説明

手術用吸収シート台板

【課題】配設された手術用吸収シートの数を容易に確認できる手術用吸収シート台板を提供する。
【解決手段】一方の面である表面部17と他方の面である裏面部とを有する略正方形状の台板本体16を備える。この台板本体16における辺15aに紐部材14を引っ掛けることが可能な複数の切込24を有する第1切込部20を設ける。また、台板本体16における第1切込部20に対向する辺15bに紐部材14を引っ掛けることが可能な切込25を有する第2切込部21を設ける。さらに、台板本体16における第1切込部20および第2切込部21を設けた辺15a,15bとは異なる辺15cに紐部材14を引っ掛けることが可能な切込26を有する第3切込部22を設ける。そして、台板本体16に複数の吸収シート本体13を辺15aに沿って順次変位して並列に配設し、紐部材14を台板本体16に巻き付けるように配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紐付きの手術用吸収シートを収納や搬送する際に保持するための手術用吸収シート台板に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、脳神経外科手術等の外科手術の際には、患者の血液や体液等の吸収や患部の保護のため、専用の紐付きの手術用吸収シートを使用する。この手術用吸収シートは、手術の終了に際して、患者の体内から取り除く必要があるが、比較的小型であり見落とすおそれがあるので、目印として吸収シート本体に紐部材が取り付けられている。
【0003】
そして、このような手術用吸収シートを収納や搬送するために保持する手術用吸収シート台板としては、従来、図7に示される台紙1が知られている。
【0004】
この台紙1は、台紙本体2と、この台紙本体2の略中央に設けられ、手術用吸収シート3の吸収シート本体4を保持するためのフラップ部5を有する保持部6と、手術用吸収シート3の紐部材7を引っ掛けることが可能な切込部8a,8b,8c,8dとを備えている。そして、手術用吸収シート3の端部をフラップ部5に引っ掛けるように保持部6に配設した状態で、紐部材7を各切込8a,8b,8c,8dに引っ掛けながら台紙本体2に巻き付けて、台紙1に手術用吸収シート3が保持される。(例えば、非特許文献1参照。)。
【非特許文献1】[online]、白十字株式会社、[平成20年10月1日検索]、インターネット<URL:http://www.hakujuji.co.jp/Products/05medical_risk.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の台紙では、手術用吸収シートが重ねて配設されるため、使用する際等に配設された状態の手術用吸収シートの数を確認し難い。また、紐部材の本数により前記手術用吸収シートの数を確認することも可能であるが、前記紐部材同士が重なっている部分もあり、本数を正確に数え難く、配設された前記手術用吸収シートの数が確認し難い問題が考えられる。
【0006】
本発明はこのような点に鑑みなされたもので、配設された手術用吸収シートの数を容易に確認できる手術用吸収シート台板を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載された手術用吸収シート台板は、吸収シート本体と、この吸収シート本体に取り付けられた紐部材とを有する手術用吸収シートを複数保持するための手術用吸収シート台板であって、一方の面である表面部と他方の面である裏面部とを有する略四角形状の台板本体と、この台板本体における一辺に形成され前記紐部材を引っ掛けることが可能な複数の切込を有する第1切込部と、前記台板本体における前記第1切込部に対向する辺に形成され前記紐部材を引っ掛けることが可能な少なくとも1つの切込を有する第2切込部と、前記台板本体における前記第1切込部および前記第2切込部を設けた辺とは異なる辺に形成され前記紐部材を引っ掛けることが可能な少なくとも1つの切込を有する第3切込部とを具備し、前記表面部に前記複数の手術用吸収シートの各吸収シート本体が順次変位して並列に配設され、前記複数の手術用吸収シートの各紐部材が、前記表面部から前記第1切込部に引っ掛けられて前記第2切込部に向かって前記裏面部に沿って配設され、前記第2切込部に引っ掛けられて前記第3切込部に向かって前記表面部に沿って配設され、前記第3切込部に引っ掛けられるものである。
