対1で対応するスクリーン21の例を示している。図12に示す例では、三角形セルをハニカムマトリックス状に配置した隔壁13と円形の小さい孔22の3個とが1対1で対応するスクリーン21の例を示している。
【0030】
図13、図14に示す例はいずれも六角形セルをハニカム状に配置した隔壁の例を示している。図13に示す例では、六角形セルをハニカム状に配置した隔壁13と円形の孔22とが1対1で対応するスクリーン21の例を示している。図14に示す例では、六角形セルをハニカム状に配置した隔壁13と六角形の孔22とが1対1で対応するスクリーン21の例を示している。また、図15、図16に示す例はいずれもひし形セルを格子状に配置した隔壁13の例を示している。図15に示す例では、ひし形セルを格子状に配置した隔壁13と円形の孔22とが1対1で対応するスクリーン21の例を示している。図16に示す例では、ひし形セルを格子状に配置した隔壁13とひし形の孔22とが1対1で対応するスクリーン21の例を示している。
【0031】
図17(a)〜(d)はそれぞれ本発明で用いるスクリーン21の他の例を説明するための図である。ここで、図17(a)にその一例を示すように、スクリーン21を、例えば列方向にセル14に対応して連続した孔22を有し、行方向には3セル周期に孔22を有するよう構成することが好ましい。このように構成することで、R、G、Bの3色の表示媒体を行方向のセル14に順次充填するにあたり、スクリーン21を1列ずつずらして3回各色毎に充填することで、列方向にはR、G、Bの3色のうち1色の表示媒体を充填し、行方向にはR、G、Bの3色の表示媒体がこの順に繰り返して充填された状態とすることができる。これに対向基板を貼り合わせることでカラー表示対応の情報表示用パネルを簡単に得ることができる。また、1枚のスクリーン21をずらして充填するとR、G、B各色表示媒体をスキージするときスクリーン21に付いた前の色の表示媒体が混在することがあるので、スクリーン21は色別に用意することが好ましい。その一例として、図17(a)にR色表示媒体用、図17(b)にG色表示媒体用、図17(c)にB色表示媒体用、図17(d)に黒色表示媒体用、の例を示すように、スクリーン21の孔22の位置を、充填するセル14の位置に対応して設けておくとスクリーン位置合わせが容易となりさらに好ましい。
【0032】
図17(a)〜(d)に記載したスクリーンを用いて、RGBK色の表示媒体を順次充填するには、図17(a)、図17(b)、図17(c)に示したスクリーン21を順次取り替えて、R色表示媒体、G色表示媒体、B色表示媒体をそれぞれ別のセル内に充填後、今度は、図17(d)に示したスクリーン21に取り替えて、K色(黒色)表示媒体をすべてのセル内に充填し、各セルにおいて、R色とK色、G色とK色、B色とK色とが充填された構成の表示用パネルとする。ここで、K色(黒色)表示媒体の替わりに、W色(白色)表示媒体を用いてもカラー表示対応の情報表示用パネルを作製できる。
【0033】
図18(a)〜(c)および図19(a)〜(e)はそれぞれ本発明で用いるスクリーン21のさらに他の例を説明するための図である。図18(a)〜(c)では1表示単位を3×3個のセル14で構成する例を、図19(a)〜(e)では1表示単位を2×2個のセル14で構成する例を、それぞれ最小単位である1表示単位に対応するスクリーン21の部分のみを示して表示している。図18(a)〜(c)に示す例では、R色表示媒体用に図18(a)に示すスクリーン21を、G色表示媒体用に図18(b)に示すスクリーン21を、B色表示媒体用に図18(c)に示すスクリーン21を、それぞれ準備し、各色表示媒体の充填に各色表示媒体用のスクリーン21を用いることで、3×3個のセル14から1表示単位を構成するカラー表示用の情報表示用パネルを得ることができる。図19(a)〜(e)に示す例では、R色表示媒体用に図19(a)に示すスクリーン21を、G色表示媒体用に図19(b)に示すスクリーン21を、B色表示媒体用に図19(c)に示すスクリーン21を、W色表示媒体用に図19(d)に示すスクリーン21を、それぞれ準備し、各色表示媒体の充填に各色表示媒体用のスクリーン21を用いて充填後、各セルに共通の表示媒体とするK色表示媒体用に図19(e)に示すK用スクリーンを用いることで、2×2個のセル14から1表示単位を構成するカラー表示用の情報表示用パネルを得ることができる。ここで、K色(黒色)表示媒体の替わりに、W色(白色)表示媒体を用いてもカラー表示対応の情報表示用パネルを作製できる。
【0034】
なお、本発明において、スキージ16とは、スクリーン15(21)上をスクリーンと接触しながら移動させることが出来る板状のもの、例えば、板状のゴム材、板状の樹脂材のことを意味し、絶縁性でも導電性でも良い。スキージ16の材料としては、ウレタンゴム、天然ゴムのほか各種合成ゴムや、ポリエステル樹脂、ナイロン樹脂、ポリアミド樹脂などの各種樹脂材料の他、各種ゴム材や各種樹脂材を被覆した金属板などを使用することができる。スキージ16を用いて表示媒体を充填する場合は、スクリーンの上を1回もしくは数回繰り返すことで行う。また、セル14とは、隔壁13で囲まれた部屋を指す。セル14の形状は、電極形状に対応した長方形や正方形のほかに、電極形状とは対応しない形の、三角形や六角形などがある。セル14の大きさは、長方形であれば、1辺の長さが50μm〜1000μm程度、ハニカム(正六角形)形状の場合は、向かい合う頂点の距離が100μm〜1000μm程度、好ましくは100μm〜300μm程度である。
【0035】
図20(a)、(b)、図21(a)、(b)、図22はそれぞれ基板に電極を設けた本発明の情報表示用パネルにおける電極/隔壁/スクリーンの孔の位置関係の一例を示す図である。
【0036】
図20(a)、(b)に示す例は、いずれも、それらの部材と画素とが1対1対応している例を示している。すなわち、図20(a)、(b)に示す例では、電極5、6の立体交差部と画素とが、隔壁13で形成されたセルと画素とが、スクリーン21の孔22と画素とが、それぞれ1対1で対応する例を示している。図20(a)と図20(b)との相違は、スクリーン21に設けた孔22の配置位置である。
【0037】
図21(a)、(b)に示す例は、いずれも、それらの部材のいずれかと画素とが1対1対応していない例を示している。すなわち、図21(a)に示す例では、複数のセルが1画素分の電極に対応する例、具体的には、電極5、6の立体交差部と画素とが1対1に対応する一方、隔壁13で形成された4個のセルと画素とが、スクリーン21の4個の孔22と画素とが、それぞれ1対1に対応する例を示している。図21(b)に示す例では、1つのセル内に複数の電極が通っている例、具体的には、電極5、6の4個の立体交差部と画素とが、スクリーン21の4個の孔22と画素とが、それぞれ1対1に対応する一方、隔壁13で形成されたセルと画素とが1対1に対応する例を示している。
【0038】
図22に示す例は、それらの部材のいずれかと画素とが1対1対応でない例の他の例を示している。すなわち、図22に示す例では、電極5、6の立体交差部と画素とが、スクリーン21の孔22と画素とが、それぞれ1対1に対応する一方、隔壁13で形成された4個のセルと画素とが1対1に対応する例を示している。
【0039】
以下、本発明の対象となる情報表示用パネルを構成する各部材について説明する。
【0040】
基板については、少なくとも一方の基板は情報表示用パネル外側から表示媒体の色が確認できる透明な基板2であり、可視光の透過率が高くかつ耐熱性の良い材料が好適である。基板1は透明でも不透明でもかまわない。基板材料を例示すると、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、アクリルなどのポリマーシートや、金属シートのように可とう性のあるもの、および、ガラス、石英などの可とう性のない無機シートが挙げられる。基板の厚みは、2〜5000μmが好ましく、さらに5〜2000μmが好適であり、薄すぎると、強度、基板間の間隔均一性を保ちにくくなり、5000μmより厚いと、薄型情報表示用パネルとする場合に不都合がある。
【0041】
情報表示用パネルに電極を設ける場合の電極形成材料としては、アルミニウム、銀、ニッケル、銅、金等の金属類や酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、アンチモン錫酸化物(ATO)、導電性酸化錫、導電性酸化亜鉛等の導電金属酸化物類、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性高分子類が例示され適宜選択して用いられる。電極の形成方法としては、上記例示の材料をスパッタリング法、真空蒸着法、CVD(化学蒸着)法、塗布法等で薄膜状に形成する方法や、導電剤を溶媒や合成樹脂バインダーに混合して塗布したりする方法が用いられる。視認側であり透明である必要のある表示面側基板2に設ける電極は透明である必要があるが、背面側基板1に設ける電極は透明である必要はない。いずれの場合もパターン形成可能で導電性である上記材料を好適に用いることができる。なお、電極厚みは、導電性が確保でき光透過性に支障がなければ良く、3〜1000nm、好ましくは5〜400nmが好適である。背面側基板1に設ける電極の材質や厚みなどは上述した表示面側基板に設ける電極と同様であるが、透明である必要はない。なお、この場合の外部電圧入力は、直流あるいは交流を重畳しても良い。
【0042】
基板に設ける隔壁の高さや幅は表示にかかわる表示媒体の種類により適宜最適設定され、一概には限定されないが、隔壁の幅は2〜100μm、好ましくは3〜50μmに、隔壁の高さは10〜500μm、好ましくは10〜200μmに調整される。表示側基板と背面側基板とを重ね合わせて得られる情報表示用パネルにおけるセル形状は隔壁形状によって図23に例示するような様々な形状のものが用いられる。表示面側から見える隔壁断面部分に相当する部分(隔壁の幅によって形成されるセルの枠部の面積)はできるだけ小さくした方が良く、表示状態の鮮明さが増す。
【0043】
次に、本発明の情報表示用パネルで表示媒体として例えば用いる粉流体について説明する。なお、本発明の情報表示用パネルで用いる粉流体の名称については、本出願人が「電子粉流体(登録商標):登録番号4636931」の権利を得ている。
【0044】
本発明における「粉流体」は、気体の力も液体の力も借りずに、自ら流動性を示す、流体と粒子の特性を兼ね備えた両者の中間状態の物質である。例えば、液晶は液体と固体の中間的な相と定義され、液体の特徴である流動性と固体の特徴である異方性(光学的性質)を有するものである(平凡社:大百科事典)。一方、粒子の定義は、無視できるほどの大きさであっても有限の質量をもった物体であり、重力の影響を受けるとされている(丸善:物理学事典)。ここで、粒子でも、気固流動層体、液固流動体という特殊状態があり、粒子に底板から気体を流すと、粒子には気体の速度に対応して上向きの力が作用し、この力が重力とつりあう際に、流体のように容易に流動できる状態になるものを気固流動層体と呼び、同じく、流体により流動化させた状態を液固流動体と呼ぶとされている(平凡社:大百科事典)。このように気固流動層体や液固流動体は、気体や液体の流れを利用した状態である。本発明では、このような気体の力も、液体の力も借りずに、自ら流動性を示す状態の物質を、特異的に作り出せることが判明し、これを粉流体と定義した。
【0045】
すなわち、本発明における粉流体は、液晶(液体と固体の中間相)の定義と同様に、粒子と液体の両特性を兼ね備えた中間的な状態で、先に述べた粒子の特徴である重力の影響を極めて受け難く、高流動性を示す特異な状態を示す物質である。このような物質はエアロゾル状態、すなわち気体中に固体状もしくは液体状の物質が分散質として安定に浮遊する分散系で得ることができ、本発明の情報表示用パネルで固体状物質を分散質とするものである。
【0046】
本発明の情報表示用パネルは、少なくとも一方が透明な、対向する基板間に、例えば気体中に固体粒子が分散質として安定に浮遊するエアロゾル状態で高流動性を示す粉流体を封入するものであり、このような粉流体は、粉体の流動性を示す指数である安息角を測定できないほど流動性に富んでおり、低電界でクーロン力などにより容易に安定して移動させることができる。
本発明に表示媒体として例えば用いる粉流体とは、先に述べたように、気体の力も液体の力も借りずに、自ら流動性を示す、流体と粒子の特性を兼ね備えた両者の中間状態の物質である。この粉流体は、特にエアロゾル状態とすることができ、本発明の情報表示用パネルでは、気体中に固体状の物質が分散質として比較的安定に浮遊する状態で表示媒体として用いられる。
【0047】
次に、本発明の情報表示用パネルにおいて表示媒体を構成する表示媒体用粒子(以下、粒子ともいう)について説明する。表示媒体用粒子は、そのまま該表示媒体用粒子だけで構成して表示媒体としたり、その他の粒子と合わせて構成して表示媒体としたり、粉流体となるように調整、構成して表示媒体としたりして用いられる。
粒子には、その主成分となる樹脂に、必要に応じて、従来と同様に、荷電制御剤、着色剤、無機添加剤等を含ますことができる。以下に、樹脂、荷電制御剤、着色剤、その他添加剤を例示する。
【0048】
樹脂の例としては、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、アクリルフッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられ、2種以上混合することもできる。特に、基板との付着力を制御する観点から、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、アクリルフッ素樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂が好適である。
