説明

情報表示用パネル

【課題】情報の表示書き換えを何度行っても、良好な表示書き換え耐久性を有する情報表示用パネルを提供する。
【解決手段】少なくとも一方の基板が透明な対向する2枚の基板間に、基板間ギャップを保持し、かつ、基板間の空間を仕切る隔壁を、連続的に、または、断続的に設け、仕切られた気中空間に光学的反射率および帯電特性を有する表示媒体を封入した構造の情報表示用パネルにおいて、基板1、2上に導電性金属酸化物または導電性高分子材料で構成された電極5、6を、表示媒体3と接するように設ける。また、好適な例として、表示媒体として白色表示媒体と黒色表示媒体を用いるとともに、隔壁で仕切られた気中空間からなるセルに対応して透明な三原色のカラーフィルターを配置し、1画素を3セルから構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一方の基板が透明な対向する2枚の基板間に、基板間ギャップを保持し、かつ、基板間の空間を仕切る隔壁を、連続的に、または、断続的に設け、仕切られた気中空間に光学的反射率および帯電特性を有する表示媒体を封入した構造の情報表示用パネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、黒色粒子および白色粒子を基板間セル内に封入し、基板に設けた電極から粒子に電界を付与して、封入した粒子を駆動させて画像等の情報表示を行う画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この画像形成装置では、基板の封入した粒子に接触する側の面に絶縁性層を設けて、基板に設けた電極に、封入した粒子が接触しないようにした構造であった。図10は上述した従来の画像形成装置の一例を説明するための図である。図10に示す例において、51、52は基板、53、54はそれぞれ基板51、52上に形成された電極、55は隔壁、56は電極53、54を覆う絶縁層、57Bは黒色粒子、57Wは白色粒子である。
【特許文献1】特開2001−312225号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した従来の画像形成装置では、基板51、52を絶縁層56で覆っているため、粒子を駆動させるのに大きな電界を要し、そのため、電極53、54間に印加する電圧も数百ボルトと大きなものとなっていた。また、大きなエネルギーを粒子に付加させる結果、粒子を繰り返し駆動させていると、言い換えれば、情報の表示書き換えを何度も行うと、次第に粒子が駆動しなくなってしまい、表示書き換え耐久性においても問題があった。
【0004】
本発明の目的は上述した問題点を解消して、情報の表示書き換えを何度行っても、良好な表示書き換え耐久性を有する情報表示用パネルを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の情報表示用パネルは、少なくとも一方の基板が透明な対向する2枚の基板間に、基板間ギャップを保持し、かつ、基板間の空間を仕切る隔壁を、連続的に、または、断続的に設け、仕切られた気中空間に光学的反射率および帯電特性を有する表示媒体を封入した構造の情報表示用パネルにおいて、基板上に導電性金属酸化物または導電性高分子材料で構成された電極を、表示媒体と接するように設けたことを特徴とするものである。
【0006】
また、本発明の情報表示用パネルの好適例としては、帯電性を有する表示媒体として白色表示媒体と黒色表示媒体を用いるとともに、三個のセルで単位画素を構成し、少なくとも表示面側となる基板側に、透明な三原色カラーを有する三個のカラーフィルターを配設して構成したこと、帯電性を有する表示媒体として白色表示媒体と黒色表示媒体を用いるとともに、四個のセルで単位画素を構成し、少なくとも表示面側となる基板側に、透明な三原色カラーを有する三個のカラーフィルターと無色透明な一個のカラーフィルターとをそれぞれ配設して構成したこと、三原色が、光の三原色(赤:R、緑:G、青紫:B)であること、三個のセルで単位画素を構成し、各セル別に黒色表示媒体と赤色表示媒体、黒色表示媒体と緑色表示媒体、黒色表示媒体と青紫色表示媒体を封入して構成したこと、三個のセルで単位画素を構成し、各セル別に白色表示媒体とシアン色表示媒体、白色表示媒体とマゼンタ色表示媒体、白色表示媒体とイエロー色表示媒体を封入して構成したこと、がある。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、基板上に導電性金属酸化物または導電性高分子材料で構成された電極を、表示媒体と接するように設けることで、情報の表示書き換えを何度行っても、良好な表示書き換え耐久性を有する情報表示用パネルを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