【0008】
請求項2に記載された手術用吸収シート台板は、請求項1に記載された手術用吸収シート台板において、台板本体のいずれかの辺には、紐部材を引っ掛けることにより取り外し可能に止着できる少なくとも1つの切込を有する第4切込部が形成されているものである。
【0009】
請求項3に記載された手術用吸収シート台板は、請求項1または請求項2に記載された手術用吸収シート台板において、台板本体は、第1切込部が設けられた辺に対して略平行にフラップ部が形成され、このフラップ部は、前記台板本体に設けられた基端縁と、この基端縁とは反対側に位置し前記台板本体から離間した自由端縁と、前記自由端縁から前記基端縁へ向かって切込形成された第1切込部の切込と同数のフラップ切込部とを有しているものである。
【0010】
請求項4に記載された手術用吸収シート台板は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載された手術用吸収シート台板において、第2切込部および第3切込部は、各切込が台板本体の辺から凹状に切り欠かれているものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載された発明によれば、手術用吸収シート台板は、複数の切込を有する第1切込部と、この第1切込部に対向する辺に形成され少なくとも1つの切込を有する第2切込部と、前記第1切込部および前記第2切込部を設けた辺とは異なる辺に形成され少なくとも1つの切込を有する第3切込部とを具備することにより、表面部に複数の手術用吸収シートの各吸収シート本体を順次変位して並列に配設でき、その状態を保持できるので、配設された前記手術用吸収シートの数を容易に確認できる。
【0012】
請求項2に記載された発明によれば、台板本体のいずれかの辺に第4切込部が形成されることにより、この第4切込部にて手術用吸収シートの紐部材を引っ掛けて取り外し可能に止着できるので、前記台板本体の表面部および裏面部に沿って前記紐部材を巻き付けるように配設した状態をより確実に保持でき、手術用吸収シートが適切に配設された状態をより確実に保持できる。
【0013】
また、前記手術用吸収シートを配設した状態にて前記紐部材の端部の位置が把握し易く、操作性を向上できる。
【0014】
請求項3に記載された発明によれば、台板本体にフラップ部が設けられることにより、このフラップ部によって前記台板本体の表面部に配設された吸収シート本体を保持できるので、前記吸収シートの位置ずれを防止できる。
【0015】
請求項4に記載された発明によれば、第2切込部の切込および第3切込部の切込が凹状に切り欠かれることにより、前記第2切込部および前記第3切込部に紐部材を引っ掛け易く、また、引っ掛った状態を解除し易いので、台板本体に対して手術用吸収シートを容易に着脱できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の第1の実施の形態の構成について図1ないし図5を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1および図2に示す手術用吸収シート台板11は、紐付きの複数の手術用吸収シート12を搬送や収納する際に保持するためのものである。
【0018】
手術用吸収シート12は、略矩形状の吸収シート本体13を有し、この吸収シート本体13には、長手方向の端部から引き出されるように糸状の紐部材14が取り付けられている。
【0019】
手術用吸収シート台板11は、一方の面である表面部17および他方の面である裏面部18を有し、各辺15a,15b,15c,15dを有する略正方形状の台板本体16を備えている。
【0020】
台板本体16における一辺、例えば、辺15aには、第1切込部20が形成されている。また、台板本体16における第1切込部20に対向する辺15bには、第2切込部21が形成されている。さらに、第1切込部20および第2切込部21を設けた辺15a,15bとは異なる辺15cには、第3切込部22および第4切込部23が形成されている。
【0021】
