手乾燥装置
【課題】使用者からは手の挿入有無を検知するためのセンサを視認し難いものとしつつ、使用者が直感的に使用することで違和感なく手に空気を吹き付けることを可能とする手乾燥装置を提供すること。
【解決手段】この手乾燥装置1は、ノズル孔61がそれぞれ形成された複数のノズル6bと、少なくとも一対の発光素子及び受光素子からなり、手乾燥部4に挿入された手を検知するためのセンサ3a,3bと、を備え、複数のノズル6bの少なくとも一部からは開口凹部4内へと空気が吹き出されるように構成されると共に、発光素子であるセンサ3bが発光する光は、ノズル6bに形成されたノズル孔61を通過して受光素子であるセンサ3aが受光するように構成されている。
【解決手段】この手乾燥装置1は、ノズル孔61がそれぞれ形成された複数のノズル6bと、少なくとも一対の発光素子及び受光素子からなり、手乾燥部4に挿入された手を検知するためのセンサ3a,3bと、を備え、複数のノズル6bの少なくとも一部からは開口凹部4内へと空気が吹き出されるように構成されると共に、発光素子であるセンサ3bが発光する光は、ノズル6bに形成されたノズル孔61を通過して受光素子であるセンサ3aが受光するように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、特に公共のトイレ等においては、手洗い後に手に付着している水を拭き取るためのペーパータオルを削減する傾向が強まっており、ペーパータオルの代わりに手乾燥装置を設置する場合が増えている。このような手乾燥装置は、洗面ボウルが配置されている場所からは少し離れた洗面カウンター上の壁面や、洗面カウンターから離れたトイレ空間の壁面等に設置されている場合が多い(下記特許文献1参照)。
【0003】
下記特許文献1において提案されている手乾燥装置では、手乾燥部へ挿入された使用者の手を検知し、ファンモータユニットを駆動させるためのセンサを備えている。そのセンサは手乾燥部の内壁に設けられ、使用者の手に対して空気を吹きつけるノズルよりも下方に配置されている。このような構成により、従来の手乾燥装置は、手乾燥部への手の挿入を確実に検知し、手の挿入を検知した場合にはその手に確実に空気を吹きつけることができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−25939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の技術では、手の挿入有無を検知するためのセンサについて、そのセンサをノズルよりも下方に配置することで、上方から挿入された使用者の手をセンサが検知する際には、ノズル近傍に必ず手が存在するように構成している。そのため、ノズル近傍に使用者の手が存在しないにもかかわらずノズルから空気が吹き出してしまうようなことが無く、確実に手に空気を吹き付けて乾燥することが可能となっている。
【0006】
しかしながら、使用者は、空気を吹き出すノズルに直感的に手を差し出すのが一般的である。しかしながら、手の乾燥を開始するためには、空気を吹き出すノズルとは異なる位置に配置されているセンサに手をかざす必要があることから、使用者が違和感を覚える場合もある。
【0007】
また、センサがノズルよりも下方に配置されていることから、使用者が手を手乾燥部に挿入した後に手を引き抜く場合において、使用者の手がセンサから遠ざかりセンサが手を検知しなくなっても、使用者の手がノズル近傍に存在する間はノズルから空気を吹き出し続けるようにするために、空気を吹き出すためのファンモータのOFFディレー制御を行う必要がある。ゆっくり手を引き抜く使用者を想定してディレー時間を長く設定すると、素早く手を引き抜く使用者にとっては、使用後もノズルから不要な空気を吹き出すこととなり違和感を覚えることがある。
【0008】
更に、手の挿入有無を検知するためのセンサが手乾燥部の内壁に露出して設けられているため、使用者から見え、意匠性が損なわれるという問題があった。
【0009】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、使用者が直感的に使用することで違和感なく手に空気を吹き付けることを可能とし、意匠性を損なうことのない手乾燥装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明に係る手乾燥装置は、使用者の手に空気を吹き付けて乾燥させる手乾燥装置であって、空気を吹き出す送風機と、前記送風機を内蔵するハウジングと、使用者の手が挿入される空間が構成されるように、前記ハウジングの正面側部材と背面側部材とによって形成され、かつ前記ハウジングの上面に開口した開口凹部と、前記正面側部材及び背面側部材のそれぞれに設けられ、貫通する複数のノズル孔が形成されたノズルと、前記送風機が吹き出した空気を前記複数のノズル孔の少なくとも一部に供給するダクトと、少なくとも一対の発光素子及び受光素子からなり、前記開口凹部内に挿入された手を検知するためのセンサと、前記センサが使用者の手を検知すると、前記送風機を駆動させる制御手段と、を備え、前記複数のノズル孔の少なくとも一つから前記開口凹部内へと空気が吹き出されるように構成されると共に、前記発光素子が発光する光は、前記複数のノズル孔の少なくとも一つのノズル孔を通過して前記受光素子が受光するように構成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明では、開口凹部内への手の挿入を検知するためのセンサを構成する発光素子及び受光素子について、発光素子が発光した光をノズルに形成されたノズル孔を通過して受光素子が受光するように構成している。このように構成することで、ノズルへと手をかざすことで、開口凹部内への手の挿入を検知することができる。すなわち、使用者は、空気が吹き出すノズルの近傍に手をかざすという自然な動作によって手を検知させて空気を吹き出させるため、違和感を覚えることなく手を乾燥させることが可能なように構成している。一方で、発光素子と受光素子との間にはノズルが介在することになるので、そのノズルによって発光素子又は受光素子を視認し難いように配置することが可能となり、意匠性の向上を図ることができる。更には、ノズルの配置位置において使用者の手を検知しているので、空気が吹き出す位置と手の検知位置とを略同一なものとすることができる。このようにすることで、センサの検知タイミングに対して空気を吹き出すタイミングをずらす必要がなくなり、簡易な構成でノズル近傍への手の挿入タイミングと空気の吹き出しタイミングとを同期させることができる。
【0012】
本願請求項2に係る手乾燥装置では、前記発光素子が発光する光は、前記正面側部材及び背面側部材のそれぞれに設けられた前記ノズルのノズル孔の双方を通過して前記受光素子が受光するように構成されていることを特徴とする。
【0013】
この態様では、発光素子と受光素子の双方を、正面側部材及び背面側部材に設けられたノズルによって視認し難くなるよう配置することが可能となり、更なる意匠性の向上を図ることができる。
【0014】
本願請求項3に係る手乾燥装置では、前記発光素子は、前記ノズル孔の近傍に配置されていることを特徴とする。
【0015】
この態様では、発光素子をノズル孔の近傍に配置することで、発光素子が発光した光が拡散してしまう前にノズル孔内へと導入することができ、ノズル孔を通過する光の量を十分に確保することが可能となる。
【0016】
本願請求項4に係る手乾燥装置では、前記発光素子は、前記開口凹部の前記背面側部材に配置されていることを特徴とする。
【0017】
この態様によれば、発光素子をノズル孔の近傍に配置しつつ、発光素子を開口凹部の背面側部材に配置することで、発光素子とノズルとを開口凹部の背面側に配置しつつ発光素子をノズルで視覚的に隠蔽することができる。従って、発光素子を使用者が視認しやすくなる背面側に配置しつつも、実際にはノズルによって視覚的に隠蔽されて、その存在を使用者が意識しないように構成することができ、全体として意匠性が向上する。
【0018】
本願請求項5に係る手乾燥装置では、前記発光素子は、前記開口凹部の前記背面側部材に沿った幅方向略中央に配置されていることを特徴とする。
【0019】
この態様によれば、発光素子が開口凹部の背面部材に沿った幅方向略中央に配置されているので、使用者が開口凹部に手を差し入れたことを確実に検知することができる。具体的には、使用者が片手のみを開口凹部に差し入れたとしても、開口凹部の中央付近に手を差し入れるのが通常であるため、確実に検知することができる。また、使用者が両手を開口凹部に差し入れた場合には、両手間の間隔をある程度空けて差し入れるため、発光素子から発光される光と干渉しないようにも思えるが、開口凹部に両手を差し入れた使用者は、手をセンサに検知させるためその両手を左右に振ったりするものなので、この場合にも使用者の開口凹部への手の差し入れを確実に検知することができる。
【0020】
本願請求項6に係る手乾燥装置では、前記発光素子は、前記ダクトの外側に配置され、前記発光素子が発光する光は、前記ダクトに設けられた透光部を通過して前記受光素子が受光するように構成されていることを特徴とする。
【0021】
この態様によれば、発光素子をノズル孔の近傍に配置しつつ、発光素子が発光する光をダクトに設けた透光部を通過して受光素子が受光するように構成しているので、発光素子をダクト外に配置し、その発光素子が発光した光を、透光部とノズルとを通過させて開口凹部に照射することができる。従って、発光素子をダクト外に配置することで、ダクト内の空気流への影響を低減しつつ、ダクト内からの空気や水分の影響をも低減することができると共に、発光素子をダクト外に配置しつつもその発光する光を確実に開口凹部へと照射することができる。
【0022】
本願請求項7に係る手乾燥装置では、前記発光素子が発光する光の軸方向を調整するための光軸調整手段を備えることを特徴とする。
【0023】
この態様によれば、発光素子をダクト外に配置することを可能とする共に、その発光素子が発光する光の軸方向を調整することも可能とすることができる。発光素子をダクト外に配置することで、発光素子とノズルとの間には透光部という介在物が存在することになるが、光軸調整手段によって発光素子が発光する光の軸方向を調整することができるので、ノズルを調整することなく、発光素子が発光する光を透光部及びノズル孔を介して確実に開口凹部へと導くことができる。
【0024】
本願請求項8に係る手乾燥装置では、前記ノズル孔は、その開口が略円形となるように形成されていることを特徴とする。
【0025】
この態様では、ノズル孔を、その開口が略円形となるよう、内壁面を円筒状又は円錐台状とすることで、その内壁面に当たった光が乱反射することなく一定の指向性をもってノズルから開口凹部へと照射されるように構成することができる。
【0026】
本願請求項9に係る手乾燥装置では、前記ノズル孔は、光の入口側から出口側に向けて開口断面積が減少するようにその内壁面が円錐台形状に形成され、前記受光素子は前記円錐台形状の略中心線上に配置されていることを特徴とする。
【0027】
この態様によれば、ノズル孔の内壁面が円錐台形状となるように構成し、更に光の入口側から出口側に向けて開口断面積が減少するように構成しているので、発光素子が発光する光を入口側からノズル孔内に導入することで、より指向性を持たせた光を受光素子へと照射することができる。更に、受光素子は円錐台形状の略中心線上に配置されているので、指向性を持ってノズル孔から出射された光を確実に受光することができる。
【0028】