まず、本発明の情報表示用パネルの基本的な構成について説明する。本発明の対象となる情報表示用パネルでは、対向する2枚の基板間に封入した表示媒体に電界が付与される。付与された電界方向にそって、帯電した表示媒体が電界による力やクーロン力などによって引き寄せられ、表示媒体が電位の切替による電界方向の変化によって移動方向を変えることにより、画像等の情報表示がなされる。従って、表示媒体が、均一に移動し、かつ、繰り返し表示を書き換える時あるいは表示情報を継続して表示する時の安定性を維持できるように、情報表示用パネルを設計する必要がある。ここで、表示媒体を構成する粒子にかかる力は、粒子同士のクーロン力により引き付けあう力の他に、電極や基板との電気鏡像力、分子間力、液架橋力、重力などが考えられる。
【0009】
図1は本発明の情報表示用パネルの一例の構成を説明するための図である。図1に示す例では、少なくとも1種以上の粒子から構成される光学的反射率および帯電特性の異なる少なくとも2種以上の表示媒体3(ここでは白色表示媒体用粒子3Waの粒子群からなる白色表示媒体3Wと黒色表示媒体用粒子3Baの粒子群からなる黒色表示媒体3Bを示す)を、基板1の内側に設けた電極5と基板2の内側に設けた電極6との間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1、2と垂直に移動させ、黒色表示媒体3Bを観察者に視認させて黒色の表示を行うか、あるいは、白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色の表示を行っている。なお、基板1、2との間に例えば格子状に隔壁4を設けセルを形成している。また、図1において、手前にある隔壁は省略している。
【0010】
以上の説明は、粒子群からなる白色表示媒体3Wを粉流体からなる白色表示媒体に、粒子群からなる黒色表示媒体3Bを粉流体からなる黒色表示媒体に、それぞれ置き換えた場合も同様に適用することが出来る。粉流体については後述する。
【0011】
上述した本発明において、重要な特徴は、基板1、2に設ける電極5、6をITO(酸化インジウム錫)のような導電性金属酸化物または導電性高分子材料で構成し、表示媒体3(ここでは白色表示媒体用粒子3Waの粒子群からなる白色表示媒体3Wと黒色表示媒体用粒子3Baの粒子群からなる黒色表示媒体3B)と接触する側の基板表面に設け、これまで電極上にさらに設けられていた絶縁性層がない構造のパネルとした点である。
【0012】
電極5、6を構成する導電性金属酸化物としては、ITO(酸化インジウム錫)のほか、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫等を用いることができ、また、電極5、6を構成する導電性高分子材料としては、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子類を用いることができ、いずれも適宜選択して用いられる。電極5、6の形成方法としては、上記例示の材料をスパッタリング法、真空蒸着法、CVD(化学蒸着)法、塗布法等で薄膜状にパターニング形成する方法や、導電剤を溶媒や合成樹脂バインダーに混合して塗布してパターニング形成する方法が用いられる。
【0013】
上述した本発明では、表示媒体3と電極5、6とが直接接触する構成とすることで、良好な表示書き換え耐久性を有する情報表示用パネルを得ることができる。本発明において、導電性金属酸化物または導電性高分子材料で構成された電極5、6を、表示媒体3と接するように配置することで、低電圧駆動ができるようになったり、表示書き換えの耐久性が向上したりする理由は解明されていないが、電極を金属材料で構成した場合には、本発明の効果は得られないので、金属材料で形成した電極の表面状態と本発明のような材料で形成された電極の表面状態との差や、金属電極の導電性と本発明のような材料で形成された電極の導電性との差などが関係していると考えられる。
【0014】
なお、上述した本発明では、表示媒体3を封入する基板1、2間には、表示媒体3の偏在を防止するために隔壁4を設けた。上記隔壁4は、完全にこの隔壁に囲まれたセルを形成する連続的なものであっても、不完全にこの隔壁で囲まれた断続的なものであってもよく、基板間のギャップを所定の大きさに保持する機能と、表示媒体の偏在を防止する機能とを有していればよい。
【0015】
図2〜図4はそれぞれ本発明の情報表示用パネルの他の例を説明するための図である。図2〜図4に示す例において、図1に示す部材と同一の部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。図2〜図4に示す例はカラー表示が可能な例を示しており、表示面側の透明な基板2において、隔壁4で仕切られた気中空間からなるセル11に対応して、三原色のカラーフィルター12R(赤色)、12G(緑色)、12B(青紫色)を各別に設け、1画素をカラーフィルター12R、12G、12Bを各別に設けた3つのセル11から構成することで、カラー表示を可能にしている。
