説明

手袋用導電性装着具、手袋用導電性装着具を装着された手袋、および導電性装着具の装着された手袋の製造方法

【課題】既存の手袋に導電性を付加することで、コスト増を招かず、従来の手袋のデザイン性を犠牲にすることなく、静電容量方式のタッチセンサを操作可能な手袋を提供する。
【解決手段】導電性装着具1は手袋9の指袋92の内側面側に配置される内側導電性パーツ11と外側面側に配置される外側導電性パーツ12を備える。内側導電性パーツ11および外側導電性パーツ12は導電性可撓性樹脂シートである内側シート111もしくは外側シート121と、そこから垂直方向に突起する複数の導電性可撓性樹脂からできた内側突起部113もしくは外側突起部123を備える。指袋92に空けられた孔に内側突起部113もしくは外側突起部123を差し込みながら内側導電性パーツ11および外側導電性パーツ12を粘着層112もしくは粘着層122を介して指袋92に貼り付けることで、内側突起部113と外側突起部123が連結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は手袋に関し、より詳しくはユーザが手に装着をした状態で静電容量方式のタッチセンサもしくはタッチパネルを操作可能な手袋に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タブレット型PC(パーソナルコンピュータ)と呼ばれる電子デバイスが普及している。タブレット型PCは、一般的なPCにおいて演算論理装置、制御装置およびメモリを格納する本体筐体とは別に設けられる入出力装置である液晶ディスプレイなどの表示デバイスとタッチパッドなどの入力デバイスをタッチパネルとして平板な本体筐体に一体に設けたPCである。
【0003】
なお、タブレット型PCにおいてはタッチパネルに擬似的なキーボードが表示され、それに対しユーザがキー入力操作を行うことができるため、別途、キーボードの接続を要さない。
【0004】
また、タブレット型PCの中には無線通信手段を備えるものが多く、さらには公衆携帯電話通信網との間でデータ通信を可能なものもある。
【0005】
タブレット型PCにおいて採用されているタッチセンサの方式としては、現在、静電容量方式と呼ばれるものが主流となっている。静電容量方式においては、低い電圧の交流がタッチセンサに印加されており、導電体であるユーザの人体(通常は指先)がタッチセンサに近接もしくは接触すると、微弱な電流がタッチセンサから人体に流れる。その際、タッチセンサの静電容量が低下する。この静電容量の低下を検知することにより、タッチパネル上にマトリクス状に配置されたタッチセンサのいずれがタッチされたかの特定が行われる。
【0006】
静電容量方式のタッチセンサが採用されているタブレット型PCを操作するためには、タブレット型PCの表示面(タッチセンサが配置されている面)とユーザの人体との間に電流が流れる必要がある。従って、例えば冬場の屋外などの寒冷な場所でタブレット型PCのタッチ操作を行う際に、一般的な手袋を手に装着した状態でそれを行おうとしても、タブレット型PCとユーザの指先との間の通電が手袋により妨げられ、操作を行うことができない。従って、タブレット型PCを操作する際には、手袋を外し、寒さに耐えながらその操作を行う必要がある。
【0007】
上述した不都合を解消するために、例えば特許文献1乃至3においては、導電性素材を指先部に用いた手袋が提案されている。これらの特許文献に開示の手袋によれば、手に装着した手袋に用いられている導電性素材を介して静電容量方式のタッチセンサから指先に電流が流れるため、手袋を装着したままでタブレット型PCの操作を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−81896号公報
【特許文献2】実用新案登録第3160211号公報
【特許文献3】実用新案登録第3164392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ニット製の手袋に導電性素材を導入することは容易である。なぜなら、既存の製造装置に対し、従来用いていた通常の非導電性の毛糸に代えて、導電性繊維の織り込まれた毛糸(導電性毛糸)を原材料として投入することで、製造装置に何ら変更を加えることなく導電性素材の手袋が製造可能であるためである。