台板本体16は、厚紙等の紙により板状に形成されており、搬送する際や紐部材14を巻き付ける際、紐部材14を巻き取る際等の変形を防止できる程度の剛性を有している。また、台板本体16の角部は、円弧状に切り欠かれている。
【0022】
第1切込部20は、辺15aに並列して形成された複数、例えば5つの切込24にて構成されている。
【0023】
ここで、切込24は、辺15aから互いに交差するように辺15aに対して傾斜状に切り込まれた切込縁24a,25bにより、略V字形状をなすように辺15aから凹状に切り欠かれて形成され、紐部材14を引っ掛けることが可能である。なお、切込24の数は、手術用吸収シート台板11に配設される手術用吸収シート12の数と同数であると好ましい。また、切込24の大きさは、紐部材14の長さや太さ等に応じて適宜設定できる。
【0024】
第2切込部21は、辺15bに形成された1つの切込25にて構成されている。
【0025】
ここで、切込25は、辺15bから直交方向に切り込まれた切込縁25aと、辺15bから切込縁25aの端部へ向かって辺15bに対して傾斜状に切り込まれた切込縁25bとにより、略三角形をなすように辺15bから凹状に切り欠かれ、紐部材14を引っ掛けることが可能である。なお、切込25の大きさは紐部材14の長さや太さ等に応じて適宜設定できる。
【0026】
第3切込部22は、辺15cに形成された1つの切込26にて構成されている。
【0027】
ここで、切込26は、辺15cから直交方向に切り込まれた切込縁26aと、辺15cから切込縁26aの端部へ向かって辺15cに対して傾斜状に切り込まれた切込縁26bとにより、略三角形をなすように辺15cから凹状に切り欠かれ、紐部材14を引っ掛けることが可能である。なお、切込26の大きさは紐部材14の長さや太さ等に応じて適宜設定できる。
【0028】
そして、表面部17に複数の手術用吸収シート12の各吸収シート本体13が、隣り合う吸収シート本体13同士の一部が重なるように、辺15aに沿って順次変位して並列に配設され、複数の手術用吸収シート12の各紐部材14が、台板本体16に巻き付けられるように、表面部17から第1切込部20に引っ掛けられて第2切込部21に向かって裏面部18に沿って配設されている。また、紐部材14は、第2切込部21に引っ掛けられて第3切込部22に向かって表面部17に沿って配設され、第3切込部22に引っ掛けられて、手術用吸収シート12が手術用吸収シート台板11に保持されている。
【0029】
ここで、紐部材14は、台板本体16に配設された吸収シート本体13の外面側の一部に重なるように配設され、紐部材14と台板本体16とにより吸収シート本体13を挟むように巻き付けられている。
【0030】
第4切込部23は、台板本体16が辺15cから辺15b方向へ線状に切り込まれた1つの切込27にて構成されている。
【0031】
ここで、切込27は、第3切込部22に引っ掛けられた後の紐部材14を切込27の間にて挟むように引っ掛けることにより、取り外し可能に止着でき、紐部材14を引っ掛けた状態を保持できる。なお、切込27の長さは紐部材14の長さ等に応じて適宜設定できる。
【0032】
次に、上記第1の実施の形態の作用を説明する。
【0033】
手術用吸収シート台板11に手術用吸収シート12を配設する際には、まず、台板本体16の表面部17に、複数例えば5つの手術用吸収シート12の各吸収シート本体13を、紐部材14が引き出された方の端部を辺15a側にして、隣り合う吸収シート本体13同士の一部が重なるように、辺15aに沿って順次変位させて並列に配設する。
【0034】
次いで、各紐部材14を、第1切込部20へ向かって表面部17に沿って配設し、第1切込部20の各切込24にそれぞれ1本の紐部材14を引っ掛け、裏面部18側へ折り返す。
【0035】
次いで、各紐部材14を台板本体16に巻き付けるように、第1切込部20から第2切込部21に向かって各紐部材14が裏面部18を縦断するように配設する。
【0036】
次いで、各紐部材14を第2切込部21の切込25に引っ掛けて束ねた状態にして表面部17側へ折り返す。
【0037】
次いで、束ねた状態の各紐部材14を、吸収シート本体13の外面側の一部に重なるように巻き付け、紐部材14と台板本体16との間に吸収シート本体13を挟むように、第2切込部21から第3切込部22に向かって辺15bに対して傾斜状に配設する。