【0016】
図2〜図4に示す例のうち、図2に示す例では、カラーフィルター12R、12G、12Bを透明な基板2の外側表面に設けた例を示している。図3に示す例では、カラーフィルター12R、12G、12Bを各別の電極6と接して設けた例を示している。図4に示す例では、カラーフィルター12R、12G、12Bを透明な基板2の中間部に設けた例を示している。いずれの例でも、本発明におけるカラー表示を好適に実施できる。
【0017】
図5及び図6はそれぞれ本発明の情報表示用パネルのさらに他の例を説明するための図である。図5及び図6に示す例において、図1に示す部材と同一の部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。図5及び図6の例では、図1等に示すように所定の電極5、6を表示媒体3と接触するよう構成する特徴に加えて、四個のセルで単位画素を構成し、少なくとも表示面側となる基板2側に、透明な三原色カラーを有する三個のカラーフィルター12R、12G、12Bと無色透明な一個のカラーフィルター12Tとをそれぞれ配置して構成している。図5に示す例と図6に示す例とで異なる点は、無色透明なカラーフィルター12Tの位置を変えた点のみで、両者とも実質的に同じ効果を得ることができる。
【0018】
図7及び図8はそれぞれ本発明の情報表示用パネルのさらに他の例を説明するための図である。図7及び図8に示す例において、図1に示す部材と同一の部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。図7に示す例では、図1等に示すように所定の電極5、6を表示媒体3と接触するよう構成する特徴に加えて、三個のセルで単位画素を構成し、各セル別に黒色表示媒体3B(黒色表示媒体用粒子3Baで構成されている)と赤色表示媒体3R(赤色表示媒体用粒子3Raで構成されている)、黒色表示媒体3Bと緑色表示媒体3G(緑色表示媒体用粒子3Gaで構成されている)、黒色表示媒体3Bと青紫色表示媒体3BV(青紫色表示媒体用粒子3BVaで構成されている)を封入して構成している。また、図8に示す例では、図1等に示すように所定の電極5、6を表示媒体3と接触するよう構成する特徴に加えて、三個のセルで単位画素を構成し、各セル別に白色表示媒体3W(白色表示媒体用粒子3Waで構成されている)とシアン色表示媒体3C(シアン色表示媒体用粒子3Caで構成されている)、白色表示媒体3Wとマゼンタ色表示媒体3M(マゼンタ色表示媒体用粒子3Maで構成されている)、白色表示媒体3Wとイエロー色表示媒体3Y(イエロー色表示媒体用粒子3Yaで構成されている)を封入して構成している。
【0019】
なお、いずれの例においても、隔壁4のうち、1画素の境界を形成する隔壁4(図中、中心部の2本の隔壁)は、基板間ギャップを所定の大きさに保持する役割を担っているが、それ以外の隔壁4(図中、両端の2本の隔壁を除く中心部の2本の隔壁)には、この役割を持たせなくても良く、例えば、隔壁4の先端が透明な基板2と接触していなくても良いし、これらの隔壁を設けなくても良い。
【0020】
以下、本発明の情報表示用パネルを構成する各部材について説明する。
【0021】
基板については、カラーフィルターを設ける一方の基板はパネル外側から表示媒体3の色が確認できる透明な基板2であり、可視光の透過率が高くかつ耐熱性の良い材料が好適である。基板1は透明でも不透明でもかまわない。基板としては、ガラスやセラミックス等の無機系基板や、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、アクリルなどの有機高分子系基板を用いることが可能である。基板の厚みは、2〜5000μmが好ましく、さらに5〜2000μmが好適であり、薄すぎると、強度、基板間の間隔均一性を保ちにくくなり、5000μmより厚いと、薄型情報表示用パネルとする場合に不都合がある。
【0022】
電極形成材料は、上述した通りの導電性金属酸化物または導電性高分子材料から構成される必要がある。視認側(表示面側)基板に設ける電極は透明である必要があるが、背面側基板に設ける電極は透明である必要がない。いずれの場合もパターン形成可能である導電性である上記材料を好適に用いることができる。なお、電極厚みは、導電性が確保でき光透過性に支障がなければ良く、3〜1000nm、好ましくは5〜400nmが好適である。背面側基板に設ける電極の材質や厚みなどは上述した表示面側基板に設ける電極と同様であるが、透明である必要はない。なお、この場合の外部電圧入力は、直流あるいは交流を重畳しても良い。
