手乾燥装置
【課題】掌側に多くの風を当てるように風量を調整した場合であっても、使用者側への風の吹き返しを極力低減することができる手乾燥装置を提供する。
【解決手段】手乾燥装置1は、正面側部材2aに設けられ、送風機から吹き出された空気を第1ノズル6bよりも大きな風量で、手乾燥室である開口凹部4内に吹き出す第2ノズル6aと、第2ノズル6aから吹き出された空気が、底壁4cに沿って流れた後に正面側壁4aと背面側壁4bとの間を横切るように流れる旋回流を形成するようにその進行方向を調整する風向規制手段としての規制壁4dと、を備える。
【解決手段】手乾燥装置1は、正面側部材2aに設けられ、送風機から吹き出された空気を第1ノズル6bよりも大きな風量で、手乾燥室である開口凹部4内に吹き出す第2ノズル6aと、第2ノズル6aから吹き出された空気が、底壁4cに沿って流れた後に正面側壁4aと背面側壁4bとの間を横切るように流れる旋回流を形成するようにその進行方向を調整する風向規制手段としての規制壁4dと、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の手に空気を吹き付けて乾燥させる手乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、特に公共のトイレ等においては、手洗い後に手に付着している水を拭き取るためのペーパータオルを削減する傾向が強まっており、ペーパータオルの代わりに手乾燥装置を設置する場合が増えている。このような手乾燥装置は、洗面ボウルが配置されている場所からは少し離れた洗面カウンター上の壁面や、洗面カウンターから離れたトイレ空間の壁面等に設置されている場合が多い(下記特許文献1参照)。
【0003】
下記特許文献1において提案されている手乾燥装置では、手をハウジングの上方から開口凹部内へ挿入し、開口凹部の掌側壁面及び甲側壁面にそれぞれ設けられたセンサが手を検知すると、両壁面それぞれにほぼ水平方向直線状に設けられた複数の掌側用のノズル及び甲側用のノズルから、手の掌側及び甲側にそれぞれ温風が吹き付けられ、手に付着していた水滴を飛ばしながら下方へ流れるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−227320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1では、掌側用及び甲側用のファンモータユニットとも同一の最大出力を有する同一形態のものであり、両者とも回転駆動軸回転数を所望に変えることができるようになっている。手乾燥装置の使用時には、掌側用の回転駆動軸が甲側用の回転駆動軸よりも高速に回転するように各ファンモータユニット設定し、掌側に供給する風量が手の甲側に供給する風量に比べて大きくするのが好ましいものと記載されている。
【0006】
手乾燥装置で手を乾燥させる場合、手の甲側よりも掌側が乾燥し難いことから、本発明者らは、掌側により多くの風が当たるように、掌側に供給する風量を可能な限り多くしようと考え検討を行った。ところが、確かに掌側に供給する風量を多くすると、乾燥し難い掌に多くの風が当たって手は乾燥しやすくなるものの、ハウジングの開口凹部内を風が循環して使用者側に多くの風が吹き返してしまうことを見出した。
【0007】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、掌側に多くの風を当てるように風量を調整した場合であっても、使用者側への風の吹き返しを極力低減することができる手乾燥装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明に係る手乾燥装置は、使用者の手に空気を吹き付けて乾燥させる手乾燥装置であって、空気を吹き出す送風機と、前記送風機を内蔵するハウジングと、使用者の手が挿入される空間が構成されるように、前記ハウジングの正面側部材によって形成される正面側壁と背面側部材によって形成される背面側壁とが互いに対向した状態でそれぞれが底壁に対して立設されており、前記ハウジングの上面に前記正面側壁及び背面側壁に繋がる開口が形成された手乾燥室と、前記背面側部材に設けられ、前記送風機から吹き出された空気を前記手乾燥室内に吹き出す第1ノズルと、前記正面側部材に設けられ、前記送風機から吹き出された空気を前記第1ノズルよりも大きな風量で、前記手乾燥室内に吹き出す第2ノズルと、を備える。本発明に係る手乾燥装置は更に、前記正面側部材及び前記背面側部材の少なくとも一方に、前記第2ノズルから吹き出された空気が、前記底壁に沿って流れた後に前記正面側壁と前記背面側壁との間を横切るように流れる旋回流を形成するようにその進行方向を調整する風向規制手段を備える。
【0009】
本発明では、背面側部材に設けられている第1ノズルよりも大きな風量で空気を吹き出す第2ノズルを正面側部材に設けているので、使用者が掌側を正面側部材に向けて手を手乾燥室内に挿入した場合に、使用者の掌に多くの空気を当てることができる。更に、風向規制手段を設け、第2ノズルから吹き出された空気が、底壁に沿って流れた後に正面側壁と背面側壁との間を横切るように流れる旋回流を形成するようにその進行方向を調整している。このように正面側壁と背面側壁との間の横切る空気の流れをつくることで、横切る空気そのものも使用者側に吹き返さないことに加えて、横切る空気によって他の空気の流れが使用者側に吹き返すことの抑止にもなり得る。従って、第2ノズルから噴出された空気の使用者への吹き返しを最小限に抑え、使用者が不快な思いを受けない手乾燥装置を提供することができる。
【0010】
また本発明に係る手乾燥装置では、前記風向規制手段は、前記第2ノズルから吹き出され、前記背面側壁に向かって進行する空気の進行方向を、前記正面側壁に向かうように調整し、その調整の結果向かった空気が前記正面側壁から、前記底壁を経て、前記背面側壁に沿って流れた後に、再度前記正面側壁に向かって流れる旋回流を生じさせることも好ましい。
【0011】
この好ましい態様では、第2ノズルから吹き出された空気を、背面側壁から正面側壁に向かう流れと、その流れに続いて且つその流れの下方に、正面側壁から底壁を経て背面側壁に沿い再度正面側壁に向かう流れとからなる旋回流を形成している。下方に形成される空気の流れは、正面側壁から底壁を経て背面側壁に沿い再度正面側壁に向かう流れであるから、正面側壁と底壁と背面側壁とで囲まれた空間の中で循環する空気の流れを形成することができる。更に、下方において循環している空気の流れの一部である背面側壁から正面側壁へ向かう空気の流れと、上方において循環している空気の流れの一部である背面側壁から正面側壁へ向かう空気の流れとが沿うように形成されているので、下方において循環している空気の流れが上方で新たに発生する空気の流れに巻き込まれやすくなり、使用者への吹き返しをより確実に抑制することができる。
【0012】
また本発明に係る手乾燥装置では、前記風向規制手段は、前記背面側壁において前記第2ノズルに対応する高さよりも低い位置に設けられた規制壁を有するものであって、前記背面側壁の壁面は、前記開口から前記底壁を繋ぐように形成される一方で、前記規制壁の規制壁面が前記背面側壁の壁面と交わるように延び、前記開口側に向くように配置されていることも好ましい。
【0013】
この好ましい態様では、背面側壁に規制壁を設け、その規制壁の規制壁面が背面側壁の壁面と交わり開口側に向くように配置されている。従って、規制壁面を第2ノズル側に向けて設けることができ、第2ノズルから吹き出された空気の進行方向を、正面側壁に向かうように確実に調整することができる。
【0014】
また本発明に係る手乾燥装置では、前記規制壁は、前記規制壁面と交わる副規制壁面を有し、前記副規制壁面は、前記背面側壁の壁面と交わるように延び、前記底壁側に向くように配置されていることも好ましい。
【0015】
この好ましい態様では、規制壁面と交わる副規制壁面を設けており、その副規制壁面が背面側壁の壁面と交わり底壁側に向くように配置されている。従って、正面側壁から底壁を経て背面側壁に沿った空気の流れを、副規制壁面によって確実に再度正面側壁に向かう流れとすることができる。
【0016】
また本発明に係る手乾燥装置では、前記背面側壁の壁面は、前記開口から前記規制壁に至る第一壁面と、前記規制壁から前記底壁に至る第二壁面とによって構成され、前記第一壁面が底面となり、前記規制壁面が側面となるような凹部が形成され、この凹部は前記規制壁面による側面と対向する側面が前記開口側に形成されていることも好ましい。
【0017】
この好ましい態様では、背面側壁の上側壁面である第一壁面を底面とし、規制壁面を側面とする凹部を形成している。従って、第2ノズルから吹き出された空気は、第一壁面に当たって規制壁面に向かう流れと、凹部の底面である第一壁面に沿って広がる流れとに分かれる。凹部は、規制壁面による側面と対向する側面が開口側に形成されているので、底面に広がった空気の流れを開口側に形成されている凹部の側面で確実に使用者側に流れ出ないように方向付けることができる。
【0018】
また本発明に係る手乾燥装置では、前記風向規制手段は、前記第2ノズルから吹き出され、前記背面側壁に向かって進行する空気の進行方向を、前記背面側壁に沿わせ、その結果前記底壁に向かった空気が、前記底壁を経て、前記正面側壁に沿って流れた後に、再度前記背面側壁に向かって流れる旋回流を生じさせることも好ましい。
【0019】
この好ましい態様では、第2ノズルから吹き出された空気を、背面側壁から底壁を経て正面側壁に沿い再度背面側壁に向かう流れとする旋回流を形成している。従って、第2ノズルから吹き出された空気の勢いを削がずに、背面側壁から底壁を経て正面側壁に沿い再度背面側壁に向かって流れる旋回流を確実に形成することができる。
【0020】
また本発明に係る手乾燥装置では、前記風向規制手段は、前記正面側壁において前記第2ノズルが設けられている高さよりも低い位置に設けられた規制壁を有するものであって、前記正面側壁の壁面は、前記開口から前記底壁を繋ぐように形成される一方で、前記規制壁の規制壁面が前記正面側壁の壁面と交わるように延び、前記底壁側に向くように配置されていることも好ましい。
【0021】
この好ましい態様では、正面側壁に規制壁を設け、その規制壁の規制壁面が正面側壁の壁面と交わり底壁側に向くように配置されている。従って、規制壁面を底壁側に向けて設けることができ、背面側壁から底壁を経て正面側壁に沿う空気の進行方向を、確実に再度背面側壁に向かうように確実に調整することができる。
【0022】
また本発明に係る手乾燥装置では、前記規制壁と前記底壁との距離が、前記正面側壁と前記背面側壁との距離と略同一となるように配置されていることも好ましい。
【0023】
この好ましい態様では、規制壁と底壁との距離が、正面側壁と背面側壁との距離と略同一となるように配置されているので、旋回流が形成される領域が旋回流中心に臨むように見た場合に略正方形となるような領域を含むものとすることができ、旋回流を確実に起こすことができる。
【0024】
