説明

手指洗浄コンプライアンス検知システム

【課題】 手指衛生ガイドラインに対するコンプライアンスを判定するための、手洗い剤の使用をモニタリングするシステム及び方法を提供する。手洗い剤は臭気などの検知可能な揮発性物質と共に提供され、対象者の手洗いにより、手に擦り込まれる。手洗いが終わると、対象者は手を検知器(バッジなど)に当てる。検知器は、揮発性物質を検知可能なセンサーと、その揮発性物質の検知を通知するインジケータとを含み、インジケータは、手洗い剤の使用と手指衛生コンプライアンスを示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2007年6月8日になされた米国特許出願第11,760,100号の一部継続出願であり、これは参照により全体としてここに組み入れられる。また、本願発明は、手指衛生行為をモニタリング及び促進するシステムと方法に係る技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
毎年、何万もの人々が、病院での感染により死亡する。これら「病院での」感染は、院内感染と呼ばれ、患者が入院することとなった最初の診断結果とは無関係なものである。米国では、10人に1人もの病院患者、又は年間200万人の患者が院内感染すると推計されており、院内感染に関わる費用は年間で推定45億ドルから110億ドル以上に及ぶが、研究によると、院内感染の少なくとも3分の1が、予防可能である。
【0003】
耐性細菌による院内感染は、米国の医療体制及び市民生活を脅かす非常に重大な問題である。病原菌は、抗生物質及び抗真菌剤並びに抗ウィルス剤に対し耐性を獲得することができ、耐性細菌の数は増加するため、それらを治療する新たな抗菌薬の数が追いついていない。実際、院内感染、特にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA:methicillin resistant staphylococcus aureus)に感染した地域は驚くべき率で増加した。
【0004】
全院内感染の50%以上は、患者と接触する前及び接触した後に毎回正しく手を洗っていない医療従事者による、有害バクテリアの伝播に直接関係している可能性がある、と報告がなされている。したがって、患者から患者にこれらの微生物が移るのを防ぎ、かつ耐性細菌の出現を低減する一番良い方法は、患者との接触前後に石鹸および水で手洗いをすることである。疾病管理予防センター(CDC:Centers for Disease Control and Prevention)に加え、他の取り締まり機関も、患者との接触前後に毎回手を洗うことを推奨している。しかし、残念ながら、医療従事者で、手洗いのガイドラインを厳守しているのは、そのうちの70%未満であることを報告書は示す。O’Boyle, C.A. 等の 「Understanding adherence to hand hygiene recommendations: the theory of planned behavior」American Journal of Infection Control 29(6):352−360(2001年)を参照されたい。医療従事者の手洗いのコンプライアンスを高めるための多数の対策が試みられたが、みな概して失敗であった。
【0005】
推奨の手洗い施行が順守されない理由として考えられるものは多くある。例えば、正しく手を洗う十分な時間がないかもしれないし、手洗い場が不便な場所にあるかもしれない。何人かの人は、単に手洗いを忘れるだけであり、他の人々は推奨の手洗い施行に対して、自分たちがどれほど少ない回数しか又はどれほど不適切に従っていないか気付いていないだけかもしれない。また別の人々は、まだ十分に手洗いの有益性を理解していないのかもしれない。推奨されている手洗いの施行について、そのコンプライアンスをモニタリングする方法が提供されれば、これらの問題のいくつか又は全てに対処できるであろう。
【0006】
手洗いが充分になされないという問題は悪化している。病院では、人員削減によって、医療従事者に、勤務中より多くの患者の世話をすることが求められているが、抗生物質耐性菌及びウィルスの高い伝播率から、CDCの手洗いガイドラインを更に順守することも必要とされている。そのため、病院の管理者らは、手洗いを促進する製品およびサービス、加えてコンプライアンスを測定し確実にする方法を求めている。
【0007】
同様の懸念は、食品の加工及び調理に関連する産業など、他の産業にも存在する。アメリカ食品薬品局の食品基準(以下「食品基準」)では、食品加工及び食物経由の病気を防ぐためのガイドラインが提供されており、レストランや食料雑貨店などの小売り店、および老人ホームなどの他の施設が、食品基準に従っている。この食品基準では、従業員に手を洗うことを要求するだけでなく、雇用者が従業員の手洗いをモニタリングすることも要求しているが、このような適切な手洗いを確実なものにするための大規模な努力にもかかわらず、食物媒介性の全病気の4分の1以上(毎年、米国では、食物媒介性の病気により約7600万の病気、325,000回の入院治療、および5,000の死が引き起こされていると推定されている)が、不適切又は不十分な手洗いによるものであると考えらている。
【0008】
タッチフリーの自動ソープディスペンサーや蛇口、そして手乾燥装置など、多数の発明が、従業員の手洗いとそれによる清潔化を容易にすることで、職場衛生の問題に対処しようとしている。例えば、米国特許第5,945,910号においては、洗浄剤の取り出しが手洗いをした事を示唆すると考えられており、洗い場における洗浄剤の取り出しをモニタリングするシステム及び方法が教示されている。また別のアプローチが米国特許第4,896,144号において教示されており、これは手洗いの順守を評価又はチェックするように考案されたものではないが、手洗いが必要であることを警告するものである。また、米国特許第5,812,059号は主にフードサービス環境において手の清潔を向上させる方法及びシステムに関する。ここでは、労働者が着用する報知手段が開示されており、これは労働者が食品取扱いエリアを出るときに起動する。この労働者が着用する報知手段は、手洗い場に関連付けられている解除装置により、労働者がその食品取扱いエリアへ再入する前に手洗い場を使用したと判断された場合に限り、解除される。
【0009】
しかしながら、上記のモニタリングシステムを用いても、従業員を洗面所でよく監視しない限り、彼らが手を洗ったかどうか判定する手段は通常はない。更に、従業員が手を洗ったとしても、彼らが規定された政府及び/又は産業認可のレジメンに従っているかを容易に断定し、適切に洗浄し清潔にしていることを保証する方法がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,945,910号
【特許文献2】米国特許第4,896,144号
【特許文献3】米国特許第5,812,059号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、手指衛生行為をモニタリング及び促進するシステムと方法を提供することにより、当該技術分野のニーズを解決する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によると、手洗い(または衛生)ガイドラインの順守を促進するためのシステムは、検知可能な、揮発性又は半揮発性化合物(以下「手洗い順守マーカー」又はHWAM:handwashing adherence marker)を含む手洗い剤と、HWAMを検出するためのセンサーとセンサーに動作可能なように接続されHWAMの検出を示す信号を提供するインジケータとを含む検知器(バッジなど)とを備える。HWAMは、手洗い媒体に含まれる化学物質(例えば、既に市販製剤の一部となっている付加化合物または化学物質、以下「タガント」として参照)、または手洗い媒体に含まれる化学物質の変換(例えば皮膚の新陳代謝を含むが、これに限定されない)によって得られる分子化合物を含むことが可能である。したがって、HWAMは、タガントそれ自体でもよいし、タガントの代謝物質、またはその組合せでもよい。加えて、手洗いシステムは1以上の手洗い順守マーカー(HWAM)を利用してもよい。
【0013】
本発明の目的は対象者の手から生じるHWAMを検出することであり、ここでのHWAMの存在は手指衛生行動における対象者のコンプライアンスを示すものである。好ましい実施形態の1つでは、HWAMは人目を引くことがない化合物であるため、対象者が手に手洗い剤をつけても、手洗い中及びその後に、HWAMが対象者の嗅覚に知覚されることは基本的にない。HWAMは、手洗い剤が水洗いや摩擦及び/又は乾燥により取り除かれてしまっても、本発明のセンサーの使用により皮膚上で検知できることがより好ましい。特定の実施例では、HWAMは米国食品医薬品庁承認のパーヒュームおよび/またはフレグランスである。
【0014】
実施例の実施において、対象者(例えば医療サービス提供者またはレストランの従業員)には、業務時間中に身につける検知器(例えばバッジ)が提供される。この検知器は、対象者が手を洗ったかどうか対象者(又は監視員、顧客、或いは患者など別の利害関係者)に思い出させる又は警告するようになっている。代替的に、検知器を、身につけさせるのではなく、外部からの(例えば水道)水を必要とする手洗い媒体(例えば石鹸と水、ヒビクレンズ)を備えた流し台や、外部からの水を必要としない手洗い媒体(例えばゲル又は泡状の手洗い剤)がある場所など、手洗い場に近接して配置することも可能である。検知器には、HWAMを検知するために必要なセンサーと、センサーから情報を得て伝達するインジケータとが内蔵されており、手洗いの後、このセンサーを用いて、対象者の手の、又はそこから発せられる手洗い剤からのHWAMが検知される。HWAMが検出されれば、インジケータはHWAMを構成する化合物の検出を通知する。これが対象者が手洗いをしたことのしるしとなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によりもたらされる効果は、高価で大型の装置を伴うこともある現行のシステム及び方法よりも、さらに費用効果的で高頻度に手指衛生コンプライアンスのモニタリングを行えるということである。
【0016】
本発明の他の効果については、続く説明により、容易に明らかなものとなるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の検知器を用いたときの動作を示すフローチャートである。