【0010】
しかしながら、導電性繊維は特殊な材料や加工を伴うため一般に高価であり、手袋の全体を導電性毛糸で製造するとコスト高となる。
【0011】
そこで、指先のみを導電性毛糸を用いて、他の部分は通常の毛糸を用いることが考えられるが、そのためには手袋の部位によって異なる毛糸を用いてそれらを繋ぐ必要があるため、多くの場合、製造装置に大きな変更を加える必要がある。
【0012】
また、皮革製の手袋のようにニット製でない手袋に関しては、そもそも皮革に導電性繊維を織り込むことが技術的に困難であるため、さらに大きな製造工程に対する変更を要する。
【0013】
例えば、一般的に皮革製の手袋は、手の形にカットされ重合された2枚のシート状皮革(手の平側パーツと手の甲側パーツ)の外縁部を、手首部分を残して一周縫合し裏返すことにより製造される。そのような製造工程により製造される皮革製手袋に導電性を持たせるための変更を行う既存の方法として、例えば以下の方法がある。
【0014】
まず、手の形にカットされた手の平側のシート状皮革の指先部分を切り落とす。続いて、切り落とした部分と同じ形状にカットした導電性の布帛を手の平側のシート状皮革の指先部に縫合することで、手の平側パーツを製造する。その後、手の平側パーツと手の甲側パーツと重合し縫合する。そのように縫合された手袋を裏返すことで、指先に導電性を持った皮革製手袋が製造される。
【0015】
上述した皮革製手袋の製造においては、まず従来の製造工程に対し、(a)手の平側のシート状皮革の指先部分のカット、(b)指先部分の布帛の準備、(c)手の平側のシート状皮革の指先部に対する布帛の縫合、という3つの工程が追加される。(a)および(b)の工程は容易な工程であり、また(a)については手の平側のシート状皮革のカット時に予め指先部分を落とした形状にカットすることで、その工程自体をなくすことができる。一方、(c)については繊細で必ずしも容易な工程ではない。従って、特に(c)の工程の追加により、コスト高となる。
【0016】
また、そもそも皮革製手袋は一般的にニット製手袋と比較し防寒性能に優れているが、特に防寒性能を高めたい指先部の片面が布帛に代替され、さらに皮革と布帛との縫い目から外気が入る可能性もあることから、防寒性能の低下がもたらされ望ましくない。
【0017】
また、ユーザにとっては、手袋における機能性と同様にデザイン性も重要である。デザイン性を重視するユーザは、無数とあるデザインの手袋の中から自分の好みの手袋を選んで使用している。それに対し、導電性素材を用いた手袋として市場に出回るものの数は必ずしも多くなく、好みのデザインのものがない、という理由で導電性素材を用いた手袋の使用を断念するユーザも少なくないと思われる。
【0018】
上述の事情に鑑み、本発明は、既存の手袋に導電性を付加することで、さほどのコスト増を招かず、また従来の手袋のデザイン性を犠牲にすることなく、静電容量方式のタッチセンサを操作可能な手袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するため、本発明は、
1以上の指を収納するための指袋を有する手袋の前記指袋の手の平側の内側面上の指先領域に固着される導電性可撓性シートである内側シートと、
前記指袋の手の平側の外側面上の指先領域に固着される導電性可撓性シートである外側シートと、
前記指袋の内側面と外側面とを貫通するように配置され前記内側シートと前記外側シートとを電気的に接続する導電性素材である連結部と
を備える手袋用導電性装着具
を提供する(第1の実施態様)。
【0020】
また、好ましい実施態様として、上述の第1の実施態様において、
前記内側シートおよび前記外側シートは各々粘着層を有し、前記粘着層により前記指袋に固着され、
前記連結部は、
前記内側シートから前記指袋が有する内側面と外側面とを貫通する孔を通って外側へと突起する内側突起部と、
前記外側シートから前記孔を通って内側へと突起し、前記内側突起部と前記孔の内部において電気的に接続される外側突起部と
を有し、
前記内側突起部および前記外側突起部は互いに係着する形状を有する
構成が採用されてもよい(第2の実施態様)。
【0021】
さらに好ましい実施態様として、上述の第2の実施態様において、
