感染情報提供システム、感染情報提供装置、及びコンピュータプログラム
【課題】感染経路の特定に必要となる情報を提供することが可能な感染情報提供システム、感染情報提供装置、及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】クライアント装置からの検索要求を受けて、サーバ装置が病原体に感染した患者の情報を検索する。検索結果がクライアント装置によって表示され、ユーザにより検索結果に含まれる患者の一人が選択されると、当該患者と同一時期に同一の病室に滞在した患者であって、検索条件として指定された病原体に感染した患者の入退院移動情報、デバイス処置情報、手術実施情報がサーバ装置により検索される。検索結果は、クライアント装置により、患者毎に医療施設のフロアの滞在履歴を示すグラフとして表示される。
【解決手段】クライアント装置からの検索要求を受けて、サーバ装置が病原体に感染した患者の情報を検索する。検索結果がクライアント装置によって表示され、ユーザにより検索結果に含まれる患者の一人が選択されると、当該患者と同一時期に同一の病室に滞在した患者であって、検索条件として指定された病原体に感染した患者の入退院移動情報、デバイス処置情報、手術実施情報がサーバ装置により検索される。検索結果は、クライアント装置により、患者毎に医療施設のフロアの滞在履歴を示すグラフとして表示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療施設内における患者の病原体への感染に関する情報を提供する感染情報提供システム、感染情報提供装置、及びコンピュータを感染情報提供装置として機能させるためのコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病院等の医療施設内における院内感染の状況を示す情報を表示するシステムが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1には、感染状況の的確な把握を助けるために、病院内の指定されたフロアにおける保菌者数の時期的な変動及び保菌者の分布状況を時系列で表示する院内感染状況診断装置が開示されている。かかる特許文献1に開示されている院内感染状況診断装置では、指定された菌種、指定された表示期間について、フロア別に単位面積当りの保菌者数が求められ、保菌者数の変動を示す時系列グラフが表示される。また、この院内感染状況診断装置では、病院内のフロアのレイアウト図が表示され、当該レイアウト図における保菌者が存在する座標に保菌者数に応じた数の点が描画されることで、保菌者の分布が示される。このような保菌者の分布状況を示すレイアウト図が、指定された表示期間中の複数の時点のそれぞれについて表示され、時期的な保菌者の分布状況の変動が示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−79929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
院内感染が発生した場合、感染の拡大を防止し、また感染状況を改善するために、その感染経路を追跡し、感染の原因を特定することが重要である。また、院内感染を予防するためには、過去に発生した院内感染の感染経路を検討することが重要である。かかる感染経路の特定には、対象となる病原体(細菌又はウイルス)の感染者が誰であるか、感染者が入院していた時期はいつか、また感染していたときに当該感染者がどこにいたか等の情報が必要となる。しかしながら、特許文献1に開示されている院内感染状況診断装置にあっては、ユーザは前記レイアウト図を見ることでフロア毎の保菌者数の変動及び保菌者の分布状況の変動をユーザが知ることはできるが、感染経路の特定に必要な情報を前記レイアウト図から得ることができなかった。このため、医療従事者はカルテ等を調べて感染経路の特定に必要な情報を得るという煩雑な作業を行う必要があった。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、感染経路の特定に必要となる情報をユーザが容易に得られる感染情報提供システム、感染情報提供装置、及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の感染情報提供システムは、患者を識別するための患者識別情報、医療施設内において患者が滞在した場所及び前記場所における患者の滞在時期に関する滞在情報、並びに患者が感染した病原体の種類を示す感染情報を、患者毎に記憶する記憶部と、病原体の種類を指定する病原体指定部と、表示部と、前記記憶部に記憶された感染情報に基づいて、前記病原体指定部により指定された種類の病原体に感染した患者を特定し、特定された患者に対応する患者識別情報及び滞在情報に基づいて、前記病原体指定部により指定された種類の病原体に感染した患者毎に、患者識別情報、医療施設内において患者が滞在した場所、及び前記場所における患者の滞在時期を示す感染情報画面を表示するように、前記表示部を制御する制御部と、を備える。
【0008】
上記態様において、前記制御部は、医療施設内において患者が滞在した場所及び前記場所における患者の滞在時期を示すグラフを含む前記感染情報画面を表示するよう、前記表示部を制御すべく構成されていてもよい。
【0009】
また、上記態様において、前記記憶部は、患者が病原体に感染した時期に関する情報を含む前記感染情報を記憶しており、前記制御部は、前記特定された患者に対応する患者識別情報、滞在情報、及び感染情報に基づいて、前記病原体指定部により指定された種類の病原体に感染した患者毎に、患者識別情報、医療施設内において患者が滞在した場所、及び前記場所における患者の滞在時期と共に、患者が病原体に感染した時期を示す前記感染情報画面を表示するよう、前記表示部を制御すべく構成されていてもよい。
【0010】
また、上記態様において、前記感染情報提供システムは、期間を指定する期間指定部をさらに備え、前記制御部は、前記記憶部に記憶されている感染情報に基づいて、前記病原体指定部により指定された種類の病原体に、前記期間指定部により指定された期間において感染した患者を特定すべく構成されていてもよい。
【0011】
また、上記態様において、前記制御部は、前記記憶部に記憶されている感染情報に基づいて、患者が病原体に感染した時期についての順番にしたがって、前記病原体指定部により指定された種類の病原体に感染した患者毎に、患者識別情報、医療施設内において患者が滞在した場所、及び前記場所における患者の滞在時期を示す前記前記感染情報画面を表示するよう、前記表示部を制御すべく構成されていてもよい。
【0012】
また、上記態様において、前記記憶部は、患者が病原体に感染した時期として、患者から病原体が検出された日を含む前記感染情報を記憶しており、前記制御部は、二以上の患者について病原体が検出された日が同一であって、且つ、前記二以上の患者のうちの一の患者が、前記二以上の患者について病原体が検出された日よりも先に病原体が検出された患者と同一の場所に滞在していた場合には、前記一の患者の患者識別情報、医療施設内において患者が滞在した場所、及び前記場所における患者の滞在時期を、前記二以上の患者のうちの他の患者の患者識別情報、医療施設内において患者が滞在した場所、及び前記場所における患者の滞在時期より先の順番で示す前記前記感染情報画面を表示するよう、前記表示部を制御すべく構成されていてもよい。
【0013】
また、上記態様において、前記記憶部は、患者に侵襲を伴う医療行為が実施された時期に関する実施時期情報をさらに記憶しており、前記制御部は、前記特定された患者に対応する患者識別情報、滞在情報、及び実施時期情報に基づいて、前記病原体指定部により指定された種類の病原体に感染した患者毎に、患者識別情報、医療施設内において患者が滞在した場所、及び前記場所における患者の滞在時期と共に、患者に侵襲を伴う医療行為が実施された時期を前記感染情報画面に表示させるように構成されていてもよい。
【0014】
また、上記態様において、前記記憶部は、医療施設内において患者が滞在した場所として、前記医療施設内において患者が滞在したフロアを識別するためのフロア識別情報を含む前記滞在情報を記憶しており、前記制御部は、前記特定された患者に対応する前記患者識別情報及び前記滞在情報に基づいて、前記病原体指定部により指定された種類の病原体に感染した患者毎に、患者識別情報、フロア識別情報、及びフロアにおける患者の滞在時期を示す前記感染情報画面を表示するよう、前記表示部を制御すべく構成されていてもよい。
【0015】
また、上記態様において、前記制御部は、同一のフロアに滞在していた患者については、医療施設内において患者が滞在したフロア及び前記フロアにおける患者の滞在時期を同一色のグラフで示し、異なるフロアに滞在していた患者については、医療施設内において患者が滞在したフロア及び前記フロアにおける患者の滞在時期を患者毎に異なる色のグラフで示す前記感染情報画面を表示するよう、前記表示部を制御すべく構成されていてもよい。
【0016】
また、上記態様において、前記制御部は、前記記憶部に記憶された感染情報に基づいて、前記病原体指定部により指定された種類の病原体に感染した患者を検索し、検索された患者を一覧表示する検索結果画面を前記表示部に表示させ、前記検索結果画面に表示された患者の何れかの指定を受付可能に構成されており、前記一覧画面に表示された患者の何れかの指定を受け付けた場合に、指定された患者と同一時期に同一の場所に滞在した患者であって、前記病原体指定部により指定された種類の病原体に感染した患者を、前記記憶部に記憶された感染情報に基づいて特定するように構成されていてもよい。
【0017】
本発明の一の態様の感染情報提供装置は、情報を表示する表示装置に通信可能に接続された感染情報提供装置であって、患者を識別するための患者識別情報、医療施設内において患者が滞在した場所及び前記場所における患者の滞在時期に関する滞在情報、並びに患者が感染した病原体の種類を示す感染情報を、患者毎に記憶する記憶部と、病原体の種類の指定を受け付ける受付部と、前記記憶部に記憶された感染情報に基づいて、前記受付部により受け付けた種類の病原体に感染した患者を特定し、特定された患者に対応する患者識別情報及び滞在情報に基づいて、前記病原体指定部により指定された種類の病原体に感染した患者毎に、患者識別情報、医療施設内において患者が滞在した場所、及び前記場所における患者の滞在時期を示す感染情報画面を表示するための表示データを作成する制御部と、前記表示装置に前記感染情報画面を表示させるために、前記制御部によって作成された前記表示データを前記表示装置へ送信する送信部と、を備える。
【0018】
本発明の一の態様のコンピュータプログラムは、情報を表示する表示装置にデータを送信するための通信部と、患者を識別するための患者識別情報、医療施設内において患者が滞在した場所及び前記場所における患者の滞在時期に関する滞在情報、並びに患者が感染した病原体の種類を示す感染情報を、患者毎に記憶する記憶部と、を備えるコンピュータに、前記施設内での感染に関する情報を提供させるためのコンピュータプログラムであって、前記通信部によって病原体の種類の指定を受け付けるステップと、前記記憶部に記憶された感染情報に基づいて、前記通信部により受け付けた種類の病原体に感染した患者を特定するステップと、特定された患者に対応する患者識別情報及び滞在情報に基づいて、前記通信部によりに受け付けた種類の病原体に感染した患者毎に、患者識別情報、医療施設内において患者が滞在した場所、及び前記場所における患者の滞在時期を示す感染情報画面を表示するための表示データを作成するステップと、前記表示装置に前記感染情報画面を表示させるために、作成された前記表示データを、前記通信部によって前記表示装置へ送信するステップと、を前記コンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る感染情報提供システム、感染情報提供装置、及びコンピュータプログラムによれば、感染経路の特定に必要となる情報をユーザが容易に得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施の形態に係る感染情報提供システムの全体構成を示す模式図。
【図2】実施の形態に係る感染情報提供システムが備えるサーバ装置の構成を示すブロック図。
【図3】実施の形態に係る感染情報提供システムが備えるクライアント装置の構成を示すブロック図。
【図4】サーバ装置に設けられた各種データベースの構成を示す模式図。
【図5】メニュー画面の構成を示す図。
【図6】感染経路追跡検索画面表示処理の流れを示すフローチャート。
【図7】感染経路追跡検索画面の一例を示す図。
【図8】感染情報検索処理の流れを示すフローチャート。
【図9】検索結果が表示された感染経路追跡検索画面の例を示す図。
【図10】感染経路グラフ表示処理の流れを示すフローチャート。
【図11】感染経路グラフ画面の一例を示す図。
【図12】感染経路グラフでの手術実施情報表示処理の流れを示すフローチャート。
【図13】手術の詳細情報が重畳表示された感染経路グラフ画面の例を示す図。
【図14】検索対象期間変更処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0022】
[感染情報提供システムの構成]
図1は、本実施の形態に係る感染情報提供システムの全体構成を示す模式図である。本感染情報提供システム1は、病院等の医療施設に設置され、各患者の病原体への感染状況の確認、院内感染の推移の確認等に用いられるものである。感染情報提供システム1は、LAN又はイントラネット等の情報ネットワークを使用したクライアントサーバシステムであり、サーバ装置2と、医師又は看護師等の医療従事者が使用するクライアント装置3とを備えている。また、感染情報提供システム1は、患者の病状、処置、治療経過等の診療情報が記録された電子カルテシステム6と、細菌検査装置を含む検体分析装置4とを備えており、サーバ装置2と、クライアント装置3、検体分析装置4、及び電子カルテシステム6との間は、情報ネットワーク5によりデータ通信可能に接続されている。これにより、サーバ装置2は電子カルテシステム6から診療情報を、検体分析装置4から細菌検査結果を、それぞれ取得可能となっている。
【0023】
<サーバ装置2の構成>
図2は、サーバ装置2の構成を示すブロック図である。サーバ装置2は、コンピュータ2aによって実現される。図2に示すように、コンピュータ2aは、本体21と、表示部22と、入力部23とを備えている。本体21は、CPU21a、ROM21b、RAM21c、ハードディスク21d、読出装置21e、入出力インタフェース21f、通信インタフェース21g、及び画像出力インタフェース21hを備えており、CPU21a、ROM21b、RAM21c、ハードディスク21d、読出装置21e、入出力インタフェース21f、通信インタフェース21g、及び画像出力インタフェース21hは、バス21jによって接続されている。
【0024】
ハードディスク21dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU21aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。サーバ用のコンピュータプログラム24aも、このハードディスク21dにインストールされている。
【0025】
読出装置21eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体24に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体24には、コンピュータをサーバ装置2として機能させるためのコンピュータプログラム24aが格納されており、コンピュータ2aが当該可搬型記録媒体24からコンピュータプログラム24aを読み出し、当該コンピュータプログラム24aをハードディスク21dにインストールすることが可能である。
【0026】
ハードディスク21dには、例えば米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)等のマルチタスクオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、本実施の形態に係るコンピュータプログラム24aは当該オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0027】
図4は、ハードディスク21dに設けられた各種データベースの構成を示す模式図である。図4に示すように、ハードディスク21dには、入退院移動情報データベースDB1、デバイス処置情報データベースDB2、手術実施情報データベースDB3、細菌検査結果データベースDB4、菌ウイルスデータベースDB5、薬剤感受性データベースDB6、及び検体データベースDB7が設けられている。
【0028】
入退院移動情報データベースDB1には、患者の入退院に関する情報が格納される。サーバ装置2は、電子カルテシステム6と通信を行い、電子カルテシステム6に記憶されている患者の診療情報を受信する。かかる入退院移動情報データベースDB1には、電子カルテシステム6から送信された診療情報に含まれる入退院移動情報が格納される。具体的には、患者ID、患者氏名、入院日、退院日、移動日、患者が入院している病棟フロアのフロアコード、フロア名、フロアコード毎に割り当てられた色コード、患者が入院している病室の病室番号、及びベッド番号等の情報が入退院移動情報データベースDB1に格納される。色コードは、後述する感染経路グラフ表示において用いられるデータであり、フロアに対応する色を示している。
【0029】