【図2】図2は、本発明の特定の実施例を用いたときの動作を示すフローチャートである。
【図3】図3は、本発明において、HWAMを生じるタガントとして使用可能な様々なアイソトープを示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、対象者の手にある又はそこから発せられるHWAMを検知することで、対象者の手指衛生活動をモニタリングするシステム及び方法を提供する。本システム及び方法では、HWAMを生じるタガントが手洗い剤中に存在する。いくつかの例では、このタガントは、商業的に販売されている製品に既に含まれている推進剤であって、特に泡を産出するものあってもよい。本発明のシステムおよび方法は、手指衛生が重要とされるあらゆる施設で実施可能である。このような施設の例としては、病院および他の医療施設、老人ホーム、レストランおよび他のフードサービス施設、食品加工及び製造施設、図書館、学校、空港などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
本発明の手指衛生モニタリングシステムは、タガントを含有する手洗い剤を伴う。タガントは、推進剤又は剤中にすでに含まれている他の成分でもよく、特定の型のセンサーに検知可能ということで特別に加えられた化合物でもよい。また、本発明の手指衛生モニタリングシステムは、センサーとインジケータとを有する検知器を備える。本発明のシステムは、対象者が、HWAMを生じるタガントを含有する手洗い剤で手を洗った又はこすった際に、それを検知して、手指衛生コンプライアンスをモニタリングする。HWAMは、適切な手指衛生対策が対象者に取られた後に、センサーで検知できることが好ましい。センサーに動作可能に接続されるインジケータは、手洗いが所定間隔内で行われたか、対象者(および/または、患者または顧客など他の利害関係者)に通知する。特定の実施例においては、手指衛生モニタリングシステムは、手洗いの実施に関する情報を記憶する手段をさらに含む(例えば対象者の身元、手を洗った時間、手洗いのコンプライアンス/ノンコンプライアンスなどに関する情報の記憶)。
【0020】
手指衛生コンプライアンスをモニタリングする方法は、センサー内蔵の検知器を用いて、対象者の皮膚から生じるHWAMが存在するかしないかを検知し、そしてインジケータを用いて、HWAMが対象者の皮膚に存在しているかを通知することを含む。この方法は、計算手段を用いてHWAMの検知(データ)発生を記憶し分析することを含むことも可能である。HWAMの検知に関するデータは手指衛生コンプライアンスの対象者履歴(記録)または手指衛生コンプライアンス率を判定するのに用いられてもよい。さらに、この方法は、HWAMの存在の検知の後、対象者がある期間内に手を洗ったかどうか通知することを含んでもよい。また、この方法は、HWAMを生じるタガントを含有する手洗い剤の使用を含んだ適切な手指衛生対策に、対象者が適合しない場合に、インジケータを用いて、注意警告を出すことを含んでいてもよい。
【0021】
諸定義
【0022】
ここでは、「手洗い」または「手指衛生」という用語(どちらも同じ意味で使用可能)は、手洗い剤と水とで手を洗うこと、又は手洗い剤を手の表面に塗布することを指す。手洗いについては、手を手洗い剤に浸すこと、または「真皮を撹拌し」、少なくとも3層から5層の細胞層を取り除く、手術着の使用を伴うような摩擦生成活動も含みうる。
【0023】
ここでは、「手洗い剤」という用語は、手指の衛生を維持する(例えば、皮膚上の微生物の数を減少させる)のに用いられる物質を指す。本発明の手洗い剤の例として、アルコール手指消毒剤、抗菌性の及び/又は消毒用石鹸、殺菌用手洗い洗剤、殺菌用手指消毒剤、洗浄剤、石鹸、水不要の殺菌剤、及び外科用手指消毒剤などが挙げられるが、これらに限定されない。また、手洗い剤は、固体状(例えば固形石鹸、外科用準備スポンジ)、粉末状、液体状、クリーム状、スプレー状、ゲル状でもよい。
【0024】
本発明によると、アルコール手指消毒剤は、手の生存微生物の数を減少させるためとして手につけるよう作られたアルコール含有製剤である。同製剤は約60%から95%のエタノール、イソプロピルアルコール、n−プロパノール、またはこれらの化合物の組合せを含むことが可能である。
【0025】
また、ここでは、抗菌石鹸とは、石鹸又は洗浄剤と殺菌剤とを含む製品を指す。
【0026】
また、ここでは、殺菌剤とは、微生物フローラの数を減少させるためとして皮膚につける抗菌物質を指す。殺菌剤の例としては、アルコール、クロルヘキシジン、塩素、ヘキサクロロフェン、ヨウ素、クロロキシレノール(PCMX)、第四アンモニウム化合物、そしてトリクロサンなどがある。
【0027】
また、ここでは、洗浄剤または石鹸とは、クリーニング作用を有する化合物を含む製品で、この化合物は、親水性で脂肪親和性の構成要素で成り立っており、陰イオン剤、陽イオン剤、両性不純物および非イオン性界面活性剤という4つのグループに分けることができる。医療の場において手洗いに使われる製品、言い換えると殺菌用洗剤とは様々なタイプの洗浄剤を示すが、「石鹸」という用語もこのように様々なタイプの洗浄剤を指す。
【0028】
また、ここでは、水不要の殺菌剤とは、外因的な水の使用を必要としない殺菌剤を指し、これをつけた後は、同剤が乾くまで、手をこすり込む。
【0029】
また、ここでは、殺菌用手洗い剤又は手指消毒剤とは頻回使用向けの消毒薬含有製剤を指し、これは、水洗いし、すすいで乾燥させた後の、正常な皮膚上の生存微生物の数を減少させるもので、広スペクトルで、即効性があり、持続的効果性があるものである。
【0030】
また、ここでは、外科用手指消毒剤とは、正常な皮膚上の生存微生物の数を大幅に減少させる消毒薬含有製剤であり、広スペクトルで、即効性及び持続性があるものである。持続性があるとは、手洗いから、患者に対し潜在的感染源になるのに充分な数の生存微生物が皮膚に定着又はそれを汚染するまでの時間持続すること、またはHWAMをつけた後、それが皮膚上で又はその近辺で検知可能な時間持続することを指す。
【0031】
ここでは全体を通して、HWAMを、本発明のセンサーを用いて、その物理的又は化学的性質により検知される物質又は物質の組合せとして定義する。HWAMは、手をすすいだ後又は乾かした後に、十分な時間皮膚に残ることが、本発明のセンサーで検知するためには、好ましい。またHWAMは、手洗い剤の中にだけある特有のものであることが好ましい。(例えば、手洗い剤の中以外で、普段、センサーに検知可能なほどの密度で対象者に近接して存在する分子ではないことが好ましい)。さらに、HWAM及びHWAMを生じるタガントは、対象者に無毒なものでなければならず、手洗い剤の抗微生物性、抗ウイルス性、抗菌性を変性又は損なわず、比較的低価格で、容易に入手可能で、手洗い剤に合成及び一体化しやすいものであるべきである。特定の実施例においては、パーフルオロカーボン(PFCs:perfluorocarbons)、ハイドロフルオロカーボン(HFCs:hydrofluorocarbons)、ペルフルオロ・アルコールを含むハロゲン化分子を、手洗いタガントとしてもよい。場合によっては、これらの分子が、既に市場向けの手洗いシステム(例えばHFC−32のような泡ベースの手洗いシステムの推進剤)の構成要素になっており、また、手洗い剤にタガントとして特別に加えられていることもある。
【0032】
手指衛生モニタリングシステム
【0033】
本発明は、HWAMを生じるタガントを含有する手洗い剤と、センサー及びインジケータを有する検知器とを含んだ、手指衛生コンプライアンスのモニタリングシステムに関する。センサーは、対象者の皮膚上の、またはそこから発せられるHWAMを検知可能で、インジケータが、このHWAMの検知を通知する。HWAMの検知に関する通知は、視覚手段及び/又はインジケータからの可聴音によるなどして即時に可能である。また、HWAMの検知に関する通知は、データベースに転送又は記憶可能で、医療サービス提供者、糧食勤務員、患者、または顧客など他の者に対象者が手を洗ったことを知らせるのに用いられる別の装置にも伝送可能である。
【0034】
本発明によれば、HWAMの検知は、手洗い剤を使用したこと、つまり手洗いをしたことの、代理指標である。対象者の手指衛生コンプライアンスの向上のためとして、本発明のシステムに必須なのは、モニタリングした対象者の皮膚またはその近辺のHWAMの検知から導き出される、手洗いが行われたか、そしていつ行われたかということの通知である。
【0035】
特定の実施例には、HWAMの検知(及び手洗い)に関するデータを記憶及び/又は解析し、コンプライアンスの向上が必要な時には、対象者に干渉することが含まれる。干渉することが適切であるかどうかは、ある期間の予想手洗い回数と比較して、同期間に検知された手洗い回数がどうかによる。
【0036】
特定の実施例においては、検知器は、センサーに空気を導くための吸上げポンプを含む。例えば、吸上げポンプは、皮膚からのHWAMを検知器のセンサーへ確実に向かわせるために使用できる。
【0037】
タガント
【0038】
本発明は、手洗いをモニタリングするシステムを提供する。具体的には、HWAMが手洗い剤の使用の代理指標であり、対象者の皮膚又はそれ近辺のHWAMの検知に基づいて、手洗いがモニタリングされる。本発明によれば、手洗い剤は、揮発性か、半揮発性か、不揮発性の検知可能なHWAMを含む。本発明の特定の実施例のタガントは、短時間で検知不可能となるものの、手洗い直後には容易に検知できるよう、十分な蒸気圧および揮発性を備えたHWAMを生じる化合物であることが望ましい(例えば短時間の持続を特徴とするHWAM)。このタガントやHWAMは、タガントが異なる分子化合物になったときに(例えば、肌により、タガントがHWAMに化学的に形質転換したときに)、アレルギー反応や皮膚乾燥の可能性がなく肌への頻回使用が安全なものであることが、より好ましい。
【0039】