前記内側突起部および前記外側突起部は、前記指袋の厚み方向の距離を変更可能に係着可能な形状を有する
構成が採用されてもよい(第3の実施態様)。
【0022】
また、他の好ましい実施態様として、上述の第1の実施態様において、
前記内側シートおよび前記外側シートは各々、前記指袋の表面に塗布され前記孔の方向に押圧された後に硬化された導電性ペーストのうち前記指袋の表面上に配置されている部分であり、
前記連結部は、前記導電性ペーストのうち前記指袋の内側面から前記孔に圧入された部分と前記指袋の外側面から前記孔に圧入された部分とが前記孔の内部において互いに連通した後に硬化したものである
という構成が採用されてもよい(第4の実施態様)。
【0023】
また、さらに他の好ましい実施態様として、上述の第1の実施態様において、
前記内側シートと前記外側シートと前記連結部とは所定の形状に切断された1枚の導電性可撓性シートであり、
前記1枚の導電性可撓性シートは前記手袋の手の平側を構成するシートを側方から挟み込むように配置され、
前記内側シートは、前記1枚の導電性可撓性シートのうち前記手の平側を構成するシートの内側面上に固着された部分であり、
前記外側シートは、前記1枚の導電性可撓性シートのうち前記手の平側を構成するシートの外側面上に固着された部分であり、
前記連結部は、前記1枚の導電性可撓性シートのうち前記手の平側を構成するシートの側方に配置され、前記手の平側を構成するシートと前記手袋の手の甲側を構成するシートとに挟み込まれた部分である
という構成が採用されてもよい(第5の実施態様)。
【0024】
また、本発明は、上述の第1乃至第5のいずれかの実施態様にかかる手袋用導電性装着具を装着された手袋を提供する。(第6の実施態様)。
【0025】
また、本発明は、
1以上の指を収納するための指袋を有する手袋の前記指袋の手の平側の内側面上の指先領域に、粘着層を有する導電性可撓性シートである内側シートと当該内側シートの当該粘着層が配置されている側の面から当該面の垂直方向に突起する導電性の内側突起部とを有する内側導電性パーツを押圧することにより、前記内側シートを前記指袋の手の平側の内側面上に固着させるとともに、前記内側突起部を前記指袋の厚み方向に挿入させるステップと、
前記内側導電性パーツを押圧して固着させるステップの前後を通じたいずれかのタイミングにおいて、前記指袋の手の平側の外側面上の指先領域に、粘着層を有する導電性可撓性シートである外側シートと当該外側シートの当該粘着層が配置されている側の面から当該面の垂直方向に突起する導電性の外側突起部とを有する外側導電性パーツを押圧することにより、前記外側シートを前記指袋の手の平側の外側面上に固着させるとともに、前記外側突起部を前記指袋の厚み方向に挿入させるステップと、
を備え、
前記内側突起部および前記外側突起部は互いに係着する形状を有し、
前記内側導電性パーツを押圧するステップおよび前記外側導電性パーツを押圧するステップのいずれかにおいて、前記内側突起部と前記外側突起部を互いに係着する
導電性装着具の装着された手袋の製造方法
を提供する(第7の実施態様)。
【0026】
また、本発明は、
1以上の指を収納するための指袋を有し前記指袋の手の平側の領域に内側面と外側面との間を貫通する孔を有する手袋の、前記指袋の手の平側の内側面上の指先領域に、導電性ペーストを塗布し押圧した後に硬化させるステップと、
前記内側面上の指先領域に導電性ペーストを塗布し押圧した後に硬化させるステップの前後を通じたいずれかのタイミングにおいて、前記指袋の手の平側の外側面上の指先領域に、導電性ペーストを塗布し押圧した後に硬化させるステップと
を備え、
前記内側面上の指先領域に導電性ペーストを塗布し押圧した後に硬化させるステップおよび前記外側面上の指先領域に導電性ペーストを塗布し押圧した後に硬化させるステップにおいて、前記内側面から圧入された導電性ペーストと前記外側面から圧入された導電性ペーストを前記孔の内部において互いに連通させた後に硬化させる
導電性装着具の装着された手袋の製造方法
を提供する(第8の実施態様)。
【0027】
また、本発明は、
1以上の指を収納するための指袋を有する手袋を構成する各々手の形状に切断された可撓性シート素材である手の平側シートおよび手の甲側シートを準備するステップと、
