手指関節のリハビリ用具
【課題】 神経障害や脳梗塞などで手指の運動能力を欠損した患者の手指関節の拘縮予防のリハビリ用具を提供することを目的とする。
【解決手段】 内部に気体または流体を注入・排気をさせる袋体を有するカバーに設けられた手指の挿入部と、掌、手首、下腕などを固定する固定部材とにより構成され、挿入部は袋体の膨張とともに手指と挿入部との隙間を狭窄せしめ、手指をカバーに対して固定する機構を有することを特徴とする。
【解決手段】 内部に気体または流体を注入・排気をさせる袋体を有するカバーに設けられた手指の挿入部と、掌、手首、下腕などを固定する固定部材とにより構成され、挿入部は袋体の膨張とともに手指と挿入部との隙間を狭窄せしめ、手指をカバーに対して固定する機構を有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受動的に屈曲運動を行う手指関節のリハビリ用具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来手指、手首、肘などの関節の開閉屈伸を目的としたトレーニングに用いる方法としてはスプリングの作用を利用した形態の用具や、空気袋や流体アクチュエーターを使用したものが知られている。(特許文献1)(特許文献2)(特許文献3)
【先行技術文献】
【0003】
このように、本発明に関連する公知技術文献として、下記特許文献1、特許文献2、特許文献3がある。
【特許文献1】特開平10−33604号公報
【特許文献2】特開2001−87296号公報
【特許文献3】特開2006−294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の方法では手指の固定相入部は使用者の手指のサイズ応じて挿入部と使用者の手指との隙間が調整できないために使用者の手指が挿入部に対して小さく細い場合は機器本体に気体を注入しても、手袋と手指の間に隙間が有り、手指をしっかりと伸ばすことが出来ず効果が十分には作用できないものである。
【0005】
特許文献2の方法では空気袋を使用する物とは異なってスプリング、ワイヤーなどを使用するものであるが、使用者の手指に取り付ける手順が煩雑で使用者が健常な片手のみで一人で取り付けることは不可能である。
【0006】
特許文献3の方法では手袋の手指の甲側に配された空気アクチュエーターを固定するものではあるが、手指のサイズ・装着性に関しては言及されておらず、やはり使用者が健常な片手のみで一人で取り付けることは不可能である。
【0007】
以上の現状に鑑み、本発明は気体または流体を注入する袋を用いた機器で特別な機構を用いることなく、特に掌が拘縮しているリハビリ患者が一人で簡便にリハビリ用具本体を取り付けることができ、手の大小に係らず手指をリハビリ用具に対してしっかりと密着させることにより有効なリハビリ動作ができる訓練機を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、請求項1に関わる発明は、気体または流体を注入・排出することにより膨張・収縮する弾性材から成る袋体と、該袋体を内包する非伸延性の柔軟性を有する材料から成るカバーと、該カバーの一外面先端に設けられた手指を挿入する挿入部と、前記挿入部が設けられている該カバーの同一面に設けられた少なくとも一つ以上の掌または手首または下腕を固定する固定部材とにより構成され、前記挿入部は前記袋体の膨張とともに手指と挿入部との隙間を狭窄せしめ、手指を前記カバーに対して固定する機構を有することを特徴とする手指関節のリハビリ用具である。
【0009】
請求項2に係る発明は、手指挿入部が挿入側から先端に対して狭くなることを特徴とする請求項1に記載の拇指関節のリハビリ用具である。
【0010】
請求項3に係る発明は、固定部材が掌または手首または下腕を貫挿するブリッジ状の形を有する弾性材からなり、袋体の膨張とともに掌または手首または下腕と前記固定部材との隙間を狭窄せしめることにより掌または手首または下腕を固定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の関節リハビリ用具である。
【0011】
請求項4に係る発明は、固定部材がベルト状で前記カバーに対して略直行に取り付けられ、固定部材の前記カバーへの取付け部に前記カバーに対して掌または手首または下腕を押し付けることにより掌または手首または下腕を包むように自律反転変形する芯材を内包し両端に設けられた固定手段により掌または手首または下腕を固定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の関節リハビリ用具である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、以下の作用効果が得られる。まず、本発明は手指関節の拘縮緩和の為のリハビリ用具であって、カバーの一側面先端に設けられた手指の挿入部は手指の太い人でも簡単に挿入できるように手指との空間に余裕をもたせて設定を行うことができる。