一実施形態においては、タガントは、市販の手洗い剤(例えば泡ベースのシステムにおけるジフルオロメタン[HFC−32])に既に含まれている。別の実施例においては、タガントは、市販の手洗い溶液に直接加えることができるよう、十分に混和性である。これは、手洗い剤(例えば、エタノールおよびイソプロピルアルコールをフッ素で処理したもの)に通常含まれる分子の様々な程度のH原子のフッ素置換体(例えば、単一のCH3及び/又はCH2グループのH原子の一F置換体から複数F置換体に及ぶ)に、少量のフッ素化アルコールを加えること、または第3級又は第2級アルコールなどの新規アルコールを、1、1、1、3、3、3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1、1、1−トリフルオロ−2−メチル2−プロパノールや、1、1、1、3、3、3−ヘキサフルオロ−2−(トリフルオロメチル)、2−プロパノールや、1、1、1、3、3、3−ヘキサフルオロ2−プロパノール(HFIP)などを、それぞれ、様々な程度のH原子のフッ素置換体に加えることを含むが、これに限定されない。他の実施例において、タガントは、硬質粒子にローカライズ(例えばマイクロカプセル封入技術)及び/又は軟質粒子にローカライズ(例えばマイクロエマルジョン及び/又はミセル)されて、手洗い媒体に加えられる。このようなタガントは、マイクロカプセル化、コーティング、または溶解可能な粒子状物質/ポリマー系に組み込むのに適していて、手洗い中でも、取り除かれるまでは、強固に残る化合物から選択されるのが望ましい。このような実施例では、対象者は、タガントを取り除くため、強く手を洗うこと、場合によっては、浸水させることが必要となるであろう。
【0040】
水分散性ポリマーにタガントを組み込む手段は、他にも多くある。タガントを包含するマイクロカプセル化した粒子は、コアセルベーション(例えば複合コアセルベーション)、ダブルエマルション(w/o/w)、重合(例えば、界面、その場、又はマトリクス重合)、共押出カプセル製剤(例えば、ドリップ式、遠心式、またはジェット式共押し出し)、およびエアサスペンション・コーティングなどの一般的なマイクロカプセル化技術を用いて形成されるが、これに限定されない。例えば、ダブルエマルション技術においては、ポリL−乳酸(PLLA:poly L−lactic acid)が、塩化メチレンで溶解され、検知可能なタガントを含んだ水溶性の又は他の混合できない溶剤を用いて乳化される。これは油中水型エマルジョンを生成するように調整されており、このエマルジョンは、第2の水溶性又は他の混合できない溶剤に流入され、そこから泡が立ち、有機溶剤(塩化メチレン)が蒸発する。その結果、PLLAが、硬質なシェル内に、検知可能なタガントを封入しカプセル化することとなる。当業者であれば、手洗い剤における検知の特性を最適なものにするためとして、どの重合体や溶剤や界面活性剤、そしてどの程度の熱や攪拌率が加えられなければならないか容易に理解できるであろう。なお、カプセルは、異なる条件下で分解又は砕けるように作ることも可能である。
【0041】
特にこの製剤設計が、すべての適用に理想的ということはないかもしれないが、カプセル化のためとして一般的に使われる方法として提示する。同様の方法を用いる別の実施例では、溶解した砂糖に、界面活性剤と水とを有する過フッ化炭化水素などの少量のタガントを混合することが含まれる。その後、この形成されたエマルジョン(連続水相で分散させた有機的なもの)は、シリコーン油などの多量の不揮発性有機液体に流入され、そこから泡が立つ。最終的な粒子は、気泡による水の蒸発で形成された砂糖基質内に封入されている過フッ化炭化水素を含み、この粒子は、有機ゲル(イソプロピルアルコールベースのものなど)で懸濁されると、手洗いにより水に晒され擦られるまでは、原型を保つ。手洗いの時点で、砂糖が、出てくる水で溶解され、揮発性の過フッ化炭化水素が放出される。
【0042】
洗浄が行われ水と溶剤とが接触する際の洗浄環境に、この揮発性物質を置く方法は色々ある。最もシンプルにする場合、加圧容器を消毒液の容器に付け、一方を動かすとそこに含まれるタガントが他方の液体に放出されるようにすることも可能である。粒子は、1960年代に開発された既知の「こすると香りが出る」方法を用いて、ゼラチン又はメラミン樹脂のような人工的にマイクロカプセル化されたシェルを基に作ることも可能である。シェルは、こすられた時に砕けるサイズ及び厚さに調整され、包含する揮発性物質を放つ。揮発性酸又はベースは、塩剤を形成することで、それほど揮発性でなくすることができ、それは、揮発性酸又はベース物質の減少によりpHが変化し、洗浄中にその媒体のpHが変わると、放たれることとなる。水は、例えば、乾燥重炭酸ナトリウムと乾燥酢酸カルシウムとの混合物を活性化することができ、それにより二酸化炭素を発生させ、マイクロカプセルを分裂させることができる。カプセル化された塩剤に水が入り込むことで形成される単なる浸透圧によっても、シェルを分裂させることは可能である。酢酸又は酪酸などの揮発性酸は、エステル結合により重合体に結合可能で、これは天然に存在する又は2点塗布器で提供されるエステラーゼにより開裂し得る。揮発性のタガント又は混合物を封入するシェルを砕く又は溶解する方法は数多くあり、選択した特定の担体に容易に適合可能である。
【0043】
本発明の特定の実施例の揮発性タガントは、容易に蒸発し手洗いから所定時間後(1分以内、1分から5分以内、または5分から10分以内など)に人間の感覚又は電子感知により検出不可能となるHWAMを、生じることが望ましい。本発明によれば、手洗い剤と結合するタガントは、限定はされないが、以下の嗅覚タガントを含む:ジメチルスルホキシド(DMSO:dimethyl sulfoxide)、アセトアルデヒド、アセトフェノン、trans−アネトール(1−メトキシ−4−プロペニルベンゼン)(アニス)、ベンズアルデヒド(ベンズアルデヒド)、ベンジルアルコール、桂皮酸ベンジル、カジネン、カンフェン、カンフル、シンナムアルデヒド(3−フェニルプロペナール)、ニンニク、シトロネラル、クレゾール、シクロヘキサン、オイカリプトール、及びオイゲノール、オイゲニルメチルエーテル、ブチル・イソブチレート(n−ブチル2、メチル・プロパノアート)(パイナップル)、シトラール(2−trans−3、7−ジメチル−2、6−オクタジエン−1−al)、メントール(1−メチル−4−イソプロピルシクロヘキサン−3−ol)、及びα−ピネン(2、6、6−トリメチルビシクロ−(3、1、1)−2−ヘプテン)。これらのタガントは、食品医薬品局により認められているものなので、好ましい。本発明に用いられる嗅覚タガントは、膨大な数の入手可能な化合物から選択でき(Fenaroli’s Handbook of Flavor Ingredients、第四版、CRC Press、2001年、を参照)、そのような他の適用可能なタガントの使用も、ここでは予定されている。
【0044】
本発明のタガントは、GRAS(generally recognized as safe「通常安全であると認められているもの」)として連邦政府によって承認及び分類された化合物を含み、これらは、アメリカ食品薬品局食品安全応用栄養センターが管理するデータベースで閲覧可能である。本発明のセンサーを用いて、容易に検知できるGRASとして分類されたタガントは、重硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチル・ナトリウム、ポリグリセロール・ポリリシノール酸、カルシウム・カゼイン・ペプトン・リン酸カルシウム、植物(例えばキク、カンゾウ、ゼリー麦芽液、スイカズラ、ササクサ、桑葉、フランジパーヌ、薬草、カイカ芽)、鉄ビスグリシナート・キレート化合物、海草由来のカルシウム、DHASCO(docosahexaenoic acid−rich single−cell oil:ドコサヘキサエン酸が豊富な単細胞油)およびARASCO(arachidonic acid−rich single−cell oil:アラキドン酸が豊富な単細胞油)、フラクトオリゴ糖、トレハロース、ガンマ・サイクロデキストリン、フィトステロールエステル、アラビアゴム、重硫酸カリウム、ステアリルアルコール、エリトリトール、D−タガトース、及び菌蛋白質を含むが、これらに限定されない。
【0045】
本発明の他のタガントは、図3に開示されているもののような、ハロゲン化合物(例えばテトラクロルエタン、トリクロロエタン、ジクロロエタン、ジクロロエチレン、トリフルオロエタン(フレオン113)、ジクロロエタン、ジクロロプロパン、1、3−cis−ジクロロ−1−プロペン、1、3−trans−ジクロロプロペン、1−クロル基−2−プロペン、ブチレン二塩化物、四塩化アセチレン、ブロモジクロロメタン、ブロモホルム、ブロモメタン、四塩化炭素、クロロジブロモメタン、クロロエタン、クロロホルム、クロロメタン、クロロプロパン、cis−1,2−ジクロルエチレン、cis−1,3−ジクロロプロペン、ジブロモ・クロロプロパン、ジブロモメタン、ジクロロブロモメタン、ジクロロメタン、二臭化エチレン、フルオロトリクロロメタン(フレオン11)、グリセリン・トリクロロヒドリン、ヘキサクロロブタジエン、ヘキサクロロシクロペンタジエン、ヘキサクロロエタン、塩化メチレン、ネオプレン、ペンタクロルエタン、テトラクロロエチレン、2塩化プロピレン、トリクロロトリフルオロエタン、モノクロロベンゼン、四塩化エチレン(テトラクロロエチレン)、トリクロロエチレン(TCE)、塩化ビニル、トリクロロエタン(PCE)、アイソトープ、加えて塩化ビニリデン)を含む。
【0046】
本発明によれば、HWAMは以下のいずれかの特性、またはその組合せを有することが可能である。(1)HWAM(HWAMと異なる場合は、タガントも)が、本発明のセンサーによるHWAMの検知に必要とされる濃度においては、固有の毒性を有しない。(2)HWAM(HWAMと異なる場合は、タガントも)が、通常安全であると認められる(GRAS)化合物である。(3)HWAM(HWAMと異なる場合は、タガントも)が、米国食品医薬品庁に承認された化学成分である。(4)HWAMが、皮膚上で特有のものであり(例えば、皮膚につけるもので手洗い剤でないものには含まれていない)、本発明のセンサーに特殊な信号対雑音(S:N)比率を提供し、ベースラインリーディングを必要としない。(5)HWAMが、対象者が手洗いをした後に、皮膚又はその近辺に、迅速に発現する。(6)HWAMが、再現可能な発現持続時間を有している。(7)HWAMが、速く、持ち運び可能で、低価格で、コンパクトで、リアルタイム分析が可能な市販のセンサー技術により、容易に検知できる。そして、(8)手洗い剤との結合及び/又は対象者の肌又はその付近のHWAMの検知時間を考慮した最適なタガントの選択を可能とする軟性の化学製剤プラットホームから、HWAMが生じる。また、手洗い剤の中に存在する1個以上のタガントが、「手洗い順守マーカー(HWAM)」を作り出すと言え、このHWAMは3つの元から派生する。(1)タガント自体がHWAMとしての役割をし、皮膚からのタガントの拡散により、これが検知される。(2)タガントの代謝産物がHWAMとしての役割をし、皮膚からの代謝産物の拡散により、これが検知される。皮膚は酵素的に活性な組織で、様々な酵素を含んでいる。(3)代謝産物がHWAMの役割を果たし、手を洗っている人の呼吸から生じる代謝産物から、これが検知される。この場合、呼吸に現われる代謝産物は、皮膚の酵素及び/または外皮系の外にあるもの(例えば血液、肝臓)による代謝から生じ得る。好ましい実施例においては、HWAMは呼吸からではなく皮膚から検知される。