前記手の平側シートの前記指袋を形成する部分を側方から挟み込むように所定の形状に切断された導電性可撓性シートを配置し、前記導電性可撓性シートを前記手の平側シートの内側面および外側面に固着するステップと、
前記導電性可撓性シートが固着された前記手の平側シートと前記手の甲側シートとを重合し、当該重合された前記手の平側シートと前記手の甲側シートとを手を挿入するための開口部を残し外縁部において連結するステップと
を備える導電性装着具の装着された手袋の製造方法
を提供する(第9の実施態様)。
【発明の効果】
【0028】
上述の第1の実施態様にかかる手袋用導電性装着具によれば、既存の非導電性の手袋に対し装着することで、既存の手袋を装着した手で静電容量方式のタッチセンサを備えたタブレット型PC等の装置を操作することが可能となる。
【0029】
上述の第2の実施態様にかかる手袋用導電性装着具もしくは上述の第7の実施態様にかかる導電性装着具の装着された手袋の製造方法によれば、突起部を備えた粘着シート状パーツである内側導電性パーツおよび外側導電性パーツを各々、既存の手袋の手の平側指先部の内側および外側から押圧し固着することにより、容易に既存の手袋を静電容量方式のタッチセンサを操作可能な手袋にすることができる。
【0030】
上述の第3の実施態様にかかる手袋用導電性装着具によれば、手袋の厚さに応じた係着の深さが選択可能であるため、様々な厚さの手袋に対し内側導電性パーツおよび外側導電性パーツを装着可能である。
【0031】
上述の第4の実施態様にかかる手袋用導電性装着具もしくは上述の第8の実施態様にかかる導電性装着具の装着された手袋の製造方法によれば、既存の手袋の指先部分に必要に応じて孔を空け、その指先部分の内側面および外側面にペースト状の導電性素材を塗布し押圧し養生等により硬化させることにより、容易に既存の手袋を静電容量方式のタッチセンサを操作可能な手袋にすることができる。
【0032】
上述の第5の実施態様にかかる手袋用導電性装着具もしくは上述の第9の実施態様にかかる導電性装着具の装着された手袋の製造方法によれば、既存の手袋の製造工程に対し、所定の形状に切断した1枚の導電性可撓性シートで手の平側パーツの指先部分を挟み込むように配置し固着する工程を追加するのみで、既存のデザインの手袋に対し静電容量方式のタッチセンサを操作可能な性能を追加することができる。
【0033】
なお、上記のいずれにおいても、既存の手袋の指先部分に導電性シートが内側と外側の計2層、追加されることになるため、指先部分の防寒性能が既存の手袋よりも向上し、望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、本発明の第1実施例にかかる導電性装着具が手袋に装着されている様子を示した図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施例にかかる導電性装着具の構成を示した図である。
【図3】図3は、本発明の第1実施例にかかる導電性装着具を構成する内側導電性パーツおよび外側導電性パーツが互いに係着した状態を示した図である。
【図4】図4は、本発明の第1実施例および第2実施例にかかる導電性装着具の装着にあたり必要となる手袋に対する孔空けを行うための器具を示した図である。
【図5】図5は、本発明の第2実施例にかかる導電性装着具を手袋に装着する際の様子を示した図である。
【図6】図6は、本発明の第3実施例にかかる導電性装着具が手袋に装着されている様子を示した図である。
【図7】図7は、本発明の第3実施例にかかる導電性装着具が手の平側パーツに貼付される様子を示した図である。
【図8】図8は、本発明の第3実施例にかかる導電性装着具を手袋に装着する際の様子を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に本発明の実施例にかかる導電性装着具および導電性装着具の装着された手袋の製造方法を説明する。
【0036】
[第1実施例]
図1は、本発明の第1実施例にかかる導電性装着具1が既存の手袋9に装着されている様子を示す図である。なお、図1における手前側が手袋9の手の平側である。手袋9は左手用手袋9Lと右手用手袋9Rとのペアで構成され、それらの形状・構造は左右対称であることを除き同一である。
【0037】