本願請求項10に係る手乾燥装置では、前記発光素子が発光する光が通過するノズル孔における光の入口径は、他のノズル孔の入口径よりも大きくなるように形成されていることを特徴とする。
【0029】
この態様によれば、発光素子が発光する光を通過させるノズル孔の入口径を、他のノズル孔の入口径よりも大きくなるように形成しているので、発光素子が発光する光をより確実にノズル孔内へと導入し、より確実に開口凹部へと照射することができる。
【0030】
本願請求項11に係る手乾燥装置では、前記発光素子が発光する光が通過するノズルに形成されているノズル孔における光の出口径は、他のノズルに形成されているノズル孔の出口径と略同一となるように形成されていることを特徴とする。
【0031】
この態様によれば、発光素子が発光する光を通過させるノズル孔の入口径を他のノズル孔の入口径よりも大きくすることで発光素子が発光する光をより確実に開口凹部へと照射することを可能とする一方で、発光素子が発光する光を通過させるノズル孔の出口径と他のノズル孔の出口径とを略同一なものとすることで、使用者が視認する側の外観を同様なものとすることが可能となり、意匠性が向上する。
【0032】
本願請求項12に係る手乾燥装置では、前記発光素子は前記ノズルに固定可能なように構成され、前記発光素子と前記ノズルとを固定した状態で前記ハウジングに取り付けることができるように構成されていることを特徴とする。
【0033】
この態様によれば、発光素子とノズルとを固定した状態でハウジングに取り付けることができるので、発光素子の発光する光が確実にノズルのノズル孔内へと導かれるように、正確に位置決めをしてから組み立てることができる。
【0034】
本願請求項13に係る手乾燥装置では、前記発光素子が発光する光が通過するノズルに形成されているノズル孔の内壁面には、前記発光素子が発光する光を反射することができるように反射部材が設けられていることを特徴とする。
【0035】
この態様によれば、発光素子が発光する光を通過させるノズル孔の内壁面内に反射部材を設けているので、ノズル孔内での光の減衰を抑制することができ、確実に受光素子へと光を照射することができる。
【0036】
本願請求項14に係る手乾燥装置では、前記反射部材は平面部を有し、前記発光素子が発光する光は前記平面部で反射して前記受光素子が受光するように構成されていることを特徴とする。
【0037】
この態様によれば、発光素子が発光する光を反射部材の平面部によって反射させることで、湾曲面等で反射させる場合に比べ光の反射方向が比較的単純なものとなるため、受光素子で受光できる範囲へ光が照射されるよう容易に設定することができる。
【0038】
本願請求項15に係る手乾燥装置では、前記発光素子は前記ダクト内に配置され、前記発光素子よりも前記送風機側に、前記発光素子への空気の吹きつけを低減させる分流板が設けられていることを特徴とする。
【0039】
この態様によれば、発光素子をダクト内へと配置しつつ、その発光素子よりも送風機側に分流板を設けているので、よりノズルに近接して発光素子を配置することで発光素子が発光する光をより確実にノズル孔に導くことが可能となると共に、発光素子への空気の吹きつけを低減させることでダクト内の空気の流速低下を防止することができる。
【0040】
本願請求項16に係る手乾燥装置では、前記複数のノズルは、前記送風機から吹き出す空気をそのノズル孔に通過させる第1ノズルと、前記送風機から吹き出す空気をそのノズル孔に通過させない第2ノズルとによって構成され、前記複数のノズルは、前記開口凹部の幅方向に沿って列状に配置されており、その列状配置された複数のノズルの両端のノズルを前記第2ノズルとして構成したことを特徴とする。
【0041】
空気を手乾燥部に吹き出すためのノズルを、幅方向に沿って列状配置した場合、一般的には中央近傍のノズルから吹き出す空気が手の乾燥に大きく寄与し、両端近傍のノズルから吹き出す空気は手の乾燥にさほど寄与しないものである。そこでこの態様では、発光素子が発光する光を通過させる第2ノズルを、列状配置された複数のノズルの両端に配置することで、手の乾燥性能への影響を低減しつつ、開口凹部への手の挿入を確実に検知することができる。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、使用者からは手の挿入有無を検知するためのセンサを視認し難いものとしつつ、使用者が直感的に使用することで違和感なく手に空気を吹き付けることを可能とする手乾燥装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施形態である手乾燥装置の配置態様を示す図である。
【図2】図1に示す手乾燥装置の外観を示す斜視図である。
【図3】図2に示す手乾燥装置の正面図である。
【図4】図2に示す手乾燥装置の背面図である。
【図5】図3に示す手乾燥装置のA−A断面図である。
【図6】図3に示す手乾燥装置のB−B断面図である。
【図7】図2に示す手乾燥装置の開口凹部に手を差し入れた状態を示す概略断面図である。
【図8】図7に示す手乾燥装置のノズル及びセンサ近傍を拡大した部分拡大断面図である。
【図9】図2に示す手乾燥装置の平面図である。
【図10】図9において、センサを入れ替えた状態を示す手乾燥装置の平面図である。
【図11】図7に示す手乾燥装置のノズル及びセンサ近傍を拡大した部分拡大断面図である。
【図12】図11に示す手乾燥装置の平面図である。
【図13】図2に示す手乾燥装置においてセンサの配置位置を変更した例を示す部分拡大断面図である。
【図14】図13に示す手乾燥装置の背面図である。
【図15】図13に示す手乾燥装置のノズル配置について説明するための図である。
【図16】図13に示す手乾燥装置のノズル配置について説明するための図である。
【図17】図15及び図16に示すノズル配置の変形例を説明するための図である。
【図18】図15及び図16に示すノズル配置の変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0045】
図1及び図2を参照しながら、本発明の一実施形態である手乾燥装置について説明する。図1は本発明の実施形態である手乾燥装置1を洗面所に設置した状態を示す斜視図、図2は手乾燥装置1の斜視図である。
【0046】
図1に示すように、本実施形態の手乾燥装置1は、例えば、洗面所などの壁面Wに設置されている水栓F付きの洗面器Lの側方に設置され、水栓Fおよび洗面器Lを利用して手を洗った人が、濡れた手を乾燥するために使用するものである。
【0047】
なお、以下、説明の便宜上、本実施形態の手乾燥装置1を構成する部分(要素)において、手の掌側を乾燥させるための関連要素の各名称には「掌側」と付し、手の甲側を乾燥させるための関連部分の各名称には「甲側」と付する場合があり、位置関係を説明する際にも同様の趣旨で「掌側」又は「甲側」との語を用いる場合がある。手乾燥装置1を壁面Wに取り付けた状態で使用者を基準に換言すれば、「掌側」とは「手前側」であり、「甲側」とは「壁面側」である。従って、「掌側」の代わりに「手前側」を用い、「甲側」の代わりに「壁面側」を用いる場合もある。なお、本実施形態では手乾燥装置1を洗面所の壁面Wに設置する場合について説明しているが、手乾燥装置1の設置態様はこれに限られるものではなく、例えば壁面Wに固定されずに床面に立設される場合もある。
【0048】
図2に示すように、手乾燥装置1は、ハウジング2及び水受けトレー19を備えている。ハウジング2は、手前側部材2a(正面側部材)と、壁面側部材2b(背面側部材)と、側面部材2cと、側面部材2dとによって構成されている。ハウジング2には手乾燥部としての開口凹部4が形成され、その開口凹部4の下方には送風機(図1及び図2においては明示せず、詳細は後述する)が内蔵されている。開口凹部4は上方に開口しており、使用者が手を差し入れるための開口部4uが形成されている。
【0049】
手乾燥装置1を壁面Wに取り付けた状態で使用者に対して手前側となる手前側部材2aは、水平方向に直線状に略等間隔に列設された複数のノズル6aを備えている。また、手乾燥装置1を壁面Wに取り付けた状態で使用者に対して壁面側となる壁面側部材2bは、ノズル6aと同様に水平方向に直線状に略等間隔に列設された複数のノズル6b(図1及び図2には明示せず、詳細は後述する)を備えている。ノズル6a及びノズル6bは、送風機から送給される空気流を開口凹部4内へ吹き出すためのノズルである。
【0050】
また、ハウジング2の右側面には側面部材2dが着脱可能に装着され、側面部材2dには、水滴の通過を防止するルーバー5を有する台形状の通気口5aが設けられている。なお、ハウジング2の左側面にも側面部材2dと鏡面対称な形状を有する側面部材2c(図1及び図2には明示せず、詳細は後述する)が着脱可能に装着されている。そして、開口凹部4内に差し込まれた濡れた手から吹き飛ばされた水滴を回収するため、ハウジング2の底部に、水受けトレー19が着脱可能に取り付けられている。
【0051】
続いて、図3〜図6を参照しながら手乾燥装置1について更に詳細に説明する。図3及び図4は、手乾燥装置1を示す正面図及び背面図であり、図5及び図6は、図3に示す手乾燥装置1のA−A断面図及びB−B断面図である。なお、図3〜図6では、空気または風の流れを矢印で示している。
【0052】
図3〜図6に示すように、本実施形態の手乾燥装置1は、手乾燥装置本体を取り囲むハウジング2を備えている。このハウジング2の上部には、ハウジング2の上方からその内部へ並べた両手を挿入することができるように、上端が開口した開口凹部4が設けられている。
【0053】
この開口凹部4は、そこに手を配置して風を当てて乾燥させる部分(手乾燥部)である。通常、掌をハウジング2の手前側部材2a側に向け、手の甲をハウジング2の壁面側部材2b側に向けた姿勢で、手をハウジング2の上方から開口凹部(手乾燥部)4内へ挿入するようになっている。
【0054】
本実施形態の手乾燥装置1では、手をハウジング2の上方から開口凹部4内へ挿入し、開口凹部4の掌側壁面4a及び甲側壁面4bにそれぞれ設けられたセンサ3a,3bが手を検知すると、両壁面4a,4bのそれぞれにほぼ水平方向直線状に設けられた複数の掌側用のノズル6a及び甲側用のノズル6bから、手の掌側及び甲側にそれぞれ温風が吹き付けられ、手に付着していた水滴を飛ばしながら下方へ流れるようになっている。尚、センサ3a,3bの配置態様については後に詳述する。
【0055】
また、ハウジング2内には、掌側用のノズル6a及び甲側用のノズル6bのそれぞれに送風するための掌側用のファンモータユニット8a及び甲側用のファンモータユニット8bが互いに隣接して設けられている。各ファンモータユニット8a,8bは、その回転駆動軸10a,10bがハウジング2の手前側部材2a及び又は壁面側部材2bに対して垂直な方向に延びるように配置されている(図5及び図6参照)。
【0056】
なお、掌側用及び甲側用のファンモータユニット8a,8bとも同一の最大出力を有する同一形態のものであり、両者とも回転駆動軸10a,10bの回転数を所望に変えることができるようになっている。手乾燥装置1の使用時には、掌側用の回転駆動軸10aが甲側用の回転駆動軸10bよりも高速に回転するように各ファンモータユニット8a,8bを設定し、掌側に供給する風量が手の甲側に供給する風量に比べて大きくするのが好ましい。
【0057】
また、甲側用のファンモータユニット8bは、ハウジング2の底部に隣接して配置され、掌側用のファンモータユニット8aは、その掌側用回転駆動軸10aが甲側用回転駆動軸10bに対して前方斜め上方に位置するように、甲側用のファンモータユニット8bの前方斜め上方に隣接して配置されている。さらに、各ファンモータユニット8a,8bの各ケーシング12a,12bの後端部には、掌側用及び甲側用の吸込口14a,14bがそれぞれ設けられている。
