説明

手品具

【課題】 絵を変化させる手品を実演する場合に用いる手品具であって、変化する過程を観客に見せることができる手品具を提供する。
【解決手段】 本発明の手品具1は、摺動可能な透明表面板17と、絵等が描かれガイド孔15aを有したメインシート15と、該メインシート15の絵等と関連性のある絵等が描かれた突出部16a及び透明表面板17に固定される固定部16bを有した摺動シート16と、を備え、各部材が順に収納される額縁10を有し、透明表面板17は、平面方向に摺動可能な状態で額縁10内に収納され、摺動シート16は、メインシート15のガイド孔15aから突出部16aが正面側に突出した状態でメインシート15の裏面に配置されてメインシート15の側方で固定部16bにより透明表面板17に固定され、透明表面板17を摺動させると摺動シート16が連動して摺動し、突出部16aの突出量を変化させることを可能としたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、描かれた絵が変化する手品を実演するための手品具に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、テレビ番組などで様々な手品が取り上げられており、店頭等においても手品師でない一般の人が容易に手品の実演ができるように様々な種類の手品具が売り出され、多くの特許登録や実用新案登録もなされている。
【0003】
従来から頻繁に実演される手品の一つとして、本来は静止画であるはずの絵が変化するといった手品がある。例えば、特開2008−61714号公報(特許文献1)では、真っ直ぐなスプーンの絵が、先端が折れ曲がったスプーンの絵に変化する手品を実演可能な手品具に関する提案がなされている。
【0004】
この特許文献1の手品具は、先端が折れ曲がったスプーンの絵が描かれた基板と、上方に真っ直ぐなスプーンの先端が描かれ下方は無色透明とされたタネ板と、これらを重ねた状態で収納するフレームと、フレーム内を摺動可能とされると共に取り外し可能な蓋板と、から形成され、実演時に蓋板のみを取り外した場合にはフレーム内にタネ板が残っているため真っ直ぐなスプーンを観客に見せることができ、蓋板を取り外すときにタネ板も一緒に取り外すと基板のみがフレーム内に残るため、先端が曲がったスプーンを観客に見せることができる。
【特許文献1】特開2008−61714号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような手品具では、蓋板で隠した状態でタネ板を取り外す必要があるため、変化前と変化後を見せることはできるが、変化する過程を観客に見せることはできず、連続的な変化をさせることはできなかった。
【0006】
そこで本発明は、絵を変化させる手品を実演する場合に用いる手品具であって、変化する過程を観客に見せることができる手品具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の手品具は、摺動可能な透明表面板と、絵等が描かれガイド孔を有したメインシートと、該メインシートの絵等と関連性のある絵等が描かれた突出部及び前記透明表面板に固定される固定部を有した摺動シートと、ダミーシートと、を備え、各部材が順に収納される額縁を有し、前記透明表面板は、平面方向に摺動可能な状態で前記額縁内に収納され、前記摺動シートは、前記メインシートのガイド孔から前記突出部が正面側に一部突出した状態又は突出可能な状態で前記メインシートの裏面に配置されて前記メインシートの側方で前記固定部により前記透明表面板に固定され、前記ダミーシートには前記メインシートと同一の絵か、摺動シートにおける突出部の一部若しくは全部が前記メインシートの前面に露出した状態の絵等が描かれて前記額縁の裏面から取外し可能に額縁に収納され、前記透明表面板を摺動させると前記摺動シートが連動して摺動し、前記摺動シートの突出部が前記メインシートのガイド孔から正面側に露出したり、突出量が多くなったり、或いは前記メインシートの下に遮蔽されることにより、メインシートに描かれた絵の一部が変化するように見せることを特徴とする。
【0008】
又、前記額縁は、中心に方形状の開口を有した枠体である正面フレームと、中心に方形状の開口を有した枠体である背面フレームとから形成され、前記背面フレームにおける開口の正面側には、前記摺動シートとダミーシートとの間に手品の実演環境における前記額縁を載置する場所と同一の色や柄に形成された方形状板であるダミー背景部材が配置されているものである。
【0009】
更に、前記額縁を収納する収納袋を備え、前記ダミー背景部材は、前記収納袋と同一の色及び模様並びに素材によって形成されているものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、透明摺動部材と摺動シートを連動するように形成することにより、透明摺動部材を摺動させると摺動シートも摺動し、メインシートの絵が変化したような手品を実演可能な手品具を提供できる。