【0049】
荷電制御剤としては、特に制限はないが、負荷電制御剤としては例えば、サリチル酸金属錯体、含金属アゾ染料、含金属(金属イオンや金属原子を含む)の油溶性染料、4級アンモニウム塩系化合物、カリックスアレン化合物、含ホウ素化合物(ベンジル酸ホウ素錯体)、ニトロイミダゾール誘導体等が挙げられる。正荷電制御剤としては例えば、ニグロシン染料、トリフェニルメタン系化合物、4級アンモニウム塩系化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体等が挙げられる。その他、超微粒子シリカ、超微粒子酸化チタン、超微粒子アルミナ等の金属酸化物、ピリジン等の含窒素環状化合物及びその誘導体や塩、各種有機顔料、フッ素、塩素、窒素等を含んだ樹脂等も荷電制御剤として用いることもできる。
【0050】
着色剤としては、以下に例示するような、有機または無機の各種、各色の顔料、染料が使用可能である。
【0051】
黒色着色剤としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭等がある。
青色着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC等がある。
赤色着色剤としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド2等がある。
【0052】
黄色着色剤としては、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファーストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー12等がある。
緑色着色剤としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、C.I.ピグメントグリーン7、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等がある。
橙色着色剤としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGK、C.I.ピグメントオレンジ31等がある。
紫色着色剤としては、マンガン紫、ファーストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等がある。
白色着色剤としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等がある。
【0053】
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等がある。また、塩基性、酸性、分散、直接染料等の各種染料として、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルー等がある。
【0054】
無機系添加剤の例としては、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、酸化アンチモン、炭酸カルシウム、鉛白、タルク、シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミナホワイト、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、カドミウムオレンジ、チタンイエロー、紺青、群青、コバルトブルー、コバルトグリーン、コバルトバイオレット、酸化鉄、カーボンブラック、マンガンフェライトブラック、コバルトフェライトブラック、銅粉、アルミニウム粉などが挙げられる。
これらの顔料および無機系添加剤は、単独であるいは複数組み合わせて用いることができる。このうち特に黒色顔料としてカーボンブラックが、白色顔料として酸化チタンが好ましい。
上記着色剤を配合して、所望の色の表示媒体用粒子を作製できる。
【0055】
また、本発明の粒子は平均粒子径d(0.5)が、1〜20μmの範囲であり、均一で揃っていることが好ましい。平均粒子径d(0.5)がこの範囲より大きいと表示上の鮮明さに欠け、この範囲より小さいと粒子同士の凝集力が大きくなりすぎるために表示媒体としての移動に支障をきたすようになる。
【0056】
更に本発明では、各粒子の粒子径分布に関して、下記式に示される粒子径分布Spanを5未満、好ましくは3未満とする。
Span=(d(0.9)−d(0.1))/d(0.5)
(但し、d(0.5)は粒子の50%がこれより大きく、50%がこれより小さいという粒子径をμmで表した数値、d(0.1)はこれ以下の粒子の比率が10%である粒子径をμmで表した数値、d(0.9)はこれ以下の粒子が90%である粒子径をμmで表した数値である。)
Spanを5以下の範囲に納めることにより、各粒子のサイズが揃い、表示媒体の均一な移動が可能となる。
【0057】
さらにまた、各粒子の相関について、使用した粒子の内、最大径を有する粒子のd(0.5)に対する最小径を有する粒子のd(0.5)の比を50以下、好ましくは10以下とすることが肝要である。たとえ粒子径分布Spanを小さくしたとしても、互いに帯電特性の異なる粒子が互いに反対方向に動くので、互いの粒子サイズが近く、互いの粒子が当量ずつ反対方向に容易に移動できるようにするのが好適であり、それがこの範囲となる。
【0058】
なお、上記の粒子径分布および粒子径は、レーザー回折/散乱法などから求めることができる。測定対象となる粒子にレーザー光を照射すると空間的に回折/散乱光の光強度分布パターンが生じ、この光強度パターンは粒子径と対応関係があることから、粒子径および粒子径分布が測定できる。
ここで、本発明における粒子径および粒子径分布は、体積基準分布から得られたものである。具体的には、Mastersizer2000(Malvern Instruments Ltd.)測定機を用いて、窒素気流中に粒子を投入し、付属の解析ソフト(Mie理論を用いた体積基準分布を基本としたソフト)にて、粒子径および粒子径分布の測定を行なうことができる。
【0059】
表示媒体用粒子の帯電量は当然その測定条件に依存するが、情報表示用パネルにおける表示媒体用粒子の帯電量はほぼ、初期帯電量、隔壁との接触、基板との接触、経過時間に伴う電荷減衰に依存し、特に表示媒体用粒子の帯電挙動の飽和値が支配因子となっているということが分かった。
【0060】
本発明者らは鋭意検討の結果、ブローオフ法において同一のキャリア粒子を用いて、表示媒体用粒子の帯電量測定を行うことにより、表示媒体用粒子の適正な帯電特性値の範囲を評価できることを見出した。
【0061】
更に、表示媒体を気中空間で駆動する乾式の情報表示用パネルとする場合には、表示媒体を取り巻く空隙部分の気体の管理が重要であり、表示安定性向上に寄与する。具体的には、空隙部分の気体の湿度について、25℃における相対湿度を60%RH以下、好ましくは50%RH以下とすることが重要である。
この空隙部分とは、図1〜図3において、対向する基板1、基板2に挟まれる部分から、電極5、6(電極を基板内側に設けた場合)、表示媒体3(粒子群あるいは粉流体)の占有部分、隔壁4の占有部分、情報表示用パネルのシール部分を除いた、いわゆる表示媒体が接する気体部分を指すものとする。
空隙部分の気体は、先に述べた湿度領域であれば、その種類は問わないが、乾燥空気、乾燥窒素、乾燥アルゴン、乾燥ヘリウム、乾燥二酸化炭素、乾燥メタンなどが好適である。この気体は、その湿度が保持されるように情報表示用パネルに封入することが必要であり、例えば、表示媒体の充填、情報表示用パネルの組み立てなどを所定湿度環境下にて行い、さらに、外からの湿度侵入を防ぐシール材、シール方法を施すことが肝要である。
【0062】
本発明で得られる情報表示用パネルにおける基板と基板との間隔は、表示媒体が移動できて、コントラストを維持できればよいが、通常10〜500μm、好ましくは10〜200μmに調整される。
対向する基板間の気中空間における表示媒体の体積占有率は5〜70%が好ましく、さらに好ましくは5〜60%である。70%を超える場合には表示媒体の移動の支障をきたし、5%未満の場合にはコントラストが不明確となり易い。
【実施例】
【0063】
以下、本発明の実施例、比較例を示して、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記に限定されるものではない。なお、実施例および比較例の情報表示用パネルは、下記の方法にて作製したものを、下記の基準に従い、評価した。
【0064】
「表示媒体の準備」
実施例、比較例では表示媒体として、帯電特性の異なる白黒2色の表示媒体(粒子群A、粒子群B)を用いた。
粒子群Aは、アクリルウレタン樹脂EAU53B(亜細亜工業(株)製)/IPDI系架橋剤エクセルハードナーHX(亜細亜工業(株)製)にカーボンブラック(MA100三菱化学(株))4重量部、荷電制御剤ボントロンN07(オリエント化学(株)製)2重量部を添加し、混練り後、ジェットミルにて粉砕し、さらにハイブリダイザー装置(奈良機械製作所(株)製)を用いて機械的衝撃力を加えて略球状としてから分級して作製した。作製された粒子群Aは、平均粒子径が9.1μm、略球状で負帯電性の黒色粒子群であった。
粒子群Bは、ターシャリーブチルメタクリレ−トモノマー80重量部とメタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチルモノマ−20重量部に0.5重量部のAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を溶解し、カップリング剤処理して親油性とした酸化チタン20重量部を分散させて得られた液を、10倍量の0.5%界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム)水溶液に懸濁、重合させ、濾過、乾燥させた後、分級機(MDS−2:日本ニュ−マチック工業)を用いて作製した。作製された粒子群Bは、平均粒子径が8.5μmで正帯電性の球状白色粒子であり、これを粒子群Bとした。
【0065】
「パネル基板の作製」
ITO電極付きガラス製透明基板(7cm×7cm□)を準備し、一方の基板上に高さ50μmのリブを作り、四角形、格子状配置の隔壁を形成した。
隔壁の形成は次のように行った。感光性フィルムであるニチゴーモートン社製ドライフィルムフォトレジストNIT250をITO付ガラス上にラミネートし、露光、現像により、所望とするライン30μm、スペース320μm、ピッチ350μmの隔壁を形成した。もう一方の基板には、ITO電極付きガラス製透明基板(7cm×7cm□)を準備した。
【0066】
スクリーンが樹脂繊維で編んであるメッシュ状の実施例
<実施例1(混合した2色の表示媒体を充填する例:ガラス基板)>
帯電特性の異なる白黒2種類の表示媒体(粒子群Aと粒子群B)を予め所定の混合割合で混合して表示媒体3とし、図4に示した表示媒体3の充填方法に従ってセル14内に充填し、対向基板を貼り合わせて情報表示用パネルとした。表示媒体の充填条件は、以下の通りとした。
【0067】
・スクリーン15の構成
ポリエステル製、100メッシュ(100本/インチ)、線径:55μm、開孔率(目開き):61%
・スキージ16の構成
ウレタンゴム製
・基板11の構成
ITO電極を備えるガラス基板(隔壁13付き)
・スキージ条件
スクリーン15と基板11(隔壁13の頭頂部)とのギャップ:3mm(スキージ時は押し圧によりスクリーン15と基板11とは接触)、スキージ速度:10cm/s
・充填量:15g/m2
【0068】
本例における情報表示用パネルの製造工程中、表示媒体の充填について評価したところ、基板全面にわたり充填量が均一であり、白黒のムラも目視では見られなかった。結果を表1に示す。
【0069】
<実施例2(2色の表示媒体を順番に充填する例:ガラス基板)>
帯電特性の異なる白黒2種類の表示媒体(粒子群Aと粒子群B)を表示媒体3とし、順番に、図5に示した表示媒体3の充填方法に従ってセル14内に充填し、対向基板を貼り合わせて情報表示用パネルとした。表示媒体の充填条件は、以下の通りとした。
【0070】
・スクリーン15の構成
ポリエステル製、100メッシュ(100本/インチ)、線径:55μm、開孔率(目開き):61%
・スキージ16の構成
ウレタンゴム製
・基板11の構成
ITO電極を備えるガラス基板(隔壁13付き)
・スキージ条件
スクリーン15と基板11(隔壁13の頭頂部)とのギャップ:3mm(スキージ時は押し圧によりスクリーン15と基板11とは接触)、スキージ速度:10cm/s
・充填量:15g/m2
【0071】
本例における情報表示用パネルの製造工程中、表示媒体の充填について評価したところ、基板全面にわたり充填量が均一であり、白黒のムラも目視では見られなかった。結果を表1に示す。
【0072】
<実施例3(2色の表示媒体を同時に充填する例:樹脂基板)>
帯電特性の異なる2種類の表示媒体(粒子群Aと粒子群B)を、スクリーン21を用いて同時にセル14内にした。スクリーン15として、ポリエステル製、100メッシュ(100本/インチ)、線径:55μm、開孔率(目開き):61%のものを用いた。ITO電極付きPET基板11上に、対角長さが300μmの正六角形のセル14を隔壁13により作製した。隔壁13の高さは50μmとした。
【0073】