左手用手袋9Lおよび右手用手袋9Rは各々、ユーザに装着された際にユーザの手の平を覆い包む部分である手の平袋91と、ユーザの5本の指を各々覆い包む部分である5つの指袋92とを備えている。指袋92の各々の手の平側の指先が触れる領域には、導電性装着具1が装着されている。
【0038】
図2は、導電性装着具1の構成を示した図である。導電性装着具1は、図2(a)および(c)に示される内側導電性パーツ11と、図2(b)および(d)に示される外側導電性パーツ12とから構成される。なお、図2(c)は図2(a)に示される断面xで内側導電性パーツ11を切断した場合の断面図であり、図2(d)は図2(b)に示される断面yで外側導電性パーツ12を切断した場合の断面図である。
【0039】
内側導電性パーツ11は、内側シート111と、内側シート111の一方の面上に配置された粘着層112と、内側シート111の2つの面のうち粘着層112が配置されている側の面から垂直に突起している複数の内側突起部113とを備えている。
【0040】
同様に、外側導電性パーツ12は、外側シート121と、外側シート121の一方の面上に配置された粘着層122と、外側シート121の2つの面のうち粘着層122が配置されている側の面から垂直に突起している複数の外側突起部123とを備えている。なお、外側シート121の粘着層122が配置されていない側の面は外側に凸に湾曲するよう外縁部から中央部に向けて隆起している。
【0041】
内側シート111および外側シート121は導電性可撓性樹脂シートである。導電性可撓性樹脂シートの素材としては様々なものが考えられるが、例えばシリコン樹脂に銀粉を混入したものなどがその例として考えられる。
【0042】
粘着層112および粘着層122は例えば接着剤の層であり、粘着層112は指袋92の内側面と内側シート111とを、粘着層122は指袋92の外側面と外側シート121とを、各々固着する。
【0043】
内側突起部113は導電性可撓性樹脂を素材とし、図2(c)に示されるように、その先端部分がキノコ形状をしている。一方、外側突起部123は導電性可撓性樹脂を素材とし、図2(d)に示されるように、全体として円筒形状をしており、その内壁から内側に向けて複数(図2(d)では3つ)の環状突起部が突起している。
【0044】
内側突起部113が外側突起部123に差し込まれると、内側突起部113の先端部分の鍔部分(キノコ形状の傘部分)が外側突起部123の環状突起部に引っ掛かり、内側突起部113と外側突起部123との係着が行われる。その際、内側突起部113と外側突起部123との電気的な接続も行われる。
【0045】
内側突起部113は内側シート111と、また外側突起部123は外側シート121と、各々一体成形により成形されるが、内側突起部113および外側突起部123は互いの係着に十分な強度をもたせるために、内側シート111および外側シート121よりも高い剛性を備えるよう、その素材が選択されている。なお、内側突起部113は内側シート111と、また外側突起部123は外側シート121と、各々連続しているため、電気的にも接続されている。
【0046】
内側導電性パーツ11および外側導電性パーツ12は各々、指袋92の内側面および外側面に粘着層により貼付される。その際、内側突起部113と外側突起部123が指袋92の厚さ方向に挿入され、指袋92の内側で互いに係着する。図3は、そのように指袋92に配置され互いに係着された内側導電性パーツ11および外側導電性パーツ12の様子を示した図である。
【0047】
内側突起部113の鍔部分が外側突起部123の複数の環状突起部のうちのいずれに引っ掛かるかは指袋92の厚さに依存し変化する。すなわち、指袋92が薄ければ内側突起部113の鍔部分は外側突起部123の複数の環状突起部のうちより外側シート121に近い側の環状突起部に引っ掛かることでその係着が行われ、指袋92が厚ければ内側突起部113の鍔部分は外側突起部123の複数の環状突起部のうちより外側シート121から遠い側の環状突起部に引っ掛かることでその係着が行われる。このように、内側突起部113と外側突起部123は、指袋92の厚さに応じて内側シート111と外側シート121との距離が変化可能となるように、その形状が設計されている。
【0048】