【0011】
又、ダミー背景部材及びダミーシートを額縁の裏側に収納することにより、メインシートの絵には何の仕掛けもないような嗜好を提供でき、より観客を不思議がらせることができる手品具を提供できる。
【0012】
更に、額縁を収納する収納袋を手品具として用意し、ダミー背景部材をこの収納袋と同一の色及び模様並びに素材で形成することにより、ダミー背景部材を交換することなく、どんな場所でも同様の手品を実演できるため、利便性の高い手品具を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明を実施するための最良の形態の手品具1は、摺動可能な透明表面板17と、絵等が描かれガイド孔15aを有したメインシート15と、該メインシート15の絵等と関連性のある絵等が描かれた突出部16a及び透明表面板17に固定される固定部16bを有した摺動シート16と、ダミーシート26と、を備え、各部材が順に収納される額縁10を有し、透明表面板17は、平面方向に摺動可能な状態で額縁10内に収納され、摺動シート16は、メインシート15のガイド孔15aから突出部16aが正面側に一部突出した状態又は突出可能な状態でメインシート15の裏面に配置されてメインシート15の側方で固定部16bにより透明表面板17に固定され、ダミーシート26にはメインシート15と同一の絵か、摺動シート16における突出部の一部若しくは全部がメインシート15の前面に露出した状態の絵等が描かれて額縁10の裏面から取外し可能に額縁10に収納され、透明表面板17を摺動させると摺動シート16が連動して摺動し、摺動シート16の突出部16aがメインシート15のガイド孔15aから正面側に露出したり、突出量が多くなったり、或いはメインシート15の下に遮蔽されることにより、メインシート15に描かれた絵の一部が変化するように見せることを特徴とする。
【0014】
又、額縁10は、中心に方形状の開口を有した枠体である正面フレーム11と、中心に方形状の開口を有した枠体である背面フレーム21とから形成され、背面フレーム21における開口の正面側には、摺動シート16とダミーシート26との間に手品の実演環境における額縁10を載置する場所と同一の色や柄に形成された方形状板であるダミー背景部材13が配置されている。
【0015】
更に、額縁10を収納する収納袋30を備え、ダミー背景部材13は、収納袋30と同一の色及び模様並びに素材によって形成されている。
【実施例】
【0016】
以下、本発明の実施例を図に基づいて詳説する。本実施例の手品具1は、額縁の開口から覗く絵が変化するという手品を実演するための手品具1であり、図1に示すように、外観は通常の額縁と同様である額縁10と、この額縁10を収納する収納袋30とを備え、額縁10の内側には摺動可能な透明表面板17と、絵や写真等が表面に描かれガイド孔15aを有したメインシート15と、メインシート15の絵等と関連性のある絵等が描かれた突出部16a及び透明表面板17に固定される固定部16bを有した摺動シート16とが収納されている。
【0017】
又、透明表面板17は、平面方向に摺動可能な状態で額縁10内に収納されており、摺動シート16は、メインシート15のガイド孔15aから突出部16aが正面側に突出した状態でメインシート15の裏面に配置されてメインシート15の側方で固定部16bにより透明表面板17に固定されている。
【0018】
更に、額縁10の背面側は、図2に示すように、裏窓が形成され、裏蓋27がこの裏窓を塞いでおり、留具22によって裏蓋27が固定されている。
【0019】
そして、この手品具1は、図3に示すように、正面フレーム11と背面フレーム21とにより額縁10が形成され、この正面フレーム11と背面フレーム21の間に収納空間が形成され、この収納空間に透明表面板17、メインシート15、摺動シート16、メインシート固定板14、ダミー背景部材13、摺動支持部材12が順に収納されている。
【0020】
正面フレーム11は、図3に示したように、背面フレーム21と嵌合して額縁10を形成する部材であり、中央に開口を有した方形状板と、方形状板の外周縁から背面方向に垂直に立ち上がる外壁とから形成された方形状の枠体である。
【0021】
又、背面フレーム21は、正面フレーム11と嵌合し額縁10を形成する部材であり、中央に正面フレーム11の開口と同一の大きさの開口を有した方形状板と、方形状板の外周縁近傍から正面方向に垂直に立ち上がる嵌合壁と、開口の縁である内周縁から正面方向に垂直に立ち上がる内壁と、内壁の正面端部から内側に向かって形成された内壁縁とから形成され、内壁及び内壁縁によって裏窓を形成している。又、背面フレーム21の背面には、上述したように留具22が取付けられている。尚、この内壁の高さは嵌合壁の高さよりも低く形成されている。
【0022】