【0047】
HWAMとしてタガントの代謝産物を用いることには、特に皮膚に活性酵素機構があると認められた場合に、利点がある。例えば、タガントから生じるHWAMの濃度は、手洗いの強さの程度と関係している。すなわち、手洗い媒体における一定量のタガントを使用し、よりよく手洗いすると、より多くのHWAMが生じるはずである。(例えば、酵素がHWAMの形成を触媒するところ、つまり、それが塗られた皮膚の表面が大きく、皮膚にタガントが多く浸透する)。
【0048】
タガントは、3つの方法により、手洗い剤(例えば泡、溶剤、手洗いワイプスなど)に含有される。(1)市販品の洗剤媒体(例えばエタノール含有製剤におけるジフルオロメタンなど噴射剤としての過フッ化炭化水素)に既に含まれている。(2)市販品(例えば、ヒビクレン、ヒビスタット、ピュレルなどに加えられた過フッ化炭化水素、ハイドロフルオロカーボン及び/又はフルオロ基アルコール)に新たに追加する。(3)手洗い剤として用いられる新製品に組み込む、である。
【0049】
タガントは、これらに限定はされないが、以下の様々な化学物質郡に属することが可能である。(1)飼料添加剤、添加物、及び/又は薬品賦形剤のリストにあるような、通常安全である(GRAS)と認められる米国食品医薬品庁により指定された化合物。(2)既存のもの及び新規化学成分を含む、非GRAS化合物であることとして指定された化合物。タガントとしての役割を果たすことが可能な具体的な化学物質郡には、エステル(例えばパラオキシ安息香酸エステル類)、炭酸塩エステル、アセタール、ケタール、脂肪族高級アルコール類、芳香族アルコール、チオアルコール、チオール類、脂肪酸、脂肪族高級アルデヒド類、芳香族アルデヒド、エーテル、チオエーテル、フェノール・エーテル、ケトン、フェノール、ラクトン、テルペン、脂肪族高級炭化水素類、フルフラール、インドール、アミン、そしてイソチオシアン酸塩が含まれるが、これらに限定されない。
【0050】
好適な手洗いタガントとして特別の配慮に値する化学物質郡のひとつに、ハイドロフルオロカーボン(HFC:hydrofluorocarbon)、パーフルオロカーボン(PFC:perfluorocarbon)、フルオロ基アルコール、およびクロロフルオロカーボン(CFC:chlorofluorocarbons)などのハロゲン化合物がある。しかしながら、CFCはオゾン分子を破壊するので、好ましくない。フッ素化された化合物は、COTS検知器で容易に検知でき、患者に無害であり、そしてオゾン分子を破壊しない。本手洗い技術に関連する、どちらも直鎖及び分岐体であるPFCには、これらに限定はされないが、テトラフルオロメタン(C2F4)、ペルフルオロ・プロパン(C3F8)、そしてC5F12、C6F14、C7F16、C8F18、C9F20、C10F22などを含む他の物質を加えたペルフルオロ−n−ブタン(C4F10)などが含まれ、このPFCは、その化学構造中に炭素および弗素原子のみを含む過フッ化炭化水素であり、そして炭素フッ素ボンドの力と弗素原子の遮蔽効果により、非常に安定した、無毒性、非可燃性、非発癌性、そして化学的に不活性の分子化合物である。PFCは、ガスを吸収する優れた能力を有するので、液体呼吸および代用血液など医療用に広く使用されており、CFCとは対照的に、オゾン分子を破壊することがない。同様に、限定はされないが、ジフルオロメタン(C2F2H2)を含むHFCも本発明に使用可能である。PFC及びHFCと比較すると、フルオロ基アルコールは、水および脂肪族アルコール溶剤によりよく溶解し、空気中に逃げてしまうことがない。PFC、HFC、そしてフルオロ基アルコールの分子構造であれば、既存の様々な物理化学的性質(例えば水溶解度、物質の状態、沸点、融点、ヘンリー則定数、親油性/親水性)、そして毒性プロフィールが、特定の手洗い状況に最適なタガントを決定するために、活用可能である。この場合、特にPFCを用いると、その代謝的安定性により、通常、HWAM自体がタガントになるであろう。通常、PFC分子中の炭素原子数が、分子の物理的性質を決定づけ、炭素原子数が高いほど、沸点、密度、粘性、表面張力、臨界特性、蒸気圧および屈折率は高い。炭素原子が増加するとともに、ガス溶解度は減少する。HWAMがどれくらいの時間持続し、そしてどれくらいの時間センサーに検知可能かなど、本発明特有の手洗いの施用に重要な要素は、化学的タイプを問わず、タガントの特性に従って調整可能である。
【0051】
センサーのタガントの特定性を向上させるためとして、タガントに、非放射性で通常とは異なる同位体トレーサーを含んでも良いが、含まなくても良い。
【0052】
粒子の内部にハロゲン化合物を封入する封入化方法を用いると、物理的な通門機序によりタガントが放出(例えば、手洗いによる摩擦は、タガントを解放する温度上昇及び/又は機械的力を引き起こす)されるが、これには、特定の利点がある。まず、それにより、手がよく洗浄されるようにすることができ、これは直接感染の可能性を軽減することに直接繋がる。第二に、通常、PFCは有機溶剤(例えばエタノール)及び水と混和せず、皮膚に含まれるような炭化水素や脂質と混和するため、粒子が砕け、粒子(例えばタガントを含む硬カプセル剤及び/又はマイクロエマルジョン/ミセル)から放出されると、すぐに手から離れ、センサーに検知される。そのため、粒子内にフッ素化化合物を含めるやり方(例えば、手洗い媒体に堅固に懸濁されたマイクロカプセル、マイクロエマルジョン、またはミセル内に含まれるPFC及び/又はHFCの、手洗いの摩擦や力に付随して起こる熱上昇や機械的ストレスなどの物理的刺激及び/又は水によるマイクロエマルジョン/ミセルの安定性の崩れによる、ゲート開放)は、この手洗い技術に、好ましい方法である。
【0053】
純粋な形のタガントは、手洗い溶液に加えられる前は、ガス、液体、若しくは固体であっても、または揮発性、半揮発性、若しくは不揮発性であっても良い。HWAMは、ガスの形でセンサーに検知されるのが好ましいが、エーロゾル状散布によって液体の形で検知することも可能である。手洗い媒体は泡、ゲル、液体などでも良い。タガントは、手洗い媒体にむらなく安定分散することが好ましく、そして、手洗いの前に振ったり、他の攪拌するかたちをとって分散させる必要がないことが理想的である。
【0054】
検知器
【0055】
本発明の特定の実施例の検知器は対象者の皮膚から生じるHWAMを検知するセンサーと、HWAMが検知されたかを伝えるインジケータとを含む。本発明によれば、当該検知器は、対象者が身につけるバッジとして提供可能であり、例えば、カード型の構造体、バッジ型の構造体、または他の簡潔構造で、使いやすく、持ち運びが可能で、耐久性があり、対象者に取り付け可能な構造体である、筐体に実装されることが望ましい。また、検知器には、バッジ内に配置されるセンサーが含まれており、このセンサーは、(例えば、対象者が本発明の手洗い剤を塗布し、手をこすって洗い、すすいだ後の)対象者の皮膚に、またはその近辺にあるHWAMの存在を検知する機能を有している。また、検知器には、センサーに操作可能に接続されたインジケータも含まれており、センサーによるHWAMの検知は、このインジケータにより対象者(及び/又は対象者の手の衛生を評価又はモニタリングする関係者)に伝えられる。
【0056】
なお、検知器には、インジケータに操作可能に接続された電子時計回路も含まれることが好ましく、一実施形態においては、この電子時計は、インジケータに通知されるHWAMの検知に基づいた報時信号を、継続的に生成する。例えば、電子時計を用いると、インジケータは、最後の手洗いがいつ行われたかを伝えることが可能となる。他の実施例においては、対象者が手洗いを開始したときに電子時計が起動し、インジケータを介して対象者が手洗いに当てるべき規定の時間を伝えることが可能である。例えば、5秒から2分までのもので、手洗い剤を用いての手洗いに当てる時間を対象者に伝える信号を、電子時計は生成可能である。
【0057】
特定の実施例では、検知器は、検知したHWAM/手洗いに関するデータを処理する手段を含むことも可能であり、これには手洗いに関するデータを記憶し、手洗いの分析(例えば、所定期間の手洗いの回数を、特定期間の手洗いの予想回数と、又は先に記録された手洗いと比較)をする手段が含まれる。この処理手段が、電子ハードウェア、機械的なハードウェア、コンピューター・ソフトウェア、またはその組合せとして実装されてもよいことは、当業者であれば理解できるであろう。この処理手段が、ハードウェアとして実装されるか、及び/又はソフトウェアとして実装されるかは、システム全体の特定用途および設計制約条件に依存する。当業者は、これらの構成要素を、様々な方法で、異なるアプリケーションに実装することができるであろうが、このような実装の決定が、本発明の範囲から逸脱するものと解すべきではない。
【0058】
本発明によると、皮膚の又はそこから発せられるHWAMの検知に使用するセンサーは、データ処理システムに動作可能なように接続可能であり、この処理システムは、皮膚の又は皮膚から検知されたHWAMに関するものであって、センサーにより生成された出力信号を、理解及び分析するようにプログラムされている事が好ましい。一実施形態においては、本処理システムはコンピューターでありHWAMの解析結果を、コンピューター・スクリーンに表示したり、記憶したり、送信したりすることが可能である。さらに、コンピューター処理装置(またはCPU)を、データ処理/制御装置として備えてもよく、一実施形態において、この処理装置は、対象者の手の衛生コンプライアンスを判定するためとして、特定期間の推奨HWAMレベルに関するデータと、モニタリングされたHWAMのデータとの比較を行うようプログラムされている。
【0059】
例えば、医師が、診療中に20人の患者を診る場合、診療時間の間に、記憶装置には手洗いの発現が40回(患者と接する前と後両方に手洗いがなされる)記憶されるはずである。検知された手洗いの発現が少なければ、それは院内感染を促進する行状であるということである。同様に、医師または他の医療サービス提供者が、特定の時間間隔で、幾つかの処置(例えば内視鏡検査、膀胱鏡検査、気管支鏡検査)を行なう場合、各処置の前と後で、手洗いの発現が2回検知され、記憶され、そしてドキュメント化されるはずである。
