説明

手提げ金庫

【課題】手提げ金庫の使用者のそのときの使用状況に応じて、コインカウンターの傾斜角度を適切に変更できるようにし、コインカウンターを使いやすくするとともに、コインカウンターの傾斜角度を調整することにより庫内の開口部の大きさも調整できるようにし、使用者に応じて使い勝手の良い手提げ金庫を提供すること。
【解決手段】上蓋3がヒンジ4により開閉可能となっている手提げ金庫1において、本体部2上段にトレー状のコインカウンター5が収納されているとともに、前記上蓋を開いたときに、前記コインカウンターが任意の角度で傾斜して保持されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手提げ金庫にトレー状のコインカウンターを収納するとともに、金庫の上蓋を開いた時にはコインカウンターを任意の角度に傾斜させて使用できるようにすることにより、使用者の便宜が図れるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
金銭の収受用に上蓋がヒンジにより開閉される手提げ金庫は利用範囲が広くいろいろな場所で利用されている。
【0003】
また、特許文献1及び2に示すように、硬貨の収納や受け渡し用に、トレーを硬貨の種類に応じて収納部を仕切ったいわゆるコインカウンターも広く利用されている。
【0004】
そして、特許文献3及び4に示すように、手提げ金庫の本体部上段にトレー状のコインカウンターを取り外し可能に収納したものがある。
【0005】
あるいは、手提げ金庫の本体部の上段に収納したトレー状のコインカウンターの一端を上蓋に回動可能に連結し、上蓋を開いたときにはコインカウンターが上蓋の開いた角度に連動して本体部上面をスライドして傾斜するようにしたものもある。
【特許文献1】特開平11−154258号公報
【特許文献2】特開2002−216215号公報
【特許文献3】実開昭56−34979号公報
【特許文献4】特開2004−52320号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし手提げ金庫内にコインカウンターを取り外し可能に収納したものの場合は、手提げ金庫使用時にはコインカウンターを庫内から取り外して適当な箇所に置いて使用するか、あるいは上段にコインカウンターを載せたままで使用する場合は、下段のお札などを出し入れするたびにコインカウンターを手でいちいち持ち上げなければならず、いずれにしても使い勝手が悪かった。
【0007】
また、コインカウンターの一端を上蓋に回動可能に連結し、上蓋を開いたときにはコインカウンターが上蓋の開いた角度に連動してスライドして傾斜するようにしたものの場合、上蓋の開いた角度によりコインカウンターの傾斜角は決まってしまい任意に調節できないので、使用者の好みによりコインカウンターを所望角度にセットすることができなかった。したがって、コインカウンターの形式や手提げ金庫の使用場所により、コインカウンターの傾斜角度の適宜変更や、コインカウンターがスライドすることによりできる庫内への開口部の大きさを変更したいという要望に応えることができない。
【0008】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、使用者のそのときの使用状況に応じて、手提げ金庫内のコインカウンターの傾斜角度を適切に変更できるようにし、コインカウンターを使い易くするとともに、コインカウンターの傾斜角度を調整することにより庫内への開口部の大きさも調整できるようにし、使用者に応じて使い勝手の良い手提げ金庫を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の手提げ金庫は上蓋がヒンジにより開閉可能となっている手提げ金庫において、本体部上段にトレー状のコインカウンターが収納されているとともに、前記上蓋を開いたときに、前記コインカウンターが任意の角度で傾斜して保持されるようにしたものである。
【0010】
また、本発明の別の態様は、前記発明に加えて前記コインカウンターが傾斜して保持される角度を可変としたものである。
【0011】
また、本発明の別の態様は、前記発明に加えて前記上蓋に前記コインカウンターの係止部が複数箇所設けられているとともに、前記コインカウンターに前記係止部と係合可能な係合部が設けられているものである。
【0012】