また本発明に係る手乾燥装置では、前記正面側壁と前記背面側壁との間には、通気口を有する側面部材が設けられており、前記側面部材は、前記通気口から排出される空気のうち、前記背面側壁から前記正面側壁に向かって流れる空気の進行方向を調整する調整手段を備えていることも好ましい。
【0025】
この好ましい態様では、前記通気口から排出される空気のうち、前記背面側壁から前記正面側壁に向かって流れる空気の進行方向を調整する調整手段を側面部材に設けている。従って、通気口から使用者に向かって強い風が生じることを防止することができる。
【0026】
また本発明に係る手乾燥装置では、前記調整手段は、前記通気口の前記背面側壁側の周縁であって、前記背面側壁から前記正面側壁に向かって流れる空気が当接するように、前記側面部材から前記手乾燥室内に突出して形成されたリブであることも好ましい。
【0027】
この好ましい形態では、リブは、通気口の背面側壁側の周縁であって、背面側壁から正面側壁に向かって流れる空気が当接するように前記手乾燥室内に向かって突出して形成されている。背面側壁から正面側壁に向かって流れる空気がリブに当接するので、背面側壁から正面側壁に向かって流れる空気の進行方向を変更できる。
【0028】
また本発明に係る手乾燥装置では、前記通気口は、前記正面側壁と前記調整手段との間であって、前記正面側部材及び又は前記背面側部材に対して垂直な方向に形成されたスリットであることも好ましい。
【0029】
この好ましい形態では、スリットは、正面側壁と調整手段との間であって、正面側部材及び又は背面側部材に対して垂直な方向に形成されているので、使用者から手乾燥室内を見え難くするとともに、外観がすっきりとした印象になり、手乾燥装置の意匠性を向上させることができる。
【0030】
また本発明に係る手乾燥装置では、前記調整手段は、前記通気口に取り付けられ、前記背面側壁から前記正面側壁に向かって流れる空気の進行方向を、前記正面側壁から前記背面側壁に向かって流れるように変更させるルーバーであることも好ましい。
【0031】
この好ましい形態では、ルーバーは、前記通気口に取り付けられ、前記背面側壁から前記正面側壁に向かって流れる空気の進行方向を、前記正面側壁から前記背面側壁に向かって流れるように変更させる。従って、通気口において、通気口から排出しようとする空気の風向きを通気口から排出しないように変更することができるので、通気口から使用者に向かって強い風が生じることを防止することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、掌側に多くの風を当てるように風量を調整した場合であっても、使用者側への風の吹き返しを極力低減することができる手乾燥装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態である手乾燥装置の外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示す手乾燥装置の縦断面図である。
【図3】図1に示す開口凹部における空気の流れを示す縦断面図である。
【図4】変形例としての手乾燥装置の開口凹部における空気の流れを示す縦断面図である。
【図5】変形例としての手乾燥装置の開口凹部における空気の流れを示す縦断面図である。
【図6】変形例としての手乾燥装置の開口凹部における空気の流れを示す縦断面図である。
【図7】変形例としての手乾燥装置の外観を示す斜視図である。
【図8】変形例としての手乾燥装置の開口凹部における空気の流れを示す縦断面図である。
【図9】変形例としての手乾燥装置の平面図である。
【図10】変形例としての手乾燥装置の外観を示す斜視図である。
【図11】変形例としての手乾燥装置の開口凹部における空気の流れを示す縦断面図である。
【図12】変形例としての手乾燥装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0035】
図1を参照しながら、本発明の一実施形態である手乾燥装置について説明する。図1は、本発明の実施形態である手乾燥装置1の斜視図である。
【0036】
本実施形態の手乾燥装置1は、例えば、洗面所などの壁面に設置されている水栓付きの洗面器の側方に設置され、水栓および洗面器を利用して手を洗った人が、濡れた手を乾燥するために使用するものである。
【0037】
なお、以下、説明の便宜上、本実施形態の手乾燥装置1を構成する部分(要素)において、手の掌側を乾燥させるための関連要素の各名称には「掌側」と付し、手の甲側を乾燥させるための関連部分の各名称には「甲側」と付する場合があり、位置関係を説明する際にも同様の趣旨で「掌側」又は「甲側」との語を用いる場合がある。手乾燥装置1を壁面に取り付けた状態で使用者を基準に換言すれば、「掌側」とは「手前側」「正面側」であり、「甲側」とは「壁面側」「背面側」である。従って、「掌側」の代わりに「手前側」「正面側」を用い、「甲側」の代わりに「壁面側」「背面側」を用いる場合もある。なお、本実施形態では手乾燥装置1を洗面所の壁面に設置する場合について説明しているが、手乾燥装置1の設置態様はこれに限られるものではなく、例えば壁面に固定されずに床面に立設される場合もある。
【0038】
図1に示すように、手乾燥装置1は、ハウジング2及び水受けトレー19を備えている。ハウジング2は、正面側部材2a(手前側部材)と、背面側部材2b(壁面側部材)と、側面部材2cと、側面部材2dとによって構成されている。ハウジング2には手乾燥室としての開口凹部4が形成され、その開口凹部4の下方には送風機(図1においては明示せず)が内蔵されている。開口凹部4は上方に開口しており、使用者が手を差し入れるための開口部4uが形成されている。
【0039】
手乾燥装置1を壁面に取り付けた状態で使用者に対して手前側となる正面側部材2aは、水平方向に直線状に略等間隔に列設された複数のノズル6a(第2ノズル、図1には明示せず)を備えている。また、手乾燥装置1を壁面に取り付けた状態で使用者に対して壁面側となる背面側部材2bは、ノズル6aと同様に水平方向に直線状に略等間隔に列設された複数のノズル6b(第1ノズル)を備えている。ノズル6a及びノズル6bは、送風機から送給される空気流を開口凹部4内へ吹き出すためのノズルである。
【0040】
また、ハウジング2の右側面には側面部材2dが着脱可能に装着され、側面部材2dには、水滴の通過を防止するルーバー5を有する台形状の通気口5aが設けられている。なお、ハウジング2の左側面にも側面部材2dと鏡面対称な形状を有する側面部材2cが着脱可能に装着されている。そして、開口凹部4内に差し込まれた濡れた手から吹き飛ばされた水滴を回収するため、ハウジング2の底部に、水受けトレー19が着脱可能に取り付けられている。
【0041】
続いて、図2を参照しながら手乾燥装置1について更に詳細に説明する。図2は、手乾燥装置1の中央近傍における縦断面図である。なお、図2では、空気または風の流れを矢印で示している。
【0042】
図1及び図2に示すように、本実施形態の手乾燥装置1は、手乾燥装置本体を取り囲むハウジング2を備えている。このハウジング2の上部には、ハウジング2の上方からその内部へ並べた両手を挿入することができるように、上端が開口した開口凹部4が設けられている。
【0043】
この開口凹部4は、そこに手を配置して風を当てて乾燥させる部分(手乾燥室)である。通常、掌をハウジング2の正面側部材2a側に向け、手の甲をハウジング2の背面側部材2b側に向けた姿勢で、手をハウジング2の上方から開口凹部4内へ挿入するようになっている。
【0044】
本実施形態の手乾燥装置1では、手をハウジング2の上方から開口凹部4内へ挿入し、開口凹部4の正面側壁4a及び背面側壁4bにそれぞれ設けられたセンサ3a,3bが手を検知すると、両壁面4a,4bのそれぞれにほぼ水平方向直線状に設けられた複数の掌側用のノズル6a及び甲側用のノズル6bから、手の掌側及び甲側にそれぞれ温風が吹き付けられ、手に付着していた水滴を飛ばしながら下方へ流れるようになっている。
【0045】
また、ハウジング2内には、掌側用のノズル6a及び甲側用のノズル6bのそれぞれに送風するためのファンモータユニットが設けられている。ファンモータユニット8は、その回転駆動軸10がハウジング2の正面側部材2a及び又は背面側部材2bに対して垂直な方向に延びるように配置されている。
【0046】
なお、手乾燥装置1の使用時には、掌側に供給する風量が手の甲側に供給する風量に比べて大きくなるように、掌側の送風ダクト30a及び甲側の送風ダクト30bの流路断面積が設定されている。ファンモータユニット8のケーシングの後端部には、吸込口14が設けられている。
【0047】
一方、ファンモータユニット8の吹出ダクト15の下流端には、上方に突出する吹出口16が形成されている。この吹出口16には、フィンヒータ18が設けられ、フィンヒータ18により、吹出口16から吹き出される空気が温められるようになっている。
【0048】
また、ハウジング2の底部2eには水受けトレー19が設けられており、開口凹部4内において両端がなで肩形状の底壁4cの壁面4csに落ちて両側に掃けた水が、ハウジング2の内側部にある排水溝(図示せず)を伝って水受けトレー19内に落ちるようになっている。さらに、水受けトレー19の背面側には、フィルタ20を備えた空気取入口22が設けられ、この空気取入口22には、吸気ダクト24bが接続されている。
【0049】
吸気ダクト24は、その上流端26が空気取入口22のフィルタ20の上に配置され、上流端26と吸込口14を連通させるように、上流端26からハウジング2の背面側部材2bに沿って上方にほぼ真っ直ぐ延びている。手乾燥装置1の作動中、ハウジング2の外部の空気は、空気取入口22からフィルタ20を介して、吸気ダクト24に吸込まれるようになっている。
【0050】
さらに、吸気ダクト24内の上部において、ファンモータユニット8の吸込口14に隣接して吸音材28が配置されており、吸音材28により、ファンモータユニット8の作動中に吸込口14から漏出した音がそれぞれ吸収されるようになっている。
【0051】
また、吹出口16には掌側用の送風ダクト30aが接続されており、この掌側用の送風ダクト30aは、ハウジング2の正面側部材2aに隣接して吹出口16aから上方に延びるように形成されている。さらに、掌側用の送風ダクト30a内の背面は、上述した開口凹部4の正面側壁4aが壁面4asを形成しており、送風ダクト30a内の上部の背面側には、複数の掌側用のノズル6aが掌側用の吹出口16aのほぼ真上に位置するように配置されている。
【0052】
更に、吹出口16には、掌側用の吹出口16aと同様に、甲側用の送風ダクト30bが接続されている。この甲側用の送風ダクト30bは、甲側用の吹出口16bから開口凹部4の背面側壁4bの壁面4bsに配置されている複数のノズル6bへと延びるように形成されている。
【0053】
尚、ハウジング2の各寸法については、成人の両手を並べて開口凹部4内へ挿入した際に、掌と手の甲が、開口凹部4の壁面4as及び壁面4bsのそれぞれと接触しないように寸法決めされている。
【0054】