【0023】
カラーフィルター形成材料としては、光透過性を損なわないような赤色系、青紫色系、緑色系などの染料や顔料を含有した透明で光透過性に優れた材料が好ましく用いられる。
【0024】
基板に設ける隔壁4については、その形状は表示にかかわる表示媒体の種類や、配置する電極の形状、配置により適宜最適設定され、一概には限定されないが、隔壁の幅は2〜100μm、好ましくは3〜50μmに、隔壁の高さは10〜100μm、好ましくは10〜50μmに調整される。
また、隔壁を形成するにあたり、対向する両基板1、2の各々にリブを形成した後に接合する両リブ法、片側の基板上にのみリブを形成する片リブ法が考えられる。この発明では、いずれの方法も好適に用いられる。
これらのリブからなる隔壁により形成されるセルは、図9に示すごとく、基板平面方向からみて四角状、三角状、ライン状、円形状、六角状が例示され、配置としては格子状やハニカム状や網目状が例示される。表示面側から見える隔壁断面部分に相当する部分(セルの枠部の面積)はできるだけ小さくした方が良く、表示の鮮明さが増す。
ここで、隔壁の形成方法を例示すると、金型転写法、スクリーン印刷法、サンドブラスト法、フォトリソ法、アディティブ法が挙げられる。いずれの方法もこの発明の情報表示用パネルに好適に用いることができるが、これらのうち、レジストフィルムを用いるフォトリソ法や金型転写法が好適に用いられる。
【0025】
次に、本発明の情報表示用パネルで表示媒体として例えば用いる粉流体について説明する。なお、本発明の情報表示用パネルで用いる粉流体の名称については、本出願人が「電子粉流体(登録商標):登録番号4636931」の権利を得ている。
【0026】
本発明における「粉流体」は、気体の力も液体の力も借りずに、自ら流動性を示す、流体と粒子の特性を兼ね備えた両者の中間状態の物質である。例えば、液晶は液体と固体の中間的な相と定義され、液体の特徴である流動性と固体の特徴である異方性(光学的性質)を有するものである(平凡社:大百科事典)。一方、粒子の定義は、無視できるほどの大きさであっても有限の質量をもった物体であり、重力の影響を受けるとされている(丸善:物理学事典)。ここで、粒子でも、気固流動層体、液固流動体という特殊状態があり、粒子に底板から気体を流すと、粒子には気体の速度に対応して上向きの力が作用し、この力が重力とつりあう際に、流体のように容易に流動できる状態になるものを気固流動層体と呼び、同じく、流体により流動化させた状態を液固流動体と呼ぶとされている(平凡社:大百科事典)。このように気固流動層体や液固流動体は、気体や液体の流れを利用した状態である。本発明では、このような気体の力も、液体の力も借りずに、自ら流動性を示す状態の物質を、特異的に作り出せることが判明し、これを粉流体と定義した。
【0027】
すなわち、本発明における粉流体は、液晶(液体と固体の中間相)の定義と同様に、粒子と液体の両特性を兼ね備えた中間的な状態で、先に述べた粒子の特徴である重力の影響を極めて受け難く、高流動性を示す特異な状態を示す物質である。このような物質はエアロゾル状態、すなわち気体中に固体状もしくは液体状の物質が分散質として安定に浮遊する分散系で得ることができ、本発明の情報表示用パネルで固体状物質を分散質とするものである。
【0028】
本発明の情報表示用パネルは、少なくとも一方が透明な、対向する基板間に、例えば気体中に固体粒子が分散質として安定に浮遊するエアロゾル状態で高流動性を示す粉流体を封入するものであり、このような粉流体は、小さな電界の力でクーロン力などにより容易に安定して移動させることができる。
本発明に表示媒体として例えば用いる粉流体とは、先に述べたように、気体の力も液体の力も借りずに、自ら流動性を示す、流体と粒子の特性を兼ね備えた両者の中間状態の物質である。この粉流体は、特にエアロゾル状態とすることができ、本発明の情報表示用パネルでは、気体中に固体状の物質が分散質として比較的安定に浮遊する状態で表示媒体として用いられる。
【0029】
次に、本発明の情報表示用パネルにおいて表示媒体を構成する表示媒体用粒子(以下、粒子ともいう)について説明する。表示媒体用粒子は、そのまま該表示媒体用粒子だけで構成して表示媒体としたり、その他の粒子と合わせて構成して表示媒体としたり、粉流体となるように調整、構成して表示媒体としたりして用いられる。
粒子には、その主成分となる樹脂に、必要に応じて、従来と同様に、荷電制御剤、着色剤、無機添加剤等を含ますことができる。以下に、樹脂、荷電制御剤、着色剤、その他添加剤を例示する。
【0030】