【0038】
次いで、束ねた状態の各紐部材14を第3切込部22の切込26に引っ掛け、裏面部18側へ折り返す。
【0039】
次いで、束ねた状態の各紐部材14を台板本体16に巻き付けるように、第3切込部22から第2切込部21に向かって裏面部18に沿って辺15cに対して傾斜状に配設する。
【0040】
次いで、束ねた状態の各紐部材14を第2切込部21の切込25に引っ掛け、表面部17側へ折り返す。
【0041】
次いで、束ねた状態の各紐部材14を台板本体16との間に吸収シート本体13を挟むように、第2切込部21から第4切込部23に向かって表面部17に沿って辺15bに対して傾斜状に配設する。
【0042】
次いで、束ねた状態の各紐部材14を第4切込部23の切込27の間に挟むように引っ掛けて止着し、手術用吸収シート12を手術用吸収シート台板11に保持する。
【0043】
なお、紐部材14を第4切込部23に引っ掛けて止着することには限定されず、台板本体16に第4切込部23が設けられていない構成の場合は、第3切込部22に引っ掛けて保持する。
【0044】
また、第3切込部22に紐部材14を引っ掛けた後、再び、第2切込部21に紐部材14を引っ掛け、その後、第4切込部23に紐部材14を止着することには限定されず、紐部材14の長さによっては、第3切込部22に紐部材14を引っ掛けた後、第4切込部23に紐部材14を引っ掛けたり、第2切込部21と第3切込部22との間で紐部材14を複数回巻き付けたりしてもよい。
【0045】
手術用吸収シート台板11に配設された手術用吸収シート12を取り外す際には、まず、図1および図2のような状態から、紐部材14の端部を裏面部18側から表面部17側へ引っ張り、図3(a)に示すように、第4切込部23の切込27に引っ掛けられて止着された紐部材14を第4切込部23から取り外す。
【0046】
次いで、紐部材14を吸収シート本体13から辺15bおよび辺15cが接続する頂部28の方向へ引っ張り、表面部17から離間させるように取り外し、紐部材14が第2切込部21の切込25に引っ掛けられた状態を解除する。
【0047】
また、そのまま、紐部材14を吸収シート本体13から頂部28の方向へ引っ張って紐部材14を裏面部18から離間させるように取り外し、第3切込部22の切込26に引っ掛けられた状態を解除する。
【0048】
さらに、そのまま、紐部材14を吸収シート本体13から頂部28の方向へ引っ張って紐部材14を表面部17から離間させるように取り外し、図3(b)に示すように、第2切込部21の切込25に引っ掛けられた状態を解除する。
【0049】
なお、このように紐部材14を吸収シート本体13から頂部28の方向へ引っ張るように解除する方法には限定されず、紐部材14を巻き取るように解除してもよい。
【0050】
次いで、紐部材14を裏面部18から離間させるように取り外し、第1切込部20の切込24に引っ掛っていた状態を解除し、吸収シート本体13が保持された状態を解除する。
【0051】
このように上述の手術用吸収シート台板11は、辺15aに形成された複数、例えば5つの切込24を有する第1切込部20と、この第1切込部20に対向する辺15bに形成された切込25を有する第2切込部21と、第1切込部20および前記第2切込部21を設けた辺15a,15bとは異なる辺15cに形成された切込26を有する第3切込部22とを具備することにより、表面部17に複数例えば5つの手術用吸収シート12の吸収シート本体13を順次変位して並列に配設できる。また、紐部材14を巻き付けるように配設することにより、吸収シート本体13が順次変位して並列に配設された状態を保持できる。したがって、台板本体16に配設された吸収シート本体13の枚数を数え易いので、手術用吸収シート12の数を容易に確認できる。
【0052】
また、辺15bに第2切込部21が設けられ、辺15cに第3切込部22が設けられ、紐部材14が第2切込部21と第3切込部22との間を辺15bまたは辺15cに対して傾斜状に配設されることにより、紐部材14による保持を解除する際には、上述したように、頂部28に向かって紐部材14を引っ張るだけで、第2切込部21および第3切込部22に紐部材14が引っ掛けられた状態を解除できる。したがって、紐部材14による吸収シート本体13の保持を容易に解除でき、手術用吸収シート12を容易に取り外せる。