例えば、ハウジング2の横幅については、好ましくは200mm〜350mmであり、最も好ましくは300mmである。また、ハウジングの奥行は、好ましくは120mm〜250mmであり、最も好ましくは180〜200mmである。また、掌側用のノズル6aと甲側用のノズル6bとの距離については、好ましくは70mm〜100mmであり、最も好ましくは85mmである。また、ハウジング2の高さは、好ましくは450mm〜700mmであり、最も好ましくは680mmである。
【0055】
上述したように、ハウジング2の両側面部材2c,2dには、風抜き手段であるルーバー5が設けられ(図2,図5及び図6参照)、開口凹部4内に配置された手にノズル6a,6bから温風が吹きつけられた際にハウジング2の側面部材2c,2dの方向に飛散した水滴が、このルーバー5により遮断され、風のみがルーバー5を抜けるようになっている。
【0056】
本実施形態の手乾燥装置1では、手をハウジング2の上方から開口凹部4内へ挿入し、開口凹部4の壁面4as及び壁面4bsにそれぞれ設けられたセンサ3a,3bが手を検知すると、CPU及びメモリといった構成要素からなる制御手段(図示しない)によってファンモータユニット8が駆動され、両壁面4as,4bsのそれぞれにほぼ水平方向直線状に設けられた複数の掌側用のノズル6a及び甲側用のノズル6bから、手の掌側及び甲側にそれぞれ温風が吹き付けられ、手に付着していた水滴を飛ばしながら下方へ流れるようになっている。
【0057】
本実施形態では、ノズル6aから、比較的大きな風量となるように空気を吹き出すので、開口凹部4から使用者側への空気の吹き返しが懸念される。そこで本実施形態では、背面側壁4bに規制壁4d(風向規制手段)を設けている。規制壁4dは、ノズル6aから吹き出された空気が、底壁4cに沿って流れた後に正面側壁4aと背面側壁4bとの間を横切るように流れる旋回流を形成するようにその進行方向を調整するものである。
【0058】
より具体的には、規制壁4dは、ノズル6aから吹き出され、背面側壁4bに向かって進行する空気の進行方向を、正面側壁4aに向かうように調整し、その調整の結果向かった空気が正面側壁4aから、底壁4cを経て、背面側壁4bに沿って流れた後に、正面側壁4aに向かって流れる旋回流を生じさせるものである。
【0059】
続いて、規制壁4dの作用による開口凹部4内の空気の流れについて図3を参照しながら説明する。図3は、開口凹部4における空気の流れを示す縦断面図である。規制壁4dは、背面側壁4bにおいてノズル6aに対応する高さよりも低い位置に設けられている。
【0060】
背面側壁4bの壁面は、開口部4uから底壁4cを繋ぐように形成され、開口部4uから規制壁4dに至る第一壁面4baと、規制壁4dから底壁4cに至る第二壁面4bbとによって構成されている。
【0061】
規制壁4dは、規制壁面4daと副規制壁面4dbとを有し、突起状に形成されている。規制壁面4daは、背面側壁4bの第一壁面4baと交わるように延びている。規制壁面4daは、開口部4u側に向くように配置されている。一方、副規制壁面4dbは、背面側壁4bの第二壁面4bbと交わるように延びている。副規制壁面4dbは、底壁4c側に向くように配置されている。
【0062】
ノズル6aから噴出された空気は、最初に正面側壁4aから背面側壁4bに向かい、背面側壁4bの第一壁面4baに沿って下方に流れる。第一壁面4baに沿って流れる空気は、規制壁面4daに至り、規制壁面4daに沿った流れとなることで進行方向が変わる。規制壁面4daによって方向付けられた空気は、背面側壁4bと正面側壁4aとの間を横切るように正面側壁4aと向う。正面側壁4aに至った空気は、正面側壁4aに沿って底壁4cに向けて流れる。底壁4cに至った空気は、底壁4cに沿って背面側壁4bに向けて流れる。背面側壁4bに至った空気は、背面側壁4bに沿って規制壁4dに向けて流れる。
【0063】
規制壁4dに至った空気は、副規制壁面4dbに沿って正面側壁4aに向けて流れる。正面側壁4aに至った空気は、正面側壁4aに沿って底壁4cに向けて流れる。底壁4cに至った空気は、底壁4cに沿って背面側壁4bに向けて流れる。背面側壁4bに至った空気は、背面側壁4bに沿って規制壁4dに向けて流れ、循環する旋回流が形成される。
【0064】
上述したように、規制壁4dが、規制壁面4daと副規制壁面4dbとを有することは、旋回流を効果的に形成するためには好ましいものである。しかしながら、副規制壁面4dbを設けなくても、正面側壁4aに沿って底壁4cに向けて流れ、底壁4cに沿って背面側壁4bに向けて流れ、背面側壁4bに至った空気を循環させることは可能である。このための変形例を図4に示す。
【0065】
図4に示すように、変形例としての手乾燥装置1Bは、規制壁面4dBaのみによって規制壁4dBを構成している。手乾燥装置1Bでは、背面側壁4bBの壁面は、開口部4uから底壁4cを繋ぐように形成され、開口部4uから規制壁4dBに至る第一壁面4bBaと、規制壁4dBから底壁4cに至る第二壁面4bBbとによって構成されている。規制壁4dBは、規制壁面4dBaを有している。規制壁面4dBaは、背面側壁4bBの第一壁面4bBa及び第二壁面4bBbと交わり、第一壁面4bBaの下端と第二壁面4bBbの上端とを繋ぐように延びている。規制壁面4dBaは、開口部4u側に向くように配置されている。
【0066】
従って、手乾燥装置1Bでは、背面側壁4bBの中央近傍の一部を後退させ、緩やかな勾配の凹部を形成している。このように副規制壁面4dbを設けなくても、規制壁面4dBaに沿った空気の流れに巻き込まれるように、背面側壁4bBに沿った空気の流れを巻き込むことができる。
【0067】
続いて、別の変形例としての手乾燥装置1Cについて、図5を参照しながら説明する。図5に示すように、変形例としての手乾燥装置1Cは、規制壁面4da,4dBaに対応する規制壁面4dCaと対向するように、開口部4u側に対向規制壁面4dCcが形成されている。
【0068】
背面側壁4bCの壁面は、開口部4uから底壁4cを繋ぐように形成され、開口部4uから規制壁4dに至る第一壁面4bCaと、規制壁4dBから底壁4cに至る第二壁面4bCbとによって構成されている。規制壁4dCは、規制壁面4dCaを有している。規制壁面4dCaは、背面側壁4bCの第一壁面4bCa及び第二壁面4bCbと交わり、第一壁面4bCaの下端と第二壁面4bCbの上端とを繋ぐように延びている。規制壁面4dCaは、開口部4u側に向くように配置されている。
【0069】
従って、手乾燥装置1Cでは、背面側壁4bCの上側部分を一様に後退させ、その後退した面である第一壁面4bCaが、第二壁面4bCbと略平行になるように凹部を形成している。この凹部は、第一壁面4bCaが底面となり、規制壁面4dCaが側面となり、規制壁面4dCaによる側面と対向する側面として対向規制壁面4dCcが開口部4u側に形成されている。
【0070】
このように、背面側壁4bCの上側壁面である第一壁面4bCaを底面とし、規制壁面4dCaを側面とする凹部を形成している。従って、ノズル6aから吹き出された空気は、第一壁面4bCaに当たって規制壁面4dCaに向かう流れと、凹部の底面である第一壁面4bCaに沿って広がる流れとに分かれる。凹部は、規制壁面4dCaによる側面と対向する側面として対向規制壁面4dCcが開口部4u側に形成されているので、底面である第一壁面4bCaに広がった空気の流れを、開口4u側に形成されている凹部の側面である対向規制壁面4dCcで、確実に使用者側に流れ出ないように方向付けることができる。
【0071】
上述した実施形態では、規制壁4d,4dB,4dCを、背面側壁4b,4bB,4bCに設けていたが、正面側壁4aに設けるのも好ましいものである。図6を参照しながら、規制壁4dDを正面側壁4aDに設けた手乾燥装置1Dについて説明する。
【0072】
規制壁4dDは、ノズル6aから吹き出された空気が、底壁4cに沿って流れた後に正面側壁4aDと背面側壁4bDとの間を横切るように流れる旋回流を形成するようにその進行方向を調整するものである。
【0073】
より具体的には、ノズル6aから吹き出され、背面側壁4bDに向かって進行する空気の進行方向を、背面側壁4bDに沿わせ、その結果底壁4cに向かった空気が、底壁4cを経て、正面側壁4aDに向かうように調整し、その調整の結果向かった空気が正面側壁4aDに沿って上昇する。正面側壁4aDに沿って上昇した空気は、規制壁4dDによってその進行方向を背面側壁4bDに向けられる。このように、規制壁4dDを設けることで、背面側壁4bD、底壁4cを経て、正面側壁4aDに沿って流れた後に、背面側壁4bDに向かって流れる旋回流を生じさせるものである。
【0074】
規制壁4dDは、正面側壁4aDにおいてノズル6aに対応する高さよりも低い位置に設けられている。正面側壁4aDの壁面は、開口部4uから底壁4cを繋ぐように形成され、開口部4uから規制壁4dDに至る第一壁面4aDaと、規制壁4dDから底壁4cに至る第二壁面4aDbとによって構成されている。
【0075】
規制壁4dDは、規制壁面4dDaを有している。規制壁面4dDaは、正面側壁4aDの第一壁面4aDa及び第二壁面4aDbと交わり、第一壁面4aDaの下端と第二壁面4aDbの上端とを繋ぐように延びている。規制壁面4dDaは、開口部4u側に向くように配置されている。
【0076】
このように手乾燥装置1Dでは、ノズル6aから吹き出された空気を、背面側壁4bDから底壁4cを経て正面側壁4aDに沿い再度背面側壁4bDに向かう流れとする旋回流を形成している。従って、ノズル6aから吹き出された空気の勢いを削がずに、背面側壁4bDから底壁4cを経て正面側壁4aDに沿い再度背面側壁4bDに向かって流れる旋回流を確実に形成することができる。
【0077】
手乾燥装置1Dでは、正面側壁4aDに規制壁4dDを設け、その規制壁4dDの規制壁面4dDaが正面側壁4aDの第二壁面4aDbと交わり底壁4c側に向くように配置されている。従って、規制壁面4dDaを底壁4c側に向けて設けることができ、背面側壁4bDから底壁4cを経て正面側壁4aDに沿う空気の進行方向を、確実に再度背面側壁4bDに向かうように確実に調整することができる。
【0078】
また本実施形態に係る手乾燥装置1,1B,1C,1Dでは、規制壁4d,4dB,4dC,4dDと底壁4cとの距離が、正面側壁4a,4aB,4aC,4aDと背面側壁4b,4bB,4bC,4bDとの距離と略同一となるように配置されている。
【0079】
このように、規制壁4d,4dB,4dC,4dDと底壁4cとの距離が、正面側壁4a,4aB,4aC,4aDと背面側壁4b,4bB,4bC,4bDとの距離と略同一となるように配置されているので、旋回流が形成される領域が旋回流中心に臨むように見た場合に略正方形となるような領域を含むものとすることができ、旋回流を確実に起こすことができる。
【0080】
