説明

感熱型平版印刷版の画像消去方法

【課題】支持体上に熱可塑性粒子および/または熱溶融性物質を含有する画像形成層を有し、該画像形成層に感熱方式により画像を形成する感熱型平版印刷版の画像消去方法を提供することであり、印刷枚数が増えた際に汚れが発生したり、再画像化したりすることがなく、特に、インキが付着した画像部の消去にも優れた画像消去方法を提供すること。
【解決手段】支持体上に熱可塑性粒子および/または熱溶融性物質を含有する画像形成層を有し、該画像形成層に感熱方式により画像を形成する感熱型平版印刷版の不要な画像部分に、少なくとも1種のアミン構造を有する水溶性高分子を含有する、pHが12以上である水溶液を塗布することによって達成された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱により相変換する画像形成層を用いた感熱型平版印刷版の画像消去方法に関し、従来のアブレーション方式や機上現像方式等の層除去処理を必要としない感熱型平版印刷版の画像消去方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、迅速に平版印刷版を得るためにフィルムレス化を目的として、画像情報に基づいてデジタル記録により平版印刷版を製造するコンピューター・ツー・プレート(CTP)方式が汎用されつつある。CTP方式を利用する平版印刷版材料としては、親水性の表面を有する支持体上に、インクジェット方式や電子写真方式で画像を作るもの、感光性を有し、画像露光後に現像処理を行うフォトポリマータイプ、銀塩写真タイプなど幾つかが挙げられる。しかし、インクジェット方式や電子写真方式では解像度が未だ十分ではなく、また、フォトポリマータイプや銀塩写真タイプは現像処理を行う点で印刷版の作製に時間が掛かり、更に環境適性の点で不利である。このため、CTP方式に対応でき、かつ現像処理を必要としない平版印刷版が求められている。
【0003】
現像液などの処理液を使用せずに画像形成が可能な、いわゆるプロセスレス平版印刷版と称される印刷版としては、レーザー、インクジェット、サーマルヘッド記録による種々のCTP方式による平版印刷版の作製技術が提案されている。例えば、特開平6−138719号公報、特開平6−250424号公報等に記載されるような乾式電子写真法レーザープリンタにより製版するもの、特開平9−58144号公報に記載されるような熱溶融型インクを用いたオンデマンドインクジェットプリンタを用いて製版するもの、あるいは特開昭63−166590号公報に記載される熱転写インクリボンを用いたサーマルプリンタで製版するものなどが知られている。
【0004】
更に、例えば特開昭58−199153号公報、あるいは特開昭59−174395号公報、特開昭63−116891号公報、特開平11−286184号公報等には、熱転写リボン等を介さずサーマルヘッド等で加熱描画を行うことができるプロセスレス平版印刷版として、熱可塑性樹脂および/または熱溶融性物質を含む感熱記録層を有する感熱型平版印刷版が記載されている。一方、赤外線レーザー等で加熱描画することで親油性の画像部を得ることができるプロセスレス平版印刷版としては、例えば特開2000−190649号公報、特開2000−301846号公報等に、熱溶融性粒子あるいは熱可塑性樹脂を含有する画像形成層を有する感熱型平版印刷版が記載されている。これら感熱型平版印刷版は上記したプロセスレス平版印刷版の中でも、トナー、IJインク等の消費材が必要でない点でより好ましい。
【0005】
ところで、これら感熱型平版印刷版においても、例えば従来から知られるPS版と同様に、必然的に生ずる不必要な画像や、削除訂正が必要な画像部が生じることがあり、その画像を印刷版上で消去することが必要となる。PS版における不要な画線部の消去は、その不要な画線部を、有機溶剤を含有する消去液で溶出、または酸等でエッチングする消去液で修正する方法が知られており、例えば特公昭51−33442号公報、特開昭55−121447号公報、特開昭60−17748号公報等に記載されている。しかしながら、上述したようなプロセスレス平版印刷版にPS版用の消去液を適用した場合、有機溶剤による溶出、酸等によるエッチングによって元々プロセスレス平版印刷版が有している親水性が損なわれる場合や、十分な親水性を付与できない場合があり、消去した部分に汚れが発生する問題があった。
【0006】
特開2005−154682号公報(特許文献1)、特開2005−187707号公報(特許文献2)には、脱色可能な染料を用いた筆記用インキで筆記された筆跡を消去する、再発色防止剤としてポリエチレンイミンおよび/またはポリエチレンイミン誘導体を含むpHが10〜12の消去液について記載されているが、これは筆記された筆跡を視覚的に消去するものであり、平版印刷版において不要な画像部を印刷版上で消去することを目的としたものではなかった。
【0007】