【0013】
挿入部に手指を挿入したのち、挿入部が設けられている該カバーの同一面に設けられた少なくとも一つ以上の固定部材に対して掌または手首または下腕を固定する。
【0014】
この状態でカバーに内容された空気袋に気体または流体を注入し、袋を膨張させることができる。
【0015】
袋の膨張にともなってカバーはその厚みを厚く変形させ手指の挿入部はカバー方向に狭窄し、挿入部と手指との間の隙間を無くし、手指をしっかりとカバー方向に付勢し手指関節を完全に伸ばすことが可能となる。
【0016】
この様に手指の細い使用者でも太い使用者でも同様にしっかりと手指をのばすことができるリハビリ運動が可能となる。
【0017】
請求項2に係る発明によれば、手指の挿入部は挿入口が広く、奥にゆくほど狭くなっているため、使用者の手指の太さに合致する位置まで挿入することが可能となる。
【0018】
手指を挿入した後にカバーに内容された空気袋に気体または流体を注入し、袋を膨張させることにより手指は請求項1の効果と同様に手指の細い使用者でも太い使用者でもしっかりと手指をのばすことができるリハビリ運動が可能となる。
【0019】
請求項3に係る発明によれば、掌または手首または下腕を貫挿するブリッジ状の弾性材からなる固定部を掌または手首または下腕が簡単に挿入できるように太い使用者に合わせて隙間に余裕をもたせて設定を行うこととする。
【0020】
この状態でカバーに内容された空気袋に気体または流体を注入し、袋を膨張させることができる。
【0021】
袋の膨張にともなってカバーはその厚みを厚く変形させ手指の固定部はカバー方向に狭窄し、固定部と掌または手首または下腕との間の隙間を無くし、掌または手首または下腕をしっかりとカバーに付勢することができる。
【0022】
この構成であれば、掌または手首または下腕細い使用者でも太い使用者でも簡単にしっかりとカバーに固定することが可能となる。
【0023】
請求項4に係る発明によれば、固定部材はカバーに対してカバーと直行してカバーに取り付けられている。
【0024】
固定部材は両端にフックとループからなるマジックテープなどの固定手段を有しているとともに、カバーとの取付部を固定部材の長手方向に沿って延長して、固定部材を略直線状に開く薄い弾性部材よりなる自律反転部材が芯材として内包されている。
【0025】
カバーを下にして固定部材を略直線状に開いた状態で掌または手首または下腕を芯材の内包部に対して載置付勢させることにより、芯材は掌または手首または下腕に対して巻きつくように自律的に反転変形する。
【0026】
この状態で使用者は固定部の両端のマジックテープなどの固定部材によって簡単に掌または手首または下腕をリハビリ用具にしっかりと固定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施に係る手指関節のリハビリ用具の実施例の斜視図である。
【図2】実施例の使用時の斜視図である。
【図3】実施例の平面図である。
【図4】実施例の背面図である。
【図5】実施例の断面図で気体の注入初期の状態である。
【図6】実施例の断面図で気体を十分に注入の状態である。
【図7】実施例の図5と直行する方向の断面図である。
【図8】請求項2に記載の実施例の平面図である。
【図9】請求項2の実施例で、指の太い人が使用した時の部分断面図である。
【図10】請求項2の実施例で、指の細い人が使用した時の部分断面図である。
【図11】請求項4の実施例に用いた自律反転をする芯材の丸くなった時の斜視図である。
【図12】請求項4の実施例に用いた芯材を反転させ延ばした状態である。
【図13】図11の芯材を組み込んだ請求項4の実施例の斜視図である。
【図14】図3の例で、カバーに使用者が手首を添えた状態である。
【図15】図14の状態を固定部材を用いて固定した状態である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0028】
本手指関節のリハビリ用具は、神経障害や脳梗塞などで手指の運動能力を欠損した患者の手指の手に装着して拘縮予防のリハビリを行うリハビリ用具に関するもので、使用者が一人で簡単に装着ができるとともに、使用者の手指のサイズの大小に係らずにリハビリ用具に対して適正な装着状態を提供することを主目的にする、手指関節のリハビリ用具の一種である。
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
【0029】
図1は本実施に係る手指関節のリハビリ用具の概要を示す実施例の機器本体の斜視図で、図2はその機器を患者の右手に取り付けた状態で、図3は手の装着面の平面図、図4は図3の背面図、図5は気体注入初期の断面図、図6は気体を十分に注入した時の断面図、図7は平面図3と直行する方向からの矢視図である。