【0058】
一方、各ファンモータユニット8a,8bの各吹出ダクト15a,15bの下流端には、上方に突出する掌側用及び甲側用の吹出口16a,16bがそれぞれ形成されている。この各吹出口16a,16bには、掌側用及び甲側用のフィンヒータ18a,18bがそれぞれ設けられ、各フィンヒータ18a,18bにより、各吹出口16a,16bから吹き出される空気が温められるようになっている。
【0059】
また、ハウジング2の底部2eには水受けトレー19が設けられており、開口凹部4内において両端がなで肩形状の底面4cに落ちて両側に掃けた水が、ハウジング2の内側部にある排水溝(図示せず)を伝って水受けトレー19内に落ちるようになっている。さらに、水受けトレー19の背面側には、フィルタ20を備えた空気取入口22が設けられ、この空気取入口22には、掌側用及び甲側用の吸気ダクト24a,24bがそれぞれ接続されている。
【0060】
各吸気ダクト24a,24bは、それらの上流端26a,26bが空気取入口22のフィルタ20の上に配置され、各上流端26a,26bと各吸込口14a,14bを連通させるように、各上流端26a,26bからハウジング2の壁面側部材2bに沿って上方にほぼ真っ直ぐ延びている。手乾燥装置1の作動中、ハウジング2の外部の空気は、空気取入口22からフィルタ20を介して、各吸気ダクト24a,24bに別々に吸込まれるようになっている。
【0061】
さらに、各吸気ダクト24a,24b内のそれぞれの上部において、各ファンモータユニット8a,8bの各吸込口14a,14bに隣接して掌側用及び甲側用の吸音材28a,28bがそれぞれ配置されており、各吸音材28a,28bにより、各ファンモータユニット8a,8bの作動中に各吸込口14a,14bから漏出した音がそれぞれ吸収されるようになっている。
【0062】
また、掌側用の吹出口16aには掌側用の送風ダクト30aが接続されており、この掌側用の送風ダクト30aは、ハウジング2の手前側部材2aに隣接して吹出口16aから上方に延びるように形成されている。さらに、掌側用の送風ダクト30a内の背面は、上述した開口凹部4の掌側壁面4aを形成しており、送風ダクト30a内の上部の背面側には、複数の掌側用のノズル6aが掌側用の吹出口16aのほぼ真上に位置するように配置されている(図5参照)。
【0063】
一方、甲側用の吹出口16bには、掌側用の吹出口16aと同様に、甲側用の送風ダクト30bが接続されており、この甲側用の送風ダクト30bは、甲側用の吹出口16bから開口凹部4の甲側壁面4bに配置されている複数の甲側用ノズル6bへと延びるように形成されている(図6参照)。
【0064】
尚、ハウジング2の各寸法については、成人の両手を並べて開口凹部4内へ挿入した際に、掌と手の甲が、開口凹部4の掌側壁面4a及び甲側壁面4bのそれぞれと接触しないように寸法決めされている。
【0065】
例えば、ハウジング2の横幅については、好ましくは200mm〜350mmであり、最も好ましくは300mmである。また、ハウジングの奥行は、好ましくは120mm〜250mmであり、最も好ましくは180〜200mmである。また、掌側用のノズル6aと甲側用のノズル6bとの距離については、好ましくは70mm〜100mmであり、最も好ましくは85mmである。また、ハウジング2の高さは、好ましくは450mm〜700mmであり、最も好ましくは680mmである。
【0066】
上述したように、ハウジング2の両側面部材2c,2dには、風抜き手段であるルーバー5が設けられ(図2,図5及び図6参照)、開口凹部4内に配置された手にノズル6a,6bから温風が吹きつけられた際にハウジング2の側面部材2c,2dの方向に飛散した水滴が、このルーバー5により遮断され、風のみがルーバー5を抜けるようになっている。
【0067】
本実施形態の手乾燥装置1では、手をハウジング2の上方から開口凹部4内へ挿入し、開口凹部4の掌側壁面4a及び甲側壁面4bにそれぞれ設けられたセンサ3a,3bが手を検知すると、CPU及びメモリといった構成要素からなる制御手段(図示しない)によってファンモータユニット8a,8bが駆動され、両壁面4a,4bのそれぞれにほぼ水平方向直線状に設けられた複数の掌側用のノズル6a及び甲側用のノズル6bから、手の掌側及び甲側にそれぞれ温風が吹き付けられ、手に付着していた水滴を飛ばしながら下方へ流れるようになっている。
【0068】
続いて、本実施形態におけるセンサ3a,3bの配置態様について説明する。本実施形態では、手前側に配置されるセンサ3aを受光素子とし、壁面側に配置されるセンサ3bを発光素子としている。発光素子であるセンサ3bから出射される光を受光素子であるセンサ3bが受光することができるように、センサ3bとセンサ3aとの位置関係が設定されている。この手乾燥装置1は、センサ3bから出射される光をセンサ3aが受光しなかった場合に、使用者の手が開口凹部4へと挿入されたものとして、上述したような動作を実行するように構成されている。
【0069】
センサ3aは、図3及び図5に示すように、手前側に配置される掌側用のノズル6aの下方であって、開口凹部4の壁面Wに沿った幅方向略中央に配置されている。一方、センサ3bは、図4及び図5に示すように、壁面側に配置される甲側用のノズル6bの後方であって、開口凹部4の壁面Wに沿った幅方向略中央に配置されている。この具体的な配置位置を図7に示す。
【0070】
図7に示すように、センサ3bはノズル6bの後方であって、ノズル6bの一端から他端にかけて形成されているノズル孔61を見通すことができる位置に配置されている。ノズル孔61の中心線上にはセンサ3bが配置されている。従って、発光素子であるセンサ3bから発光された光はノズル6bのノズル孔61を通過して、受光素子であるセンサ3aが受光できるように構成されている。
【0071】
続いて、ノズル6bとセンサ3bとの位置関係について図8を参照しながら説明する。図8は、図7のノズル6b及びセンサ3b近傍を拡大した図である。まず、ノズル6bの壁面4bへの取り付けについて説明する。図8に示すように、ノズル6bには、フランジ62が一体に形成されている。ノズル6bは、好ましくは、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂)、PP(ポリプロピレン)等の材料でできており、フランジ62を含む複数本のノズル6bが一方向からの型抜きによって一体成形されたものである。これらのフランジ62は、壁面4bに一体に形成され且つ各フランジ62に向かって突出している支持突起46bに熱かしめされている。
【0072】
また、ノズル6bは、ノズル入口61aとノズル出口61bとを備えている。ノズル入口61aからノズル出口61bにかけて、ノズル6b(ノズル孔61)の流路断面(縦断面)が所定の絞り角度αで絞られている中空の円錐台形状となっている。
【0073】
すなわち、上述した絞り角度αは、ノズル6bの中心軸線を含む、円錐台の切り落とされた頭部分の仮想の縦断面における内側輪郭線が仮想の頂点でそれぞれ交わる角度(頂角)となっている。ここでいう円錐台は、円錐の頭部分を斜めに切り落としたものも含むものとする。従って、ノズル孔61は、その開口が略円形となるように、ノズル6bの一端(ノズル入口61a)から他端(ノズル出口61b)にかけて孔を穿つことで設けられている。ノズル孔61は、ノズル6bの一端(ノズル入口61a)から他端(ノズル出口61b)に向けて開口断面積が漸減するように、その内壁面が円錐台形状に形成されている。
【0074】
なお、絞り角度αは、壁面4bの吹出孔42bから開口凹部4の水平方向内方に約15mm〜30mm程度離れた位置(手の配置位置)で風速が高くなるように、好ましくは、約5度〜20度、最も好ましくは、約5度〜15度に設定するのがよい。
【0075】
また、ノズル出口61bの直径は、好ましくは、約2.5〜5mmである。また、各ノズル入口61aからノズル出口61bまでの距離は、好ましくは、約10〜25mmである。各ノズル6bが、ほぼ直線状に配置される際の間隔は、各ノズル6bの中心間距離で7mm〜12mm程度であるのが好ましく、このため各ノズル入口61bの直径は、12mm以下にしておけば隣のノズルと穴が重ならず、好ましくは、約3〜12mmである。このことから、絞り角度αは、好ましくは、約5度〜20度、最も好ましくは、約5度〜15度に設定するのが最も好ましい。
【0076】
各ノズル出口61bは、壁面4bに形成されている吹出孔42bに接続されている。各吹出孔42bは、その直径が各ノズル出口61bの直径よりも大きく設定されており、壁面4bの吹出孔42bは、各ノズル出口61bからの風の吹き出し具合に影響を与えないような構造となっている。ここで、各吹出孔42bの直径は、好ましくは、約4〜7mmである。尚、ノズル6aの壁面4aへの取り付けについても、ノズル6bの壁面4bへの取り付けと同様である。
【0077】
このように壁面4bに取り付けられたノズル6bに対して、センサ3bは、ノズル入口61a側であって、ノズル6bの中心軸線上に位置するように送風ダクト30bの外側に配置されている。センサ3bが取り付けられている送風ダクト30bの部分には、透光部301が設けられている。透光部301は、発光素子であるセンサ3bから発光された光を透過することが可能であって、その透過した光がノズル6bを通過して受光素子であるセンサ3aへと到達可能なように構成されている。従って、透光部301は、実質的に透明な窓状に形成されることも好ましく、その部分を肉薄状態として透光可能なように形成されることも好ましい。
【0078】
図8に示すように、送風ダクト30bの外側にセンサ3bを取り付ける場合には、送風ダクト30bの外壁面の傾きなどによって、センサ3bから発光される光がノズル6bのノズル孔61に効率良く入射されない場合も想定されるので、そのような場合に備えて光軸調整手段を備えることも好ましい態様である。この光軸調整手段は、発光素子であるセンサ3bが発光する光の軸方向を調整することが可能であれば、プリズムやレンズ、鏡など、種々の要素を採用しうるが、その具体的な構成は特に限定されない。これにより、センサ3bのレイアウトの自由度を増すことができる。
【0079】
本実施形態では、ノズル6bの後方に発光素子としてのセンサ3bを設けたけれども、ノズル6bの後方に受光素子としてのセンサ3aを設けることも可能である。ノズル6bの後方に発光素子としてのセンサ3bを設けた際の光の授受の様子を模式的に図9に示し、恩ずる6bの後方に受光素子としてのセンサ3aを設けた際の光の授受の様子を模式的に図10に示す。
【0080】
図9及び図10に示すように、発光素子としてのセンサ3bから出射された光は、徐々に拡散しながら進行する。従って、図9に示すように、甲側のノズル6bの後方にセンサ3bを配置すると、センサ3bから出射された光はあまり拡散しない段階でノズル6bのノズル孔61を通過し、掌側に配置されたセンサ3aに至る。ノズル孔61を通さなかった場合にセンサ3bから出射された光が拡散する範囲がR0だとすると、ノズル孔61を通した場合にセンサ3bから出射された光が拡散する範囲R1は比較的広い範囲となり、センサ3aでの受光がより確実なものとなる。
【0081】
