手切れ性熱可塑性合成樹脂バンド
【課題】十分な強度を有し、且つ容易に手で切断することが可能であって、また製造が容易な手切れ性熱可塑性合成樹脂バンドを提供すること。
【解決手段】熱可塑性合成樹脂からなり、長さ方向に一軸延伸された熱可塑性合成樹脂バンドであって、一軸延伸された後に、長さ方向に所定の間隔を開けて、一方の側端から他方の側端に至る無配向部を形成し、これによって、バンドを幅方向、すなわち、バンドを構成する樹脂分子の配向の方向とは異なる方向へ、バンドを容易に切断できるようにした。
【解決手段】熱可塑性合成樹脂からなり、長さ方向に一軸延伸された熱可塑性合成樹脂バンドであって、一軸延伸された後に、長さ方向に所定の間隔を開けて、一方の側端から他方の側端に至る無配向部を形成し、これによって、バンドを幅方向、すなわち、バンドを構成する樹脂分子の配向の方向とは異なる方向へ、バンドを容易に切断できるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、物品を結束して梱包するための合成樹脂バンドに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来から、熱可塑性合成樹脂材料により形成される梱包用のバンドが用いられており、特にポリプロピレン（ＰＰ）、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）等オレフィン系の熱可塑性合成樹脂は分子構造中に極性基または反応性のある活性基をもたず化学的に安定していて、且つ機械的特性に優れていることから、オレフィン系熱可塑性合成樹脂により形成された熱可塑性合成樹脂バンドが広く用いられている。また、この熱可塑性合成樹脂バンドにおいては、押出成形されたバンド基材をその融点以下で一方向（長さ方向）に延伸したものが、このときに生じる分子配向により「伸びが少なくて高強度」という特性を備えることから、多用されている。
【０００３】
さらに、前記延伸によって繊維化された熱可塑性合成樹脂バンドの表面からの毛羽立ちを抑えたり、縦割れを防止したり、あるいは熱可塑性合成樹脂バンドの見かけ厚みを増すことによって、腰を強くしたり等するために、熱可塑性合成樹脂バンドの表面にエンボス処理を施すことが行われている。
上記のように構成した熱可塑性合成樹脂バンドによれば、確かに強度が増し、安定的に梱包がなされる。
【０００４】
一方、この種の合成樹脂バンドにおいては、開梱の際に、容易に手で切れることが要求される場合がある。上記のような従来の合成樹脂バンドにおいては、特に一方向（長さ方向）に延伸されたものである場合においては、長さ方向に当該合成樹脂バンドを切断することは容易であるが、幅方向に切ることは困難であり、そのためハサミなどの切断道具を必要としていた。
【０００５】
この点、例えば、単層の帯状フィルムを用いて構成された結束テープであって、前記帯状フィルムが、熱接着性を有する合成樹脂フィルムを用いて形成されており、前記帯状フィルムの側辺部に沿って、複数の押切傷が設けられたことを特徴とする結束テープが提案されている（特許文献１）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００６】
【特許文献１】特開２００３−３４１７１２号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
しかしながら、上述の一方向（長さ方向）に延伸された合成樹脂バンドにおいては、延伸方向には容易に切断できるが、延伸方向とは異なる方向に切断するのは、困難である。したがって、上記従来の結束テープのような構成では、押切傷の部分は切断できても、バンドの幅方向全体を切断することは非常に困難である。
【０００８】
本発明は、上記のような問題点を克服するためになされたものであって、十分な強度を有し、且つ容易に手で切断することが可能であって、また製造が容易な熱可塑性合成樹脂バンドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