【0060】
一実施例においては、CPUは、手洗いをしたことの適切な追跡及び分析ができるように、センサーからの信号を自動的に検知し記憶することが可能である。さらに、対象者(又は同僚、患者、顧客など)に対して、あらかじめ入力されている情報又は手洗いの傾向の分析に基づく、実施される手洗いに適した警告を提供してもよい。
【0061】
本発明によれば、データアナライザは、(センサーからの)反応パターンと、既知のHWAMから先に測定され特徴づけられた反応とを比較することができ、それらのパターンのマッチングは、人工知能システム(ニューラル・ネットワークなど)を含む幾つかの既知技術を用いて行なうことができる。例えば、ニューラル・ネットワークを用いて、センサーからの(皮膚の又はそこから発せられる、分析済みのHWAMに基づいた)アナログ出力と、「ブランク」又は制御HWAM出力とを比較することで、そのHWAMに特有のパターンを確定することが可能である。一実施形態においては、人工知能システムは、手指衛生対策に対する対象者のコンプライアンスの評価をすることができ、必要に応じて、対象者の健康を継続させ、不十分な手指衛生から生じる病気の蔓延を防ぐためとして、干渉(手洗いを増やすなど)を推奨することもできる。
【0062】
本発明のモニタリングシステムで使用可能な従来方法の1つに、センサーから得られたデータを処理するニューラル・ネットワークがある。ほとんどの経験的モデリング技術と同様に、ニューラル・ネットワーク開発には、その使用のために正しくフォーマットされたデータの収集が必要となる。特に、当該技術分野で周知のように、中間ネットワーク処理層の入力データ及び/又はその出力は、使用に先立って標準化されなければならないだろう。ニューラル・ネットワークに取り入れるデータを数式へ変換し、所定範囲の数、例えば0と1の間で、各数式を変換することは周知である。したがって、本発明の知能システムは、以下の手段を有することが好ましい。(1)センサー・データ出力信号から、検知したHWAMデータの少なくとも一部を選択する手段。(2)この検知したHWAMデータの選択部分を数式に変換する手段。(3)この数式を所定範囲の数に変換する手段。
【0063】
本発明の一実施例に従うと、本知能システムは、センサーからの出力データと、所定期間又はその一部期間に基づく、検知したHWAM発現の予想数に関する入力データとを、ニューラル・ネットワークに提供することで、学習する。本知能システムによる評価は、対応する入力データ及び出力データと共に、データ・レコードと呼ばれ、多くの異なる対象者(男性と女性や、成人を診る健康診断医と小児科の健康診断医など)に向けて取ったであろう使用可能データ・レコードは全て、データセットを含む。本発明によると、対応するデータセットはメモリに記憶され、統計のため、学習のため、及び/又は診断の決定のためとして、処理システムに使用可能な状態とされる。通常、知能システムは、対象者から得たデータを用いて前もって学習し、ニューラル・ネットワークは、学習データから学習したものを用いて、他の/新たな対象者にそれを適用できる。
【0064】
本発明の他の好適実施例では、検知器は、身につけられることなく、特定の場所に(例えば手洗い場、手洗い剤のディスペンサーの近く、患者の部屋のドア付近、キッチンへのドア付近など)に設置され、手洗いの頻度と、特定の場所へ入る(例えば、患者に接近する)頻度とが比較できるようになっている。
【0065】
このような実施例においては、対象者の身元を確認する手段が提供される(例えば対象者特有のコードを提供するなど)。身元確認手段の例としては、対象者により操作されるキーパッド、バーコードリーダー、磁気ストリップリーダー、または無線周波数識別(RF−ID)技術などの他の相応の確認装置が挙げられるが、これらに限定されない。身元確認手段がキーパッドである場合、一般に入手可能な英数字設計のものであれば、どれでも良いが、対象者を識別するコードを受信可能なものでなければならない。身元確認手段がバーコード・リーダー、RF−ID、又は磁気ストリップリーダーである場合、バーコード、無線ID、又は磁気ストリップを含むカードまたはバッジが、各対象者に支給され、対象者は、身元確認手段が対象者の身元を判定できるよう、リーダーの前に、またはリーダーの中へ、バーコード、無線ID、又は磁気ストリップを差し出すことになる。他の実施例では、生体認証装置(指紋読み取り装置、網膜スキャナーなど)が使用可能であるが、いくつかの状況では、これはあまり望ましくない。なぜなら、ユーザーが当該装置に触れなければならないだろうし、その使用により、患者訪問に遅くなることもあるからである。
【0066】
特定の場所(例えば洗面所の入口)それぞれにおいて、対象者が入ると、身元確認手段が中央計算システムに通知し、対象者がそこを去ろうとして手を洗うまで待つこととなる。対象者が適切な手洗い(例えば、HWAMを生じるタガントを含んだ本発明の手洗い剤を適正量塗布し、適切に泡が立つよう両手をこするなど)を行なった後、検知器のセンサーの前で手を振ると、HWAMが対象者の皮膚に存在しているかどうかをセンサーが検知する。特定の実施例において、インジケータは、対象者の肌にある、又はそこから発せられるHWAMが存在するかしないかを基に、それぞれ「合格」判定か「不合格」判定かを報告する。「合格/不合格」の情報は、中央計算機に送られ、それによって対象者の手指衛生対策に対するコンプライアンスが判定可能となる。
【0067】
特定の関連する実施例において、身元確認手段は、入力手段(例えばドアのロック)に操作可能に接続される。このような実施例では、対象者が適切な手指衛生対策を行なったと検知器が確認しない限り、入力手段は、対象者がその場所に入る又はそこから出ることを許可しないこととなる。例えば、患者の部屋のドアロックは、検知器の前で対象者が手を振り、インジケータから「合格」判定が伝えられた後でなければ、解除されることはない。
【0068】
センサー
【0069】
本発明に従うと、民生品を利用した多数の、気相媒体の分析的測定のための解析手法が、対象者の皮膚にある又はその近辺のHWAMを検知及び/又は定量化するのに使用可能である。これらの装置は、最小限のサイクル時間を提供し、複数のHWAMを検知可能で、特別の試料調製又は分離条件なく、ほとんどいかなる環境でも動作し、高度なセンサー設計や、検査と検査の間の洗浄を必要としない。
【0070】
本発明の手指衛生モニタリングシステムは、所望のHWAMデータを捕捉/検知するためとして、少なくとも1つ又は複数のセンサーを含んでもよいと考えられており、各センサーが、HWAMの存在に基づいた出力信号をインジケータに発する。ここに記載のシステム及び方法に従って使用可能な、特有の、民生品利用のアプローチとしては、高電子移動度トランジスター(HEMT:high electron mobility transistor)、核磁気共鳴(NMR:nuclear magnetic resonance)、高分子膜−化学抵抗性(Cyranose)、ポリマー表面音波(SAW:polymer−surface acoustic wave)並びに電気化学アレイ(Hazmatcad及びHazmatcad Plus)、スペクトロスコピー分析、可視スペクトロスコピー、UVスペクトロスコピー、TIF−TIFXP−1A陰極コロナ漏電探知器、陰イオン捕捉センサー、熱センサー/セラミック半導体センサ−、赤外吸収、核磁気共鳴スペクトロスコピー、光電子放出スペクトロスコピー、ラマン・スペクトロスコピー、フーリエ・スペクトロスコピー−FTIR、時間分解スペクトロスコピー、フレーム・スペクトロスコピー、プラズマ発光スペクトロスコピー、力スペクトロスコピー、誘電性スペクトロスコピー、円偏光二色性スペクトロスコピー、耐熱指標などが挙げられるが、これらに限定されない。他に考えられるセンサーとしては、微細カンチレバーベースのセンサー、分子インプリントポリマー、増幅蛍光ポリマー、そして高電子移動度トランジスターが挙げられる。最良の形態においては、金属酸化物(MOS:metal oxide)又は他のセンサーを用いた小縮尺(小型)ガスクロマトグラフィー技術が、本発明に従って用いられる。
【0071】
本発明では、対象者の皮膚又はその近辺にあるHWAMの存在及び/又は濃度をモニタリングするのに、「人工」又は「電子」舌又は鼻として既知の商用装置などのセンサ技術を用いることが望ましい。電子鼻は、食品産業、ワイン産業、そして香水産業で大抵用いられており、その感知性により、臭気化合物の区別を可能にし得る。例えば、香水産業においてグレープフルーツ油とオレンジ油とを識別するのに、または腐敗しやすい食品の腐敗を、その臭気が人間の鼻にも明白となる前に、識別するのに、電子鼻は役立っている。関連する実施例においては、感知されている特有のHWAMに対する期待応答が最適なものとなるよう、センサーの特有の抵抗形状が選択可能である。例えば、自己較正ポリマー「電子鼻」システムは、HWAMの存在に関し対象者の皮膚を分析するためとして、本発明に従った使用に適している。
【0072】
本発明で用いることが可能なガス・センサー技術が記載されている幾つかの特許の例としては、限定はされないが、米国特許第7,171,312号、第5,945,069号、第5,918,257号、第4,938,928号、第4,992,244号、第5,034,192号、第5,071,770号、第5,145,645号、第5,252,292号、第5,605,612号、第5,756,879号、第5,783,154号、及び第5,830,412号が挙げられ、これら全てが、全体的に参考としてここに援用される。本発明適した他のセンサーとしては、金属・絶縁体・金属アンサンブル(MIME:metal−insulator−metal ensemble)センサー、交差反応性光学マイクロセンサーアレイ、蛍光性ポリマーフィルム、表面増感ラマン分光(SERS:surface enhanced Raman spectroscopy)、ダイオードレーザー、選択イオン流管、金属酸化物センサー(MOS:metal oxide sensor)、非分散性赤外線分光計、バルク音波センサー、比色管、機能性微細カンチレバー、赤外線スペクトロスコピーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
