説明

手品具

【課題】使用者がカトラリーの一部分を指で摩る動作を行うだけで該カトラリーを屈曲させることができ、更に、該カトラリーを切断させることができる手品を何度でも容易に行うことのできる手品具を提供する。
【解決手段】カトラリーの首部分で切断して形成されたカトラリー先端部及びカトラリー把持部と、前記カトラリー先端部及び前記カトラリー把持部の切断位置に係止される補助接続具とで構成され、前記補助接続具は、前記カトラリー先端部及び前記カトラリー把持部の両方に係止される第一係止部と、前記カトラリー先端部又は前記カトラリー把持部の一方の切断位置近傍に係止される第二係止部と、前記第一係止部と前記第二係止部とを接続する弾性体の接続可撓部で構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カトラリーを用いた手品具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、使用者がスプーン、フォーク、ナイフなどの食卓用金物となるカトラリーの一部を指で摩る動作を行うだけで、該カトラリーを屈曲させたりする所謂スプーン曲げと呼ばれる手品があり、人気がある。
【0003】
このスプーン曲げの手品には様々な手法がある。例えば、観客に気づかれないように挺子の原理を用いてスプーンを曲げるタネの無いものや、スプーンの首部分の素材を替えることにより容易にスプーンを曲げる手法や、形状記憶合金を用いて指の摩擦熱により所定の温度まで加熱することによってスプーンを曲げる手法が用いられるようである。また、この他にも、スプーン曲げの手品には、様々な手法が用いられている。
【0004】
また従来、このスプーン曲げに関する発明及び考案は無いものの、本願出願人が出願した特願2006−240628号「手品具」の如く、絵で描いたスプーンを曲げるような擬似的な現象の手品具は提案されている。
【特許文献1】特願2006−240628号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
今日、熟練者でなくとも容易に手品を実演することのできる手品具が望まれ、手品の仕掛けが知られていない新しい手品具の提供が望まれている。
【0006】
また、従来のスプーン曲げの手品は、身近に使用される物品となるカトラリーのうちスプーンを使用することにより不思議さを強く感じさせる手品であるも、この手品で使用され、曲げられしまった若しくは切断してしまったカトラリーを再利用することが難しいという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、使用者がカトラリーの一部分を指で摩る動作を行うだけで該カトラリーを屈曲させることができ、更に、該カトラリーを切断させることができる手品を何度でも容易に行うことのできる手品具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の手品具は、カトラリーの首部分で切断するように形成されたカトラリー先端部及びカトラリー把持部と、前記カトラリー先端部及び前記カトラリー把持部の切断位置に係止される補助接続具とで構成され、前記補助接続具は、前記カトラリー先端部及び前記カトラリー把持部の両方に係止される第一係止部と、前記カトラリー先端部又は前記カトラリー把持部の一方の切断位置近傍に係止される第二係止部と、前記第一係止部と前記第二係止部を接続する弾性体の接続可撓部により構成されていることを特徴とする。
【0009】
また、前記補助接続具の第二係止部及び第一係止部は、断面コの字形で該コの字形の両先端を内側方向に屈曲させて形成し、前記カトラリー先端部若しくはカトラリー把持部を該コの字形の内側に遊挿可能とされるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、使用者がカトラリーの一部分を指で摩る動作を行うだけで該カトラリーを屈曲させることができ、更に、該カトラリーを切断させることができる手品を何度でも容易に行うことのできる手品具を提供することができる。
【0011】
また、補助接続具の第一係止部及び第二係止部の形状を、略コの字形に形成することによって、両係止部をカトラリー先端部及びカトラリー把持部に係止させ該補助接続具を覆い隠すようにカトラリーの側面を持つことにより、カトラリーの正面側から略コの字形に形成された両係止部を観客から見えないようにすることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
カトラリーの首部分で切断し形成されたカトラリー先端部及びカトラリー把持部を用いた手品具であって、前記手品具は、前記カトラリー先端部と、前記カトラリー把持部と、前記カトラリー先端部及び前記カトラリー把持部の切断位置に係止される補助接続具とで構成され、前記補助接続具は、前記カトラリー先端部及び前記カトラリー把持部の両方に係止される第一係止部と、前記カトラリー先端部又は前記カトラリー把持部の一方の切断位置近傍に係止される第二係止部と、前記第一係止部と前記第二係止部を接続する弾性体の接続可撓部で構成されている。
【0013】