【0030】
図中、カバー(2)には弾性材よりなる袋(7)が内包されており、カバー(2)の外周には帯状の手指固定用ベルト(4)、掌固定用ベルト(5)、手首固定用ベルト(6)がカバー(2)の手部装着面(3)の反対側面に対して縫製部(8)、(9)、(10)で縫い付けられて固定されている。
【0031】
図5に示す袋(7)に気体が十分に注入されていない状態ではカバー(2)の手部装着面(3)と手指固定用ベルト(4)、掌固定用ベルト(5)、手首固定用ベルト(6)の間には十分な隙間(11)、(12)、(13)が確保されているために、使用者は用意に所定の位置に対して手を挿入することが可能である。
【0032】
この状態で、袋(7)に設けられた空気管(図示せず)を通じて送風器具(図示せず)から気体を袋(7)に対して気体を十分に注入すると、袋(7)はその厚みを増すことになる。
【0033】
袋(7)の厚みの変化に伴い、隙間(11)、(12)、(13)は狭窄し図6に示される(11’)、(12‘)、(13’)の状態になる。
(11‘)、(12’)、(13‘)の状態では挿入された使用者の手指、掌、手首がカバー(2)に対して密着した状態になり手指の大小にかかわらず、しっかりと伸ばされることになり、リハビリ効果が十分に機能する手指関節のリハビリ用具を提供することが可能となる。
【0034】
図8に他の実施例を示す手指関節のリハビリ用具の平面図で、カバー(22)の手部装着面(23)には手指挿入部(24a)が大き、他端(24b)に行くほど内径が小さくなる手指固定ベルト(24)が縫製されている。カバー(22)には、図3に示す掌固定用ベルト(5)、手首固定用ベルト(6)と同じ掌固定用ベルト(25)、手首固定用ベルト(26)が同様な手段で固定されている。
【0035】
この実施例による手指関節のリハビリ用具を使用者が装着する場合には、使用者の手指(28)、(28‘)を手指挿入部(24a)から挿入し、図9および図10に示すように使用者の手指(28)、(28‘)と手指固定ベルト(24)の隙間がなくなる位置まで挿入を行う。
【0036】
この状態で袋(27)に対して気体を注入することにより、手指の関節は所定の位置までしっかりと伸ばすことが可能で、かつ掌、手首もしっかりと固定され十分なリハビリ効果が得られる手指関節のリハビリ用具を提供することが可能となる。
【0037】
図11はバネ用薄板鋼板よりなる略柱状に巻き込むように形成された反転部材(18)である。
【0038】
反転部材(18)は略柱状状態を開放するように開くと、略柱状に形成された方向とは逆方向に反り(19)を形成して長手方向に延伸して図12のような形状をとどめるが、この状態では暫定的に反転部材(18)内の応力バランスを保ち形状をとどめているだけで、図12の延伸状態に外力を加えると瞬時に安定した状態である図11の状態に戻る。
【0039】
図13は上記反転部材を用いた他の実施例である。
カバー(32)内には袋(図示せず)が内包されており、図3に示されるものと同じ手指固定用ベルト(34)が縫製されている。
掌、および手首の位置に対応する位置には、一端に金属フック(39)、(40)を有し、他端には前記金属フック(39)(40)で貫挿して折り返した状態で対向する位置に配されたフック部(41)、(42)とフック部(41)、(42)と噛合するループ部(43)(44)を有し、カバー(32)に対して長手方向に直交する方向に掌固定用ベルト(35)、手首固定用ベルト(36)が取り付けられている。
【0040】
掌固定用ベルト(35)、手首固定用ベルト(36)にはカバー(32)との固定部近傍にポケット(37)、(38)が設けられ反転部材(18)が延伸されて挿入保持されている。
【0041】
使用者は最初に掌固定用ベルト(35)、手首固定用ベルト(36)を開き、図12に示すように反転部材(18)を延伸させて掌固定用ベルト(35)、手首固定用ベルト(36)を開いた状態に予め設定して、その後手指を手指固定用ベルト(34)の所定の位置に挿入した状態で、カバー(32)に対して手を軽く押し付ける。
【0042】
手を軽く押し付けることにより、ポケット(37)、(38)に挿入保持された反転部材(18)は図11に示す安定した略柱状状態に戻ろうとして図14のように掌固定用ベルト(35)、手首固定用ベルト(36)を使用者の掌および手首に対して巻き込むことになる。
【0043】
この後掌固定用ベルト(35)、手首固定用ベルト(36)のフック部(41)、(42)を金属フック(39)、(40)に対して貫挿して折り返し、フック部(43)、(44)に噛合させて掌および手首を固定する。
【0044】