上記の課題を解決するため、本発明に係る手切れ性熱可塑性合成樹脂バンドは、熱可塑性合成樹脂からなり、長さ方向に一軸延伸された熱可塑性合成樹脂バンドであって、一軸延伸された後に、長さ方向に所定の間隔を開けて、一方の側端から他方の側端に至る無配向部を形成したことを特徴とする。
【００１０】
ここで、「無配向部」は、バンド延伸方向の樹脂分子の配向を必ずしも完全に解消する必要はなく、ハサミなどの切断道具を必要とせず、利用者の手でバンドを幅方向に切断できる程度に配向が解消されているものを含むものである。
【００１１】
本発明に係る手切れ性熱可塑性合成樹脂バンドは、上記のとおり一方の側端から他方の側端に至る無配向部が形成されており、当該無配向部においては、手で切断が可能な程度にバンドの長さ方向の配向が解消されているため、バンドをその幅方向に手で切断することが可能となる。
また、本発明に係る手切れ性熱可塑性合成樹脂バンドにおいて、無配向部の形成は、熱溶融手段によるものとすれば、簡便に無配向部の形成ができ好ましい。
【発明の効果】
【００１２】
以上のとおり、本発明に係る手切れ性熱可塑性合成樹脂バンドによれば、バンドを幅方向、すなわち、バンドを構成する樹脂分子の配向の方向とは異なる方向へ、容易に切断することが可能となる。
したがって、利用者は、ハサミなどの切断道具を利用することなく、手でバンドを切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【００１３】
【図１】本発明に係る手切れ性熱可塑性合成樹脂バンドの一実施形態を示す斜視図である。
【図２】図１の手切れ性熱可塑性合成樹脂バンドの平面図である。
【図３】本発明に係る手切れ性熱可塑性合成樹脂バンドの別の実施形態を示す図である。
【図４】本発明に係る手切れ性熱可塑性合成樹脂バンドの更に別の実施形態を示す図である。
【図５】本発明に係る手切れ性熱可塑性合成樹脂バンドの更に別の実施形態を示す図である。
【図６】本発明に係る手切れ性熱可塑性合成樹脂バンドの更に別の実施形態を示す図である。
【図７】本発明に係る手切れ性熱可塑性合成樹脂バンドの更に別の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【００１４】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【００１５】
図１は、本発明に係る手切れ性熱可塑性合成樹脂バンドの一実施形態を示す斜視図であり、図２は、その平面図である。この手切れ性熱可塑性合成樹脂バンド１は、長尺の基材２に所定の間隔を空けて複数の無配向部３が形成されてなるものである。
【００１６】
基材２は、ポリプロピレンの単一合成樹脂からなり、長さ方向に一軸延伸され、さらに表裏面にエンボス処理が施されたものである。この基材２は、一軸延伸されたことにより、樹脂分子がその延伸方向、すなわち基材２の長さ方向に配向が揃っているため、長さ方向には容易に切断できるが、幅方向には容易に切断できないものである。
【００１７】
この基材２には、さらに、長さ方向に所定の間隔を開けて、一方の側端から他方の側端に至る無配向部３が形成されている。この無配向部３は、基材２に対して幅方向へ線状に加圧、加熱して樹脂分子を一部熱溶融し、樹脂分子のバンド長さ方向への配向を解いてしまうことによって形成される。尚、これと同様に樹脂分子のバンド長さ方向への配向を解くことができれば、どのような方法でも用いることができ、また、当該樹脂分子の配向は完全に解消される必要はなく、手で無配向部３を切断できる程度に配向が解消されていればよい。
【００１８】
このように無配向部３を形成すれば、ハサミなどの切断道具を使わなくともバンド１の基材２を図１における矢印Xの方向、すなわちバンド１の幅方向へ容易に切断することが可能となる。
【００１９】
なお、このバンド１は、基本的に従来の合成樹脂バンドと同じく押出→冷却→延伸→エンボス処理→アニーリング→冷却という工程で製造されるものであるが、無配向部の形成は、エンボス処理と同時に、あるいはアニーリングの前後においてなされるようにすることができる。
【００２０】