上述したように、手乾燥装置1,1B,1C,1Dが、第2ノズル6aから噴出された空気の使用者への吹き返しを最小限に抑えることができるので、使用者が不快な思いを受けないようにするためには好ましい形態である。しかしながら、側面部材2c,2dに通気口5aが設けられている場合には、第2ノズル6aから噴出された空気が背面側壁4bに当たり、その結果、背面側壁4bから正面側壁4aに向うようになった空気が、正面側壁4aに当たる手前で通気口5aから抜け、使用者側へ向かってしまう場合もある。このような場合には手乾燥装置の側面側にも対策を施す必要がある。このための変形例を図7に示す。
【0081】
図7に示すように、変形例としての手乾燥装置1Eは、側面部材2c,2dに調整手段であるリブ5b及び通気口であるスリット5cが備えられている。リブ5bは、背面側壁4bB(図8及び図9に図示)から正面側壁4a(図8及び図9に図示)に向かって流れる空気がスリット5cの手前で当たるように、スリット5cの背面側壁4bB側寄りの周縁に形成されており、側面部材2c,2dから手乾燥室内に向かって突出して形成されている。スリット5cは、使用者から手乾燥室内を見え難くするとともに、外観をすっきりさせるために、ハウジング2の上方から見た場合に正面側壁4aとリブ5bとの間に形成されており、正面側部材2a及び又は背面側部材2bに対して垂直方向に延びるように形成されている。なお、図8に示すように、本実施形態に係る手乾燥装置1Eは、図4で説明したように、風向規制手段は、規制壁面4dBaのみによって規制壁4dBを構成しているものとする。
【0082】
続いて、図8及び図9を参照しながら、ノズル6aから噴出された空気の流れについてさらに説明する。図8は、手乾燥装置1Eの中央近傍における縦断面図であり、図9は、手乾燥装置1Eの平面図である。
【0083】
ノズル6aから噴出された空気は、最初に正面側壁4aから背面側壁4bBに向かい、背面側壁4bBの第一壁面4bBaに沿って下方に流れる。第一壁面4bBaに沿って流れる空気は、規制壁面4dBaに至り、規制壁面4dBaに沿った流れとなることで進行方向が変わる。規制壁面4dBaによって方向付けられた空気は、背面側壁4bBと正面側壁4aとの間を横切るように正面側壁4aへと向う。正面側壁4aへと向う空気のうち、側面部材2c,2dの近くを流れる空気は、リブ5bに至り、リブ5bに当接することで進行方向が変わる。リブ5bによって方向付けられた空気は、リブ5bを乗り越えると、スリット5cから離れるように流れ、正面側壁4aに至る。正面側壁4aに至った空気は、背面側壁4bBと正面側壁4aとの間を横切るように、再び背面側壁4bBへと向かう。背面側壁4bBへと向う空気のうち、側面部材2c,2dの近くを流れる空気は、スリット5cを抜けて排出される(図9の実線矢印)。
【0084】
このように手乾燥装置1Eでは、背面側壁4bB寄りの側面部材2c,2dにリブ5bを突出して形成することにより、背面側壁4bBから正面側壁4aに向って流れる空気がスリット5cから排出され難くなるので、スリット5cから使用者に向かって強い風が生じることを防止することができる。
【0085】
続いて、別の変形例としての手乾燥装置1Fについて、図10を参照しながら説明する。変形例としての手乾燥装置1Fは、通気口5aの領域内に調整手段であるルーバー5dが取り付けられている。より具体的には、通気口5aの周縁5aa内に複数のルーバー5dが間隔をおいて可動自在に取り付けられ、手乾燥装置1Fを上から見た場合に側面部材2c,2dから正面側壁4a(図11及び図12に図示)に向って突出するように、その取り付け角度が調整されている。なお、図11に示すように、本実施形態に係る手乾燥装置1Fも、図7に示した変形例と同様の風向規制手段を備えるものであって、図4で説明したように、規制壁面4dBaのみによって規制壁4dBを構成しているものとする。
【0086】
続いて、図11及び図12を参照しながら、ノズル6aから噴出された空気の流れについてさらに説明する。図11は、手乾燥装置の中央近傍における縦断面図であり、図12は、手乾燥装置の平面図である。
【0087】
ノズル6aから噴出された空気は、最初に正面側壁4aから背面側壁4bBに向かい、背面側壁4bBの第一壁面4bBaに沿って下方に流れる。第一壁面4bBaに沿って流れる空気は、規制壁面4dBaに至り、規制壁面4dBaに沿った流れとなることで進行方向が変わる。規制壁面4dBaによって方向付けられた空気は、背面側壁4bBと正面側壁4aとの間を横切るように正面側壁4aへと向う。正面側壁4aへと向う空気のうち、側面部材2c、2dの近くを流れる空気は、通気口5aに至り、ルーバー5dに当接することで進行方向が変わる。ルーバー5dによって方向付けられた空気は、通気口5aから離れるように流れ、正面側壁4aに至る。正面側壁4aに至った空気は、背面側壁4bBと正面側壁4aとの間を横切るように、再び背面側壁4bBへと向かう。背面側壁4bBへと向う空気のうち、側面部材2c,2dの近くを流れる空気は、通気口5aを抜けて排出される(図12の実線矢印)。
【0088】
このように手乾燥装置1Fでは、ルーバー5dを通気口5a内に形成することよって、背面側壁4bBから正面側壁4aに向って流れる空気の進行方向を変更することができるので、通気口5aから使用者に向かって強い風が生じることを防止することができる。
【0089】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0090】
1:手乾燥装置
1B:手乾燥装置
1C:手乾燥装置
1D:手乾燥装置
1E:手乾燥装置
1F:手乾燥装置
2:ハウジング
2a:正面側部材
2b:背面側部材
2c:側面部材
2d:側面部材
2e:底部
3a,3b センサ
4:開口凹部
4a:正面側壁
4aD:正面側壁
4aDa:第一壁面
4aDb:第二壁面
4as:壁面
4b:背面側壁
4bB:背面側壁
4bBa:第一壁面
4bBb:第二壁面
4bC:背面側壁
4bCa:第一壁面
4bCb:第二壁面
4bD:背面側壁
4ba:第一壁面
4bb:第二壁面
4bs:壁面
4c:底壁
4cs:壁面
4d:規制壁
4dB:規制壁
4dBa:規制壁面
4dC:規制壁
4dCa:規制壁面
4dCc:対向規制壁面
4dD:規制壁
4dDa:規制壁面
4da:規制壁面
4da:規制壁面
4db:副規制壁面
4u:開口部
5:ルーバー
5a:通気口
5aa:周縁
5b:リブ
5c:スリット
5d:ルーバー
6a:第2ノズル
6b:第1ノズル
8:ファンモータユニット
10:回転駆動軸
14:吸込口
15:吹出ダクト
16:吹出口
16a:吹出口
16b:吹出口
18:フィンヒータ
19:トレー
20:フィルタ
22:空気取入口
24:吸気ダクト
24b:吸気ダクト
26:上流端
28:吸音材
30a:送風ダクト
30b:送風ダクト
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の手に空気を吹き付けて乾燥させる手乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、特に公共のトイレ等においては、手洗い後に手に付着している水を拭き取るためのペーパータオルを削減する傾向が強まっており、ペーパータオルの代わりに手乾燥装置を設置する場合が増えている。このような手乾燥装置は、洗面ボウルが配置されている場所からは少し離れた洗面カウンター上の壁面や、洗面カウンターから離れたトイレ空間の壁面等に設置されている場合が多い(下記特許文献1参照)。
【0003】
下記特許文献1において提案されている手乾燥装置では、手をハウジングの上方から開口凹部内へ挿入し、開口凹部の掌側壁面及び甲側壁面にそれぞれ設けられたセンサが手を検知すると、両壁面それぞれにほぼ水平方向直線状に設けられた複数の掌側用のノズル及び甲側用のノズルから、手の掌側及び甲側にそれぞれ温風が吹き付けられ、手に付着していた水滴を飛ばしながら下方へ流れるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−227320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1では、掌側用及び甲側用のファンモータユニットとも同一の最大出力を有する同一形態のものであり、両者とも回転駆動軸回転数を所望に変えることができるようになっている。手乾燥装置の使用時には、掌側用の回転駆動軸が甲側用の回転駆動軸よりも高速に回転するように各ファンモータユニット設定し、掌側に供給する風量が手の甲側に供給する風量に比べて大きくするのが好ましいものと記載されている。
【0006】
手乾燥装置で手を乾燥させる場合、手の甲側よりも掌側が乾燥し難いことから、本発明者らは、掌側により多くの風が当たるように、掌側に供給する風量を可能な限り多くしようと考え検討を行った。ところが、確かに掌側に供給する風量を多くすると、乾燥し難い掌に多くの風が当たって手は乾燥しやすくなるものの、ハウジングの開口凹部内を風が循環して使用者側に多くの風が吹き返してしまうことを見出した。
【0007】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、掌側に多くの風を当てるように風量を調整した場合であっても、使用者側への風の吹き返しを極力低減することができる手乾燥装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明に係る手乾燥装置は、使用者の手に空気を吹き付けて乾燥させる手乾燥装置であって、空気を吹き出す送風機と、前記送風機を内蔵するハウジングと、使用者の手が挿入される空間が構成されるように、前記ハウジングの正面側部材によって形成される正面側壁と背面側部材によって形成される背面側壁とが互いに対向した状態でそれぞれが底壁に対して立設されており、前記ハウジングの上面に前記正面側壁及び背面側壁に繋がる開口が形成された手乾燥室と、前記背面側部材に設けられ、前記送風機から吹き出された空気を前記手乾燥室内に吹き出す第1ノズルと、前記正面側部材に設けられ、前記送風機から吹き出された空気を前記第1ノズルよりも大きな風量で、前記手乾燥室内に吹き出す第2ノズルと、を備える。本発明に係る手乾燥装置は更に、前記正面側部材及び前記背面側部材の少なくとも一方に、前記第2ノズルから吹き出された空気が、前記底壁に沿って流れた後に前記正面側壁と前記背面側壁との間を横切るように流れる旋回流を形成するようにその進行方向を調整する風向規制手段を備える。
【0009】
本発明では、背面側部材に設けられている第1ノズルよりも大きな風量で空気を吹き出す第2ノズルを正面側部材に設けているので、使用者が掌側を正面側部材に向けて手を手乾燥室内に挿入した場合に、使用者の掌に多くの空気を当てることができる。更に、風向規制手段を設け、第2ノズルから吹き出された空気が、底壁に沿って流れた後に正面側壁と背面側壁との間を横切るように流れる旋回流を形成するようにその進行方向を調整している。このように正面側壁と背面側壁との間の横切る空気の流れをつくることで、横切る空気そのものも使用者側に吹き返さないことに加えて、横切る空気によって他の空気の流れが使用者側に吹き返すことの抑止にもなり得る。従って、第2ノズルから噴出された空気の使用者への吹き返しを最小限に抑え、使用者が不快な思いを受けない手乾燥装置を提供することができる。
