説明

扁平型ランプ装置

【課題】側面から背面側まで照射することが可能な扁平型ランプ装置を提供する。
【解決手段】扁平型ランプ装置は、扁平な基材2と、基材上の周辺領域に配置され法線方向への指向性の強い配光を有する複数の光源4と、光源を覆う透光カバー6と、を備えている。透光カバーは、少なくとも一部の光源4と対向し基材から離れる方向に突出する中空の突部10を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、例えばGX53形口金を有する扁平型のランプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
扁平かつコンパクトなランプ装置として、例えばGX53形口金を用いた扁平円筒型のランプ装置が知られている。このような扁平型ランプ装置では、扁平なGX53形口金を用いるとともに、扁平な本体に扁平に光源を配置し、扁平なカバーを組み合わせることで、全体として扁平なランプ装置を実現している。扁平型ランプ装置において、側面あるいは背面側まで照射する用途に対応する技術としては、カバー部材の周縁部をランプ装置の側面側まで延ばし、導光する技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−140606号公報
【特許文献2】特開2010−192338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
扁平型ランプ装置では、扁平面の法線方向に強く光を照射し、ランプ装置の側面あるいは背面側には極端に弱い光しか放出することができない。この傾向は、LED光源を用いた場合に特に顕著となる。カバー部材を用いた場合でも、ランプ装置の側面から背面側への照度が弱い。
【0005】
この発明は以上の点を鑑みてなされたもので、その課題は、側面から背面側まで照射することが可能な扁平型ランプ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、扁平型のランプ装置は、扁平な基材と、前記基材上の周辺領域に配置され法線方向への指向性の強い配光を有する複数の光源と、前記光源を覆う透光カバーと、を備え、前記透光カバーは、前記少なくとも一部の光源と対向し前記基材から離れる方向に突出する中空の突部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る扁平型ランプ装置を示す断面図。
【図2】図2は、第1の実施形態に係る扁平型ランプ装置の配光分布を示す図。
【図3】図3は、前記扁平型ランプ装置における透光カバー6の透過率を変化させたときの配光角と効率との関係を示す図。
【図4】図4は、前記扁平型ランプ装置における透光カバーの凸部の高さhを変えたときの配光角と効率との関係を示す図。
【図5】図5は、第2の実施形態に係る扁平型ランプ装置を示す断面図。
【図6】図6は、第3の実施形態に係る扁平型ランプ装置を示す断面図。
【図7】図7は、第4の実施形態に係る扁平型ランプ装置を示す断面図。
【図8】図8は、第5の実施形態に係る扁平型ランプ装置を示す断面図。
【図9】図9は、第6の実施形態に係る扁平型ランプ装置を示す断面図。
【図10】図10は、第7の実施形態に係る扁平型ランプ装置を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、種々の実施形態に係る扁平型のランプ装置について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る扁平型ランプ装置1を示す断面図である。扁平型ランプ装置1は、扁平な円筒形状であり、図示した断面を中心軸に対して回転させた形状を有している。
【0009】
扁平型ランプ装置1は、扁平な円盤状の基材2、口金3、光源4を実装した基板5、透光カバー6を備えている。基材2は金属製であり、平坦な前面部2aを有している。基材2は、光源4で発生した熱のヒートシンクであるとともに、図示しない放熱構造より外部に放熱する機能を有している。
【0010】
口金3は、扁平なGX53形ソケットに適合する段付きの円盤状に形成され、基材2の背面側に埋め込まれている。口金3は、GX53形ソケットに適合する複数の端子3aを有し、内部に駆動回路3bを収納している。端子3aを通して駆動回路3bに通電され、この駆動回路によって発生した駆動電力により、基板5を介して光源4を点灯する。
【0011】
基材2の前面部2a上に、例えば、円板状の基板5が固定され、この基板5上に複数の光源4が実装されている。光源4は、LEDを用いており、基板5の法線方向、すなわち扁平面の法線方向に強い光を照射し、法線方向からの角度をθとするとき、cosθに比例して側面方向への光度が弱くなっていく指向性を有している。本実施形態では、直径80mmの基材2に対して、その周辺から5mm内側に複数の光源4が基材2と同軸のサークル状に配置されている。
【0012】