特開2006−133363号公報(特許文献3)、特開2006−231566号公報(特許文献4)には、親水性粒子および光熱変換剤を含有するプロセスレス平版印刷版の不要画像部を修正する方法として、インク溶剤を含有しpHが1〜4である消去液について記載されているが、機上現像を必要としないプロセスレス平版印刷版、例えば、特開2009−255298号公報(特許文献5)に示されている現像処理を必要としない感熱型平版印刷版においては、十分な親水性を付与できない場合や、消去液を塗布した個所が消去されずに反対に可視化して汚れる場合があった。
【0008】
特開2007−196557号公報(特許文献6)には、機上現像性の優れた平版印刷版材料の不要な画像部および汚れを消去するため、少なくともシラノール基を有するポリビニルアルコールおよびコロイダルシリカを含有する消去液について記載されているが、この方法においても機上現像を必要としないプロセスレス平版印刷版に適用した場合においては十分な消去性を得ることができない場合があった。特に印刷開始後に不要な画像が発見されて、インキが付着した画像を消去した場合に汚れが発生したり、多数枚の印刷を行った場合において再画像化したり、十分な消去性が得られない問題があり改善が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−154682号公報
【特許文献2】特開2005−187707号公報
【特許文献3】特開2007−196557号公報
【特許文献4】特開2006−133363号公報
【特許文献5】特開2009−255498号公報
【特許文献6】特開2006−231566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、支持体上に熱可塑性粒子および/または熱溶融性物質を含有し、熱により相変換する画像形成層を有する感熱型平版印刷版の画像消去方法を提供することであり、印刷枚数が増えた際に汚れが発生したり、再画像化したりすることがなく、特に、インキが付着した画像部の消去にも優れた画像消去方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の上記の目的は、支持体上に熱可塑性粒子および/または熱溶融性物質を含有し、熱により相変換する画像形成層を有する感熱型平版印刷版の不要な画像部分に、少なくとも1種のアミン構造を有する水溶性高分子を含有し、pHが12以上である水溶液を塗布することを特徴とする画像消去方法によって達成された。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、支持体上に熱可塑性粒子および/または熱溶融性物質を含有し、熱により相変換する画像形成層を有する感熱型平版印刷版の画像消去方法を提供することができ、印刷枚数が増えた際に汚れが発生したり、再画像化したりすることがなく、特に、インキが付着した画像部の消去にも優れた画像消去方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の画像消去方法に用いられる水溶液は、少なくとも1種のアミン構造を有する水溶性高分子を含有する、pHが12以上の水溶液であることを特徴とする。本発明に用いられるアミン構造を有する水溶性高分子は、構成単位中に1〜3級アミノ基を有する水溶性高分子であり、例えば、ポリアリルアミン、アリルアミン−ジアリルアミン共重合体、アリルアミン−ジメチルアリルアミン共重合体、ポリエチレンイミンなどが挙げられる。
【0014】
本発明に用いられるアミン構造を有する水溶性高分子の数平均分子量は10万以下、好ましくは1万以下のものが好ましい。数平均分子量が10万を超えるものを使用した場合、画像部を消去した部分にインキが再付着することがあるため好ましくない。
【0015】
本発明の画像消去方法に用いる水溶液において、少なくとも1種のアミン構造を有する水溶性高分子を1リットル当たり0.1〜10gの範囲で含有させて使用することが好ましく、更に好ましくは1リットル当たり0.5〜5gの範囲で含有させて使用する。添加量が好ましい範囲を下回る場合、インキが付着した画像の消去を行う場合に十分な効果を得ることができない場合がある。添加量が好ましい範囲を上回る場合は、印刷機のローラを介して消去した画像以外の部分へ転写し、転写した部分に画像が存在した場合にその部分のインキ着肉性を阻害したり、画像消去部にインキが再付着したりする場合がある。
【0016】
本発明の画像消去方法に用いる水溶液のpHは12以上14以下に調整し、更に好ましくは12.5以上13.5以下に調整する。pH調整剤としては、アルカリ性物質は、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、第3燐酸ナトリウム、あるいはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン化合物が利用できる。酸性物質としては、無機酸では、炭酸、リン酸、亜硫酸とその塩が良く、更に、pHを調整するために、硝酸、硫酸を用いることができる。有機酸としてはクエン酸、マロン酸、蓚酸、酢酸、p−トルエンスルホン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸などとその塩が挙げられる。塩としては、上記酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。これらの酸や塩を1種類もしくは2種類以上組み合わせて使用しても良い。