一方、図10に示すように、甲側のノズル6bの後方にセンサ3aを配置し、センサ3bを掌側の壁面4a内に配置すると、センサ3bから出射された光はかなり拡散した段階でノズル6bのノズル孔61を通過し、甲側に配置されたセンサ3aに至る。ノズル孔61を通さなかった場合にセンサ3bから出射された光が拡散する範囲がR0だとすると、ノズル孔61を通した場合にセンサ3bから出射された光が拡散する範囲R2は比較的狭い範囲となり、センサ3aでの受光能力においては図9に示す例の方が好ましい状態となる。
【0082】
また、図11に示すように、ノズル6bのノズル孔61内壁面にスリーブ611を挿入し、スリーブ611を反射部材とすることも好ましい。このように反射部材であるスリーブ611を配置することで、発光素子としてのセンサ3bがノズル孔61の中心軸線61x上に配置されていない場合であっても、センサ3bから出射された光はスリーブ611によって反射され受光素子としてのセンサ3aへと向かうように構成することができる。尚、受光素子であるセンサ3aは、ノズル孔61の中心軸線61x上に配置することがより好ましい態様である。
【0083】
上述した例では、全てのノズル6bのノズル入口61a及びノズル出口61bが同じ寸法であるものとして説明したが、後方にセンサ3bが配置されているノズル6bのみのノズル入口61a寸法を異ならせるようにすることも好ましい。この好ましい態様を図12に示す。
【0084】
図12に示すように、その後方にセンサ3bが配置されているノズル6bのノズル入口61aは直径がD3であり、ノズル出口61bは直径がD1であるように形成されている。一方、その後方にセンサ3bが配置されていないノズル80のノズル入口81aは直径がD2であり、ノズル出口81bは直径がD1であるように形成されている。D3はD2よりも大きくなるように形成しているので、センサ3bから出射された光を漏らさず集約して受光素子としてのセンサ3aへと照射することができる。一方、ノズル6bとノズル80とは、それらのノズル出口61b及びノズル出口81bの直径をD1として同じになるように形成しているので、外観上は同じノズルが並んでいるように見えるため、使用者に違和感を覚えさせることがない。
【0085】
上述した例では、発光素子であるセンサ3bを送風ダクト30bの外に配置したけれども、センサ3bを送風ダクト30bの内部に配置することも好ましい態様である。センサ3bを送風ダクト30bの内部に配置する例を図13に示す。図13に示す例では、壁面4bに取り付けたノズル600のノズル入口601a側にフランジ603を設け、そのフランジ603にセンサ3bを固定している。従って、発光素子であるセンサ3bはノズル600のノズル入口601aに直接取り付けられる。このように取り付けられたセンサ3bから出射された光は、ノズル入口601aからノズル孔601内に入り、ノズル出口601bから受光素子であるセンサ3aへと向かうことになる。この例の場合には、センサ3bから出射された光が直接ノズル孔601内へと入るので、センサ3bから出射された光をロスすることなくセンサ3aへと向かわせることができる。
【0086】
図13に示す例では、送風ダクト30b内にセンサ3bを配置していると共に、ノズル600に直接固定し、そのノズル入口601aを塞いでいるので、送風ダクト30b内の空気をなるべく直接当てないように構成することが好ましい。そこで、センサ3bを取り付けたノズル900の下方であって、送風ダクト30b内に分流板301を設けている。分流板301は、発光素子であるセンサ3bへの空気の吹き付けを低減させるためのものであり、図14に示すように、センサ3b及びノズル600に向けて末広がりになっているV字状に設けられている。
【0087】
図13に示す例では、ノズル600はセンサ3bによって塞がれてしまい、送風ダクト30bから供給される空気を通すことができなくなる。そのため、幅方向の略中央にノズル600及びセンサ3bを設けるのに加えて、両端にノズル600及びセンサ3bを設けることも好ましい。このような例を図15及び図16に示す。図15は、ノズル600の配置態様を正面から見た図であり、図16は図15のC−C断面図である。図15及び図16に示すように、両端に配置されたノズル600は、そのノズル孔601に空気が通るように構成しても、手の可能への寄与度が低いため、この例のように塞いでしまっても乾燥能力低下を抑制することができる。また、両端に配置するノズル600は、図16に示すように開口凹部4の中央へ向けることが好ましい。このようにノズル600及びセンサ3bを配置することで、開口凹部4に使用者が差し入れる手をより確実に検知することができる。
【0088】
更に、両端にセンサ3bを設ける場合の変形例を図17及び図18に示す。図17はノズル600を中央に配置し、ノズル650を両端に配置した態様を正面から見た図である、図18は、図17のD−D断面図である。図17及び図18に示すノズル650は、その内壁面が光の反射率の高い材料によって構成されており、当該部分が実質的に反射部材として機能している。ノズル650には平面部650aが形成されている。図17に示すように、平面部650aが外側に位置するようにノズル650が配置されている。
【0089】
図18に示すように、ノズル650の後方に配置されるセンサ3bは、ノズル650の後端から離隔した位置に配置され、そのセンサ3bから出射された光がノズル650の平面部650aに当たってセンサ3aへと向かうように構成されている。センサ3aは、ノズル661,662,662の後方に配置されている。ノズル661は中央に設けられているノズルであって、対向配置されているノズル600を通過して出射される光をセンサ3aへと通過するように構成されている。一対のノズル662は、ノズル661を挟んで配置されており、ノズル650を通過して出射される光をセンサ3aへと通過するように構成されている。従って、発光素子であるセンサ3bが発光する光は、背面側部材としての壁面側部材2bに配置されるノズル600,650及び正面側部材としての手前側部材2aに配置されるノズル661,662の双方を通過して受光素子であるセンサ3aが受光するように構成されている。
【符号の説明】
【0090】
1:手乾燥装置
2:ハウジング
2a:手前側部材
2b:壁面側部材
2c,2d:側面部材
2e:底部
3a,3b:センサ
4:開口凹部
4a:壁面
4b:壁面
4c:底面
4u:開口部
5:ルーバー
5a:通気口
6a,6b:ノズル
8a,8b:ファンモータユニット
10a,10b:回転駆動軸
12a,12b:ケーシング
14a,14b:吸込口
15a,15b:吹出ダクト
16a,16b:吹出口
18a,18b:フィンヒータ
19:水受けトレー
20:フィルタ
22:空気取入口
24a,24b:吸気ダクト
26a,26b:上流端
28a,28b:吸音材
30a:送風ダクト
30b:送風ダクト
42b:吹出孔
46b:支持突起
61:ノズル孔
61a:ノズル入口
61b:ノズル出口
61x:中心軸線
62:フランジ
80:ノズル
81a:ノズル入口
81b:ノズル出口
301:透光部
611:スリーブ
F:水栓
L:洗面器
W:壁面
【技術分野】
【0001】
本発明は、手乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、特に公共のトイレ等においては、手洗い後に手に付着している水を拭き取るためのペーパータオルを削減する傾向が強まっており、ペーパータオルの代わりに手乾燥装置を設置する場合が増えている。このような手乾燥装置は、洗面ボウルが配置されている場所からは少し離れた洗面カウンター上の壁面や、洗面カウンターから離れたトイレ空間の壁面等に設置されている場合が多い(下記特許文献1参照)。
【0003】
下記特許文献1において提案されている手乾燥装置では、手乾燥部へ挿入された使用者の手を検知し、ファンモータユニットを駆動させるためのセンサを備えている。そのセンサは手乾燥部の内壁に設けられ、使用者の手に対して空気を吹きつけるノズルよりも下方に配置されている。このような構成により、従来の手乾燥装置は、手乾燥部への手の挿入を確実に検知し、手の挿入を検知した場合にはその手に確実に空気を吹きつけることができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−25939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の技術では、手の挿入有無を検知するためのセンサについて、そのセンサをノズルよりも下方に配置することで、上方から挿入された使用者の手をセンサが検知する際には、ノズル近傍に必ず手が存在するように構成している。そのため、ノズル近傍に使用者の手が存在しないにもかかわらずノズルから空気が吹き出してしまうようなことが無く、確実に手に空気を吹き付けて乾燥することが可能となっている。
【0006】
しかしながら、使用者は、空気を吹き出すノズルに直感的に手を差し出すのが一般的である。しかしながら、手の乾燥を開始するためには、空気を吹き出すノズルとは異なる位置に配置されているセンサに手をかざす必要があることから、使用者が違和感を覚える場合もある。
【0007】
また、センサがノズルよりも下方に配置されていることから、使用者が手を手乾燥部に挿入した後に手を引き抜く場合において、使用者の手がセンサから遠ざかりセンサが手を検知しなくなっても、使用者の手がノズル近傍に存在する間はノズルから空気を吹き出し続けるようにするために、空気を吹き出すためのファンモータのOFFディレー制御を行う必要がある。ゆっくり手を引き抜く使用者を想定してディレー時間を長く設定すると、素早く手を引き抜く使用者にとっては、使用後もノズルから不要な空気を吹き出すこととなり違和感を覚えることがある。
【0008】
更に、手の挿入有無を検知するためのセンサが手乾燥部の内壁に露出して設けられているため、使用者から見え、意匠性が損なわれるという問題があった。
【0009】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、使用者が直感的に使用することで違和感なく手に空気を吹き付けることを可能とし、意匠性を損なうことのない手乾燥装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明に係る手乾燥装置は、使用者の手に空気を吹き付けて乾燥させる手乾燥装置であって、空気を吹き出す送風機と、前記送風機を内蔵するハウジングと、使用者の手が挿入される空間が構成されるように、前記ハウジングの正面側部材と背面側部材とによって形成され、かつ前記ハウジングの上面に開口した開口凹部と、前記正面側部材及び背面側部材のそれぞれに設けられ、貫通する複数のノズル孔が形成されたノズルと、前記送風機が吹き出した空気を前記複数のノズル孔の少なくとも一部に供給するダクトと、少なくとも一対の発光素子及び受光素子からなり、前記開口凹部内に挿入された手を検知するためのセンサと、前記センサが使用者の手を検知すると、前記送風機を駆動させる制御手段と、を備え、前記複数のノズル孔の少なくとも一つから前記開口凹部内へと空気が吹き出されるように構成されると共に、前記発光素子が発光する光は、前記複数のノズル孔の少なくとも一つのノズル孔を通過して前記受光素子が受光するように構成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明では、開口凹部内への手の挿入を検知するためのセンサを構成する発光素子及び受光素子について、発光素子が発光した光をノズルに形成されたノズル孔を通過して受光素子が受光するように構成している。このように構成することで、ノズルへと手をかざすことで、開口凹部内への手の挿入を検知することができる。すなわち、使用者は、空気が吹き出すノズルの近傍に手をかざすという自然な動作によって手を検知させて空気を吹き出させるため、違和感を覚えることなく手を乾燥させることが可能なように構成している。一方で、発光素子と受光素子との間にはノズルが介在することになるので、そのノズルによって発光素子又は受光素子を視認し難いように配置することが可能となり、意匠性の向上を図ることができる。更には、ノズルの配置位置において使用者の手を検知しているので、空気が吹き出す位置と手の検知位置とを略同一なものとすることができる。このようにすることで、センサの検知タイミングに対して空気を吹き出すタイミングをずらす必要がなくなり、簡易な構成でノズル近傍への手の挿入タイミングと空気の吹き出しタイミングとを同期させることができる。
