説明

扁平コイルとして形成された放電管を有する放電ランプを備えた照明器具

【課題】放電ランプを備えた照明器具の据付け高さを減少する。
【解決手段】扁平コイルとして形成された放電管(3)と、放電ランプ(2)を点灯するために設けられ電気接点により放電管(3)に接続される電子点灯器(4)とを有する放電ランプ(2)を備えた照明器具において、電気絶縁性の材料から形成され板状の接点保持体(12)が放電管(3)に接続され、接点保持体(12)が少なくとも部分的に放電管(3)上を延在しており、接点保持体(3)に放電管(3)の電気接点(13、14、22、23)が配置され、電気接点は放電管(3)の端部範囲から間隔を置いて点灯器(4)の方向に延びている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扁平コイルとして形成された放電管を有する放電ランプを備えた照明器具に関する。この照明器具は、放電ランプを点灯するために設けられ、電気接点で放電管に接続されている電子点灯器を有する。
【背景技術】
【0002】
一平面内にコイル状に巻かれた放電管を有する放電ランプは既に知られている。この種のランプは、しかしその形状のため放電管の両端に電気接点を取り付けることが必要であり、そのため従来はこのように両端に電気接点を取り付けることだけが可能であった。電気接点は、この場合いわば扁平コイルの走行方向に端部から突出し、従って扁平コイルの平面内に延在している。これにより点灯器との電気接触は制限され、それゆえ照明器具据付け高さの観点からみて不利である。特に、これにより口金ソケット系の実現は極めて特殊の形でのみ可能であり、それ故照明器具のコンセプト上の設計は制限される。これは、電気接触のためにピンをソケット接点上に置かなければならず、これはこの種のランプにおいて、常に生じるランプ端部の取り付け位置の誤差により困難であり補償を必要としていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、扁平コイルとして形成された放電管を有する放電ランプを備えた照明器具において、公知の扁平ランプよりもその据付け高さが減少されたものを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、請求項1の特徴を有する照明器具により解決される。
【0005】
本発明による照明器具は、扁平コイルとして形成された放電管を有する放電ランプを備える。放電ランプは、従って扁平ランプとして形成され、これは放電管が一平面内に、もしくは特にほぼ一平面内に延在していることを意味する。そのほかに、放電ランプを点灯するために形成され、電気接点で放電管に接続される電子点灯器も設けられる。照明器具、特に放電ランプは電気絶縁材料から形成され放電管に接続される板状の接点保持体を有する。接点保持体は、少なくとも部分的に放電管上を延びており、接点保持体には放電管の電気接点が配置され、これらの電気接点は放電管の端部から離れて位置決めされており、点灯器の方向に延びている。このような構成により、特にコンパクトなそしてその据付け高さが最小化された照明器具が形成できる。放電管の電気接点は、従ってもはや直接両端部にあるのではなく、もしくは放電管の両端部から突出しておらず、そこから離れて別体の接点保持体に配置される。これにより、まさに扁平ランプのコンセプトを持つ照明器具において点灯器との改善された電気接続が生じるので、照明器具の据付け高さを小さくすることができる。しかし、また特に口金ソケット系の可変的な形態も達成可能となる。
【0006】
接点保持体は条片として形成し、放電管の全直径にわたって延在するようにすると好適である。条片は、放電管の面的に円形の拡がりの中心点を通るように配置し、それによって放電管上に相応して配置すると好適である。これにより、放電管との機械的および電気的接続に関して特に安定した構成が可能になる。このような構成により、場合によっては何回も巻回される放電管の位置安定性も得られるので、接点保持体は放電管の機械的な安定化保持体としても作用し、これにより多重機能性を有するものとして形成できる。
【0007】
接点保持体は、合成材料から一体に形成されると好適である。接点保持体は、放電管と特定な個所、たとえばランプの両端部で貼付けにより接続されると特に有利である。
【0008】
接点保持体に配置されている放電管の電気接点が、接点ピンとして形成されると好適である。接点は接点保持体の面に垂直方向に、すなわち照明器具の縦軸に平行に配置されると特に有利である。これは従来の放電管における接点の配置と完全に逆行するもので、本発明による電気接点は、いわば先行技術における従来の構成による電気接点の配向とは実質的に垂直方向に延在することになる。