【0017】
本発明の目的は、少なくとも1種のアミン構造を有する水溶性高分子を含有する、pHが12以上の水溶液を感熱型平版印刷版の不要画像部へ塗布を行うことにより達成されるが、種々の目的に応じて上記化合物以外にも公知の緩衝剤、錯化剤、界面活性剤等を含有させることができる。例えば、緩衝剤としては、燐酸、硫酸等の無機酸、コハク酸、プロピオン酸等の有機酸を使用することができ、錯化剤としてはイミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸等を混合することができる。界面活性剤としては、例えばサポニン等の天然界面活性剤、グリセリン系、グリシドール系統のノニオン界面活性剤、高級アルキルアミン類、第四級アンモニウム塩類、ピリジンその他の複素環類、スルホニウム類等のカチオン界面活性剤、カルボン酸、スルホン酸、硫酸エステル基等の酸性基を含むアニオン界面活性剤、アミノ酸類、アミノスルホン酸類、アミノアルコールの硫酸またはリン酸エステル類等の両性界面活性剤、フッ素を含むフッ素系アニオンおよび両性界面活性剤などが使用できる。
【0018】
本発明の画像消去方法に用いる水溶液には、コロイダルシリカ、アルミナゾル、チタニアゾル等の無機微粒子を含有させることもでき、好ましくはコロイダルシリカを使用することができる。これによって、消去部の親水性が向上し、より効果的に消去部へのインキの付着を防止することができる。また、本発明の画像消去方法に用いる、少なくとも1種のアミン構造を有する水溶性高分子を含有する、pHが12以上の水溶液を画像部に塗布した後、上記無機微粒子を含有する水溶液を重ねて塗布することも、効率的に消去を行う上で好ましく行うことができる。
【0019】
本発明の画像消去方法に用いる水溶液には、塗布した個所の視認性を良くする目的でフタレイン系指示薬、例えば、α−ナフトールフタレイン、p−クレゾールフタレイン、o−クレゾールフタレイン、フェノールフタレイン、チモールフタレイン、キシレノールフタレイン、ジブロモフェノールテトラブロモフェニルスルホンフタレイン、ニトロフェノールスルホンフタレインなどを使用することができる。これらを使用することによって所望する個所以外への塗布を防止でき、より効率的に画像消去することができる。
【0020】
また、上記フタレイン系指示薬を使用する場合は、亜硫酸ナトリウムや亜硫酸カリウムなどの亜硫酸アルカリ類の他、アスコルビン酸類などの保恒剤を併用することによって、指示薬の退色を防止することができる。
【0021】
本発明の画像消去方法は、支持体上に熱可塑性粒子および/または熱溶融性物質を含有する画像形成層に感熱方式により画像を形成する感熱型平版印刷版に適用することができる。以下、本発明の画像消去方法を好ましく適用することができる感熱型平版印刷版の構成について説明する。
【0022】
画像形成層が含有する熱可塑性粒子としては、鎖状ポリマーからなり加熱によって可塑性を示す固体状の有機高分子化合物からなる粒子であって、有機高分子化合物からなる粒子の水分散体を指す。具体的には、スチレンブタジエン共重合体、アクリロニトリルブタジエン共重合体、メチルメタクリレートブタジエン共重合体、スチレンアクリロニトリルブタジエン共重合体、スチレンメチルメタクリレートブタジエン共重合体等の、その変性物を含めた合成ゴムラテックスからなる水分散体が好ましく用いられるが、スチレン無水マレイン酸共重合体、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体、ポリアクリル酸共重合体、ポリスチレン、スチレン/アクリル酸エステル共重合体、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル/アクリル酸エステル共重合体、および低融点ポリアミド樹脂等からなる粒子の水分散体も使用可能である。本発明においては、これら水分散体を含有する画像形成層用塗布液を塗布・乾燥することで画像形成層に熱可塑性粒子を含有させることができる。これら熱可塑性粒子は単独もしくは2種以上併用して用いることができる。印刷インクのビヒクル(バインダー成分)との親和性から、かかる熱可塑性粒子としては合成ゴムラテックスが好ましく、特にスチレンブタジエン共重合体とその変性物からなる熱可塑性粒子が望ましい。好ましい熱可塑性粒子の配合量としては画像形成層の全固形分量に対して5〜50質量%が好ましく、更に10〜40質量%が好ましい。また熱による溶融、融着効果を発現しやすくするためには、熱可塑性粒子のガラス転移温度は50〜150℃、更に好ましくは55〜120℃のものを使用するのがよい。ガラス転移温度が50℃未満では製造工程中に液状に相変化を起こし、非画像部にも親油性が発現するため印刷地汚れの原因となる場合がある。また150℃を超える場合はポリマーの熱溶融が起こりにくく、比較的小出力のレーザーや小型サーマルプリンタでは強固な画像を形成するのが困難となる場合がある。