【0012】
本願請求項2に係る手乾燥装置では、前記発光素子が発光する光は、前記正面側部材及び背面側部材のそれぞれに設けられた前記ノズルのノズル孔の双方を通過して前記受光素子が受光するように構成されていることを特徴とする。
【0013】
この態様では、発光素子と受光素子の双方を、正面側部材及び背面側部材に設けられたノズルによって視認し難くなるよう配置することが可能となり、更なる意匠性の向上を図ることができる。
【0014】
本願請求項3に係る手乾燥装置では、前記発光素子は、前記ノズル孔の近傍に配置されていることを特徴とする。
【0015】
この態様では、発光素子をノズル孔の近傍に配置することで、発光素子が発光した光が拡散してしまう前にノズル孔内へと導入することができ、ノズル孔を通過する光の量を十分に確保することが可能となる。
【0016】
本願請求項4に係る手乾燥装置では、前記発光素子は、前記開口凹部の前記背面側部材に配置されていることを特徴とする。
【0017】
この態様によれば、発光素子をノズル孔の近傍に配置しつつ、発光素子を開口凹部の背面側部材に配置することで、発光素子とノズルとを開口凹部の背面側に配置しつつ発光素子をノズルで視覚的に隠蔽することができる。従って、発光素子を使用者が視認しやすくなる背面側に配置しつつも、実際にはノズルによって視覚的に隠蔽されて、その存在を使用者が意識しないように構成することができ、全体として意匠性が向上する。
【0018】
本願請求項5に係る手乾燥装置では、前記発光素子は、前記開口凹部の前記背面側部材に沿った幅方向略中央に配置されていることを特徴とする。
【0019】
この態様によれば、発光素子が開口凹部の背面部材に沿った幅方向略中央に配置されているので、使用者が開口凹部に手を差し入れたことを確実に検知することができる。具体的には、使用者が片手のみを開口凹部に差し入れたとしても、開口凹部の中央付近に手を差し入れるのが通常であるため、確実に検知することができる。また、使用者が両手を開口凹部に差し入れた場合には、両手間の間隔をある程度空けて差し入れるため、発光素子から発光される光と干渉しないようにも思えるが、開口凹部に両手を差し入れた使用者は、手をセンサに検知させるためその両手を左右に振ったりするものなので、この場合にも使用者の開口凹部への手の差し入れを確実に検知することができる。
【0020】
本願請求項6に係る手乾燥装置では、前記発光素子は、前記ダクトの外側に配置され、前記発光素子が発光する光は、前記ダクトに設けられた透光部を通過して前記受光素子が受光するように構成されていることを特徴とする。
【0021】
この態様によれば、発光素子をノズル孔の近傍に配置しつつ、発光素子が発光する光をダクトに設けた透光部を通過して受光素子が受光するように構成しているので、発光素子をダクト外に配置し、その発光素子が発光した光を、透光部とノズルとを通過させて開口凹部に照射することができる。従って、発光素子をダクト外に配置することで、ダクト内の空気流への影響を低減しつつ、ダクト内からの空気や水分の影響をも低減することができると共に、発光素子をダクト外に配置しつつもその発光する光を確実に開口凹部へと照射することができる。
【0022】
本願請求項7に係る手乾燥装置では、前記発光素子が発光する光の軸方向を調整するための光軸調整手段を備えることを特徴とする。
【0023】
この態様によれば、発光素子をダクト外に配置することを可能とする共に、その発光素子が発光する光の軸方向を調整することも可能とすることができる。発光素子をダクト外に配置することで、発光素子とノズルとの間には透光部という介在物が存在することになるが、光軸調整手段によって発光素子が発光する光の軸方向を調整することができるので、ノズルを調整することなく、発光素子が発光する光を透光部及びノズル孔を介して確実に開口凹部へと導くことができる。
【0024】
本願請求項8に係る手乾燥装置では、前記ノズル孔は、その開口が略円形となるように形成されていることを特徴とする。
【0025】
この態様では、ノズル孔を、その開口が略円形となるよう、内壁面を円筒状又は円錐台状とすることで、その内壁面に当たった光が乱反射することなく一定の指向性をもってノズルから開口凹部へと照射されるように構成することができる。
【0026】
本願請求項9に係る手乾燥装置では、前記ノズル孔は、光の入口側から出口側に向けて開口断面積が減少するようにその内壁面が円錐台形状に形成され、前記受光素子は前記円錐台形状の略中心線上に配置されていることを特徴とする。
【0027】
この態様によれば、ノズル孔の内壁面が円錐台形状となるように構成し、更に光の入口側から出口側に向けて開口断面積が減少するように構成しているので、発光素子が発光する光を入口側からノズル孔内に導入することで、より指向性を持たせた光を受光素子へと照射することができる。更に、受光素子は円錐台形状の略中心線上に配置されているので、指向性を持ってノズル孔から出射された光を確実に受光することができる。
【0028】
本願請求項10に係る手乾燥装置では、前記発光素子が発光する光が通過するノズル孔における光の入口径は、他のノズル孔の入口径よりも大きくなるように形成されていることを特徴とする。
【0029】
この態様によれば、発光素子が発光する光を通過させるノズル孔の入口径を、他のノズル孔の入口径よりも大きくなるように形成しているので、発光素子が発光する光をより確実にノズル孔内へと導入し、より確実に開口凹部へと照射することができる。
【0030】
本願請求項11に係る手乾燥装置では、前記発光素子が発光する光が通過するノズルに形成されているノズル孔における光の出口径は、他のノズルに形成されているノズル孔の出口径と略同一となるように形成されていることを特徴とする。
【0031】
この態様によれば、発光素子が発光する光を通過させるノズル孔の入口径を他のノズル孔の入口径よりも大きくすることで発光素子が発光する光をより確実に開口凹部へと照射することを可能とする一方で、発光素子が発光する光を通過させるノズル孔の出口径と他のノズル孔の出口径とを略同一なものとすることで、使用者が視認する側の外観を同様なものとすることが可能となり、意匠性が向上する。
【0032】
本願請求項12に係る手乾燥装置では、前記発光素子は前記ノズルに固定可能なように構成され、前記発光素子と前記ノズルとを固定した状態で前記ハウジングに取り付けることができるように構成されていることを特徴とする。
【0033】
この態様によれば、発光素子とノズルとを固定した状態でハウジングに取り付けることができるので、発光素子の発光する光が確実にノズルのノズル孔内へと導かれるように、正確に位置決めをしてから組み立てることができる。
【0034】
本願請求項13に係る手乾燥装置では、前記発光素子が発光する光が通過するノズルに形成されているノズル孔の内壁面には、前記発光素子が発光する光を反射することができるように反射部材が設けられていることを特徴とする。
【0035】
この態様によれば、発光素子が発光する光を通過させるノズル孔の内壁面内に反射部材を設けているので、ノズル孔内での光の減衰を抑制することができ、確実に受光素子へと光を照射することができる。
【0036】
本願請求項14に係る手乾燥装置では、前記反射部材は平面部を有し、前記発光素子が発光する光は前記平面部で反射して前記受光素子が受光するように構成されていることを特徴とする。
【0037】
この態様によれば、発光素子が発光する光を反射部材の平面部によって反射させることで、湾曲面等で反射させる場合に比べ光の反射方向が比較的単純なものとなるため、受光素子で受光できる範囲へ光が照射されるよう容易に設定することができる。
【0038】
本願請求項15に係る手乾燥装置では、前記発光素子は前記ダクト内に配置され、前記発光素子よりも前記送風機側に、前記発光素子への空気の吹きつけを低減させる分流板が設けられていることを特徴とする。
【0039】
この態様によれば、発光素子をダクト内へと配置しつつ、その発光素子よりも送風機側に分流板を設けているので、よりノズルに近接して発光素子を配置することで発光素子が発光する光をより確実にノズル孔に導くことが可能となると共に、発光素子への空気の吹きつけを低減させることでダクト内の空気の流速低下を防止することができる。
【0040】
本願請求項16に係る手乾燥装置では、前記複数のノズルは、前記送風機から吹き出す空気をそのノズル孔に通過させる第1ノズルと、前記送風機から吹き出す空気をそのノズル孔に通過させない第2ノズルとによって構成され、前記複数のノズルは、前記開口凹部の幅方向に沿って列状に配置されており、その列状配置された複数のノズルの両端のノズルを前記第2ノズルとして構成したことを特徴とする。
【0041】
空気を手乾燥部に吹き出すためのノズルを、幅方向に沿って列状配置した場合、一般的には中央近傍のノズルから吹き出す空気が手の乾燥に大きく寄与し、両端近傍のノズルから吹き出す空気は手の乾燥にさほど寄与しないものである。そこでこの態様では、発光素子が発光する光を通過させる第2ノズルを、列状配置された複数のノズルの両端に配置することで、手の乾燥性能への影響を低減しつつ、開口凹部への手の挿入を確実に検知することができる。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、使用者からは手の挿入有無を検知するためのセンサを視認し難いものとしつつ、使用者が直感的に使用することで違和感なく手に空気を吹き付けることを可能とする手乾燥装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施形態である手乾燥装置の配置態様を示す図である。
【図2】図1に示す手乾燥装置の外観を示す斜視図である。
【図3】図2に示す手乾燥装置の正面図である。
【図4】図2に示す手乾燥装置の背面図である。
【図5】図3に示す手乾燥装置のA−A断面図である。
【図6】図3に示す手乾燥装置のB−B断面図である。
【図7】図2に示す手乾燥装置の開口凹部に手を差し入れた状態を示す概略断面図である。
【図8】図7に示す手乾燥装置のノズル及びセンサ近傍を拡大した部分拡大断面図である。
【図9】図2に示す手乾燥装置の平面図である。
【図10】図9において、センサを入れ替えた状態を示す手乾燥装置の平面図である。
【図11】図7に示す手乾燥装置のノズル及びセンサ近傍を拡大した部分拡大断面図である。
【図12】図11に示す手乾燥装置の平面図である。
【図13】図2に示す手乾燥装置においてセンサの配置位置を変更した例を示す部分拡大断面図である。
【図14】図13に示す手乾燥装置の背面図である。
【図15】図13に示す手乾燥装置のノズル配置について説明するための図である。
【図16】図13に示す手乾燥装置のノズル配置について説明するための図である。