【0009】
接点保持体は一平面上に延在して放電管と点灯器、特に点灯器の回路担体との間に配置されると有利である。接点保持体のこのような形態および配置により、さらに据付け空間の最小化が達成される。照明器具は、それ故極めて薄く扁平に据付けられる。
【0010】
電気接点受けは点灯器に配置し、点灯器のケースから外部に接点保持体の方向に延び、接点保持体に配置されている電気接点を収容するように形成されると好適である。このような接点受けは、接点保持体に接点ピンとして形成された電気接点を装入することのできる簡単な差込ブッシュとすることができる。
【0011】
放電管の両端部と電気接点との間の接点保持体の表面に平行にまたは表面上に電気導線を形成し、放電ランプのリード線を接点に接続するようにすると特に有利である。導線の引き出しは、従ってさらに放電管の両端部においてリード線を介して行われ、この場合電気接点はこれから離れた位置に設けられ、導線を介して相応する電気接続が得られるようにする。次いで、このような電気導線を接点保持体上に取付けて案内し、一方では機械的に安定した位置決めができるようにし、他方では損傷および電気的な接触の危険性から保護できるように配置すると好適である。
【0012】
放電管すなわち扁平コイルは、一平面上に延在するようにすると有利である。また放電管は若干円錐の形状をとるようにすることもできる。
【0013】
接点保持体の電気接点と点灯器の接点受けとの間の電気接続は、もっぱら軸方向の動きにより調整可能にすると有利である。従って、純粋な軸方向の上下運動により電気接点は接点受けに導入可能になる。
【0014】
代替的な構成として、接点保持体の電気接点を軸方向運動および照明器具の縦軸を中心とする回転運動により、点灯器の接点受けに挿入可能にすることもできる。
【0015】
放電管は、接点保持体に配置された保持部材とともに点灯器に取付けることができるようにすると好適である。保持部材は、たとえば装着タップまたは掛止部材などとすることができる。
【0016】
接点保持体は、少なくとも放電管に向いた側が良好な反射特性を有する拡散反射性の材料から形成することができる。
【0017】
点灯器と放電管との間に反射器を配置すると好適である。反射器は、点灯器のケースに接続される。特に、掛止部材またはスナップ止め部材の形の機械的部材により、反射器はケースに着脱自在に取付けられる。これにより、極めて扁平に据付けることのできる軽量の照明器具が実現できる。照明器具は、これにより特に労力を要せずに部材を最小にして壁に、たとえば天井に、取付けることが可能になる。
【0018】
聡明器具は、下向きに照らす照明器具、いわゆるダウンライトとして形成すると有利である。まさに、このような形態ではコンパクトな構成と軽量性が有利であるからである。
【0019】
機械的部材は、少なくとも部分的に可逆的に変形可能な材料から形成される。このような形態としては、たとえばきのこ状のものが可能である。これにより、反射器内の開口への装着および保持が特に簡単になり、しかも信頼性および確実性が得られる。
【0020】
反射器は、ケースから離れて配置されると有利である。これにより、熱的な要求にこたえることができる。なぜなら、反射器とケースとの間の空気の循環が保証されるからである。特に、ケースへの反射器の取付けに用いられる機械的部材は、反射器とケースとの間の間隔を調整するためのスペーサとして形成すれば、間隔は一義的に調整可能となり永久的に保持することができる。さらに、これによりこの機械的部材は多重機能性を有し、従って他の機能のための付加的な部材を省略することができる。
【0021】
本発明のほかの特徴は、本願の特許請求の範囲、図面および図面の説明から明らかにされる。上記の明細書に述べた特徴およびこれらの特徴の組み合わせ並びに図面に単独でおよび/または図面の説明で単独に示された特徴およびこれらの特徴の組み合わせは、それぞれ提示された組合せばかりではなく本発明の枠を逸脱することなしに他の組み合わせまたは単独使用も可能である。
【0022】
本発明の実施例を以下に概略図を用いて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は放電ランプを装着した本発明の照明器具の第1の実施例を示す。
【図2】図2は図1の照明器具に配置された接点保持体を備えた放電管の平面図である。
【図3】図3は点灯器からランプを外した状態の照明器具の下面図である。
【図4】図4は図3に示す照明器具の各部の簡略化された断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
各図において、同一部材または機能が同じ部材は同じ符号を付けられている。