【0023】
画像形成層が含有する熱溶融性物質としては、融点が50〜150℃の有機化合物を好適に使用することができる。特に上記した熱可塑性粒子と熱溶融性物質とを画像形成層に含有させることにより、画像部のインキ受理性に優れた感熱型平版印刷版とすることができる。熱溶融性物質の融点が50℃未満では製造工程中に溶融してしまい印刷物の地汚れの原因となる場合があり、一方150℃を超えるとサーマルヘッド等の熱印加で溶融しにくく、親油性の発現が乏しい場合がある。このような熱溶融性物質として、具体的には、1−フェノキシ−2−ナフトキシ(1)−エタン、1−フェノキシ−4−ナフトキシ(2)−ブタン、1−(2−イソプロピルフェノキシ)−2−ナフトキシ(2)−エタン、1−(4−メチルフェノキシ)−3−ナフトキシ(2)−プロパン、1−(2−メチルフェノキシ)−2−ナフトキシ(2)−エタン、1−(3−メチルフェノキシ)−2−ナフトキシ(2)−エタン、1−フェノキシ−2−ナフトキシ(2)−エタン、1−フェノキシ−6−ナフトキシ(2)−ヘキサン、1−(2−フェニルフェノキシ)−2−フェノキシエタン、1−(4−フェニルフェノキシ)−2−(2−メチルフェノキシ)−エタン、1,4−ジフェノキシブタン、1,4−ビス(4−メチルフェノキシ)ブタン、1,2−ジ(3,4−ジメチルフェノキシ)エタン、1−(4−フェニルフェノキシ)−3−フェノキシプロパン、1−フェノキシ−2−(4−t−ブチルフェノキシ)エタン、1,2−ジフェノキシエタン、1−(4−メチルフェノキシ)−2−フェノキシエタン、1−(2,3−ジメチルフェノキシ)−2−フェノキシエタン、1−(3,4−ジメチルフェノキシ)−2−フェノキシエタン、1−(4−エチルフェノキシ)−2−フェノキシエタン、1−(4−イソプロピルフェノキシ)−2−フェノキシエタン、1,2−ビス(2−メチルフェノキシ)エタン、1−(4−メチルフェノキシ)−2−(2−メチルフェノキシ)エタン、1−(4−t−ブチルフェノキシ)−2−(2−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、1−(4−メチルフェノキシ)−2−(3−メチルフェノキシ)エタン、1−(4−エチルフェノキシ)−2−(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン、1−(2,3−ジメチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン、1−(2,5−ジメチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン、フェノキシ酢酸−β−ナフトールエステル、2−ナフトキシ酢酸−p−クレゾールエステル、2−ナフトキシ酢酸−m−クレゾールエステル等が挙げられ、更に、カルナバワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスなどのワックス類、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、モンタン酸などの脂肪酸、およびそのエステル、アミド類等も使用することができる。
【0024】
これらの熱溶融性物質は一般に常温で固体の物質であるが、熱による反応性を高めるために、微分散処理を行って使用されることが好ましい。微分散処理の方法は、一般に塗料製造時に用いられる湿式分散法であり、ロールミル、コロイドミル、ボールミル、アトライター、サンドミルなどのビーズミル等を使用することができる。ビーズミルでは、ジルコニア、チタニア、アルミナなどのセラミックビーズや、クローム、スチールなどの金属ビーズ、ガラスビーズなどが使用できる。分散粒径はメジアン径で0.1〜1.2μmが望ましく、特に好ましくは0.3〜0.8μmである。なお、メジアン径とは、粒子体の一つの集団の全体積を100%として累積曲線を求めた時、累積曲線が50%となる点の粒子径(累積平均径)であり、粒度分布を評価するパラメータの一つとして、例えばレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA920((株)堀場製作所製)等を用いて測定することができる。
【0025】
上記熱溶融性物質の好ましい配合量は、単独で使用する場合は画像形成層の全固形分量に対して5〜95質量%、熱可塑性粒子と併用する場合は画像形成層の全固形分量に対して50〜95質量%である。これらの熱溶融性物質は単独使用でも良いし2種以上の熱溶融性物質を併用することもできる。
【0026】