【図17】図15及び図16に示すノズル配置の変形例を説明するための図である。
【図18】図15及び図16に示すノズル配置の変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0045】
図1及び図2を参照しながら、本発明の一実施形態である手乾燥装置について説明する。図1は本発明の実施形態である手乾燥装置1を洗面所に設置した状態を示す斜視図、図2は手乾燥装置1の斜視図である。
【0046】
図1に示すように、本実施形態の手乾燥装置1は、例えば、洗面所などの壁面Wに設置されている水栓F付きの洗面器Lの側方に設置され、水栓Fおよび洗面器Lを利用して手を洗った人が、濡れた手を乾燥するために使用するものである。
【0047】
なお、以下、説明の便宜上、本実施形態の手乾燥装置1を構成する部分(要素)において、手の掌側を乾燥させるための関連要素の各名称には「掌側」と付し、手の甲側を乾燥させるための関連部分の各名称には「甲側」と付する場合があり、位置関係を説明する際にも同様の趣旨で「掌側」又は「甲側」との語を用いる場合がある。手乾燥装置1を壁面Wに取り付けた状態で使用者を基準に換言すれば、「掌側」とは「手前側」であり、「甲側」とは「壁面側」である。従って、「掌側」の代わりに「手前側」を用い、「甲側」の代わりに「壁面側」を用いる場合もある。なお、本実施形態では手乾燥装置1を洗面所の壁面Wに設置する場合について説明しているが、手乾燥装置1の設置態様はこれに限られるものではなく、例えば壁面Wに固定されずに床面に立設される場合もある。
【0048】
図2に示すように、手乾燥装置1は、ハウジング2及び水受けトレー19を備えている。ハウジング2は、手前側部材2a(正面側部材)と、壁面側部材2b(背面側部材)と、側面部材2cと、側面部材2dとによって構成されている。ハウジング2には手乾燥部としての開口凹部4が形成され、その開口凹部4の下方には送風機(図1及び図2においては明示せず、詳細は後述する)が内蔵されている。開口凹部4は上方に開口しており、使用者が手を差し入れるための開口部4uが形成されている。
【0049】
手乾燥装置1を壁面Wに取り付けた状態で使用者に対して手前側となる手前側部材2aは、水平方向に直線状に略等間隔に列設された複数のノズル6aを備えている。また、手乾燥装置1を壁面Wに取り付けた状態で使用者に対して壁面側となる壁面側部材2bは、ノズル6aと同様に水平方向に直線状に略等間隔に列設された複数のノズル6b(図1及び図2には明示せず、詳細は後述する)を備えている。ノズル6a及びノズル6bは、送風機から送給される空気流を開口凹部4内へ吹き出すためのノズルである。
【0050】
また、ハウジング2の右側面には側面部材2dが着脱可能に装着され、側面部材2dには、水滴の通過を防止するルーバー5を有する台形状の通気口5aが設けられている。なお、ハウジング2の左側面にも側面部材2dと鏡面対称な形状を有する側面部材2c(図1及び図2には明示せず、詳細は後述する)が着脱可能に装着されている。そして、開口凹部4内に差し込まれた濡れた手から吹き飛ばされた水滴を回収するため、ハウジング2の底部に、水受けトレー19が着脱可能に取り付けられている。
【0051】
続いて、図3〜図6を参照しながら手乾燥装置1について更に詳細に説明する。図3及び図4は、手乾燥装置1を示す正面図及び背面図であり、図5及び図6は、図3に示す手乾燥装置1のA−A断面図及びB−B断面図である。なお、図3〜図6では、空気または風の流れを矢印で示している。
【0052】
図3〜図6に示すように、本実施形態の手乾燥装置1は、手乾燥装置本体を取り囲むハウジング2を備えている。このハウジング2の上部には、ハウジング2の上方からその内部へ並べた両手を挿入することができるように、上端が開口した開口凹部4が設けられている。
【0053】
この開口凹部4は、そこに手を配置して風を当てて乾燥させる部分(手乾燥部)である。通常、掌をハウジング2の手前側部材2a側に向け、手の甲をハウジング2の壁面側部材2b側に向けた姿勢で、手をハウジング2の上方から開口凹部(手乾燥部)4内へ挿入するようになっている。
【0054】
本実施形態の手乾燥装置1では、手をハウジング2の上方から開口凹部4内へ挿入し、開口凹部4の掌側壁面4a及び甲側壁面4bにそれぞれ設けられたセンサ3a,3bが手を検知すると、両壁面4a,4bのそれぞれにほぼ水平方向直線状に設けられた複数の掌側用のノズル6a及び甲側用のノズル6bから、手の掌側及び甲側にそれぞれ温風が吹き付けられ、手に付着していた水滴を飛ばしながら下方へ流れるようになっている。尚、センサ3a,3bの配置態様については後に詳述する。
【0055】
また、ハウジング2内には、掌側用のノズル6a及び甲側用のノズル6bのそれぞれに送風するための掌側用のファンモータユニット8a及び甲側用のファンモータユニット8bが互いに隣接して設けられている。各ファンモータユニット8a,8bは、その回転駆動軸10a,10bがハウジング2の手前側部材2a及び又は壁面側部材2bに対して垂直な方向に延びるように配置されている(図5及び図6参照)。
【0056】
なお、掌側用及び甲側用のファンモータユニット8a,8bとも同一の最大出力を有する同一形態のものであり、両者とも回転駆動軸10a,10bの回転数を所望に変えることができるようになっている。手乾燥装置1の使用時には、掌側用の回転駆動軸10aが甲側用の回転駆動軸10bよりも高速に回転するように各ファンモータユニット8a,8bを設定し、掌側に供給する風量が手の甲側に供給する風量に比べて大きくするのが好ましい。
【0057】
また、甲側用のファンモータユニット8bは、ハウジング2の底部に隣接して配置され、掌側用のファンモータユニット8aは、その掌側用回転駆動軸10aが甲側用回転駆動軸10bに対して前方斜め上方に位置するように、甲側用のファンモータユニット8bの前方斜め上方に隣接して配置されている。さらに、各ファンモータユニット8a,8bの各ケーシング12a,12bの後端部には、掌側用及び甲側用の吸込口14a,14bがそれぞれ設けられている。
【0058】
一方、各ファンモータユニット8a,8bの各吹出ダクト15a,15bの下流端には、上方に突出する掌側用及び甲側用の吹出口16a,16bがそれぞれ形成されている。この各吹出口16a,16bには、掌側用及び甲側用のフィンヒータ18a,18bがそれぞれ設けられ、各フィンヒータ18a,18bにより、各吹出口16a,16bから吹き出される空気が温められるようになっている。
【0059】
また、ハウジング2の底部2eには水受けトレー19が設けられており、開口凹部4内において両端がなで肩形状の底面4cに落ちて両側に掃けた水が、ハウジング2の内側部にある排水溝(図示せず)を伝って水受けトレー19内に落ちるようになっている。さらに、水受けトレー19の背面側には、フィルタ20を備えた空気取入口22が設けられ、この空気取入口22には、掌側用及び甲側用の吸気ダクト24a,24bがそれぞれ接続されている。
【0060】
各吸気ダクト24a,24bは、それらの上流端26a,26bが空気取入口22のフィルタ20の上に配置され、各上流端26a,26bと各吸込口14a,14bを連通させるように、各上流端26a,26bからハウジング2の壁面側部材2bに沿って上方にほぼ真っ直ぐ延びている。手乾燥装置1の作動中、ハウジング2の外部の空気は、空気取入口22からフィルタ20を介して、各吸気ダクト24a,24bに別々に吸込まれるようになっている。
【0061】
さらに、各吸気ダクト24a,24b内のそれぞれの上部において、各ファンモータユニット8a,8bの各吸込口14a,14bに隣接して掌側用及び甲側用の吸音材28a,28bがそれぞれ配置されており、各吸音材28a,28bにより、各ファンモータユニット8a,8bの作動中に各吸込口14a,14bから漏出した音がそれぞれ吸収されるようになっている。
【0062】
また、掌側用の吹出口16aには掌側用の送風ダクト30aが接続されており、この掌側用の送風ダクト30aは、ハウジング2の手前側部材2aに隣接して吹出口16aから上方に延びるように形成されている。さらに、掌側用の送風ダクト30a内の背面は、上述した開口凹部4の掌側壁面4aを形成しており、送風ダクト30a内の上部の背面側には、複数の掌側用のノズル6aが掌側用の吹出口16aのほぼ真上に位置するように配置されている(図5参照)。
【0063】
一方、甲側用の吹出口16bには、掌側用の吹出口16aと同様に、甲側用の送風ダクト30bが接続されており、この甲側用の送風ダクト30bは、甲側用の吹出口16bから開口凹部4の甲側壁面4bに配置されている複数の甲側用ノズル6bへと延びるように形成されている(図6参照)。
【0064】
尚、ハウジング2の各寸法については、成人の両手を並べて開口凹部4内へ挿入した際に、掌と手の甲が、開口凹部4の掌側壁面4a及び甲側壁面4bのそれぞれと接触しないように寸法決めされている。
【0065】
例えば、ハウジング2の横幅については、好ましくは200mm〜350mmであり、最も好ましくは300mmである。また、ハウジングの奥行は、好ましくは120mm〜250mmであり、最も好ましくは180〜200mmである。また、掌側用のノズル6aと甲側用のノズル6bとの距離については、好ましくは70mm〜100mmであり、最も好ましくは85mmである。また、ハウジング2の高さは、好ましくは450mm〜700mmであり、最も好ましくは680mmである。
【0066】
上述したように、ハウジング2の両側面部材2c,2dには、風抜き手段であるルーバー5が設けられ(図2,図5及び図6参照)、開口凹部4内に配置された手にノズル6a,6bから温風が吹きつけられた際にハウジング2の側面部材2c,2dの方向に飛散した水滴が、このルーバー5により遮断され、風のみがルーバー5を抜けるようになっている。
【0067】
本実施形態の手乾燥装置1では、手をハウジング2の上方から開口凹部4内へ挿入し、開口凹部4の掌側壁面4a及び甲側壁面4bにそれぞれ設けられたセンサ3a,3bが手を検知すると、CPU及びメモリといった構成要素からなる制御手段(図示しない)によってファンモータユニット8a,8bが駆動され、両壁面4a,4bのそれぞれにほぼ水平方向直線状に設けられた複数の掌側用のノズル6a及び甲側用のノズル6bから、手の掌側及び甲側にそれぞれ温風が吹き付けられ、手に付着していた水滴を飛ばしながら下方へ流れるようになっている。
【0068】
続いて、本実施形態におけるセンサ3a,3bの配置態様について説明する。本実施形態では、手前側に配置されるセンサ3aを受光素子とし、壁面側に配置されるセンサ3bを発光素子としている。発光素子であるセンサ3bから出射される光を受光素子であるセンサ3bが受光することができるように、センサ3bとセンサ3aとの位置関係が設定されている。この手乾燥装置1は、センサ3bから出射される光をセンサ3aが受光しなかった場合に、使用者の手が開口凹部4へと挿入されたものとして、上述したような動作を実行するように構成されている。
【0069】
センサ3aは、図3及び図5に示すように、手前側に配置される掌側用のノズル6aの下方であって、開口凹部4の壁面Wに沿った幅方向略中央に配置されている。一方、センサ3bは、図4及び図5に示すように、壁面側に配置される甲側用のノズル6bの後方であって、開口凹部4の壁面Wに沿った幅方向略中央に配置されている。この具体的な配置位置を図7に示す。
【0070】
