説明

手帳、本、バインダーその他の表紙用カバー

【課題】少なくとも表側の透明もしくは半透明の生地を通して、内側に位置する繊維生地を透視でき、繊維生地の風合感が得られる表紙用カバーを提供する。
【解決手段】少なくとも表側の生地1が透明もしくは半透明で高周波溶着・溶断可能な素材からなっている。この生地1と高周波溶着・溶断可能な素材からなる裏側の生地2との間に、コットンからなる生地3が介装されている。これら三枚の生地1,2,3の少なくとも周縁部が高周波溶着・溶断されている。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、手帳、本、バインダーその他の表紙用カバーに関するものであり、さらに詳しくは、少なくとも表側の生地が透視可能で高周波溶着・溶断可能な素材からなり、この生地と高周波溶着・溶断可能な素材からなる裏側の生地との間に繊維からなる生地が介装された新規なカバーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、例えば塩化ビニルのような高周波溶着・溶断可能な素材からなる表紙用カバーが存在する。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
このようなカバーでは、あくまでもビニルからなっているという印象しか使用者に与えないため、高価なイメージにはほど遠かった。
本考案は、このような素材を用いているにもかかわらず、従来の場合よりも高価なイメージを使用者に与え得るように工夫したものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本考案では、表側の生地1と裏側の生地2との間に、繊維からなる生地3を介装することによって、従来のイメージを払拭したものである。すなわち、本考案の表紙用カバーは、少なくとも表側の生地1が透視可能で高周波溶着・溶断可能な素材からなり、この生地1と高周波溶着・溶断可能な素材からなる裏側の生地2との間に、繊維からなる生地3が介装されている。そして、これら三枚の生地1,2,3の少なくとも周縁部が高周波溶着・溶断されたことを特徴とするものである。
【0005】
このようにすることで、少なくとも表側の透視可能な生地1を通して、内側に位置する繊維からなる生地3を透視することができる。従って、カバーとして繊維生地3の風合感が出るから、従来の場合よりも高価なイメージを使用者に与え得る。
また、繊維からなる生地3は高周波溶着・溶断可能な生地1,2とともに高周波溶着・溶断されているから、縁部がほつれることがないのみならず、その両面は二枚の合成樹脂製の生地1,2で覆われているから、繊維からなる生地3が汚れることもない。
さらに、前記三枚の生地1,2,3を重ねたまま、それらを高周波溶着・溶断装置の型で押圧することによって、繊維生地3とともに表紙用カバーCを所定の形に成形できるから、表紙用カバーの製造を容易に行い得る。
【0006】
生地3はコットンとすることが好ましい。なぜならば、前記高周波溶着・溶断の際にコットンからなる繊維が高周波溶着・溶断可能な生地1,2に充分に溶け込み、コットンからなる繊維の溶着状態が強固となり、表紙用カバーとしての強度がそれだけ増すからである。
【0007】
【考案の実施の形態】
本考案の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。ここには、手帳Aのカバーに本考案を適用した場合を例示するが、本のカバー、いわゆるブックカバーにも適用できるし、バインダーその他様々な表紙用カバーに適用できる。
【0008】
図1(a)及び図2に示すように、手帳A用のカバーCは、表側の生地1と裏側の生地2とがいずれも透明もしくは半透明の高周波溶着・溶断可能な素材からなっており、二枚の生地1,2との間に繊維からなる生地3が介装されている。そして、これら三枚の生地1,2,3の少なくとも周縁部が高周波溶着・溶断されて、方形状のカバーとなっている。
このようにすることで、図2に示すように、表側の透明もしくは半透明の生地1を通して、また、図1(a)に示すように、裏側の透明もしくは半透明の生地2を通して、内側に位置する繊維からなる生地3が透視できる。従って、カバーとして繊維生地の風合感が出るから、従来の場合よりも高価なイメージを使用者に与え得る。
【0009】
図1(a)及び図2では、繊維からなる生地3が透視された状態を点線で、図2の切り欠いた部分では細い実線で示してある。
なお、図2に示すように、カバーCの内側には手帳Aが差し込まれるから、裏側の生地はあえて透明もしくは半透明にしなくてもよい。カバーとして繊維からなる生地の風合感を感じ取ることができるようにするためには、少なくともカバーCの表側となる部分が透明もしくは半透明であればよい。
【0010】
このカバーCは前記三枚の生地1,2,3を重ねたまま、それらを高周波溶着・溶断装置の型で押圧することによって所定の形に成形できる。この場合において、繊維生地3も高周波溶着・溶断可能な他の二枚の生地1,2とともに同時に溶断されるから、表紙用カバーの製造を容易に行い得る。