粒子群Bと粒子群Aとを、重量で1対1.2の比率で混合した表示媒体を準備した。基板上に上記スクリーン15を配置し、混合した表示媒体をスクリーン15上に載せ、スクリーン15上をウレタンゴム製のスキージ16を2往復させて、セル14内に混合表示媒体を充填した。ウレタンゴム製スキージ16は、ゴム硬度90°のものを使用した。混合表示媒体を同時に充填した基板と対向基板とを貼り合わせて情報表示用パネルを作製した。混合表示媒体の充填量は、25g/m2とした。
【0074】
本方法で作製した情報表示用パネルは、基板全面わたり充填量が均一であり、白黒のムラも目視では確認できなかった。結果を表1に示す。
【0075】
<比較例1>
ITO電極付きガラス製透明基板の上に、実施例1と同様の隔壁を形成した基板上に、直接2種類の表示媒体を混合した表示媒体を置き、基板表面(隔壁の頭頂部)と直接接触するようにスキージを行った。なお、使用した表示媒体、電極、スキージ条件等は実施例1と同様とした。本例における情報表示用パネルの製造工程中、表示媒体の充填について評価したところ、基板に十分な量の充填ができず、場所によっては表示媒体がほとんど入っていない部分が目視で確認できた。結果を表1に示す。
【0076】
【表1】
【0077】
スクリーンが孔の開いた金属板からなる場合の実施例
<実施例11(2色の表示媒体を順番に充填する例:ガラス基板)>
帯電特性の異なる2種類の表示媒体(粒子群Aと粒子群B)を、スクリーン21を用いて順番にセル14内に充填した。スクリーン21として、厚さ80μmのステンレス板に、直径100μmの孔22をセル14の位置に対応させて設けたものを用いた。ITO電極付きガラス基板11上に、320μm×320μmの正方形のセル14を隔壁13により作製した。セル14の面積に対するスクリーン21の孔22の面積は7.6%であった。隔壁13の高さは50μmとした。
【0078】
はじめに、基板11上に上記スクリーン21を配置し、黒色粒子群(粒子群A)をスクリーン21上に載せ、スクリーン21上をウレタンゴム製のスキージ16を2往復させて、セル14内に黒色粒子群を充填した。次に、同じ大きさの孔22の開いたスクリーン21上に、白色粒子群(粒子群B)を載せ、同じくウレタンゴム製のスキージ16を3往復させて、セル14内に白色粒子群を充填した。ウレタンゴム製スキージ16は、ゴム硬度90°のものを使用した。黒色粒子群、白色粒子群を順次充填した基板と対向基板と貼り合わせて情報表示用パネルを作製した。充填量は、黒色粒子群、白色粒子群とも、8g/m2とした。
【0079】
本方法で作製した情報表示用パネルは、基板全面わたり充填量が均一であり、白黒のムラも目視では確認できなかった。結果を表2に示す。
【0080】
<実施例12(2色の表示媒体を順番に充填する例:樹脂基板)>
帯電特性の異なる2種類の表示媒体(粒子群Aと粒子群B)を、スクリーン21を用いて順番にセル14内に充填した。スクリーン21として、厚さ80μmのステンレス板に、直径80μmの孔22をセル14の位置に対応させて設けたものを用いた。ITO電極付きPET基板11上に、対角長さが300μmの正六角形のセル14を隔壁13により作製した。セル14の面積に対するスクリーン21の孔22の面積は8.6%であった。隔壁13の高さは60μmとした。
【0081】
はじめに、基板11上に上記スクリーン21を配置し、黒色粒子群(粒子群A)をスクリーン21上に載せ、スクリーン21上をウレタンゴム製のスキージ16を2往復させて、セル14内に黒色粒子群を充填した。次に、同じ大きさの孔22の開いたスクリーン21上に、白色粒子群(粒子群B)を載せ、同じくウレタンゴム製のスキージ16を3往復させて、セル14内に白色粒子群を充填した。ウレタンゴム製スキージ16は、ゴム硬度90°のものを使用した。黒色粒子群、白色粒子群を順次充填した基板と対向基板と貼り合わせて情報表示用パネルを作製した。充填量は、黒色粒子群、白色粒子群とも、8g/m2とした。
【0082】
本方法で作製した情報表示用パネルは、基板全面わたり充填量が均一であり、白黒のムラも目視では確認できなかった。結果を表2に示す。
【0083】
<実施例13(2色の表示媒体を同時に充填する例:樹脂基板)>
帯電特性の異なる2種類の表示媒体(粒子群Aと粒子群B)を、スクリーン21を用いて同時にセル14内にした。スクリーン21として、厚さ80μmのステンレス板に、直径120μmの孔22をセル14の位置に対応させて設けたものを用いた。ITO電極付きPET基板11上に、対角長さが300μmの正六角形のセル14を隔壁13により作製した。セル14の面積に対するスクリーン21の孔22の面積は19%であった。隔壁13の高さは50μmとした。
【0084】
粒子群Bと粒子群Aとを、1対1.2の重量比率で混合した表示媒体を準備した。基板上に上記スクリーン21を配置し、混合した表示媒体をスクリーン21上に載せ、スクリーン21上をウレタンゴム製のスキージ16を2往復させて、セル14内に混合した表示媒体を充填した。ウレタンゴム製スキージ16は、ゴム硬度90°のものを使用した。混合した表示媒体を同時に充填した基板と対向基板とを貼り合わせて情報表示用パネルを作製した。混合表示媒体の充填量は、15g/m2とした。
【0085】
本方法で作製した情報表示用パネルは、基板全面わたり充填量が均一であり、白黒のムラも目視では確認できなかった。結果を表2に示す。
【0086】
<比較例11>
スクリーン21無しで、基板上に直接実施例13で用いた混合表示媒体を置いて、スキージ16を用いて充填を行おうとしても、表示媒体を構成する粒子が飛散して充填できなかった。結果を表2に示す。
【0087】
【表2】
【0088】
スクリーンにより複数種類の表示媒体を充填する場合の実施例
「表示媒体」
実施例、比較例では表示媒体として、帯電極性が同じで、色が異なる、R(赤色)、G(緑色)、B(青紫色)、3色の表示媒体(粒子群A、粒子群B、粒子群C)と、これら3色の表示媒体と帯電極性が異なる黒色表示媒体(粒子群K)を用いた。
【0089】
(黒色表示媒体)
メチルメタクリレートモノマー(関東化学試薬)60重量部、及び、1分子中に重合反応基を複数持つ多官能性モノマーとしてエチレングリコールジメタクリレート(和光純薬試薬)40重量部(約25mol%)に、正帯電の荷電制御剤としてニグロシン化合物(ボントロンN07:オリエント化学製)3重量部、及び、黒色顔料として、カーボンブラック(スペシャルブラック:デグッサ製)5重量部をサンドミルにより分散させ、(アクリル系及びメタクリル系)樹脂−炭化水素系樹脂ブロックコポリマー(モディパーF600:日本油脂製)5重量部を溶解させた後、さらに2重量部のラウリルパーオキサイド(パーロイルL:日本油脂製)を溶解させた液を、界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(ラテムルE−118B:花王製)を0.5%添加した精製水に懸濁、重合させ、濾過、乾燥させた後、分級機(MDS−2:日本ニューマチック工業)を用いて平均粒子径9.2μmの正帯電性黒色表示媒体用粒子を得た。
【0090】
(赤色表示媒体)
スチレンモノマー(関東化学試薬)60重量部、及び、ジビニルベンゼン(DVB−960:新日鐵化学製)40重量部(約35mol%)に、負帯電の荷電制御剤としてフェノール系縮合物(ボントロンE89:オリエント化学製)5重量部、及び、赤色顔料(C.I.ピグメントレッド2)5重量部をサンドミルにより分散させ、さらに2重量部のラウリルパーオキサイド(パーロイルL:日本油脂製)を溶解させた液を、界面活性剤としてラテムルE−118B(花王製)を0.5%添加した精製水に懸濁、重合させ、濾過、乾燥させた後、分級機(MDS−2:日本ニューマチック工業)を用いて平均粒子径8.5μmの負帯電性赤色表示媒体用粒子を得た。
【0091】
(緑色表示媒体)
スチレンモノマー(関東化学試薬)60重量部、及び、ジビニルベンゼン(DVB−960:新日鐵化学製)40重量部(約35mol%)に、負帯電の荷電制御剤としてフェノール系縮合物(ボントロンE89:オリエント化学製)5重量部、及び、緑色顔料(C.I.ピグメントグリーン7)5重量部をサンドミルにより分散させ、さらに2重量部のラウリルパーオキサイド(パーロイルL:日本油脂製)を溶解させた液を、界面活性剤としてラテムルE−118B(花王製)を0.5%添加した精製水に懸濁、重合させ、濾過、乾燥させた後、分級機(MDS−2:日本ニューマチック工業)を用いて平均粒子径8.2μmの負帯電性緑色表示媒体用粒子を得た。
【0092】
(青紫色表示媒体)
スチレンモノマー(関東化学試薬)60重量部、及び、ジビニルベンゼン(DVB−960:新日鐵化学製)40重量部(約35mol%)に、負帯電の荷電制御剤としてフェノール系縮合物(ボントロンE89:オリエント化学製)5重量部、及び、青紫色顔料(C.I.ピグメントブルー15)5重量部をサンドミルにより分散させ、さらに2重量部のラウリルパーオキサイド(パーロイルL:日本油脂製)を溶解させた液を、界面活性剤としてラテムルE−118B(花王製)を0.5%添加した精製水に懸濁、重合させ、濾過、乾燥させた後、分級機(MDS−2:日本ニューマチック工業)を用いて平均粒子径8.4μmの負帯電性青紫色表示媒体用粒子を得た。
【0093】
[評価1]
作製した情報表示用パネルの表示媒体充填状態を光学顕微鏡で数十倍から数百倍の倍率での目視観察によって評価した。
[評価2]
作製した情報表示用パネルを情報表示装置に組み込み、250Vの電圧電源を用いて、所定のカラーテストパターンを表示させて、表示画像の品質を目視観察によって評価した。
【0094】
<実施例21(複数種類の表示媒体を順番に充填する例)>
図5に示した各セル共通に配置する色の表示媒体充填方法に従って、図17(d)に示すスクリーン21(K用スクリーン)を使用して、まず、黒色表示媒体(粒子群K)を充填し、続いてR、G、B三種類の表示媒体(粒子群A、粒子群B、粒子群C)の各別を、図5に示したセル毎に配置する色の表示媒体充填方法に従って、図17(a)〜(c)に示すスクリーン21(R用スクリーン、G用スクリーン、B用スクリーン)を順番に使用して、セル14内にR、G、Bの三色の表示媒体を行方向各別に充填し、対向基板を貼り合わせて情報表示用パネルとした。表示媒体の充填条件は、以下の通りとした。結果を表3に示す。
【0095】
・スキージ16の構成
ウレタンゴム製
・基板11の構成
ITO電極を備えるガラス基板(隔壁13付き)
・スクリーン21の構成
φ200μmの円形孔、3画素間隔(RGBに対応)で線上に配置
・スキージ条件
R、G、Bと3回に分けて、3種類のスクリーン21を使用して3回スキージ、3ライン周期でR、G、Bと選択的に表示媒体を充填
【0096】
<実施例22(複数種類の表示媒体を2種類ずつの混合表示媒体として充填する例)>
黒色表示媒体(粒子群K)と、R、G、B三種類の表示媒体(粒子群A、粒子群B、粒子群C)の各別とを所定の割合で混合した、三種類の混合表示媒体(R/K、G/K、B/K)を、図5に示したセル毎に配置する色の表示媒体充填方法に従って、図17(a)〜(c)に示すスクリーン21(ここではR用スクリーン、G用スクリーン、B用スクリーン)を順番に使用して、セル14内にR/K、G/K、B/Kの三種類の混合表示媒体を行方向各別に充填し、対向基板を貼り合わせて情報表示用パネルとした。表示媒体の充填条件は、以下の通りとした。結果を表3に示す。
【0097】
・スキージ16の構成
ウレタンゴム製
・基板11の構成
ITO電極を備えるガラス基板(隔壁13付き)
・スクリーン21の構成
φ200μmの円形孔、3画素間隔(RGBに対応)で線上に配置
・スキージ条件
R/K、G/K、B/Kと3回に分けて、三種類のスクリーン21を使用して、3回スキージ、3ライン周期でR/K、G/K、B/Kと選択的に表示媒体を充填
【0098】
<比較例21>
図24に示した従来の表示媒体充填方法に従って、図17に示す穴あき板状スクリーンをマスクとして用い、まず図17(d)に示すスクリーン21(K用スクリーン)を使用して、黒色表示媒体(粒子群K)を充填し、続いてR、G、B三種類の表示媒体(粒子群A、粒子群B、粒子群C)の各別を、図24に示した従来の表示媒体充填方法に従って、図17(a)〜(c)に示すスクリーン21(R用スクリーン、G用スクリーン、B用スクリーン)を順番に使用して、セル14内にR、G、Bの三色の表示媒体を行方向各別に充填し、対向基板を貼り合わせて情報表示用パネルとした。結果を表3に示す。
【0099】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明の製造方法で製造される情報表示用パネルは、ノートパソコン、PDA、携帯電話、ハンディターミナル等のモバイル機器の表示部、電子ブック、電子新聞、電子マニュアル(取り扱い説明書)等の電子ペーパー、看板、ポスター、黒板等の掲示板、電卓、家電製品、自動車用品等の表示部、ポイントカード、ICカード等のカード表示部、電子広告、電子POP、電子棚札、電子値札、電子楽譜、RF−ID機器の表示部などの他、外部電界形成手段によって表示書き換えを行う表示パネル(いわゆるリライタブルペーパー)などに好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の製造方法の対象となる情報表示用パネルの一例の構成を示す図である。
【図2】本発明の製造方法の対象となる情報表示用パネルの他の例の構成を示す図である。
【図3】本発明の製造方法の対象となる情報表示用パネルのさらに他の例の構成を示す図である。
【図4】本発明の情報表示用パネルの製造方法の一例を説明するための図である。