そして、額縁10は、正面フレーム11の外壁の内側に背面フレーム21の嵌合壁が嵌合されることにより形成され、正面フレーム11と背面フレーム21の間に収納空間が形成されており、外観は通常の額縁と変わらないが、実際は収納空間と裏窓の二重構造とされ、収納空間及び裏窓のいずれにも物が収納できるようになっている。
【0023】
摺動支持部材12は、開口を有した方形状板であって外周縁の上下及び左の3辺近傍から正面方向に垂直に立ち上がる垂直壁を有し、上下の垂直壁の正面側縁部には透明表面板17の摺動を支持する摺動支持壁12aが正面側に突出するように形成されている。又、摺動支持部材12の開口は中央よりも右辺側に偏って形成され、この開口は背面フレーム21の開口と略同一の大きさとされ、摺動支持部材12は、背面フレーム21の開口の縁と摺動支持部材12の開口の縁とが重なるように背面フレーム21に固定されている
【0024】
又、ダミー背景部材13は、上述した収納袋30と同一の色及び模様並びに素材によって形成された方形状板であり、摺動支持部材12の開口を塞ぐように摺動支持部材12に固定されている。尚、ダミー背景部材13は、手品の実演時に裏蓋27を外して後述のダミーシート26を取り除いた場合に背面フレーム21の裏窓から見える部材であるため、手品具1を載置する場所の色及び模様並びに素材と同一に形成すればよく、必ずしも収納袋30と同一の色及び模様並びに素材で形成する必要はない。
【0025】
更に、メインシート固定板14は、表面が滑らかな方形状板であり、裏面側の左辺近傍でダミー背景部材13に固定されている。
【0026】
又、メインシート15は、額縁10の正面の開口から覗かれるものであって、正面に絵や写真等が描かれガイド孔15aを有した方形状のシートであり、メインシート固定板14に左辺近傍が固定されている。そして、本実施例においてはメインシート15の表面に舌が無いカメレオンの絵が描かれ、このカメレオンの口部分にガイド孔15aが形成されている。
【0027】
そして、摺動シート16は、メインシート15のガイド孔15aを貫挿する突出部16aと透明表面板17と固定される固定部16bとを有し、突出部16aにはメインシート15に描かれた絵等におけるガイド孔15a部分と関連性を有した絵が描かれ、本実施例においてはカメレオンの舌が描かれている。又、摺動シート16は、突出部16aがメインシート15のガイド孔15aから正面側に貫通した状態で、メインシート15の右側方で固定部16bにより透明表面板17と固定されており、透明表面板17と連動して摺動する。
【0028】
尚、メインシート15及び摺動シート16に描かれている絵等はカメレオンに限るものでなく、例えば、メインシート15にキャラクターの絵が描かれ、キャラクターの鼻の部分にガイド孔15aが形成され、摺動シート16の突出部16aにはキャラクターの鼻が描かれ、キャラクターの鼻の長さが伸縮する構成とすることもできる。又、メインシート15のガイド孔15a及び摺動シート16の突出部16aの大きさを変えることで、もっと大きなものを突出させる構成とすることもできる。
【0029】
又、透明表面板17は、無色透明な方形状板であって正面フレーム11の開口よりも広面積に形成されており、左右に摺動させた場合であっても左右両端が正面フレーム11の開口に掛からない大きさとされている。更に、透明表面板17の右辺近傍には摺動シート16が固定され、透明表面板17を摺動させると摺動シート16も連動して摺動する。更に、透明表面板17の上下端辺は、摺動支持部材12の摺動支持壁12aと摺動可能に係合されており、透明表面板17はこの摺動支持壁12aに沿って左右に摺動する。又、透明表面板17は、透明表面板17の右辺が背面フレーム21の右辺近傍に位置する嵌合壁と当接する位置から透明表面板17の左辺が背面フレーム21の左辺近傍に位置する嵌合壁と当接する位置までの間を摺動可能とされている。
【0030】
そして、額縁10の裏窓内には、図4に示すように、背面側透明板25、ダミーシート26、裏蓋27が順に収納されている。この背面側透明板25は、無色透明な方形状板であって、背面フレーム21の内壁縁に固定されている。
【0031】
又、ダミーシート26は、方形状のシートであって、表面にメインシート15のガイド孔15aから摺動シート16の突出部16aが一部突出した状態の絵、或いは、突出部16aの全体が突出した状態の絵が描かれ、絵が描かれた面が背面側透明板25と当接するように背面フレーム21の裏窓内に配置されている。
【0032】
更に、裏蓋27は方形状板であって、背面フレーム21の裏窓内にダミーシート26の背面側と当接するように配置され、背面側から背面フレーム21の留具22によって固定されている。
【0033】
そして、この手品具1は、図5(a)に示すようなカメレオンの舌が短い状態で透明表面板17を左方向に摺動させると、図5(b)に示すように、摺動シート16も左方向に摺動するため突出部16aの突出量が多くなり、まるでカメレオンの舌が伸びたような絵に変化する。又、逆に透明表面板17を右方向に摺動させると、カメレオンの舌が短くなったような絵に変化する。これによって静止画であるはずの絵が動いていると観客に思わすことができる。