また、本発明の画像消去方法を適用することができる感熱型平版印刷版が有する画像形成層は水溶性高分子化合物を含有することが好ましい。かかる水溶性高分子化合物としては、例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、澱粉およびその誘導体、ゼラチン、カゼイン、アルギン酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、スチレン・マレイン酸共重合体塩、スチレン・アクリル酸共重合体塩等が挙げられる。これらの水溶性高分子化合物は単独使用でも2種類以上の併用でも良く、特に皮膜形成に富むゼラチンおよびポリビニルアルコールとその変性物が非画像部の親水性保持に好ましく選択される。かかる水溶性高分子化合物の配合量は画像形成層の全固形分量に対して0.5〜30質量%が好ましく、更に3〜25質量%とすることがより好ましい。
【0027】
また非画像部の耐水性および機械的強度を向上させるため、画像形成層は前記水溶性高分子化合物の種類に応じて硬化剤(耐水化剤)を含有することが好ましい。硬化剤としては、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイソシアネート化合物、アルデヒド化合物、シラン化合物、クロム明礬、ジビニルスルホン等、樹脂の架橋を促すことによって耐水性を付与するものを用いることができるが、特に好ましい硬化剤はゼラチンの場合ジビニルスルホンが、ポリビニルアルコールの場合グリオキザールが好ましく用いられる。硬化剤の配合量は前記水溶性高分子化合物の固形分量に対して、1〜30質量%が好ましく、更には2〜15質量%とすることが好ましい。
【0028】
本発明の画像消去方法に適用することができる感熱型平版印刷版の画像形成層は前述の熱可塑性粒子、熱溶融性物質、および水溶性高分子化合物等に加えて更に光熱変換物質を配合することで、サーマルヘッドだけでなく赤外線レーザーなどの活性光による書き込みが可能となる。この観点から本発明の印刷方法に適用することができる感熱型平版印刷版の画像形成層は、光熱変換物質を含有することが好ましい。該感熱型平版印刷版に使用しうる光熱変換物質としては、効率よく光を吸収し熱に変換する材料が好ましく、使用する光源によって異なるが、例えば近赤外光を放出する半導体レーザーを光源として使用する場合には、近赤外に吸収帯を有する近赤外光吸収剤が好ましく、例えば、カーボンブラック、シアニン系色素、ポリメチン系色素、アズレニウム系色素、スクワリウム系色素、チオピリリウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素等の有機化合物や、フタロシアニン系、アゾ系、チオアミド系の有機金属錯体、鉄粉、黒鉛粉末、酸化鉄粉、酸化鉛、酸化銀、酸化クロム、硫化鉄、硫化クロム等の金属化合物類等が挙げられる。
【0029】
本発明の画像消去方法に適用することができる感熱型平版印刷版は、画像の視認性確保のため一般的な感熱記録紙や感圧記録紙に使用されるフェノール誘導体や芳香族カルボン酸誘導体などの顕色剤や発色剤(電子供与性染料前駆体)を含有させることができる。
【0030】
本発明の画像消去方法に適用することができる感熱型平版印刷版の画像形成層に使用できる顕色剤として、具体的には、4−クミルフェノール、ヒドロキノンモノベンジルエーテル、4,4′−イソプロピリデンジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4′−ジヒドロキシジフェニル−2,2−ブタン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、ビス(4−ヒドロキシフェニルチオエトキシ)メタン、1,5−ジ(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3−オキサペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,4−ビス〔α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔α−メチル−α−(4′−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、ジ(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィン、4−ヒドロキシ−4′−メチルジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホン、2,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ヒドロキシフェニル−4′−ベンジルオキシフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−3′,4′−テトラメチレンビフェニルスルホン、3,4−ジヒドロキシフェニル−p−トリルスルホン、4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、N,N′−ジ−m−クロロフェニルチオ尿素、N−(フェノキシエチル)−4−ヒドロキシフェニルスルホンアミドなどのフェノール性化合物、4−〔3−(p−トリルスルホニル)プロピルオキシ〕サリチル酸亜鉛、4−〔2−(p−メトキシフェノキシ)エチルオキシ〕サリチル酸亜鉛、5−〔p−(2−p−メトキシフェノキシエトキシ)クミル〕サリチル酸亜鉛、p−クロロ安息香酸亜鉛などの芳香族カルボン酸の亜鉛塩、更にはチオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体などの有機酸性物質などが挙げられる。
