説明

情報表示装置

【課題】 情報表示シートの頁数を多くすることが可能であり、情報表示装置を安価とすることができ、信号線も少なくすることができる情報表示装置を提供する。
【解決手段】 各頁に軸回転用タブ21を形成した複数頁から成る情報表示シート2と、周方向に所定角度を為して一対の突起部31,32を形成すると共に、各突起部31,32を周方向に所定角度ずらして軸方向に頁数だけ配列してなる回転軸3と、所定間隔で多数のスリット41を形成し、回転軸3に固定したエンコーダ4と、エンコーダ4のスリット41を検出するセンサ5と、から情報表示装置1を構成する。軸回転用タブ21によって突起部31,32を押圧して、回転軸3を所定角度だけ回転させることによって、捲られた情報表示シート2の頁を認識する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、OA機器、事務機器、電気機器等の操作パネルに付設され、それら機器の操作方法、作動状態等に関する情報を視覚で認識できる情報表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
OA機器、事務機器、電気機器等の操作パネルには、操作ボタンから成る操作部、LED等から成る表示部と共に、それら機器の操作方法、作動状態等に関する情報を視覚で認識できる情報表示装置が付設されることも多い。
この情報表示装置は、複数の情報表示シートを本の頁を捲る感覚で操作できるようにしたものであり、例えば、操作パネルの表示部に表示された数値と対応する頁を開くことにより、必要な情報を視覚で認識できるようになっている。
【0003】
この種の情報表示装置として、従来、情報表示シートの各頁に対応する押ボタンスイッチを配設し、情報表示シートの各頁に押ボタンスイッチを押下するタブを形成し、ある頁の情報表示シートを捲ると、そのタブが対応する押ボタンスイッチを押下し、開かれている頁を認識するものが知られている(特許文献1参照)。
又、情報シートの各頁に異なる電極パターンを形成し、その電極パターンを検出するタブレットを配設し、ある頁の情報表示シートを捲ると、タブレットが情報シートに形成された電極パターンを検出し、開かれている頁を認識するものも知られている(特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平7−110664号公報
【特許文献2】特開平6−348400号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載された情報表示装置にあっては、各頁に対応する押ボタンスイッチを配設するため、情報表示シートの頁数分の押ボタンスイッチが必要となり、情報表示シートの頁数をあまり多くすることはできなかった。
又、特許文献2に記載された情報表示装置にあっては、情報シートの各頁に異なる電極パターンを形成するため、情報表示シートの製造コストが高価となり、情報表示装置も高価とならざるを得なかった。
さらに、何れの情報表示装置にあっても、情報表示シートの頁数分の制御信号線が必要となると共に、インターフェースの信号線も増大することになった。
【0006】
本発明は、かかる従来の問題点を解消すべく為されたものであって、情報表示シートの頁数を多くすることが可能であり、情報表示シートの製造コストが安価で、情報表示装置も安価とすることができ、制御信号線及びインターフェースの信号線も少なくすることができる情報表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の情報表示装置は、各頁に軸回転用タブを形成した複数頁から成る情報表示シートと、周方向に所定角度を為して一対の突起部を形成すると共に、各突起部を周方向に所定角度ずらして軸方向に頁数だけ配列してなる回転軸と、所定間隔で多数のスリットを形成し、前記回転軸に固定したエンコーダと、前記エンコーダのスリットを検出するセンサと、から構成し、前記軸回転用タブにより前記突起部を押圧することによって、前記回転軸を所定角度だけ回転させるようにしたことを特徴とする。
【0008】
上記情報表示装置において、前記情報表示シートに軸回転用タブを形成し、前記回転軸に一対の突起部を形成する代わりに、前記情報表示シートに軸回転用突片を形成し、前記回転軸にこの軸回転用突片が嵌入する溝部を形成してもよい。
【0009】
前記エンコーダに形成するスリットは、中心からの放射線に対して所定角度傾けて形成するのが好ましい。
【0010】
前記センサは、位相の異なる2の出力信号を生成するものが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の情報表示装置の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