デバイス処置情報データベースDB2には、患者に対するデバイスの挿入又は抜去に関する情報が格納される。ここでいう「デバイス」とは、患者の体内に侵襲的に装着される医療機器をいい、例として、カテーテル、ドレーン、輸液ルート、EDチューブ、イレウス管、人工呼吸器等が挙げられる。かかるデバイスの患者への装着は、侵襲を伴う医療行為として医療従事者により行われる。デバイス処置情報データベースDB2には、電子カルテシステム6から送信された診療情報に含まれるデバイス処置情報が格納される。具体的には、患者を特定するための患者ID、デバイスの挿入抜去実施日、挿入抜去が実施されたデバイスに割り当てられたデバイスコード、及びデバイス名等の情報がデバイス処置情報データベースDB2に格納される。
【0030】
手術実施情報データベースDB3には、患者に対して実施された手術に関する情報が格納される。かかる手術情報は、電子カルテシステム6からサーバ装置2へと送信される診療情報に含まれ、サーバ装置2が電子カルテシステム6から診療情報を受信したときに、当該診療情報に含まれる手術情報が手術実施情報データベースDB3に格納される。具体的には、かかる手術情報データベースDB3には、患者ID、手術実施日、実施された手術の術式に対応する術式コード、及び術式の名称(術式名)等の情報が格納される。
【0031】
細菌検査結果データベースDB4には、患者の細菌検査の結果が格納される。サーバ装置2は検体分析装置4と通信を行い、検体分析装置4による検体分析結果(細菌検査)を受信する。また、検体分析装置4によって検出されない病原体による感染症が存在し、医師が患者を診察することで、当該感染症の罹患を診断する場合がある。かかる場合には、この感染症に関する診断結果(感染情報)を含む報診療情報が電子カルテシステム6に入力される。つまり、電子カルテシステム6に記憶されている診療情報にも、患者が感染している病原体に関する情報が含まれる。サーバ装置2は電子カルテシステム6と通信を行い、電子カルテシステム6から受信した診療情報に感染情報が含まれている場合には、当該感染情報を細菌検査結果データベースDB4に格納する。このように、細菌検査結果データベースDB4には、検体分析装置4から送信された細菌検査結果及び電子カルテシステム6から送信された診療情報に含まれる感染情報が格納される。さらに具体的には、患者ID、検体が検体分析装置に到着した日時を示す検体到着日時(又は患者が感染症と診断された診察日時)、細菌検査連携キーコード、患者氏名、検体の採取日時(又は患者が感染症と診断された診察日時)、患者が入院しているか外来であるかを示す入院外来区分、検体の種類(喀痰、便、又は血液)に割り当てられた検体コード、検体の種類を示す検体名、検出された細菌又はウイルス(以下、「検出菌」という。)のシーケンス番号(菌株番号)、検出菌に割り当てられた菌ウイルスコード、検出菌の名称である菌ウイルス名、病原体の薬剤感受性を示す感受性パターン等の情報が細菌検査結果データベースDB4に格納される。
【0032】
菌ウイルスデータベースDB5には、病原体である菌及びウイルスに関する情報(以下、「菌ウイルス情報」という。)が格納される。具体的には、菌ウイルスコード、及び菌ウイルス名が菌ウイルスデータベースDB5に格納される。
【0033】
薬剤感受性データベースDB6には、病原体の薬剤感受性に関する情報が格納される。具体的には、患者ID、検体到着日時、細菌検査連携キーコード、シーケンス番号、菌ウイルスコード、抗菌薬毎に割り当てられた抗菌薬コード、抗菌薬の名称(抗菌薬名)、及び感受性判定値が薬剤感受性データベースDB6に格納される。ここで感受性判定値とは、薬剤感受性試験の結果を示す情報であり、「感受性」を示す“S”、「中間」を示す“I”、及び「耐性」を示す“R”の何れかの値を取る。また、1つの病原体に対しては複数の抗菌薬が存在する場合には、1つのシーケンス番号と複数の抗菌薬コード(及び抗菌薬名)とが対応する。つまり、薬剤感受性データベースDB6の1つのレコードには、複数の抗菌薬コード(及び抗菌薬名)が含まれる場合がある。
【0034】
検体データベースDB7には、検体に関する情報が格納される。具体的には、検体の種類に割り当てられた検体コード、検体名、及び検体コード毎に割り当てられた検体表示マークが検体データベースDB7に格納される。この検体データベースDB7に記憶される検体表示マークは、後述する感染経路グラフ表示の画面データを作成するときに使用される。
【0035】
入出力インタフェース21fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース21fには、キーボード及びマウスからなる入力部23が接続されており、ユーザが当該入力部23を使用することにより、コンピュータ2aにデータを入力することが可能である。
【0036】
通信インタフェース21gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース21gは情報ネットワーク5を介してクライアント装置3、検体分析装置4、及び電子カルテシステム6に接続されている。コンピュータ2aは、通信インタフェース21gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該情報ネットワーク5に接続されたクライアント装置3、検体分析装置4、及び電子カルテシステム6との間でデータの送受信が可能である。
【0037】
画像出力インタフェース21hは、LCDまたはCRT等で構成された表示部22に接続されており、CPU21aから与えられた画像データに応じた映像信号を表示部22に出力するようになっている。表示部22は、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0038】
<クライアント装置3の構成>
図3は、本実施の形態に係るクライアント装置3の構成を示すブロック図である。クライアント装置3は、コンピュータ3aによって実現される。図3に示すように、コンピュータ3aは、本体31と、表示部32と、入力部33とを備えている。本体31は、CPU31a、ROM31b、RAM31c、ハードディスク31d、読出装置31e、入出力インタフェース31f、通信インタフェース31g、及び画像出力インタフェース31hを備えており、CPU31a、ROM31b、RAM31c、ハードディスク31d、読出装置31e、入出力インタフェース31f、通信インタフェース31g、及び画像出力インタフェース31hは、バス31jによって接続されている。
【0039】
ハードディスク31dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU31aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。感染情報提供システム1のクライアントプログラム34aも、このハードディスク31dにインストールされている。
【0040】
読出装置31eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体34に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体34には、コンピュータをクライアント装置3として機能させるためのコンピュータプログラム34aが格納されており、コンピュータ3aが当該可搬型記録媒体34からコンピュータプログラム34aを読み出し、当該コンピュータプログラム34aをハードディスク31dにインストールすることが可能である。
【0041】
また、ハードディスク31dには、例えば米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)等のマルチタスクオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、本実施の形態に係るコンピュータプログラム34aは当該オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0042】
また、クライアント装置3のその他の構成は、上述したサーバ装置2の構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0043】
<検体分析装置4の構成>
本実施の形態に係る検体分析装置4は、血液、尿、喀痰、及びその他の体液の検体から細菌を検出する細菌検査装置である。かかる検体分析装置4は、投入された検体を自動的に分析する自動分析装置であり、検体に試薬を添加して測定試料を作製し、この測定試料を光学的に測定することで、病原体となる細菌を検出するように構成されている。検体分析装置4は、情報ネットワーク5に接続されており、サーバ装置2に対してデータの送受信が可能である。かかる検体分析装置4は、検体を分析し、分析結果(細菌検査結果)を得ると、当該細菌検査結果をサーバ装置2へ送信する。
【0044】
[感染情報提供システム1の動作]
感染情報提供システム1は、マルチユーザシステムであり、ユーザがログインすることで感染情報提供システム1の機能を利用することができる。ユーザはクライアント装置3を使用して、ユーザ名及びパスワードを入力することで、感染情報提供システム1にログイン要求を行う。サーバ装置3はユーザ名及びパスワードを受信し、ユーザ名及びパスワードを用いてログイン認証を行う。ログイン認証に成功した場合には、クライアント装置3の表示部32にメニュー画面が表示される。
【0045】
図5は、メニュー画面の構成を示す図である。図5に示すように、メニュー画面D100には、ユーザ間の連絡に用いられる掲示板領域A101と、院内感染に関する文書データの閲覧、作成、編集、保存、削除等を行うための文書管理領域A102と、メールの閲覧、作成、送信等を行うためのメール操作領域A103と、感染情報提供システム1の各画面に表示を切り替えるためのメニュー領域A104とが設けられている。メニュー領域A104には、感染情報提供システム1の各種の機能を呼び出すための複数のメニューが設けられている。メニュー領域A104には、4つのタブT105〜T108が設けられており、これらのタブT105〜T108の1つをユーザがマウス操作等によって選択すると、選択されたタブに対応するアイコンがメニュー領域A104に表示されるようになっている。院内感染管理タブT105に含まれるアイコンは、院内感染管理に使用される機能が割り当てられている。具体的には、院内感染レポートの表示及び作成が割り当てられた「院内感染レポート」アイコンC111、ユーザによって指定された月における日毎、又は週毎の菌別の検出数の表示が割り当てられた「検出モニタリング」アイコンC112、患者の感染状況、処置、治療経過等の診療情報の検索及び表示が割り当てられた「患者検索」アイコンC113、病棟毎又はフロア毎の感染者の分布状況の表示が割り当てられた「病棟マップ」アイコンC114、掲示板への情報の投稿が割り当てられた「掲示板登録」アイコンC115、感染経路に関する情報の表示が割り当てられた「感染経路追跡」アイコンC116、感染情報提供システム1を使用するユーザに関する情報の設定が割り当てられた「ユーザ設定」アイコンC117、及び感染情報提供システム1の操作マニュアルのダウンロードに割り当てられた「マニュアルダウンロード」アイコンC118が院内感染管理タブT105のアイコンとして設けられている。なお、ここでいう「アイコン」とは、特定の機能が割り当てられ、当該機能を象徴的に表すようにデザインされた画像をいい、ウィンドウ内において表示されるものを含む。
【0046】
上記のような院内感染管理タブT105の各アイコンに割り当てられた機能は、感染症の対策を実施するインフェクションコントロールドクター(ICD)及び感染管理看護師(ICN)、並びに通常の医療現場(病室等)において医療行為を実施する医師及び看護師によって使用される。
【0047】
ICT支援タブT106には、感染制御チーム(ICT)を支援するための機能が割り当てられたアイコンが設けられている(図示せず)。感染制御チームは、感染管理を担当する専門家であるインフェクションコントロールドクター及び感染管理看護師によって構成されるチームである。感染制御チームは、当該医療施設全体における感染管理に関する業務を担当し、集団感染の防止及び対策等を実施する院内感染サーベイランス、医療施設全体の感染対策計画の立案、職員への感染予防の実施及び指導等を行う。ICT支援タブT106は、上記のような感染制御チームの業務に使用される情報を提供するためのタブである。
【0048】
マスタメンテナンスタブT107及びT108のそれぞれには、入退院移動情報データベースDB1、デバイス処置情報データベースDB2、手術実施情報データベースDB3、細菌検査結果データベースDB4、菌ウイルスデータベースDB5、薬剤感受性データベースDB6、及び検体データベースDB7のマスタ管理を行うためのアイコンが設けられている(図示せず)。
【0049】
<感染経路追跡検索画面表示処理>
ユーザは、上述した院内感染管理タブT105に含まれる感染経路追跡アイコンC116をマウス操作等によって選択することで、感染経路追跡検索画面表示機能を呼び出すことができる。感染経路追跡検索画面表示機能は、以下に説明する感染経路追跡検索画面表示処理をサーバ装置2及びクライアント装置3が実行することによって実現される。
【0050】
図6は、感染経路追跡検索画面表示処理の流れを示すフローチャートである。感染経路追跡アイコンC116が選択されることで、クライアント装置3のCPU31aが感染経路追跡検索画面の表示指示を受け付けると(ステップS101)、CPU31aは、感染経路追跡検索画面の表示に必要な検索画面表示データを要求する要求データをサーバ装置2へ送信する(ステップS102)。
【0051】
クライアント装置3から送信された要求データはサーバ装置2によって受信される。サーバ装置2のCPU21aは、前記要求データを受信するまで待機する(ステップS103においてNO)。サーバ装置2が要求データを受信すると(ステップS103においてYES)、CPU21aは、菌ウイルスデータベースDB5から登録されている全ての病原体の菌ウイルス情報を取得し、取得された菌ウイルスコードに対応する抗菌薬コード、抗菌薬名、及び感受性判定値を含む情報を薬剤感受性データベースDB6から取得し、取得された菌ウイルスコードに対応する感受性パターンを細菌検査結果データベースDB4から取得する(ステップS104)。なお、S104において取得される菌ウイルスコードに対応する抗菌薬コード、抗菌薬名、感受性判定値及び感受性パターンを含む情報を以下、感受性情報という。これらの菌ウイルス情報及び感受性情報は、後述する感染経路追跡検索画面を作成するために必要な情報である。
【0052】
次にCPU21aは、取得した情報に基づいて、感染経路追跡検索画面を表示するためのデータである検索画面表示データを作成する(ステップS105)。またCPU21aは、作成した検索画面表示データを要求元のクライアント装置3へ送信し(ステップS106)、処理を終了する。
【0053】
サーバ装置2から送信された検索画面表示データはクライアント装置3によって受信される。クライアント装置3のCPU31aは、前記検索画面表示データを受信するまで待機する(ステップS107においてNO)。クライアント装置3が検索画面表示データを受信すると(ステップS107においてYES)、CPU31aは、受信された検索画面表示データに基づいて、感染経路追跡検索画面を表示部32に表示させ(ステップS108)、処理を終了する。
【0054】
図7は、感染経路追跡検索画面の一例を示す図である。図7に示すように、感染経路追跡検索画面D200には、検索条件を入力するための検索条件入力領域A201と、検索結果が表示される検索結果表示領域A202とが設けられている。
【0055】
検索条件入力領域A201には、検索する対象の病原体を指定するための病原体選択ボックスB203と、病原体の薬剤感受性を指定するための感受性パターン選択ボックスB204と、検索する対象期間を指定するための期間選択ボックスB205と、検索対象の患者の属性を指定するための属性選択ボックスB206と、検索対象の患者の患者IDを指定するための患者ID入力ボックスB207と、検索対象の患者の氏名(カタカナ表記)を入力するための患者名入力ボックスB208とが設けられている。
【0056】
病原体選択ボックスB203は、選択可能なグラフィックオブジェクト(コントロール)の1つであるドロップダウンリストである。マウスによるクリック操作等で病原体選択ボックスB203を選択すると、ステップS104において取得された菌ウイルス名の一覧がドロップダウン表示される。ユーザがこの菌ウイルス名の一覧の中から、マウスのクリック操作等で検索対象とする菌ウイルス名を1つ選択することで、菌ウイルス名で示される病原体が検索条件として指定される。
【0057】
感受性パターン選択ボックスB204は、病原体選択ボックスB203と同様にドロップダウンリストである。マウスによるクリック操作等で感受性パターン選択ボックスB203を選択すると、ステップS104において取得された感受性パターンの一覧がドロップダウン表示される。ユーザがこの感受性パターンの一覧の中から、マウスのクリック操作等で検索対象とする感受性パターンを1つ選択することで、選択した感受性パターンが検索条件として指定される。
【0058】
期間選択ボックスB205は、期間の始期の「年」及び「月」を指定するためのドロップダウンリスト、並びに期間の終期の「年」及び「月」を指定するためのドロップダウンリストにより構成されている。この期間選択ボックスB205により、ユーザは検索対象とする期間の始期及び終期を選択することが可能である。つまり、ユーザが期間選択ボックスB205において期間を選択することで、当該期間が検索条件として指定される。
【0059】
属性選択ボックスB206は、入院患者を検索対象とするか、入院患者及び外来患者を検索対象とするかを選択するためのドロップダウンリストである。この属性選択ボックスB206は、「入院患者のみ」と「指定無し」の2項目からなるドロップリストを表示する。ユーザがマウスのクリック操作等により「入院患者のみ」を選択した場合には、入院外来区分で「入院」が指定されていることが検索条件に含まれる。つまり、入院患者のみが検索対象とされる。一方、ユーザが「指定無し」を選択した場合には、入院外来区分についての検索条件は指定されない。つまり、入院患者及び外来患者の両方が検索対象に含まれる。