【図5】本発明の情報表示用パネルの製造方法の他の例を説明するための図である。
【図6】本発明で用いるスクリーンにおける隔壁とスクリーンの孔との位置関係の一例を示す図である。
【図7】本発明で用いるスクリーンにおける隔壁とスクリーンの孔との位置関係の他の例を示す図である。
【図8】本発明で用いるスクリーンにおける隔壁とスクリーンの孔との位置関係のさらに他の例を示す図である。
【図9】本発明で用いるスクリーンにおける隔壁とスクリーンの孔との位置関係のさらに他の例を示す図である。
【図10】本発明で用いるスクリーンにおける隔壁とスクリーンの孔との位置関係のさらに他の例を示す図である。
【図11】本発明で用いるスクリーンにおける隔壁とスクリーンの孔との位置関係のさらに他の例を示す図である。
【図12】本発明で用いるスクリーンにおける隔壁とスクリーンの孔との位置関係のさらに他の例を示す図である。
【図13】本発明で用いるスクリーンにおける隔壁とスクリーンの孔との位置関係のさらに他の例を示す図である。
【図14】本発明で用いるスクリーンにおける隔壁とスクリーンの孔との位置関係のさらに他の例を示す図である。
【図15】本発明で用いるスクリーンにおける隔壁とスクリーンの孔との位置関係のさらに他の例を示す図である。
【図16】本発明で用いるスクリーンにおける隔壁とスクリーンの孔との位置関係のさらに他の例を示す図である。
【図17】(a)〜(d)はそれぞれ本発明で用いるスクリーンの他の例を説明するための図である。
【図18】(a)〜(c)はそれぞれ本発明で用いるスクリーン21のさらに他の例を説明するための図である。
【図19】(a)〜(e)はそれぞれ本発明で用いるスクリーン21のさらに他の例を説明するための図である。
【図20】(a)、(b)はそれぞれ基板に電極を設けた本発明の情報表示用パネルにおける電極/隔壁/スクリーンの孔の位置関係の一例を示す図である。
【図21】(a)、(b)はそれぞれ基板に電極を設けた本発明の情報表示用パネルにおける電極/隔壁/スクリーンの孔の位置関係の他の例を示す図である。
【図22】基板に電極を設けた本発明の情報表示用パネルにおける電極/隔壁/スクリーンの孔の位置関係のさらに他の例を示す図である。
【図23】本発明の製造方法の対象となる情報表示用パネルにおける隔壁の形状の一例を示す図である。
【図24】従来の表示媒体充填方法の一例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0102】
1、2、11 基板
3 表示媒体
3W 白色表示媒体
3B 黒色表示媒体
4、13 隔壁
5、6 電極
12 電極膜
14 セル
15、21 スクリーン
16 板状部材(スキージ)
22 孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一方が透明な対向する2枚の基板間の隔壁で形成されたセル内に、少なくとも1種類以上の粒子から構成される光学的反射率および帯電性を有する少なくとも1種類以上の表示媒体を封入し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置(LCD)に代わる情報表示装置として、電気泳動方式、エレクトロクロミック方式、サーマル方式、2色粒子回転方式等の技術を用いた情報表示装置が提案されている。
【0003】
これら従来技術は、LCDと比較すると、通常の印刷物に近い広い視野角が得られる、消費電力が小さい、メモリー機能を有している等のメリットがあることから、次世代の安価な情報表示装置に使用可能な技術として考えられており、携帯端末用情報表示、電子ペーパー等への展開が期待されている。特に最近では、分散粒子と着色溶液から成る分散液をマイクロカプセル化し、これを対向する基板間に配置して成る電気泳動方式が提案され、期待が寄せられている。
【0004】
しかしながら、電気泳動方式では、液中を粒子が泳動するために液の粘性抵抗により応答速度が遅くなるという問題がある。さらに、低比重の溶液中に酸化チタン等の高比重の粒子を分散させているため沈降しやすくなっており、分散状態の安定性維持が難しく、情報表示の繰り返し書き換えの安定性に欠けるという問題を抱えている。また、マイクロカプセル化にしても、セルサイズをマイクロカプセルレベルにして、見かけ上、上述した欠点が現れにくくしているだけであって、本質的な問題は何ら解決されていない。
【0005】
一方、溶液中での挙動を利用する電気泳動方式に対し、溶液を使わず、導電性粒子と電荷輸送層とを基板の一部に組み入れる方式も提案され始めている(例えば、非特許文献1参照)。しかし、電荷輸送層、さらには電荷発生層を配置するために構造が複雑化するとともに、導電性粒子に電荷を一定に注入することは難しいため、表示書き換えの安定性に欠けるという問題もある。
【0006】
上述した種々の問題を解決するための一方法として、少なくとも一方が透明な対向する2枚の基板間の隔壁で形成されたセル内に、少なくとも1種類以上の粒子から構成される光学的反射率および帯電性を有する少なくとも1種類以上の表示媒体を封入し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルが知られている。
【非特許文献1】趙 国来、外3名、“新しいトナーディスプレイデバイス(I)”、1999年7月21日、日本画像学会年次大会(通算83回)“Japan Hardcopy’99”論文集、p.249-252
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した情報表示用パネルの製造方法において、表示媒体をセル内に充填する方法として、表示媒体をセル上方から散布してセル内に充填することが考えられる。図24は従来の表示媒体充填方法の一例を説明するための図である。図24において、上方にノズル51を有する容器52の下部に、表面上に隔壁53を設けてセル54を形成した基板55を設置し、隔壁53の頂上部にマスク57を載せて、ノズル51から表示媒体56を散布することで、表示媒体56をセル54内に充填していた。この散布方法では、充填に要する時間が長く、特に複数種類の表示媒体をセル内に充填する際、同一内容の工程を表示媒体の種類の数だけ繰り返す必要があるためより長時間を要してしまう問題があった。この問題を解消するために、セルを形成した基板上に表示媒体を載せ板状部材を移動させてスキージすることで、表示媒体をセル内に充填することも考えられるが、このスキージ方法では、表示媒体を充填すべきエリアのコントロール、および、表示媒体の充填量のコントロールが難しい問題があった。
【0008】
本発明の目的は上述した問題点を解消して、簡単な工程で表示媒体を充填でき、しかも、表示媒体を充填すべきエリアのコントロール、および、表示媒体のセル内への充填量のコントロールが容易な情報表示用パネルの製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の情報表示用パネルの製造方法は、少なくとも一方が透明な対向する2枚の基板間の隔壁で形成されたセル内に、少なくとも1種類以上の粒子から構成される光学的反射率および帯電性を有する少なくとも1種類以上の表示媒体を封入し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルの製造方法において、表示媒体をセル内に充填するにあたり、隔壁上にスクリーンを配置し、スクリーン上に表示媒体を載せ、板状部材をスクリーンと接触させた状態でスクリーン上を移動させることで、表示媒体をセル内に充填することを特徴とするものである。
【0010】
なお、本発明の情報表示用パネルの製造方法の好適例としては、隔壁で形成されたセルの位置と、スクリーンメッシュ開口部の配置位置もしくはスクリーンの孔の配置位置とを、1対1に対応するようにして行うこと、光学的反射率および帯電性の異なる複数種類の表示媒体をセル内に充填するにあたり、光学的反射率および帯電性の異なる複数種類の表示媒体の混合物をセル内に充填すること、スクリーンの目開き形状により、表示媒体を充填すべきエリアをコントロールすること、スクリーンの種類、サイズ、および、板状部材の移動条件により、表示媒体のセル内への充填量をコントロールすること、基板に電極が設けられた情報表示用パネルの製造方法であって、電極の配置位置と、スクリーンメッシュ開口部の配置位置もしくはスクリーンの孔の配置位置とを、1対1に対応するようにして行うこと、がある。
【発明の効果】
【0011】
本発明の情報表示用パネルの製造方法によれば、表示媒体をセル内に充填するにあたり、隔壁上にスクリーンを配置し、スクリーン上に表示媒体を載せ、板状部材をスクリーンと接触させた状態でスクリーン上を移動させることで、表示媒体をセル内に充填しているため、簡単な工程で充填でき、しかも、表示媒体を充填すべきエリアのコントロール、および、表示媒体のセル内への充填量のコントロールが容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
まず、本発明の製造方法に従って製造した情報表示用パネルの基本的な構成について説明する。本発明の情報表示用パネルでは、対向する基板間に封入された表示媒体に電界が付与される。付与された電界方向に沿って、帯電した表示媒体が電界の力やクーロン力などによって引き寄せられ、それら表示媒体が電界方向の変化によって移動することにより、画像等の情報表示がなされる。従って、表示媒体が、均一に移動し、かつ、表示情報の書換え安定性あるいは表示情報の継続表示安定性を維持できるように、情報表示用パネルを設計する必要がある。ここで、表示媒体を構成する粒子にかかる力は、粒子同士のクーロン力により引き付けあう力の他に、電極との電気鏡像力、分子間力、液架橋力、重力などが考えられる。
【0013】
本発明の製造方法に従って製造した情報表示用パネルの例を、図1〜図3に基づき説明する。
【0014】
図1に示す例では、少なくとも1種以上の粒子から構成される光学的反射率および帯電特性の異なる少なくとも2種類以上の表示媒体3(ここでは粒子群からなる白色表示媒体3Wと粒子群からなる黒色表示媒体3Bを示す)を、基板1と基板2との間に封入し、基板間に何らかの電圧印加手段を用いることにより発生する電界に応じて、基板1、2と垂直に移動させ、黒色表示媒体3Bを観察者に視認させて黒色の表示を行うか、あるいは、白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色の表示を行っている。なお、図1に示す例では、基板1、2との間に隔壁4を形成して複数の四角形セルを格子状に設けている(図の手前にある隔壁は省略している)。
【0015】
図2に示す例では、少なくとも1種以上の粒子から構成される光学的反射率および帯電特性の異なる少なくとも2種類以上の表示媒体3(ここでは粒子群からなる白色表示媒体3Wと粒子群からなる黒色表示媒体3Bを示す)を、基板1に設けた電極5と基板2に設けた電極6との間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1、2と垂直に移動させ、黒色表示媒体3Bを観察者に視認させて黒色の表示を行うか、あるいは、白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色の表示を行っている。なお、図2に示す例では、基板1、2との間に隔壁4を形成して複数の四角形セルを格子状に設けている(図の手前にある隔壁は省略している)。
【0016】
図3に示す例では、少なくとも1種以上の粒子から構成される1種類の光学的反射率と帯電性とを有する表示媒体3(ここでは粒子群からなる白色表示媒体3Wを示す)を、基板1に設けた電極5と電極6との間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1、2と平行に移動させ、白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色の表示を行うか、あるいは、電極6もしくは基板1を観察者に視認させて電極6もしくは基板1の色(白色表示媒体3Wとは異なる光学的反射率により発現される色)の表示を行っている。なお、図3に示す例では、基板1、2との間に隔壁4を形成して複数の四角形セルを格子状に設けている(図の手前にある隔壁は省略している)。
【0017】
以上の説明は、粒子群からなる白色表示媒体3Wを粉流体からなる白色表示媒体に、粒子群からなる黒色表示媒体3Bを粉流体からなる黒色表示媒体に、それぞれ置き換えた場合も同様に適用することが出来る。
【0018】
本発明の情報表示用パネルの製造方法における特徴は、表示媒体をセル内に充填するにあたり、隔壁上にスクリーンを配置し、スクリーン上に表示媒体を載せた状態で板状部材をスクリーンと接触させた状態でスクリーン上を移動させることで、表示媒体をセル内に充填する点にある。以下、本発明の特徴部分について、スクリーンが樹脂繊維で編んであるメッシュ状の布からなる場合、および、スクリーンが孔の開いた板からなる場合、を順に説明する。
【0019】
なお、スクリーンとして例えば用いる樹脂繊維で編んであるメッシュ状の布の材質としては、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維などの樹脂繊維のほか、金属繊維なども使用することができる。また、スクリーンとして例えば用いる孔の開いた板としては、SUS板、鋼板、銅板、アルミ板、鉄板などの金属板のほか、樹脂板、繊維補強した樹脂板や繊維補強した樹脂板の表面に金属コーティングした板などを使用することができる。さらに、板状部材(スキージともいう)の材質として、ウレタンゴム、天然ゴムのほか各種合成ゴムなどのゴム材や、ポリエステル樹脂、ナイロン樹脂、ポリアミド樹脂などの各種樹脂材や、各種ゴム材や各種樹脂材を被覆した金属板などがある。