そして、前記補助接続具の第一係止部及び第二係止部は、断面コの字形で該コの字形の両先端を内側方向に屈曲させて形成し、前記カトラリー先端部若しくはカトラリー把持部を該コの字形の内側に遊挿可能とし、第一係止部を第二係止部より僅かに長くして、第二係止部で補助接続具をカトラリー先端部の切断位置近傍に取り付け、接続可撓部をU字形に湾曲させて第一係止部によりカトラリー先端部とカトラリー把持部の切断面を相互に接触させるように接続することができるようにしているものである。
【実施例1】
【0014】
以下、図を参照して、本発明を適用した実施の形態について説明する。図1及び図2を用いて手品具について説明する。図1は、手品具の外観を示す図であり、図2は、手品具を分解した分解斜視図である。
【0015】
まず、この発明の概要は、スプーン、フォークなどの食卓用金物となるカトラリーの一部を指で摩るだけで、該カトラリーを屈曲させたり、分断させたりする手品を誰でも容易に何度でも行うことができる手品具に関するものである。
【0016】
手品具10は、図1に示すようにカトラリー(スプーン)と補助接続具16で構成され、該スプーンは、ステンレスとなる金属材で形成され、スプーンの首部分で切断し、スプーンの先端側をカトラリー先端部12とし、スプーンの把持部側をカトラリー把持部14としている。
【0017】
また、補助接続具16は、図2に示すように第一係止部18、第二係止部20、接続可撓部22で構成されている。この第一係止部18及び第二係止部20は、極薄のステンレス板となる金属材で、断面コの字形で該コの字形の両先端を内側方向に屈曲させて形成し、カトラリー先端部12若しくはカトラリー把持部14を該コの字形の内側に遊挿可能としているものである。
【0018】
また、第一係止部18は、第二係止部20よりも長く形成されおり、カトラリー先端部12とカトラリー把持部14の両方を遊挿し切断面を接合させて係止することによって、両部材が揺動することを防止し、切断前の状態のカトラリーとすることができるものである。
【0019】
そして、第二係止部20は、図1に示すように第一係止部18に連接させてカトラリー先端部12の切断位置近傍に係止するものである。また、この実施例において第二係止部20をカトラリー先端部12の切断位置近傍に係止しているが、カトラリー把持部14の切断位置近傍に係止するようにしても構わない。
【0020】
さらに、接続可撓部22は、細径のコイルバネによる弾性体であり、該コイルバネの両端は、第一係止部18と第二係止部20の対向する面にそれぞれ固着されているものである。また、この接続可撓部22は、第一係止部18と第二係止部20に、カトラリー先端部12とカトラリー把持部14をそれぞれ遊挿し切断面を接合させて係止させると、図1に示すようにU字状に湾曲された状態となるものである。
【0021】
また、この実施例において、補助接続具16の第一係止部18及び第二係止部20は、0.3mm厚のステンレス板で形成され、内幅4.9mm、内高1.5mmで形成され、内側方向に屈曲された先端の長さは、0.5mmとなっている。そして、第一係止部18の長さは7mmで第二係止部20の長さは6mmに形成されている。また、接続可撓部22となるコイルバネは、線径φ0.5mm、バネ外径4mm、バネ長8mmで形成されているものである。このように、補助接続具16は、カトラリーの首部分の大きさに合わせつつ、親指で覆い隠せるように非常に小さく形成されている。
【0022】
次に、この手品具10の簡単な使用例を説明する。この手品具10を用いて手品を行う前に、準備を行う必要がある。
【0023】
この手品の準備として、図1に示すように補助接続具16の第二係止部20をカトラリー先端部12の切断位置近傍に係止させ、第一係止部18は、恰も切断前の状態のカトラリーの如く見せるようにカトラリー先端部12とカトラリー把持部14の切断面を接合するように遊挿し係止させるものである。この時に、接続可撓部22のコイルバネは、カトラリーの背面側でU字状に湾曲した状態となっているものである。また、この手品に使用するカトラリーは、首部分が細く形成されているスプーン若しくはフォークが好適である。
【0024】
手品具10の準備が終了した後、使用者は、補助接続具16で接合され恰も切断前の状態を模したカトラリーの正面を観客に向ける。その際、左手の指先でカトラリーの首部分両側を保持することにより、補助接続具16を覆い隠し、正面部分のみを露出させることによって、1本のつながったカトラリーのように見せることができる。また、カトラリーをある程度動かしながら見せれば、切断部分を視認させないようにすることができる。
【0025】
その後、使用者は、図3の如くカトラリーの背面側を上にし、補助接続具16を覆い隠すようにカトラリーの首部分両側を左手の親指と人指し指と中指で保持するようにする。図4は、補助接続具16が見えるように第1指を破断した図である。このように、補助接続具16は、左手の親指及び人指し指、中指で覆い隠すようにするものである。
【0026】
次に、使用者は、左手の親指と人差し指と中指でカトラリーの首部分両側を保持した状態で、図5に示すようにカトラリー把持部14を右手で持ち、左手の親指でカトラリーの首部分を摩る演技をしつつ、右手でカトラリー把持部14をカトラリー先端部12の方向に押しながら小さく左右に動かす。このように、カトラリー把持部14をカトラリー先端部12の方向に押すことにより、補助接続具16の第一係止部18からカトラリー先端部12を押し出し、図6に示すように第一係止部18とカトラリー先端部12との係止状態を解除してカトラリー先端部12とカトラリー把持部14を分離させるものである。
【0027】