【0031】
本発明の画像消去方法に適用することができる感熱型平版印刷版の画像形成層に使用できる発色剤(電子供与性染料前駆体)の具体的な例は、(1)トリアリールメタン系化合物として3,3′−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(クリスタル・バイオレット・ラクトン)、3,3′−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(9−エチルカルバゾール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(2−フェニルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3−p−ジメチルアミノフェニル−3−(1−メチルヒロール−2−イル)−6−ジメチル−アミノフタリド等:(2)ジフェニルメタン系化合物として、4,4′−ビス−ジメチルアミノベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等:(3)キサンテン系化合物として、ローダミンB−アニリノラクタム、ローダミンB−p−ニトロアニリノラクタム、ローダミンB−p−クロロアニリノラクタム、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェニルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3,4−ジクロルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−エチル−トリルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−エチル−トリルアミノ−6−メチル−7−フェニチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(4−ニトロアニリノ)フルオラン等:(4)チアジン系化合物として、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー等:(5)スピロ系化合物として、3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン、3,3′−ジクロロ−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジルスピロ−ジナフトピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシ−ベンゾ)−スピロピラン、3−プロピル−スピロ−ジベンゾピラン等が上げられる。またこれらを2種以上併用することもできる。
【0032】
従来、感熱記録紙等では一般的に酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウムなどの吸油性の高い無機顔料によって前述の熱可塑性粒子、熱溶融性物質を吸着させることで、サーマルヘッドとの結着を防止してスティッキング現象を改善し、画像描画上支障ないように処方される。しかしながら本発明の画像消去方法を適用することができる感熱型平版印刷版の画像形成層が上記無機顔料を含有した場合、耐刷性が低下する場合があるため、該画像形成層は無機顔料を実質的に含有しないことが好ましい。ここで実質的にとは画像形成層の全固形分量に対して上記無機顔料の配合量を10質量%未満とすることを意味し、更に5質量%未満とすることがより好ましい。
【0033】
本発明の画像消去方法を適用することができる感熱型平版印刷版が有する画像形成層は、画像部の耐刷性、非画像部の耐水性および機械的強度の観点から、乾燥膜厚として0.5〜20μmであることが好ましく、更に1〜10μmであることがより好ましい。また、該画像形成層は、平版印刷版として使用する上で十分な画像部のインキ受理性を得るため、最表層として有することが好ましい。
【0034】
