説明

情報記憶カード

【課題】 各情報記憶カード間の摺動性を向上させることにより、当該情報記憶カードが重畳した状態で供給された場合においても、2枚送り等を生ずることなく正確に供給することが可能な情報記憶カードを提供することを目的とする。
【解決手段】 情報記憶カード10は、その両面全域が、規則性のない凹凸形状となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ICカードや磁気カード、あるいは、光カード等の情報記憶カードに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ICカード、特に、非接触方式のICカードが多く使用されるようになっている。このICカードは、ICモジュールを一対の外装フィルムで挟み込んだ構成を有する。このような非接触方式のICカードは、例えば、ペイテレビシステム、駐車場管理システム、パチンコの玉貸システム等において使用される。
【0003】
特許文献1には、カードの表面形状を、最大山高さと最大谷深さとの和が50μm以下とするか、または、山谷が1つ以下とすることにより、その外観を美しくしたICカードが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、カードの取扱中にこのカードが手から滑り落ちることを防止するため、カードの所定部に掴み用の保持部を設けるとともに、この保持部のカード表面側にエンボス加工により凹凸を形成したカードが開示されている。
【特許文献1】特開2002−163619号
【特許文献2】特開2001−63247号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図4は、ICカード等の情報記憶カード10を自動的に供給するカード供給装置を示す側面概要図である。
【0006】
一般的に、この種の情報記憶カード10は、数百枚程度重畳した状態で提供される。そして、図4に示すように、重畳された情報記憶カード10は、このカード供給装置により、その最下端部のものから、水平方向に往復移動する搬送爪21を使用して一枚ずつ搬出される。しかしながら、一般に、各情報記憶カード10は面接触しているため、これらの情報記憶カード10間での摺動性はわるく、互いに接触する情報記憶カード10がうまく分離しないことから、2枚送りが生ずるという問題がある。
【0007】
図5は、ICカード等の情報記憶カード10を自動的に供給するカード供給装置の他の実施形態を示す側面概要図である。
【0008】
このときにも、この種の情報記憶カード10は、数百枚程度重畳した状態で提供される。そして、図5に示すように、重畳された情報記憶カード10は、このカード供給装置により、その最上端部のものから、その表面に当接して回転する搬送ローラ22を利用して一枚ずつ搬出される。この場合においても、各情報記憶カード10は面接触しているため、これらの情報記憶カード10間での摺動性はわるく、互いに接触する情報記憶カード10がうまく分離しないことから、2枚送りが生ずるという問題がある。
【0009】
上述した2枚送りは、カードのリサイクルのためにカードを液体で洗浄する場合など、情報記憶カード10に液体が付着している場合には、特に顕著となる。
【0010】
各情報記憶カード10の面接触を避けるためには、上記特許文献2に記載されたようなエンボス加工を、情報記憶カード10の両面に施すことも考えられる。しかしながら、情報記憶カード10に、エンボス加工等の規則性のある加工を行ったとしても、規則性のある凹凸が互いに係合し、各情報記憶カード10間の摺動性が向上することはない。
【0011】
この発明は上記課題を解決するためになされたものであり、各情報記憶カード間の摺動性を向上させることにより、当該情報記憶カードが重畳した状態で供給された場合においても、2枚送り等を生ずることなく正確に供給することが可能な情報記憶カードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の発明は、その表面の少なくとも一部が規則性のない凹凸形状を有することを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、その裏面の少なくとも一部が規則性のない凹凸形状を有している。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、当該情報記憶カードは重畳した状態で供給されるものであり、他のカードとの当接部が規則性のない凹凸形状を有している。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、その表面全面および裏面全面が規則性のない凹凸形状を有している。
【発明の効果】
【0016】
請求項1乃至請求項4に記載の発明によれば、情報記憶カードが重畳した状態で供給された場合においても、2枚送り等を生ずることなく、この情報記憶カードを正確に供給することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1はこの発明の第1実施形態に係る情報記憶カード10の斜視図である。
【0018】
この情報記憶カード10は識別カードとも呼称されるものであり、例えば、JIS(日本工業規格)X6301において、その物理的特性が規格されているものである。なお、この発明に係る情報記憶カードとは、ICカードや磁気カード、あるいは、光カード等、何らかの情報を識別し得る全てのカードを指す。