例えば、エンボス処理と同時に行う場合には、エンボスロールに加熱手段を設けるようにし、これにより、延伸した後の基材２がエンボスロール間を通過する際に、加熱手段が基材２に加熱して無配向部３を形成するようにすることができる。あるいは、アニーリングを行うアニール槽の前後に加熱ロールなどの加熱手段を配置し、この加熱手段を基材２が通過する際に、加熱手段が基材２に加熱して無配向部３を形成するようにするようにしてもよい。
【００２１】
図３（ａ）は、本発明に係る熱可塑性合成樹脂バンド１の別の実施形態を示す図であり、図３（ｂ）は、その部分拡大図、図３（ｃ）は更にその部分拡大図である。この実施形態においては、無配向部３は、複数の小無配向部３１により構成されている。この小無配向部３１は、基材２の両側端部を除いて、全ての小無配向部３１の端部３１１が他の小無配向部３１の端部３１１と幅方向に重複するように形成されている。これにより、図３（ｂ）に示すように、基材２の一側端部Ｐから矢印Yの方向へ小無配向部３１を切ろうとすると、点線で描いた矢印の方向に沿って、各小無配向部３１が切断され、基材２を横断して他の側端部Ｑまで切断することができる。
【００２２】
すなわち、各小無配向部３１は、容易にバンドの幅方向に千切るように切断することができ、一方、一軸延伸された基材２は、その延伸方向には容易に切断できるので、上記重複する小無配向部３１の端部３１１間（重複部Ｒ）も容易に切断することが可能である。これにより、基材２の一側端部Ｐから、点線で描いた矢印の方向に沿って、基材２の他の側端部Ｑまで切断することができるようになされている。
【００２３】
図４は、本発明に係る熱可塑性合成樹脂バンド１の更に別の実施形態を示す図である。図４の実施形態においては、無配向部３は、２列の直線状に形成された複数の小無配向部３１によって、構成されている。このようにすれば、複数の小無配向部３１により無配向部３を形成する場合であっても、バンド１を手で切断する際に、バンド１の一側端部の小無配向部３１から、他の側端部の小無配向部３１に至るまでのバンドの長さ方向の寸法を小さくすることができ、それゆえ手の小さな人でも容易にバンド１を切断することが可能となる。
【００２４】
図５は、本発明に係る熱可塑性合成樹脂バンド１の更に別の実施形態を示す図である。図５（ａ）は、無配向部３を複数の小無配向部３１を略Ｘ字状に配置して形成したものであり、また、（ｂ）は、無配向部３を複数の小無配向部３１を略Ｖ字状に配置して形成したものである。このように構成すれば、利用者が左利きであっても、あるいは右利きであっても容易にバンド１を切断することが可能となる。
【００２５】
図６は、本発明に係る熱可塑性合成樹脂バンド１の更に別の実施形態を示す図である。図６（ａ）〜（ｅ）は、無配向部３を複数の小無配向部３１から形成したものであり、各小無配向部３１を略「く」の字状に形成したものである。さらに、図７は、本発明に係る熱可塑性合成樹脂バンド１の更に別の実施形態を示す図であって、無配向部３を複数の小無配向部３１から形成したものであり、各小無配向部３１を略円形状に形成したものである。上述した小無配向部３１の形状および配置は、上記の形態に限定されるものではなく、利用者にとっての利便性、すなわち、切断の容易性や無配向部（切断すべき箇所）の視認性などの要求に応じて様々な形状および配置とすることが可能である。
【００２６】
尚、上記いずれの実施形態においても、小無配向部３１は、基材２の両側端部を除いて、全ての小無配向部３１の端部が他の小無配向部３１の端部と幅方向に重複するように形成されている。したがって、基材２の一側端部に形成された小無配向部３１から基材２を幅方向に切ろうとすると、その端部が重複する各小無配向部３１が順次切断され、基材２を横断して他の側端部まで切断することができる。
【符号の説明】
【００２７】
１ 熱可塑性合成樹脂バンド
２ 基材
３ 無配向部
３１ 小無配向部
【技術分野】
【０００１】
本発明は、物品を結束して梱包するための合成樹脂バンドに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来から、熱可塑性合成樹脂材料により形成される梱包用のバンドが用いられており、特にポリプロピレン（ＰＰ）、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）等オレフィン系の熱可塑性合成樹脂は分子構造中に極性基または反応性のある活性基をもたず化学的に安定していて、且つ機械的特性に優れていることから、オレフィン系熱可塑性合成樹脂により形成された熱可塑性合成樹脂バンドが広く用いられている。また、この熱可塑性合成樹脂バンドにおいては、押出成形されたバンド基材をその融点以下で一方向（長さ方向）に延伸したものが、このときに生じる分子配向により「伸びが少なくて高強度」という特性を備えることから、多用されている。
