説明

感温素子付半導体レーザ

【課題】 小型で、正確な温度補正ができる感温素子付半導体レーザを提供する。
【解決手段】 本子案の感温素子付半導体レーザは、レーザ発光素子8を内蔵した筺体1と、この筺体に取り付けられた感温素子12とを備え、筺体1の下部には凹部2aが設けられ、感温素子12が凹部2a内に収納された状態で、感温素子12が筺体1に取り付けられたため、感温素子付半導体レーザの取付、配線を行うための回路基板15が小さくできて、小型化ができると共に、感温素子12がレーザ発光素子8と近い位置に配置され、レーザ発光素子8を含むその周辺の温度が感温素子12によって正確に感知できて、正確な温度補正ができる。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は光通信機器や光ディスク装置等に使用して好適な感温素子付半導体レーザに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の半導体レーザの構成を図2に基づいて説明すると、筺体51は、金属材からなる基体52と、下端部が基体52にハーメチックシール接合された金属材からなるキャップ53とで構成されている。
【0003】
また、キャップ53の上壁53aの中央部には、孔53bが設けられると共に、この孔53bを塞ぐように、キャップ53の空洞部53c内に配置された透明なガラス板54が設けられている。
【0004】
基体52には、金属材からなる棒状のそれぞれ一対をなす端子55,56が絶縁体67を介して取り付けられ、この端子55,56は、キャップ53の空洞部53c内に突出すると共に、基体52から外方に突出して設けられている。
【0005】
ヒートシンクを兼ねるステム57は、キャップ53の空洞部53c内に位置した状態で基体52に取り付けられ、このステム57には、レーザチップからなるレーザ発光素子58と、フォトダイオード59とが取り付けられている。
【0006】
そして、レーザ発光素子58は、ワイヤ60によって端子55に接続されると共に、フォトダイオード59は、ワイヤ61によって端子56に接続されている。
このような構成によって、従来の半導体レーザRが構成されている。
【0007】
このような構成を有する従来の半導体レーザRは、図2に示すように、プリント基板からなる回路基板62上に載置され、端子55,56が回路基板62の孔62aに挿通されて、端子55,56が回路基板62の下面に設けられた配線パターン63に半田付けされるようになっている。
【0008】
そして、レーザ発光素子58を含むその周辺の温度に応じて、レーザ発光素子58の出力を温度補正するために感温素子65が使用されるが、従来においては、図2に示すように、半導体レーザRから離れた位置の回路基板62上に感温素子65が配置され、この感温素子65の端子66が回路基板62に設けられた孔62aに挿通されて、端子66が回路基板62の下面に設けられ、温度補正回路(図示せず)に接続された配線パターン64に半田付けされるようになっている。
【0009】
【考案が解決しようとする課題】
従来の温度補正付の半導体レーザは、感温素子65が半導体レーザRから離れた位置で回路基板62に搭載されるため、回路基板62の面積が大きくなって、大型になるという問題がある。
また、感温素子65が半導体レーザRから離れているため、レーザ発光素子58を含むその周辺の温度を正確に感知できず、正確な温度補正ができないという問題がある。
【0010】
そこで、本考案は小型で、正確な温度補正ができる感温素子付半導体レーザを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための第1の解決手段として、レーザ発光素子を内蔵した筺体と、この筺体に取り付けられた感温素子とを備え、前記筺体の下部には凹部が設けられ、前記感温素子が前記凹部内に収納された状態で、前記感温素子が前記筺体に取り付けられた構成とした。
また、第2の解決手段として、前記感温素子が接着剤によって前記筺体に接着された構成とした。
【0012】
また、第3の解決手段として、前記筺体は、金属材からなるキャップと、このキャップを取り付ける基体とで構成され、前記基体に前記凹部が設けられた構成とした。
また、第4の解決手段として、前記凹部は、前記キャップ内の空洞部に繋がる貫通孔で構成された。
【0013】
【考案の実施の形態】
本考案の感温素子付半導体レーザの図面を説明すると、図1は本考案の感温素子付半導体レーザ、及びその取付を示す要部断面図である。
【0014】
次に、本考案の感温素子付半導体レーザの構成を図1に基づいて説明すると、筺体1は、金属材からなる基体2と、下端部が基体2にハーメチックシール接合された金属材からなる筒状のキャップ3とで構成されている。
そして、筺体1の下部に相当する基体2の中央部の下部には、凹部2aが設けられている。
【0015】
また、キャップ3の上壁3aの中央部には、孔3bが設けられると共に、この孔3bを塞ぐように、キャップ3の空洞部3c内に配置された透明なガラス板4が設けられている。
なお、上述の凹部2aは、キャップ3内の空洞部3cに繋がる貫通孔で構成しても良い。
【0016】
また、基体2には、金属材からなる棒状のそれぞれ一対をなす端子5,6が絶縁体18を介して取り付けられ、この端子5,6は、キャップ3の空洞部3c内に突出すると共に、基体2から外方に突出して設けられている。
【0017】
