説明

扁平形冷陰極蛍光ランプ

【課題】 ランプ点灯時の発光面の輝度ムラがなく、全光束量も大きい扁平形蛍光ランプを提供する。
【解決手段】 放電空間の断面形状が少なくとも長径と短径を用いて規定されている楕円若しくは扁平形状に成形されたガラス管2から成り、ガラス管2の内面には蛍光体被膜3が形成され、ガラス管2の内部に水銀及び希ガスが封入され、ガラス管2の両管端に気密に封着された導入線4に接続された電極5を備えた扁平形冷陰極蛍光ランプ1にあって、ガラス管2の内部の放電空間内の長径方向端部の内径寸法が0.2mm以上にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扁平形冷陰極蛍光ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
図19は従来の扁平形冷陰極蛍光ランプの構造を示す図である。図19において、従来の扁平形冷陰極蛍光ランプ21は、ガラス管22の内部の放電空間の断面形状が少なくとも長径と短径を用いて規定されている楕円形若しくは扁平形状に成形され、ガラス管22の内面に蛍光体被膜23が形成され、ガラス管22の内部の放電空間に水銀及び希ガス(ネオン・アルゴン)が放電媒体として封入され、ガラス管22の両管端に気密に封着された導入線24に接続された電極25が装備された構成であるが、放電空間内の長径方向端部の内径寸法については、特に規定はされていなかった。
【0003】
従来の扁平形冷陰極ランプ21では、放電空間内の長径方向端部になるほどガラス管22の内径寸法が小さくなり、これは短径寸法が小さくなるほど顕著に確認され、放電空間内の長径方向端部の内径寸法が小さくなり過ぎると、ランプを点灯時に陽光柱が長径方向に殆ど拡散せず、発光面に輝度ムラが発生し、さらには著しく全光束量が低下する問題点があった。
【特許文献1】特開2000−10094号公報
【特許文献2】特開平9−245736号公報
【特許文献3】特開平7−105907号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述したような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、ランプ点灯時の発光面の輝度ムラが抑制され、ランプ全光束量が向上した扁平形冷陰極蛍光ランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の扁平形冷陰極蛍光ランプは、内部の放電空間の断面形状が少なくとも長径と短径を用いて規定されている楕円若しくは扁平形状に成形されたガラス管から成り、前記ガラス管の内面に蛍光体被膜が形成され、前記ガラス管の内部の放電空間に水銀及び希ガスが封入され、前記ガラス管の両管端に気密に封着された導入線に接続された電極を備えた扁平形冷陰極蛍光ランプにおいて、前記ガラス管の内部の放電空間内の長径方向端部の内径寸法を0.2mm以上にしたことを特徴とするものである。
【0006】
本発明の扁平形冷陰極蛍光ランプでは、扁平形ガラス管の内部の放電空間の断面形状をほぼ楕円形状とし、その長径方向端部の内径寸法を0.2mm以上にすることができる。また本発明の扁平形冷陰極蛍光ランプでは、扁平形ガラス管2の内部の放電空間の断面形状を角丸長方形状とし、その長辺方向端部の短辺方向の内寸法を0.4mm以上にすることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ランプ点灯時に陽光柱が放電空間の長径方向の端部にまで効果的に拡散するので、ランプ点灯時の発光面の輝度ムラが抑制でき、ランプ全光束量を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。
【0009】
(第1の実施の形態)本発明の第1の実施の形態は、扁平形冷陰極蛍光ランプにあって、放電空間内の長径方向端部が、内径寸法R≧0.2mmであることを特徴とする。
【0010】
図1は、扁平形冷陰極蛍光ランプの扁平加工部分の短径方向を一定にし、放電空間内の長径方向端部のR部の内径(半径)Rを変化させ、発光面の輝度ムラや、ランプ全光束量低下が発生する境界値を確認したグラフである。放電空間内の長径方向端部の内径が従来のようにR≦0.2mmになると、陽光柱が長径方向端部に拡散しづらくなり、ランプ全光束量が著しく低下することがわかる。
【0011】