【０００３】
さらに、前記延伸によって繊維化された熱可塑性合成樹脂バンドの表面からの毛羽立ちを抑えたり、縦割れを防止したり、あるいは熱可塑性合成樹脂バンドの見かけ厚みを増すことによって、腰を強くしたり等するために、熱可塑性合成樹脂バンドの表面にエンボス処理を施すことが行われている。
上記のように構成した熱可塑性合成樹脂バンドによれば、確かに強度が増し、安定的に梱包がなされる。
【０００４】
一方、この種の合成樹脂バンドにおいては、開梱の際に、容易に手で切れることが要求される場合がある。上記のような従来の合成樹脂バンドにおいては、特に一方向（長さ方向）に延伸されたものである場合においては、長さ方向に当該合成樹脂バンドを切断することは容易であるが、幅方向に切ることは困難であり、そのためハサミなどの切断道具を必要としていた。
【０００５】
この点、例えば、単層の帯状フィルムを用いて構成された結束テープであって、前記帯状フィルムが、熱接着性を有する合成樹脂フィルムを用いて形成されており、前記帯状フィルムの側辺部に沿って、複数の押切傷が設けられたことを特徴とする結束テープが提案されている（特許文献１）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００６】
【特許文献１】特開２００３−３４１７１２号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
しかしながら、上述の一方向（長さ方向）に延伸された合成樹脂バンドにおいては、延伸方向には容易に切断できるが、延伸方向とは異なる方向に切断するのは、困難である。したがって、上記従来の結束テープのような構成では、押切傷の部分は切断できても、バンドの幅方向全体を切断することは非常に困難である。
【０００８】
本発明は、上記のような問題点を克服するためになされたものであって、十分な強度を有し、且つ容易に手で切断することが可能であって、また製造が容易な熱可塑性合成樹脂バンドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
上記の課題を解決するため、本発明に係る手切れ性熱可塑性合成樹脂バンドは、熱可塑性合成樹脂からなり、長さ方向に一軸延伸された熱可塑性合成樹脂バンドであって、一軸延伸された後に、長さ方向に所定の間隔を開けて、一方の側端から他方の側端に至る無配向部を形成したことを特徴とする。
【００１０】
ここで、「無配向部」は、バンド延伸方向の樹脂分子の配向を必ずしも完全に解消する必要はなく、ハサミなどの切断道具を必要とせず、利用者の手でバンドを幅方向に切断できる程度に配向が解消されているものを含むものである。
【００１１】
本発明に係る手切れ性熱可塑性合成樹脂バンドは、上記のとおり一方の側端から他方の側端に至る無配向部が形成されており、当該無配向部においては、手で切断が可能な程度にバンドの長さ方向の配向が解消されているため、バンドをその幅方向に手で切断することが可能となる。
また、本発明に係る手切れ性熱可塑性合成樹脂バンドにおいて、無配向部の形成は、熱溶融手段によるものとすれば、簡便に無配向部の形成ができ好ましい。
【発明の効果】
【００１２】
以上のとおり、本発明に係る手切れ性熱可塑性合成樹脂バンドによれば、バンドを幅方向、すなわち、バンドを構成する樹脂分子の配向の方向とは異なる方向へ、容易に切断することが可能となる。
したがって、利用者は、ハサミなどの切断道具を利用することなく、手でバンドを切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【００１３】
【図１】本発明に係る手切れ性熱可塑性合成樹脂バンドの一実施形態を示す斜視図である。
【図２】図１の手切れ性熱可塑性合成樹脂バンドの平面図である。