図7に示すように、センサ3bはノズル6bの後方であって、ノズル6bの一端から他端にかけて形成されているノズル孔61を見通すことができる位置に配置されている。ノズル孔61の中心線上にはセンサ3bが配置されている。従って、発光素子であるセンサ3bから発光された光はノズル6bのノズル孔61を通過して、受光素子であるセンサ3aが受光できるように構成されている。
【0071】
続いて、ノズル6bとセンサ3bとの位置関係について図8を参照しながら説明する。図8は、図7のノズル6b及びセンサ3b近傍を拡大した図である。まず、ノズル6bの壁面4bへの取り付けについて説明する。図8に示すように、ノズル6bには、フランジ62が一体に形成されている。ノズル6bは、好ましくは、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂)、PP(ポリプロピレン)等の材料でできており、フランジ62を含む複数本のノズル6bが一方向からの型抜きによって一体成形されたものである。これらのフランジ62は、壁面4bに一体に形成され且つ各フランジ62に向かって突出している支持突起46bに熱かしめされている。
【0072】
また、ノズル6bは、ノズル入口61aとノズル出口61bとを備えている。ノズル入口61aからノズル出口61bにかけて、ノズル6b(ノズル孔61)の流路断面(縦断面)が所定の絞り角度αで絞られている中空の円錐台形状となっている。
【0073】
すなわち、上述した絞り角度αは、ノズル6bの中心軸線を含む、円錐台の切り落とされた頭部分の仮想の縦断面における内側輪郭線が仮想の頂点でそれぞれ交わる角度(頂角)となっている。ここでいう円錐台は、円錐の頭部分を斜めに切り落としたものも含むものとする。従って、ノズル孔61は、その開口が略円形となるように、ノズル6bの一端(ノズル入口61a)から他端(ノズル出口61b)にかけて孔を穿つことで設けられている。ノズル孔61は、ノズル6bの一端(ノズル入口61a)から他端(ノズル出口61b)に向けて開口断面積が漸減するように、その内壁面が円錐台形状に形成されている。
【0074】
なお、絞り角度αは、壁面4bの吹出孔42bから開口凹部4の水平方向内方に約15mm〜30mm程度離れた位置(手の配置位置)で風速が高くなるように、好ましくは、約5度〜20度、最も好ましくは、約5度〜15度に設定するのがよい。
【0075】
また、ノズル出口61bの直径は、好ましくは、約2.5〜5mmである。また、各ノズル入口61aからノズル出口61bまでの距離は、好ましくは、約10〜25mmである。各ノズル6bが、ほぼ直線状に配置される際の間隔は、各ノズル6bの中心間距離で7mm〜12mm程度であるのが好ましく、このため各ノズル入口61bの直径は、12mm以下にしておけば隣のノズルと穴が重ならず、好ましくは、約3〜12mmである。このことから、絞り角度αは、好ましくは、約5度〜20度、最も好ましくは、約5度〜15度に設定するのが最も好ましい。
【0076】
各ノズル出口61bは、壁面4bに形成されている吹出孔42bに接続されている。各吹出孔42bは、その直径が各ノズル出口61bの直径よりも大きく設定されており、壁面4bの吹出孔42bは、各ノズル出口61bからの風の吹き出し具合に影響を与えないような構造となっている。ここで、各吹出孔42bの直径は、好ましくは、約4〜7mmである。尚、ノズル6aの壁面4aへの取り付けについても、ノズル6bの壁面4bへの取り付けと同様である。
【0077】
このように壁面4bに取り付けられたノズル6bに対して、センサ3bは、ノズル入口61a側であって、ノズル6bの中心軸線上に位置するように送風ダクト30bの外側に配置されている。センサ3bが取り付けられている送風ダクト30bの部分には、透光部301が設けられている。透光部301は、発光素子であるセンサ3bから発光された光を透過することが可能であって、その透過した光がノズル6bを通過して受光素子であるセンサ3aへと到達可能なように構成されている。従って、透光部301は、実質的に透明な窓状に形成されることも好ましく、その部分を肉薄状態として透光可能なように形成されることも好ましい。
【0078】
図8に示すように、送風ダクト30bの外側にセンサ3bを取り付ける場合には、送風ダクト30bの外壁面の傾きなどによって、センサ3bから発光される光がノズル6bのノズル孔61に効率良く入射されない場合も想定されるので、そのような場合に備えて光軸調整手段を備えることも好ましい態様である。この光軸調整手段は、発光素子であるセンサ3bが発光する光の軸方向を調整することが可能であれば、プリズムやレンズ、鏡など、種々の要素を採用しうるが、その具体的な構成は特に限定されない。これにより、センサ3bのレイアウトの自由度を増すことができる。
【0079】
本実施形態では、ノズル6bの後方に発光素子としてのセンサ3bを設けたけれども、ノズル6bの後方に受光素子としてのセンサ3aを設けることも可能である。ノズル6bの後方に発光素子としてのセンサ3bを設けた際の光の授受の様子を模式的に図9に示し、恩ずる6bの後方に受光素子としてのセンサ3aを設けた際の光の授受の様子を模式的に図10に示す。
【0080】
図9及び図10に示すように、発光素子としてのセンサ3bから出射された光は、徐々に拡散しながら進行する。従って、図9に示すように、甲側のノズル6bの後方にセンサ3bを配置すると、センサ3bから出射された光はあまり拡散しない段階でノズル6bのノズル孔61を通過し、掌側に配置されたセンサ3aに至る。ノズル孔61を通さなかった場合にセンサ3bから出射された光が拡散する範囲がR0だとすると、ノズル孔61を通した場合にセンサ3bから出射された光が拡散する範囲R1は比較的広い範囲となり、センサ3aでの受光がより確実なものとなる。
【0081】
一方、図10に示すように、甲側のノズル6bの後方にセンサ3aを配置し、センサ3bを掌側の壁面4a内に配置すると、センサ3bから出射された光はかなり拡散した段階でノズル6bのノズル孔61を通過し、甲側に配置されたセンサ3aに至る。ノズル孔61を通さなかった場合にセンサ3bから出射された光が拡散する範囲がR0だとすると、ノズル孔61を通した場合にセンサ3bから出射された光が拡散する範囲R2は比較的狭い範囲となり、センサ3aでの受光能力においては図9に示す例の方が好ましい状態となる。
【0082】
また、図11に示すように、ノズル6bのノズル孔61内壁面にスリーブ611を挿入し、スリーブ611を反射部材とすることも好ましい。このように反射部材であるスリーブ611を配置することで、発光素子としてのセンサ3bがノズル孔61の中心軸線61x上に配置されていない場合であっても、センサ3bから出射された光はスリーブ611によって反射され受光素子としてのセンサ3aへと向かうように構成することができる。尚、受光素子であるセンサ3aは、ノズル孔61の中心軸線61x上に配置することがより好ましい態様である。
【0083】
上述した例では、全てのノズル6bのノズル入口61a及びノズル出口61bが同じ寸法であるものとして説明したが、後方にセンサ3bが配置されているノズル6bのみのノズル入口61a寸法を異ならせるようにすることも好ましい。この好ましい態様を図12に示す。
【0084】
図12に示すように、その後方にセンサ3bが配置されているノズル6bのノズル入口61aは直径がD3であり、ノズル出口61bは直径がD1であるように形成されている。一方、その後方にセンサ3bが配置されていないノズル80のノズル入口81aは直径がD2であり、ノズル出口81bは直径がD1であるように形成されている。D3はD2よりも大きくなるように形成しているので、センサ3bから出射された光を漏らさず集約して受光素子としてのセンサ3aへと照射することができる。一方、ノズル6bとノズル80とは、それらのノズル出口61b及びノズル出口81bの直径をD1として同じになるように形成しているので、外観上は同じノズルが並んでいるように見えるため、使用者に違和感を覚えさせることがない。
【0085】
上述した例では、発光素子であるセンサ3bを送風ダクト30bの外に配置したけれども、センサ3bを送風ダクト30bの内部に配置することも好ましい態様である。センサ3bを送風ダクト30bの内部に配置する例を図13に示す。図13に示す例では、壁面4bに取り付けたノズル600のノズル入口601a側にフランジ603を設け、そのフランジ603にセンサ3bを固定している。従って、発光素子であるセンサ3bはノズル600のノズル入口601aに直接取り付けられる。このように取り付けられたセンサ3bから出射された光は、ノズル入口601aからノズル孔601内に入り、ノズル出口601bから受光素子であるセンサ3aへと向かうことになる。この例の場合には、センサ3bから出射された光が直接ノズル孔601内へと入るので、センサ3bから出射された光をロスすることなくセンサ3aへと向かわせることができる。
【0086】
図13に示す例では、送風ダクト30b内にセンサ3bを配置していると共に、ノズル600に直接固定し、そのノズル入口601aを塞いでいるので、送風ダクト30b内の空気をなるべく直接当てないように構成することが好ましい。そこで、センサ3bを取り付けたノズル900の下方であって、送風ダクト30b内に分流板301を設けている。分流板301は、発光素子であるセンサ3bへの空気の吹き付けを低減させるためのものであり、図14に示すように、センサ3b及びノズル600に向けて末広がりになっているV字状に設けられている。
【0087】
図13に示す例では、ノズル600はセンサ3bによって塞がれてしまい、送風ダクト30bから供給される空気を通すことができなくなる。そのため、幅方向の略中央にノズル600及びセンサ3bを設けるのに加えて、両端にノズル600及びセンサ3bを設けることも好ましい。このような例を図15及び図16に示す。図15は、ノズル600の配置態様を正面から見た図であり、図16は図15のC−C断面図である。図15及び図16に示すように、両端に配置されたノズル600は、そのノズル孔601に空気が通るように構成しても、手の可能への寄与度が低いため、この例のように塞いでしまっても乾燥能力低下を抑制することができる。また、両端に配置するノズル600は、図16に示すように開口凹部4の中央へ向けることが好ましい。このようにノズル600及びセンサ3bを配置することで、開口凹部4に使用者が差し入れる手をより確実に検知することができる。
【0088】
更に、両端にセンサ3bを設ける場合の変形例を図17及び図18に示す。図17はノズル600を中央に配置し、ノズル650を両端に配置した態様を正面から見た図である、図18は、図17のD−D断面図である。図17及び図18に示すノズル650は、その内壁面が光の反射率の高い材料によって構成されており、当該部分が実質的に反射部材として機能している。ノズル650には平面部650aが形成されている。図17に示すように、平面部650aが外側に位置するようにノズル650が配置されている。
【0089】
図18に示すように、ノズル650の後方に配置されるセンサ3bは、ノズル650の後端から離隔した位置に配置され、そのセンサ3bから出射された光がノズル650の平面部650aに当たってセンサ3aへと向かうように構成されている。センサ3aは、ノズル661,662,662の後方に配置されている。ノズル661は中央に設けられているノズルであって、対向配置されているノズル600を通過して出射される光をセンサ3aへと通過するように構成されている。一対のノズル662は、ノズル661を挟んで配置されており、ノズル650を通過して出射される光をセンサ3aへと通過するように構成されている。従って、発光素子であるセンサ3bが発光する光は、背面側部材としての壁面側部材2bに配置されるノズル600,650及び正面側部材としての手前側部材2aに配置されるノズル661,662の双方を通過して受光素子であるセンサ3aが受光するように構成されている。