さらに袋(図示せず)に対して気体を注入することにより、図3の場合と同様に挿入された使用者の手指がカバー(32)に対して密着した状態になり手指の関節はしっかりと伸ばされ、十分なリハビリ効果が得られる手指関節のリハビリ用具を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0045】
1、21、31 手指関節のリハビリ用具本体
2、22、32 カバー
3、23、33 手部装着面
4、24、34 手指固定用ベルト
5、25、35 掌固定用ベルト
6.26、36 手首固定用ベルト
7、27 袋
8,9,10 縫製部
11、12、13、11‘、12’、13‘ 隙間
24a 手指挿入部
24b 他端
28、28‘ 手指
18 反転部材
19 反り
37,38 ポケット
39,40 金属フック
41,42 フック部
43,44 ループ部
【技術分野】
【0001】
本発明は、受動的に屈曲運動を行う手指関節のリハビリ用具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来手指、手首、肘などの関節の開閉屈伸を目的としたトレーニングに用いる方法としてはスプリングの作用を利用した形態の用具や、空気袋や流体アクチュエーターを使用したものが知られている。(特許文献1)(特許文献2)(特許文献3)
【先行技術文献】
【0003】
このように、本発明に関連する公知技術文献として、下記特許文献1、特許文献2、特許文献3がある。
【特許文献1】特開平10−33604号公報
【特許文献2】特開2001−87296号公報
【特許文献3】特開2006−294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の方法では手指の固定相入部は使用者の手指のサイズ応じて挿入部と使用者の手指との隙間が調整できないために使用者の手指が挿入部に対して小さく細い場合は機器本体に気体を注入しても、手袋と手指の間に隙間が有り、手指をしっかりと伸ばすことが出来ず効果が十分には作用できないものである。
【0005】
特許文献2の方法では空気袋を使用する物とは異なってスプリング、ワイヤーなどを使用するものであるが、使用者の手指に取り付ける手順が煩雑で使用者が健常な片手のみで一人で取り付けることは不可能である。
【0006】
特許文献3の方法では手袋の手指の甲側に配された空気アクチュエーターを固定するものではあるが、手指のサイズ・装着性に関しては言及されておらず、やはり使用者が健常な片手のみで一人で取り付けることは不可能である。
【0007】
以上の現状に鑑み、本発明は気体または流体を注入する袋を用いた機器で特別な機構を用いることなく、特に掌が拘縮しているリハビリ患者が一人で簡便にリハビリ用具本体を取り付けることができ、手の大小に係らず手指をリハビリ用具に対してしっかりと密着させることにより有効なリハビリ動作ができる訓練機を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、請求項1に関わる発明は、気体または流体を注入・排出することにより膨張・収縮する弾性材から成る袋体と、該袋体を内包する非伸延性の柔軟性を有する材料から成るカバーと、該カバーの一外面先端に設けられた手指を挿入する挿入部と、前記挿入部が設けられている該カバーの同一面に設けられた少なくとも一つ以上の掌または手首または下腕を固定する固定部材とにより構成され、前記挿入部は前記袋体の膨張とともに手指と挿入部との隙間を狭窄せしめ、手指を前記カバーに対して固定する機構を有することを特徴とする手指関節のリハビリ用具である。
【0009】
請求項2に係る発明は、手指挿入部が挿入側から先端に対して狭くなることを特徴とする請求項1に記載の拇指関節のリハビリ用具である。
【0010】
請求項3に係る発明は、固定部材が掌または手首または下腕を貫挿するブリッジ状の形を有する弾性材からなり、袋体の膨張とともに掌または手首または下腕と前記固定部材との隙間を狭窄せしめることにより掌または手首または下腕を固定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の関節リハビリ用具である。
【0011】
請求項4に係る発明は、固定部材がベルト状で前記カバーに対して略直行に取り付けられ、固定部材の前記カバーへの取付け部に前記カバーに対して掌または手首または下腕を押し付けることにより掌または手首または下腕を包むように自律反転変形する芯材を内包し両端に設けられた固定手段により掌または手首または下腕を固定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の関節リハビリ用具である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、以下の作用効果が得られる。まず、本発明は手指関節の拘縮緩和の為のリハビリ用具であって、カバーの一側面先端に設けられた手指の挿入部は手指の太い人でも簡単に挿入できるように手指との空間に余裕をもたせて設定を行うことができる。