本発明のセンサーとして使用可能なもので、検知の分野で最近開発されたものとしては、ガスクロマトグラフィー、半導体ガス・センサー、質量分析計(プロトン転移反応質量分析法を含む)、そして赤外線(IR:infrared)或いは紫外線(UV:ultraviolet )又は可視或いはけい光分光光度計(例えば非分散性赤外線分光計)が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、半導体ガス・センサーを用いた場合、HWAMは、電気抵抗を変化させることで半導体の電気的性質に変化を引き起こし、この変化を測定することでHWAMの濃度を判定できる。他の実施例においては、ガス組成物の分子の分離による選択的検知の方法を含むガスクロマトグラフィーを、対象者の皮膚又はその近辺のHWAMの分析の手段として用いてもよい。
【0074】
本発明によれば、HWAMの検知/定量化のためのセンサーは、数秒という比較的短時間の検知時刻しか使わない。最近のガス・センサー技術で、本発明の手指衛生モニタリングシステムの使用に考えられるものとしては、伝導性重合体ガス・センサー(「重合」)を用いる装置、アプタマー・バイオセンサー、増幅蛍光性ポリマー(AFP:amplifying fluorescent polymer)センサー、又は表面弾性波(SAW:surface−acoustic−wave )ガス・センサーを有する装置が挙げられる。
【0075】
伝導性重合体ガス・センサー(「化学抵抗器」とも呼ばれる)は、目標(場合により芳香のある)物質の分子を感知可能な、伝導性重合体から成る薄膜を有する。目的のHWAM分子に接触すると、このセンサーの電気抵抗が変化し、HWAMの存在を示唆する。このタイプのセンサーの利点は、室温に近い温度で機能するということである。異なったHWAMを検知するための異なった感度は、変更を加えるか、別の伝導性重合体を選ぶことにより達成できる。
【0076】
対象のHWAMに対する重合体ガス・センサーの反応は、従来のガス・センサーの特徴技術の組合せを用いて、十分に特徴づけることができる。例えば、当該センサーはコンピューターに接続可能で、その結果をコンピューター・スクリーンに表示したり、保存したり、送信したりすることが出来る。そしてデータアナライザが、反応のパターンと、あらかじめ測定され特徴づけられた既知の物質からの反応とを比較することができ、それらのパターンのマッチングは、ニューラル・ネットワークを含む幾つかの技術を用いて行なうことができる。感知されている特有のHWAMに対する期待応答を能率的に利用するため、特定の抵抗器形状が選択される。
【0077】
増幅蛍光ポリマー(AFP:Amplifying fluorescent polymer)センサーを、対象者の皮膚に存在するHWAMの検知をするためとして、本発明に用いてもよい。AFPセンサーとは、増幅蛍光ポリマーを用いる非常に感度が良く、高選択的な化学センサーである。対象のHWAMがポリマーの薄膜に結合すると、薄膜の蛍光が減少し、一度の分子結合により、多くのポリマーの反復単位の蛍光が消され、消光が増大することとなる。なお、薄膜へのHWAMの結合は可逆的であるため、薄膜は再使用可能である。
【0078】
表面弾性波(SAW:Surface−acoustic−wave )センサーは高周波で振動するもので、通常基板を有し、化学選択的物質でコーティングされている。SAWセンサーにおいて、この基板はインターディジット型電極間の表面弾性波を伝播するのに使われ(例えば変換器を構成するため)、変換器はこの化学的選択物質でコーティングされる。HWAMが、基板をコーティングしている化学選択的素材と相互作用すると、その相互作用の結果として、伝播した波の速度振幅などのSAW特性の変化をもたらす。この特有の波における検知可能な変化というものは、通常、HWAMの質量負荷に比例する(例えば対象者の皮膚上のHWAMの濃度であって、これは手洗い中に対象者に使用された手洗い剤の量に対応している)。
【0079】
本発明の特定の実施例では、米国特許第4,312,228号及び第4,895,017号に記載されているものなどの既知のSAW装置が用いられる。本発明の手指衛生モニタリングシステムの製造及び動作に適用可能な化学選択的コーティングを用いた、当該技術分野で周知の化学センサーで、他のタイプのものとしては、バルク音波(BAW:bulk acoustic wave)装置、板音波装置、インターディジット型の微小電極(IME:interdigitated microelectrode)装置、光導波路(OW:optical waveguide)装置、電気化学的センサ、そして電導センサーが挙げられる。
【0080】
一実施形態においては、本発明のセンサーは表面弾性波(SAW:surface acoustic wave)センサーをベースとしている。SAWセンサーは、ポリマー・コーティングで覆われた、圧電気特性を有する基盤を含むことが好ましい。これは、対象のHWAMを選択的に吸収することができる。また、SAWセンサーは高周波で振動し、特定の分子の質量負荷に比例した摂動に反応する。これはセンサ表面の気相に起こる。
【0081】
インジケータ
【0082】
本発明によると、インジケータは、手指衛生対策に対する対象者のコンプライアンス/ノンコンプライアンスを、対象者や他の利害関係者(患者、医療従事者、衛生管理人、及び/又は、場合によっては衛生当局)に知らせることができる。特定の関連する実施例において、本検知器システムは、対象者の皮膚からのHWAMの検知に付随する、検知した手洗いに基づいたコンプライアンスの追跡/分析をすることも可能である。
【0083】
センサーからの結果は、インジケータを介して対象者(又は対象者の手指衛生に利害関係を持つ他の者)に提供される。予定されるインジケータには、視覚的な、可聴的な、及び/又は触知的な結果を提供可能なセンサ技術に接続されたコンピューター・プロセッサが含まれる。インジケータは、可視光(緑、黄、赤などの様々な着色光)ディスプレイ、デジタルディスプレイパネル、他の機器に移して読込み可能なコンピューターディスクやテープなど可搬型の読書き磁気媒体、そして報告書を出力するためのサーマル、レーザー又はインクジェット・プリンタなどのプリンターを含むことが可能で、また、検知器に組み込むことも可能である。
【0084】
インジケータは、検知器自体、又はファクシミリ、電子メール、郵便、並びに宅配便、その他センサーにより生成されたデータを安全且つ確実に送る手段などの外部システム装置を介して、対象者に結果を提供することが可能である。例えば、検知器が特定の場所に設置される実施例では、センサーが生成したデータを、対象者が身に着けているバッジに伝送し、バッジのLEDを点灯することが可能である。LEDは、対象者が、その時間近辺に手洗いを行なったことを他の人に示すため、所望時間点灯したままにしておくことが可能である。対話音声応答システム、対話型のコンピュータ・ベースのインジケータシステム、対話型の電話プッシュホン式システム、または他の同様のシステムなどの、対話型のインジケータも本発明では予定されている。対象者に提供されるレポートは、手洗いについての即時の伝達、特定期間に行なわれた分析のサマリー、または手洗いに関する詳細情報など色々な形をとってもよい。また、結果は、実験用のデータベース又は統計的データベースに投入して使用してもよい。
【0085】
モニタリングシステムの動作
【0086】
図1に図示されるように、本発明の手指衛生モニタリングシステムを用いる方法では、対象者の手が検知器の近辺に差し出され10、HWAMの存在が検知され20、そして手洗いのコンプライアンスまたはノンコンプライアンスが通知される30、40。なお、ここでHWAMの検知は手洗いの代理指標である。特定の実施例においては、特定期間の後、検知器により、もう一度手洗いがなされるべきであると、対象者(及び顧客、患者、同僚などの他の利害関係者)に通知がなされる50。
【0087】
特定の実施例においては、検知器は、検知器のセンサーに空気を呼び込み/吸引する手段を含むことで、「積極的に」HWAMを検知することができる。同実施例の1つでは、検知器に、センサーに空気(及びHWAMがあればHWAMも)を呼び込む吸上げポンプが含まれる。この吸上げポンプは手洗いの前に個々に起動することも可能であるし、対象者の身元を承認する手段(バッジ、ブレスレット、無線周波数識別チップなど)によって、自動的に起動することも可能である。本発明の他の実施例は、「消極的に」機能し、皮膚のHWAMを検知するのに吸上げポンプを必要としない。
【0088】
手洗いに関連するHWAMについては、携帯可能で、着用可能な検知器により確認されることが好ましい。検知器は、人の白衣などに付けられ、手洗いが始まったときに起動される。そして、手洗いの後(乾燥する前又は乾燥した後どちらか)、対象者が検知器のセンサー近辺を通過する時に、手から発せられるHWAMを検知する。このインジケータは、複数色のライトを有するようなもので、HWAMがセンサーで検知されると起動する。これには、その時間近くに手洗いがなされたことを示す緑灯、容認可能な第1の所定期間に前回の手洗いが行われていることを示す黄灯、そして容認不可能な第2の所定期間に前回の手洗いが行われていることを示す赤灯を含むことが好ましい。ただ、赤色は、誤解を招く場合もあるし、患者にとってマイナスの意味を持つこともあるので、手洗いの後、設定時間後にバッジが無色となるようにしてもよい。
【0089】
使用方法においては、対象者が、本発明の手洗い剤で手を洗った後、身につけている検知器の前で手を振ると、検知器のセンサーが、対象者の皮膚のHWAMを感知し、それを青信号としてインジケータにより通知する。そして、例えば手洗いから10分から15分後などの、許容期間後に、装置のインジケーターライトが黄色に変わる。10分から15分過ぎると、ライトは赤灯又は無色に変わり、前回の手洗いが約20分から30分前に行われているということを示す。
【0090】
手指衛生コンプライアンスをモニタリングするための関連方法には、下記のステップ又はその組合せを更に含むことも可能である(図2を参照)。皮膚に手洗い剤をつけ60、手洗いを検知し70、80、検知した手洗いを記憶し90及び又は分析し100、検知した手洗いに基く対象者の手指衛生コンプライアンスを評価し110、そして、対象者のコンプライアンスを向上させる事が適切である場合に、対象者に干渉する120。
【0091】
特定の実施例では、その実施において、HWAMを生じるタガントを含有する手洗い剤の使用に先立ち、必要であれば、センサーにより、対象者の基本スペクトルが確認される。これは、他の臭気(ローション剤の芳香など)による干渉の可能性がある場合に、HWAMの検知に有効であることが分かる。
【0092】