【0060】
患者ID入力ボックスB207は、テキストを入力可能なテキストボックスであり、患者IDを入力するために使用される。ユーザは、この患者ID入力ボックスB207に患者IDを入力することで、検索条件として入力した患者IDを指定することが可能である。
【0061】
患者名入力ボックスB208は、テキストを入力可能なテキストボックスであり、患者名をカタカナ表記で入力するために使用される。ユーザは、この患者名入力ボックスB208に患者名を入力することで、検索条件として入力した患者名を指定することが可能である。
【0062】
また、患者ID入力ボックスB207又は患者名入力ボックスB208において検索条件として患者ID又は患者名が指定された場合には、検索条件として期間及び入院外来区分が指定されていたとしても、当該期間及び入院外来区分は検索条件に含まれない。つまり、検索条件としての患者ID及び患者名は、検索条件としての期間及び入院外来区分よりも優先度が高く、患者ID及び患者名が検索条件に指定されている場合には、指定された期間及び入院外来区分は無視されて検索される。また、患者IDと患者名とでは、患者IDの方が検索条件として優先度が高い。つまり、患者ID及び患者名が検索条件に指定されている場合には、患者名が無視され、検索条件として患者IDが使用される。さらに、病原体選択ボックスB203及び感受性パターン選択ボックスB204により指定される病原体及び感受性パターンは、必須の検索条件である。患者ID又は患者名が検索条件として指定されているか否かにかかわらず、病原体及び感受性パターンは検索条件として指定されていることが必要である。
【0063】
また、検索条件入力領域A201には、検索の実行を指示するための検索ボタンB209が設けられている。この検索ボタンB209は、選択可能なグラフィックオブジェクト(コントロール)であり、マウスによるクリック操作等で選択可能である。上述した病原体選択ボックスB203、感受性パターン選択ボックスB204、期間選択ボックスB205、属性選択ボックスB206、患者ID入力ボックスB207、及び患者名入力ボックスB208に検索条件が入力された状態で、検索ボタンB209が選択されると、当該検索条件による検索の実行がサーバ装置2に要求されるようになっている。検索結果表示領域A202には、サーバ装置2による検索結果が表示される。図7には、検索実行前の検索結果表示領域A202に検索結果が表示されていない状態が示されている。
【0064】
<感染情報検索処理>
次に、感染情報提供システム1による感染情報検索処理について説明する。上述した感染経路追跡検索画面D200において、検索条件を入力し、検索ボタンB209を選択することで、入力された検索条件に適合する感染情報を検索する感染情報検索処理を呼び出すことができる。
【0065】
図8は、感染情報検索処理の流れを示すフローチャートである。クライアント装置3のCPU31aが、検索条件の入力及び検索実行の指示を受け付けると(ステップS201)、CPU31aは、感染情報の検索を要求する要求データをサーバ装置2へ送信する(ステップS202)。この要求データには、入力された検索条件のデータが含まれている。
【0066】
クライアント装置3から送信された要求データはサーバ装置2によって受信される。サーバ装置2のCPU21aは、前記要求データを受信するまで待機する(ステップS203においてNO)。サーバ装置2が要求データを受信すると(ステップS203においてYES)、CPU21aは、検索条件に適合する菌検出情報を細菌検査結果データベースDB4から取得する(ステップS204)。ステップS204の処理では、検索条件に含まれる菌ウイルスIDと同一の菌ウイルスIDを有するレコードが細菌検査結果データベースDB4から検索され、このレコードに含まれる患者ID、患者氏名、検体到着日時(又は診察日時)、検体名が菌検出情報として取得される。また、検索条件に抗菌薬コードが含まれている場合には、薬剤感受性データベースDB6において、当該抗菌薬コードと同一の抗菌薬コードに対応する菌ウイルスIDが特定され、この菌ウイルスIDを有するレコードが細菌検査結果データベースDBから検索される。検索条件に検索対象期間が含まれている場合には、上記の菌ウイルスID及び抗菌薬コードに加え、検体到着日時(又は診察日時)が検索対象期間に適合するレコードが細菌検査結果データベースDB4から検索され、検出菌情報が取得される。また、検索条件において「入院患者のみ」が指定されている場合には、入院外来区分で「入院」が指定されているレコードが細菌検査結果データベースDB4から検索される。さらに、検索条件として患者ID又は患者名が指定されている場合には、当該患者ID又は患者名と同一の患者ID又は患者名を含むレコードが細菌検査結果データベースDB4から検索される。なお、患者ID又は患者名が検索条件に含まれる場合には、検索対象期間の条件は無視して検索が実行される。
【0067】
次にCPU21aは、検索された菌検出情報を、患者ID毎に集約する(ステップS205)。ステップS204において、同一の患者IDを有する複数の菌検出情報が取得される場合がある。このような場合、複数の菌検出情報には、同一の患者ID及び患者名と、異なる検体到着日時(又は診察日時)及び検体名とが含まれている。つまり、ステップS205においては、患者ID毎に検体到着日時(又は診察日時)及び検体名が対応するよう、菌検出情報が集約される。
【0068】
次にCPU21aは、集約された菌検出情報から、患者ID、患者名、最先の検体到着日時(又は診察日時)(以下、「期間内最古検出日」という。)、及び当該期間内最古検出日に対応する検体名を患者毎に取得する(ステップS206)。つまり、同一の患者IDについて複数の菌検出情報が集約された場合には、1つの患者IDに対して複数の検体到着日時(又は診察日時)が存在する。このような場合、ステップS206においては、同一の患者IDに対応する複数の検体到着日時(又は診察日時)の中で、再先(最古)の1つが抽出される。また、患者IDが同一であっても、各検体到着日時(又は診療日時)に対応する検体名のそれぞれが互いに異なる場合がある。このような場合、期間内最古検出日に対応する検体名が抽出される。
【0069】
次にCPU21aは、集約された菌検出情報に含まれる患者IDを検索キーとして、各患者の現在所属情報を入退院移動情報データベースDB1から取得する(ステップS207)。現在所属情報は、患者が現在入院している場合には、滞在しているフロア名、病室番号及びベッド番号、退院している場合には、退院したことを示す情報が含まれる。
【0070】
CPU21aは、ステップS206及びS207において取得された情報を含む検索結果データを作成する(ステップS208)。またCPU21aは、作成した検索結果データを要求元のクライアント装置3へ送信し(ステップS209)、処理を終了する。
【0071】
サーバ装置2から送信された検索結果データはクライアント装置3によって受信される。クライアント装置3のCPU31aは、前記検索結果データを受信するまで待機する(ステップS210においてNO)。クライアント装置3が検索結果データを受信すると(ステップS210においてYES)、CPU31aは、受信された検索結果データに基づいて、検索結果を、感染経路追跡検索画面D200の検索結果表示領域A202に表示させ(ステップS211)、処理を終了する。
【0072】
図9は、検索結果が表示された感染経路追跡検索画面の例を示す図である。検索結果が得られた後は、感染経路追跡検索画面D200の検索結果表示領域A202に検索結果が表示される。検索結果には、患者ID、患者名、期間内最古検出日、検体名、及び現在所属情報が含まれる。検索結果は、患者毎に一覧形式で表示される。図9に示す例では、患者ID“1111”、“2222”、“3333”、“4444”の4人の患者についての感染情報が検索結果として得られており、これらの各患者の感染情報が一覧形式で表示されている。
【0073】
検索結果表示領域A202において、これらの感染情報は、期間内最古検出日の順番で並べられる。図9に示す例では、検索結果のうち、患者ID“1111”の期間内最古検出日“2009/02/01”が最先の日付であり、患者ID“2222”の期間内最古検出日“2009/03/10”、患者ID“3333”の期間内最古検出日“2009/04/02”、患者ID“4444”の期間内最古検出日“2009/04/04”の順番で続いている。したがって、患者ID“1111”、“2222”、“3333”、“4444”の順番で各感染情報が上から下に並べられる。
【0074】
現在所属情報としては、患者が現在退院している場合には“退院”と表示される。また、患者が現在入院中である場合には、“入院”と共に、現在患者が滞在しているフロア名、病室番号、及びベッド番号が表示される。フロア名、病室番号、及びベット番号のそれぞれは、ハイフンによって接続された状態で表示される。図9に示す例では、患者ID“3333”の患者が入院中であり、現在所属情報として“入院(中6階東−361号室−01)”が表示されている。
【0075】
また、検索結果表示領域A202に表示されている患者IDは、それぞれマウスのクリック操作により選択可能である。1つの患者IDがユーザにより選択されると、その患者IDに関する感染経路グラフ表示画面が表示部32に表示される。
【0076】
<感染経路グラフ表示処理>
次に、感染情報提供システム1による感染経路グラフ表示処理について説明する。上述した感染経路追跡検索画面D200の検索結果表示領域A202に表示されている患者IDの1つを選択することで、選択された患者IDに関する感染経路グラフを表示する感染経路グラフ表示処理を呼び出すことができる。
【0077】
図10は、感染経路グラフ表示処理の流れを示すフローチャートである。クライアント装置3のCPU31aが、患者IDの選択を受け付けると(ステップS301)、CPU31aは、感染経路グラフを表示するための感染経路グラフ表示データを要求する要求データをサーバ装置2へ送信する(ステップS302)。この要求データには、選択された患者ID及び上述した感染情報の検索結果を得るときに用いられた検索条件のデータが含まれている。
【0078】
クライアント装置3から送信された要求データはサーバ装置2によって受信される。サーバ装置2のCPU21aは、前記要求データを受信するまで待機する(ステップS303においてNO)。サーバ装置2が要求データを受信すると(ステップS303においてYES)、CPU21aは、要求データに含まれる患者IDを検索キーとして、当該患者IDにより示される患者(以下、「対象患者」という。)の細菌検査結果及び入退院情報を細菌検査結果データベースDB4及び入退院情報データベースDB1から取得する(ステップS304)。
【0079】
次にCPU21aは、入退院移動情報データベースDB1及び細菌検査結果データベースDB4から、検索対象期間内における重複した時期に対象患者と同一の病室に滞在しており、且つ、検索条件に適合する患者の患者IDを抽出する(ステップS305)。さらにCPU21aは、対象患者の患者ID及び抽出された患者IDを検索キーとして、これらの患者IDに対応する入退院移動情報、細菌検査結果、手術実施情報、及びデバイス処置情報を、入退院移動情報データベースDB1、細菌検査結果データベースDB4、手術実施情報データベースDB3、及びデバイス処置情報データベースDB2のそれぞれから取得する(ステップS306)。またCPU21aは、ステップS306において取得した細菌検査結果に含まれる検体コードに対応する検体表示マークを、検体データベースDB7から取得する(ステップS307)。
【0080】
次にCPU21aは、ステップS306及びS307において取得された情報に基づいて、感染経路グラフを表示するための感染経路グラフ表示データを作成する(ステップS308)。またCPU21aは、作成した感染経路グラフ表示データを要求元のクライアント装置3へ送信し(ステップS309)、処理を終了する。
【0081】
サーバ装置2から送信された感染経路グラフ表示データはクライアント装置3によって受信される。クライアント装置3のCPU31aは、前記感染経路グラフ表示データを受信するまで待機する(ステップS310においてNO)。クライアント装置3が感染経路グラフ表示データを受信すると(ステップS310においてYES)、CPU31aは、受信された感染経路グラフ表示データに基づいて、感染経路グラフ画面を表示部32に表示させ(ステップS311)、処理を終了する。
【0082】
図11は、感染経路グラフ画面の一例を示す図である。図11に示すように、感染経路グラフ画面D300には、感染経路グラフを表示するための感染経路グラフ表示領域A301が設けられている。この感染経路グラフ表示領域A301には、感染経路グラフG302が表示される。感染経路グラフG302は対象患者、及び対象患者と重複した時期に同一の病室に滞在しており、且つ、検索条件に適合する患者について、検索対象期間におけるフロアの滞在履歴を示すグラフである。感染経路グラフG302において、横軸は時間であり、少なくとも検索対象期間が表示範囲に含まれている。また、縦軸は、患者で分けられており、病原体が検出された時期が古い患者から順番に、上から下へと並べられる。図11に示す例では、患者ID“1111”、“2222”、“3333”、“4444”の順番で上から下に並べられている。
【0083】
患者のフロアの滞在履歴のグラフは、1人の患者につき1行で示される。各患者のグラフにおいて、病原体の検出時期は検体表示マークによって示される。図11に示す例では、検体は喀痰であり、各患者のフロア滞在履歴のグラフにおいて、喀痰に対応する検体表示マーク“K”が病原体検出時期に表示される。図11に示すように、患者ID“1111”、“2222”、“3333”、“4444”の順番で、病原体が検出されている。なお、患者ID“1111”及び“3333”の患者は、2回ずつ病原体が検出されているが、フロアの滞在履歴グラフの表示順は、各患者における最初の病原体検出時期によって決定される。
【0084】
また、複数の患者(以下、「特定患者」という。)について病原体の検出日が同一である場合には、特定患者を除く患者の中で、病原体検出日が最先の患者と同一の病室に滞在していた特定患者が、他の特定患者(前記病原体検出日が歳銭の患者と同一の病室に滞在していなかった特定患者)よりも時系列の順番では先として、各患者のフロアの滞在履歴のグラフが並べて表示される。例えば、A及びBの二人が特定患者であり、特定患者以外の患者のうちで病原体検出日が最先の患者がCであって、AがCと同一の病室に滞在し、BはCと同一の病室には滞在していなかった場合には、Aのグラフの方がBのグラフよりも先の順番で表示される。
【0085】
各グラフは横長の棒グラフであり、各フロアの滞在時期が色分けされて示される。つまり、入退院移動情報では、フロアコードと、フロアコードに対応する色コードが含まれている。CPU31aは、グラフにおける1つのフロアの滞在時期に対応する領域を、そのフロアの色コードに対応する色によって表示させる。例えば、フロア“中5階西”は青色、フロア“中6階西”は赤色、フロア“中6階東”は緑色、フロア“中7階東”は黄色といったように、フロア毎にグラフが色分けされる。これにより、どの患者とどの患者が同一のフロアに滞在していたかをユーザは容易に把握することができる。また、横軸が時間軸とされているため、異なる患者のグラフにおいて、同じ色の領域が時期的に重なっているか否かが容易に把握される。図11に示す例では、患者ID“1111”の患者がフロア“中5階西”に2月1日頃から2月15日頃まで滞在している。一方、患者ID“4444”の患者がフロア“中5階西”に2月10日頃から2月28日頃まで滞在している。つまり、患者ID“1111”の患者と、患者ID“4444”の患者とは、重複した時期に同一のフロア“中5階西”に滞在していることが分かる。このため、患者ID“1111”の患者から患者ID“4444”の患者へこの重複期間において病原体が感染した可能性が高いと推測される。
【0086】
また、感染経路グラフG302の各患者のグラフの上方には、患者が滞在していた病室の病室番号が表示される。この病室番号は、患者が当該病室番号の病室へ入室した日付の位置に表示される。これにより、ユーザは患者がいつからどの病室に滞在していたかを容易に把握することができる。
【0087】
感染経路グラフG302においては、手術実施時期は“■”、デバイス挿入(装着)時期は“→”、デバイス抜去(取外し)時期は“←”により示される。図11に示す例では、患者ID“1111”の患者は、4月20日頃に手術を実施している。このため、患者ID“1111”のグラフの4月20日頃の位置には、手術実施を示すマーク“■”が表示される。また、患者ID“2222”の患者は、3月20日頃にデバイス挿入が実施され、4月10日頃にデバイス抜去が実施されている。このため、患者ID“2222”のグラフの3月20日頃の位置には、デバイス挿入を示すマーク“→”が表示され、4月10日頃の位置には、デバイス抜去を示すマーク“←”が表示される。上記の手術に使用された器具、及び患者に装着されたデバイスには、病原体が付着している可能性が高いことが推測される。これらの器具及びデバイスが感染源となり得ることから、入念な洗浄・殺菌処理又は交換が必要であることが分かる。
【0088】
かかる感染経路グラフG302により、同一の病原体(検索条件として指定された病原体)に感染した患者であって、対象患者と重複した時期に同一のフロア(病室)に滞在した各患者及び対象患者について、いつどのフロア(病室)に滞在したかが示される。上記の各患者は、対象患者と同一のフロア(病室)に滞在した期間において、対象患者と直接接触又は巻節接触した可能性が高く、その接触により病原体に感染したことが考えられる。したがって、感染経路グラフG302は、病原体の感染経路を表しているということができる。このため、ユーザは、感染経路グラフG302を確認するだけで、病原体の感染経路を特定することが可能である。