樹脂の例としては、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、アクリルフッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられ、2種以上混合することもできる。特に、基板との付着力を制御する観点から、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、アクリルフッ素樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂が好適である。
【0031】
荷電制御剤としては、特に制限はないが、負荷電制御剤としては例えば、サリチル酸金属錯体、含金属アゾ染料、含金属(金属イオンや金属原子を含む)の油溶性染料、4級アンモニウム塩系化合物、カリックスアレン化合物、含ホウ素化合物(ベンジル酸ホウ素錯体)、ニトロイミダゾール誘導体等が挙げられる。正荷電制御剤としては例えば、ニグロシン染料、トリフェニルメタン系化合物、4級アンモニウム塩系化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体等が挙げられる。その他、超微粒子シリカ、超微粒子酸化チタン、超微粒子アルミナ等の金属酸化物、ピリジン等の含窒素環状化合物及びその誘導体や塩、各種有機顔料、フッ素、塩素、窒素等を含んだ樹脂等も荷電制御剤として用いることもできる。
【0032】
着色剤としては、以下に例示するような、有機または無機の各種、各色の顔料、染料が使用可能である。
【0033】
黒色着色剤としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭等がある。
青色着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC等がある。
赤色着色剤としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド2等がある。
【0034】
黄色着色剤としては、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファーストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー12等がある。
緑色着色剤としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、C.I.ピグメントグリーン7、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等がある。
橙色着色剤としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGK、C.I.ピグメントオレンジ31等がある。
紫色着色剤としては、マンガン紫、ファーストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等がある。
白色着色剤としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等がある。
【0035】
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等がある。また、塩基性、酸性、分散、直接染料等の各種染料として、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルー等がある。
【0036】
無機系添加剤の例としては、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、酸化アンチモン、炭酸カルシウム、鉛白、タルク、シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミナホワイト、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、カドミウムオレンジ、チタンイエロー、紺青、群青、コバルトブルー、コバルトグリーン、コバルトバイオレット、酸化鉄、カーボンブラック、マンガンフェライトブラック、コバルトフェライトブラック、銅粉、アルミニウム粉などが挙げられる。
これらの顔料および無機系添加剤は、単独であるいは複数組み合わせて用いることができる。このうち特に黒色顔料としてカーボンブラックが、白色顔料として酸化チタンが好ましい。又、本発明の表示媒体用粒子は、上記顔料や染料を組み合わせて所望の色相、色彩を発現するように調整される。
【0037】
また、本発明の表示媒体用粒子(以下、粒子ともいう)は平均粒子径d(0.5)が、0.1〜20μmの範囲であり、均一で揃っていることが好ましい。平均粒子径d(0.5)がこの範囲より大きいと表示上の鮮明さに欠け、この範囲より小さいと粒子同士の凝集力が大きくなりすぎるために表示媒体としての移動に支障をきたすようになる。