【0013】
挿入部に手指を挿入したのち、挿入部が設けられている該カバーの同一面に設けられた少なくとも一つ以上の固定部材に対して掌または手首または下腕を固定する。
【0014】
この状態でカバーに内容された空気袋に気体または流体を注入し、袋を膨張させることができる。
【0015】
袋の膨張にともなってカバーはその厚みを厚く変形させ手指の挿入部はカバー方向に狭窄し、挿入部と手指との間の隙間を無くし、手指をしっかりとカバー方向に付勢し手指関節を完全に伸ばすことが可能となる。
【0016】
この様に手指の細い使用者でも太い使用者でも同様にしっかりと手指をのばすことができるリハビリ運動が可能となる。
【0017】
請求項2に係る発明によれば、手指の挿入部は挿入口が広く、奥にゆくほど狭くなっているため、使用者の手指の太さに合致する位置まで挿入することが可能となる。
【0018】
手指を挿入した後にカバーに内容された空気袋に気体または流体を注入し、袋を膨張させることにより手指は請求項1の効果と同様に手指の細い使用者でも太い使用者でもしっかりと手指をのばすことができるリハビリ運動が可能となる。
【0019】
請求項3に係る発明によれば、掌または手首または下腕を貫挿するブリッジ状の弾性材からなる固定部を掌または手首または下腕が簡単に挿入できるように太い使用者に合わせて隙間に余裕をもたせて設定を行うこととする。
【0020】
この状態でカバーに内容された空気袋に気体または流体を注入し、袋を膨張させることができる。
【0021】
袋の膨張にともなってカバーはその厚みを厚く変形させ手指の固定部はカバー方向に狭窄し、固定部と掌または手首または下腕との間の隙間を無くし、掌または手首または下腕をしっかりとカバーに付勢することができる。
【0022】
この構成であれば、掌または手首または下腕細い使用者でも太い使用者でも簡単にしっかりとカバーに固定することが可能となる。
【0023】
請求項4に係る発明によれば、固定部材はカバーに対してカバーと直行してカバーに取り付けられている。
【0024】
固定部材は両端にフックとループからなるマジックテープなどの固定手段を有しているとともに、カバーとの取付部を固定部材の長手方向に沿って延長して、固定部材を略直線状に開く薄い弾性部材よりなる自律反転部材が芯材として内包されている。
【0025】
カバーを下にして固定部材を略直線状に開いた状態で掌または手首または下腕を芯材の内包部に対して載置付勢させることにより、芯材は掌または手首または下腕に対して巻きつくように自律的に反転変形する。
【0026】
この状態で使用者は固定部の両端のマジックテープなどの固定部材によって簡単に掌または手首または下腕をリハビリ用具にしっかりと固定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施に係る手指関節のリハビリ用具の実施例の斜視図である。
【図2】実施例の使用時の斜視図である。
【図3】実施例の平面図である。
【図4】実施例の背面図である。
【図5】実施例の断面図で気体の注入初期の状態である。
【図6】実施例の断面図で気体を十分に注入の状態である。
【図7】実施例の図5と直行する方向の断面図である。
【図8】請求項2に記載の実施例の平面図である。
【図9】請求項2の実施例で、指の太い人が使用した時の部分断面図である。
【図10】請求項2の実施例で、指の細い人が使用した時の部分断面図である。
【図11】請求項4の実施例に用いた自律反転をする芯材の丸くなった時の斜視図である。
【図12】請求項4の実施例に用いた芯材を反転させ延ばした状態である。
【図13】図11の芯材を組み込んだ請求項4の実施例の斜視図である。
【図14】図3の例で、カバーに使用者が手首を添えた状態である。
【図15】図14の状態を固定部材を用いて固定した状態である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0028】
本手指関節のリハビリ用具は、神経障害や脳梗塞などで手指の運動能力を欠損した患者の手指の手に装着して拘縮予防のリハビリを行うリハビリ用具に関するもので、使用者が一人で簡単に装着ができるとともに、使用者の手指のサイズの大小に係らずにリハビリ用具に対して適正な装着状態を提供することを主目的にする、手指関節のリハビリ用具の一種である。
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
【0029】
図1は本実施に係る手指関節のリハビリ用具の概要を示す実施例の機器本体の斜視図で、図2はその機器を患者の右手に取り付けた状態で、図3は手の装着面の平面図、図4は図3の背面図、図5は気体注入初期の断面図、図6は気体を十分に注入した時の断面図、図7は平面図3と直行する方向からの矢視図である。