透光カバー6は、透過率57%の乳白樹脂により、ほぼ円盤状に形成されている。透光カバー6は、光源4および基材2の前面部2aを覆うように基材2に被せられ、透光カバー6の周縁部が基材2に密閉固定されている。透光カバー6は、光源4に対向する環状のかつ中空の突部10を有している。また、透光カバー6の中央部分は、その中心から突部10に向かって僅かに上方へ、すなわち、基材2から離れる方向へ、緩やかに湾曲している。突部10は、例えば、基材2に対して前方へ突出する楕円の断面形状を有している。突部10の楕円断面は、最高点が光源4と一致する径方向位置にあり、光源4の内側および外側に楕円傾斜面を有している。
【0013】
図1に示すように、突部10は、径方向の幅に対して、基材2の法線方向の高さが高い縦長の断面形状に形成されている。すなわち、突部10の断面の輪郭と基材2の光源4よりも外側部分との交点と、光源4と、の径方向距離をdo、同様に突部10の断面の輪郭と基材2の光源4より内側部分との交点と、光源4との径方向距離をdiとし、透光カバー6の断面の最高点と基材2上の基板5実装面との高さ方向距離をhとするとき、実施形態ではdi=do=5mm、h=20mmとしている。
【0014】
このような透光カバー6は、光源4から放出された扁平面の法線方向に指向性の強い光を一旦受け、透光カバー6内部で十分に拡散させた後に、透光カバー6の局所的な面法線方向に強い指向性をもって外部に光を放出する。本実施形態では、光源4を覆う透光カバー6の突部10の断面が十分に縦長となっている、すなわち、基材2の前面部2aに対して法線方向に縦長となっている。そのため、扁平面法線方向の光度に対して半減する光度となる角度範囲を配光角と定義したとき、配光角は160度にまで拡がっている。また、透光カバー6は、周辺に向かって回転対象に光を放出する。
【0015】
図2は、本実施形態の扁平型ランプ装置1の配光分布を示している。この図より、扁平型ランプ装置1が放出する光の光度は、法線方向となす角度が45度までほぼ均一の光度であり、80度付近で半減するが、90度を超える背面側へもしっかり放出されていることが判る。
【0016】
図3は、本実施形態において、透光カバー6の透過率を変化させたときの配光角と効率の影響を評価した結果を示している。図において、実線は配光角を示し、一点鎖線は効率を示している。この図から、透光カバー6の透過率は80%以下にしないと配光角は十分に拡がらないことが分かる。これは、透過率が高いと透光カバー6内部での拡散が不十分のまま光源4自体の配光を保って光が透けてしまうためである。
【0017】
図4は、本実施形態において、透光カバー6の透過率は57%として、突部10の高さhを変えたときの配光角と効率の影響を評価した結果を示している。図において、実線は配光角を示し、一点鎖線は効率を示している。この図から、h/di(あるいはh/do)が1、すなわち、楕円断面が球断面形状に近付くと、配光角は光源4自体と同じになってしまい拡がらない。配光角を広げるためには、突部10を縦長にするとよく、したがって、h/di(あるいはh/do)は1より大きくすることが望ましい。
【0018】
以上のように構成された第1の実施形態によれば、透光カバー6により、装置の側面から背面側にかけてもかなりの光を照射することができ、広い配光の扁平型ランプ装置を実現することができる。
【0019】
次に、他の実施形態に係る扁平型ランプ装置について説明する。後述する他の実施形態において、前述した第1の実施形態と同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0020】
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態に係る扁平型ランプ装置1を示す断面図である。ランプ装置1の基本的な構成は第1の実施形態と同じであり、透光カバー6の構成が一部相違している。第2の実施形態では、透光カバー6の中央領域は平坦に形成され、基材2の前面部2aに隣接対向している。これにより、透光カバー6の突部10において、光源4の内側に位置する切り立った部分の面積を大きくし、より配光角が拡がるようにしている。
【0021】
(第3の実施形態)
図6は、第3の実施形態に係る扁平型ランプ装置1を示す断面図である。ランプ装置1の基本的な構成は第1の実施形態と同じであり、透光カバー6の構成が一部相違している。第3の実施形態では、透光カバー6の光源4を覆う突部10の断面形状を矩形とし、光源4に対向する領域で光が透けにくくなるように、この部分を他の部分よりも局所的に厚くしている。
【0022】
(第4の実施形態)
図7は、第4の実施形態に係る扁平型ランプ装置1を示す断面図である。ランプ装置1の基本的な構成は第1の実施形態と同じであり、透光カバー6の構成が一部相違している。第3の実施形態では、透光カバー6の光源4を覆う突部10の断面形状を矩形とし、光源4に対向する部分を例えば、波状に凹凸させることで、厚くすることなく同部分で光を透けにくくしている。
【0023】
(第5の実施形態)
図8は、第5の実施形態に係る扁平型ランプ装置1を示す断面図である。ランプ装置1の基本的な構成は第1の実施形態と同じであり、透光カバー6の構成が一部相違している。第5の実施形態によれば、複数の光源4を基材2の外周縁からやや内側にdo=10mmの位置に配置させ、光源4を覆う透光カバー6の突部10は内外対称の楕円断面とした。diは5mmであり、楕円断面の最高点は光源4よりも外側にずれている。このため、光源4から最も強い光度で放出される扁平面法線方向の光が透光カバー6に斜めに入射することになり、透光カバー6が薄くても透けにくく、かつ、配光を広げる効果が向上する。