図2は発光面の輝度ムラ状態を示す図である。長径方向端部の内径(半径)をR≧0.2mmと、R≦0.2mmとした時のランプ点灯状態においても、長径方向端部の内径をR≧0.2mmに形成することで、陽光柱が長径方向端部まで拡散していることがわかる。
【0012】
本実施の形態によれば、長径方向端部の内径をR≧0.2mmとすることで陽光柱が長径方向端部まで拡散することが可能となる。
【0013】
(第2の実施の形態)図3は本発明の第2の実施の形態の扁平形冷陰極蛍光ランプ1の構造を示す図である。図3において、1は扁平形冷陰極蛍光ランプ、2はガラス管、3は蛍光体被膜、4は導入線、5は電極、6は扁平加工部分を表している。本実施の形態は、第1の実施の形態の実験結果を踏まえた上での扁平形冷陰極蛍光ランプ構造となっており、ガラス管2の扁平加工部分6の断面形状が少なくとも長径と短径を用いて規定されている楕円形若しくは長辺端部がR形状となる角丸長方形の扁平形状に成形加工されており、ガラス管2内面には蛍光体被膜3が形成され、ガラス管2の内部の放電空間には水銀及び希ガス(ネオン・アルゴン)が封入され、両管端に気密に封着された導入線4に接続された電極5が装備されている。ガラス管2の扁平加工部分6では、長径方向端部のR形状部の内径寸法RがR≧0.2mmで形成されている。
【0014】
この実施の形態の扁平形冷陰極蛍光ランプ1では、長径方向端部の内径(半径)をR≧0.2mmとすることで、ランプを点灯させた時に、陽光柱が長径方向両端部まで拡散し、発光面の輝度ムラや、全光束量低下を改善できる。
【0015】
(第3の実施の形態)図4は本発明の第3の実施の形態の扁平形冷陰極蛍光ランプの構造を示す図である。図4において、図3と同一の要素には同一の符号を用いて表している。本実施の形態は、第1の実施の形態の応用として、長辺方向端部がストレート形状の角丸長方形状のガラス管2を採用し、このガラス管2の扁平加工部分6における放電空間内の長辺方向端部の短辺の内寸を0.4mm以上に形成したことを特徴とする。
【0016】
本実施の形態によれば、ガラス管2の扁平加工部分6の長辺方向端部の短辺部の内寸を0.4mm以上にしたことで、当該扁平形冷陰極蛍光ランプ1を点灯した時に、陽光柱が長辺方向端部まで拡散することが可能となり、発光面の輝度ムラや、全光束量低下を改善できる。
【0017】
(第4の実施の形態)図5は、本発明の第4の実施の形態のタンデム式バックライトユニットの構造を示す図であり、図6はこのバックライトユニットに装着して使用する扁平形冷陰極蛍光ランプ1の構造を示す図である。図5において、1は扁平形冷陰極蛍光ランプ、11は偏光板、12は拡散シート、13は拡散板を表している。尚、図5、図6において、図3、図4と同一の要素には同一の符号を用いて表している。
【0018】
本実施の形態のタンデム式バックライトユニットは、扁平形冷陰極蛍光ランプ1を光源として用い、かつ、この扁平形蛍光ランプ1をその長径方向を拡散板13の板面に対して垂直に配置している。例えば、タンデム方式15インチバックライトユニットの場合に、図6に示すような長径5mm、短径2.2mmの扁平形冷陰極蛍光ランプ1を、長径方向を拡散板13面と垂直に配置する。
【0019】
図7は、本実施の形態のバックライトと真円断面形状の冷陰極蛍光ランプを採用した従来品の輝度分布を比較した図である。従来品より輝度が上がっていることが見てとれる。本実施の形態によれば、タンデム式バックライトユニットにおいて問題となっている輝度ムラの低減が可能である。また、バックライトユニットのランプ本数を6本から5本に削減した状態で、従来同等以上の板面輝度が得られた。
【0020】
(第5の実施の形態)図8は、本発明の第5の実施の形態の扁平形冷陰極蛍光ランプの構造を示す図である。図8において、7は放熱性材料を表している。尚、図8において、図3〜図6と同一の要素には同一の符号を用いて表している。
【0021】
図8において、本実施の形態の扁平形冷陰極蛍光ランプ1は、扁平形ガラス管2の放電空間の断面形状が少なくとも長径と短径を用いて規定されている楕円若しくは扁平形状に成形されており、ガラス管2の内面には蛍光体被膜3が形成され、放電空間には水銀及び希ガス(ネオン・アルゴン)が封入され、ガラス管2の両管端に気密に封着された導入線4に接続された電極5が装備され、短径側のガラス管肉厚と長径側のガラス管肉厚は同一で、かつ、短径側ガラス管材の表面、つまり扁平面部のみに放熱性材料7(シリコン等)が設置されていることを特徴とする。