また、本発明の別の態様は、前記発明に加えて前記コインカウンターに対し回動可能にアングル材が取り付けられているとともに、前記アングル材が前記上蓋の内側にスライド可能に配設されているものである。
【0013】
また、本発明の別の態様は、前記発明に加えて前記コインカウンターに対し回動可能にアングル材が取り付けられているとともに、前記アングル材に磁石が取り付けられ、前記磁石によりアングル材が前記上蓋の内側の所望箇所に固定可能となっているものである。
【発明の効果】
【0014】
コインカウンターは傾斜角度を可変としたので、手提げ金庫使用時に使用者の使用状況に応じてコインカウンターの角度を適切に変更できるので、硬貨の収受と整理を速やかに行うことができる。また、コインカウンターの傾斜角度を調整することにより庫内の開口部の大きさも調整でき、よって使用者に応じて使い勝手の良い手提げ金庫となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の手提げ金庫の実施の形態について説明する。
上蓋がヒンジにより開閉可能となっている手提げ金庫において、本体部上段にトレー状のコインカウンターが収納されているとともに、上蓋を開いたときに、コインカウンターが任意の角度で傾斜して保持されるようにする。
【0016】
トレー内を任意の形状に仕切ったコインカウンターが手提げ金庫の本体部上段に収まるようになっている。そして、上蓋を開いたときには、コインカウンターが上蓋が開くのに連動して自動的に立ち上がって傾斜し、あるいは手動によりコインカウンターの一部を上蓋の内側等に係止することにより、任意の角度に傾斜させて保持できる。
【0017】
また、好ましくはコインカウンターが傾斜して保持される角度を可変とする。上蓋の内側にコインカウンターの係止箇所を複数設けたり、係止位置を変更可能とすることにより、コインカウンターの係止位置を変更でき、保持角度を変更可能にできる。
【0018】
また、好ましくは上蓋にコインカウンターの係止部が複数箇所設けられているとともに、コインカウンターに係止部と係合可能な係合部が設けられているようにする。このようにすると、コインカウンターの上蓋に対する係止場所を変更でき、従って傾斜角度を変更することができる。
【0019】
また、好ましくはコインカウンターに対し回動可能にアングル材が取り付けられているとともに、アングル材が前記上蓋の内側にスライド可能に配設されているようにする。このようにすると、アングル材を上蓋の内側をスライドさせることによりアングル材の上蓋内側への取り付け位置を変更でき、コインカウンターの傾斜角度を変更することができる。
【0020】
また、好ましくはコインカウンターに対し回動可能にアングル材が取り付けられているとともに、アングル材に磁石が取り付けられ、磁石によりアングル材が上蓋の内側の所望箇所に固定可能となっているようにする。このようにすると、アングル材の上蓋への吸着箇所を変更することにより、コインカウンターを任意の角度に傾けることができる。
【実施例1】
【0021】
次に本発明の手提げ金庫の一実施例を、図1及び図2に基づいて説明する。図1は本発明の手提げ金庫の上蓋を開いた状態の斜視図である。図2は図1の手提げ金庫のアングル材の斜視図である。
【0022】
本発明の手提げ金庫1は、本体部2と上蓋3により構成されヒンジ4により上蓋3が開閉可能となっている。そして、本体部2にはコインカウンター5が収納されている。
【0023】
また、コインカウンター5に対し角度可変にアングル材6が取り付けられている。そして。アングル材6は上蓋3の内側にスライド可能に止めネジ7により固定されている。
【0024】
次にアングル材6の一例を図2に基づいて詳述する。アングル材6は図示するように断面鈍角のL型をしており、両端部は折り曲げてコインカウンター5を回動可能に支持する支持部8が形成してあり、コインカウンター5の両側を支持部8の小孔9を利用してコインカウンター5をアングル材6に対し回動可能にネジ止めしてある。なお、ネジ止めする代わりにコインカウンター5の両側面に小突起を形成しておき、この小突起を小孔9に挿入するようにしても良い。
【0025】
アングル材6の上蓋3の内側と接する側は、図示した例では上蓋3の中央部が内側に凹んでいる形状に合わして形成してある。そして、アングル材6を上蓋3にスライド可能に止める止めネジ7用の長孔10が形成してある。止めネジ7を緩めるとアングル材6は長孔10により上蓋3の内側に対してスライド可能となり、止めネジ7を締めるとアングル材6は上蓋3の内側に対して固定されることになる。