【0010】
また本発明に係る手乾燥装置では、前記風向規制手段は、前記第2ノズルから吹き出され、前記背面側壁に向かって進行する空気の進行方向を、前記正面側壁に向かうように調整し、その調整の結果向かった空気が前記正面側壁から、前記底壁を経て、前記背面側壁に沿って流れた後に、再度前記正面側壁に向かって流れる旋回流を生じさせることも好ましい。
【0011】
この好ましい態様では、第2ノズルから吹き出された空気を、背面側壁から正面側壁に向かう流れと、その流れに続いて且つその流れの下方に、正面側壁から底壁を経て背面側壁に沿い再度正面側壁に向かう流れとからなる旋回流を形成している。下方に形成される空気の流れは、正面側壁から底壁を経て背面側壁に沿い再度正面側壁に向かう流れであるから、正面側壁と底壁と背面側壁とで囲まれた空間の中で循環する空気の流れを形成することができる。更に、下方において循環している空気の流れの一部である背面側壁から正面側壁へ向かう空気の流れと、上方において循環している空気の流れの一部である背面側壁から正面側壁へ向かう空気の流れとが沿うように形成されているので、下方において循環している空気の流れが上方で新たに発生する空気の流れに巻き込まれやすくなり、使用者への吹き返しをより確実に抑制することができる。
【0012】
また本発明に係る手乾燥装置では、前記風向規制手段は、前記背面側壁において前記第2ノズルに対応する高さよりも低い位置に設けられた規制壁を有するものであって、前記背面側壁の壁面は、前記開口から前記底壁を繋ぐように形成される一方で、前記規制壁の規制壁面が前記背面側壁の壁面と交わるように延び、前記開口側に向くように配置されていることも好ましい。
【0013】
この好ましい態様では、背面側壁に規制壁を設け、その規制壁の規制壁面が背面側壁の壁面と交わり開口側に向くように配置されている。従って、規制壁面を第2ノズル側に向けて設けることができ、第2ノズルから吹き出された空気の進行方向を、正面側壁に向かうように確実に調整することができる。
【0014】
また本発明に係る手乾燥装置では、前記規制壁は、前記規制壁面と交わる副規制壁面を有し、前記副規制壁面は、前記背面側壁の壁面と交わるように延び、前記底壁側に向くように配置されていることも好ましい。
【0015】
この好ましい態様では、規制壁面と交わる副規制壁面を設けており、その副規制壁面が背面側壁の壁面と交わり底壁側に向くように配置されている。従って、正面側壁から底壁を経て背面側壁に沿った空気の流れを、副規制壁面によって確実に再度正面側壁に向かう流れとすることができる。
【0016】
また本発明に係る手乾燥装置では、前記背面側壁の壁面は、前記開口から前記規制壁に至る第一壁面と、前記規制壁から前記底壁に至る第二壁面とによって構成され、前記第一壁面が底面となり、前記規制壁面が側面となるような凹部が形成され、この凹部は前記規制壁面による側面と対向する側面が前記開口側に形成されていることも好ましい。
【0017】
この好ましい態様では、背面側壁の上側壁面である第一壁面を底面とし、規制壁面を側面とする凹部を形成している。従って、第2ノズルから吹き出された空気は、第一壁面に当たって規制壁面に向かう流れと、凹部の底面である第一壁面に沿って広がる流れとに分かれる。凹部は、規制壁面による側面と対向する側面が開口側に形成されているので、底面に広がった空気の流れを開口側に形成されている凹部の側面で確実に使用者側に流れ出ないように方向付けることができる。
【0018】
また本発明に係る手乾燥装置では、前記風向規制手段は、前記第2ノズルから吹き出され、前記背面側壁に向かって進行する空気の進行方向を、前記背面側壁に沿わせ、その結果前記底壁に向かった空気が、前記底壁を経て、前記正面側壁に沿って流れた後に、再度前記背面側壁に向かって流れる旋回流を生じさせることも好ましい。
【0019】
この好ましい態様では、第2ノズルから吹き出された空気を、背面側壁から底壁を経て正面側壁に沿い再度背面側壁に向かう流れとする旋回流を形成している。従って、第2ノズルから吹き出された空気の勢いを削がずに、背面側壁から底壁を経て正面側壁に沿い再度背面側壁に向かって流れる旋回流を確実に形成することができる。
【0020】
また本発明に係る手乾燥装置では、前記風向規制手段は、前記正面側壁において前記第2ノズルが設けられている高さよりも低い位置に設けられた規制壁を有するものであって、前記正面側壁の壁面は、前記開口から前記底壁を繋ぐように形成される一方で、前記規制壁の規制壁面が前記正面側壁の壁面と交わるように延び、前記底壁側に向くように配置されていることも好ましい。
【0021】
この好ましい態様では、正面側壁に規制壁を設け、その規制壁の規制壁面が正面側壁の壁面と交わり底壁側に向くように配置されている。従って、規制壁面を底壁側に向けて設けることができ、背面側壁から底壁を経て正面側壁に沿う空気の進行方向を、確実に再度背面側壁に向かうように確実に調整することができる。
【0022】
また本発明に係る手乾燥装置では、前記規制壁と前記底壁との距離が、前記正面側壁と前記背面側壁との距離と略同一となるように配置されていることも好ましい。
【0023】
この好ましい態様では、規制壁と底壁との距離が、正面側壁と背面側壁との距離と略同一となるように配置されているので、旋回流が形成される領域が旋回流中心に臨むように見た場合に略正方形となるような領域を含むものとすることができ、旋回流を確実に起こすことができる。
【0024】
また本発明に係る手乾燥装置では、前記正面側壁と前記背面側壁との間には、通気口を有する側面部材が設けられており、前記側面部材は、前記通気口から排出される空気のうち、前記背面側壁から前記正面側壁に向かって流れる空気の進行方向を調整する調整手段を備えていることも好ましい。
【0025】
この好ましい態様では、前記通気口から排出される空気のうち、前記背面側壁から前記正面側壁に向かって流れる空気の進行方向を調整する調整手段を側面部材に設けている。従って、通気口から使用者に向かって強い風が生じることを防止することができる。
【0026】
また本発明に係る手乾燥装置では、前記調整手段は、前記通気口の前記背面側壁側の周縁であって、前記背面側壁から前記正面側壁に向かって流れる空気が当接するように、前記側面部材から前記手乾燥室内に突出して形成されたリブであることも好ましい。
【0027】
この好ましい形態では、リブは、通気口の背面側壁側の周縁であって、背面側壁から正面側壁に向かって流れる空気が当接するように前記手乾燥室内に向かって突出して形成されている。背面側壁から正面側壁に向かって流れる空気がリブに当接するので、背面側壁から正面側壁に向かって流れる空気の進行方向を変更できる。
【0028】
また本発明に係る手乾燥装置では、前記通気口は、前記正面側壁と前記調整手段との間であって、前記正面側部材及び又は前記背面側部材に対して垂直な方向に形成されたスリットであることも好ましい。
【0029】
この好ましい形態では、スリットは、正面側壁と調整手段との間であって、正面側部材及び又は背面側部材に対して垂直な方向に形成されているので、使用者から手乾燥室内を見え難くするとともに、外観がすっきりとした印象になり、手乾燥装置の意匠性を向上させることができる。
【0030】
また本発明に係る手乾燥装置では、前記調整手段は、前記通気口に取り付けられ、前記背面側壁から前記正面側壁に向かって流れる空気の進行方向を、前記正面側壁から前記背面側壁に向かって流れるように変更させるルーバーであることも好ましい。
【0031】
この好ましい形態では、ルーバーは、前記通気口に取り付けられ、前記背面側壁から前記正面側壁に向かって流れる空気の進行方向を、前記正面側壁から前記背面側壁に向かって流れるように変更させる。従って、通気口において、通気口から排出しようとする空気の風向きを通気口から排出しないように変更することができるので、通気口から使用者に向かって強い風が生じることを防止することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、掌側に多くの風を当てるように風量を調整した場合であっても、使用者側への風の吹き返しを極力低減することができる手乾燥装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態である手乾燥装置の外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示す手乾燥装置の縦断面図である。
【図3】図1に示す開口凹部における空気の流れを示す縦断面図である。
【図4】変形例としての手乾燥装置の開口凹部における空気の流れを示す縦断面図である。
【図5】変形例としての手乾燥装置の開口凹部における空気の流れを示す縦断面図である。
【図6】変形例としての手乾燥装置の開口凹部における空気の流れを示す縦断面図である。
【図7】変形例としての手乾燥装置の外観を示す斜視図である。
【図8】変形例としての手乾燥装置の開口凹部における空気の流れを示す縦断面図である。
【図9】変形例としての手乾燥装置の平面図である。
【図10】変形例としての手乾燥装置の外観を示す斜視図である。
【図11】変形例としての手乾燥装置の開口凹部における空気の流れを示す縦断面図である。
【図12】変形例としての手乾燥装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0035】
図1を参照しながら、本発明の一実施形態である手乾燥装置について説明する。図1は、本発明の実施形態である手乾燥装置1の斜視図である。
【0036】
本実施形態の手乾燥装置1は、例えば、洗面所などの壁面に設置されている水栓付きの洗面器の側方に設置され、水栓および洗面器を利用して手を洗った人が、濡れた手を乾燥するために使用するものである。
【0037】
なお、以下、説明の便宜上、本実施形態の手乾燥装置1を構成する部分(要素)において、手の掌側を乾燥させるための関連要素の各名称には「掌側」と付し、手の甲側を乾燥させるための関連部分の各名称には「甲側」と付する場合があり、位置関係を説明する際にも同様の趣旨で「掌側」又は「甲側」との語を用いる場合がある。手乾燥装置1を壁面に取り付けた状態で使用者を基準に換言すれば、「掌側」とは「手前側」「正面側」であり、「甲側」とは「壁面側」「背面側」である。従って、「掌側」の代わりに「手前側」「正面側」を用い、「甲側」の代わりに「壁面側」「背面側」を用いる場合もある。なお、本実施形態では手乾燥装置1を洗面所の壁面に設置する場合について説明しているが、手乾燥装置1の設置態様はこれに限られるものではなく、例えば壁面に固定されずに床面に立設される場合もある。
【0038】
図1に示すように、手乾燥装置1は、ハウジング2及び水受けトレー19を備えている。ハウジング2は、正面側部材2a(手前側部材)と、背面側部材2b(壁面側部材)と、側面部材2cと、側面部材2dとによって構成されている。ハウジング2には手乾燥室としての開口凹部4が形成され、その開口凹部4の下方には送風機(図1においては明示せず)が内蔵されている。開口凹部4は上方に開口しており、使用者が手を差し入れるための開口部4uが形成されている。