また、第一係止部18とカトラリー先端部12との係止状態を解除してカトラリー先端部12とカトラリー把持部14を分離させると、U字状に湾曲された接続可撓部22となる弾性体の復元力によって図7に示すようにカトラリー先端部12又はカトラリー把持部14が背面側方向に倒れたようになる。この際、左手の指先で強くカトラリーの首部分を保持し、カトラリー先端部12及びカトラリー把持部14が急激に背面側方向に倒れないように左手の指先の力を徐々に緩めていくようにする。
【0028】
このように、実演することにより、観客には、使用者がカトラリーを指で摩っただけで図8に示すようにカトラリーを屈曲させたかのように見え、不思議な現象を体験させることができるものである。
【0029】
そして、恰もカトラリーを屈曲させたように見せることができる図8の状態となるカトラリー先端部12に第二係止部20が係止され、カトラリー把持部14に第一係止部18が係止された状態から、親指で摩りながら一方若しくは両方の係止状態を解除した後、カトラリー先端部12及び/又はカトラリー把持部14を指から落下させることによって、使用者が恰もカトラリーを切断したかのように見せることができ、更に不思議な現象を体験させることができるものである。
【0030】
以上説明したように構成することにより、使用者がカトラリーの一部分を指で摩る動作を行うだけで該カトラリーを屈曲させることができ、その後、該カトラリーを切断することができる手品を何度でも容易に行うことのできる手品具を提供することができる。また、このように、身近に使用される物品となるカトラリーのうちスプーンやフォークを使用することにより、見覚えのあるスプーン曲げとして、観客に対して不思議さを強く感じさせることができるものである。
【0031】
そして、第一係止部18と第二係止部20とを接続する弾性体の接続可撓部22を備えた補助接続具16を用いることにより、カトラリー先端部12とカトラリー把持部14に分離したスプーンやフォークを、補助接続具16の弾性体の復元力によって徐々に曲がるように見せることを容易に実演できるものである。
【0032】
また、第一係止部18は、第二係止部20よりも長く形成することにより、カトラリー先端部12とカトラリー把持部14の両方を遊挿し切断面を接合させて係止することによって、両部材が揺動することを防止し、切断前の状態のカトラリーとすることができるものである
【0033】
そして、補助接続具16の第一係止部18及び第二係止部20の形状を、略コの字形に形成することによって、両係止部をカトラリー先端部12及びカトラリー把持部14に係止させ該補助接続具16を覆い隠すようにカトラリーの側面を持つことにより、カトラリー正面側から略コの字形に形成された両係止部を観客から見えないようにすることができるものである。
【0034】
このように、好ましい実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々に改変できる。例えば、以下に示すものである。
【0035】
実施例の第一係止部18及び第二係止部20は、ステンレスとなる金属材で形成されているものであるが、無色透明の樹脂で形成されていても構わないものである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る手品具の外観を示す図である。
【図2】本発明に係る手品具の分解斜視図である。
【図3】本発明に係る手品具の使用例を示す図である。
【図4】本発明に係る手品具の使用例を示す図である。
【図5】本発明に係る手品具の使用例を示す図である。
【図6】本発明に係る手品具の使用例を示す図である。
【図7】本発明に係る手品具の使用例を示す図である。
【図8】本発明に係る手品具の使用例を示す図である。
【符号の説明】
【0037】
10 手品具
12 カトラリー先端部
14 カトラリー把持部
16 補助接続具
18 第一係止部
20 第二係止部
22 接続可撓部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カトラリーの首部分で切断して形成されたカトラリー先端部及びカトラリー把持部と、
前記カトラリー先端部及び前記カトラリー把持部の切断位置に係止される補助接続具とで構成され、
前記補助接続具は、
前記カトラリー先端部及び前記カトラリー把持部の両方に係止される第一係止部と、
前記カトラリー先端部又は前記カトラリー把持部の一方の切断位置近傍に係止される第二係止部と、
前記第一係止部と前記第二係止部を接続する弾性体の接続可撓部により構成されていることを特徴とする手品具。
【請求項2】
請求項1において、前記補助接続具の第二係止部及び第一係止部は、断面コの字形で該コの字形の両先端を内側方向に屈曲させて形成し、前記カトラリー先端部若しくはカトラリー把持部を該コの字形の内側に遊挿可能としたことを特徴とする手品具。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−72276(P2009−72276A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−242327(P2007−242327)
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【出願人】(391010529)株式会社テンヨー (33)