【0089】
上記のような感染経路グラフG302の上方には、検索条件が示されている。この検索条件には、検索対象の菌ウイルス名(対象菌)及び感受性パターン、並びに検索対象期間が含まれる。このうち、検索対象期間は変更可能とされている。つまり、検索対象期間は、選択可能なグラフィックオブジェクト(コントロール)である期間選択ボックスB303に表示されており、かかる期間選択ボックスB303に表示されている期間の始期の「年」及び「月」並びに期間の終期の「年」及び「月」は、ユーザの操作によって変更可能である。また、期間選択ボックスB303の右方には、再検索を指示するための再検索ボタンB304が設けられている。再検索ボタンB304は、マウス操作により選択可能なボタンコントロールであり、ユーザが上記のように検索対象期間を変更した上で、再検索ボタンB304を選択することで、CPU31aに感染経路グラフの再表示指示が与えられる。
【0090】
<感染経路グラフでの手術実施情報表示処理>
ユーザは、上述した感染経路グラフG302の任意の手術実施マーク“■”にマウスオーバー操作(マウスポインタを手術実施マーク“■”上に配置する操作)を行うことにより、その手術に関する詳細情報を表示させることができる。以下、この感染経路グラフでの手術実施情報表示処理について説明する。
【0091】
図12は、感染経路グラフでの手術実施情報表示処理の流れを示すフローチャートである。クライアント装置3のCPU31aは、手術実施マーク“■”のマウスオーバー操作を受け付けると(ステップS401)、マウスオーバーが行われた手術実施マークに対応する手術の詳細情報を感染経路グラフG302上に重畳表示させる(ステップS402)。
【0092】
図13は、手術の詳細情報が重畳表示された感染経路グラフ画面の例を示す図である。図13には、患者ID“1111”の手術実施マーク“■”にマウスオーバー操作が行われた例が示されている。患者ID“1111”の患者には、腹腔鏡下腎摘除術が実施されている。この手術の実施日、実施された手術の術式に対応する術式コード、及び術式名からなる手術詳細情報が、感染経路グラフG302上に表示される。かかる手術詳細情報は、吹き出し状の枠G401に囲まれて表示される。図13に示す例では、手術実施日として“4月21日”が、術式コードとして“OP001”が、術式名として“腹腔鏡下腎摘除術”が、枠G401の内部に表示される。
【0093】
このように、手術実施マークのマウスオーバー操作に伴って手術詳細情報を表示することで、どのような手術がいつ実施されたのかをユーザが容易に把握することができる。
【0094】
図12に戻って、感染経路グラフでの手術実施情報表示処理について説明する。CPU31aは、マウスオーバーされていた手術実施マークからマウスポインタが外れたか否かを判定する(ステップS403)。CPU31aは、手術実施マークからマウスポインタが外れていない場合には(ステップS403においてNO)、ステップS403の処理を繰り返す。ユーザは、手術詳細情報を消去(非表示)したい場合には、マウスポインタを手術実施マークから移動させる。ステップS403において、手術実施マークからマウスポインタが外れた場合には(ステップS403においてYES)、CPU31aは、表示されていた手術詳細情報を非表示にし(ステップS404)、処理を終了する。
【0095】
このように、感染経路グラフ画面D300において、ユーザは手術実施マークにマウスオーバー操作を行うことで、手術詳細情報をポップアップ表示させ、またマウスポインタを手術実施マークから外すことで、手術詳細情報を非表示にすることができる。これにより、ユーザは必要なときにだけ任意の手術詳細情報を表示させることができ、また手術詳細情報を表示させたくない場合には容易に非表示にすることができる。
【0096】
<検索対象期間変更処理>
上述したように、ユーザは、感染経路グラフ画面D300における期間選択ボックスB303において検索対象期間を変更した上で、再検索ボタンB304を選択することで、検索対象期間が変更された感染経路グラフを再表示する検索対象期間変更処理を呼び出すことができる。
【0097】
図14は、検索対象期間変更処理の流れを示すフローチャートである。感染経路グラフ画面D300において、期間選択ボックスB303において検索対象期間が変更され、再検索ボタンB304が選択されることで、クライアント装置3のCPU31aが、検索対象期間が変更された感染経路グラフの再表示の指示を受け付ける。CPU31aは、検索対象期間が変更された感染経路グラフの再表示の指示を受け付けると(ステップS501)、感染経路グラフを表示するための感染経路グラフ表示データを要求する要求データをサーバ装置2へ送信する(ステップS502)。この要求データには、元の感染経路グラフ(検索対象期間の変更を受け付けた感染経路グラフD300に表示されていた感染経路グラフG302)における対象患者の患者ID、及び変更された検索対象期間を含む検索条件(検索対象期間以外は、元の感染経路グラフを作成するときに用いられた検索条件と同一)のデータが含まれている。
【0098】
クライアント装置3から送信された要求データはサーバ装置2によって受信される。ステップS503〜S511の処理は、上述したステップS303〜S311の処理と同様であるので、その説明を省略する。なお、ステップS504において、ステップS304と同様に、入退院移動情報データベースDB1及び細菌検査結果データベースDB4から、検索対象期間内における重複した時期に対象患者と同一の病室に滞在しており、且つ、検索条件に適合する患者の患者IDが抽出されるが、このとき、ステップS503で受信した要求データに含まれる検索条件としての(変更後の)検索対象期間が使用される。
【0099】
これにより、変更された検索対象範囲において、対象患者と同一時期に同一の病室に滞在しており、且つ、検索条件に適合する患者が再度検索され、検索された各患者及び対象患者について、フロアの滞在履歴のグラフが表示される。したがって、ユーザは容易に検索対象期間を変更して、その変更された検索対象期間についてグラフを確認することで、病原体の感染経路を特定することができる。
【0100】
上記のように、本実施の形態にかかる感染情報提供システム1においては、感染制御チームのメンバー等の医療施設における院内感染に対応する医療従事者に対して、感染経路の特定に必要となる情報を提供することができる。
【0101】
(その他の実施の形態)
上記の実施の形態においては、感染経路グラフにおいて、対象の病原体に感染した患者の滞在したフロア毎に、各患者の滞在期間をグラフ表示する構成について述べたが、これに限定されるものではない。フロアではなく、患者の滞在した病棟毎にその病棟での患者の滞在期間を示してもよいし、患者の滞在した病室毎にその病室での患者の滞在期間を示してもよい。
【0102】
また、上記の実施の形態においては、感染経路グラフ画面において、検索条件に適合する患者のフロアの滞在履歴をグラフで表示する構成について述べたが、これに限定されるものではない。各患者のフロアの滞在履歴を文字で表示する構成とすることもできる。
【0103】
また、上記の実施の形態においては、病原体が検出された時期が早い患者から順に、フロアの滞在履歴情報を時系列で並べて表示する構成について述べたが、これに限定されるものではない。例えば、患者ID順、患者名順等、他の順番で患者のフロアの滞在履歴情報を並べて表示する構成とすることもできる。
【0104】
また、上記の実施の形態においては、手術実施マーク“■”上でマウスオーバー操作が行われたときに、手術詳細情報がポップアップ表示される構成について述べたが、これに限定されるものではない。デバイス挿入マーク“→”上でマウスオーバー操作が行われたときに、デバイス挿入の実施日、デバイスコード、及びデバイス名等のデバイス挿入の詳細情報をポップアップ表示してもよいし、デバイス抜去マーク“←”上でマウスオーバー操作が行われたときに、デバイス抜去の実施日、デバイスコード、及びデバイス名等のデバイス抜去の詳細情報をポップアップ表示してもよい。
【0105】
また、上記の実施の形態においては、感染情報提供システム1が、サーバ装置2及びクライアント装置3を備える構成について述べたが、これに限定されるものではない。サーバ装置2及びクライアント装置3の機能の全てを1台の装置に搭載した感染情報提供システムとしてもよい。
【0106】
また、上記の実施の形態においては、クライアント装置3がコンピュータ3aにより構成されている場合について述べたが、これに限定されるものではない。クライアント装置3を、携帯型電話機、スマートフォン、PDA、又は携帯型ゲーム機により構成してもよい。
【0107】
また、上記の実施の形態においては、単一のコンピュータ2aによりコンピュータプログラム24aの全ての処理を実行する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、上述したコンピュータプログラム24aと同様の処理を、複数の装置(コンピュータ)により分散して実行する分散システムとすることも可能である。コンピュータ3aについても同様である。
【0108】
また、上述した実施の形態においては、感染情報提供システム専用のサーバプログラム24aがサーバ装置2にインストールされ、当該サーバプログラム24a専用のクライアントプログラム34aがクライアント装置3にインストールされ、かかるサーバ装置2及びクライアント装置3によって、上述した各種の処理を実行する構成について述べたが、これに限定されるものではない。クライアント装置3にWWWブラウザプログラムがインストールされ、WWWサーバとして機能するサーバ装置2と、WWWクライアントとして機能するクライアント装置3とがhttpプロトコルにより通信を行うことで、上記と同様の処理を実行する構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明に係る感染情報提供システム、感染情報提供装置、及びコンピュータプログラムは、医療施設内における患者の病原体への感染に関する情報を提供する感染情報提供システム、感染情報提供装置、及びコンピュータを感染情報提供装置として機能させるためのコンピュータプログラム等として有用である。
【符号の説明】
【0110】
1 感染情報提供システム
2 サーバ装置
2a コンピュータ
21a CPU
21b ROM
21c RAM
21d ハードディスク
24a コンピュータプログラム
3 クライアント装置
3a コンピュータ
31a CPU
31b ROM
31c RAM
31d ハードディスク
4 検体分析装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療施設内における患者の病原体への感染に関する情報を提供する感染情報提供システム、感染情報提供装置、及びコンピュータを感染情報提供装置として機能させるためのコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病院等の医療施設内における院内感染の状況を示す情報を表示するシステムが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1には、感染状況の的確な把握を助けるために、病院内の指定されたフロアにおける保菌者数の時期的な変動及び保菌者の分布状況を時系列で表示する院内感染状況診断装置が開示されている。かかる特許文献1に開示されている院内感染状況診断装置では、指定された菌種、指定された表示期間について、フロア別に単位面積当りの保菌者数が求められ、保菌者数の変動を示す時系列グラフが表示される。また、この院内感染状況診断装置では、病院内のフロアのレイアウト図が表示され、当該レイアウト図における保菌者が存在する座標に保菌者数に応じた数の点が描画されることで、保菌者の分布が示される。このような保菌者の分布状況を示すレイアウト図が、指定された表示期間中の複数の時点のそれぞれについて表示され、時期的な保菌者の分布状況の変動が示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−79929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
院内感染が発生した場合、感染の拡大を防止し、また感染状況を改善するために、その感染経路を追跡し、感染の原因を特定することが重要である。また、院内感染を予防するためには、過去に発生した院内感染の感染経路を検討することが重要である。かかる感染経路の特定には、対象となる病原体(細菌又はウイルス)の感染者が誰であるか、感染者が入院していた時期はいつか、また感染していたときに当該感染者がどこにいたか等の情報が必要となる。しかしながら、特許文献1に開示されている院内感染状況診断装置にあっては、ユーザは前記レイアウト図を見ることでフロア毎の保菌者数の変動及び保菌者の分布状況の変動をユーザが知ることはできるが、感染経路の特定に必要な情報を前記レイアウト図から得ることができなかった。このため、医療従事者はカルテ等を調べて感染経路の特定に必要な情報を得るという煩雑な作業を行う必要があった。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、感染経路の特定に必要となる情報をユーザが容易に得られる感染情報提供システム、感染情報提供装置、及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の感染情報提供システムは、患者を識別するための患者識別情報、医療施設内において患者が滞在した場所及び前記場所における患者の滞在時期に関する滞在情報、並びに患者が感染した病原体の種類を示す感染情報を、患者毎に記憶する記憶部と、病原体の種類を指定する病原体指定部と、表示部と、前記記憶部に記憶された感染情報に基づいて、前記病原体指定部により指定された種類の病原体に感染した患者を特定し、特定された患者に対応する患者識別情報及び滞在情報に基づいて、前記病原体指定部により指定された種類の病原体に感染した患者毎に、患者識別情報、医療施設内において患者が滞在した場所、及び前記場所における患者の滞在時期を示す感染情報画面を表示するように、前記表示部を制御する制御部と、を備える。
【0008】
上記態様において、前記制御部は、医療施設内において患者が滞在した場所及び前記場所における患者の滞在時期を示すグラフを含む前記感染情報画面を表示するよう、前記表示部を制御すべく構成されていてもよい。
【0009】
また、上記態様において、前記記憶部は、患者が病原体に感染した時期に関する情報を含む前記感染情報を記憶しており、前記制御部は、前記特定された患者に対応する患者識別情報、滞在情報、及び感染情報に基づいて、前記病原体指定部により指定された種類の病原体に感染した患者毎に、患者識別情報、医療施設内において患者が滞在した場所、及び前記場所における患者の滞在時期と共に、患者が病原体に感染した時期を示す前記感染情報画面を表示するよう、前記表示部を制御すべく構成されていてもよい。
【0010】
また、上記態様において、前記感染情報提供システムは、期間を指定する期間指定部をさらに備え、前記制御部は、前記記憶部に記憶されている感染情報に基づいて、前記病原体指定部により指定された種類の病原体に、前記期間指定部により指定された期間において感染した患者を特定すべく構成されていてもよい。
【0011】
また、上記態様において、前記制御部は、前記記憶部に記憶されている感染情報に基づいて、患者が病原体に感染した時期についての順番にしたがって、前記病原体指定部により指定された種類の病原体に感染した患者毎に、患者識別情報、医療施設内において患者が滞在した場所、及び前記場所における患者の滞在時期を示す前記前記感染情報画面を表示するよう、前記表示部を制御すべく構成されていてもよい。
【0012】
また、上記態様において、前記記憶部は、患者が病原体に感染した時期として、患者から病原体が検出された日を含む前記感染情報を記憶しており、前記制御部は、二以上の患者について病原体が検出された日が同一であって、且つ、前記二以上の患者のうちの一の患者が、前記二以上の患者について病原体が検出された日よりも先に病原体が検出された患者と同一の場所に滞在していた場合には、前記一の患者の患者識別情報、医療施設内において患者が滞在した場所、及び前記場所における患者の滞在時期を、前記二以上の患者のうちの他の患者の患者識別情報、医療施設内において患者が滞在した場所、及び前記場所における患者の滞在時期より先の順番で示す前記前記感染情報画面を表示するよう、前記表示部を制御すべく構成されていてもよい。
【0013】
また、上記態様において、前記記憶部は、患者に侵襲を伴う医療行為が実施された時期に関する実施時期情報をさらに記憶しており、前記制御部は、前記特定された患者に対応する患者識別情報、滞在情報、及び実施時期情報に基づいて、前記病原体指定部により指定された種類の病原体に感染した患者毎に、患者識別情報、医療施設内において患者が滞在した場所、及び前記場所における患者の滞在時期と共に、患者に侵襲を伴う医療行為が実施された時期を前記感染情報画面に表示させるように構成されていてもよい。
【0014】
また、上記態様において、前記記憶部は、医療施設内において患者が滞在した場所として、前記医療施設内において患者が滞在したフロアを識別するためのフロア識別情報を含む前記滞在情報を記憶しており、前記制御部は、前記特定された患者に対応する前記患者識別情報及び前記滞在情報に基づいて、前記病原体指定部により指定された種類の病原体に感染した患者毎に、患者識別情報、フロア識別情報、及びフロアにおける患者の滞在時期を示す前記感染情報画面を表示するよう、前記表示部を制御すべく構成されていてもよい。
【0015】
また、上記態様において、前記制御部は、同一のフロアに滞在していた患者については、医療施設内において患者が滞在したフロア及び前記フロアにおける患者の滞在時期を同一色のグラフで示し、異なるフロアに滞在していた患者については、医療施設内において患者が滞在したフロア及び前記フロアにおける患者の滞在時期を患者毎に異なる色のグラフで示す前記感染情報画面を表示するよう、前記表示部を制御すべく構成されていてもよい。