他の実施例においては、検知器と、バッジやRFIDチップなどで個々の識別/存在を自動的に検知する対象者識別手段とが手洗い場近辺に設置される。そして対象者が対象者識別手段に近づくと、検知器を起動するカウントダウン処理を即座に始め、識別手段の起動後、有限期間内にHWAMの存在を検知するか、またはインジケータが対象者が手を洗っていないということを局所的に及び/又は遠隔でフィードバックする。
【0093】
遠隔通信システム
【0094】
本発明のその他の実施例は、本発明のモニタリングシステムに接続される通信装置を含み、この通信装置は、本発明のシステムで収集したデータを、標準の通信伝達手段を介して(例えば衛星通信を通じて)、即座に又は所定間隔で伝送可能である。データ通信により、本発明の手洗い剤を用いた手洗いに対象者が従っているかどうか及び/又は手洗い中に対象者が、適量の手洗い剤を使用しているかどうかを、利害関係者(例えば衛生モニタリングを行う者)が確認することができる。
【0095】
検知器から伝送されたデータも、コンピューターにダウンロード可能で、検知されたHWAMの存在は、データベースに記憶され、そして記憶データ範囲外の偏差にはフラグが立てられ、ユーザーが対象者の手指衛生コンプライアンスについて通知を受けることができる。一実施形態においては、ダウンロード情報は、HWAMが検知された回数(またはHWAMレベル/濃度)に関し、センサーに接続されたコンピューター処理装置による忠告がなされるたびに、またはヘルスマンパワー(例えば病院管理者)により忠告がなされるたびに、対象者又は他の利害関係者(例えば患者、医師、看護師)が手指衛生の欠如を検討することができるよう、所定回数範囲外の偏差に自動的にフラグが立てられることになる(例えば警告がなされる)。
【0096】
下記は、本発明を実施するためのもの、方法、及び手順を説明する実施例である。なお、この実施例は例示であり、限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例1】
【0097】
一実施例において、医療従事者は、適量の石鹸又は手術用手指消毒剤を塗布し、封入されているタガントが放出されHWAMが生じるよう、水でよく手を洗う。尚、代替として、「水不要の」手洗い製品にマイクロカプセルを組み込むことも可能である。医療従事者は、手洗いに先立ち、患者に見えるよう目立つように身に着けた検知器を、ボタンを押すなどして起動し、手洗い後(手が乾く前又は乾いた後)、当該装置の前でゆっくり手を振る。装置が起動していることで、試料空気が装置に吸引され、HWAMの有無が分析される。手が装置の前にゆっくり差し出されると、HWAMを含む試料空気(ガス)が検知され、人目を引く箇所にあるライトが赤色又は黄色から緑色に変わる。このライトは、一定期間(例えば10分)緑のままで、それにより、この医療従事者がその時間近くに手を洗っていることを、患者が確認できる。黄色又は赤色のインジケータは、この医療従事者が患者に触れる前に手を洗う必要があることを、患者に伝えるものである。
【実施例2】
【0098】
特定の好適な実施例においては、検知器は、対象者が身に着けるよりも、手洗い場のすぐ近くに設置されることが最も良い(例えば流し台と石鹸、またはアルコールベースのゲル剤又は発泡剤などの水を必要としない製品のディスペンサー)。対象者が検知器を身に着けるようにすると余計にコストがかかるのは明らかで、これは検知器を手を洗浄するところに置くことで抑えることが出来る(水及び石鹸が使用されたときのタオルディスペンサーの場合など)。同実施例においては、LEDなどを内蔵するバッジを対象者が身に着けることも可能で、これにより、対象者がその時間近くに手を洗ったかどうかが、対象者の近くにいる人にとって明白なものとなる。同実施例におけるバッジは「受動の」受信機になりえ、検知器の高度なエレクトロニクスを必要としない。
【0099】
検知器を手洗い場近辺に据え付けることには多くの利点があり、例えば、手を洗った個人を特定し、手洗いコンプライアンスを判定するためにアクセス可能なデータベースに、この情報を記憶するコンピューターシステムに、検知器をリンクさせることができる。
【0100】
例えば、医療施設において、各医療従事者が、検知器に非常に近接したときに彼らを固有に識別出来る装置を身に着けると、それにより手を洗っている医療従事者と一緒にいる他の者が、間違って手を洗っている者であると誤認されてしまうことがない。これは、RFIDチップなどの識別手段であって、彼らが検知器に非常に近接した場合にだけ彼らを識別するものを内蔵するブレスレット又は同様の機器を身につけている者によって、なされるのが好ましい。あるいは、いくつかの最新のシステムで 医療施設内の医療従事者の居場所を特定するものの一部であるバッジなどに、固有の識別子を組み込むことも可能である。
【0101】
手洗い場近辺に据え付けた検知器を用いると、目に見えるバッジ、可聴音、又はその組合せなどのインジケータは、手を洗った者が身に着けている機器に対してのみ信号を送信し、検知器近辺にいる他の者には送信することはない。したがって、検知器には、手を洗った者と、同病室又は医療提供場所にいる他の者とを区別する能力がなければならない。
【0102】
センサーが、手を洗ったばかりの(又は洗って間もない)者の手から放出されるHWAMのみ検知するよう、手はセンサーから設定距離の場所に差し出されなければならず、それにより気体サンプルがセンサーに向かう。この距離は、センサーから設定距離の場所に、つい立て或いは遮蔽物を置くか、又は特定の形をなす光線(例えばX)を手を洗った者の手に映し出すことで、正確に調整可能である。また、動作又は位置検出器などの起動手段は、気体(空気)サンプルがセンサーに向かう直前に、検知システムを起動するように用いることが可能で、これにより、当該システムが常に起動中でなくてもよくなる。これは、検知システムが、交流電源の近辺に位置していない手洗い場に設置されており、検知器がバッテリーで作動している場合に有益である。また、多くのセンサーが多少の電力しか消費しないので、検知システムの動力は、周囲光から装置に動力を供給する太陽電池から得ることも可能である。
【実施例3】
【0103】
ここでは、病院内環境における手洗いシステムの使用について、一連の流れを説明することが参考となる。同様の流れが、診療所、病院、手術室、又は他の医療環境でもありえ、また、食品を取扱う環境など、労働者による手洗いを記録及び促進することが重要な場所ならどこでも、同様の適用が可能である。例示的実施例において、この流れの中には以下の行程が含まれる。
【0104】
1:医療従事者が身に着けるトランスミッタ又は病室や他の医療場の入口に据え付けられたアクティブ装置により検知される受動装置によって、特定の医療従事者がいることが認識され、当該システムによって、その医療従事者が検知システムに近接した時間と日付が記録に残される。
【0105】
2:医療従事者が、患者と密接に関わるつもりがなく、手洗いが必要でない場合は、装置は手洗いが行われなかったと記録に残し、それを示す。これらの状況は、医療従事者が単に患者のもとを訪ねたか、その家族と話をしている場合、又は医療従事者が他の医療従事者に付き添っているだけで、患者を診察するつもりがない場合などであろう。これらの者が身に着けているバッジは発色しておらず(無色)、これは彼らが手を洗っておらず、そのため患者や、菌が付着して患者を危険に晒す可能性がある装置に触れたり、その近くに寄るべきでないことを意味している。
【0106】
3:医療従事者が患者を診察する場合、石鹸及び水、又は乾式の製品を用いて手を洗わなければならない。手洗いが完了すると、対象者のRFID又は他の固有識別子を検知して起動する検知器に手を通して、または、検知器を起動させるためのシグナリング装置を手で動かして、手洗いを記録に残す。検知器によりHWAMの存在が検知されると、医療従事者が身に着けている「インジケータ」に信号が送信され、その緑灯が点灯する。また、検知器はインジケータに可聴信号を生成させることも可能で、特に色の変化をチェックせずとも医療従事者がバッジの起動を知ることとなる。医療従事者が患者に近接すると、患者が身に着けている機器が医療従事者の固有識別子を検知し、この情報を中央データベースに送信する。したがって、患者が身に着けている機器は受動装置ではなくアクティブ装置で、それらが近接している場合のみ、医療従事者の存在を検知する。したがって単に観ているだけで、患者と密接に関わることがない他の医療従事者の検知を防ぐことが出来る。この機器は、ほとんどの病院にもあるパルスオキシメータなどの様々な生存徴候モニターに、又は患者を固有に識別する機器に、組み込むことが可能である。Hill−Romなどの会社は、医療従事者が患者と接した場所及び回数を判定する検知システムを有しており、これは当該技術分野において周知である。
【0107】
4:また、このシステムは、医療従事者が間に手洗いをすることなく、他の患者に近接するのも防ぐ。つまり、一人以上の患者がいる病室(複数人部屋)において、医療従事者は、各患者に触れるたびに手を洗う必要があるが、このシステムにより、一患者に接した後と他の患者に接する前との間の手洗いが保証される。
【0108】
5:防疫センターが推奨する別の安全対策では、医療従事者が特定の部屋を出るときには再度手を洗わなければならないということである。この手洗いは上記のように検知され、もし医療従事者が手洗いをせずに退室すると、Hill−Romのシステムにあるようなアクティブ検知器により検知され、又は医療従事者が接した患者数と比較して、手洗いが“欠如している”として検知される。
【実施例4】
【0109】
誤検知(手洗いが行われていないにも関わらず、検知器が手洗いを検知)又は検知漏れ(手洗いが行われているにも関わらず、検知器が手洗いを検知しない)が確実にないようにすることが重要となる。誤検知は、手に長く残らないHWAMを選択することで防ぐことができる。特に、高揮発性で、手に短期間しか残らないフッ素処理された化合物が良く、石鹸でも、水不要のジェル又は泡でも構わない。また、短期間に複数の手洗いが行われた場合、空気中にとても低レベルのHWAMが存在してしまうことがあるので、非常に低レベルのHWAMであれば検知器が作動せず手洗いを示唆しないように、検知器の検知限界(LOD)を設定可能である。大半の医療施設には、これを防ぐための、空気を適切に回す環境がある。
【0110】
検知漏れは、対象者が検知器に再度手を通すことで対処できる。
【0111】
誤検知や検知漏れを防ぐ更に効果的な方法は、時間はかかるが、毎回手を洗う前に”基準”サンプルを得るよう対象者に求めることであり、手洗い後の示度数がこれと比較可能である。