【0039】
手乾燥装置1を壁面に取り付けた状態で使用者に対して手前側となる正面側部材2aは、水平方向に直線状に略等間隔に列設された複数のノズル6a(第2ノズル、図1には明示せず)を備えている。また、手乾燥装置1を壁面に取り付けた状態で使用者に対して壁面側となる背面側部材2bは、ノズル6aと同様に水平方向に直線状に略等間隔に列設された複数のノズル6b(第1ノズル)を備えている。ノズル6a及びノズル6bは、送風機から送給される空気流を開口凹部4内へ吹き出すためのノズルである。
【0040】
また、ハウジング2の右側面には側面部材2dが着脱可能に装着され、側面部材2dには、水滴の通過を防止するルーバー5を有する台形状の通気口5aが設けられている。なお、ハウジング2の左側面にも側面部材2dと鏡面対称な形状を有する側面部材2cが着脱可能に装着されている。そして、開口凹部4内に差し込まれた濡れた手から吹き飛ばされた水滴を回収するため、ハウジング2の底部に、水受けトレー19が着脱可能に取り付けられている。
【0041】
続いて、図2を参照しながら手乾燥装置1について更に詳細に説明する。図2は、手乾燥装置1の中央近傍における縦断面図である。なお、図2では、空気または風の流れを矢印で示している。
【0042】
図1及び図2に示すように、本実施形態の手乾燥装置1は、手乾燥装置本体を取り囲むハウジング2を備えている。このハウジング2の上部には、ハウジング2の上方からその内部へ並べた両手を挿入することができるように、上端が開口した開口凹部4が設けられている。
【0043】
この開口凹部4は、そこに手を配置して風を当てて乾燥させる部分(手乾燥室)である。通常、掌をハウジング2の正面側部材2a側に向け、手の甲をハウジング2の背面側部材2b側に向けた姿勢で、手をハウジング2の上方から開口凹部4内へ挿入するようになっている。
【0044】
本実施形態の手乾燥装置1では、手をハウジング2の上方から開口凹部4内へ挿入し、開口凹部4の正面側壁4a及び背面側壁4bにそれぞれ設けられたセンサ3a,3bが手を検知すると、両壁面4a,4bのそれぞれにほぼ水平方向直線状に設けられた複数の掌側用のノズル6a及び甲側用のノズル6bから、手の掌側及び甲側にそれぞれ温風が吹き付けられ、手に付着していた水滴を飛ばしながら下方へ流れるようになっている。
【0045】
また、ハウジング2内には、掌側用のノズル6a及び甲側用のノズル6bのそれぞれに送風するためのファンモータユニットが設けられている。ファンモータユニット8は、その回転駆動軸10がハウジング2の正面側部材2a及び又は背面側部材2bに対して垂直な方向に延びるように配置されている。
【0046】
なお、手乾燥装置1の使用時には、掌側に供給する風量が手の甲側に供給する風量に比べて大きくなるように、掌側の送風ダクト30a及び甲側の送風ダクト30bの流路断面積が設定されている。ファンモータユニット8のケーシングの後端部には、吸込口14が設けられている。
【0047】
一方、ファンモータユニット8の吹出ダクト15の下流端には、上方に突出する吹出口16が形成されている。この吹出口16には、フィンヒータ18が設けられ、フィンヒータ18により、吹出口16から吹き出される空気が温められるようになっている。
【0048】
また、ハウジング2の底部2eには水受けトレー19が設けられており、開口凹部4内において両端がなで肩形状の底壁4cの壁面4csに落ちて両側に掃けた水が、ハウジング2の内側部にある排水溝(図示せず)を伝って水受けトレー19内に落ちるようになっている。さらに、水受けトレー19の背面側には、フィルタ20を備えた空気取入口22が設けられ、この空気取入口22には、吸気ダクト24bが接続されている。
【0049】
吸気ダクト24は、その上流端26が空気取入口22のフィルタ20の上に配置され、上流端26と吸込口14を連通させるように、上流端26からハウジング2の背面側部材2bに沿って上方にほぼ真っ直ぐ延びている。手乾燥装置1の作動中、ハウジング2の外部の空気は、空気取入口22からフィルタ20を介して、吸気ダクト24に吸込まれるようになっている。
【0050】
さらに、吸気ダクト24内の上部において、ファンモータユニット8の吸込口14に隣接して吸音材28が配置されており、吸音材28により、ファンモータユニット8の作動中に吸込口14から漏出した音がそれぞれ吸収されるようになっている。
【0051】
また、吹出口16には掌側用の送風ダクト30aが接続されており、この掌側用の送風ダクト30aは、ハウジング2の正面側部材2aに隣接して吹出口16aから上方に延びるように形成されている。さらに、掌側用の送風ダクト30a内の背面は、上述した開口凹部4の正面側壁4aが壁面4asを形成しており、送風ダクト30a内の上部の背面側には、複数の掌側用のノズル6aが掌側用の吹出口16aのほぼ真上に位置するように配置されている。
【0052】
更に、吹出口16には、掌側用の吹出口16aと同様に、甲側用の送風ダクト30bが接続されている。この甲側用の送風ダクト30bは、甲側用の吹出口16bから開口凹部4の背面側壁4bの壁面4bsに配置されている複数のノズル6bへと延びるように形成されている。
【0053】
尚、ハウジング2の各寸法については、成人の両手を並べて開口凹部4内へ挿入した際に、掌と手の甲が、開口凹部4の壁面4as及び壁面4bsのそれぞれと接触しないように寸法決めされている。
【0054】
例えば、ハウジング2の横幅については、好ましくは200mm〜350mmであり、最も好ましくは300mmである。また、ハウジングの奥行は、好ましくは120mm〜250mmであり、最も好ましくは180〜200mmである。また、掌側用のノズル6aと甲側用のノズル6bとの距離については、好ましくは70mm〜100mmであり、最も好ましくは85mmである。また、ハウジング2の高さは、好ましくは450mm〜700mmであり、最も好ましくは680mmである。
【0055】
上述したように、ハウジング2の両側面部材2c,2dには、風抜き手段であるルーバー5が設けられ(図2,図5及び図6参照)、開口凹部4内に配置された手にノズル6a,6bから温風が吹きつけられた際にハウジング2の側面部材2c,2dの方向に飛散した水滴が、このルーバー5により遮断され、風のみがルーバー5を抜けるようになっている。
【0056】
本実施形態の手乾燥装置1では、手をハウジング2の上方から開口凹部4内へ挿入し、開口凹部4の壁面4as及び壁面4bsにそれぞれ設けられたセンサ3a,3bが手を検知すると、CPU及びメモリといった構成要素からなる制御手段(図示しない)によってファンモータユニット8が駆動され、両壁面4as,4bsのそれぞれにほぼ水平方向直線状に設けられた複数の掌側用のノズル6a及び甲側用のノズル6bから、手の掌側及び甲側にそれぞれ温風が吹き付けられ、手に付着していた水滴を飛ばしながら下方へ流れるようになっている。
【0057】
本実施形態では、ノズル6aから、比較的大きな風量となるように空気を吹き出すので、開口凹部4から使用者側への空気の吹き返しが懸念される。そこで本実施形態では、背面側壁4bに規制壁4d(風向規制手段)を設けている。規制壁4dは、ノズル6aから吹き出された空気が、底壁4cに沿って流れた後に正面側壁4aと背面側壁4bとの間を横切るように流れる旋回流を形成するようにその進行方向を調整するものである。
【0058】
より具体的には、規制壁4dは、ノズル6aから吹き出され、背面側壁4bに向かって進行する空気の進行方向を、正面側壁4aに向かうように調整し、その調整の結果向かった空気が正面側壁4aから、底壁4cを経て、背面側壁4bに沿って流れた後に、正面側壁4aに向かって流れる旋回流を生じさせるものである。
【0059】
続いて、規制壁4dの作用による開口凹部4内の空気の流れについて図3を参照しながら説明する。図3は、開口凹部4における空気の流れを示す縦断面図である。規制壁4dは、背面側壁4bにおいてノズル6aに対応する高さよりも低い位置に設けられている。
【0060】
背面側壁4bの壁面は、開口部4uから底壁4cを繋ぐように形成され、開口部4uから規制壁4dに至る第一壁面4baと、規制壁4dから底壁4cに至る第二壁面4bbとによって構成されている。
【0061】
規制壁4dは、規制壁面4daと副規制壁面4dbとを有し、突起状に形成されている。規制壁面4daは、背面側壁4bの第一壁面4baと交わるように延びている。規制壁面4daは、開口部4u側に向くように配置されている。一方、副規制壁面4dbは、背面側壁4bの第二壁面4bbと交わるように延びている。副規制壁面4dbは、底壁4c側に向くように配置されている。
【0062】
ノズル6aから噴出された空気は、最初に正面側壁4aから背面側壁4bに向かい、背面側壁4bの第一壁面4baに沿って下方に流れる。第一壁面4baに沿って流れる空気は、規制壁面4daに至り、規制壁面4daに沿った流れとなることで進行方向が変わる。規制壁面4daによって方向付けられた空気は、背面側壁4bと正面側壁4aとの間を横切るように正面側壁4aと向う。正面側壁4aに至った空気は、正面側壁4aに沿って底壁4cに向けて流れる。底壁4cに至った空気は、底壁4cに沿って背面側壁4bに向けて流れる。背面側壁4bに至った空気は、背面側壁4bに沿って規制壁4dに向けて流れる。
【0063】
規制壁4dに至った空気は、副規制壁面4dbに沿って正面側壁4aに向けて流れる。正面側壁4aに至った空気は、正面側壁4aに沿って底壁4cに向けて流れる。底壁4cに至った空気は、底壁4cに沿って背面側壁4bに向けて流れる。背面側壁4bに至った空気は、背面側壁4bに沿って規制壁4dに向けて流れ、循環する旋回流が形成される。
【0064】
上述したように、規制壁4dが、規制壁面4daと副規制壁面4dbとを有することは、旋回流を効果的に形成するためには好ましいものである。しかしながら、副規制壁面4dbを設けなくても、正面側壁4aに沿って底壁4cに向けて流れ、底壁4cに沿って背面側壁4bに向けて流れ、背面側壁4bに至った空気を循環させることは可能である。このための変形例を図4に示す。
【0065】
図4に示すように、変形例としての手乾燥装置1Bは、規制壁面4dBaのみによって規制壁4dBを構成している。手乾燥装置1Bでは、背面側壁4bBの壁面は、開口部4uから底壁4cを繋ぐように形成され、開口部4uから規制壁4dBに至る第一壁面4bBaと、規制壁4dBから底壁4cに至る第二壁面4bBbとによって構成されている。規制壁4dBは、規制壁面4dBaを有している。規制壁面4dBaは、背面側壁4bBの第一壁面4bBa及び第二壁面4bBbと交わり、第一壁面4bBaの下端と第二壁面4bBbの上端とを繋ぐように延びている。規制壁面4dBaは、開口部4u側に向くように配置されている。
【0066】
従って、手乾燥装置1Bでは、背面側壁4bBの中央近傍の一部を後退させ、緩やかな勾配の凹部を形成している。このように副規制壁面4dbを設けなくても、規制壁面4dBaに沿った空気の流れに巻き込まれるように、背面側壁4bBに沿った空気の流れを巻き込むことができる。