【0016】
また、上記態様において、前記制御部は、前記記憶部に記憶された感染情報に基づいて、前記病原体指定部により指定された種類の病原体に感染した患者を検索し、検索された患者を一覧表示する検索結果画面を前記表示部に表示させ、前記検索結果画面に表示された患者の何れかの指定を受付可能に構成されており、前記一覧画面に表示された患者の何れかの指定を受け付けた場合に、指定された患者と同一時期に同一の場所に滞在した患者であって、前記病原体指定部により指定された種類の病原体に感染した患者を、前記記憶部に記憶された感染情報に基づいて特定するように構成されていてもよい。
【0017】
本発明の一の態様の感染情報提供装置は、情報を表示する表示装置に通信可能に接続された感染情報提供装置であって、患者を識別するための患者識別情報、医療施設内において患者が滞在した場所及び前記場所における患者の滞在時期に関する滞在情報、並びに患者が感染した病原体の種類を示す感染情報を、患者毎に記憶する記憶部と、病原体の種類の指定を受け付ける受付部と、前記記憶部に記憶された感染情報に基づいて、前記受付部により受け付けた種類の病原体に感染した患者を特定し、特定された患者に対応する患者識別情報及び滞在情報に基づいて、前記病原体指定部により指定された種類の病原体に感染した患者毎に、患者識別情報、医療施設内において患者が滞在した場所、及び前記場所における患者の滞在時期を示す感染情報画面を表示するための表示データを作成する制御部と、前記表示装置に前記感染情報画面を表示させるために、前記制御部によって作成された前記表示データを前記表示装置へ送信する送信部と、を備える。
【0018】
本発明の一の態様のコンピュータプログラムは、情報を表示する表示装置にデータを送信するための通信部と、患者を識別するための患者識別情報、医療施設内において患者が滞在した場所及び前記場所における患者の滞在時期に関する滞在情報、並びに患者が感染した病原体の種類を示す感染情報を、患者毎に記憶する記憶部と、を備えるコンピュータに、前記施設内での感染に関する情報を提供させるためのコンピュータプログラムであって、前記通信部によって病原体の種類の指定を受け付けるステップと、前記記憶部に記憶された感染情報に基づいて、前記通信部により受け付けた種類の病原体に感染した患者を特定するステップと、特定された患者に対応する患者識別情報及び滞在情報に基づいて、前記通信部によりに受け付けた種類の病原体に感染した患者毎に、患者識別情報、医療施設内において患者が滞在した場所、及び前記場所における患者の滞在時期を示す感染情報画面を表示するための表示データを作成するステップと、前記表示装置に前記感染情報画面を表示させるために、作成された前記表示データを、前記通信部によって前記表示装置へ送信するステップと、を前記コンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る感染情報提供システム、感染情報提供装置、及びコンピュータプログラムによれば、感染経路の特定に必要となる情報をユーザが容易に得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施の形態に係る感染情報提供システムの全体構成を示す模式図。
【図2】実施の形態に係る感染情報提供システムが備えるサーバ装置の構成を示すブロック図。
【図3】実施の形態に係る感染情報提供システムが備えるクライアント装置の構成を示すブロック図。
【図4】サーバ装置に設けられた各種データベースの構成を示す模式図。
【図5】メニュー画面の構成を示す図。
【図6】感染経路追跡検索画面表示処理の流れを示すフローチャート。
【図7】感染経路追跡検索画面の一例を示す図。
【図8】感染情報検索処理の流れを示すフローチャート。
【図9】検索結果が表示された感染経路追跡検索画面の例を示す図。
【図10】感染経路グラフ表示処理の流れを示すフローチャート。
【図11】感染経路グラフ画面の一例を示す図。
【図12】感染経路グラフでの手術実施情報表示処理の流れを示すフローチャート。
【図13】手術の詳細情報が重畳表示された感染経路グラフ画面の例を示す図。
【図14】検索対象期間変更処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0022】
[感染情報提供システムの構成]
図1は、本実施の形態に係る感染情報提供システムの全体構成を示す模式図である。本感染情報提供システム1は、病院等の医療施設に設置され、各患者の病原体への感染状況の確認、院内感染の推移の確認等に用いられるものである。感染情報提供システム1は、LAN又はイントラネット等の情報ネットワークを使用したクライアントサーバシステムであり、サーバ装置2と、医師又は看護師等の医療従事者が使用するクライアント装置3とを備えている。また、感染情報提供システム1は、患者の病状、処置、治療経過等の診療情報が記録された電子カルテシステム6と、細菌検査装置を含む検体分析装置4とを備えており、サーバ装置2と、クライアント装置3、検体分析装置4、及び電子カルテシステム6との間は、情報ネットワーク5によりデータ通信可能に接続されている。これにより、サーバ装置2は電子カルテシステム6から診療情報を、検体分析装置4から細菌検査結果を、それぞれ取得可能となっている。
【0023】
<サーバ装置2の構成>
図2は、サーバ装置2の構成を示すブロック図である。サーバ装置2は、コンピュータ2aによって実現される。図2に示すように、コンピュータ2aは、本体21と、表示部22と、入力部23とを備えている。本体21は、CPU21a、ROM21b、RAM21c、ハードディスク21d、読出装置21e、入出力インタフェース21f、通信インタフェース21g、及び画像出力インタフェース21hを備えており、CPU21a、ROM21b、RAM21c、ハードディスク21d、読出装置21e、入出力インタフェース21f、通信インタフェース21g、及び画像出力インタフェース21hは、バス21jによって接続されている。
【0024】
ハードディスク21dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU21aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。サーバ用のコンピュータプログラム24aも、このハードディスク21dにインストールされている。
【0025】
読出装置21eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体24に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体24には、コンピュータをサーバ装置2として機能させるためのコンピュータプログラム24aが格納されており、コンピュータ2aが当該可搬型記録媒体24からコンピュータプログラム24aを読み出し、当該コンピュータプログラム24aをハードディスク21dにインストールすることが可能である。
【0026】
ハードディスク21dには、例えば米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)等のマルチタスクオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、本実施の形態に係るコンピュータプログラム24aは当該オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0027】
図4は、ハードディスク21dに設けられた各種データベースの構成を示す模式図である。図4に示すように、ハードディスク21dには、入退院移動情報データベースDB1、デバイス処置情報データベースDB2、手術実施情報データベースDB3、細菌検査結果データベースDB4、菌ウイルスデータベースDB5、薬剤感受性データベースDB6、及び検体データベースDB7が設けられている。
【0028】
入退院移動情報データベースDB1には、患者の入退院に関する情報が格納される。サーバ装置2は、電子カルテシステム6と通信を行い、電子カルテシステム6に記憶されている患者の診療情報を受信する。かかる入退院移動情報データベースDB1には、電子カルテシステム6から送信された診療情報に含まれる入退院移動情報が格納される。具体的には、患者ID、患者氏名、入院日、退院日、移動日、患者が入院している病棟フロアのフロアコード、フロア名、フロアコード毎に割り当てられた色コード、患者が入院している病室の病室番号、及びベッド番号等の情報が入退院移動情報データベースDB1に格納される。色コードは、後述する感染経路グラフ表示において用いられるデータであり、フロアに対応する色を示している。
【0029】
デバイス処置情報データベースDB2には、患者に対するデバイスの挿入又は抜去に関する情報が格納される。ここでいう「デバイス」とは、患者の体内に侵襲的に装着される医療機器をいい、例として、カテーテル、ドレーン、輸液ルート、EDチューブ、イレウス管、人工呼吸器等が挙げられる。かかるデバイスの患者への装着は、侵襲を伴う医療行為として医療従事者により行われる。デバイス処置情報データベースDB2には、電子カルテシステム6から送信された診療情報に含まれるデバイス処置情報が格納される。具体的には、患者を特定するための患者ID、デバイスの挿入抜去実施日、挿入抜去が実施されたデバイスに割り当てられたデバイスコード、及びデバイス名等の情報がデバイス処置情報データベースDB2に格納される。
【0030】
手術実施情報データベースDB3には、患者に対して実施された手術に関する情報が格納される。かかる手術情報は、電子カルテシステム6からサーバ装置2へと送信される診療情報に含まれ、サーバ装置2が電子カルテシステム6から診療情報を受信したときに、当該診療情報に含まれる手術情報が手術実施情報データベースDB3に格納される。具体的には、かかる手術情報データベースDB3には、患者ID、手術実施日、実施された手術の術式に対応する術式コード、及び術式の名称(術式名)等の情報が格納される。
【0031】
細菌検査結果データベースDB4には、患者の細菌検査の結果が格納される。サーバ装置2は検体分析装置4と通信を行い、検体分析装置4による検体分析結果(細菌検査)を受信する。また、検体分析装置4によって検出されない病原体による感染症が存在し、医師が患者を診察することで、当該感染症の罹患を診断する場合がある。かかる場合には、この感染症に関する診断結果(感染情報)を含む報診療情報が電子カルテシステム6に入力される。つまり、電子カルテシステム6に記憶されている診療情報にも、患者が感染している病原体に関する情報が含まれる。サーバ装置2は電子カルテシステム6と通信を行い、電子カルテシステム6から受信した診療情報に感染情報が含まれている場合には、当該感染情報を細菌検査結果データベースDB4に格納する。このように、細菌検査結果データベースDB4には、検体分析装置4から送信された細菌検査結果及び電子カルテシステム6から送信された診療情報に含まれる感染情報が格納される。さらに具体的には、患者ID、検体が検体分析装置に到着した日時を示す検体到着日時(又は患者が感染症と診断された診察日時)、細菌検査連携キーコード、患者氏名、検体の採取日時(又は患者が感染症と診断された診察日時)、患者が入院しているか外来であるかを示す入院外来区分、検体の種類(喀痰、便、又は血液)に割り当てられた検体コード、検体の種類を示す検体名、検出された細菌又はウイルス(以下、「検出菌」という。)のシーケンス番号(菌株番号)、検出菌に割り当てられた菌ウイルスコード、検出菌の名称である菌ウイルス名、病原体の薬剤感受性を示す感受性パターン等の情報が細菌検査結果データベースDB4に格納される。
【0032】
菌ウイルスデータベースDB5には、病原体である菌及びウイルスに関する情報(以下、「菌ウイルス情報」という。)が格納される。具体的には、菌ウイルスコード、及び菌ウイルス名が菌ウイルスデータベースDB5に格納される。
【0033】
薬剤感受性データベースDB6には、病原体の薬剤感受性に関する情報が格納される。具体的には、患者ID、検体到着日時、細菌検査連携キーコード、シーケンス番号、菌ウイルスコード、抗菌薬毎に割り当てられた抗菌薬コード、抗菌薬の名称(抗菌薬名)、及び感受性判定値が薬剤感受性データベースDB6に格納される。ここで感受性判定値とは、薬剤感受性試験の結果を示す情報であり、「感受性」を示す“S”、「中間」を示す“I”、及び「耐性」を示す“R”の何れかの値を取る。また、1つの病原体に対しては複数の抗菌薬が存在する場合には、1つのシーケンス番号と複数の抗菌薬コード(及び抗菌薬名)とが対応する。つまり、薬剤感受性データベースDB6の1つのレコードには、複数の抗菌薬コード(及び抗菌薬名)が含まれる場合がある。
【0034】
検体データベースDB7には、検体に関する情報が格納される。具体的には、検体の種類に割り当てられた検体コード、検体名、及び検体コード毎に割り当てられた検体表示マークが検体データベースDB7に格納される。この検体データベースDB7に記憶される検体表示マークは、後述する感染経路グラフ表示の画面データを作成するときに使用される。
【0035】
入出力インタフェース21fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース21fには、キーボード及びマウスからなる入力部23が接続されており、ユーザが当該入力部23を使用することにより、コンピュータ2aにデータを入力することが可能である。
【0036】
通信インタフェース21gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース21gは情報ネットワーク5を介してクライアント装置3、検体分析装置4、及び電子カルテシステム6に接続されている。コンピュータ2aは、通信インタフェース21gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該情報ネットワーク5に接続されたクライアント装置3、検体分析装置4、及び電子カルテシステム6との間でデータの送受信が可能である。
【0037】
画像出力インタフェース21hは、LCDまたはCRT等で構成された表示部22に接続されており、CPU21aから与えられた画像データに応じた映像信号を表示部22に出力するようになっている。表示部22は、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0038】
<クライアント装置3の構成>
図3は、本実施の形態に係るクライアント装置3の構成を示すブロック図である。クライアント装置3は、コンピュータ3aによって実現される。図3に示すように、コンピュータ3aは、本体31と、表示部32と、入力部33とを備えている。本体31は、CPU31a、ROM31b、RAM31c、ハードディスク31d、読出装置31e、入出力インタフェース31f、通信インタフェース31g、及び画像出力インタフェース31hを備えており、CPU31a、ROM31b、RAM31c、ハードディスク31d、読出装置31e、入出力インタフェース31f、通信インタフェース31g、及び画像出力インタフェース31hは、バス31jによって接続されている。
【0039】
ハードディスク31dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU31aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。感染情報提供システム1のクライアントプログラム34aも、このハードディスク31dにインストールされている。
【0040】
読出装置31eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体34に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体34には、コンピュータをクライアント装置3として機能させるためのコンピュータプログラム34aが格納されており、コンピュータ3aが当該可搬型記録媒体34からコンピュータプログラム34aを読み出し、当該コンピュータプログラム34aをハードディスク31dにインストールすることが可能である。
【0041】
また、ハードディスク31dには、例えば米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)等のマルチタスクオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、本実施の形態に係るコンピュータプログラム34aは当該オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0042】
また、クライアント装置3のその他の構成は、上述したサーバ装置2の構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0043】
<検体分析装置4の構成>
本実施の形態に係る検体分析装置4は、血液、尿、喀痰、及びその他の体液の検体から細菌を検出する細菌検査装置である。かかる検体分析装置4は、投入された検体を自動的に分析する自動分析装置であり、検体に試薬を添加して測定試料を作製し、この測定試料を光学的に測定することで、病原体となる細菌を検出するように構成されている。検体分析装置4は、情報ネットワーク5に接続されており、サーバ装置2に対してデータの送受信が可能である。かかる検体分析装置4は、検体を分析し、分析結果(細菌検査結果)を得ると、当該細菌検査結果をサーバ装置2へ送信する。
【0044】
[感染情報提供システム1の動作]