本発明の情報表示装置1は、図1に示すように、複数頁から成る情報表示シート2と、回転軸3と、エンコーダ4と、センサ5とから構成してある。
【0013】
情報表示シート2は、厚紙、プラスチックシート等の比較的剛性の高いシート部材から成り、図1及び図2に示すように、情報表示シート2には、各頁について、側端部に異なる位置に軸回転用タブ21を形成し、下端部に異なる位置に頁表示用タブ22を形成してある。
又、情報表示シート2には、各頁ともに同一位置に、複数の確認孔部23を所定間隔で形成してある。
【0014】
回転軸3は、図1及び図3に示すように、両端部において支持部材6,6に回転自在に支持してあり、周面部には一対の突起部31,32を形成してある。
突起部31は、回転軸3の軸方向に所定間隔で、隣接する突起部31,31は、回転軸3の周方向に所定角度ずらして配列してある。
突起部32は、回転軸3に対して突起部31と反対側に、周方向に所定角度を為して形成してあり、突起部32も、回転軸3の軸方向に所定間隔で、隣接する突起部32,32は、回転軸3の周方向に所定角度ずらして配列してある。
【0015】
図3は、情報表示シート2を11頁有する場合における回転軸3の構成を示したものであり、突起部31と突起部32との為す角度は165°、隣接する突起部31,31及び隣接する突起部32,32の為す角度は15°としてある。
【0016】
エンコーダ4は、図1及び図4に示すように、回転軸3の一端部に固定した薄肉円板であり、回転軸3と共に回転するようになっている。
エンコーダ4の周辺部には、中心からの放射線に対して所定角度傾けて、所定間隔で多数のスリット41を形成してある。
【0017】
センサ5は、図1に示すように、エンコーダ4のスリット41を検出できる光センサ又は磁気センサ等であって、位相の異なる2の出力信号を生成するものである。
【0018】
又、図1に示すように、設置パネル上に所定間隔で表示灯7を配設すると共に、初期検知スイッチ8を配設してある。
【0019】
次に、本発明の情報表示装置1の動作を、情報表示シート2を11頁有する場合を例に挙げて説明する。
【0020】
情報表示シート2の全頁が左側に位置している場合には、図5(A)に示すように、1頁目の軸回転用タブ21が突起部32を押圧しているから、回転軸3は自由に回転することはできない。
【0021】
1頁目を持ち上げると、突起部32から軸回転用タブ21が離反するから、回転軸3は自由に回転することができるようになる。
そして、1頁目を捲って右側に移動させると、図5(B)に示すように、1頁目の軸回転用タブ21が突起部31に当接し、押圧するから、回転軸3は15°だけ右回転する。
この時、回転軸3が右回転することによって、突起部32が上がってくるが、2頁目の軸回転用タブ21が突起部32を押圧するから、回転軸3はそれ以上回転しない。
【0022】
次いで、2頁目を持ち上げると、突起部32から軸回転用タブ21が離反するから、回転軸3は自由に回転することができるようになる。
そして、2頁目を捲って右側に移動させると、図5(C)に示すように、2頁目の軸回転用タブ21が突起部31に当接し、押圧するから、回転軸3は15°だけ右回転する。
この時、回転軸3が右回転することによって、突起部32が上がってくるが、3頁目の軸回転用タブ21が突起部32を押圧するから、回転軸3はそれ以上回転しない。
【0023】
以下、同様にして頁を捲っていけば、回転軸3は頁を捲る毎に15°づつ確実に右回転することとなる。
【0024】
一方、頁を捲る毎に回転軸3は15°づつ右回転し、それに伴って、エンコーダ4も15°づつ右回転するから、図6に示すように、通過するスリット41の数をセンサ5の出力波形の数として検出すれば、回転軸3の回転角度を検出することができ、捲られた頁数を認識することができる。
【0025】
情報表示シート2の頁を左側から右側に捲る場合について説明したが、右側から左側に捲る場合についても、上記と同様にして、回転軸3は頁を捲る毎に15°づつ確実に左回転することとなる。
【0026】
ここで、スリット41は、中心からの放射線に対して所定角度傾けて形成してあり、センサ5は、位相の異なる2の出力信号を生成するものであるから、図6(A)及び(B)に示すように、出力信号1及び出力信号2の位相を観察することによって、右側又は左側の何れに頁を捲っているか認識することができる。
【0027】
尚、情報表示シート2の全頁が左側に位置している場合、すなわち、初期位置にある場合には、初期検知スイッチ8は押下されないから、これによって、OA機器、事務機器、電気機器等の電源投入時等において、情報表示シート2が初期位置にあることを確認することができる。