【0025】
図1は、放電ランプ2が装着された照明器具1の概略断面図である。放電ランプ2は放電管3を有しており、この放電管は管状に形成され一平面上に二本巻きの管として形成され、その両端部には突出したリード線のワイヤが配置され、さらに放電管3の両端部で接点保持体12が取付けられ、これには接点ピン13、14、22および23が取付けられる。放電管3は、従って一平面内に延在する扁平コイルとして形成される。放電ランプ2は、従って本発明の枠内では扁平ランプとも呼ばれる。さらに、照明器具1の縦軸Aの方向には放電管3の後方に電子点灯器4が配置されている。電子安定器として形成された点灯器4はケース5を有する。この中には、台座すなわち回路担体6が配置される。回路担体6には複数個の電気接点受け7,8が形成され、これらは放電管3の方向にケース5を突出して外部に延びている。放電管3側のケース5の外側面には、機械部材9,10が形成される。この部材によって点灯器4もしくはそのケース5と、反射器11との間にある程度の間隔が作られる。さらに、この部材によりケース5に反射器11を取付けることもできる。好適には、この種の4つの部材9、10をきのこ状に形成し、掛かり止めまたはスナップ部材として反射器11の開口に係合するようにする。反射器11は、従ってケース5に直接接することはない。その間に生じる空隙は、放電ランプ2および点灯器4の熱を放出するのに役立つ。ケース5は、ほかに熱導出用の開口を持つこともできる。
【0026】
点灯器4と放電管3の間には、放電ランプ2との一体構成部品として合成材料製の板状の条片状の接点保持体12が配置される。電気接点保持体12は、端部範囲18、19から突出するリード線の接触が生じないように、放電管3に端部範囲18,19で貼付けられる。電気接点保持体12は一体に形成され、接点ピンとして形成された接点13、14および22、23を有する。図示のように、これらの接点13、14、22、23は縦軸Aに平行に延びており、図1では既に接点受け7,8の中に装着もしくは挿入されている。図1の実施例では示していないが、さらに別の2つの接点ピンと同様に図示してない別の2つの接点受けを設けることもできる。
【0027】
下側には、光透過性のカバー15が設けられる。ねじ16、17によって、照明器具1は壁または天井に取付けることができる。
【0028】
接点保持体12は、少なくともその放電管3に向いた側が拡散反射性の材料から形成される。
【0029】
接点保持体12は、従って部分的に放電管3の上に延在する。図1の実施例では、放電管3の電気接点13,14は従って放電管3の上には直接配置されず、それとは別体の接点保持体12の上に配置される。
【0030】
照明器具の各部の寸法例が、図1に示されている。しかし、それらの寸法は唯一の必然的なものとしてではなく、並びに結論的なものとして解釈すべきではない。しかし、図示の寸法は、本発明による照明器具およびランプのデザインもしくは据付け深さが、通常は200mm以上の据付け深さを有する従来のダウンライトに比べて極めてコンパクトであることを明らかにする。
【0031】
図2は、放電管3の平面図でコイル状の巻き体が一平面上に延在しているのが見て取れる。放電管3の端部範囲18、19からは導線20、21が突出しており、これらは次いで接点保持体12に導かれ、垂直方向に図平面から突出している接点ピン13、14並びに22、23に接続される。導線20、21は、上述のように電流リード線とすることができる。しかし、また電流リード線と接続される別個の補助的な導線であってもよい。接点ピンの形状の電気接点13、14、22および23は、さらに放電管3のほぼ円状の平面の中心点Mの方向に接点保持体12の内側に配置することもできる。
【0032】
さらに、例えば保持部材24が接点保持体12上に配置されるが、図の位置はあくまで例示的なものである。この保持部材24により、放電管3を接点保持体12および放電ランプ2とともにケース5に取付けることができる。
【0033】
図3は、点灯器4のケース5の放電管3に向いた下面の平面図である。図3は、従って放電ランプ2と反射器11を取外した状態での軸Aに沿う照明器具1の内部を示す。接点受け7、8のほかに、この図では接点受け25、26も示されている。さらに、保持部材24の受け27も示されている。
【0034】
図4は、図3のIII−III線に沿った概略断面図である。接点受け7、8、25、26並びに保持部材受け27を有する接続部分28が見て取れる。さらに、図4には照明器具1の各部の例示的寸法がmmで同様に示されている。
【0035】