【0020】
<スクリーンが樹脂繊維で編んであるメッシュ状の場合>
図4は本発明の情報表示用パネルの製造方法の一例を説明するための図である。図4に示す例において、11はガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂などからなる基板(図1〜図3における基板1または2に対応)、12はITO、金属などからなる電極膜(図1〜図3における電極5または6に対応)、13はセル14を形成するための隔壁(図1〜図3における隔壁4に対応)、15はポリエステルなどの樹脂繊維で編んであるメッシュ状スクリーン、16は板状部材(以下、スキージともいう)である。図4に示す例において、本発明では、表示媒体3をセル14内に充填するにあたり、隔壁13上にスクリーン15を配置し、スクリーン15上に表示媒体3を載せ、スキージ16をスクリーン15と接触させた状態でスクリーン15の一端から他端まで移動させることで、表示媒体3をスクリーン15を介してセル14内に充填している。
【0021】
本例では、スクリーン15を介してスキージ16により表示媒体3をセル14内に充填することで、表示媒体3を簡単な工程で容易にセル14内に充填することができる。特に、複数種類の表示媒体3、例えば図1〜図2に示すような情報表示用パネルを作製する際に、白色表示媒体3Wと黒色表示媒体3Bとを順番に充填できるばかりではなく、両混合物を表示媒体3とすることで、一度の操作で白色表示媒体3Wと黒色表示媒体3Bとをセル14内に充填できるため、上記効果は大きくなる。
【0022】
また、スクリーン15を用いて表示媒体3をセル14内に充填しているため、表示媒体3を充填しない部分、例えば、隔壁13の頭頂部や基板11の外側の部分、に対応するスクリーン15の部分を目封じして構成することで、表示媒体3をセル14内にのみ充填させることができ、表示媒体3を充填すべきエリアをコントロールすることができる。さらに、スクリーン15の種類、サイズを変更することで、および、スキージ16の移動条件(例えば、移動中の接触圧や移動速度などの条件)を変更することで、表示媒体3のセル14内への充填率、充填量をコントロールすることができる。
【0023】
<スクリーンが孔の開いた板状の場合>
図5は本発明の情報表示用パネルの製造方法の他の例を説明するための図である。図5に示す例において、11はガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂などからなる基板(図1〜図3における基板1または2に対応)、12はITO、金属などからなる電極膜(図1〜図3における電極5または6に対応)、13はセル14を形成するための隔壁(図1〜図3における隔壁4に対応)、21は孔22が設けられたSUS等の金属板からなるスクリーン、16は板状部材(以下、スキージともいう)である。図5に示す例において、本発明では、表示媒体3をセル14内に充填するにあたり、隔壁13上にスクリーン21を配置し、スクリーン21上に表示媒体3を載せ、スキージ16をスクリーン21と接触させた状態でスクリーン21の一端から他端まで移動させることで、表示媒体3をスクリーン21を介してセル14内に充填している。
【0024】
図5に示す例において、スクリーン21と孔22との位置関係については、(1)セル14の位置と1対1で完全に対応した位置に孔22を設ける例、(2)セル14の大きさよりも十分に小さい大きさの孔22を多数設ける例(充填量が均一になり、セル毎で充填量のバラツキがおきにくい)、(3)隔壁13の位置と完全同期し、隔壁の上には孔22が配置されないようにした例(隔壁上に表示媒体が載ることがない)、のいずれの例をも好適に用いることができる。
【0025】
また、図5に示す例において、スクリーン21に設ける孔22の大きさについては、孔22の総面積がセル14の面積の5%〜70%程度であることが好ましい。
【0026】
さらに、図5に示す例において、孔22の形状については、(1)隔壁13の形状と同じ形状の孔22とする例(例えば、隔壁が六角形ハニカムなら6角形、隔壁が四角形なら四角形)、(2)隣のセル14と混ぜたくない方向には細い形の長方形の孔22とする例(カラー用に、ラインごとに異なる色の表示媒体を充填する場合には、同じ色の方向に長辺を持ち、異なる色のセル14側が短辺となるような長方形の孔22を持つスクリーン21を使用する。または、同じ方向に長軸、短軸を持つ楕円形の孔22を持つスクリーン21を使用する。)、のいずれの例をも好適に用いることができる。
【0027】
図6〜図16はそれぞれ本発明で用いるスクリーン21における隔壁13とスクリーン21の孔22との位置関係の一例を示す図である。なお、図6〜図16の例では、隔壁13と孔22との位置関係をより明瞭に示すため、本来、スクリーン21に隠れて見えない隔壁13を図中に記載している。
【0028】
図6〜図9に示す例はいずれも四角形のセルを格子状に配置した隔壁の例を示している。図6に示す例では、四角形セルを格子状に配置した隔壁13と円形の孔22とが1対1で対応するスクリーン21の例を示している。図7に示す例では、四角形セルを格子状に配置した隔壁13と円形の小さい孔22の5個とが1対1で対応するスクリーン21の例を示している。図8に示す例では、四角形のセルを格子状に配置した隔壁13と四角形の孔22とが1対1で対応するスクリーン21の例を示している。図9に示す例では、四角形セルを格子状に配置した隔壁13と角部を丸めた四角形の孔22とが1対1で対応するスクリーン21の例を示している。
【0029】
図10〜図12に示す例はいずれも三角形セルをハニカムマトリックス状に配置した隔壁の例を示している。図10に示す例では、三角形セルをハニカムマトリックス状に配置した隔壁13と円形の孔22とが1対1で対応するスクリーン21の例を示している。図11に示す例では、三角形セルをハニカムマトリックス状に配置した隔壁13と三角形の孔22とが1対1で対応するスクリーン21の例を示している。図12に示す例では、三角形セルをハニカムマトリックス状に配置した隔壁13と円形の小さい孔22の3個とが1対1で対応するスクリーン21の例を示している。
【0030】
図13、図14に示す例はいずれも六角形セルをハニカム状に配置した隔壁の例を示している。図13に示す例では、六角形セルをハニカム状に配置した隔壁13と円形の孔22とが1対1で対応するスクリーン21の例を示している。図14に示す例では、六角形セルをハニカム状に配置した隔壁13と六角形の孔22とが1対1で対応するスクリーン21の例を示している。また、図15、図16に示す例はいずれもひし形セルを格子状に配置した隔壁13の例を示している。図15に示す例では、ひし形セルを格子状に配置した隔壁13と円形の孔22とが1対1で対応するスクリーン21の例を示している。図16に示す例では、ひし形セルを格子状に配置した隔壁13とひし形の孔22とが1対1で対応するスクリーン21の例を示している。
【0031】
図17(a)〜(d)はそれぞれ本発明で用いるスクリーン21の他の例を説明するための図である。ここで、図17(a)にその一例を示すように、スクリーン21を、例えば列方向にセル14に対応して連続した孔22を有し、行方向には3セル周期に孔22を有するよう構成することが好ましい。このように構成することで、R、G、Bの3色の表示媒体を行方向のセル14に順次充填するにあたり、スクリーン21を1列ずつずらして3回各色毎に充填することで、列方向にはR、G、Bの3色のうち1色の表示媒体を充填し、行方向にはR、G、Bの3色の表示媒体がこの順に繰り返して充填された状態とすることができる。これに対向基板を貼り合わせることでカラー表示対応の情報表示用パネルを簡単に得ることができる。また、1枚のスクリーン21をずらして充填するとR、G、B各色表示媒体をスキージするときスクリーン21に付いた前の色の表示媒体が混在することがあるので、スクリーン21は色別に用意することが好ましい。その一例として、図17(a)にR色表示媒体用、図17(b)にG色表示媒体用、図17(c)にB色表示媒体用、図17(d)に黒色表示媒体用、の例を示すように、スクリーン21の孔22の位置を、充填するセル14の位置に対応して設けておくとスクリーン位置合わせが容易となりさらに好ましい。
【0032】
図17(a)〜(d)に記載したスクリーンを用いて、RGBK色の表示媒体を順次充填するには、図17(a)、図17(b)、図17(c)に示したスクリーン21を順次取り替えて、R色表示媒体、G色表示媒体、B色表示媒体をそれぞれ別のセル内に充填後、今度は、図17(d)に示したスクリーン21に取り替えて、K色(黒色)表示媒体をすべてのセル内に充填し、各セルにおいて、R色とK色、G色とK色、B色とK色とが充填された構成の表示用パネルとする。ここで、K色(黒色)表示媒体の替わりに、W色(白色)表示媒体を用いてもカラー表示対応の情報表示用パネルを作製できる。
【0033】
図18(a)〜(c)および図19(a)〜(e)はそれぞれ本発明で用いるスクリーン21のさらに他の例を説明するための図である。図18(a)〜(c)では1表示単位を3×3個のセル14で構成する例を、図19(a)〜(e)では1表示単位を2×2個のセル14で構成する例を、それぞれ最小単位である1表示単位に対応するスクリーン21の部分のみを示して表示している。図18(a)〜(c)に示す例では、R色表示媒体用に図18(a)に示すスクリーン21を、G色表示媒体用に図18(b)に示すスクリーン21を、B色表示媒体用に図18(c)に示すスクリーン21を、それぞれ準備し、各色表示媒体の充填に各色表示媒体用のスクリーン21を用いることで、3×3個のセル14から1表示単位を構成するカラー表示用の情報表示用パネルを得ることができる。図19(a)〜(e)に示す例では、R色表示媒体用に図19(a)に示すスクリーン21を、G色表示媒体用に図19(b)に示すスクリーン21を、B色表示媒体用に図19(c)に示すスクリーン21を、W色表示媒体用に図19(d)に示すスクリーン21を、それぞれ準備し、各色表示媒体の充填に各色表示媒体用のスクリーン21を用いて充填後、各セルに共通の表示媒体とするK色表示媒体用に図19(e)に示すK用スクリーンを用いることで、2×2個のセル14から1表示単位を構成するカラー表示用の情報表示用パネルを得ることができる。ここで、K色(黒色)表示媒体の替わりに、W色(白色)表示媒体を用いてもカラー表示対応の情報表示用パネルを作製できる。
【0034】
なお、本発明において、スキージ16とは、スクリーン15(21)上をスクリーンと接触しながら移動させることが出来る板状のもの、例えば、板状のゴム材、板状の樹脂材のことを意味し、絶縁性でも導電性でも良い。スキージ16の材料としては、ウレタンゴム、天然ゴムのほか各種合成ゴムや、ポリエステル樹脂、ナイロン樹脂、ポリアミド樹脂などの各種樹脂材料の他、各種ゴム材や各種樹脂材を被覆した金属板などを使用することができる。スキージ16を用いて表示媒体を充填する場合は、スクリーンの上を1回もしくは数回繰り返すことで行う。また、セル14とは、隔壁13で囲まれた部屋を指す。セル14の形状は、電極形状に対応した長方形や正方形のほかに、電極形状とは対応しない形の、三角形や六角形などがある。セル14の大きさは、長方形であれば、1辺の長さが50μm〜1000μm程度、ハニカム(正六角形)形状の場合は、向かい合う頂点の距離が100μm〜1000μm程度、好ましくは100μm〜300μm程度である。
【0035】
図20(a)、(b)、図21(a)、(b)、図22はそれぞれ基板に電極を設けた本発明の情報表示用パネルにおける電極/隔壁/スクリーンの孔の位置関係の一例を示す図である。
【0036】
図20(a)、(b)に示す例は、いずれも、それらの部材と画素とが1対1対応している例を示している。すなわち、図20(a)、(b)に示す例では、電極5、6の立体交差部と画素とが、隔壁13で形成されたセルと画素とが、スクリーン21の孔22と画素とが、それぞれ1対1で対応する例を示している。図20(a)と図20(b)との相違は、スクリーン21に設けた孔22の配置位置である。
【0037】
図21(a)、(b)に示す例は、いずれも、それらの部材のいずれかと画素とが1対1対応していない例を示している。すなわち、図21(a)に示す例では、複数のセルが1画素分の電極に対応する例、具体的には、電極5、6の立体交差部と画素とが1対1に対応する一方、隔壁13で形成された4個のセルと画素とが、スクリーン21の4個の孔22と画素とが、それぞれ1対1に対応する例を示している。図21(b)に示す例では、1つのセル内に複数の電極が通っている例、具体的には、電極5、6の4個の立体交差部と画素とが、スクリーン21の4個の孔22と画素とが、それぞれ1対1に対応する一方、隔壁13で形成されたセルと画素とが1対1に対応する例を示している。
【0038】
図22に示す例は、それらの部材のいずれかと画素とが1対1対応でない例の他の例を示している。すなわち、図22に示す例では、電極5、6の立体交差部と画素とが、スクリーン21の孔22と画素とが、それぞれ1対1に対応する一方、隔壁13で形成された4個のセルと画素とが1対1に対応する例を示している。
【0039】
以下、本発明の対象となる情報表示用パネルを構成する各部材について説明する。
【0040】