【0022】
短径側のガラス管材の表面のみに放熱性材料7を設置することで、短径側のガラス管材の表面の放熱性を向上させ、短径側ガラス管壁温度と長径側ガラス管壁温度を均一にし、ランプ管内に封入されている水銀が長径側管内壁部分にかたよらず、非発光部分が改善できる。
【0023】
図9は本実施の形態の扁平形冷陰極蛍光ランプ1の管壁温度特性を表す表である。従来に短径側表面に放熱性材料を設置していない扁平形冷陰極蛍光ランプに比べて短径側と長径側の温度差が小さいのが見てとれる。
【0024】
(第6の実施の形態)図10は、本発明の第6の実施の形態の扁平形冷陰極蛍光ランプ1の構造を示す図である。尚、図10において、図3〜図6、図8と同一の要素には同一の符号を用いて表している。
【0025】
本実施の形態の扁平形冷陰極蛍光ランプ1は、扁平形ガラス管2の扁平加工部分6のみ短径側ガラス肉厚と長径側ガラス肉厚を同一ではなく、短径側ガラス肉厚を長径側ガラス肉厚よりも厚い寸法になるように成形したことを特徴とする。
【0026】
本実施の形態の扁平形冷陰極蛍光ランプ1では、短径側のガラス管材を厚肉にすることで放熱性を上げ、その分、短径側ガラス管材の管壁温度を低め、結果的に短径側ガラス管壁温度と長径側ガラス管壁温度を均一にし、ランプ管内に封入されている水銀が長径側管内壁部分にかたよらず、非発光部分を少なくし、全光束量を向上させることができる。
【0027】
図11は本実施の形態の管壁温度特性を表す表である。従来に比べて本実施の形態の蛍光ランプの場合、短径側と長径側の温度差が小さいのが見てとれる。また、図12は全光束特性を示す表であり、従来のものより高い数値となっている。
【0028】
(第7の実施の形態)図13は本発明の第7の実施の形態の直下式バックライト50の構成を示す図である。扁平形蛍光ランプ51は断面の短径寸法を2.4mm、長径寸法を5.1mmでランプ長730mmである。蛍光ランプ51の両端にはそれぞれ電極52が封装されており、放電空間53にはネオンとアルゴン混合ガス及び水銀が封入されている。バックライト50は32inchの直下式で、扁平形蛍光ランプ51を16灯用いている。扁平形蛍光ランプ51各々は、有効発光画面60の端部61がランプ51の電極先端62から扁平部開始位置63の間になるように設置することを特徴としている。
【0029】
図14〜図16は、バックライトの有効発光面端部61と扁平形蛍光ランプ51の電極端部62との位置関係と、それぞれの場合の有効発光面端部61の輝度との関係を示している。図14に示すように、扁平形蛍光ランプ51の電極部分52が有効発光画面60に入った場合、画面中央に近ければ9000cd/m以上の板面輝度が見込めるが、端部61では4000cd/m以下になる部分が出てしまう。よって、図15、図16に示すように、扁平形蛍光ランプ51の電極端部62が有効発光画面60に入らないようにランプ51を設置しなければならない。
【0030】
図15は有効発光画面60の端部61に対して2mm離れた位置に電極先端62がくるようにランプ51を配置したときの画面端部61の板面輝度を示す図である。また、図16に有効発光画面60の端部61と扁平部開始位置63が重なるようにランプ51を配置したときの画面端部61の板面輝度を示す。図15のランプ設置位置で端部61の板面輝度は6000cd/m以上で十分明るい。図16のランプ設置位置では図15の設置位置よりもさらに端部61の板面輝度は高くなる。しかし、これ以上ランプ位置を外側にしても扁平部の輝度は変わらなくなるから板面輝度に変動はなく、逆に有効発光画面60により外側の額縁に隠れた部分の発光が無駄になる。さらに、額縁が太くなってしまう問題点も出てくるので、ランプ設置位置は有効発光画面60の端部61と扁平開始位置63までとする。
【0031】
図17に本実施の形態の直下式バックライトでのランプ設置位置を変更した場合の有効発光画面端部の板面輝度の測定結果を示す。図17に示すように有効発光画面端部61に対してランプ51を電極先端62から扁平部開始位置63までの間になるように設置することで十分な明るさを得ることができる。また電極先端62から画面端部61までの距離を8mm以上とした場合、すなわち扁平部開始位置63をさらに画面よりも外側へ変更した場合、端部の板面輝度は変わらない。しかし、額縁が太くなりランプ長も長くなるので効率が悪くなってしまう。
【0032】