【0112】
上記の点から、本発明は、手洗いの代わりに、手洗い剤中のタガントを検知することで、対象者の手指衛生行為におけるコンプライアンスを継続的にモニタリングすることを可能とする。
【0113】
図や表を含み、ここに言及又は引用された全ての特許、特許出願、仮出願および刊行物が、本明細書の明示的な教示と一致する範囲で、全体的に参考として援用される。
【0114】
ここに記載の実施例及び実施形態は例示だけを目的としたものであり、それを踏まえた様々な変形例や変更が、本適用の精神及び範囲から逸脱することなく、当業者に想起されると解釈されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の手指衛生をモニタリングするシステムであって、
HWAM(手洗い順守マーカー:handwashing adherence marker)を生じるタガントを含有する手洗い剤と、
センサーを含む検知器と、
前記センサーに操作可能に接続されたインジケータとを備え、
前記センサーは前記HWAMを検知可能であって、前記インジケータは、前記センサーからのHWAMの検知があったかどうかについての情報を伝送し、前記検知器は特定の場所に設置されていることを特徴とするシステム。
【請求項2】
対象者確認装置を更に備えることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記手洗い剤は、アルコールをベースとする手指消毒剤、抗菌石鹸、殺菌用手洗い剤、殺菌用手指消毒剤、洗浄剤、石鹸、水不要の殺菌剤、及び外科用手指消毒剤からなるグループから選択されることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記HWAMを生じるタガントは、エステル、炭酸塩エステル、アセタール、ケタール、脂肪族高級アルコール類、芳香族アルコール、チオアルコール、チオール類、脂肪酸、脂肪族高級アルデヒド類、芳香族アルデヒド、エーテル、チオエーテル、フェノール・エーテル、ケトン、フェノール、ラクトン、テルペン、脂肪族高級炭化水素類、フルフラール、インドール、アミン、及びイソチオシアン酸塩から成るグループから選択され、上記化学物質郡と他の潜在的なタガントの具体例には、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトアルデヒド、アセトフェノン、trans−アネトール(1−メトキシ−4−プロペニルベンゼン)(アニス)、ベンズアルデヒド(ベンズアルデヒド)、ベンジルアルコール、桂皮酸ベンジル、カジネン、カンフェン、カンフル、シンナムアルデヒド(3−フェニルプロペナール)、ニンニク、シトロネラル、クレゾール、シクロヘキサン、オイカリプトール、オイゲノール、オイゲニルメチルエーテル、そしてブチル・イソブチレート(n−ブチル2、メチル・プロパノアート)(パイナップル)、シトラール(2−trans−3、7−ジメチル−2、6−オクタジエン−1−al)、メントール(1−メチル−4−イソプロピルシクロヘキサン−3−ol)、α ピネン(2、6、6−トリメチルビシクロ−(3、1、1)−2−ヘプテン)、重硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチル・ナトリウム、ポリグリセロール・ポリリシノール酸、カルシウム・カゼイン・ペプトン・リン酸カルシウム、植物(例えばキク; カンゾウ、ゼリー麦芽液、スイカズラ、ササクサ、桑葉、フランジパーヌ、薬草、カイカ芽)、鉄ビスグリシナート・キレート化合物、海草由来のカルシウム、DHASCO(docosahexaenoic acid−rich single−cell oil:ドコサヘキサエン酸に富んだ単細胞油)及びARASCO(arachidonic acid−rich single−cell oil:アラキドン酸に富んだ単細胞油)、フラクトオリゴ糖、トレハロース、ガンマ・サイクロデキストリン、フィトステロールエステル、アラビアゴム、重硫酸カリウム、ステアリルアルコール、エリトリトール、Dタガトース及び菌蛋白質があることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記HWAMを生じるタガントはハロゲン化合物又は非通常アイソトープのいずれかであることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記タガントは揮発性又は半揮発性の化合物であることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記インジケータは着用可能又は持ち運び可能な筺体の形であることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項8】
前記インジケータはバッジであることを特徴とする請求項7記載のシステム。
【請求項9】
前記センサーは、高電子移動度トランジスター(HEMT:high electron mobility transistors)、核磁気共鳴(NMR:nuclear magnetic resonance)、高分子膜−化学抵抗性(Cyranose)、ポリマー表面音波(SAW:polymer−surface acoustic wave)並びに電気化学アレイ(Hazmatcad及びHazmatcad Plus)、スペクトロスコピー分析、可視スペクトロスコピー、UVスペクトロスコピー、TIF−TIFXP−1A陰極コロナ漏電探知器、陰イオン捕捉センサー、熱センサー/セラミック半導体センサー、赤外吸収、核磁気共鳴スペクトロスコピー、光電子放出スペクトロスコピー、ラマン・スペクトロスコピー、フーリエ・スペクトロスコピー−FTIR、時間分解スペクトロスコピー、フレーム・スペクトロスコピー、プラズマ発光スペクトロスコピー、力スペクトロスコピー、誘電性スペクトロスコピー、円偏光二色性スペクトロスコピー、耐熱指標、金属酸化物センサー、微細カンチレバーベースのセンサー、分子インプリントポリマー、及び増幅蛍光ポリマーからなるグループから選択されることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項10】
前記センサーは電子鼻であることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項11】
前記インジケータは、視覚的な、可聴的な、及び/又は触知的な結果を提供するコンピューター・プロセッサを有することを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項12】
前記インジケータは処理手段を更に含むことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項13】
通信機器を更に備えることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項14】
電子時計を更に備えることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項15】
活動状態のHWAMを検知するための手段を更に備えることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項16】
前記活動状態のHWAMを検知するための手段は、空気の流れをセンサーに導く吸上げポンプであることを特徴とする請求項15記載のシステム。
【請求項17】
対象者の手指衛生をモニタリングする方法であって、
(a)HWAMを生じるタガントを含有する手洗い剤を提供し、
(b)HWAMを検知可能なセンサーを有する検知器を特定の場所に提供し、前記センサーに操作可能に接続されたインジケータを提供し、
(c)HWAMが前記センサーで検知されると、インジケータを用いて通知することを特徴とする方法。
【請求項18】
前記センサーを用いて、HWAMを感知するステップを更に含むことを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項19】
HWAMがセンサーにいつ検知されたかに関するデータを記憶するステップを更に含むことを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項20】
前記データを分析するステップを更に含むことを特徴とする請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記分析されたデータに基づいて干渉するステップを更に含むことを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項22】
HWAMの検知に関連付けられた時間を認識する電子時計を提供するステップを更に含むことを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項23】
検知されたHWAMのレベルを測定することを更に含むことを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項24】
対象者の手指衛生をモニタリングする方法であって、
(a)HWAMを生じるタガントを含有する手洗い剤を提供し、
(b)HWAMを検知可能なセンサーと、前記センサーに操作可能に接続されたインジケータとを提供し、
(c)対象者確認装置を提供し、
(d)前記センサーによるHWAMの検知を、インジケータを用いて通知し、
(e)前記対象者確認装置の動作により前記HWAMの検知が対象者に起因するものであるとすることを特徴とする方法。
【請求項25】
HWAMが検知されると、前記HWAMのレベルを測定することを更に含むことを特徴とする請求項24記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2010−529467(P2010−529467A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511422(P2010−511422)
【出願日】平成20年6月9日(2008.6.9)
【国際出願番号】PCT/US2008/066329
【国際公開番号】WO2008/154494
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(506224470)ユニバーシティ オブ フロリダ リサーチファウンデーション インコーポレイティッド (11)