基板については、少なくとも一方の基板は情報表示用パネル外側から表示媒体の色が確認できる透明な基板2であり、可視光の透過率が高くかつ耐熱性の良い材料が好適である。基板1は透明でも不透明でもかまわない。基板材料を例示すると、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、アクリルなどのポリマーシートや、金属シートのように可とう性のあるもの、および、ガラス、石英などの可とう性のない無機シートが挙げられる。基板の厚みは、2〜5000μmが好ましく、さらに5〜2000μmが好適であり、薄すぎると、強度、基板間の間隔均一性を保ちにくくなり、5000μmより厚いと、薄型情報表示用パネルとする場合に不都合がある。
【0041】
情報表示用パネルに電極を設ける場合の電極形成材料としては、アルミニウム、銀、ニッケル、銅、金等の金属類や酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、アンチモン錫酸化物(ATO)、導電性酸化錫、導電性酸化亜鉛等の導電金属酸化物類、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性高分子類が例示され適宜選択して用いられる。電極の形成方法としては、上記例示の材料をスパッタリング法、真空蒸着法、CVD(化学蒸着)法、塗布法等で薄膜状に形成する方法や、導電剤を溶媒や合成樹脂バインダーに混合して塗布したりする方法が用いられる。視認側であり透明である必要のある表示面側基板2に設ける電極は透明である必要があるが、背面側基板1に設ける電極は透明である必要はない。いずれの場合もパターン形成可能で導電性である上記材料を好適に用いることができる。なお、電極厚みは、導電性が確保でき光透過性に支障がなければ良く、3〜1000nm、好ましくは5〜400nmが好適である。背面側基板1に設ける電極の材質や厚みなどは上述した表示面側基板に設ける電極と同様であるが、透明である必要はない。なお、この場合の外部電圧入力は、直流あるいは交流を重畳しても良い。
【0042】
基板に設ける隔壁の高さや幅は表示にかかわる表示媒体の種類により適宜最適設定され、一概には限定されないが、隔壁の幅は2〜100μm、好ましくは3〜50μmに、隔壁の高さは10〜500μm、好ましくは10〜200μmに調整される。表示側基板と背面側基板とを重ね合わせて得られる情報表示用パネルにおけるセル形状は隔壁形状によって図23に例示するような様々な形状のものが用いられる。表示面側から見える隔壁断面部分に相当する部分(隔壁の幅によって形成されるセルの枠部の面積)はできるだけ小さくした方が良く、表示状態の鮮明さが増す。
【0043】
次に、本発明の情報表示用パネルで表示媒体として例えば用いる粉流体について説明する。なお、本発明の情報表示用パネルで用いる粉流体の名称については、本出願人が「電子粉流体(登録商標):登録番号4636931」の権利を得ている。
【0044】
本発明における「粉流体」は、気体の力も液体の力も借りずに、自ら流動性を示す、流体と粒子の特性を兼ね備えた両者の中間状態の物質である。例えば、液晶は液体と固体の中間的な相と定義され、液体の特徴である流動性と固体の特徴である異方性(光学的性質)を有するものである(平凡社:大百科事典)。一方、粒子の定義は、無視できるほどの大きさであっても有限の質量をもった物体であり、重力の影響を受けるとされている(丸善:物理学事典)。ここで、粒子でも、気固流動層体、液固流動体という特殊状態があり、粒子に底板から気体を流すと、粒子には気体の速度に対応して上向きの力が作用し、この力が重力とつりあう際に、流体のように容易に流動できる状態になるものを気固流動層体と呼び、同じく、流体により流動化させた状態を液固流動体と呼ぶとされている(平凡社:大百科事典)。このように気固流動層体や液固流動体は、気体や液体の流れを利用した状態である。本発明では、このような気体の力も、液体の力も借りずに、自ら流動性を示す状態の物質を、特異的に作り出せることが判明し、これを粉流体と定義した。
【0045】
すなわち、本発明における粉流体は、液晶(液体と固体の中間相)の定義と同様に、粒子と液体の両特性を兼ね備えた中間的な状態で、先に述べた粒子の特徴である重力の影響を極めて受け難く、高流動性を示す特異な状態を示す物質である。このような物質はエアロゾル状態、すなわち気体中に固体状もしくは液体状の物質が分散質として安定に浮遊する分散系で得ることができ、本発明の情報表示用パネルで固体状物質を分散質とするものである。
【0046】
本発明の情報表示用パネルは、少なくとも一方が透明な、対向する基板間に、例えば気体中に固体粒子が分散質として安定に浮遊するエアロゾル状態で高流動性を示す粉流体を封入するものであり、このような粉流体は、粉体の流動性を示す指数である安息角を測定できないほど流動性に富んでおり、低電界でクーロン力などにより容易に安定して移動させることができる。
本発明に表示媒体として例えば用いる粉流体とは、先に述べたように、気体の力も液体の力も借りずに、自ら流動性を示す、流体と粒子の特性を兼ね備えた両者の中間状態の物質である。この粉流体は、特にエアロゾル状態とすることができ、本発明の情報表示用パネルでは、気体中に固体状の物質が分散質として比較的安定に浮遊する状態で表示媒体として用いられる。
【0047】
次に、本発明の情報表示用パネルにおいて表示媒体を構成する表示媒体用粒子(以下、粒子ともいう)について説明する。表示媒体用粒子は、そのまま該表示媒体用粒子だけで構成して表示媒体としたり、その他の粒子と合わせて構成して表示媒体としたり、粉流体となるように調整、構成して表示媒体としたりして用いられる。
粒子には、その主成分となる樹脂に、必要に応じて、従来と同様に、荷電制御剤、着色剤、無機添加剤等を含ますことができる。以下に、樹脂、荷電制御剤、着色剤、その他添加剤を例示する。
【0048】
樹脂の例としては、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、アクリルフッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられ、2種以上混合することもできる。特に、基板との付着力を制御する観点から、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、アクリルフッ素樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂が好適である。
【0049】
荷電制御剤としては、特に制限はないが、負荷電制御剤としては例えば、サリチル酸金属錯体、含金属アゾ染料、含金属(金属イオンや金属原子を含む)の油溶性染料、4級アンモニウム塩系化合物、カリックスアレン化合物、含ホウ素化合物(ベンジル酸ホウ素錯体)、ニトロイミダゾール誘導体等が挙げられる。正荷電制御剤としては例えば、ニグロシン染料、トリフェニルメタン系化合物、4級アンモニウム塩系化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体等が挙げられる。その他、超微粒子シリカ、超微粒子酸化チタン、超微粒子アルミナ等の金属酸化物、ピリジン等の含窒素環状化合物及びその誘導体や塩、各種有機顔料、フッ素、塩素、窒素等を含んだ樹脂等も荷電制御剤として用いることもできる。
【0050】
着色剤としては、以下に例示するような、有機または無機の各種、各色の顔料、染料が使用可能である。
【0051】
黒色着色剤としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭等がある。
青色着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC等がある。
赤色着色剤としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド2等がある。
【0052】
黄色着色剤としては、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファーストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー12等がある。
緑色着色剤としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、C.I.ピグメントグリーン7、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等がある。
橙色着色剤としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGK、C.I.ピグメントオレンジ31等がある。
紫色着色剤としては、マンガン紫、ファーストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等がある。
白色着色剤としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等がある。
【0053】
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等がある。また、塩基性、酸性、分散、直接染料等の各種染料として、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルー等がある。
【0054】
無機系添加剤の例としては、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、酸化アンチモン、炭酸カルシウム、鉛白、タルク、シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミナホワイト、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、カドミウムオレンジ、チタンイエロー、紺青、群青、コバルトブルー、コバルトグリーン、コバルトバイオレット、酸化鉄、カーボンブラック、マンガンフェライトブラック、コバルトフェライトブラック、銅粉、アルミニウム粉などが挙げられる。
これらの顔料および無機系添加剤は、単独であるいは複数組み合わせて用いることができる。このうち特に黒色顔料としてカーボンブラックが、白色顔料として酸化チタンが好ましい。
上記着色剤を配合して、所望の色の表示媒体用粒子を作製できる。
【0055】
また、本発明の粒子は平均粒子径d(0.5)が、1〜20μmの範囲であり、均一で揃っていることが好ましい。平均粒子径d(0.5)がこの範囲より大きいと表示上の鮮明さに欠け、この範囲より小さいと粒子同士の凝集力が大きくなりすぎるために表示媒体としての移動に支障をきたすようになる。
【0056】
更に本発明では、各粒子の粒子径分布に関して、下記式に示される粒子径分布Spanを5未満、好ましくは3未満とする。
Span=(d(0.9)−d(0.1))/d(0.5)
(但し、d(0.5)は粒子の50%がこれより大きく、50%がこれより小さいという粒子径をμmで表した数値、d(0.1)はこれ以下の粒子の比率が10%である粒子径をμmで表した数値、d(0.9)はこれ以下の粒子が90%である粒子径をμmで表した数値である。)
Spanを5以下の範囲に納めることにより、各粒子のサイズが揃い、表示媒体の均一な移動が可能となる。
【0057】
さらにまた、各粒子の相関について、使用した粒子の内、最大径を有する粒子のd(0.5)に対する最小径を有する粒子のd(0.5)の比を50以下、好ましくは10以下とすることが肝要である。たとえ粒子径分布Spanを小さくしたとしても、互いに帯電特性の異なる粒子が互いに反対方向に動くので、互いの粒子サイズが近く、互いの粒子が当量ずつ反対方向に容易に移動できるようにするのが好適であり、それがこの範囲となる。
【0058】
なお、上記の粒子径分布および粒子径は、レーザー回折/散乱法などから求めることができる。測定対象となる粒子にレーザー光を照射すると空間的に回折/散乱光の光強度分布パターンが生じ、この光強度パターンは粒子径と対応関係があることから、粒子径および粒子径分布が測定できる。
ここで、本発明における粒子径および粒子径分布は、体積基準分布から得られたものである。具体的には、Mastersizer2000(Malvern Instruments Ltd.)測定機を用いて、窒素気流中に粒子を投入し、付属の解析ソフト(Mie理論を用いた体積基準分布を基本としたソフト)にて、粒子径および粒子径分布の測定を行なうことができる。
【0059】
表示媒体用粒子の帯電量は当然その測定条件に依存するが、情報表示用パネルにおける表示媒体用粒子の帯電量はほぼ、初期帯電量、隔壁との接触、基板との接触、経過時間に伴う電荷減衰に依存し、特に表示媒体用粒子の帯電挙動の飽和値が支配因子となっているということが分かった。
【0060】
本発明者らは鋭意検討の結果、ブローオフ法において同一のキャリア粒子を用いて、表示媒体用粒子の帯電量測定を行うことにより、表示媒体用粒子の適正な帯電特性値の範囲を評価できることを見出した。
【0061】
更に、表示媒体を気中空間で駆動する乾式の情報表示用パネルとする場合には、表示媒体を取り巻く空隙部分の気体の管理が重要であり、表示安定性向上に寄与する。具体的には、空隙部分の気体の湿度について、25℃における相対湿度を60%RH以下、好ましくは50%RH以下とすることが重要である。
この空隙部分とは、図1〜図3において、対向する基板1、基板2に挟まれる部分から、電極5、6(電極を基板内側に設けた場合)、表示媒体3(粒子群あるいは粉流体)の占有部分、隔壁4の占有部分、情報表示用パネルのシール部分を除いた、いわゆる表示媒体が接する気体部分を指すものとする。
