説明

感熱転写受像シート

【課題】 不良部分を有していても、感熱転写記録において、不良部分には画像形成せずに、連続処理可能で、かつ、製造工程における生産性を高めた長尺感熱転写受像シートを提供する。
【解決手段】 不良部分(2)近傍に、該不良部分が存在することをプリンタに検知させる標識(3)を設けたことを特徴とする長尺感熱転写受像シート(1)。本発明の長尺感熱転写受像シートは、例えば、感熱転写記録方式を利用したプリンタで連続処理して、画像形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感熱転写受像シートに関し、詳しくは連続処理に適し、不良部を有していても連続処理が可能な長尺感熱転写受像シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像の熱転写方法は、従来、種々の方法が知られており、例えば、色素を含有する感熱転写シート(以下、インクシートともいう。)と、色素で染着可能な被転写材に色素受容層を形成した感熱転写受像シート(以下、受像シートともいう。)を重ね合わせ、次いで、プリンタのサーマルヘッドによってインクシートを加熱することで受像シート上に画像形成する方法などが行われてきている。
【0003】
この受像シートは、例えば、写真DPE店舗に設置するデジタルフォトプリンター用としては、通常、50m以上の長さの長尺感熱転写受像シートがロール状で出荷、および使用されている。例えば、長さ50mの長尺シートをロール状で出荷する場合、受像シートの製造工程では、加工前シートからロール状に巻き取られながら、50mごとに裁断されて、製品化される。
【0004】
一方、ロール状に巻かれて保管および使用される長尺インクシートにおいては、転写層が不良である部分を含む不良画面単位の転写層の領域内又は転写層の周辺に、該不良画面単位が不良であることをプリンタに検知せしめる手段を設け、該不良画面単位をパスして、不良画面の発生を回避することが試みられている(特許文献1参照)。しかし、長尺像シートにおいては、これまで、シートの途中に不良部分があった場合、それが写真プリント1枚分に収まる範囲の不良部分であったとしても、500枚以上の写真プリントに相当する長尺シート全体を廃棄しなければならず、生産性の上からも見逃せない問題となっていた。
【特許文献1】特許第2792599号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、不良部分を有していても、感熱転写記録において、連続処理可能で、かつ、製造工程における生産性を高めた長尺感熱転写受像シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、受像シート中に存在する不良部の近傍に検知マークを設置することで、プリンタ部に不良部を検知させ、その部分を回避して、画像形成しうることを見出した。本発明はこのような知見に基づきなされるに至ったものである。
【0007】
すなわち、本発明は、
(1)不良部分近傍に、該不良部分が存在することをプリンタに検知させる標識を設けたことを特徴とする長尺感熱転写受像シート
を提供するものである。
本発明において上記不良部分の近傍とは不良部分を包含する意味である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の感熱転写受像シートは、高生産性、低コストで製造できる。また、本発明の感熱転写受像シートは、不良部分を有しているにも関わらず、付加的な作業を行うことなく、不良部分を使用しないで、感熱転写による画像形成を連続的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の長尺感熱転写受像シートは、不良部分の近傍に、該不良部分が存在することをプリンタに検知させる標識を設けたものである。標識を設置する前の受像シートとしては、従来、感熱転写受像シートとして用いられているものであって、途中に不良部分を有しているシートを、いずれも用いることができる。例えば、コート紙などの支持体上にポリエチレンなどの受容層が形成されたシートを用いることができる。また、長尺感熱転写受像シートは、標識を設ける工程以外は、従来用いられている長尺感熱転写受像シートの製造方法をそのまま用いて製造することができる。
【0010】
本発明において、長尺とは、特に制限はないが、好ましくは繰り出し長さが20m以上、さらに好ましくは30m〜100m、より好ましくは50m〜90mである。また、本発明の長尺感熱転写受像シートの幅は、好ましくは50mm〜260mm、さらに好ましくは80mm〜210mmである。また、本発明の長尺感熱転写受像シートの厚さ、好ましくは160μm〜250μm、さらに好ましくは180μm〜230μmである。
また、本発明の長尺感熱転写受像シートは保管および取り扱い上ロール状に巻かれた状態にある。
【0011】
本発明の長尺感熱転写受像シートに設けられる標識は、シート中、1箇所でも、複数箇所でも良い。また、標識は1箇所の不良部分に対して、1個設けられても、また複数個設けられても良い。複数の不良部分に、1個の標識でも良い。複数の不良部分が、画像形成後の一画面内に存在する場合は、これらをまとめて1個の標識としても良い。
【0012】
本発明において、長尺感熱転写受像シートの不良部分を含む領域に、プリンタにより熱転写して画像形成を行うと、画像に欠陥を生ずるという不都合を生じる。そこで、不良部分には画像形成させないため、不良部分の存在をプリンタに検知させる手段を不良部分の近傍に設けられるものである。不良部分の存在をプリンタに検知させる標識としては、それに限定されるものではないが、例えば、インクジェット、ラベルプリント、レーザーマーカー、マーキング装置、刻印機、ポータブルプリンター等による受像シートの表面及び/又は裏面への印字によって設けられたマーク(点、線、記号、符号、図形など)、または、これらのマークを受像シートに打ち抜いて出来るパンチ孔等が挙げられる。この標識は、プリンタによって検知できればよく、人間の肉眼で認識されることを必ずしも必要としない。
不良部分の存在をプリンタに検知させる手段が設けられる位置は、最も近い不良部分から10mm〜20mm内に設けることが好ましい。
【0013】
本発明において回避することができる不良部分となる原因としては、それに限定されるものではないが、例えば、汚れ、受像シート構成物の欠損、キズなどが挙げられる。
【0014】
上記のマークのような不良部分の存在をプリンタに検知させる手段を検知する手段としては、例えば、バーコー・ドリーダー、2次元リーダー、レーザースキャナー、リニアメジャー、ペン型リーダー、マイクロイメージチェッカーなどが挙げられる。
これらの検知手段を備えたプリンタは、プリント直前に標識を検知することにより、標識から不良部を避けるために、一定の長さ空送りした後、プリンタ内蔵カッターにて、不良部を含む受像シートを切り落として、不良部分を避けて、連続的に画像形成することができる。
【0015】
本発明に用いられるプリンタは、上記の検出手段を有する熱転写用プリンタであれば特に限定は無く、例えば、高速昇華型プリンタを用いることができる。また、本発明においてはプリンタには複写機が含まれるものである。
【0016】
本発明の好ましい実施態様を、図面を参照して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1は、本発明の長尺感熱転写受像シートの一実施態様を斜視図により示した概略図である。大部分がロール状に巻き取られている長尺感熱転写受像シート1に存在する不良部分2の近傍には、この不良部分2をプリンタに検知させる標識3が設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の長尺感熱転写受像シートの一実施態様の概略図である。
【符号の説明】
【0018】
1 長尺感熱転写受像シート
2 不良部分
3 標識

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不良部分近傍に、該不良部分が存在することをプリンタに検知させる標識を設けたことを特徴とする長尺感熱転写受像シート。

【図1】
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