また、アングル材6の反対側(図2において下側)はコインカウンター5の底面と当接する受け部11となる。
【0026】
なお、長孔10の両側に形成してある長溝12は、上蓋3の内側に出ていて表側にある取っ手を止めているネジ13の頭を逃げるためのものである。ただし、この長溝12の幅をネジ13の頭の大きさにしておくと、アングル材6をスライドさせるときにネジ13の頭が長溝12を摺動することになり、アングル材6を長溝12に平行にスムーズに移動させることができる効果がある。また、アングル材6の形状は一例を示したものであり、上蓋3の内側の形状によりアングル材6の形状も適宜変更可能である。
なお、鍵14により本体部2と上蓋3がロック可能となっていることなどは通常の手提げ金庫と同じである。
【0027】
次に、本実施例の手提げ金庫の使用方法について説明する。
鍵13のロックを解除し、上蓋3をヒンジ4を支軸として本体部2から任意角度に開く。コインカウンター5はアングル材6により上蓋3の内側に止められているので、上蓋3が開くのに従い本体部2のヒンジ4と反対側に庫内への開口部15ができるようにスライドするとともに、支持部8で回動し、徐々に立ち上がるようにして傾斜する。
【0028】
そして、この段階で止めネジ7を緩めアングル材6を上蓋3の内側に対してスライドさせることにより、コインカウンター5の傾斜角度を変更できることになる。コインカウンター5が所望角度の傾斜角となったら、止めネジ7を締めてアングル材6を上蓋3の内側に対して固定する。これにより、手提げ金庫の利用者の好みに応じた傾斜角でもってコインカウンター5をセットできる。コインカウンター5は一定以上の傾斜角度になると、アングル材6の支持部8付近の底面がアングル材6の受け部11と当接し、それ以上の回動はしなくなるが、アングル材6の上蓋3の内側への固定位置を変更することにより傾斜角度は変更可能である。また、コインカウンター5が受け部11と当接することにより安定した状態でコインカウンター5を使用できる。
【0029】
手提げ金庫使用後に上蓋3を閉じるに際しては、コインカウンター5は支持部8でアングル材6に対して回動可能であるので基本的には、コインカウンター5は使用していた傾斜角度のままで上蓋3は閉じることができる。ただし、その次の使用者の便宜などを考慮して、アングル材6の上蓋3の内側への固定位置を初期位置に戻しておいても良い。
【0030】
なお、上記実施例でアングル材6の上蓋3の内側と対向する面に磁石を取り付けるとともに、上蓋3の内側を磁石が吸着可能な材料で形成し、磁力によりアングル6材を上蓋3の内側に固定するようにしても良い。このようにしておくと、アングル材6の上蓋3への吸着箇所を変更することにより、コインカウンター5を任意の角度に傾けることができる。
【実施例2】
【0031】
次に本発明の手提げ金庫の他の実施例を、図3〜図6に基づいて説明する。図3は本発明の手提げ金庫を示す断面図である。図4は図3の手提げ金庫の上蓋に取り付ける係止部材の斜視図である。図5は図3の手提げ金庫のコインカウンターの平面図である。図6は図3の手提げ金庫のコインカウンターの側面図である。
【0032】
手提げ金庫の基本的構造は上記実施例1と同じであるので、同じ符号を付したものの説明は省略し、以下異なる部分について説明する。
【0033】
本実施例の手提げ金庫1に収納されるコインカウンター5には図5及び図6に示すように、コインカウンター5の両側に小円筒状の係止ピン16が形成してある。また、手提げ金庫1の上蓋3の内側の両サイドにはコインカウンター5の係止ピン16と係合する係合溝17が複数段形成してある係合部材18が配設してある。
【0034】
次に係合部材18の一例を図3及び図4に基づいて詳述する。係合部材18は板材を折り曲げて形成してあり、図4に示すように上下部19に対し中央部20が一段高くなった形状をしている。そして、係合部材18は上蓋3の内側のサイドに中央部20が接しない向き、すなわち上下部19の中央部20と反対側の面を内側サイドに対し固定する。図4に示す係合部材18は手提げ金庫1を正面(ヒンジ4と反対側)からみて、右側に取り付けるものを示す。なお、右側に取り付けるものと左側に取り付けるものは、中央部20の一段高くなる方向は逆となるが、係合溝17に対する上下方向は同一である。