【0030】
図中、カバー(2)には弾性材よりなる袋(7)が内包されており、カバー(2)の外周には帯状の手指固定用ベルト(4)、掌固定用ベルト(5)、手首固定用ベルト(6)がカバー(2)の手部装着面(3)の反対側面に対して縫製部(8)、(9)、(10)で縫い付けられて固定されている。
【0031】
図5に示す袋(7)に気体が十分に注入されていない状態ではカバー(2)の手部装着面(3)と手指固定用ベルト(4)、掌固定用ベルト(5)、手首固定用ベルト(6)の間には十分な隙間(11)、(12)、(13)が確保されているために、使用者は用意に所定の位置に対して手を挿入することが可能である。
【0032】
この状態で、袋(7)に設けられた空気管(図示せず)を通じて送風器具(図示せず)から気体を袋(7)に対して気体を十分に注入すると、袋(7)はその厚みを増すことになる。
【0033】
袋(7)の厚みの変化に伴い、隙間(11)、(12)、(13)は狭窄し図6に示される(11’)、(12‘)、(13’)の状態になる。
(11‘)、(12’)、(13‘)の状態では挿入された使用者の手指、掌、手首がカバー(2)に対して密着した状態になり手指の大小にかかわらず、しっかりと伸ばされることになり、リハビリ効果が十分に機能する手指関節のリハビリ用具を提供することが可能となる。
【0034】
図8に他の実施例を示す手指関節のリハビリ用具の平面図で、カバー(22)の手部装着面(23)には手指挿入部(24a)が大き、他端(24b)に行くほど内径が小さくなる手指固定ベルト(24)が縫製されている。カバー(22)には、図3に示す掌固定用ベルト(5)、手首固定用ベルト(6)と同じ掌固定用ベルト(25)、手首固定用ベルト(26)が同様な手段で固定されている。
【0035】
この実施例による手指関節のリハビリ用具を使用者が装着する場合には、使用者の手指(28)、(28‘)を手指挿入部(24a)から挿入し、図9および図10に示すように使用者の手指(28)、(28‘)と手指固定ベルト(24)の隙間がなくなる位置まで挿入を行う。
【0036】
この状態で袋(27)に対して気体を注入することにより、手指の関節は所定の位置までしっかりと伸ばすことが可能で、かつ掌、手首もしっかりと固定され十分なリハビリ効果が得られる手指関節のリハビリ用具を提供することが可能となる。
【0037】
図11はバネ用薄板鋼板よりなる略柱状に巻き込むように形成された反転部材(18)である。
【0038】
反転部材(18)は略柱状状態を開放するように開くと、略柱状に形成された方向とは逆方向に反り(19)を形成して長手方向に延伸して図12のような形状をとどめるが、この状態では暫定的に反転部材(18)内の応力バランスを保ち形状をとどめているだけで、図12の延伸状態に外力を加えると瞬時に安定した状態である図11の状態に戻る。
【0039】
図13は上記反転部材を用いた他の実施例である。
カバー(32)内には袋(図示せず)が内包されており、図3に示されるものと同じ手指固定用ベルト(34)が縫製されている。
掌、および手首の位置に対応する位置には、一端に金属フック(39)、(40)を有し、他端には前記金属フック(39)(40)で貫挿して折り返した状態で対向する位置に配されたフック部(41)、(42)とフック部(41)、(42)と噛合するループ部(43)(44)を有し、カバー(32)に対して長手方向に直交する方向に掌固定用ベルト(35)、手首固定用ベルト(36)が取り付けられている。
【0040】
掌固定用ベルト(35)、手首固定用ベルト(36)にはカバー(32)との固定部近傍にポケット(37)、(38)が設けられ反転部材(18)が延伸されて挿入保持されている。
【0041】
使用者は最初に掌固定用ベルト(35)、手首固定用ベルト(36)を開き、図12に示すように反転部材(18)を延伸させて掌固定用ベルト(35)、手首固定用ベルト(36)を開いた状態に予め設定して、その後手指を手指固定用ベルト(34)の所定の位置に挿入した状態で、カバー(32)に対して手を軽く押し付ける。
【0042】
手を軽く押し付けることにより、ポケット(37)、(38)に挿入保持された反転部材(18)は図11に示す安定した略柱状状態に戻ろうとして図14のように掌固定用ベルト(35)、手首固定用ベルト(36)を使用者の掌および手首に対して巻き込むことになる。
【0043】
この後掌固定用ベルト(35)、手首固定用ベルト(36)のフック部(41)、(42)を金属フック(39)、(40)に対して貫挿して折り返し、フック部(43)、(44)に噛合させて掌および手首を固定する。
【0044】