空隙部分の気体は、先に述べた湿度領域であれば、その種類は問わないが、乾燥空気、乾燥窒素、乾燥アルゴン、乾燥ヘリウム、乾燥二酸化炭素、乾燥メタンなどが好適である。この気体は、その湿度が保持されるように情報表示用パネルに封入することが必要であり、例えば、表示媒体の充填、情報表示用パネルの組み立てなどを所定湿度環境下にて行い、さらに、外からの湿度侵入を防ぐシール材、シール方法を施すことが肝要である。
【0062】
本発明で得られる情報表示用パネルにおける基板と基板との間隔は、表示媒体が移動できて、コントラストを維持できればよいが、通常10〜500μm、好ましくは10〜200μmに調整される。
対向する基板間の気中空間における表示媒体の体積占有率は5〜70%が好ましく、さらに好ましくは5〜60%である。70%を超える場合には表示媒体の移動の支障をきたし、5%未満の場合にはコントラストが不明確となり易い。
【実施例】
【0063】
以下、本発明の実施例、比較例を示して、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記に限定されるものではない。なお、実施例および比較例の情報表示用パネルは、下記の方法にて作製したものを、下記の基準に従い、評価した。
【0064】
「表示媒体の準備」
実施例、比較例では表示媒体として、帯電特性の異なる白黒2色の表示媒体(粒子群A、粒子群B)を用いた。
粒子群Aは、アクリルウレタン樹脂EAU53B(亜細亜工業(株)製)/IPDI系架橋剤エクセルハードナーHX(亜細亜工業(株)製)にカーボンブラック(MA100三菱化学(株))4重量部、荷電制御剤ボントロンN07(オリエント化学(株)製)2重量部を添加し、混練り後、ジェットミルにて粉砕し、さらにハイブリダイザー装置(奈良機械製作所(株)製)を用いて機械的衝撃力を加えて略球状としてから分級して作製した。作製された粒子群Aは、平均粒子径が9.1μm、略球状で負帯電性の黒色粒子群であった。
粒子群Bは、ターシャリーブチルメタクリレ−トモノマー80重量部とメタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチルモノマ−20重量部に0.5重量部のAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を溶解し、カップリング剤処理して親油性とした酸化チタン20重量部を分散させて得られた液を、10倍量の0.5%界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム)水溶液に懸濁、重合させ、濾過、乾燥させた後、分級機(MDS−2:日本ニュ−マチック工業)を用いて作製した。作製された粒子群Bは、平均粒子径が8.5μmで正帯電性の球状白色粒子であり、これを粒子群Bとした。
【0065】
「パネル基板の作製」
ITO電極付きガラス製透明基板(7cm×7cm□)を準備し、一方の基板上に高さ50μmのリブを作り、四角形、格子状配置の隔壁を形成した。
隔壁の形成は次のように行った。感光性フィルムであるニチゴーモートン社製ドライフィルムフォトレジストNIT250をITO付ガラス上にラミネートし、露光、現像により、所望とするライン30μm、スペース320μm、ピッチ350μmの隔壁を形成した。もう一方の基板には、ITO電極付きガラス製透明基板(7cm×7cm□)を準備した。
【0066】
スクリーンが樹脂繊維で編んであるメッシュ状の実施例
<実施例1(混合した2色の表示媒体を充填する例:ガラス基板)>
帯電特性の異なる白黒2種類の表示媒体(粒子群Aと粒子群B)を予め所定の混合割合で混合して表示媒体3とし、図4に示した表示媒体3の充填方法に従ってセル14内に充填し、対向基板を貼り合わせて情報表示用パネルとした。表示媒体の充填条件は、以下の通りとした。
【0067】
・スクリーン15の構成
ポリエステル製、100メッシュ(100本/インチ)、線径:55μm、開孔率(目開き):61%
・スキージ16の構成
ウレタンゴム製
・基板11の構成
ITO電極を備えるガラス基板(隔壁13付き)
・スキージ条件
スクリーン15と基板11(隔壁13の頭頂部)とのギャップ:3mm(スキージ時は押し圧によりスクリーン15と基板11とは接触)、スキージ速度:10cm/s
・充填量:15g/m2
【0068】
本例における情報表示用パネルの製造工程中、表示媒体の充填について評価したところ、基板全面にわたり充填量が均一であり、白黒のムラも目視では見られなかった。結果を表1に示す。
【0069】
<実施例2(2色の表示媒体を順番に充填する例:ガラス基板)>
帯電特性の異なる白黒2種類の表示媒体(粒子群Aと粒子群B)を表示媒体3とし、順番に、図5に示した表示媒体3の充填方法に従ってセル14内に充填し、対向基板を貼り合わせて情報表示用パネルとした。表示媒体の充填条件は、以下の通りとした。
【0070】
・スクリーン15の構成
ポリエステル製、100メッシュ(100本/インチ)、線径:55μm、開孔率(目開き):61%
・スキージ16の構成
ウレタンゴム製
・基板11の構成
ITO電極を備えるガラス基板(隔壁13付き)
・スキージ条件
スクリーン15と基板11(隔壁13の頭頂部)とのギャップ:3mm(スキージ時は押し圧によりスクリーン15と基板11とは接触)、スキージ速度:10cm/s
・充填量:15g/m2
【0071】
本例における情報表示用パネルの製造工程中、表示媒体の充填について評価したところ、基板全面にわたり充填量が均一であり、白黒のムラも目視では見られなかった。結果を表1に示す。
【0072】
<実施例3(2色の表示媒体を同時に充填する例:樹脂基板)>
帯電特性の異なる2種類の表示媒体(粒子群Aと粒子群B)を、スクリーン21を用いて同時にセル14内にした。スクリーン15として、ポリエステル製、100メッシュ(100本/インチ)、線径:55μm、開孔率(目開き):61%のものを用いた。ITO電極付きPET基板11上に、対角長さが300μmの正六角形のセル14を隔壁13により作製した。隔壁13の高さは50μmとした。
【0073】
粒子群Bと粒子群Aとを、重量で1対1.2の比率で混合した表示媒体を準備した。基板上に上記スクリーン15を配置し、混合した表示媒体をスクリーン15上に載せ、スクリーン15上をウレタンゴム製のスキージ16を2往復させて、セル14内に混合表示媒体を充填した。ウレタンゴム製スキージ16は、ゴム硬度90°のものを使用した。混合表示媒体を同時に充填した基板と対向基板とを貼り合わせて情報表示用パネルを作製した。混合表示媒体の充填量は、25g/m2とした。
【0074】
本方法で作製した情報表示用パネルは、基板全面わたり充填量が均一であり、白黒のムラも目視では確認できなかった。結果を表1に示す。
【0075】
<比較例1>
ITO電極付きガラス製透明基板の上に、実施例1と同様の隔壁を形成した基板上に、直接2種類の表示媒体を混合した表示媒体を置き、基板表面(隔壁の頭頂部)と直接接触するようにスキージを行った。なお、使用した表示媒体、電極、スキージ条件等は実施例1と同様とした。本例における情報表示用パネルの製造工程中、表示媒体の充填について評価したところ、基板に十分な量の充填ができず、場所によっては表示媒体がほとんど入っていない部分が目視で確認できた。結果を表1に示す。
【0076】
【表1】
【0077】
スクリーンが孔の開いた金属板からなる場合の実施例
<実施例11(2色の表示媒体を順番に充填する例:ガラス基板)>
帯電特性の異なる2種類の表示媒体(粒子群Aと粒子群B)を、スクリーン21を用いて順番にセル14内に充填した。スクリーン21として、厚さ80μmのステンレス板に、直径100μmの孔22をセル14の位置に対応させて設けたものを用いた。ITO電極付きガラス基板11上に、320μm×320μmの正方形のセル14を隔壁13により作製した。セル14の面積に対するスクリーン21の孔22の面積は7.6%であった。隔壁13の高さは50μmとした。
【0078】
はじめに、基板11上に上記スクリーン21を配置し、黒色粒子群(粒子群A)をスクリーン21上に載せ、スクリーン21上をウレタンゴム製のスキージ16を2往復させて、セル14内に黒色粒子群を充填した。次に、同じ大きさの孔22の開いたスクリーン21上に、白色粒子群(粒子群B)を載せ、同じくウレタンゴム製のスキージ16を3往復させて、セル14内に白色粒子群を充填した。ウレタンゴム製スキージ16は、ゴム硬度90°のものを使用した。黒色粒子群、白色粒子群を順次充填した基板と対向基板と貼り合わせて情報表示用パネルを作製した。充填量は、黒色粒子群、白色粒子群とも、8g/m2とした。
【0079】
本方法で作製した情報表示用パネルは、基板全面わたり充填量が均一であり、白黒のムラも目視では確認できなかった。結果を表2に示す。
【0080】
<実施例12(2色の表示媒体を順番に充填する例:樹脂基板)>
帯電特性の異なる2種類の表示媒体(粒子群Aと粒子群B)を、スクリーン21を用いて順番にセル14内に充填した。スクリーン21として、厚さ80μmのステンレス板に、直径80μmの孔22をセル14の位置に対応させて設けたものを用いた。ITO電極付きPET基板11上に、対角長さが300μmの正六角形のセル14を隔壁13により作製した。セル14の面積に対するスクリーン21の孔22の面積は8.6%であった。隔壁13の高さは60μmとした。
【0081】
はじめに、基板11上に上記スクリーン21を配置し、黒色粒子群(粒子群A)をスクリーン21上に載せ、スクリーン21上をウレタンゴム製のスキージ16を2往復させて、セル14内に黒色粒子群を充填した。次に、同じ大きさの孔22の開いたスクリーン21上に、白色粒子群(粒子群B)を載せ、同じくウレタンゴム製のスキージ16を3往復させて、セル14内に白色粒子群を充填した。ウレタンゴム製スキージ16は、ゴム硬度90°のものを使用した。黒色粒子群、白色粒子群を順次充填した基板と対向基板と貼り合わせて情報表示用パネルを作製した。充填量は、黒色粒子群、白色粒子群とも、8g/m2とした。
【0082】
本方法で作製した情報表示用パネルは、基板全面わたり充填量が均一であり、白黒のムラも目視では確認できなかった。結果を表2に示す。
【0083】
<実施例13(2色の表示媒体を同時に充填する例:樹脂基板)>
帯電特性の異なる2種類の表示媒体(粒子群Aと粒子群B)を、スクリーン21を用いて同時にセル14内にした。スクリーン21として、厚さ80μmのステンレス板に、直径120μmの孔22をセル14の位置に対応させて設けたものを用いた。ITO電極付きPET基板11上に、対角長さが300μmの正六角形のセル14を隔壁13により作製した。セル14の面積に対するスクリーン21の孔22の面積は19%であった。隔壁13の高さは50μmとした。
【0084】
粒子群Bと粒子群Aとを、1対1.2の重量比率で混合した表示媒体を準備した。基板上に上記スクリーン21を配置し、混合した表示媒体をスクリーン21上に載せ、スクリーン21上をウレタンゴム製のスキージ16を2往復させて、セル14内に混合した表示媒体を充填した。ウレタンゴム製スキージ16は、ゴム硬度90°のものを使用した。混合した表示媒体を同時に充填した基板と対向基板とを貼り合わせて情報表示用パネルを作製した。混合表示媒体の充填量は、15g/m2とした。
【0085】
本方法で作製した情報表示用パネルは、基板全面わたり充填量が均一であり、白黒のムラも目視では確認できなかった。結果を表2に示す。
【0086】
<比較例11>
スクリーン21無しで、基板上に直接実施例13で用いた混合表示媒体を置いて、スキージ16を用いて充填を行おうとしても、表示媒体を構成する粒子が飛散して充填できなかった。結果を表2に示す。
【0087】
【表2】
【0088】
スクリーンにより複数種類の表示媒体を充填する場合の実施例
「表示媒体」
実施例、比較例では表示媒体として、帯電極性が同じで、色が異なる、R(赤色)、G(緑色)、B(青紫色)、3色の表示媒体(粒子群A、粒子群B、粒子群C)と、これら3色の表示媒体と帯電極性が異なる黒色表示媒体(粒子群K)を用いた。
【0089】
(黒色表示媒体)
メチルメタクリレートモノマー(関東化学試薬)60重量部、及び、1分子中に重合反応基を複数持つ多官能性モノマーとしてエチレングリコールジメタクリレート(和光純薬試薬)40重量部(約25mol%)に、正帯電の荷電制御剤としてニグロシン化合物(ボントロンN07:オリエント化学製)3重量部、及び、黒色顔料として、カーボンブラック(スペシャルブラック:デグッサ製)5重量部をサンドミルにより分散させ、(アクリル系及びメタクリル系)樹脂−炭化水素系樹脂ブロックコポリマー(モディパーF600:日本油脂製)5重量部を溶解させた後、さらに2重量部のラウリルパーオキサイド(パーロイルL:日本油脂製)を溶解させた液を、界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(ラテムルE−118B:花王製)を0.5%添加した精製水に懸濁、重合させ、濾過、乾燥させた後、分級機(MDS−2:日本ニューマチック工業)を用いて平均粒子径9.2μmの正帯電性黒色表示媒体用粒子を得た。
【0090】
(赤色表示媒体)
スチレンモノマー(関東化学試薬)60重量部、及び、ジビニルベンゼン(DVB−960:新日鐵化学製)40重量部(約35mol%)に、負帯電の荷電制御剤としてフェノール系縮合物(ボントロンE89:オリエント化学製)5重量部、及び、赤色顔料(C.I.ピグメントレッド2)5重量部をサンドミルにより分散させ、さらに2重量部のラウリルパーオキサイド(パーロイルL:日本油脂製)を溶解させた液を、界面活性剤としてラテムルE−118B(花王製)を0.5%添加した精製水に懸濁、重合させ、濾過、乾燥させた後、分級機(MDS−2:日本ニューマチック工業)を用いて平均粒子径8.5μmの負帯電性赤色表示媒体用粒子を得た。