照明器具1の製造は、たとえばまず回路担体6がケース5に取付けられることから始められる。次いで、ケース5のカバーが取付けられ、続いて電気接続部材29(図1)が取付けられる。続いて、反射器11が取付けられ、次いで放電ランプ2が装着される。続いて、カバー15がかぶせられる。
【符号の説明】
【0036】
1 照明器具
2 放電ランプ
3 放電管
4 点灯器
5 ケース
6 回路担体
7、8 接点受け
9、10 機械部材
11 反射器
12 接点保持体
13、14 接点
15 カバー
16、17 ねじ
18、19 放電管端部
20、21 リード線
22、23 接点
24 保持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平コイルとして形成された放電管(3)と、放電ランプを点灯するために設けられ電気接点により放電管(3)に接続される電子点灯器(4)とを有する放電ランプ(2)を備えた照明器具において、
電気絶縁性の材料から形成される板状の接点保持体(12)が放電管(3)に接続され、この接点保持体(12)が少なくとも部分的に放電管(3)上を延在しており、この接点保持体(12)に放電管(3)の電気接点(13、14、22、23)が配置され、これらの電気接点は放電管(3)の端部範囲から間隔を置いて点灯器(4)の方向に延在していることを特徴とする照明器具。
【請求項2】
接点保持体(12)が条片として形成され、放電管(3)の全直径にわたって延在していることを特徴とする請求項1記載の照明器具。
【請求項3】
電気接点が、接点ピン(13、14、22、23)として形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の照明器具。
【請求項4】
接点ピン(13、14、22、23)が接点保持体(12)の表面に対して垂直方向に延び、特に放電管(3)が延在する平面に対して垂直方向に延びていることを特徴とする請求項3記載の照明器具。
【請求項5】
接点保持体(12)が一平面上に延在しており、放電管(3)と点灯器(4)、特に点灯器(4)の回路担体(6)との間に配置されることを特徴とする請求項1から4の1つに記載の照明器具。
【請求項6】
接点受け(7、8、25、26)が点灯器(4)に配置され、接点受けは点灯器(4)のケース(5)を通って放電管(3)の方向に外側に延び、接点保持体(12)の電気接点(13、14、22、23)を収容するように形成されることを特徴とする請求項1から5の1つに記載の照明器具。
【請求項7】
放電管(3)の端部(18、19)と電気接点(13、14、22、23)との間に、電気導線(19、20)が形成されることを特徴とする請求項1から6の1つに記載の照明器具。
【請求項8】
放電管(3)が、一平面内に延在していることを特徴とする請求項1から7の1つに記載の照明器具。
【請求項9】
電気接点(13、14、22、23)が、専ら軸方向の運動により点灯器(4)の接点受け(7、8、25、26)に挿入されることを特徴とする請求項1から8の1つに記載の照明器具。
【請求項10】
電気接点(13、14、22、23)が、軸線方向の運動および縦軸(A)を中心とする回転運動により、点灯器(4)の接点受け(7、8、25、26)に挿入されることを特徴とする請求項1から8の1つに記載の照明器具。
【請求項11】
放電管(3)が、接点保持体(12)に配置された保持部材(24)により点灯器(4)のケース(5)に取付けられることを特徴とする請求項1から10の1つに記載の照明器具。
【請求項12】
点灯器(4)と放電管(3)との間に反射器(11)が配置され、反射器(11)は点灯器(4)のケース(5)に特に係止部材またはスナップ止め部材の形の機械的部材(9)により着脱自在に取付けられることを特徴とする請求項1から11の1つに記載の照明器具。
【請求項13】
反射器(11)がケース(5)と間隔を置いて配置され、特に反射器(11)をケース(5)に取付けるのに用いられる機械的保持部材(9)が反射器(11)とケース(5)との間の間隔を調整するための間隔片としても形成されることを特徴とする請求項12記載の照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−160451(P2012−160451A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−18464(P2012−18464)
【出願日】平成24年1月31日(2012.1.31)
【出願人】(508096703)オスラム アクチエンゲゼルシャフト (92)
【氏名又は名称原語表記】OSRAM AG
【住所又は居所原語表記】Hellabrunner Str. 1, 81543 Muenchen Germany
【Fターム(参考)】