感染情報提供システム1は、マルチユーザシステムであり、ユーザがログインすることで感染情報提供システム1の機能を利用することができる。ユーザはクライアント装置3を使用して、ユーザ名及びパスワードを入力することで、感染情報提供システム1にログイン要求を行う。サーバ装置3はユーザ名及びパスワードを受信し、ユーザ名及びパスワードを用いてログイン認証を行う。ログイン認証に成功した場合には、クライアント装置3の表示部32にメニュー画面が表示される。
【0045】
図5は、メニュー画面の構成を示す図である。図5に示すように、メニュー画面D100には、ユーザ間の連絡に用いられる掲示板領域A101と、院内感染に関する文書データの閲覧、作成、編集、保存、削除等を行うための文書管理領域A102と、メールの閲覧、作成、送信等を行うためのメール操作領域A103と、感染情報提供システム1の各画面に表示を切り替えるためのメニュー領域A104とが設けられている。メニュー領域A104には、感染情報提供システム1の各種の機能を呼び出すための複数のメニューが設けられている。メニュー領域A104には、4つのタブT105〜T108が設けられており、これらのタブT105〜T108の1つをユーザがマウス操作等によって選択すると、選択されたタブに対応するアイコンがメニュー領域A104に表示されるようになっている。院内感染管理タブT105に含まれるアイコンは、院内感染管理に使用される機能が割り当てられている。具体的には、院内感染レポートの表示及び作成が割り当てられた「院内感染レポート」アイコンC111、ユーザによって指定された月における日毎、又は週毎の菌別の検出数の表示が割り当てられた「検出モニタリング」アイコンC112、患者の感染状況、処置、治療経過等の診療情報の検索及び表示が割り当てられた「患者検索」アイコンC113、病棟毎又はフロア毎の感染者の分布状況の表示が割り当てられた「病棟マップ」アイコンC114、掲示板への情報の投稿が割り当てられた「掲示板登録」アイコンC115、感染経路に関する情報の表示が割り当てられた「感染経路追跡」アイコンC116、感染情報提供システム1を使用するユーザに関する情報の設定が割り当てられた「ユーザ設定」アイコンC117、及び感染情報提供システム1の操作マニュアルのダウンロードに割り当てられた「マニュアルダウンロード」アイコンC118が院内感染管理タブT105のアイコンとして設けられている。なお、ここでいう「アイコン」とは、特定の機能が割り当てられ、当該機能を象徴的に表すようにデザインされた画像をいい、ウィンドウ内において表示されるものを含む。
【0046】
上記のような院内感染管理タブT105の各アイコンに割り当てられた機能は、感染症の対策を実施するインフェクションコントロールドクター(ICD)及び感染管理看護師(ICN)、並びに通常の医療現場(病室等)において医療行為を実施する医師及び看護師によって使用される。
【0047】
ICT支援タブT106には、感染制御チーム(ICT)を支援するための機能が割り当てられたアイコンが設けられている(図示せず)。感染制御チームは、感染管理を担当する専門家であるインフェクションコントロールドクター及び感染管理看護師によって構成されるチームである。感染制御チームは、当該医療施設全体における感染管理に関する業務を担当し、集団感染の防止及び対策等を実施する院内感染サーベイランス、医療施設全体の感染対策計画の立案、職員への感染予防の実施及び指導等を行う。ICT支援タブT106は、上記のような感染制御チームの業務に使用される情報を提供するためのタブである。
【0048】
マスタメンテナンスタブT107及びT108のそれぞれには、入退院移動情報データベースDB1、デバイス処置情報データベースDB2、手術実施情報データベースDB3、細菌検査結果データベースDB4、菌ウイルスデータベースDB5、薬剤感受性データベースDB6、及び検体データベースDB7のマスタ管理を行うためのアイコンが設けられている(図示せず)。
【0049】
<感染経路追跡検索画面表示処理>
ユーザは、上述した院内感染管理タブT105に含まれる感染経路追跡アイコンC116をマウス操作等によって選択することで、感染経路追跡検索画面表示機能を呼び出すことができる。感染経路追跡検索画面表示機能は、以下に説明する感染経路追跡検索画面表示処理をサーバ装置2及びクライアント装置3が実行することによって実現される。
【0050】
図6は、感染経路追跡検索画面表示処理の流れを示すフローチャートである。感染経路追跡アイコンC116が選択されることで、クライアント装置3のCPU31aが感染経路追跡検索画面の表示指示を受け付けると(ステップS101)、CPU31aは、感染経路追跡検索画面の表示に必要な検索画面表示データを要求する要求データをサーバ装置2へ送信する(ステップS102)。
【0051】
クライアント装置3から送信された要求データはサーバ装置2によって受信される。サーバ装置2のCPU21aは、前記要求データを受信するまで待機する(ステップS103においてNO)。サーバ装置2が要求データを受信すると(ステップS103においてYES)、CPU21aは、菌ウイルスデータベースDB5から登録されている全ての病原体の菌ウイルス情報を取得し、取得された菌ウイルスコードに対応する抗菌薬コード、抗菌薬名、及び感受性判定値を含む情報を薬剤感受性データベースDB6から取得し、取得された菌ウイルスコードに対応する感受性パターンを細菌検査結果データベースDB4から取得する(ステップS104)。なお、S104において取得される菌ウイルスコードに対応する抗菌薬コード、抗菌薬名、感受性判定値及び感受性パターンを含む情報を以下、感受性情報という。これらの菌ウイルス情報及び感受性情報は、後述する感染経路追跡検索画面を作成するために必要な情報である。
【0052】
次にCPU21aは、取得した情報に基づいて、感染経路追跡検索画面を表示するためのデータである検索画面表示データを作成する(ステップS105)。またCPU21aは、作成した検索画面表示データを要求元のクライアント装置3へ送信し(ステップS106)、処理を終了する。
【0053】
サーバ装置2から送信された検索画面表示データはクライアント装置3によって受信される。クライアント装置3のCPU31aは、前記検索画面表示データを受信するまで待機する(ステップS107においてNO)。クライアント装置3が検索画面表示データを受信すると(ステップS107においてYES)、CPU31aは、受信された検索画面表示データに基づいて、感染経路追跡検索画面を表示部32に表示させ(ステップS108)、処理を終了する。
【0054】
図7は、感染経路追跡検索画面の一例を示す図である。図7に示すように、感染経路追跡検索画面D200には、検索条件を入力するための検索条件入力領域A201と、検索結果が表示される検索結果表示領域A202とが設けられている。
【0055】
検索条件入力領域A201には、検索する対象の病原体を指定するための病原体選択ボックスB203と、病原体の薬剤感受性を指定するための感受性パターン選択ボックスB204と、検索する対象期間を指定するための期間選択ボックスB205と、検索対象の患者の属性を指定するための属性選択ボックスB206と、検索対象の患者の患者IDを指定するための患者ID入力ボックスB207と、検索対象の患者の氏名(カタカナ表記)を入力するための患者名入力ボックスB208とが設けられている。
【0056】
病原体選択ボックスB203は、選択可能なグラフィックオブジェクト(コントロール)の1つであるドロップダウンリストである。マウスによるクリック操作等で病原体選択ボックスB203を選択すると、ステップS104において取得された菌ウイルス名の一覧がドロップダウン表示される。ユーザがこの菌ウイルス名の一覧の中から、マウスのクリック操作等で検索対象とする菌ウイルス名を1つ選択することで、菌ウイルス名で示される病原体が検索条件として指定される。
【0057】
感受性パターン選択ボックスB204は、病原体選択ボックスB203と同様にドロップダウンリストである。マウスによるクリック操作等で感受性パターン選択ボックスB203を選択すると、ステップS104において取得された感受性パターンの一覧がドロップダウン表示される。ユーザがこの感受性パターンの一覧の中から、マウスのクリック操作等で検索対象とする感受性パターンを1つ選択することで、選択した感受性パターンが検索条件として指定される。
【0058】
期間選択ボックスB205は、期間の始期の「年」及び「月」を指定するためのドロップダウンリスト、並びに期間の終期の「年」及び「月」を指定するためのドロップダウンリストにより構成されている。この期間選択ボックスB205により、ユーザは検索対象とする期間の始期及び終期を選択することが可能である。つまり、ユーザが期間選択ボックスB205において期間を選択することで、当該期間が検索条件として指定される。
【0059】
属性選択ボックスB206は、入院患者を検索対象とするか、入院患者及び外来患者を検索対象とするかを選択するためのドロップダウンリストである。この属性選択ボックスB206は、「入院患者のみ」と「指定無し」の2項目からなるドロップリストを表示する。ユーザがマウスのクリック操作等により「入院患者のみ」を選択した場合には、入院外来区分で「入院」が指定されていることが検索条件に含まれる。つまり、入院患者のみが検索対象とされる。一方、ユーザが「指定無し」を選択した場合には、入院外来区分についての検索条件は指定されない。つまり、入院患者及び外来患者の両方が検索対象に含まれる。
【0060】
患者ID入力ボックスB207は、テキストを入力可能なテキストボックスであり、患者IDを入力するために使用される。ユーザは、この患者ID入力ボックスB207に患者IDを入力することで、検索条件として入力した患者IDを指定することが可能である。
【0061】
患者名入力ボックスB208は、テキストを入力可能なテキストボックスであり、患者名をカタカナ表記で入力するために使用される。ユーザは、この患者名入力ボックスB208に患者名を入力することで、検索条件として入力した患者名を指定することが可能である。
【0062】
また、患者ID入力ボックスB207又は患者名入力ボックスB208において検索条件として患者ID又は患者名が指定された場合には、検索条件として期間及び入院外来区分が指定されていたとしても、当該期間及び入院外来区分は検索条件に含まれない。つまり、検索条件としての患者ID及び患者名は、検索条件としての期間及び入院外来区分よりも優先度が高く、患者ID及び患者名が検索条件に指定されている場合には、指定された期間及び入院外来区分は無視されて検索される。また、患者IDと患者名とでは、患者IDの方が検索条件として優先度が高い。つまり、患者ID及び患者名が検索条件に指定されている場合には、患者名が無視され、検索条件として患者IDが使用される。さらに、病原体選択ボックスB203及び感受性パターン選択ボックスB204により指定される病原体及び感受性パターンは、必須の検索条件である。患者ID又は患者名が検索条件として指定されているか否かにかかわらず、病原体及び感受性パターンは検索条件として指定されていることが必要である。
【0063】
また、検索条件入力領域A201には、検索の実行を指示するための検索ボタンB209が設けられている。この検索ボタンB209は、選択可能なグラフィックオブジェクト(コントロール)であり、マウスによるクリック操作等で選択可能である。上述した病原体選択ボックスB203、感受性パターン選択ボックスB204、期間選択ボックスB205、属性選択ボックスB206、患者ID入力ボックスB207、及び患者名入力ボックスB208に検索条件が入力された状態で、検索ボタンB209が選択されると、当該検索条件による検索の実行がサーバ装置2に要求されるようになっている。検索結果表示領域A202には、サーバ装置2による検索結果が表示される。図7には、検索実行前の検索結果表示領域A202に検索結果が表示されていない状態が示されている。
【0064】
<感染情報検索処理>
次に、感染情報提供システム1による感染情報検索処理について説明する。上述した感染経路追跡検索画面D200において、検索条件を入力し、検索ボタンB209を選択することで、入力された検索条件に適合する感染情報を検索する感染情報検索処理を呼び出すことができる。
【0065】
図8は、感染情報検索処理の流れを示すフローチャートである。クライアント装置3のCPU31aが、検索条件の入力及び検索実行の指示を受け付けると(ステップS201)、CPU31aは、感染情報の検索を要求する要求データをサーバ装置2へ送信する(ステップS202)。この要求データには、入力された検索条件のデータが含まれている。
【0066】
クライアント装置3から送信された要求データはサーバ装置2によって受信される。サーバ装置2のCPU21aは、前記要求データを受信するまで待機する(ステップS203においてNO)。サーバ装置2が要求データを受信すると(ステップS203においてYES)、CPU21aは、検索条件に適合する菌検出情報を細菌検査結果データベースDB4から取得する(ステップS204)。ステップS204の処理では、検索条件に含まれる菌ウイルスIDと同一の菌ウイルスIDを有するレコードが細菌検査結果データベースDB4から検索され、このレコードに含まれる患者ID、患者氏名、検体到着日時(又は診察日時)、検体名が菌検出情報として取得される。また、検索条件に抗菌薬コードが含まれている場合には、薬剤感受性データベースDB6において、当該抗菌薬コードと同一の抗菌薬コードに対応する菌ウイルスIDが特定され、この菌ウイルスIDを有するレコードが細菌検査結果データベースDBから検索される。検索条件に検索対象期間が含まれている場合には、上記の菌ウイルスID及び抗菌薬コードに加え、検体到着日時(又は診察日時)が検索対象期間に適合するレコードが細菌検査結果データベースDB4から検索され、検出菌情報が取得される。また、検索条件において「入院患者のみ」が指定されている場合には、入院外来区分で「入院」が指定されているレコードが細菌検査結果データベースDB4から検索される。さらに、検索条件として患者ID又は患者名が指定されている場合には、当該患者ID又は患者名と同一の患者ID又は患者名を含むレコードが細菌検査結果データベースDB4から検索される。なお、患者ID又は患者名が検索条件に含まれる場合には、検索対象期間の条件は無視して検索が実行される。
【0067】
次にCPU21aは、検索された菌検出情報を、患者ID毎に集約する(ステップS205)。ステップS204において、同一の患者IDを有する複数の菌検出情報が取得される場合がある。このような場合、複数の菌検出情報には、同一の患者ID及び患者名と、異なる検体到着日時(又は診察日時)及び検体名とが含まれている。つまり、ステップS205においては、患者ID毎に検体到着日時(又は診察日時)及び検体名が対応するよう、菌検出情報が集約される。
【0068】
次にCPU21aは、集約された菌検出情報から、患者ID、患者名、最先の検体到着日時(又は診察日時)(以下、「期間内最古検出日」という。)、及び当該期間内最古検出日に対応する検体名を患者毎に取得する(ステップS206)。つまり、同一の患者IDについて複数の菌検出情報が集約された場合には、1つの患者IDに対して複数の検体到着日時(又は診察日時)が存在する。このような場合、ステップS206においては、同一の患者IDに対応する複数の検体到着日時(又は診察日時)の中で、再先(最古)の1つが抽出される。また、患者IDが同一であっても、各検体到着日時(又は診療日時)に対応する検体名のそれぞれが互いに異なる場合がある。このような場合、期間内最古検出日に対応する検体名が抽出される。
【0069】
次にCPU21aは、集約された菌検出情報に含まれる患者IDを検索キーとして、各患者の現在所属情報を入退院移動情報データベースDB1から取得する(ステップS207)。現在所属情報は、患者が現在入院している場合には、滞在しているフロア名、病室番号及びベッド番号、退院している場合には、退院したことを示す情報が含まれる。
【0070】
CPU21aは、ステップS206及びS207において取得された情報を含む検索結果データを作成する(ステップS208)。またCPU21aは、作成した検索結果データを要求元のクライアント装置3へ送信し(ステップS209)、処理を終了する。
【0071】
サーバ装置2から送信された検索結果データはクライアント装置3によって受信される。クライアント装置3のCPU31aは、前記検索結果データを受信するまで待機する(ステップS210においてNO)。クライアント装置3が検索結果データを受信すると(ステップS210においてYES)、CPU31aは、受信された検索結果データに基づいて、検索結果を、感染経路追跡検索画面D200の検索結果表示領域A202に表示させ(ステップS211)、処理を終了する。
【0072】
図9は、検索結果が表示された感染経路追跡検索画面の例を示す図である。検索結果が得られた後は、感染経路追跡検索画面D200の検索結果表示領域A202に検索結果が表示される。検索結果には、患者ID、患者名、期間内最古検出日、検体名、及び現在所属情報が含まれる。検索結果は、患者毎に一覧形式で表示される。図9に示す例では、患者ID“1111”、“2222”、“3333”、“4444”の4人の患者についての感染情報が検索結果として得られており、これらの各患者の感染情報が一覧形式で表示されている。
【0073】
検索結果表示領域A202において、これらの感染情報は、期間内最古検出日の順番で並べられる。図9に示す例では、検索結果のうち、患者ID“1111”の期間内最古検出日“2009/02/01”が最先の日付であり、患者ID“2222”の期間内最古検出日“2009/03/10”、患者ID“3333”の期間内最古検出日“2009/04/02”、患者ID“4444”の期間内最古検出日“2009/04/04”の順番で続いている。したがって、患者ID“1111”、“2222”、“3333”、“4444”の順番で各感染情報が上から下に並べられる。
【0074】