【0067】
続いて、別の変形例としての手乾燥装置1Cについて、図5を参照しながら説明する。図5に示すように、変形例としての手乾燥装置1Cは、規制壁面4da,4dBaに対応する規制壁面4dCaと対向するように、開口部4u側に対向規制壁面4dCcが形成されている。
【0068】
背面側壁4bCの壁面は、開口部4uから底壁4cを繋ぐように形成され、開口部4uから規制壁4dに至る第一壁面4bCaと、規制壁4dBから底壁4cに至る第二壁面4bCbとによって構成されている。規制壁4dCは、規制壁面4dCaを有している。規制壁面4dCaは、背面側壁4bCの第一壁面4bCa及び第二壁面4bCbと交わり、第一壁面4bCaの下端と第二壁面4bCbの上端とを繋ぐように延びている。規制壁面4dCaは、開口部4u側に向くように配置されている。
【0069】
従って、手乾燥装置1Cでは、背面側壁4bCの上側部分を一様に後退させ、その後退した面である第一壁面4bCaが、第二壁面4bCbと略平行になるように凹部を形成している。この凹部は、第一壁面4bCaが底面となり、規制壁面4dCaが側面となり、規制壁面4dCaによる側面と対向する側面として対向規制壁面4dCcが開口部4u側に形成されている。
【0070】
このように、背面側壁4bCの上側壁面である第一壁面4bCaを底面とし、規制壁面4dCaを側面とする凹部を形成している。従って、ノズル6aから吹き出された空気は、第一壁面4bCaに当たって規制壁面4dCaに向かう流れと、凹部の底面である第一壁面4bCaに沿って広がる流れとに分かれる。凹部は、規制壁面4dCaによる側面と対向する側面として対向規制壁面4dCcが開口部4u側に形成されているので、底面である第一壁面4bCaに広がった空気の流れを、開口4u側に形成されている凹部の側面である対向規制壁面4dCcで、確実に使用者側に流れ出ないように方向付けることができる。
【0071】
上述した実施形態では、規制壁4d,4dB,4dCを、背面側壁4b,4bB,4bCに設けていたが、正面側壁4aに設けるのも好ましいものである。図6を参照しながら、規制壁4dDを正面側壁4aDに設けた手乾燥装置1Dについて説明する。
【0072】
規制壁4dDは、ノズル6aから吹き出された空気が、底壁4cに沿って流れた後に正面側壁4aDと背面側壁4bDとの間を横切るように流れる旋回流を形成するようにその進行方向を調整するものである。
【0073】
より具体的には、ノズル6aから吹き出され、背面側壁4bDに向かって進行する空気の進行方向を、背面側壁4bDに沿わせ、その結果底壁4cに向かった空気が、底壁4cを経て、正面側壁4aDに向かうように調整し、その調整の結果向かった空気が正面側壁4aDに沿って上昇する。正面側壁4aDに沿って上昇した空気は、規制壁4dDによってその進行方向を背面側壁4bDに向けられる。このように、規制壁4dDを設けることで、背面側壁4bD、底壁4cを経て、正面側壁4aDに沿って流れた後に、背面側壁4bDに向かって流れる旋回流を生じさせるものである。
【0074】
規制壁4dDは、正面側壁4aDにおいてノズル6aに対応する高さよりも低い位置に設けられている。正面側壁4aDの壁面は、開口部4uから底壁4cを繋ぐように形成され、開口部4uから規制壁4dDに至る第一壁面4aDaと、規制壁4dDから底壁4cに至る第二壁面4aDbとによって構成されている。
【0075】
規制壁4dDは、規制壁面4dDaを有している。規制壁面4dDaは、正面側壁4aDの第一壁面4aDa及び第二壁面4aDbと交わり、第一壁面4aDaの下端と第二壁面4aDbの上端とを繋ぐように延びている。規制壁面4dDaは、開口部4u側に向くように配置されている。
【0076】
このように手乾燥装置1Dでは、ノズル6aから吹き出された空気を、背面側壁4bDから底壁4cを経て正面側壁4aDに沿い再度背面側壁4bDに向かう流れとする旋回流を形成している。従って、ノズル6aから吹き出された空気の勢いを削がずに、背面側壁4bDから底壁4cを経て正面側壁4aDに沿い再度背面側壁4bDに向かって流れる旋回流を確実に形成することができる。
【0077】
手乾燥装置1Dでは、正面側壁4aDに規制壁4dDを設け、その規制壁4dDの規制壁面4dDaが正面側壁4aDの第二壁面4aDbと交わり底壁4c側に向くように配置されている。従って、規制壁面4dDaを底壁4c側に向けて設けることができ、背面側壁4bDから底壁4cを経て正面側壁4aDに沿う空気の進行方向を、確実に再度背面側壁4bDに向かうように確実に調整することができる。
【0078】
また本実施形態に係る手乾燥装置1,1B,1C,1Dでは、規制壁4d,4dB,4dC,4dDと底壁4cとの距離が、正面側壁4a,4aB,4aC,4aDと背面側壁4b,4bB,4bC,4bDとの距離と略同一となるように配置されている。
【0079】
このように、規制壁4d,4dB,4dC,4dDと底壁4cとの距離が、正面側壁4a,4aB,4aC,4aDと背面側壁4b,4bB,4bC,4bDとの距離と略同一となるように配置されているので、旋回流が形成される領域が旋回流中心に臨むように見た場合に略正方形となるような領域を含むものとすることができ、旋回流を確実に起こすことができる。
【0080】
上述したように、手乾燥装置1,1B,1C,1Dが、第2ノズル6aから噴出された空気の使用者への吹き返しを最小限に抑えることができるので、使用者が不快な思いを受けないようにするためには好ましい形態である。しかしながら、側面部材2c,2dに通気口5aが設けられている場合には、第2ノズル6aから噴出された空気が背面側壁4bに当たり、その結果、背面側壁4bから正面側壁4aに向うようになった空気が、正面側壁4aに当たる手前で通気口5aから抜け、使用者側へ向かってしまう場合もある。このような場合には手乾燥装置の側面側にも対策を施す必要がある。このための変形例を図7に示す。
【0081】
図7に示すように、変形例としての手乾燥装置1Eは、側面部材2c,2dに調整手段であるリブ5b及び通気口であるスリット5cが備えられている。リブ5bは、背面側壁4bB(図8及び図9に図示)から正面側壁4a(図8及び図9に図示)に向かって流れる空気がスリット5cの手前で当たるように、スリット5cの背面側壁4bB側寄りの周縁に形成されており、側面部材2c,2dから手乾燥室内に向かって突出して形成されている。スリット5cは、使用者から手乾燥室内を見え難くするとともに、外観をすっきりさせるために、ハウジング2の上方から見た場合に正面側壁4aとリブ5bとの間に形成されており、正面側部材2a及び又は背面側部材2bに対して垂直方向に延びるように形成されている。なお、図8に示すように、本実施形態に係る手乾燥装置1Eは、図4で説明したように、風向規制手段は、規制壁面4dBaのみによって規制壁4dBを構成しているものとする。
【0082】
続いて、図8及び図9を参照しながら、ノズル6aから噴出された空気の流れについてさらに説明する。図8は、手乾燥装置1Eの中央近傍における縦断面図であり、図9は、手乾燥装置1Eの平面図である。
【0083】
ノズル6aから噴出された空気は、最初に正面側壁4aから背面側壁4bBに向かい、背面側壁4bBの第一壁面4bBaに沿って下方に流れる。第一壁面4bBaに沿って流れる空気は、規制壁面4dBaに至り、規制壁面4dBaに沿った流れとなることで進行方向が変わる。規制壁面4dBaによって方向付けられた空気は、背面側壁4bBと正面側壁4aとの間を横切るように正面側壁4aへと向う。正面側壁4aへと向う空気のうち、側面部材2c,2dの近くを流れる空気は、リブ5bに至り、リブ5bに当接することで進行方向が変わる。リブ5bによって方向付けられた空気は、リブ5bを乗り越えると、スリット5cから離れるように流れ、正面側壁4aに至る。正面側壁4aに至った空気は、背面側壁4bBと正面側壁4aとの間を横切るように、再び背面側壁4bBへと向かう。背面側壁4bBへと向う空気のうち、側面部材2c,2dの近くを流れる空気は、スリット5cを抜けて排出される(図9の実線矢印)。
【0084】
このように手乾燥装置1Eでは、背面側壁4bB寄りの側面部材2c,2dにリブ5bを突出して形成することにより、背面側壁4bBから正面側壁4aに向って流れる空気がスリット5cから排出され難くなるので、スリット5cから使用者に向かって強い風が生じることを防止することができる。
【0085】
続いて、別の変形例としての手乾燥装置1Fについて、図10を参照しながら説明する。変形例としての手乾燥装置1Fは、通気口5aの領域内に調整手段であるルーバー5dが取り付けられている。より具体的には、通気口5aの周縁5aa内に複数のルーバー5dが間隔をおいて可動自在に取り付けられ、手乾燥装置1Fを上から見た場合に側面部材2c,2dから正面側壁4a(図11及び図12に図示)に向って突出するように、その取り付け角度が調整されている。なお、図11に示すように、本実施形態に係る手乾燥装置1Fも、図7に示した変形例と同様の風向規制手段を備えるものであって、図4で説明したように、規制壁面4dBaのみによって規制壁4dBを構成しているものとする。
【0086】
続いて、図11及び図12を参照しながら、ノズル6aから噴出された空気の流れについてさらに説明する。図11は、手乾燥装置の中央近傍における縦断面図であり、図12は、手乾燥装置の平面図である。
【0087】
ノズル6aから噴出された空気は、最初に正面側壁4aから背面側壁4bBに向かい、背面側壁4bBの第一壁面4bBaに沿って下方に流れる。第一壁面4bBaに沿って流れる空気は、規制壁面4dBaに至り、規制壁面4dBaに沿った流れとなることで進行方向が変わる。規制壁面4dBaによって方向付けられた空気は、背面側壁4bBと正面側壁4aとの間を横切るように正面側壁4aへと向う。正面側壁4aへと向う空気のうち、側面部材2c、2dの近くを流れる空気は、通気口5aに至り、ルーバー5dに当接することで進行方向が変わる。ルーバー5dによって方向付けられた空気は、通気口5aから離れるように流れ、正面側壁4aに至る。正面側壁4aに至った空気は、背面側壁4bBと正面側壁4aとの間を横切るように、再び背面側壁4bBへと向かう。背面側壁4bBへと向う空気のうち、側面部材2c,2dの近くを流れる空気は、通気口5aを抜けて排出される(図12の実線矢印)。
【0088】
このように手乾燥装置1Fでは、ルーバー5dを通気口5a内に形成することよって、背面側壁4bBから正面側壁4aに向って流れる空気の進行方向を変更することができるので、通気口5aから使用者に向かって強い風が生じることを防止することができる。
【0089】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0090】
1:手乾燥装置
1B:手乾燥装置
1C:手乾燥装置
1D:手乾燥装置
1E:手乾燥装置
1F:手乾燥装置
2:ハウジング
2a:正面側部材
2b:背面側部材
2c:側面部材
2d:側面部材
2e:底部
3a,3b センサ
4:開口凹部
4a:正面側壁
4aD:正面側壁