【0053】
第1切込部20の切込24の数が配設する手術用吸収シート12の数と同数であると、第1切込部20の各切込24に紐部材14をそれぞれ1本ずつ引っ掛けられるので、第1切込部20近傍では各紐部材14が重なり難く、例えば手術中等に手術用吸収シート12を何枚か使用した場合であっても、紐部材14を数えることによって手術用吸収シート12の数を容易かつ確実に確認できる。
【0054】
また、第1切込部20の各切込24の間隔を、複数の手術用吸収シート12を配設した際に隣り合う吸収シート本体13同士の一部が重なって順次変位して並列に配設できるように設定することにより、台板本体16の省スペース化できる。
【0055】
紐部材14と台板本体16とにより吸収シート本体13が挟まれるように紐部材14を配設することにより、吸収シート本体13が台板本体16上に配設された状態をより確実に保持でき、手術用吸収シート12をより確実に保持できる。
【0056】
辺15cに切込27を有する第4切込部23が形成されることにより、この第4切込部23にて手術用吸収シート12の紐部材14を引っ掛けて取り外し可能に止着できるので、台板本体16の表面部17および裏面部18に沿って巻き付けるように配設された紐部材14が解け難く、手術用吸収シート12が配設された状態をより確実に保持できる。
【0057】
また、手術用吸収シート12を配設した状態にて紐部材14の端部の位置が把握し易いので、紐部材14を解く際の操作性を向上できる。
【0058】
第2切込部21の切込25が辺15bから凹状に切り欠かれ、第3切込部22の切込26が辺15cから凹状に切り欠かれることにより、紐部材14を巻き付けるように配設する際に第2切込部21および第3切込部22に紐部材14を引っ掛け易く、また、紐部材14を取り外す際に第2切込部21および第3切込部22に紐部材14が引っ掛けられた状態を解除し易い。したがって、紐部材14による吸収シート本体13の保持状態を切り換え易く、台板本体16に対して手術用吸収シート12を容易に着脱できる。
【0059】
なお、上記第1の実施の形態では、台板本体16を略正方形状の構成としたが、台板本体16の形状は、略四角形状であれば正方形状の構成には限定されず、略矩形状の構成でもよい。また、台板本体16は、紙にて形成される構成には限定されず、搬送する際や紐部材14を巻き付ける際、紐部材14を巻き取る際等に変形しない程度の剛性を有していれば、例えば合成樹脂等でもよい。
【0060】
また、台板本体16に第4切込部23が設けられた構成とすることにより、紐部材14を取り外し可能に止着できるので好ましいが、このような構成には限定されず、第1切込部20、第2切込部21および第3切込部22が設けられ、紐部材14を台板本体16に巻き付けられるように配設した状態を保持できる構成であれば、第4切込部23を設けない構成としてもよい。
【0061】
台板本体16には、隣り合う吸収シート本体13同士の一部が重なるように順次変位して並列に配設される構成とすることにより、台板本体16を省スペース化できるので好ましいが、このような構成には限定されず、隣り合う吸収シート本体13を重ねずに順次変位して並列に配設する構成でもよい。
【0062】
第1切込部20は、切込24が5つ形成された構成には限定されず、その数は複数であれば適宜設定できる。
【0063】
台板本体16は、第1切込部20近傍に切込24の数に対応した数字を付する構成としてもよい。数字を付すことにより、この数字によって配設されている紐部材14の本数を確認し易く、配設された手術用吸収シート12の数をより容易に確認できる。
【0064】
第2切込部21および第3切込部22は、切込25および切込26が1つ形成された構成には限定されず、少なくとも1つの切込25および切込26が形成されていれば、その数は適宜設定できる。
【0065】
また、第3切込部22は、辺15cに設けられる構成には限定されず、辺15dに設けられる構成としてもよい。
【0066】
ここで、切込25および切込26を複数形成する構成、さらには、辺15cおよび辺15dのそれぞれに切込26を形成する構成にすることにより、紐部材14の長さが異なる多種類の手術用吸収シート12に対応でき、汎用性を向上できる。