本発明の画像消去方法を適用することができる感熱型平版印刷版に用いられる支持体としては、プラスチックフィルム、樹脂被覆紙などの耐水性支持体が好適に使用される。具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエーテルサルフォン、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレート、ポリカーボネート、ポリアミドおよびポリ塩化ビニル等のプラスチックフィルムとこれらプラスチックを表面にラミネートやコーティングした樹脂被覆紙、メラミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、エポキシ化ポリアミド樹脂などの湿潤紙力剤によって耐水化された紙を使用することができる。
【0035】
支持体の厚さは、感熱製版装置の記録適性および平版印刷機適性等の観点から100〜300μmが好適である。
【0036】
このような支持体の表面は、画像形成層との接着性を高めるために、プラズマ処理、コロナ放電処理、遠紫外線照射処理、下引き処理などの処理を施してもよい。下引き処理により耐水性支持体上に設けられる下引層は、ポリビニルブチラール等のアセタール樹脂、分子鎖末端にヒドロキシル基を有するポリエステル樹脂、(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニリデン・塩化ビニル共重合体等から選択される樹脂を含有することができる。下引層の厚さは、乾燥膜厚として0.1〜10μmであることが好ましい。また、印刷時に印刷インキの着肉しない非画像部の親水性を高めるために、親水性素材を含有する親水性層を設けることもできる。親水性層は一層であっても、複数の層から形成されていても良いが、親水性素材として、例えばコロイダルシリカ、アルミナゾル、チタニアゾル、その他の金属酸化物のゾル等の金属酸化物微粒子を含むことが好ましく、特開2006−347047号公報に記載されている親水性層も好ましく使用することができる。親水性層の厚さは、乾燥膜厚として0.2〜20μmであることが好ましい。
【0037】
本発明の画像消去方法を適用することができる感熱型平版印刷版は、画像形成層の各素材を混合し適当な溶剤に溶解または分散した塗工液を、支持体上に公知のコーティング方法で塗工、乾燥することにより製造することができる。好ましい溶剤は水である。但し、乾燥時の熱で画像形成層が熱変性しないようにするため、乾燥処理は50℃以下の雰囲気で30秒〜10分程度とすることが好ましい。
【0038】
なお、本発明の画像消去方法を適用することができる感熱型平版印刷版は、前述のように画像形成層と支持体との接着性を改善するために下引層を設けても良く、また必要に応じて導電性、帯電防止性改善の機能を付加することや、印刷版としてのカールを防止するカール防止層、所望のカールを付与するカール促進層等を複数で設けることができる。
【0039】
次に上述した本発明の画像消去方法に適用することができる感熱型平版印刷版の感熱方式による製版方法について説明する。該感熱型平版印刷版は、感熱型の画像形成層を有するため、画像形成層中に光熱変換物質を配合することにより、例えば760nmから1200nmの赤外光を含む光を照射することで画像部を形成することが可能であり、更に赤外線を放射する固体レーザーおよび半導体レーザーにより画像部を形成することが好ましい。特にレーザー露光によれば、コンピューターのデジタル情報から直接所望の画像様の記録が可能となる。またサーマルヘッドやヒートブロック等により画像形成層を感熱方式により描画して画像部を形成することも可能であり、サーマルヘッドによればコンピューターのデジタル情報から直接所望の画像様の記録が可能となる。
【0040】
サーマルヘッドを使用する場合は、厚膜または薄膜のラインヘッドを用いたラインプリンタや薄膜のシリアルヘッドを用いたシリアルプリンタ等が使用できる。記録エネルギー密度は、10〜100mJ/mmであることが好ましく、また比較的高品質な出力画像を得るためにはヘッドの画像記録密度が300dpi以上であることが好ましい。
【0041】
以下、本発明を実施例により説明するが、勿論これだけに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、%は質量%を表す。
【実施例】
【0042】
本発明の画像消去方法を実施するにあたり、以下に示す感熱型平版印刷版を作製した。
<感熱型平版印刷版>
熱溶融性物質として1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン(三光(株)製KS−232)を小型ダイノミル(ビーズミル)でジルコニアビーズを用いて固形分濃度30%で微分散処理を行った。分散液の分散粒径(メジアン径)は(株)堀場製作所製LA920を用いて測定したところ0.52μmであった。次いで下記に示す画像形成層塗工液を調製した。
(画像形成層塗工液)
・水溶性高分子化合物;ゼラチン(12%水溶液)
((株)ニッピ製 IK3000) 80.0質量部
・熱可塑性樹脂;カルボキシ変性スチレンブタジエン共重合体(固形分45%)
(大日本インキ化学工業(株)製 ラックスター7132−C) 30.0質量部
・熱溶融性物質分散液(30%分散液) 15.0質量部
・顕色剤;4−ヒドロキシ−4−イソプロポキシジフェニルスルホン