【0034】
又、額縁10を収納袋30上に載置した状態で裏蓋27を取り外した場合、ダミーシート26が裏窓内から現れ、ダミーシート26を取り出すと裏窓の背面側透明板25を介してダミー背景部材13が見えるため、観客にダミーシート26が額縁10の正面側の開口から覗いていたシートのように感じさせることができ、全く仕掛けが無い絵が変化したと脅かせることができる。
【0035】
次に、本実施例の手品具1を用いて手品を実演する場合について述べる。図6(a)に示すように、まず机上等に収納袋30を載置した状態で額縁10を左手に持ち、舌の部分に注目させた後、図6(b)に示すように、舌の部分を右手の人差し指で隠すようにしながら透明表面板17に触れ、舌を伸ばすように透明表面板17と共に左方向に指を移動させ、指を離して、図6(c)に示すように、舌が伸びた絵を観客に見せる。その後、図6(d)に示すように、右手で額縁10の正面側の開口を完全に覆った状態で、手の平で透明表面板17を右方向に摺動させ、図6(e)に示すように、覆っていた手を離して舌が元に戻っていることを見せる。
【0036】
そして、図6(f)に示すように、額縁10の左上を親指と人差し指でしっかりと持ち、中指は軽く透明表面板17にあて、自由に動くようにしておく。次に、軽く額縁10を上下に振りながら中指を引き寄せ、透明表面板17を摺動させて舌を限界まで伸ばし、図6(g)に示すように、一旦止めて舌が伸びていることを観客に見せ、再び額縁10を上下に振りながら中指を押し出して、図6(h)に示すように、舌を縮める。
【0037】
次に、図6(i)に示すように、収納袋30の上に額縁10を裏向きに載置し、留具22を外して裏蓋27を開け、図6(j)に示すように、ダミーシート26を取り出して観客に見せる。ダミーシート26を取り除いた場合、額縁10の裏窓からはダミー背景部材13が覗いているため、観客には収納袋30が透けているように感じる。
【0038】
本発明によれば、透明表面板17と摺動シート16とが連動して摺動するように形成することにより、透明表面板17を摺動させると摺動シート16も摺動し、メインシート15の絵が変化したような手品を実演可能な手品具1を提供できる。又、透明表面板17を摺動させることで絵を変化させる構成とすることにより、透明表面板17を動かしても透明であるため動いていることが観客には解らず、変化する過程を観客に見せることができる手品具1を提供できる。
【0039】
又、ダミー背景部材13及びダミーシート26を額縁10の裏側に収納することにより、ダミーシート26を取り除いて観客に見せると、手品の実演中に観客が見えていたメインシート15の絵に何の仕掛けもなかったように感じさせることができ、又、ダミー背景部材13が背景と同一の模様であるため、一層不思議な手品を実演可能な手品具1を提供できる。
【0040】
更に、額縁10を収納する収納袋30を手品具1として用意し、ダミー背景部材13をこの収納袋30と同一の色及び模様並びに素材で形成することにより、ダミー背景部材13を手品の実演を行なう場所に応じて交換することなく、どのような場所でも同様の手品を実演できる利便性の高い手品具1とすることができる。
【0041】
尚、上述した実施例では、摺動シート16の突出部16aが常にメインシート15から突出した状態であり、突出量が変化する構成としているが、メインシート15の裏面側に摺動シート16の突出部16aが完全に隠れた状態からメインシート15の正面側に露出する構成とすることもできる。
【0042】
この手品具1は、図7に示すように、メインシート15が有するガイド孔15aの裏面側にガイドシート19が配置され、このガイドシート19の一端辺と、摺動シート16が突出した場合に突出部16aの裏面側に位置するガイド孔15aの一端辺とが固定され、メインシート15とガイドシート19の間に摺動シート16の突出部16aが摺動可能に配置された構成とされる。つまり、ガイドシート19が摺動シート16の突出部16aがメインシート15の背面に完全に隠れた状態から正面側に露出する場合における、摺動シート16の摺動を支持するガイドの役目を果たす。尚、この手品具1における図示しないダミーシート26は、メインシート15に描かれた絵と同一の絵が描かれたものを用いることができる。
【0043】
このように手品具1を形成することにより、摺動シート16の突出部16aがメインシート15の背面側に完全に隠れた状態からメインシート15の正面側に露出する場合に、ガイドシート19に沿って正面側に露出するため、摺動シート16を摺動させた場合に突出部16aの先端がガイド孔15aを貫挿せずにそのままメインシート15の背面に入り込んでしまったり、ガイド孔15aと当接して摺動が停止するといったことを防止できる。