【0067】
第4切込部23を設ける場合は、切込27が辺15cの切込26より辺15a側に形成される構成には限定されず、切込27が形成される場所は、台板本体16のいずれかの辺、すなわち、辺15a,15b,15c,15d上であればよく、想定される紐部材14の長さ等に応じて、辺15a,15b,15c,15dのいずれに設けるかを設定できる。また、第4切込部23は、切込27が1つ形成された構成には限定されず、少なくとも1つの切込27が形成されていれば、その数は適宜設定できる。複数の切込27を形成する場合は、異なる辺にそれぞれ切込27を形成する構成にしてもよく、このよう構成にすることにより、紐部材14の長さに応じて紐部材14を止着する切込27を選択できるので、多種類の手術用吸収シートに対応でき、汎用性を向上できる。
【0068】
第1切込部20の切込24、第2切込部21の切込25、第3切込部22の切込26は、辺15a,15b,15cからそれぞれ凹状に切り欠かれた構成に限定されず、紐部材14が引っ掛けることが可能であれば、線状でもよい。
【0069】
切込24,25,26が凹状に切り欠かれる場合は、各切込24,25,26は、図1に示すV字形状や三角形状に限定されず、図4(a)に示すような略U字状の構成や図4(b)に示すような図1に較べて緩やかな傾斜の三角形状の構成等、紐部材14が引っ掛けられる形状であればよい。なお、切込25および切込26を図4(b)のような形状にすると、紐部材14が、切込25および切込26に引っ掛った状態を解除され易くなってしまうので、第4切込部23を形成することが好ましい。また、第4切込部23は、切込26より辺15a側に形成する構成がより好ましい。
【0070】
ここで、図4(a)および(b)は、第2切込部21の切込25のみの変形例を示しているが、第1切込部20の切込24および第3切込部22の切込26も切込25と同様の形状にでき、各切込24,25,26が異なる形状に形成されていてもよい。
【0071】
切込24,25,26が線状に切り込まれる場合は、第4切込部23と同様に、各切込24,25,26間に紐部材14を挟むように引っ掛けて取り外し可能に止着でき、台板本体16に巻き付けるように配設された紐部材14を解け難くできる。なお、切込24は、辺15aに対して直交方向へ形成される構成とすると、紐部材14を引っ掛け易いとともに紐部材14を引っ掛けた状態から外し易いので好ましい。また、切込25は、辺15bから辺15cに向かって辺15bに対して傾斜状に形成される構成とすると、紐部材14を引っ掛け易いとともに紐部材14を引っ掛けた状態から外し易いので好ましい。また、切込26は、辺15cから辺15dへ向かって辺15cに対して傾斜状に形成される構成とすると、紐部材14を引っ掛け易いとともに紐部材14を引っ掛けた状態から外し易いので好ましい。
【0072】
手術用吸収シート12をより多く配設可能な構成にする場合には、図5に示すように、台板本体16を略矩形状に形成し、長手方向に沿った辺15aに、例えば10個の切込24を有する第1切込部20を設け、辺15bに2つの切込25を有する第2切込部21を設け、辺15cおよび辺15dそれぞれに、1つの切込26を有する第3切込部22と、1つの切込27を有する第4切込部23とを設ける構成としてもよい。
【0073】
このような構成にすることにより、より多くの吸収シート本体13を台板本体16に配設できる。また、各吸収シート本体13を例えば5枚ずつ辺15c側と辺15d側とに分けて配設でき、辺15c側および辺15d側の各紐部材14を第2切込部21,21にて別々に束ね、別々に台板本体16に巻き付けるように配設できるので、辺15c側の手術用吸収シート12と辺15d側の手術用吸収シート12とを別々に扱うことができる。したがって、配設された手術用吸収シート12を全て使用しない場合であっても、手術用吸収シート12を使用する際に一度に全ての紐部材14を解いて手術用吸収シート12を取り外す必要がないので、束ねられた紐部材14毎に使用量に応じて取り外すことができる。さらに、各第2切込部21にて分けて束ねることができるので、全ての紐部材14を束ねる場合に比べて紐部材14同士を絡まり難くできる。
【0074】