(日本曹達(株)製D−8) 4.5質量部
・発色剤;3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
(山本化成(株)製ODB2) 2.7質量部
・耐水化剤;ジビニルスルホン 1.2質量部
・水 16.8質量部
【0043】
厚さ180μmの両面ポリエチレン被覆紙(RC紙)をコロナ放電加工した後、上記処方からなる画像形成層塗工液を塗工し、乾燥膜厚5μmの画像形成層を設けた。このように作製した直接感熱型平版印刷版に、ダイレクトサーマルプリンタ(東芝テック(株)バーコードプリンタB−433ライン型サーマルヘッド300dpi)のテスト印字モード(印刷速度2インチ/秒、印加エネルギー18.6mJ/mm)で画像を記録した。
【0044】
次に、以下に示す消去液(比較例1〜4、実施例1〜9)を作製した。
比較例1;PS版用消去液
キシレン 3.8質量部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 17.4質量部
シクロヘキサノン 36.7質量部
ジオキサン 9.8質量部
水 10.8質量部
アシドローダミンB 0.002質量部
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテル 9.8質量部
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 6.0質量部
α−シクロデキストリン 5.0質量部
上記配合にて混合攪拌し、比較例1の消去液を作製した。
【0045】
比較例2;特開2005−154682号公報実施例2(7頁)に記載の消去液
亜硫酸カリウム 0.2質量部
ポリエチレンイミン(エポミンSP−012((株)日本触媒製)) 2.0質量部
トリエタノールアミン 1.0質量部
炭酸ナトリウム 0.7質量部
ベンヅイソチアゾロン水溶液((株)パーパケム・アジア製、トップサイド600)
0.15質量部
水 95.95質量部
上記配合にて混合攪拌し比較例2の消去液を得た。得られた消去液のpHは11.5であった。
【0046】
比較例3;特開2005−154682号公報実施例9(7頁)に記載の消去液
亜硫酸カリウム 0.2質量部
ポリエチレンイミン(エポミンPP−061((株)日本触媒製)) 2.0質量部
トリエタノールアミン 1.0質量部
炭酸ナトリウム 0.7質量部
ベンヅイソチアゾロン水溶液((株)パーパケム・アジア製、トップサイド600)
0.15質量部
水 95.95質量部
上記配合にて混合攪拌し比較例3の消去液を得た。得られた消去液のpHは11.3であった。
【0047】
比較例4および実施例1〜9消去液については、水に、表1に示す各種アミン構造を有する水溶性高分子と添加量にて添加し作製した。pHは水酸化ナトリウムおよび硫酸を用いて調整を行った。
【0048】
【表1】

【0049】
得られた消去液を上述した感熱型平版印刷版の画像部(幅100μm、長さ10mmの画線)に塗布し、オフセット印刷機(リョービイマジクス(株)製3200CD)を使用して、インキにDIC製ニューチャンピオンF−Gloss墨(N)、給湿液に三菱製紙(株)製SLM−OD10%希釈液を用い、版掛け後、脱脂綿にて給湿液で版面をエッチング処理してからオフセット印刷を行い消去性の比較を行った。
【0050】
なお、消去性については、3,000枚目の印刷物において目視により、汚れ・再画像化の全くないものを◎、ほとんど汚れ・再画像化のないものを○、やや汚れ・再画像化があるものを△、はっきりと汚れ・再画像化があるものを×とした。また、印刷後のインキが付着した画像部の消去性については、100枚印刷を行った後印刷機を停止し、消去液を版面の画像部に塗布・消去を行ってから印刷を再開し、3,000枚印刷後の画像消去部の汚れ・再画像化の有無を目視にて評価を行った。評価基準としては、汚れ・再画像化が全くないものを◎、ほとんど汚れ・再画像化がないものを○、やや汚れ・再画像化の傾向が見られるものを△、はっきりと汚れ・再画像化が認められるものを×とした。結果を表2に示す。
【0051】
【表2】

【0052】
以上の結果から明らかなように、本発明の画像消去方法によって、支持体上に熱可塑性粒子および/または熱溶融性物質を含有する画像形成層を有し、該画像形成層に感熱方式により画像を形成する感熱型平版印刷版の画像消去方法を提供することができ、印刷枚数が増えた際に汚れが発生したり、再画像化したりすることがなく、特に、インキが付着した画像部の消去にも優れた画像消去方法を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に熱可塑性粒子および/または熱溶融性物質を含有し、熱により相変換する画像形成層を有する感熱型平版印刷版の画像消去方法であって、少なくとも1種のアミン構造を有する水溶性高分子を含有する、pHが12以上である水溶液を塗布することを特徴とする感熱型平版印刷版の画像消去方法。