【0038】
更に本発明では、各粒子の粒子径分布に関して、下記式に示される粒子径分布Spanを5未満、好ましくは3未満とする。
Span=(d(0.9)−d(0.1))/d(0.5)
(但し、d(0.5)は粒子の50%がこれより大きく、50%がこれより小さいという粒子径をμmで表した数値、d(0.1)はこれ以下の粒子の比率が10%である粒子径をμmで表した数値、d(0.9)はこれ以下の粒子が90%である粒子径をμmで表した数値である。)
Spanを5以下の範囲に納めることにより、各粒子のサイズが揃い、均一な表示媒体としての移動が可能となる。
【0039】
さらにまた、各粒子の相関について、使用した粒子の内、最大径を有する粒子のd(0.5)に対する最小径を有する粒子のd(0.5)の比を50以下、好ましくは10以下とすることが肝要である。たとえ粒子径分布Spanを小さくしたとしても、互いに帯電特性の異なる粒子が互いに反対方向に動くので、互いの粒子サイズが近く、互いの粒子が当量ずつ反対方向に容易に移動できるようにするのが好適であり、それがこの範囲となる。
【0040】
なお、上記の粒子径分布および粒子径は、レーザー回折/散乱法などから求めることができる。測定対象となる粒子にレーザー光を照射すると空間的に回折/散乱光の光強度分布パターンが生じ、この光強度パターンは粒子径と対応関係があることから、粒子径および粒子径分布が測定できる。
ここで、本発明における粒子径および粒子径分布は、体積基準分布から得られたものである。具体的には、Mastersizer2000(Malvern Instruments Ltd.)測定機を用いて、窒素気流中に粒子を投入し、付属の解析ソフト(Mie理論を用いた体積基準分布を基本としたソフト)にて、粒子径および粒子径分布の測定を行なうことができる。
【0041】
表示媒体用粒子の帯電量は当然その測定条件に依存するが、情報表示用パネルにおける表示媒体用粒子の帯電量はほぼ、初期帯電量、隔壁との接触、基板との接触、経過時間に伴う電荷減衰に依存し、特に表示媒体用粒子の帯電挙動の飽和値が支配因子となっているということが分かった。
【0042】
本発明者らは鋭意検討の結果、ブローオフ法において同一のキャリア粒子を用いて、表示媒体に用いる粒子の帯電量測定を行うことにより、表示媒体用粒子の適正な帯電特性値の範囲を評価できることを見出した。
【0043】
特に、表示媒体用粒子で構成する粒子群や粉流体等の表示媒体を適用した本発明の情報表示用パネルでは、基板間の表示媒体を取り巻く空隙部分の気体の管理が重要であり、表示安定性向上に寄与する。具体的には、空隙部分の気体の湿度について、25℃における相対湿度を60%RH以下、好ましくは50%RH以下とすることが重要である。
この空隙部分とは、図1〜図8において、対向する基板1、基板2に挟まれる部分から、電極5、6、表示媒体3の占有部分、隔壁4(隔壁を設けた場合)の占有部分、情報表示用パネルのシール部分を除いた、いわゆる表示媒体が接する気体部分を指すものとする。
空隙部分の気体は、先に述べた湿度領域であれば、その種類は問わないが、乾燥空気、乾燥窒素、乾燥アルゴン、乾燥ヘリウム、乾燥二酸化炭素、乾燥メタンなどが好適である。この気体は、その湿度が保持されるように情報表示用パネルに封入することが必要であり、例えば、表示媒体の充填、情報表示用パネルの組み立てなどを所定湿度環境下にて行い、さらに、外からの湿度侵入を防ぐシール材、シール方法を施すことが肝要である。
【0044】
本発明の情報表示用パネルにおける基板と基板との間隔は、表示媒体が移動できて、コントラストを維持できればよいが、通常10〜500μm、好ましくは10〜200μmに調整される。
対向する基板間の空間における表示媒体の体積占有率は5〜70%が好ましく、さらに好ましくは5〜60%である。70%を超える場合には表示媒体の移動に支障をきたし、5%未満の場合にはコントラストが不明確となり易い。
【実施例】
【0045】
<実施例1>
図1に示す構成の情報表示用パネルを、ITO電極5、6をガラス基板1、2に設けて作製した。ITO電極5、6間に70Vの電圧を印加して駆動させ、白色と黒色とを交互に表示する書き換えを行った。その結果、100万回以上の書き換え耐久性を示した。
【0046】
<実施例2>
図1に示す構成の情報表示用パネルを、ITO電極5、6をPET基板1、2に設けて作製した。ITO電極5、6間に70Vの電圧を印加して駆動させ、白色と黒色とを交互に表示する書き換えを行った。その結果、100万回以上の書き換え耐久性を示した。
【0047】
<比較例>