【図３】本発明に係る手切れ性熱可塑性合成樹脂バンドの別の実施形態を示す図である。
【図４】本発明に係る手切れ性熱可塑性合成樹脂バンドの更に別の実施形態を示す図である。
【図５】本発明に係る手切れ性熱可塑性合成樹脂バンドの更に別の実施形態を示す図である。
【図６】本発明に係る手切れ性熱可塑性合成樹脂バンドの更に別の実施形態を示す図である。
【図７】本発明に係る手切れ性熱可塑性合成樹脂バンドの更に別の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【００１４】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【００１５】
図１は、本発明に係る手切れ性熱可塑性合成樹脂バンドの一実施形態を示す斜視図であり、図２は、その平面図である。この手切れ性熱可塑性合成樹脂バンド１は、長尺の基材２に所定の間隔を空けて複数の無配向部３が形成されてなるものである。
【００１６】
基材２は、ポリプロピレンの単一合成樹脂からなり、長さ方向に一軸延伸され、さらに表裏面にエンボス処理が施されたものである。この基材２は、一軸延伸されたことにより、樹脂分子がその延伸方向、すなわち基材２の長さ方向に配向が揃っているため、長さ方向には容易に切断できるが、幅方向には容易に切断できないものである。
【００１７】
この基材２には、さらに、長さ方向に所定の間隔を開けて、一方の側端から他方の側端に至る無配向部３が形成されている。この無配向部３は、基材２に対して幅方向へ線状に加圧、加熱して樹脂分子を一部熱溶融し、樹脂分子のバンド長さ方向への配向を解いてしまうことによって形成される。尚、これと同様に樹脂分子のバンド長さ方向への配向を解くことができれば、どのような方法でも用いることができ、また、当該樹脂分子の配向は完全に解消される必要はなく、手で無配向部３を切断できる程度に配向が解消されていればよい。
【００１８】
このように無配向部３を形成すれば、ハサミなどの切断道具を使わなくともバンド１の基材２を図１における矢印Xの方向、すなわちバンド１の幅方向へ容易に切断することが可能となる。
【００１９】
なお、このバンド１は、基本的に従来の合成樹脂バンドと同じく押出→冷却→延伸→エンボス処理→アニーリング→冷却という工程で製造されるものであるが、無配向部の形成は、エンボス処理と同時に、あるいはアニーリングの前後においてなされるようにすることができる。
【００２０】
例えば、エンボス処理と同時に行う場合には、エンボスロールに加熱手段を設けるようにし、これにより、延伸した後の基材２がエンボスロール間を通過する際に、加熱手段が基材２に加熱して無配向部３を形成するようにすることができる。あるいは、アニーリングを行うアニール槽の前後に加熱ロールなどの加熱手段を配置し、この加熱手段を基材２が通過する際に、加熱手段が基材２に加熱して無配向部３を形成するようにするようにしてもよい。
【００２１】
図３（ａ）は、本発明に係る熱可塑性合成樹脂バンド１の別の実施形態を示す図であり、図３（ｂ）は、その部分拡大図、図３（ｃ）は更にその部分拡大図である。この実施形態においては、無配向部３は、複数の小無配向部３１により構成されている。この小無配向部３１は、基材２の両側端部を除いて、全ての小無配向部３１の端部３１１が他の小無配向部３１の端部３１１と幅方向に重複するように形成されている。これにより、図３（ｂ）に示すように、基材２の一側端部Ｐから矢印Yの方向へ小無配向部３１を切ろうとすると、点線で描いた矢印の方向に沿って、各小無配向部３１が切断され、基材２を横断して他の側端部Ｑまで切断することができる。
【００２２】
すなわち、各小無配向部３１は、容易にバンドの幅方向に千切るように切断することができ、一方、一軸延伸された基材２は、その延伸方向には容易に切断できるので、上記重複する小無配向部３１の端部３１１間（重複部Ｒ）も容易に切断することが可能である。これにより、基材２の一側端部Ｐから、点線で描いた矢印の方向に沿って、基材２の他の側端部Ｑまで切断することができるようになされている。
【００２３】