現在所属情報としては、患者が現在退院している場合には“退院”と表示される。また、患者が現在入院中である場合には、“入院”と共に、現在患者が滞在しているフロア名、病室番号、及びベッド番号が表示される。フロア名、病室番号、及びベット番号のそれぞれは、ハイフンによって接続された状態で表示される。図9に示す例では、患者ID“3333”の患者が入院中であり、現在所属情報として“入院(中6階東−361号室−01)”が表示されている。
【0075】
また、検索結果表示領域A202に表示されている患者IDは、それぞれマウスのクリック操作により選択可能である。1つの患者IDがユーザにより選択されると、その患者IDに関する感染経路グラフ表示画面が表示部32に表示される。
【0076】
<感染経路グラフ表示処理>
次に、感染情報提供システム1による感染経路グラフ表示処理について説明する。上述した感染経路追跡検索画面D200の検索結果表示領域A202に表示されている患者IDの1つを選択することで、選択された患者IDに関する感染経路グラフを表示する感染経路グラフ表示処理を呼び出すことができる。
【0077】
図10は、感染経路グラフ表示処理の流れを示すフローチャートである。クライアント装置3のCPU31aが、患者IDの選択を受け付けると(ステップS301)、CPU31aは、感染経路グラフを表示するための感染経路グラフ表示データを要求する要求データをサーバ装置2へ送信する(ステップS302)。この要求データには、選択された患者ID及び上述した感染情報の検索結果を得るときに用いられた検索条件のデータが含まれている。
【0078】
クライアント装置3から送信された要求データはサーバ装置2によって受信される。サーバ装置2のCPU21aは、前記要求データを受信するまで待機する(ステップS303においてNO)。サーバ装置2が要求データを受信すると(ステップS303においてYES)、CPU21aは、要求データに含まれる患者IDを検索キーとして、当該患者IDにより示される患者(以下、「対象患者」という。)の細菌検査結果及び入退院情報を細菌検査結果データベースDB4及び入退院情報データベースDB1から取得する(ステップS304)。
【0079】
次にCPU21aは、入退院移動情報データベースDB1及び細菌検査結果データベースDB4から、検索対象期間内における重複した時期に対象患者と同一の病室に滞在しており、且つ、検索条件に適合する患者の患者IDを抽出する(ステップS305)。さらにCPU21aは、対象患者の患者ID及び抽出された患者IDを検索キーとして、これらの患者IDに対応する入退院移動情報、細菌検査結果、手術実施情報、及びデバイス処置情報を、入退院移動情報データベースDB1、細菌検査結果データベースDB4、手術実施情報データベースDB3、及びデバイス処置情報データベースDB2のそれぞれから取得する(ステップS306)。またCPU21aは、ステップS306において取得した細菌検査結果に含まれる検体コードに対応する検体表示マークを、検体データベースDB7から取得する(ステップS307)。
【0080】
次にCPU21aは、ステップS306及びS307において取得された情報に基づいて、感染経路グラフを表示するための感染経路グラフ表示データを作成する(ステップS308)。またCPU21aは、作成した感染経路グラフ表示データを要求元のクライアント装置3へ送信し(ステップS309)、処理を終了する。
【0081】
サーバ装置2から送信された感染経路グラフ表示データはクライアント装置3によって受信される。クライアント装置3のCPU31aは、前記感染経路グラフ表示データを受信するまで待機する(ステップS310においてNO)。クライアント装置3が感染経路グラフ表示データを受信すると(ステップS310においてYES)、CPU31aは、受信された感染経路グラフ表示データに基づいて、感染経路グラフ画面を表示部32に表示させ(ステップS311)、処理を終了する。
【0082】
図11は、感染経路グラフ画面の一例を示す図である。図11に示すように、感染経路グラフ画面D300には、感染経路グラフを表示するための感染経路グラフ表示領域A301が設けられている。この感染経路グラフ表示領域A301には、感染経路グラフG302が表示される。感染経路グラフG302は対象患者、及び対象患者と重複した時期に同一の病室に滞在しており、且つ、検索条件に適合する患者について、検索対象期間におけるフロアの滞在履歴を示すグラフである。感染経路グラフG302において、横軸は時間であり、少なくとも検索対象期間が表示範囲に含まれている。また、縦軸は、患者で分けられており、病原体が検出された時期が古い患者から順番に、上から下へと並べられる。図11に示す例では、患者ID“1111”、“2222”、“3333”、“4444”の順番で上から下に並べられている。
【0083】
患者のフロアの滞在履歴のグラフは、1人の患者につき1行で示される。各患者のグラフにおいて、病原体の検出時期は検体表示マークによって示される。図11に示す例では、検体は喀痰であり、各患者のフロア滞在履歴のグラフにおいて、喀痰に対応する検体表示マーク“K”が病原体検出時期に表示される。図11に示すように、患者ID“1111”、“2222”、“3333”、“4444”の順番で、病原体が検出されている。なお、患者ID“1111”及び“3333”の患者は、2回ずつ病原体が検出されているが、フロアの滞在履歴グラフの表示順は、各患者における最初の病原体検出時期によって決定される。
【0084】
また、複数の患者(以下、「特定患者」という。)について病原体の検出日が同一である場合には、特定患者を除く患者の中で、病原体検出日が最先の患者と同一の病室に滞在していた特定患者が、他の特定患者(前記病原体検出日が歳銭の患者と同一の病室に滞在していなかった特定患者)よりも時系列の順番では先として、各患者のフロアの滞在履歴のグラフが並べて表示される。例えば、A及びBの二人が特定患者であり、特定患者以外の患者のうちで病原体検出日が最先の患者がCであって、AがCと同一の病室に滞在し、BはCと同一の病室には滞在していなかった場合には、Aのグラフの方がBのグラフよりも先の順番で表示される。
【0085】
各グラフは横長の棒グラフであり、各フロアの滞在時期が色分けされて示される。つまり、入退院移動情報では、フロアコードと、フロアコードに対応する色コードが含まれている。CPU31aは、グラフにおける1つのフロアの滞在時期に対応する領域を、そのフロアの色コードに対応する色によって表示させる。例えば、フロア“中5階西”は青色、フロア“中6階西”は赤色、フロア“中6階東”は緑色、フロア“中7階東”は黄色といったように、フロア毎にグラフが色分けされる。これにより、どの患者とどの患者が同一のフロアに滞在していたかをユーザは容易に把握することができる。また、横軸が時間軸とされているため、異なる患者のグラフにおいて、同じ色の領域が時期的に重なっているか否かが容易に把握される。図11に示す例では、患者ID“1111”の患者がフロア“中5階西”に2月1日頃から2月15日頃まで滞在している。一方、患者ID“4444”の患者がフロア“中5階西”に2月10日頃から2月28日頃まで滞在している。つまり、患者ID“1111”の患者と、患者ID“4444”の患者とは、重複した時期に同一のフロア“中5階西”に滞在していることが分かる。このため、患者ID“1111”の患者から患者ID“4444”の患者へこの重複期間において病原体が感染した可能性が高いと推測される。
【0086】
また、感染経路グラフG302の各患者のグラフの上方には、患者が滞在していた病室の病室番号が表示される。この病室番号は、患者が当該病室番号の病室へ入室した日付の位置に表示される。これにより、ユーザは患者がいつからどの病室に滞在していたかを容易に把握することができる。
【0087】
感染経路グラフG302においては、手術実施時期は“■”、デバイス挿入(装着)時期は“→”、デバイス抜去(取外し)時期は“←”により示される。図11に示す例では、患者ID“1111”の患者は、4月20日頃に手術を実施している。このため、患者ID“1111”のグラフの4月20日頃の位置には、手術実施を示すマーク“■”が表示される。また、患者ID“2222”の患者は、3月20日頃にデバイス挿入が実施され、4月10日頃にデバイス抜去が実施されている。このため、患者ID“2222”のグラフの3月20日頃の位置には、デバイス挿入を示すマーク“→”が表示され、4月10日頃の位置には、デバイス抜去を示すマーク“←”が表示される。上記の手術に使用された器具、及び患者に装着されたデバイスには、病原体が付着している可能性が高いことが推測される。これらの器具及びデバイスが感染源となり得ることから、入念な洗浄・殺菌処理又は交換が必要であることが分かる。
【0088】
かかる感染経路グラフG302により、同一の病原体(検索条件として指定された病原体)に感染した患者であって、対象患者と重複した時期に同一のフロア(病室)に滞在した各患者及び対象患者について、いつどのフロア(病室)に滞在したかが示される。上記の各患者は、対象患者と同一のフロア(病室)に滞在した期間において、対象患者と直接接触又は巻節接触した可能性が高く、その接触により病原体に感染したことが考えられる。したがって、感染経路グラフG302は、病原体の感染経路を表しているということができる。このため、ユーザは、感染経路グラフG302を確認するだけで、病原体の感染経路を特定することが可能である。
【0089】
上記のような感染経路グラフG302の上方には、検索条件が示されている。この検索条件には、検索対象の菌ウイルス名(対象菌)及び感受性パターン、並びに検索対象期間が含まれる。このうち、検索対象期間は変更可能とされている。つまり、検索対象期間は、選択可能なグラフィックオブジェクト(コントロール)である期間選択ボックスB303に表示されており、かかる期間選択ボックスB303に表示されている期間の始期の「年」及び「月」並びに期間の終期の「年」及び「月」は、ユーザの操作によって変更可能である。また、期間選択ボックスB303の右方には、再検索を指示するための再検索ボタンB304が設けられている。再検索ボタンB304は、マウス操作により選択可能なボタンコントロールであり、ユーザが上記のように検索対象期間を変更した上で、再検索ボタンB304を選択することで、CPU31aに感染経路グラフの再表示指示が与えられる。
【0090】
<感染経路グラフでの手術実施情報表示処理>
ユーザは、上述した感染経路グラフG302の任意の手術実施マーク“■”にマウスオーバー操作(マウスポインタを手術実施マーク“■”上に配置する操作)を行うことにより、その手術に関する詳細情報を表示させることができる。以下、この感染経路グラフでの手術実施情報表示処理について説明する。
【0091】
図12は、感染経路グラフでの手術実施情報表示処理の流れを示すフローチャートである。クライアント装置3のCPU31aは、手術実施マーク“■”のマウスオーバー操作を受け付けると(ステップS401)、マウスオーバーが行われた手術実施マークに対応する手術の詳細情報を感染経路グラフG302上に重畳表示させる(ステップS402)。
【0092】
図13は、手術の詳細情報が重畳表示された感染経路グラフ画面の例を示す図である。図13には、患者ID“1111”の手術実施マーク“■”にマウスオーバー操作が行われた例が示されている。患者ID“1111”の患者には、腹腔鏡下腎摘除術が実施されている。この手術の実施日、実施された手術の術式に対応する術式コード、及び術式名からなる手術詳細情報が、感染経路グラフG302上に表示される。かかる手術詳細情報は、吹き出し状の枠G401に囲まれて表示される。図13に示す例では、手術実施日として“4月21日”が、術式コードとして“OP001”が、術式名として“腹腔鏡下腎摘除術”が、枠G401の内部に表示される。
【0093】
このように、手術実施マークのマウスオーバー操作に伴って手術詳細情報を表示することで、どのような手術がいつ実施されたのかをユーザが容易に把握することができる。
【0094】
図12に戻って、感染経路グラフでの手術実施情報表示処理について説明する。CPU31aは、マウスオーバーされていた手術実施マークからマウスポインタが外れたか否かを判定する(ステップS403)。CPU31aは、手術実施マークからマウスポインタが外れていない場合には(ステップS403においてNO)、ステップS403の処理を繰り返す。ユーザは、手術詳細情報を消去(非表示)したい場合には、マウスポインタを手術実施マークから移動させる。ステップS403において、手術実施マークからマウスポインタが外れた場合には(ステップS403においてYES)、CPU31aは、表示されていた手術詳細情報を非表示にし(ステップS404)、処理を終了する。
【0095】
このように、感染経路グラフ画面D300において、ユーザは手術実施マークにマウスオーバー操作を行うことで、手術詳細情報をポップアップ表示させ、またマウスポインタを手術実施マークから外すことで、手術詳細情報を非表示にすることができる。これにより、ユーザは必要なときにだけ任意の手術詳細情報を表示させることができ、また手術詳細情報を表示させたくない場合には容易に非表示にすることができる。
【0096】
<検索対象期間変更処理>
上述したように、ユーザは、感染経路グラフ画面D300における期間選択ボックスB303において検索対象期間を変更した上で、再検索ボタンB304を選択することで、検索対象期間が変更された感染経路グラフを再表示する検索対象期間変更処理を呼び出すことができる。
【0097】
図14は、検索対象期間変更処理の流れを示すフローチャートである。感染経路グラフ画面D300において、期間選択ボックスB303において検索対象期間が変更され、再検索ボタンB304が選択されることで、クライアント装置3のCPU31aが、検索対象期間が変更された感染経路グラフの再表示の指示を受け付ける。CPU31aは、検索対象期間が変更された感染経路グラフの再表示の指示を受け付けると(ステップS501)、感染経路グラフを表示するための感染経路グラフ表示データを要求する要求データをサーバ装置2へ送信する(ステップS502)。この要求データには、元の感染経路グラフ(検索対象期間の変更を受け付けた感染経路グラフD300に表示されていた感染経路グラフG302)における対象患者の患者ID、及び変更された検索対象期間を含む検索条件(検索対象期間以外は、元の感染経路グラフを作成するときに用いられた検索条件と同一)のデータが含まれている。
【0098】
クライアント装置3から送信された要求データはサーバ装置2によって受信される。ステップS503〜S511の処理は、上述したステップS303〜S311の処理と同様であるので、その説明を省略する。なお、ステップS504において、ステップS304と同様に、入退院移動情報データベースDB1及び細菌検査結果データベースDB4から、検索対象期間内における重複した時期に対象患者と同一の病室に滞在しており、且つ、検索条件に適合する患者の患者IDが抽出されるが、このとき、ステップS503で受信した要求データに含まれる検索条件としての(変更後の)検索対象期間が使用される。
【0099】
これにより、変更された検索対象範囲において、対象患者と同一時期に同一の病室に滞在しており、且つ、検索条件に適合する患者が再度検索され、検索された各患者及び対象患者について、フロアの滞在履歴のグラフが表示される。したがって、ユーザは容易に検索対象期間を変更して、その変更された検索対象期間についてグラフを確認することで、病原体の感染経路を特定することができる。
【0100】
上記のように、本実施の形態にかかる感染情報提供システム1においては、感染制御チームのメンバー等の医療施設における院内感染に対応する医療従事者に対して、感染経路の特定に必要となる情報を提供することができる。
【0101】
(その他の実施の形態)
上記の実施の形態においては、感染経路グラフにおいて、対象の病原体に感染した患者の滞在したフロア毎に、各患者の滞在期間をグラフ表示する構成について述べたが、これに限定されるものではない。フロアではなく、患者の滞在した病棟毎にその病棟での患者の滞在期間を示してもよいし、患者の滞在した病室毎にその病室での患者の滞在期間を示してもよい。
【0102】
また、上記の実施の形態においては、感染経路グラフ画面において、検索条件に適合する患者のフロアの滞在履歴をグラフで表示する構成について述べたが、これに限定されるものではない。各患者のフロアの滞在履歴を文字で表示する構成とすることもできる。
【0103】
また、上記の実施の形態においては、病原体が検出された時期が早い患者から順に、フロアの滞在履歴情報を時系列で並べて表示する構成について述べたが、これに限定されるものではない。例えば、患者ID順、患者名順等、他の順番で患者のフロアの滞在履歴情報を並べて表示する構成とすることもできる。
【0104】
また、上記の実施の形態においては、手術実施マーク“■”上でマウスオーバー操作が行われたときに、手術詳細情報がポップアップ表示される構成について述べたが、これに限定されるものではない。デバイス挿入マーク“→”上でマウスオーバー操作が行われたときに、デバイス挿入の実施日、デバイスコード、及びデバイス名等のデバイス挿入の詳細情報をポップアップ表示してもよいし、デバイス抜去マーク“←”上でマウスオーバー操作が行われたときに、デバイス抜去の実施日、デバイスコード、及びデバイス名等のデバイス抜去の詳細情報をポップアップ表示してもよい。
【0105】
また、上記の実施の形態においては、感染情報提供システム1が、サーバ装置2及びクライアント装置3を備える構成について述べたが、これに限定されるものではない。サーバ装置2及びクライアント装置3の機能の全てを1台の装置に搭載した感染情報提供システムとしてもよい。
【0106】
また、上記の実施の形態においては、クライアント装置3がコンピュータ3aにより構成されている場合について述べたが、これに限定されるものではない。クライアント装置3を、携帯型電話機、スマートフォン、PDA、又は携帯型ゲーム機により構成してもよい。
【0107】