【0035】
中央部20には複数段の係合溝17と、この係合溝17と連通して、上方に挿入部21が、下方に係合溝17と反対方向に収納用溝22が形成してある連通溝23が形成してある。係合溝17、挿入部21、収納用溝22、連通溝23の幅はそれぞれコインカウンター5の係合ピン16が挿通可能な大きさとなっている。
【0036】
係合部材18は手提げ金庫1の上蓋3の内側の両サイドに対向させて配設してある。対向している係合部材18の左右の挿入部21には丁度コインカウンター5の左右の係合ピン16がそこから連通溝23内に挿入できるようになっている。また、対向している係合部材18の左右の中央部20部分の間隔は、コインカウンター5の幅より若干広く、係合ピン16を連通溝23を経て収納用溝22や係合溝17へ自由に動かせることが可能となっている。
【0037】
次に、本実施例の手提げ金庫1の使用方法について説明する。
まず、手提げ金庫1の上蓋3が閉まっているときには、コインカウンター5は図3に点線で示すように本体部2に水平に収納されている。この状態ではコインカウンター5の係合ピン16は係合部材18の収納用溝22と係合している。係合部材18の収納用溝22は上蓋3を閉じたとき連通溝23より下方に位置するようになっており、コインカウンター5は丁度本体部2に水平に収納されるようになっている。
【0038】
このような状態から手提げ金庫1の上蓋3を開くと、図3に一点鎖線で示すようにコインカウンター5は係合ピン16が係合部材18の収納用溝22と係合したまま、上蓋3が開くのに連動してスライドしながら傾斜する。この状態においても手提げ金庫1は使用可能であるが、コインカウンター5の係合ピン16を、連通溝23内をスライドさせて係合ピン16を任意の係合溝17に係合させることにより、使用者は二点鎖線で示すようにコインカウンター5を自分の好みの傾斜角度に調節して保持することができる。
【0039】
また、コインカウンター5は係合ピン16を連通溝23内を上方に移動させることにより係合ピン16を挿入部21から外へ引き出すことができ、コインカウンター5を必要に応じて手提げ金庫1から簡単に取り外すこともできる。
【0040】
図示した例では係合溝17は四段であるが、この段数は任意であり、少なくとも一段あればよい。係合溝17が一段あれば、収納用溝22と合わせて係合ピン16が係合する溝が二段となり、コインカウンター5を二通りの傾斜角度で保持することができることになる。
【実施例3】
【0041】
次に本発明の手提げ金庫の他の実施例を、図7及び図8に基づいて説明する。図7の(A)は本発明の手提げ金庫を示す断面図であり、(B)は係止部材の正面図である。図8は図7の手提げ金庫のコインカウンターの側面図である。
【0042】
手提げ金庫の基本的構造は上記実施例1と同じであるので、同じ符号を付したものの説明は省略し、以下異なる部分について説明する。
【0043】
本実施例の手提げ金庫1に収納されるコインカウンター5には図7及び図8に示すように、コインカウンター5の背面に鈎型の係合部24が形成してある。また、手提げ金庫1の上蓋3の内側には、コインカウンター5の係合部24と係合するL型の係止部25’が複数段形成してある係止部材25が取り付けてある。
【0044】
次に、本実施例の手提げ金庫の使用方法について説明する。
まず、手提げ金庫1の上蓋3が閉まっているときには、コインカウンター5は図7に点線で示すように本体部2の上段に水平に収納されている。
【0045】
このような状態から手提げ金庫1の上蓋3を開く。本実施例の場合は、上蓋3を開いてもコインカウンター5は本体部2に水平に収納されたままである。この状態において、コインカウンター5を持ち上げて、コインカウンター5の係合部24を上蓋3の内側の係止部材25の任意の位置の係止部25’に引っ掛けることにより、使用者は二点鎖線で示すようにコインカウンター5を自分の好みの傾斜角度に調節して保持することができる。
【0046】
なお、本実施例の場合は、コインカウンター5は上蓋3の動きと連動しないので、コインカウンター5は本体部2の開口部分と同じ大きさにすることができ、手提げ金庫1が小型の場合であっても、コインカウンター5を大きなものを使用できる特徴がある。また、上蓋3の内側に設ける係止部25は二段以上あればよい。
【実施例4】
【0047】
次に本発明の手提げ金庫の他の実施例を、図9及び図10に基づいて説明する。図9は本発明の手提げ金庫を示す断面図である。図10は図9の手提げ金庫の要部斜視図である。