【0024】
(第6の実施形態)
図9は、第6の実施形態に係る扁平型ランプ装置1を示す断面図である。ランプ装置1の基本的な構成は第1の実施形態と同じであり、透光カバー6の構成が一部相違している。第6の実施形態によれば、複数の光源4を基材2の外周縁からやや内側にdo=10mmの位置に配置させ、光源4を覆う透光カバー6の突部10は内外対称の楕円断面とした。また、突部10の断面形状は、di=do=5mmと縦長アスペクトになるように、d0を小さくしている。これにより、楕円断面の最高点が光源4の径方向位置と一致している。
【0025】
この場合、透光カバー6の外周端部に平坦なフランジ部6bができるが、あるいは、フランジ部を設けない場合は、基材2の外周縁部が剥き出しになるが、透光カバー6の光源4を突部10の断面形状が縦長となり、配光角の広がりが向上する。
【0026】
(第7の実施形態)
図10は、第7の実施形態に係る扁平型ランプ装置1を示す断面図である。ランプ装置1の基本的な構成は第1の実施形態と同じであり、透光カバー6の構成が一部相違している。第7の実施形態によれば、基材2の中央にも補助的に光源4を配置され、透光カバー6は、この中央の光源4と対向する断面楕円形状の中央突部10bを更に有している。このような構成とすることにより、ランプ装置1の側面側および背面側に加えて、補助的に中央部前方領域にも光を照射し、補助的に中央領域を明るくすることができる。
【0027】
上述した第2ないし第7の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、側面から背面側まで照射することが可能な扁平型ランプ装置を提供することができる。
【0028】
本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
例えば、光源の数や種類を特に規定するものではなく、前方に強い指向性のある光源であれば本発明の作用を適用することができる。透光カバーは、その全体が、透過率80%以下に形成されているが、これに限らず、少なくとも突部の部分が透過率80%以下に形成されていればよい。
【符号の説明】
【0029】
1…扁平型ランプ装置、2…基材、2a…前面部、3…口金、4…光源、
6…透光カバー、10…突部、10b…中央突部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平な基材と、
前記基材上の周辺領域に配置され法線方向への指向性の強い配光を有する複数の光源と、
前記光源を覆う透光カバーと、を備え、
前記透光カバーは、前記少なくとも一部の光源と対向し前記基材から離れる方向に突出する中空の突部を有する扁平型ランプ装置。
【請求項2】
少なくとも前記透光カバーの突部の透過率は、80%以下である請求項1に記載の扁平型ランプ装置。
【請求項3】
前記突部は、径方向の幅に対して、基材の法線方向の高さが高い縦長の断面形状に形成されている請求項1又は2に記載の扁平型ランプ装置。
【請求項4】
前記透光カバーの突部は、前記基材から透光カバーの最高点までの距離をh、突部断面を輪郭と前記基材の前記光源より内側部分との交点から、前記光源までの径方向距離をdi、前記突部断面を輪郭と前記基材の前記光源より外側部分との交点から、前記光源までの径方向距離をd0、とするとき、
(h/di)>1 あるいは (h/d0)>1
である請求項3に記載の扁平型ランプ装置。
【請求項5】
前記光源の一部は前記基材上の周辺領域にサークル状に並んで配置され、前記透光カバーに突部は、前記基材の周辺領域と対向する環状に形成されている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の扁平型ランプ装置。
【請求項6】
前記光源は複数の点状光源であり、前記透光カバーは前記各光源のそれぞれを覆う縦長形状の突部を有する請求項1ないし5のいずれか1項に記載の扁平型ランプ装置。
【請求項7】
前記突部は、楕円の断面形状を有する請求項1ないし6のいずれか1項に記載の扁平型ランプ装置。
【請求項8】
前記突部は、矩形の断面形状を有する請求項1ないし6のいずれか1項に記載の扁平型ランプ装置。
【請求項9】
前記突部の前記光源と対向する領域は、他の領域よりも厚く形成されている請求項8に記載の扁平型ランプ装置。
【請求項10】
前記突部の前記光源と対向する領域に凹凸が形成されている請求項8に記載の扁平型ランプ装置。
【請求項11】
前記光源の一部は前記基材の周辺領域にサークル状に並んで配置され、前記突起はサークル状に連なっている請求項1ないし6のいずれか1項に記載の扁平型ランプ装置。
【請求項12】
前記光源は前記基材上に分散して配置され、前記突起は前記個々の光源を覆っている請求項1ないし6のいずれか1項に記載の扁平型ランプ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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