【0044】
そして、この手品具1によれば、例えば、メインシート15に複数枚のトランプが重なっている絵が描かれている場合に、トランプの束から一枚のトランプが飛び出してくるといったような嗜好の手品を実演でき、ダミーシート26にはメインシート15と同じ絵を描くことで、全く仕掛けのない絵からトランプが飛び出してきたといった驚きを観客に提供できる。
【0045】
尚、ガイドシート19をメインシートの正面側に設けることもできる。この場合は、メインシート15に線状の切り込みを形成し、この切り込みの正面側に切り込みを覆うようにガイドシート19を固定し、メインシート15とガイドシート19の間に摺動シート16の突出部16aを配置し、ガイドシート19の表面にも絵を描くこととして、このガイドシート19の絵をメインシート15の絵の一部としてガイドシート19を見分けることができない構成とすることもできる。このように構成した場合、摺動シート16の突出部16aは予めメインシート15の正面側に位置しているためスムーズに摺動させることができ、又、ガイドシート19から突出部16aが露出しない位置に摺動シート16を位置させることで、摺動シート16を完全に隠すこともできる。
【0046】
そして、本発明は以上の実施例に限定されるものでなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で自由に変更、改良が可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本実施例における手品具の正面図。
【図2】本実施例における手品具の背面図。
【図3】本実施例における手品具の分解斜視図。
【図4】本実施例における手品具の分解斜視図。
【図5】本実施例における手品具の変化前と変化後を示す正面図。
【図6】本実施例における手品具の実技の流れを説明する図。
【図7】本実施例における手品具の変形例に係る背面図。
【符号の説明】
【0048】
1 手品具
10 額縁 11 正面フレーム
12 摺動支持部材 12a 摺動支持壁
13 ダミー背景部材 14 メインシート固定板
15 メインシート 15a ガイド孔
16 摺動シート 16a 突出部
16b 固定部 17 透明表面板
19 ガイドシート
21 背面フレーム 22 留具
25 背面側透明板 26 ダミーシート
27 裏蓋 30 収納袋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
摺動可能な透明表面板と、絵等が描かれガイド孔を有したメインシートと、該メインシートの絵等と関連性のある絵等が描かれた突出部及び前記透明表面板に固定される固定部を有した摺動シートと、ダミーシートと、を備え、各部材が順に収納される額縁を有し、
前記透明表面板は、平面方向に摺動可能な状態で前記額縁内に収納され、
前記摺動シートは、前記メインシートのガイド孔から前記突出部が正面側に一部突出した状態又は突出可能な状態で前記メインシートの裏面に配置されて前記メインシートの側方で前記固定部により前記透明表面板に固定され、
前記ダミーシートには前記メインシートと同一の絵か、摺動シートにおける突出部の一部若しくは全部が前記メインシートの前面に露出した状態の絵等が描かれて前記額縁の裏面から取外し可能に額縁に収納され、
前記透明表面板を摺動させると前記摺動シートが連動して摺動し、前記摺動シートの突出部が前記メインシートのガイド孔から正面側に露出したり、突出量が多くなったり、或いは前記メインシートの下に遮蔽されることにより、メインシートに描かれた絵の一部が変化するように見せることを特徴とする手品具。
【請求項2】
前記額縁は、中心に方形状の開口を有した枠体である正面フレームと、中心に方形状の開口を有した枠体である背面フレームとから形成され、
前記背面フレームにおける開口の正面側には、前記摺動シートとダミーシートとの間に手品の実演環境における前記額縁を載置する場所と同一の色や柄に形成された方形状板であるダミー背景部材が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の手品具。
【請求項3】
前記額縁を収納する収納袋を備え、前記ダミー背景部材は、前記収納袋と同一の色及び模様並びに素材によって形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の手品具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−69104(P2010−69104A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−241617(P2008−241617)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(391010529)株式会社テンヨー (33)