次に、第2の実施の形態について図6を参照しながら説明する。なお、上記の実施の形態と同一の構成については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0075】
図6に示すように、台板本体16には、第1切込部20が形成された辺15aに対して略平行にフラップ部30が形成されている。
【0076】
フラップ部30は、台板本体16の一部を切り込むことにより、台板本体16と一体に形成されている。すなわち、台板本体16には、辺15aおよび辺15bに略平行に切り込まれた切込31が形成され、この切込31の両端部から辺15cおよび辺15dに沿って辺15aに向かって切り込まれた切込32,切込33が形成され、切込31,切込32,切込33により台板本体16を略コ字状に切り込むことによりフラップ部30が形成される。
【0077】
フラップ部30には、切込32の辺15a側の端部と切込33の辺15a側の端部との間の台板本体16の切り込まれていない部分に、フラップ部30の基端となる基端縁34が設けられている。また、フラップ部30には、この基端縁34とは反対側の側縁に位置し、切込31,切込32,切込33が切り込まれることにより台板本体16から離間した自由端縁35が形成されている。さらに、フラップ部30には、自由端縁35から基端縁34へ向かって、自由端縁35に略直交する直線状のフラップ切込部36が切込形成されている。なお、フラップ切込部36の数は、第1切込部20の切込24の数と同数であり、本実施の形態では5つ形成されている。
【0078】
このようなフラップ部30は、基端縁34を基端として基端縁34より自由端縁35側が台板本体16から離間しており、この離間部分の台板本体16からの離間長さは、2つの吸収シート本体13が重なった厚みより長い。
【0079】
このようなフラップ部30が設けられた手術用吸収シート台板11に、手術用吸収シート12を配設する際には、吸収シート本体13を表面部17に沿って辺15b側、すなわち、自由端縁35側からフラップ部30の基端縁34へ向かって挿入し、吸収シート本体13の紐部材14が引き出された方の端部を基端縁34に接触させ、フラップ部30に引っ掛ける。さらに、紐部材14をフラップ切込部36を挿通するように第1切込部20側へ向かって配設する。その後は、上記第1の実施の形態と同様に紐部材14を巻き付けるように配設する。
【0080】
そして、このように台板本体16にフラップ部30が設けられることにより、フラップ部30によって台板本体16の表面部17に配設された吸収シート本体13を保持できるので、吸収シート本体13がフラップ部30より辺15a側へ移動することを防止でき、吸収シート本体13の位置ずれを防止できる。したがって、手術用吸収シート12が手術用吸収シート台板11に配設された状態をより確実に保持できる。
【0081】
また、切込24と同数のフラップ切込部36が形成されていることにより、複数の手術用吸収シート12を配設する際には、各紐部材14をそれぞれ1つのフラップ切込部36を挿通させて配設し、そのまま各紐部材14をそれぞれ1つの切込24に引っ掛けることができるので、配設された紐部材14同士が重なることを防止でき、紐部材14の本数を確認し易い。したがって、手術用吸収シート12の数を紐部材14にて容易に確認できる。
【0082】
フラップ部30は、台板本体16の一部を切り込んで、台板本体16と一体に形成されることにより、手術用吸収シート台板11を形成する際に必要な部材の数を最小限に抑えることができるので、コストの高騰を抑えることができる。
【0083】
なお、フラップ部30は、台板本体16と一体に形成された構成には限定されず、例えば、別体のシート部材を接合して形成される構成等でもよい。また、このようなフラップ部30が別体のシート部材にて形成される構成とすることにより、フラップ部30における基端縁34より自由端縁35側の台板本体16からの離間長さや、形状等を手術用吸収シート12に合わせて適宜設定できる。
【0084】
また、フラップ切込部36の形状は、直線状に限定されず、例えば、V字状、U字状、鍵穴状等にしてもよい。
【0085】