4aDa:第一壁面
4aDb:第二壁面
4as:壁面
4b:背面側壁
4bB:背面側壁
4bBa:第一壁面
4bBb:第二壁面
4bC:背面側壁
4bCa:第一壁面
4bCb:第二壁面
4bD:背面側壁
4ba:第一壁面
4bb:第二壁面
4bs:壁面
4c:底壁
4cs:壁面
4d:規制壁
4dB:規制壁
4dBa:規制壁面
4dC:規制壁
4dCa:規制壁面
4dCc:対向規制壁面
4dD:規制壁
4dDa:規制壁面
4da:規制壁面
4da:規制壁面
4db:副規制壁面
4u:開口部
5:ルーバー
5a:通気口
5aa:周縁
5b:リブ
5c:スリット
5d:ルーバー
6a:第2ノズル
6b:第1ノズル
8:ファンモータユニット
10:回転駆動軸
14:吸込口
15:吹出ダクト
16:吹出口
16a:吹出口
16b:吹出口
18:フィンヒータ
19:トレー
20:フィルタ
22:空気取入口
24:吸気ダクト
24b:吸気ダクト
26:上流端
28:吸音材
30a:送風ダクト
30b:送風ダクト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の手に空気を吹き付けて乾燥させる手乾燥装置であって、
空気を吹き出す送風機と、
前記送風機を内蔵するハウジングと、
使用者の手が挿入される空間が構成されるように、前記ハウジングの正面側部材によって形成される正面側壁と背面側部材によって形成される背面側壁とが互いに対向した状態でそれぞれが底壁に対して立設されており、前記ハウジングの上面に前記正面側壁及び背面側壁に繋がる開口が形成された手乾燥室と、
前記背面側部材に設けられ、前記送風機から吹き出された空気を前記手乾燥室内に吹き出す第1ノズルと、
前記正面側部材に設けられ、前記送風機から吹き出された空気を前記第1ノズルよりも大きな風量で、前記手乾燥室内に吹き出す第2ノズルと、を備え、
前記正面側部材及び前記背面側部材の少なくとも一方に、前記第2ノズルから吹き出された空気が、前記底壁に沿って流れた後に前記正面側壁と前記背面側壁との間を横切るように流れる旋回流を形成するようにその進行方向を調整する風向規制手段を備えることを特徴とする手乾燥装置。
【請求項2】
前記風向規制手段は、
前記第2ノズルから吹き出され、前記背面側壁に向かって進行する空気の進行方向を、前記正面側壁に向かうように調整し、その調整の結果向かった空気が前記正面側壁から、前記底壁を経て、前記背面側壁に沿って流れた後に、再度前記正面側壁に向かって流れる旋回流を生じさせることを特徴とする請求項1に記載の手乾燥装置。
【請求項3】
前記風向規制手段は、前記背面側壁において前記第2ノズルに対応する高さよりも低い位置に設けられた規制壁を有するものであって、
前記背面側壁の壁面は、前記開口から前記底壁を繋ぐように形成される一方で、
前記規制壁の規制壁面が前記背面側壁の壁面と交わるように延び、前記開口側に向くように配置されていることを特徴とする請求項2に記載の手乾燥装置。
【請求項4】
前記規制壁は、前記規制壁面と交わる副規制壁面を有し、
前記副規制壁面は、前記背面側壁の壁面と交わるように延び、前記底壁側に向くように配置されていることを特徴とする請求項3に記載の手乾燥装置。
【請求項5】
前記背面側壁の壁面は、前記開口から前記規制壁に至る第一壁面と、前記規制壁から前記底壁に至る第二壁面とによって構成され、
前記第一壁面が底面となり、前記規制壁面が側面となるような凹部が形成され、この凹部は前記規制壁面による側面と対向する側面が前記開口側に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の手乾燥装置。
【請求項6】
前記風向規制手段は、
前記第2ノズルから吹き出され、前記背面側壁に向かって進行する空気の進行方向を、前記背面側壁に沿わせ、その結果前記底壁に向かった空気が、前記底壁を経て、前記正面側壁に沿って流れた後に、再度前記背面側壁に向かって流れる旋回流を生じさせることを特徴とする請求項1に記載の手乾燥装置。
【請求項7】
前記風向規制手段は、前記正面側壁において前記第2ノズルが設けられている高さよりも低い位置に設けられた規制壁を有するものであって、
前記正面側壁の壁面は、前記開口から前記底壁を繋ぐように形成される一方で、
前記規制壁の規制壁面が前記正面側壁の壁面と交わるように延び、前記底壁側に向くように配置されていることを特徴とする請求項6に記載の手乾燥装置。
【請求項8】
前記規制壁と前記底壁との距離が、前記正面側壁と前記背面側壁との距離と略同一となるように配置されていることを特徴とする請求項3,4,5,7のいずれか1項に記載の手乾燥装置。
【請求項9】
前記正面側壁と前記背面側壁との間には、通気口を有する側面部材が設けられており、
前記側面部材は、前記通気口から排出される空気のうち、前記背面側壁から前記正面側壁に向かって流れる空気の進行方向を調整する調整手段を備えることを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載の手乾燥装置。
【請求項10】
前記調整手段は、前記通気口の前記背面側壁側の周縁であって、前記背面側壁から前記正面側壁に向かって流れる空気が当接するように、前記側面部材から前記手乾燥室内に向かって突出して形成されたリブであることを特徴とする請求項9に記載の手乾燥装置。
【請求項11】
前記通気口は、前記正面側壁と前記調整手段との間であって、前記正面側部材及び又は前記背面側部材に対して垂直な方向に形成されたスリットであることを特徴とする請求項10に記載の手乾燥装置。
【請求項12】
前記調整手段は、前記通気口に取り付けられ、前記背面側壁から前記正面側壁に向かって流れる空気の進行方向を、前記正面側壁から前記背面側壁に向かって流れるように変更させるルーバーであることを特徴とする請求項9に記載の手乾燥装置。
【請求項1】
使用者の手に空気を吹き付けて乾燥させる手乾燥装置であって、
空気を吹き出す送風機と、
前記送風機を内蔵するハウジングと、
使用者の手が挿入される空間が構成されるように、前記ハウジングの正面側部材によって形成される正面側壁と背面側部材によって形成される背面側壁とが互いに対向した状態でそれぞれが底壁に対して立設されており、前記ハウジングの上面に前記正面側壁及び背面側壁に繋がる開口が形成された手乾燥室と、
前記背面側部材に設けられ、前記送風機から吹き出された空気を前記手乾燥室内に吹き出す第1ノズルと、
前記正面側部材に設けられ、前記送風機から吹き出された空気を前記第1ノズルよりも大きな風量で、前記手乾燥室内に吹き出す第2ノズルと、を備え、
前記正面側部材及び前記背面側部材の少なくとも一方に、前記第2ノズルから吹き出された空気が、前記底壁に沿って流れた後に前記正面側壁と前記背面側壁との間を横切るように流れる旋回流を形成するようにその進行方向を調整する風向規制手段を備えることを特徴とする手乾燥装置。
【請求項2】
前記風向規制手段は、
前記第2ノズルから吹き出され、前記背面側壁に向かって進行する空気の進行方向を、前記正面側壁に向かうように調整し、その調整の結果向かった空気が前記正面側壁から、前記底壁を経て、前記背面側壁に沿って流れた後に、再度前記正面側壁に向かって流れる旋回流を生じさせることを特徴とする請求項1に記載の手乾燥装置。
【請求項3】
前記風向規制手段は、前記背面側壁において前記第2ノズルに対応する高さよりも低い位置に設けられた規制壁を有するものであって、
前記背面側壁の壁面は、前記開口から前記底壁を繋ぐように形成される一方で、
前記規制壁の規制壁面が前記背面側壁の壁面と交わるように延び、前記開口側に向くように配置されていることを特徴とする請求項2に記載の手乾燥装置。
【請求項4】
前記規制壁は、前記規制壁面と交わる副規制壁面を有し、
前記副規制壁面は、前記背面側壁の壁面と交わるように延び、前記底壁側に向くように配置されていることを特徴とする請求項3に記載の手乾燥装置。
【請求項5】
前記背面側壁の壁面は、前記開口から前記規制壁に至る第一壁面と、前記規制壁から前記底壁に至る第二壁面とによって構成され、
前記第一壁面が底面となり、前記規制壁面が側面となるような凹部が形成され、この凹部は前記規制壁面による側面と対向する側面が前記開口側に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の手乾燥装置。
【請求項6】
前記風向規制手段は、
前記第2ノズルから吹き出され、前記背面側壁に向かって進行する空気の進行方向を、前記背面側壁に沿わせ、その結果前記底壁に向かった空気が、前記底壁を経て、前記正面側壁に沿って流れた後に、再度前記背面側壁に向かって流れる旋回流を生じさせることを特徴とする請求項1に記載の手乾燥装置。
【請求項7】
前記風向規制手段は、前記正面側壁において前記第2ノズルが設けられている高さよりも低い位置に設けられた規制壁を有するものであって、
前記正面側壁の壁面は、前記開口から前記底壁を繋ぐように形成される一方で、
前記規制壁の規制壁面が前記正面側壁の壁面と交わるように延び、前記底壁側に向くように配置されていることを特徴とする請求項6に記載の手乾燥装置。
【請求項8】
前記規制壁と前記底壁との距離が、前記正面側壁と前記背面側壁との距離と略同一となるように配置されていることを特徴とする請求項3,4,5,7のいずれか1項に記載の手乾燥装置。
【請求項9】
前記正面側壁と前記背面側壁との間には、通気口を有する側面部材が設けられており、
前記側面部材は、前記通気口から排出される空気のうち、前記背面側壁から前記正面側壁に向かって流れる空気の進行方向を調整する調整手段を備えることを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載の手乾燥装置。
【請求項10】
前記調整手段は、前記通気口の前記背面側壁側の周縁であって、前記背面側壁から前記正面側壁に向かって流れる空気が当接するように、前記側面部材から前記手乾燥室内に向かって突出して形成されたリブであることを特徴とする請求項9に記載の手乾燥装置。
【請求項11】
前記通気口は、前記正面側壁と前記調整手段との間であって、前記正面側部材及び又は前記背面側部材に対して垂直な方向に形成されたスリットであることを特徴とする請求項10に記載の手乾燥装置。
【請求項12】
前記調整手段は、前記通気口に取り付けられ、前記背面側壁から前記正面側壁に向かって流れる空気の進行方向を、前記正面側壁から前記背面側壁に向かって流れるように変更させるルーバーであることを特徴とする請求項9に記載の手乾燥装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−213585(P2012−213585A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202959(P2011−202959)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
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