【0048】
手提げ金庫の基本的構造は上記実施例1と同じであるので、同じ符号を付したものの説明は省略し、以下異なる部分について説明する。
【0049】
本実施例の手提げ金庫1は、上蓋3の両サイドにスライド用溝26が形成してある。そして、コインカウンター5の両側は、止めネジ27によりスライド用溝26の任意位置で固定可能となっている。スライド用溝26は、上蓋3を閉じたときにコインカウンター5が本体部2上段に水平に収納されるような位置に形成されている。
【0050】
次に、本実施例の手提げ金庫1の使用方法について説明する。
まず、手提げ金庫1の上蓋3が閉まっているときには、コインカウンター5は図9に点線で示すように本体部2の上段に水平に収納されている。
【0051】
このような状態から手提げ金庫1の上蓋3を開くと、図9に一点鎖線で示すように、コインカウンター5は止めネジ27で上蓋3に固定されているので、上蓋3が開くのに連動してスライドしながら立ち上がるようにして傾斜する。この状態においても手提げ金庫1は使用可能であるが、コインカウンター5は止めネジ27を緩めて止めネジ27をスライド用溝26を移動させて傾斜角を調整し、その後止めネジ27を締めてコインカウンター5をスライド用溝26に対して固定することにより、使用者は二点鎖線で示すようにコインカウンター5を自分の好みの傾斜角度に調節して保持することができる。
【0052】
上蓋3を閉じる場合は、止めネジ27を緩め、コインカウンター5がヒンジ4側に近づくように、止めネジ27をスライド用溝26を移動させてコインカウンター5を初期位置に戻す。そして、上蓋3を閉じると、コインカウンター5は本体部2の上段に点線で示すように水平に収納されることになる。
【実施例5】
【0053】
次に本発明の手提げ金庫の他の実施例を、図11及び図12に基づいて説明する。図11は本発明の手提げ金庫を示す断面図である。図12は図11の手提げ金庫の取り付け部材の斜視図である。
【0054】
手提げ金庫の基本的構造は上記実施例1と同じであるので、同じ符号を付したものの説明は省略し、以下異なる部分について説明する。
【0055】
本実施例の手提げ金庫1は、コインカウンター5に対し角度可変に取り付け部材28が取り付けられている。そして。取り付け部材28は上蓋3の内側にスライド可能に止めネジ29により固定されている。
【0056】
次に取り付け部材28の一例を図12に基づいて詳述する。取り付け部材28は図示するように、板状の部材を両端部が対向するように折り曲げ、この対向させた面にそれぞれコインカウンター5の長孔30に挿入される円筒状の凸部31が形成してある。
【0057】
また、取り付け部材28の上蓋3の内側と接する側には、平行に二本のスライド用溝32が形成してある。そして、取り付け部材28は止めネジ29により上蓋3に対しスライド可能に止められるようになっている。止めネジ29を緩めると取り付け部材28はスライド用溝31により上蓋3の内側に対してスライド可能となり、止めネジ29を締めると取り付け部材28は上蓋3の内側に対して固定されることになる。
【0058】
そして、コインカウンター5の両側に形成した長孔30に対し、上記のように構成した取り付け部材28の凸部31が、外側から挿入されるようにしてスライド可能に係合している。すなわち、コインカウンター5は長孔30により取り付け部材28に対しスライド可能であり、また取り付け部材28はスライド用溝32により上蓋3に対しスライド可能となっている。
【0059】
次に、本実施例の手提げ金庫1の使用方法について説明する。
まず、手提げ金庫1の上蓋3が閉まっているときには、コインカウンター5は図11に点線で示すように本体部2の上段に水平に収納されている。
【0060】
このような状態から手提げ金庫1の上蓋3を開くと、図11に一点鎖線で示すように、上蓋3が開くのに連動してスライドしながら立ち上がるようにして傾斜する。この状態においても手提げ金庫1は使用可能であるが、コインカウンター5は止めネジ29を緩めてスライド用溝26により取り付け部材28を移動させて傾斜角を調整し、その後止めネジ29を締めてコインカウンター5を固定することにより、使用者は二点鎖線で示すようにコインカウンター5を自分の好みの傾斜角度に調節して保持することができる。
【0061】