さらに、フラップ部30における各フラップ切込部36の近傍に、各フラップ切込部36に対応するように数字を付す構成としてもよい。各フラップ切込部36の近傍に数字を付す構成とすることにより、配設された手術用吸収シート12の紐部材14の本数をフラップ部30の数字により確認できるので、手術用吸収シート12の数をより容易に確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る手術用吸収シート台板の表面側を示す平面図である。
【図2】同上手術用吸収シート台板における裏面側を示す平面図である。
【図3】(a)および(b)は、同上手術用吸収シート台板において、紐部材を解く際の状態を示す平面図である。
【図4】(a)および(b)は、同上手術用吸収シート台板における第2切込部の切込の変形例を示す部分平面図である。
【図5】同上手術用吸収シート台板における変形例を示す平面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る手術用吸収シート台板の表面側を示す平面図である。
【図7】従来の手術用吸収シート台板を示す平面図である。
【符号の説明】
【0087】
11 手術用吸収シート台板
12 手術用吸収シート
13 吸収シート本体
14 紐部材
15a 辺
15b 辺
15c 辺
15d 辺
16 台板本体
17 表面部
18 裏面部
20 第1切込部
21 第2切込部
22 第3切込部
23 第4切込部
24 切込
25 切込
26 切込
27 切込
30 フラップ部
34 基端縁
35 自由端縁
36 フラップ切込部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収シート本体と、この吸収シート本体に取り付けられた紐部材とを有する手術用吸収シートを複数保持するための手術用吸収シート台板であって、
一方の面である表面部と他方の面である裏面部とを有する略四角形状の台板本体と、
この台板本体における一辺に形成され前記紐部材を引っ掛けることが可能な複数の切込を有する第1切込部と、
前記台板本体における前記第1切込部に対向する辺に形成され前記紐部材を引っ掛けることが可能な少なくとも1つの切込を有する第2切込部と、
前記台板本体における前記第1切込部および前記第2切込部を設けた辺とは異なる辺に形成され前記紐部材を引っ掛けることが可能な少なくとも1つの切込を有する第3切込部とを具備し、
前記表面部に前記複数の手術用吸収シートの各吸収シート本体が順次変位して並列に配設され、
前記複数の手術用吸収シートの各紐部材が、前記表面部から前記第1切込部に引っ掛けられて前記第2切込部に向かって前記裏面部に沿って配設され、前記第2切込部に引っ掛けられて前記第3切込部に向かって前記表面部に沿って配設され、前記第3切込部に引っ掛けられる
ことを特徴とする手術用吸収シート台板。
【請求項2】
台板本体のいずれかの辺には、紐部材を引っ掛けることにより取り外し可能に止着できる少なくとも1つの切込を有する第4切込部が形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の手術用吸収シート台板。
【請求項3】
台板本体は、第1切込部が設けられた辺に対して略平行にフラップ部が形成され、
このフラップ部は、前記台板本体に設けられた基端縁と、この基端縁とは反対側に位置し前記台板本体から離間した自由端縁と、前記自由端縁から前記基端縁へ向かって切込形成された第1切込部の切込と同数のフラップ切込部とを有している
ことを特徴とする請求項1または2記載の手術用吸収シート台板。
【請求項4】
第2切込部および第3切込部は、各切込が台板本体の辺から凹状に切り欠かれている
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか記載の手術用吸収シート台板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−94286(P2010−94286A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−267533(P2008−267533)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(391047503)白十字株式会社 (64)