図４は、本発明に係る熱可塑性合成樹脂バンド１の更に別の実施形態を示す図である。図４の実施形態においては、無配向部３は、２列の直線状に形成された複数の小無配向部３１によって、構成されている。このようにすれば、複数の小無配向部３１により無配向部３を形成する場合であっても、バンド１を手で切断する際に、バンド１の一側端部の小無配向部３１から、他の側端部の小無配向部３１に至るまでのバンドの長さ方向の寸法を小さくすることができ、それゆえ手の小さな人でも容易にバンド１を切断することが可能となる。
【００２４】
図５は、本発明に係る熱可塑性合成樹脂バンド１の更に別の実施形態を示す図である。図５（ａ）は、無配向部３を複数の小無配向部３１を略Ｘ字状に配置して形成したものであり、また、（ｂ）は、無配向部３を複数の小無配向部３１を略Ｖ字状に配置して形成したものである。このように構成すれば、利用者が左利きであっても、あるいは右利きであっても容易にバンド１を切断することが可能となる。
【００２５】
図６は、本発明に係る熱可塑性合成樹脂バンド１の更に別の実施形態を示す図である。図６（ａ）〜（ｅ）は、無配向部３を複数の小無配向部３１から形成したものであり、各小無配向部３１を略「く」の字状に形成したものである。さらに、図７は、本発明に係る熱可塑性合成樹脂バンド１の更に別の実施形態を示す図であって、無配向部３を複数の小無配向部３１から形成したものであり、各小無配向部３１を略円形状に形成したものである。上述した小無配向部３１の形状および配置は、上記の形態に限定されるものではなく、利用者にとっての利便性、すなわち、切断の容易性や無配向部（切断すべき箇所）の視認性などの要求に応じて様々な形状および配置とすることが可能である。
【００２６】
尚、上記いずれの実施形態においても、小無配向部３１は、基材２の両側端部を除いて、全ての小無配向部３１の端部が他の小無配向部３１の端部と幅方向に重複するように形成されている。したがって、基材２の一側端部に形成された小無配向部３１から基材２を幅方向に切ろうとすると、その端部が重複する各小無配向部３１が順次切断され、基材２を横断して他の側端部まで切断することができる。
【符号の説明】
【００２７】
１ 熱可塑性合成樹脂バンド
２ 基材
３ 無配向部
３１ 小無配向部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
熱可塑性合成樹脂からなり、長さ方向に一軸延伸された熱可塑性合成樹脂バンドであって、一軸延伸された後に、長さ方向に所定の間隔を開けて、一方の側端から他方の側端に至る無配向部を形成したことを特徴とする手切れ性熱可塑性合成樹脂バンド。
【請求項２】
無配向部の形成は、熱溶融手段によるものであることを特徴とする請求項１に記載の手切れ性熱可塑性合成樹脂バンド。
【請求項１】
熱可塑性合成樹脂からなり、長さ方向に一軸延伸された熱可塑性合成樹脂バンドであって、一軸延伸された後に、長さ方向に所定の間隔を開けて、一方の側端から他方の側端に至る無配向部を形成したことを特徴とする手切れ性熱可塑性合成樹脂バンド。
【請求項２】
無配向部の形成は、熱溶融手段によるものであることを特徴とする請求項１に記載の手切れ性熱可塑性合成樹脂バンド。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【公開番号】特開２０１１−２５９３７（Ｐ２０１１−２５９３７Ａ）
【公開日】平成２３年２月１０日（２０１１．２．１０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−１７０９５１（Ｐ２００９−１７０９５１）
【出願日】平成２１年７月２２日（２００９．７．２２）
【出願人】（０００００２４６２）積水樹脂株式会社 (781)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年２月１０日（２０１１．２．１０）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年７月２２日（２００９．７．２２）
【出願人】（０００００２４６２）積水樹脂株式会社 (781)
【Ｆターム（参考）】
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