【符号の説明】
【0090】
1:手乾燥装置
2:ハウジング
2a:手前側部材
2b:壁面側部材
2c,2d:側面部材
2e:底部
3a,3b:センサ
4:開口凹部
4a:壁面
4b:壁面
4c:底面
4u:開口部
5:ルーバー
5a:通気口
6a,6b:ノズル
8a,8b:ファンモータユニット
10a,10b:回転駆動軸
12a,12b:ケーシング
14a,14b:吸込口
15a,15b:吹出ダクト
16a,16b:吹出口
18a,18b:フィンヒータ
19:水受けトレー
20:フィルタ
22:空気取入口
24a,24b:吸気ダクト
26a,26b:上流端
28a,28b:吸音材
30a:送風ダクト
30b:送風ダクト
42b:吹出孔
46b:支持突起
61:ノズル孔
61a:ノズル入口
61b:ノズル出口
61x:中心軸線
62:フランジ
80:ノズル
81a:ノズル入口
81b:ノズル出口
301:透光部
611:スリーブ
F:水栓
L:洗面器
W:壁面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の手に空気を吹き付けて乾燥させる手乾燥装置であって、
空気を吹き出す送風機と、
前記送風機を内蔵するハウジングと、
使用者の手が挿入される空間が構成されるように、前記ハウジングの正面側部材と背面側部材とによって形成され、かつ前記ハウジングの上面に開口した開口凹部と、
前記正面側部材及び背面側部材のそれぞれに設けられ、貫通する複数のノズル孔が形成されたノズルと、
前記送風機が吹き出した空気を前記複数のノズル孔の少なくとも一部に供給するダクトと、
少なくとも一対の発光素子及び受光素子からなり、前記開口凹部内に挿入された手を検知するためのセンサと、
前記センサが使用者の手を検知すると、前記送風機を駆動させる制御手段と、を備え、
前記複数のノズル孔の少なくとも一つから前記開口凹部内へと空気が吹き出されるように構成されると共に、
前記発光素子が発光する光は、前記複数のノズル孔の少なくとも一つのノズル孔を通過して前記受光素子が受光するように構成されていることを特徴とする手乾燥装置。
【請求項2】
前記発光素子が発光する光は、前記正面側部材及び背面側部材のそれぞれに設けられた前記ノズルのノズル孔の双方を通過して前記受光素子が受光するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の手乾燥装置。
【請求項3】
前記発光素子は、前記ノズル孔の近傍に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の手乾燥装置。
【請求項4】
前記発光素子は、前記開口凹部の前記背面側部材に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の手乾燥装置。
【請求項5】
前記発光素子は、前記開口凹部の前記背面側部材に沿った幅方向略中央に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の手乾燥装置。
【請求項6】
前記発光素子は、前記ダクトの外側に配置され、
前記発光素子が発光する光は、前記ダクトに設けられた透光部を通過して前記受光素子が受光するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の手乾燥装置。
【請求項7】
前記発光素子が発光する光の軸方向を調整するための光軸調整手段を備えることを特徴とする請求項6に記載の手乾燥装置。
【請求項8】
前記ノズル孔は、その開口が略円形となるように形成されていることを特徴とする請求項3に記載の手乾燥装置。
【請求項9】
前記ノズル孔は、光の入口側から出口側に向けて開口断面積が減少するようにその内壁面が円錐台形状に形成され、前記受光素子は前記円錐台形状の略中心線上に配置されていることを特徴とする請求項8に記載の手乾燥装置。
【請求項10】
前記発光素子が発光する光が通過するノズル孔における光の入口径は、他のノズル孔の入口径よりも大きくなるように形成されていることを特徴とする請求項9に記載の手乾燥装置。
【請求項11】
前記発光素子が発光する光が通過するノズルに形成されているノズル孔における光の出口径は、他のノズルに形成されているノズル孔の出口径と略同一となるように形成されていることを特徴とする請求項10に記載の手乾燥装置。
【請求項12】
前記発光素子は前記ノズルに固定可能なように構成され、前記発光素子と前記ノズルとを固定した状態で前記ハウジングに取り付けることができるように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の手乾燥装置。
【請求項13】
前記発光素子が発光する光が通過するノズルに形成されているノズル孔の内壁面には、前記発光素子が発光する光を反射することができるように反射部材が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の手乾燥装置。
【請求項14】
前記反射部材は平面部を有し、前記発光素子が発光する光は前記平面部で反射して前記受光素子が受光するように構成されていることを特徴とする請求項13に記載の手乾燥装置。
【請求項15】
前記発光素子は前記ダクト内に配置され、
前記発光素子よりも前記送風機側に、前記発光素子への空気の吹きつけを低減させる分流板が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の手乾燥装置。
【請求項16】
前記複数のノズルは、前記送風機から吹き出す空気をそのノズル孔に通過させる第1ノズルと、前記送風機から吹き出す空気をそのノズル孔に通過させない第2ノズルとによって構成され、
前記複数のノズルは、前記開口凹部の幅方向に沿って列状に配置されており、その列状配置された複数のノズルの両端のノズルを前記第2ノズルとして構成したことを特徴とする請求項3に記載の手乾燥装置。
【請求項1】
使用者の手に空気を吹き付けて乾燥させる手乾燥装置であって、
空気を吹き出す送風機と、
前記送風機を内蔵するハウジングと、
使用者の手が挿入される空間が構成されるように、前記ハウジングの正面側部材と背面側部材とによって形成され、かつ前記ハウジングの上面に開口した開口凹部と、
前記正面側部材及び背面側部材のそれぞれに設けられ、貫通する複数のノズル孔が形成されたノズルと、
前記送風機が吹き出した空気を前記複数のノズル孔の少なくとも一部に供給するダクトと、
少なくとも一対の発光素子及び受光素子からなり、前記開口凹部内に挿入された手を検知するためのセンサと、
前記センサが使用者の手を検知すると、前記送風機を駆動させる制御手段と、を備え、
前記複数のノズル孔の少なくとも一つから前記開口凹部内へと空気が吹き出されるように構成されると共に、
前記発光素子が発光する光は、前記複数のノズル孔の少なくとも一つのノズル孔を通過して前記受光素子が受光するように構成されていることを特徴とする手乾燥装置。
【請求項2】
前記発光素子が発光する光は、前記正面側部材及び背面側部材のそれぞれに設けられた前記ノズルのノズル孔の双方を通過して前記受光素子が受光するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の手乾燥装置。
【請求項3】
前記発光素子は、前記ノズル孔の近傍に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の手乾燥装置。
【請求項4】
前記発光素子は、前記開口凹部の前記背面側部材に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の手乾燥装置。
【請求項5】
前記発光素子は、前記開口凹部の前記背面側部材に沿った幅方向略中央に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の手乾燥装置。
【請求項6】
前記発光素子は、前記ダクトの外側に配置され、
前記発光素子が発光する光は、前記ダクトに設けられた透光部を通過して前記受光素子が受光するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の手乾燥装置。
【請求項7】
前記発光素子が発光する光の軸方向を調整するための光軸調整手段を備えることを特徴とする請求項6に記載の手乾燥装置。
【請求項8】
前記ノズル孔は、その開口が略円形となるように形成されていることを特徴とする請求項3に記載の手乾燥装置。
【請求項9】
前記ノズル孔は、光の入口側から出口側に向けて開口断面積が減少するようにその内壁面が円錐台形状に形成され、前記受光素子は前記円錐台形状の略中心線上に配置されていることを特徴とする請求項8に記載の手乾燥装置。
【請求項10】
前記発光素子が発光する光が通過するノズル孔における光の入口径は、他のノズル孔の入口径よりも大きくなるように形成されていることを特徴とする請求項9に記載の手乾燥装置。
【請求項11】
前記発光素子が発光する光が通過するノズルに形成されているノズル孔における光の出口径は、他のノズルに形成されているノズル孔の出口径と略同一となるように形成されていることを特徴とする請求項10に記載の手乾燥装置。
【請求項12】
前記発光素子は前記ノズルに固定可能なように構成され、前記発光素子と前記ノズルとを固定した状態で前記ハウジングに取り付けることができるように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の手乾燥装置。
【請求項13】
前記発光素子が発光する光が通過するノズルに形成されているノズル孔の内壁面には、前記発光素子が発光する光を反射することができるように反射部材が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の手乾燥装置。
【請求項14】
前記反射部材は平面部を有し、前記発光素子が発光する光は前記平面部で反射して前記受光素子が受光するように構成されていることを特徴とする請求項13に記載の手乾燥装置。
【請求項15】
前記発光素子は前記ダクト内に配置され、
前記発光素子よりも前記送風機側に、前記発光素子への空気の吹きつけを低減させる分流板が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の手乾燥装置。
【請求項16】
前記複数のノズルは、前記送風機から吹き出す空気をそのノズル孔に通過させる第1ノズルと、前記送風機から吹き出す空気をそのノズル孔に通過させない第2ノズルとによって構成され、
前記複数のノズルは、前記開口凹部の幅方向に沿って列状に配置されており、その列状配置された複数のノズルの両端のノズルを前記第2ノズルとして構成したことを特徴とする請求項3に記載の手乾燥装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2010−227320(P2010−227320A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−78650(P2009−78650)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
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