【0019】
この情報記録カード10の表面には、図1に示すように、規則性のない凹凸形状が形成されている。
【0020】
この凹凸は、その長さが50μm以上、その幅が1μm以上5mm以下であることが好ましい。また、この凹凸の高低差は1μm以上200μm以下であることが好ましく、凹凸間の間隔は10μm以上50mm以下が好ましい。
【0021】
このように、情報記録カード10の表面に規則性のない凹凸を設けた場合には、情報記憶カード10が重畳した状態で供給された場合に、規則性のない凹凸同士が当接部となって情報記録カード10間の接触面積が最小となり、それらの間の摺動性が向上する。また、規則性のない凹凸であるために、凹凸が互いに係合することもない。
【0022】
次に、この情報記憶カード10の製造方法について説明する。図2は、情報記憶カード10の部分断面図である。
【0023】
図2(a)に示す情報記憶カード10は、合成樹脂製の板状体からなる情報記憶カード10を示している。この情報記憶カード10は、合成樹脂製の板状体を、その両側から、予め規則性のない凹凸形状が形成された金型により押圧して形成されたものである。なお、金属製の金型に変えて、耐熱樹脂製の型を利用してもよい。
【0024】
この情報記憶カード10の材質としては、塩化ビニル、PET、ABS、ポリプロピレン、ポリカーボネイト等の合成樹脂を使用することができる。
【0025】
図2(b)に示す情報記憶カード10は、支持層32の両側に合成樹脂製の表面層31を形成したものである。この情報記憶カード10は、支持層32の表面に合成樹脂を塗布した後、これをその両側から、予め規則性のない凹凸形状が形成された金型等により押圧して形成されたものである。なお、支持層32の材質としては、上述した合成樹脂のほか、紙等を使用することができる。
【0026】
図2(c)に示す情報記憶カード10は、接着層33を利用して、支持層32の両側に表面層31を接着したものである。このときには、表面層31の表面には、予め規則性のない凹凸形状が形成されている。
【0027】
上述した情報記憶カード10においては、その両面全域を規則性のない凹凸形状としている。しかしながら、この発明は、そのような構成に限定されるものではない。
【0028】
図3は、その表面および/または裏面の一部の領域を規則性のない凹凸形状とした情報記憶カード10を示す平面図である。なお、この図においては、規則性のない凹凸形状とした部分を、ハッチングで示している。
【0029】
すなわち、図3(a)に示す情報記憶カード10は、その中央部分の領域41を規則性のない凹凸形状に、図3(b)に示す情報記憶カード10は、その両側部分の領域42を規則性のない凹凸形状に、図3(c)に示す情報記憶カード10は、その中心部分の領域43を規則性のない凹凸形状に、また、図3(d)に示す情報記憶カード10は、その四隅の部分の領域44を規則性のない凹凸形状にしている。
【0030】
但し、図3に示す実施形態においては、凹凸形状の領域41、42、43、44は、その他の領域よりその凸状部が表面に凸出して、情報記憶カード10を互いに重畳した場合に、これらの凹凸形状の領域41、42、43、44が他のカードとの当接部となる形状とする必要がある。このような構成を採用することにより、この情報記憶カード10を重畳した場合に、凹凸形状の領域41、42、43、44が他のカードと当接することになり、その摺動性が向上することになる。
【0031】
また、上述した情報記憶カード10においては、その両面に規則性のない凹凸形状を形成している。しかしながら、例えば、その片面に磁気データを記録した磁気カード等の場合であれば、その磁気面の反対側、および/または、その機能に影響を及ぼさない領域に規則性のない凹凸形状を形成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】この発明の第1実施形態に係る情報記憶カード10の斜視図である。
【図2】情報記憶カード10の部分断面図である。
【図3】他の実施形態に係る情報記憶カード10を示す平面図である。
【図4】カード供給装置を示す側面概要図である。
【図5】カード供給装置を示す側面概要図である。
【符号の説明】
【0033】
10 情報記憶カード
31 表面層
32 支持層
33 接着層
41 規則性のない凹凸形状の領域
42 規則性のない凹凸形状の領域
43 規則性のない凹凸形状の領域
44 規則性のない凹凸形状の領域


【特許請求の範囲】
【請求項1】
その表面の少なくとも一部が規則性のない凹凸形状を有することを特徴とする情報記憶カード。
【請求項2】
請求項1に記載の情報記憶カードにおいて、
その裏面の少なくとも一部が規則性のない凹凸形状を有する情報記憶カード。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の情報記憶カードにおいて、
当該情報記憶カードは重畳した状態で供給されるものであり、
他のカードとの当接部が規則性のない凹凸形状を有する情報記憶カード。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の情報記憶カードにおいて、
その表面全面および裏面全面が規則性のない凹凸形状を有する情報記憶カード。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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