さらに袋(図示せず)に対して気体を注入することにより、図3の場合と同様に挿入された使用者の手指がカバー(32)に対して密着した状態になり手指の関節はしっかりと伸ばされ、十分なリハビリ効果が得られる手指関節のリハビリ用具を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0045】
1、21、31 手指関節のリハビリ用具本体
2、22、32 カバー
3、23、33 手部装着面
4、24、34 手指固定用ベルト
5、25、35 掌固定用ベルト
6.26、36 手首固定用ベルト
7、27 袋
8,9,10 縫製部
11、12、13、11‘、12’、13‘ 隙間
24a 手指挿入部
24b 他端
28、28‘ 手指
18 反転部材
19 反り
37,38 ポケット
39,40 金属フック
41,42 フック部
43,44 ループ部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体または流体を注入・排出することにより膨張・収縮する弾性材から成る袋体と、該袋体を内包する非伸延性の柔軟性を有する材料から成るカバーと、該カバーの一外面先端に設けられた手指を挿入する挿入部と、前記挿入部が設けられている該カバーの同一面に設けられた少なくとも一つ以上の掌または手首または下腕を固定する固定部材とにより構成され、前記挿入部は前記袋体の膨張とともに手指と挿入部との隙間を狭窄せしめ、手指を前記カバーに対して固定する機構を有することを特徴とする手指関節のリハビリ用具。
【請求項2】
手指挿入部が挿入側から先端に対して狭くなることを特徴とする請求項1に記載の拇指関節のリハビリ用具。
【請求項3】
固定部材が掌または手首または下腕を貫挿するブリッジ状の形を有する弾性材からなり、袋体の膨張とともに掌または手首または下腕と前記固定部材との隙間を狭窄せしめることにより掌または手首または下腕を固定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の関節リハビリ用具。
【請求項4】
固定部材がベルト状で前記カバーに対して略直行に取り付けられ、固定部材の前記カバーへの取付け部に前記カバーに対して掌または手首または下腕を押し付けることにより掌または手首または下腕を包むように自律反転変形する芯材を内包し両端に設けられた固定手段により掌または手首または下椀を固定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の関節リハビリ用具。
【請求項1】
気体または流体を注入・排出することにより膨張・収縮する弾性材から成る袋体と、該袋体を内包する非伸延性の柔軟性を有する材料から成るカバーと、該カバーの一外面先端に設けられた手指を挿入する挿入部と、前記挿入部が設けられている該カバーの同一面に設けられた少なくとも一つ以上の掌または手首または下腕を固定する固定部材とにより構成され、前記挿入部は前記袋体の膨張とともに手指と挿入部との隙間を狭窄せしめ、手指を前記カバーに対して固定する機構を有することを特徴とする手指関節のリハビリ用具。
【請求項2】
手指挿入部が挿入側から先端に対して狭くなることを特徴とする請求項1に記載の拇指関節のリハビリ用具。
【請求項3】
固定部材が掌または手首または下腕を貫挿するブリッジ状の形を有する弾性材からなり、袋体の膨張とともに掌または手首または下腕と前記固定部材との隙間を狭窄せしめることにより掌または手首または下腕を固定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の関節リハビリ用具。
【請求項4】
固定部材がベルト状で前記カバーに対して略直行に取り付けられ、固定部材の前記カバーへの取付け部に前記カバーに対して掌または手首または下腕を押し付けることにより掌または手首または下腕を包むように自律反転変形する芯材を内包し両端に設けられた固定手段により掌または手首または下椀を固定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の関節リハビリ用具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−284453(P2010−284453A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−154309(P2009−154309)
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
【出願人】(507398349)株式会社リアルデザイン (7)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
【出願人】(507398349)株式会社リアルデザイン (7)
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