ヒートシンクを兼ねるステム7は、キャップ3の空洞部3c内に位置した状態で基体2に取り付けられ、このステム7には、レーザチップからなるレーザ発光素子8と、フォトダイオード9とが取り付けられている。
そして、レーザ発光素子8は、ワイヤ10によって端子5に接続されると共に、フォトダイオード9は、ワイヤ11によって端子6に接続されている。
【0018】
感温素子(サーミスタ)12は、絶縁塗料、合成樹脂、或いはゴム等の絶縁材からなり、素子12aを被覆するための被覆部13と、被覆部13から外部に導出された引出線14とで構成されている。
そして、この感温素子12は、凹部2a内に収納されると共に、感温素子12は、接着材によって、基体2に接着されて取り付けられている。
このような構成によって、本考案の感温素子付半導体レーザが構成されている。
【0019】
このような構成を有する本考案の感温素子付半導体レーザは、図1に示すように、プリント基板からなる回路基板15上に載置され、端子5,6が回路基板15の孔15aに挿通されて、端子5,6が回路基板15の下面に設けられた配線パターン16に半田付けされるようになっている。
【0020】
また、端子5,6の配線と同時に、感温素子12の引出線14が回路基板15の孔15aに挿通されて、引出線14が回路基板15の下面に設けられ、温度補正回路(図示せず)に接続された配線パターン17に半田付けされるようになっている。
【0021】
そして、半導体レーザの下部に感温素子12が配置されているため、感温素子12がレーザ発光素子8と近い位置に配置され、レーザ発光素子8を含むその周辺の温度が感温素子12によって正確に感知できて、正確な温度補正ができる。
【0022】
また、本考案の半導体レーザは、凹部2aに感温素子12を取り付けしなければ、感温素子12無しの半導体レーザが得られ、従って、凹部2aへの感温素子12の取付、或いは感温素子12の非取付によって、感温素子12の有り無しの半導体レーザの製造が容易に選択できる。
【0023】
【考案の効果】
本子案の感温素子付半導体レーザは、レーザ発光素子を内蔵した筺体と、この筺体に取り付けられた感温素子とを備え、筺体の下部には凹部が設けられ、感温素子が凹部内に収納された状態で、感温素子が筺体に取り付けられたため、感温素子付半導体レーザの取付、配線を行うための回路基板が小さくできて、小型化ができると共に、感温素子がレーザ発光素子と近い位置に配置され、レーザ発光素子を含むその周辺の温度が感温素子によって正確に感知できて、正確な温度補正ができる。
【0024】
また、感温素子が接着剤によって筺体に接着されたため、その取付が簡単で、生産性の良好なものが得られる。
【0025】
また、筺体は、金属材からなるキャップと、このキャップを取り付ける基体とで構成され、基体に凹部が設けられたため、半導体レーザへの感温素子の取付の有無を容易に選択することができる。
【0026】
また、凹部は、キャップ内の空洞部に繋がる貫通孔で構成されたため、感温素子によるレーザ発光素子を含むその周辺の温度をより正確に感知できて、一層、正確な温度補正ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の感温素子付半導体レーザ、及びその取付を示す要部断面図。
【図2】従来の半導体レーザ、及びその取付を示す要部断面図。
【符号の説明】
1 筺体
2 基体
2a 凹部
3 キャップ
3a 上壁
3b 孔
3c 空洞部
4 ガラス板
5 端子
6 端子
7 ステム
8 レーザ発光素子
9 フォトダイオード
10 ワイヤ
11 ワイヤ
12 感温素子
12a 素子
13 被覆部
14 引出線
15 回路基板
15a 孔
16 配線パターン
17 配線パターン
18 絶縁体

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 レーザ発光素子を内蔵した筺体と、この筺体に取り付けられた感温素子とを備え、前記筺体の下部には凹部が設けられ、前記感温素子が前記凹部内に収納された状態で、前記感温素子が前記筺体に取り付けられたことを特徴とする感温素子付半導体レーザ。
【請求項2】 前記感温素子が接着剤によって前記筺体に接着されたことを特徴とする請求項1記載の感温素子付半導体レーザ。
【請求項3】 前記筺体は、金属材からなるキャップと、このキャップを取り付ける基体とで構成され、前記基体に前記凹部が設けられたことを特徴とする請求項1、又は2記載の感温素子付半導体レーザ。
【請求項4】 前記凹部は、前記キャップ内の空洞部に繋がる貫通孔で構成されたことを特徴とする請求項3記載の感温素子付半導体レーザ。

【図1】
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【図2】
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【登録番号】実用新案登録第3093306号(U3093306)
【登録日】平成15年2月5日(2003.2.5)
【発行日】平成15年5月9日(2003.5.9)
【考案の名称】感温素子付半導体レーザ
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願2002−6383(U2002−6383)
【出願日】平成14年10月8日(2002.10.8)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)