また、繊維からなる生地3は高周波溶着・溶断されているから、繊維からなる生地3の縁部がほつれることがないのみならず、その両面は二枚の合成樹脂製の生地1,2で覆われているから、繊維からなる生地3が汚れることもない。
【0011】
生地3には様々な素材のものを用いることができるが、特に、コットンを用いるのが望ましい。なぜならば、前記高周波溶着・溶断の際にコットンからなる繊維が高周波溶着・溶断可能な生地1,2に充分に溶け込み、コットンからなる繊維の溶着状態が強固となり、表紙用カバーとしての強度がそれだけ増すからである。
【0012】
繊維からなる生地3には、様々な柄、模様、ワンポイントマークを施すことができる。また、透明もしくは半透明の表側の生地1又は(及び)裏側の生地2の内面に、マークなどをあらかじめ裏刷り印刷することもできる。裏刷り印刷したマークなどは、カバーの表面に出ないから、それらがこすれ落ちたり、はがれたりすることはない。
なお、高周波溶着・溶断可能な素材の代表的なものとしては、塩化ビニルを挙げることができるが、塩化ビニルのみに限定されるものではなく、要するに、生地1,2が高周波溶着・溶断可能な合成樹脂からなっておればよい。
【0013】
また、図1(a)に示すように、裏側の生地2の上には、手帳Aの表表紙と裏表紙を差し込むためのポケット用の生地4,4が、さらに、別のポケット用の生地5,5が重ね合わされ、それらと生地1,2,3の周縁部aとが高周波溶着・溶断されている。また、手帳Aの背表紙が位置するところの両側部分b,bも幅方向にわたって溶着されている。
なお、生地1〜5が重ね合わされた状態とそれらが溶着された位置とを、図1(b)に断面図で示す。
【0014】
ここに例示する表紙用カバーCには、筆記具保持用の帯体6が突出するごとく形成され、また、この帯体6の先側を差し込むための孔7が生地4に形成されている。帯体6の先側を前記孔7に差し込むことによってループを形成し、その部分に筆記具を差し込めば、この帯体6で筆記具を固定できる。
なお、帯体6も前記生地1〜5の周縁部を高周波溶着・溶断する際に、それらから突出するごとく同時成形できる。
【0015】
【考案の効果】
請求項1記載の考案によれば、少なくとも表側の透視可能な生地1を通して、内側に位置する繊維からなる生地3を透視することができるから、カバーとして繊維生地の風合感が出ることになり、従来の場合よりも高価なイメージを使用者に与え得るという効果がある。また、繊維からなる生地3は高周波溶着・溶断可能な生地1,2とともに高周波溶着・溶断されているから、縁部がほつれることがないのみならず、その両面は二枚の合成樹脂製の生地1,2で覆われているから、繊維からなる生地3が汚れることもないという効果がある。さらに、前記三枚の生地1,2,3を重ねたまま、それらを高周波溶着・溶断装置の型で押圧することによって、繊維生地3とともに表紙用のカバーCを所定の形に成形できるから、表紙用カバーの製造を容易に行い得るという効果がある。
【0016】
請求項2記載の考案によれば、高周波溶着・溶断の際にコットンからなる繊維が高周波溶着・溶断可能な生地1,2に充分に溶け込み、コットンからなる繊維の溶着状態が強固となるから、表紙用カバーとしての強度がそれだけ増すという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案による表紙用カバーの一例を示す図で、(a)はその展開状態を示す斜視図、(b)は各生地が重ね合わされた状態とそれらが溶着された位置とを示す断面図である。
【図2】本考案を手帳に適用した場合を例示した斜視図である。
【符号の説明】
1,2,3…生地、A…手帳、C…カバー、a,b…溶着部。

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】少なくとも表側の生地1が透視可能で高周波溶着・溶断可能な素材からなり、この生地1と高周波溶着・溶断可能な素材からなる裏側の生地2との間に、繊維からなる生地3が介装され、これら三枚の生地1,2,3の少なくとも周縁部が高周波溶着・溶断されていることを特徴とする手帳、本、バインダーその他の表紙用カバー。
【請求項2】生地3がコットンからなることを特徴とする請求項1記載の手帳、本、バインダーその他の表紙用カバー。

【図1】
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【図2】
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【登録番号】実用新案登録第3090306号(U3090306)
【登録日】平成14年9月11日(2002.9.11)
【発行日】平成14年12月6日(2002.12.6)
【考案の名称】手帳、本、バインダーその他の表紙用カバー
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願2002−3143(U2002−3143)
【出願日】平成14年5月28日(2002.5.28)
【出願人】(000104799)クツワ工業株式会社 (2)