図10に示す構成の情報表示用パネルを、ITO電極53、54をガラス基板51、52に設け、その上にポリカーボネート層56を設け、ITO電極53、54が直接粒子に触れない構成となるよう作製した。この構成の情報表示用パネルでは、駆動させるのに300Vの電圧を要した。また、1〜2万回の表示書き換えを実施したところ表示媒体が駆動しなくなった。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の情報表示用パネルは、ノートパソコン、PDA、携帯電話、ハンディターミナル等のモバイル機器の表示部、電子ブック、電子新聞等の電子ペーパー、看板、ポスター、黒板等の掲示板、電卓、家電製品、自動車用品等の表示部、ポイントカード、ICカード等のカード表示部、電子広告、情報ボード、電子POP(Point Of Presence, Point Of Purchase advertising)、電子値札、電子棚札、電子楽譜、RF−ID機器の表示部などに好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の情報表示用パネルの一例を示す図である。
【図2】本発明の情報表示用パネルの他の例を示す図である。
【図3】本発明の情報表示用パネルのさらに他の例を示す図である。
【図4】本発明の情報表示用パネルのさらに他の例を示す図である。
【図5】本発明の情報表示用パネルのさらに他の例を示す図である。
【図6】本発明の情報表示用パネルのさらに他の例を示す図である。
【図7】本発明の情報表示用パネルのさらに他の例を示す図である。
【図8】本発明の情報表示用パネルのさらに他の例を示す図である。
【図9】本発明の情報表示用パネルにおける隔壁の形状の一例を示す図である。
【図10】従来の情報表示用パネルの一例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0050】
1、2 基板
3 表示媒体(粒子群、粉流体)
3W 白色表示媒体
3Wa 白色表示媒体用粒子
3B 黒色表示媒体
3Ba 黒色表示媒体用粒子
3R 赤色表示媒体
3Ra 赤色表示媒体用粒子
3G 緑色表示媒体
3Ga 緑色表示媒体
3BV 青紫色表示媒体
3BVa 青紫色表示媒体用粒子
3C シアン色表示媒体
3Ca シアン色表示媒体用粒子
3M マゼンタ色表示媒体
3Ma マゼンタ色表示媒体用粒子
3Y イエロー色表示媒体
3Ya イエロー色表示媒体用粒子
4 隔壁
5、6 電極
11 セル
12R、12G、12B、12T カラーフィルター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方の基板が透明な対向する2枚の基板間に、基板間ギャップを保持し、かつ、基板間の空間を仕切る隔壁を、連続的に、または、断続的に設け、仕切られた気中空間に光学的反射率および帯電特性を有する表示媒体を封入した構造の情報表示用パネルにおいて、基板上に導電性金属酸化物または導電性高分子材料で構成された電極を、表示媒体と接するように設けたことを特徴とする情報表示用パネル。
【請求項2】
帯電性を有する表示媒体として白色表示媒体と黒色表示媒体を用いるとともに、三個のセルで単位画素を構成し、少なくとも表示面側となる基板側に、透明な三原色カラーを有する三個のカラーフィルターを配設して構成したことを特徴とする請求項1に記載の情報表示用パネル。
【請求項3】
帯電性を有する表示媒体として白色表示媒体と黒色表示媒体を用いるとともに、四個のセルで単位画素を構成し、少なくとも表示面側となる基板側に、透明な三原色カラーを有する三個のカラーフィルターと無色透明な一個のカラーフィルターとをそれぞれ配設して構成したことを特徴とする請求項1に記載の情報表示用パネル。
【請求項4】
前記三原色が、光の三原色(赤:R、緑:G、青紫:B)である請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報表示用パネル。
【請求項5】
三個のセルで単位画素を構成し、各セル別に黒色表示媒体と赤色表示媒体、黒色表示媒体と緑色表示媒体、黒色表示媒体と青紫色表示媒体を封入して構成したことを特徴とする請求項1に記載の情報表示用パネル。
【請求項6】
三個のセルで単位画素を構成し、各セル別に白色表示媒体とシアン色表示媒体、白色表示媒体とマゼンタ色表示媒体、白色表示媒体とイエロー色表示媒体を封入して構成したことを特徴とする請求項1に記載の情報表示用パネル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2007−171650(P2007−171650A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−370341(P2005−370341)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)