【0028】
次に、本発明の情報表示装置1をOA機器の操作パネル11に付設した場合を例に挙げて、OA機器の作動状態に関する情報を視覚で認識する方法について説明する。
【0029】
図7に示すように、操作パネル11には、複数のLED及び操作ボタンから成る操作部12と、7セグメントのLCDから成る3桁の表示部13と、本発明の情報表示装置1とを配設してある。
そして、情報表示装置1は、カバー14を開放することによって、操作できるようになっている。
【0030】
このOA機器においては、機器の作動状態を3桁から成る表示部13に表示するようになっているが、図8に示すように、表示部13に“E03”と表示されたとしても、表示部13に表示されたコードだけでは、マニュアル等に記載された対比表によって確認しなければ、操作者は容易にその具体的内容を知ることができない。
【0031】
そこで、操作者は、カバー14を開放して、情報表示装置1を使用する。
カバー14を開放すると、図9に示すように、設置パネル9上には目次が表示されており、コード“E03”の項目が記載された頁に対応する表示灯7が点灯している。
【0032】
情報表示シート2の4頁目を開くと、図10に示すように、それに対応して点灯する表示灯7が代わり、コード“E03”の項目に対応する表示灯7が点灯する。
このようにして、操作者は、コード“E03”によって表示された機器の作動状態を容易に認識することができる。
【0033】
上記情報表示装置1においては、情報表示シート2に軸回転用タブ21を形成し、回転軸3に一対の突起部31,32を形成したが、その代わりに、情報表示シート2に軸回転用突片を形成し、回転軸3に軸回転用突片が嵌入する溝部を形成してもよい。
この場合には、突起部31の位置から突起部32の位置まで溝部を形成するようにすれば、情報表示装置1と同様の動作を実行させることができる。
【0034】
以上のように、本発明の情報表示装置によれば、情報表示シートの頁数を多くすることが可能であり、情報表示シートの製造コストが安価で、情報表示装置も安価とすることができ、制御信号線及びインターフェースの信号線も少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の情報表示装置の斜視図である。
【図2】情報表示シートの斜視図である。
【図3】回転軸の(A)は平面図、(B)は側面図である。
【図4】エンコーダの平面図である。
【図5】本発明の情報表示装置の動作を示す説明図である。
【図6】センサの出力波形を示す説明図である。
【図7】本発明の情報表示装置を付設したOA機器の操作パネルの平面図である。
【図8】図7の操作パネルに配設された表示部の拡大平面図である。
【図9】情報表示装置の初期状態を示す平面図である。
【図10】情報表示装置の該当頁を開いた状態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 情報表示装置
2 情報表示シート
21 軸回転用タブ
3 回転軸
31 突起部
32 突起部
4 エンコーダ
41 スリット
5 センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各頁に軸回転用タブを形成した複数頁から成る情報表示シートと、周方向に所定角度を為して一対の突起部を形成すると共に、各突起部を周方向に所定角度ずらして軸方向に頁数だけ配列してなる回転軸と、所定間隔で多数のスリットを形成し、前記回転軸に固定したエンコーダと、前記エンコーダのスリットを検出するセンサと、から構成し、前記軸回転用タブにより前記突起部を押圧することによって、前記回転軸を所定角度だけ回転させるようにしたことを特徴とする情報表示装置。
【請求項2】
前記情報表示シートに軸回転用タブを形成し、前記回転軸に一対の突起部を形成する代わりに、前記情報表示シートに軸回転用突片を形成し、前記回転軸にこの軸回転用突片が嵌入する溝部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の情報表示装置。
【請求項3】
前記エンコーダのスリットは、中心からの放射線に対して所定角度傾けて形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報表示装置。
【請求項4】
前記センサは、位相の異なる2の出力信号を生成するものであることを特徴とする請求項1乃至3に記載の情報表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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