上蓋3を閉じる場合は、止めネジ27を緩め、取り付け部材28を元の位置に戻し、コインカウンター5を初期位置に戻す。そして、上蓋3を閉じると、コインカウンター5は本体部2の上段に点線で示すように水平に収納されることになる。
なお、本実施例ではコインカウンター5に長孔30を形成することにより、手提げ金庫1に収納する際にその収納位置が調整されるので、コインカウンター5を本体部2の開口部分とほぼ同じ大きさにすることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の手提げ金庫は上蓋が開くタイプのものであればどのような手提げ金庫にも適用可能である。金庫のロック機構は従来から用いられている各種形式のものが利用でき、また全くロック機構を有さないようなものであってもよい。コインカウンターの形式も従来のものが使用でき、コインカウンターの内部構造については任意の選択が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の手提げ金庫の上蓋を開いた状態の斜視図である。
【図2】図1の手提げ金庫のアングル材の斜視図である。
【図3】本発明の手提げ金庫の他例を示す断面図である。
【図4】図3の手提げ金庫の上蓋に取り付ける係止部材の斜視図である。
【図5】図3の手提げ金庫のコインカウンターの平面図である。
【図6】図3の手提げ金庫のコインカウンターの側面図である。
【図7】本発明の手提げ金庫の他例を示すものであり、(A)は断面図であり、(B)は係止部材の正面図である。
【図8】図7の手提げ金庫のコインカウンターの側面図である。
【図9】本発明の手提げ金庫の他例を示す断面図である。
【図10】図9の手提げ金庫の要部斜視図である。
【図11】本発明の手提げ金庫の他例を示す断面図である。
【図12】図11の手提げ金庫の取り付け部材の斜視図である。
【符号の説明】
【0064】
1 手提げ金庫
2 本体部
3 上蓋
4 ヒンジ
5 コインカウンター
6 アングル材
7 止めネジ
8 支持部
9 小孔
10 長孔
11 受け部
12 長溝
13 ネジ
14 鍵
15 開口部
16 係止ピン
17 係合溝
18 係合部材
19 上下部
20 中央部
21 挿入部
22 収納用溝
23 連通溝
24 係合部
25 係止部材
25’ 係止部
26 スライド用溝
27 止めネジ
28 取り付け部材
29 止めネジ
30 長孔
31 凸部
32 スライド用溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上蓋がヒンジにより開閉可能となっている手提げ金庫において、本体部上段にトレー状のコインカウンターが収納されているとともに、前記上蓋を開いたときに、前記コインカウンターが任意の角度で傾斜して保持されるようにしたことを特徴とする手提げ金庫。
【請求項2】
前記コインカウンターが傾斜して保持される角度を可変としたことを特徴とする請求項1に記載の手提げ金庫。
【請求項3】
前記上蓋に前記コインカウンターの係止部が複数箇所設けられているとともに、前記コインカウンターに前記係止部と係合可能な係合部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の手提げ金庫。
【請求項4】
前記コインカウンターに対し回動可能にアングル材が取り付けられているとともに、前記アングル材が前記上蓋の内側にスライド可能に配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の手提げ金庫。
【請求項5】
前記コインカウンターに対し回動可能にアングル材が取り付けられているとともに、前記アングル材に磁石が取り付けられ、前記磁石によりアングル材が前記上蓋の内側の所望箇所に固定可能となっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の手提げ金庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−138653(P2010−138653A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−317903(P2008−317903)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(500131815)株式会社エルム・インターナショナル (15)