(第8の実施の形態)図18は本発明の第8の実施の形態のエッジライト式バックライトの構成を示す図である。扁平形蛍光ランプ71は断面の短径寸法が1.8mm、長径寸法が2.9mmでランプ長159mmに設定されている。蛍光ランプ71の両端にはそれぞれ電極72が封装されており、放電空間73にはネオン・アルゴン混合ガス及び水銀が封入されている。バックライトは7inchのエッジライト式上下2灯仕様である。74は導光板である。エッジライト式バックライトも直下式バックライトと同様で、有効発光画面75の端部76がランプ71の電極先端77から扁平開始位置78の間になるようにランプ71を設置する。
【0033】
本実施の形態によれば、有効発光画面端部76に対してランプ71を電極先端77から扁平部開始位置78までの間になるように設置することで十分な明るさを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1の実施の形態の扁平形冷陰極蛍光ランプの全光束量を示すグラフ。
【図2】本発明の第1の実施の形態の扁平形冷陰極蛍光ランプの発光面の輝度ムラ状態を示す写真。
【図3】本発明の第2の実施の形態の扁平形冷陰極蛍光ランプの断面図。
【図4】本発明の第3の実施の形態の扁平形冷陰極蛍光ランプの断面図。
【図5】本発明の第4の実施の形態のバックライトユニットの構造を示す分解斜視図。
【図6】本発明の第4の実施の形態のバックライトユニットに使用する扁平形冷陰極蛍光ランプの断面図。
【図7】本発明の第4の実施の形態のバックライトユニットと従来品との輝度分布を比較したグラフ。
【図8】本発明の第5の実施の形態の扁平形冷陰極蛍光ランプの断面図。
【図9】本発明の第5の実施の形態の扁平形冷陰極蛍光ランプと従来品との管壁温度特性を表す表。
【図10】本発明の第6の実施の形態の扁平形冷陰極蛍光ランプの断面図。
【図11】本発明の第6の実施の形態の扁平形冷陰極蛍光ランプと従来品との管壁温度特性を表す表。
【図12】本発明の第6の実施の形態の扁平形冷陰極蛍光ランプと従来品との全光束特性を示す表。
【図13】本発明の第7の実施の形態の直下式バックライトの構成を示す平面図。
【図14】本発明の第7の実施の形態の直下式バックライトの有効発光画面端部の板面輝度分布を示す写真その1。
【図15】本発明の第7の実施の形態の直下式バックライトの有効発光画面端部の板面輝度を示す写真その2。
【図16】本発明の第7の実施の形態の直下式バックライトの有効発光画面端部の板面輝度を示す写真その3。
【図17】本発明の第7の実施の形態の直下式バックライトの有効発光画面端部の板面輝度を示すグラフ。
【図18】本発明の第8の実施の形態のエッジライト式バックライトの構成を示す平面図。
【図19】従来の扁平形冷陰極蛍光ランプの断面図。
【符号の説明】
【0035】
1 冷陰極蛍光ランプ
2 ガラス管
3 蛍光体被膜
4 導入線
5 電極
6 扁平加工部分
7 放熱性材料
11 偏光板
12 拡散シート
13 拡散板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部の放電空間の断面形状が少なくとも長径と短径を用いて規定されている楕円若しくは扁平形状に成形されたガラス管から成り、前記ガラス管の内面に蛍光体被膜が形成され、前記ガラス管の内部の放電空間に水銀及び希ガスが封入され、前記ガラス管の両管端に気密に封着された導入線に接続された電極を備えた扁平形冷陰極蛍光ランプにおいて、
前記ガラス管の内部の放電空間内の長径方向端部の内径寸法を0.2mm以上にしたことを特徴とする扁平形冷陰極蛍光ランプ。
【請求項2】
内部の放電空間の断面形状がほぼ楕円形状であり、その長径方向端部の内径寸法を0.2mm以上にしたことを特徴とする請求項1に記載の扁平形冷陰極蛍光ランプ。
【請求項3】
内部の放電空間の断面形状が角丸長方形状であり、その長径方向端部のストレート部における短辺方向の内寸法を0.4mm以上にしたことを特徴とする請求項1に記載の扁平形冷陰極蛍光ランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−12457(P2007−12457A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−192270(P2005−192270)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】