【0091】
(緑色表示媒体)
スチレンモノマー(関東化学試薬)60重量部、及び、ジビニルベンゼン(DVB−960:新日鐵化学製)40重量部(約35mol%)に、負帯電の荷電制御剤としてフェノール系縮合物(ボントロンE89:オリエント化学製)5重量部、及び、緑色顔料(C.I.ピグメントグリーン7)5重量部をサンドミルにより分散させ、さらに2重量部のラウリルパーオキサイド(パーロイルL:日本油脂製)を溶解させた液を、界面活性剤としてラテムルE−118B(花王製)を0.5%添加した精製水に懸濁、重合させ、濾過、乾燥させた後、分級機(MDS−2:日本ニューマチック工業)を用いて平均粒子径8.2μmの負帯電性緑色表示媒体用粒子を得た。
【0092】
(青紫色表示媒体)
スチレンモノマー(関東化学試薬)60重量部、及び、ジビニルベンゼン(DVB−960:新日鐵化学製)40重量部(約35mol%)に、負帯電の荷電制御剤としてフェノール系縮合物(ボントロンE89:オリエント化学製)5重量部、及び、青紫色顔料(C.I.ピグメントブルー15)5重量部をサンドミルにより分散させ、さらに2重量部のラウリルパーオキサイド(パーロイルL:日本油脂製)を溶解させた液を、界面活性剤としてラテムルE−118B(花王製)を0.5%添加した精製水に懸濁、重合させ、濾過、乾燥させた後、分級機(MDS−2:日本ニューマチック工業)を用いて平均粒子径8.4μmの負帯電性青紫色表示媒体用粒子を得た。
【0093】
[評価1]
作製した情報表示用パネルの表示媒体充填状態を光学顕微鏡で数十倍から数百倍の倍率での目視観察によって評価した。
[評価2]
作製した情報表示用パネルを情報表示装置に組み込み、250Vの電圧電源を用いて、所定のカラーテストパターンを表示させて、表示画像の品質を目視観察によって評価した。
【0094】
<実施例21(複数種類の表示媒体を順番に充填する例)>
図5に示した各セル共通に配置する色の表示媒体充填方法に従って、図17(d)に示すスクリーン21(K用スクリーン)を使用して、まず、黒色表示媒体(粒子群K)を充填し、続いてR、G、B三種類の表示媒体(粒子群A、粒子群B、粒子群C)の各別を、図5に示したセル毎に配置する色の表示媒体充填方法に従って、図17(a)〜(c)に示すスクリーン21(R用スクリーン、G用スクリーン、B用スクリーン)を順番に使用して、セル14内にR、G、Bの三色の表示媒体を行方向各別に充填し、対向基板を貼り合わせて情報表示用パネルとした。表示媒体の充填条件は、以下の通りとした。結果を表3に示す。
【0095】
・スキージ16の構成
ウレタンゴム製
・基板11の構成
ITO電極を備えるガラス基板(隔壁13付き)
・スクリーン21の構成
φ200μmの円形孔、3画素間隔(RGBに対応)で線上に配置
・スキージ条件
R、G、Bと3回に分けて、3種類のスクリーン21を使用して3回スキージ、3ライン周期でR、G、Bと選択的に表示媒体を充填
【0096】
<実施例22(複数種類の表示媒体を2種類ずつの混合表示媒体として充填する例)>
黒色表示媒体(粒子群K)と、R、G、B三種類の表示媒体(粒子群A、粒子群B、粒子群C)の各別とを所定の割合で混合した、三種類の混合表示媒体(R/K、G/K、B/K)を、図5に示したセル毎に配置する色の表示媒体充填方法に従って、図17(a)〜(c)に示すスクリーン21(ここではR用スクリーン、G用スクリーン、B用スクリーン)を順番に使用して、セル14内にR/K、G/K、B/Kの三種類の混合表示媒体を行方向各別に充填し、対向基板を貼り合わせて情報表示用パネルとした。表示媒体の充填条件は、以下の通りとした。結果を表3に示す。
【0097】
・スキージ16の構成
ウレタンゴム製
・基板11の構成
ITO電極を備えるガラス基板(隔壁13付き)
・スクリーン21の構成
φ200μmの円形孔、3画素間隔(RGBに対応)で線上に配置
・スキージ条件
R/K、G/K、B/Kと3回に分けて、三種類のスクリーン21を使用して、3回スキージ、3ライン周期でR/K、G/K、B/Kと選択的に表示媒体を充填
【0098】
<比較例21>
図24に示した従来の表示媒体充填方法に従って、図17に示す穴あき板状スクリーンをマスクとして用い、まず図17(d)に示すスクリーン21(K用スクリーン)を使用して、黒色表示媒体(粒子群K)を充填し、続いてR、G、B三種類の表示媒体(粒子群A、粒子群B、粒子群C)の各別を、図24に示した従来の表示媒体充填方法に従って、図17(a)〜(c)に示すスクリーン21(R用スクリーン、G用スクリーン、B用スクリーン)を順番に使用して、セル14内にR、G、Bの三色の表示媒体を行方向各別に充填し、対向基板を貼り合わせて情報表示用パネルとした。結果を表3に示す。
【0099】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明の製造方法で製造される情報表示用パネルは、ノートパソコン、PDA、携帯電話、ハンディターミナル等のモバイル機器の表示部、電子ブック、電子新聞、電子マニュアル(取り扱い説明書)等の電子ペーパー、看板、ポスター、黒板等の掲示板、電卓、家電製品、自動車用品等の表示部、ポイントカード、ICカード等のカード表示部、電子広告、電子POP、電子棚札、電子値札、電子楽譜、RF−ID機器の表示部などの他、外部電界形成手段によって表示書き換えを行う表示パネル(いわゆるリライタブルペーパー)などに好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の製造方法の対象となる情報表示用パネルの一例の構成を示す図である。
【図2】本発明の製造方法の対象となる情報表示用パネルの他の例の構成を示す図である。
【図3】本発明の製造方法の対象となる情報表示用パネルのさらに他の例の構成を示す図である。
【図4】本発明の情報表示用パネルの製造方法の一例を説明するための図である。
【図5】本発明の情報表示用パネルの製造方法の他の例を説明するための図である。
【図6】本発明で用いるスクリーンにおける隔壁とスクリーンの孔との位置関係の一例を示す図である。
【図7】本発明で用いるスクリーンにおける隔壁とスクリーンの孔との位置関係の他の例を示す図である。
【図8】本発明で用いるスクリーンにおける隔壁とスクリーンの孔との位置関係のさらに他の例を示す図である。
【図9】本発明で用いるスクリーンにおける隔壁とスクリーンの孔との位置関係のさらに他の例を示す図である。
【図10】本発明で用いるスクリーンにおける隔壁とスクリーンの孔との位置関係のさらに他の例を示す図である。
【図11】本発明で用いるスクリーンにおける隔壁とスクリーンの孔との位置関係のさらに他の例を示す図である。
【図12】本発明で用いるスクリーンにおける隔壁とスクリーンの孔との位置関係のさらに他の例を示す図である。
【図13】本発明で用いるスクリーンにおける隔壁とスクリーンの孔との位置関係のさらに他の例を示す図である。
【図14】本発明で用いるスクリーンにおける隔壁とスクリーンの孔との位置関係のさらに他の例を示す図である。
【図15】本発明で用いるスクリーンにおける隔壁とスクリーンの孔との位置関係のさらに他の例を示す図である。
【図16】本発明で用いるスクリーンにおける隔壁とスクリーンの孔との位置関係のさらに他の例を示す図である。
【図17】(a)〜(d)はそれぞれ本発明で用いるスクリーンの他の例を説明するための図である。
【図18】(a)〜(c)はそれぞれ本発明で用いるスクリーン21のさらに他の例を説明するための図である。
【図19】(a)〜(e)はそれぞれ本発明で用いるスクリーン21のさらに他の例を説明するための図である。
【図20】(a)、(b)はそれぞれ基板に電極を設けた本発明の情報表示用パネルにおける電極/隔壁/スクリーンの孔の位置関係の一例を示す図である。
【図21】(a)、(b)はそれぞれ基板に電極を設けた本発明の情報表示用パネルにおける電極/隔壁/スクリーンの孔の位置関係の他の例を示す図である。
【図22】基板に電極を設けた本発明の情報表示用パネルにおける電極/隔壁/スクリーンの孔の位置関係のさらに他の例を示す図である。
【図23】本発明の製造方法の対象となる情報表示用パネルにおける隔壁の形状の一例を示す図である。
【図24】従来の表示媒体充填方法の一例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0102】
1、2、11 基板
3 表示媒体
3W 白色表示媒体
3B 黒色表示媒体
4、13 隔壁
5、6 電極
12 電極膜
14 セル
15、21 スクリーン
16 板状部材(スキージ)
22 孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方が透明な対向する2枚の基板間の隔壁で形成されたセル内に、少なくとも1種類以上の粒子から構成される光学的反射率および帯電性を有する少なくとも1種類以上の表示媒体を封入し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルの製造方法において、表示媒体をセル内に充填するにあたり、隔壁上にスクリーンを配置し、スクリーン上に表示媒体を載せ、板状部材をスクリーンと接触させた状態でスクリーン上を移動させることで、表示媒体をセル内に充填することを特徴とする情報表示用パネルの製造方法。
【請求項2】
前記隔壁で形成されたセルの位置と、スクリーンメッシュ開口部の配置位置もしくはスクリーンの孔の配置位置とを、1対1に対応するようにして行うことを特徴とする請求項1に記載の情報表示用パネルの製造方法。
【請求項3】
光学的反射率および帯電性の異なる複数種類の表示媒体をセル内に充填するにあたり、光学的反射率および帯電性の異なる複数種類の表示媒体の混合物をセル内に充填することを特徴とする請求項1または2に記載の情報表示用パネルの製造方法。
【請求項4】
スクリーンの目開き形状により、表示媒体を充填すべきエリアをコントロールすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報表示用パネルの製造方法。
【請求項5】
スクリーンの種類、サイズ、および、板状部材の移動条件により、表示媒体のセル内への充填量をコントロールすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の情報表示用パネルの製造方法。
【請求項6】
基板に電極が設けられた情報表示用パネルの製造方法であって、電極の配置位置と、スクリーンメッシュ開口部の配置位置もしくはスクリーンの孔の配置位置とを、1対1に対応するようにして行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の情報表示用パネルの製造方法。
【請求項1】
少なくとも一方が透明な対向する2枚の基板間の隔壁で形成されたセル内に、少なくとも1種類以上の粒子から構成される光学的反射率および帯電性を有する少なくとも1種類以上の表示媒体を封入し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルの製造方法において、表示媒体をセル内に充填するにあたり、隔壁上にスクリーンを配置し、スクリーン上に表示媒体を載せ、板状部材をスクリーンと接触させた状態でスクリーン上を移動させることで、表示媒体をセル内に充填することを特徴とする情報表示用パネルの製造方法。
【請求項2】
前記隔壁で形成されたセルの位置と、スクリーンメッシュ開口部の配置位置もしくはスクリーンの孔の配置位置とを、1対1に対応するようにして行うことを特徴とする請求項1に記載の情報表示用パネルの製造方法。
【請求項3】
光学的反射率および帯電性の異なる複数種類の表示媒体をセル内に充填するにあたり、光学的反射率および帯電性の異なる複数種類の表示媒体の混合物をセル内に充填することを特徴とする請求項1または2に記載の情報表示用パネルの製造方法。
【請求項4】
スクリーンの目開き形状により、表示媒体を充填すべきエリアをコントロールすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報表示用パネルの製造方法。
【請求項5】
スクリーンの種類、サイズ、および、板状部材の移動条件により、表示媒体のセル内への充填量をコントロールすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の情報表示用パネルの製造方法。
【請求項6】
基板に電極が設けられた情報表示用パネルの製造方法であって、電極の配置位置と、スクリーンメッシュ開口部の配置位置もしくはスクリーンの孔の配置位置とを、1対1に対応するようにして行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の情報表示用パネルの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2007−148381(P2007−148381A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−284237(P2006−284237)
【出願日】平成18年10月18日(2006.10.18)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月18日(2006.10.18)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
[ Back to top ]