また、上記の実施の形態においては、単一のコンピュータ2aによりコンピュータプログラム24aの全ての処理を実行する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、上述したコンピュータプログラム24aと同様の処理を、複数の装置(コンピュータ)により分散して実行する分散システムとすることも可能である。コンピュータ3aについても同様である。
【0108】
また、上述した実施の形態においては、感染情報提供システム専用のサーバプログラム24aがサーバ装置2にインストールされ、当該サーバプログラム24a専用のクライアントプログラム34aがクライアント装置3にインストールされ、かかるサーバ装置2及びクライアント装置3によって、上述した各種の処理を実行する構成について述べたが、これに限定されるものではない。クライアント装置3にWWWブラウザプログラムがインストールされ、WWWサーバとして機能するサーバ装置2と、WWWクライアントとして機能するクライアント装置3とがhttpプロトコルにより通信を行うことで、上記と同様の処理を実行する構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明に係る感染情報提供システム、感染情報提供装置、及びコンピュータプログラムは、医療施設内における患者の病原体への感染に関する情報を提供する感染情報提供システム、感染情報提供装置、及びコンピュータを感染情報提供装置として機能させるためのコンピュータプログラム等として有用である。
【符号の説明】
【0110】
1 感染情報提供システム
2 サーバ装置
2a コンピュータ
21a CPU
21b ROM
21c RAM
21d ハードディスク
24a コンピュータプログラム
3 クライアント装置
3a コンピュータ
31a CPU
31b ROM
31c RAM
31d ハードディスク
4 検体分析装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者を識別するための患者識別情報、医療施設内において患者が滞在した場所及び前記場所における患者の滞在時期に関する滞在情報、並びに患者が感染した病原体の種類を示す感染情報を、患者毎に記憶する記憶部と、
病原体の種類を指定する病原体指定部と、
表示部と、
前記記憶部に記憶された感染情報に基づいて、前記病原体指定部により指定された種類の病原体に感染した患者を特定し、特定された患者に対応する患者識別情報及び滞在情報に基づいて、前記病原体指定部により指定された種類の病原体に感染した患者毎に、患者識別情報、医療施設内において患者が滞在した場所、及び前記場所における患者の滞在時期を示す感染情報画面を表示するように、前記表示部を制御する制御部と、
を備える、
感染情報提供システム。
【請求項2】
前記制御部は、医療施設内において患者が滞在した場所及び前記場所における患者の滞在時期を示すグラフを含む前記感染情報画面を表示するよう、前記表示部を制御すべく構成されている、
請求項1に記載の感染情報提供システム。
【請求項3】
前記記憶部は、患者が病原体に感染した時期に関する情報を含む前記感染情報を記憶しており、
前記制御部は、前記特定された患者に対応する患者識別情報、滞在情報、及び感染情報に基づいて、前記病原体指定部により指定された種類の病原体に感染した患者毎に、患者識別情報、医療施設内において患者が滞在した場所、及び前記場所における患者の滞在時期と共に、患者が病原体に感染した時期を示す前記感染情報画面を表示するよう、前記表示部を制御すべく構成されている、
請求項1又は2に記載の感染情報提供システム。
【請求項4】
期間を指定する期間指定部をさらに備え、
前記制御部は、前記記憶部に記憶されている感染情報に基づいて、前記病原体指定部により指定された種類の病原体に、前記期間指定部により指定された期間において感染した患者を特定すべく構成されている、
請求項3に記載の感染情報提供システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記記憶部に記憶されている感染情報に基づいて、患者が病原体に感染した時期についての順番にしたがって、前記病原体指定部により指定された種類の病原体に感染した患者毎に、患者識別情報、医療施設内において患者が滞在した場所、及び前記場所における患者の滞在時期を示す前記前記感染情報画面を表示するよう、前記表示部を制御すべく構成されている、
請求項4に記載の感染情報提供システム。
【請求項6】
前記記憶部は、患者が病原体に感染した時期として、患者から病原体が検出された日を含む前記感染情報を記憶しており、
前記制御部は、二以上の患者について病原体が検出された日が同一であって、且つ、前記二以上の患者のうちの一の患者が、前記二以上の患者について病原体が検出された日よりも先に病原体が検出された患者と同一の場所に滞在していた場合には、前記一の患者の患者識別情報、医療施設内において患者が滞在した場所、及び前記場所における患者の滞在時期を、前記二以上の患者のうちの他の患者の患者識別情報、医療施設内において患者が滞在した場所、及び前記場所における患者の滞在時期より先の順番で示す前記前記感染情報画面を表示するよう、前記表示部を制御すべく構成されている、
請求項5に記載の感染情報提供システム。
【請求項7】
前記記憶部は、患者に侵襲を伴う医療行為が実施された時期に関する実施時期情報をさらに記憶しており、
前記制御部は、前記特定された患者に対応する患者識別情報、滞在情報、及び実施時期情報に基づいて、前記病原体指定部により指定された種類の病原体に感染した患者毎に、患者識別情報、医療施設内において患者が滞在した場所、及び前記場所における患者の滞在時期と共に、患者に侵襲を伴う医療行為が実施された時期を前記感染情報画面に表示させるように構成されている、
請求項1乃至6の何れかに記載の感染情報提供システム。
【請求項8】
前記記憶部は、医療施設内において患者が滞在した場所として、前記医療施設内において患者が滞在したフロアを識別するためのフロア識別情報を含む前記滞在情報を記憶しており、
前記制御部は、前記特定された患者に対応する前記患者識別情報及び前記滞在情報に基づいて、前記病原体指定部により指定された種類の病原体に感染した患者毎に、患者識別情報、フロア識別情報、及びフロアにおける患者の滞在時期を示す前記感染情報画面を表示するよう、前記表示部を制御すべく構成されている、
請求項1乃至7の何れかに記載の感染情報提供システム。
【請求項9】
前記制御部は、同一のフロアに滞在していた患者については、医療施設内において患者が滞在したフロア及び前記フロアにおける患者の滞在時期を同一色のグラフで示し、異なるフロアに滞在していた患者については、医療施設内において患者が滞在したフロア及び前記フロアにおける患者の滞在時期を患者毎に異なる色のグラフで示す前記感染情報画面を表示するよう、前記表示部を制御すべく構成されている、
請求項8に記載の感染情報提供システム。
【請求項10】
前記制御部は、前記記憶部に記憶された感染情報に基づいて、前記病原体指定部により指定された種類の病原体に感染した患者を検索し、検索された患者を一覧表示する検索結果画面を前記表示部に表示させ、前記検索結果画面に表示された患者の何れかの指定を受付可能に構成されており、前記一覧画面に表示された患者の何れかの指定を受け付けた場合に、指定された患者と同一時期に同一の場所に滞在した患者であって、前記病原体指定部により指定された種類の病原体に感染した患者を、前記記憶部に記憶された感染情報に基づいて特定するように構成されている、
請求項1乃至9の何れかに記載の感染情報提供システム。
【請求項11】
情報を表示する表示装置に通信可能に接続された感染情報提供装置であって、
患者を識別するための患者識別情報、医療施設内において患者が滞在した場所及び前記場所における患者の滞在時期に関する滞在情報、並びに患者が感染した病原体の種類を示す感染情報を、患者毎に記憶する記憶部と、
病原体の種類の指定を受け付ける受付部と、
前記記憶部に記憶された感染情報に基づいて、前記受付部により受け付けた種類の病原体に感染した患者を特定し、特定された患者に対応する患者識別情報及び滞在情報に基づいて、前記病原体指定部により指定された種類の病原体に感染した患者毎に、患者識別情報、医療施設内において患者が滞在した場所、及び前記場所における患者の滞在時期を示す感染情報画面を表示するための表示データを作成する制御部と、
前記表示装置に前記感染情報画面を表示させるために、前記制御部によって作成された前記表示データを前記表示装置へ送信する送信部と、
を備える、
感染情報提供装置。
【請求項12】
情報を表示する表示装置にデータを送信するための通信部と、患者を識別するための患者識別情報、医療施設内において患者が滞在した場所及び前記場所における患者の滞在時期に関する滞在情報、並びに患者が感染した病原体の種類を示す感染情報を、患者毎に記憶する記憶部と、を備えるコンピュータに、前記施設内での感染に関する情報を提供させるためのコンピュータプログラムであって、
前記通信部によって病原体の種類の指定を受け付けるステップと、
前記記憶部に記憶された感染情報に基づいて、前記通信部により受け付けた種類の病原体に感染した患者を特定するステップと、
特定された患者に対応する患者識別情報及び滞在情報に基づいて、前記通信部によりに受け付けた種類の病原体に感染した患者毎に、患者識別情報、医療施設内において患者が滞在した場所、及び前記場所における患者の滞在時期を示す感染情報画面を表示するための表示データを作成するステップと、
前記表示装置に前記感染情報画面を表示させるために、作成された前記表示データを、前記通信部によって前記表示装置へ送信するステップと、
を前記コンピュータに実行させる、
コンピュータプログラム。
【請求項1】
患者を識別するための患者識別情報、医療施設内において患者が滞在した場所及び前記場所における患者の滞在時期に関する滞在情報、並びに患者が感染した病原体の種類を示す感染情報を、患者毎に記憶する記憶部と、
病原体の種類を指定する病原体指定部と、
表示部と、
前記記憶部に記憶された感染情報に基づいて、前記病原体指定部により指定された種類の病原体に感染した患者を特定し、特定された患者に対応する患者識別情報及び滞在情報に基づいて、前記病原体指定部により指定された種類の病原体に感染した患者毎に、患者識別情報、医療施設内において患者が滞在した場所、及び前記場所における患者の滞在時期を示す感染情報画面を表示するように、前記表示部を制御する制御部と、
を備える、
感染情報提供システム。
【請求項2】
前記制御部は、医療施設内において患者が滞在した場所及び前記場所における患者の滞在時期を示すグラフを含む前記感染情報画面を表示するよう、前記表示部を制御すべく構成されている、
請求項1に記載の感染情報提供システム。
【請求項3】
前記記憶部は、患者が病原体に感染した時期に関する情報を含む前記感染情報を記憶しており、
前記制御部は、前記特定された患者に対応する患者識別情報、滞在情報、及び感染情報に基づいて、前記病原体指定部により指定された種類の病原体に感染した患者毎に、患者識別情報、医療施設内において患者が滞在した場所、及び前記場所における患者の滞在時期と共に、患者が病原体に感染した時期を示す前記感染情報画面を表示するよう、前記表示部を制御すべく構成されている、
請求項1又は2に記載の感染情報提供システム。
【請求項4】
期間を指定する期間指定部をさらに備え、
前記制御部は、前記記憶部に記憶されている感染情報に基づいて、前記病原体指定部により指定された種類の病原体に、前記期間指定部により指定された期間において感染した患者を特定すべく構成されている、
請求項3に記載の感染情報提供システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記記憶部に記憶されている感染情報に基づいて、患者が病原体に感染した時期についての順番にしたがって、前記病原体指定部により指定された種類の病原体に感染した患者毎に、患者識別情報、医療施設内において患者が滞在した場所、及び前記場所における患者の滞在時期を示す前記前記感染情報画面を表示するよう、前記表示部を制御すべく構成されている、
請求項4に記載の感染情報提供システム。
【請求項6】
前記記憶部は、患者が病原体に感染した時期として、患者から病原体が検出された日を含む前記感染情報を記憶しており、
前記制御部は、二以上の患者について病原体が検出された日が同一であって、且つ、前記二以上の患者のうちの一の患者が、前記二以上の患者について病原体が検出された日よりも先に病原体が検出された患者と同一の場所に滞在していた場合には、前記一の患者の患者識別情報、医療施設内において患者が滞在した場所、及び前記場所における患者の滞在時期を、前記二以上の患者のうちの他の患者の患者識別情報、医療施設内において患者が滞在した場所、及び前記場所における患者の滞在時期より先の順番で示す前記前記感染情報画面を表示するよう、前記表示部を制御すべく構成されている、
請求項5に記載の感染情報提供システム。
【請求項7】
前記記憶部は、患者に侵襲を伴う医療行為が実施された時期に関する実施時期情報をさらに記憶しており、
前記制御部は、前記特定された患者に対応する患者識別情報、滞在情報、及び実施時期情報に基づいて、前記病原体指定部により指定された種類の病原体に感染した患者毎に、患者識別情報、医療施設内において患者が滞在した場所、及び前記場所における患者の滞在時期と共に、患者に侵襲を伴う医療行為が実施された時期を前記感染情報画面に表示させるように構成されている、
請求項1乃至6の何れかに記載の感染情報提供システム。
【請求項8】
前記記憶部は、医療施設内において患者が滞在した場所として、前記医療施設内において患者が滞在したフロアを識別するためのフロア識別情報を含む前記滞在情報を記憶しており、
前記制御部は、前記特定された患者に対応する前記患者識別情報及び前記滞在情報に基づいて、前記病原体指定部により指定された種類の病原体に感染した患者毎に、患者識別情報、フロア識別情報、及びフロアにおける患者の滞在時期を示す前記感染情報画面を表示するよう、前記表示部を制御すべく構成されている、
請求項1乃至7の何れかに記載の感染情報提供システム。
【請求項9】
前記制御部は、同一のフロアに滞在していた患者については、医療施設内において患者が滞在したフロア及び前記フロアにおける患者の滞在時期を同一色のグラフで示し、異なるフロアに滞在していた患者については、医療施設内において患者が滞在したフロア及び前記フロアにおける患者の滞在時期を患者毎に異なる色のグラフで示す前記感染情報画面を表示するよう、前記表示部を制御すべく構成されている、
請求項8に記載の感染情報提供システム。
【請求項10】
前記制御部は、前記記憶部に記憶された感染情報に基づいて、前記病原体指定部により指定された種類の病原体に感染した患者を検索し、検索された患者を一覧表示する検索結果画面を前記表示部に表示させ、前記検索結果画面に表示された患者の何れかの指定を受付可能に構成されており、前記一覧画面に表示された患者の何れかの指定を受け付けた場合に、指定された患者と同一時期に同一の場所に滞在した患者であって、前記病原体指定部により指定された種類の病原体に感染した患者を、前記記憶部に記憶された感染情報に基づいて特定するように構成されている、
請求項1乃至9の何れかに記載の感染情報提供システム。
【請求項11】
情報を表示する表示装置に通信可能に接続された感染情報提供装置であって、
患者を識別するための患者識別情報、医療施設内において患者が滞在した場所及び前記場所における患者の滞在時期に関する滞在情報、並びに患者が感染した病原体の種類を示す感染情報を、患者毎に記憶する記憶部と、
病原体の種類の指定を受け付ける受付部と、
前記記憶部に記憶された感染情報に基づいて、前記受付部により受け付けた種類の病原体に感染した患者を特定し、特定された患者に対応する患者識別情報及び滞在情報に基づいて、前記病原体指定部により指定された種類の病原体に感染した患者毎に、患者識別情報、医療施設内において患者が滞在した場所、及び前記場所における患者の滞在時期を示す感染情報画面を表示するための表示データを作成する制御部と、
前記表示装置に前記感染情報画面を表示させるために、前記制御部によって作成された前記表示データを前記表示装置へ送信する送信部と、
を備える、
感染情報提供装置。
【請求項12】
情報を表示する表示装置にデータを送信するための通信部と、患者を識別するための患者識別情報、医療施設内において患者が滞在した場所及び前記場所における患者の滞在時期に関する滞在情報、並びに患者が感染した病原体の種類を示す感染情報を、患者毎に記憶する記憶部と、を備えるコンピュータに、前記施設内での感染に関する情報を提供させるためのコンピュータプログラムであって、
前記通信部によって病原体の種類の指定を受け付けるステップと、
前記記憶部に記憶された感染情報に基づいて、前記通信部により受け付けた種類の病原体に感染した患者を特定するステップと、
特定された患者に対応する患者識別情報及び滞在情報に基づいて、前記通信部によりに受け付けた種類の病原体に感染した患者毎に、患者識別情報、医療施設内において患者が滞在した場所、及び前記場所における患者の滞在時期を示す感染情報画面を表示するための表示データを作成するステップと、
前記表示装置に前記感染情報画面を表示させるために、作成された前記表示データを、前記通信部によって前記表示装置へ送信するステップと、
を前記コンピュータに実行させる、
コンピュータプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−234347(P2012−234347A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102236(P2011−102236)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
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