図3に示されるように、指袋92の内側に配置された内側導電性パーツ11と外側に配置された外側導電性パーツ12は、互いに係着された内側突起部113および外側突起部123を介して互いに電気的に接続されている。このため、手袋9を装着したユーザの指8が内側導電性パーツ11に触れた際、指8が電気的に外側導電性パーツ12と接続されることになる。その結果、手袋9を装着したユーザはその指8により指袋92越しに、例えばタブレット型PC7のタッチセンサを操作することができる。その際、タッチセンサの配置された操作面に触れる外側シート121の外側面が湾曲しているため、操作面に対する指8の角度が変化しても導電性装着具1が常に点で操作面に触れ、高い操作性が得られる。
【0049】
ところで、手袋9が例えばニット製手袋である場合、指袋92には毛糸の編み目が多数あるため、指袋92の厚さ方向に、内側突起部113および外側突起部123を挿入するための孔を別途形成する必要はない。すなわち、ニット製の指袋92に対しては、内側突起部113および外側突起部123をその編み目に差し入れて係着させることで、容易に内側導電性パーツ11および外側導電性パーツ12の指袋92に対する装着が完了する。
【0050】
一方、手袋9が例えば皮革製手袋である場合、指袋92の厚さ方向に内側突起部113および外側突起部123を挿入するための孔を設ける作業が必要となる。その作業は、例えば図4に示す孔空け器具4および針受けパッド5により容易かつ安全に行うことができる。
【0051】
図4(a)および(b)に示すように、孔空け器具4は基台41と、基台41を上から覆うように配置されたカバー42と、基台41からカバー42の配置されている側に垂直に突起するように配置された複数の針43と、基台41とカバー42とを連結する複数のブリッジ44とを備えている。なお、図4(b)はカバー42を取り除いた状態の孔空け器具4を示している。
【0052】
基台41は中空部を備え、その中空部にスプリングによりブリッジ44を図4(b)における上方向に付勢する機構が設けられている。すなわち、ブリッジ44に連結されたカバー42は、スプリングによる付勢に打ち勝つ大きさの押圧を上から下へ向かい受けると、下方、すなわち基台41に近付く方向に移動し、その押圧から解放されると、スプリングによる付勢により、基台41から離れる方向に移動する。
【0053】
カバー42には、針43の位置に応じた位置に孔が設けられており、針43の少なくとも先端部がその孔に入り込んでいる。カバー42に対し下方への押圧が加えられていない状態において、針43の先端部はカバー42の孔の中に収納されている。カバー42に対し下方に押圧が加えられると、カバー42が下がり、針43の先端がカバー42の上面より上に突出することになる。
【0054】
上記のような仕組みの孔空け器具4を用いて指袋92に孔を空ける際、針43が指袋92の手の平側のみならず手の甲側まで貫通しないように、概ね円柱形状の棒状体である針受けパッド5が用いられる。針受けパッド5は、例えばシリコン樹脂製である。
【0055】
指袋92に対し孔空けを行うには、まず針受けパッド5を、孔空けを行う指袋92の内側に挿入する(図4(c)参照)。続いて、孔空け器具4の針43側が指袋92に向くようにして、孔空け器具4を指袋92の手の平側に強く押し当てる。それにより、針43が指袋92を貫き、針受けパッド5に達する。その際、指袋92の手の平側には孔が空けられるが、手の甲側には針受けパッド5により針43が到達しないため、孔が空けられない。
【0056】
その後、孔空け器具4を指袋92から引き剥がし、針受けパッド5を指袋92から引き抜くと、手の平側にのみ孔の空けられた指袋92が出来上がる。このように孔が空けられると、その孔に対し内側突起部113および外側突起部123を挿入することで、内側導電性パーツ11と外側導電性パーツ12の指袋92に対する装着を容易に行うことができる。
【0057】
以上のように、導電性装着具1によれば、必要に応じて孔空け器具4および針受けパッド5を用いて指袋92の手の平側に孔を空けた後、内側導電性パーツ11を指袋92の内側から、外側導電性パーツ12を指袋92の外側から、各々指袋92の手の平側の部分(指が接する部分)を挟み込むように押し当てることで、既存の手袋に対し容易に導電性装着具1を装着することができる。その結果、既存の手袋を装着して、静電容量方式のタッチセンサを操作することができるようになる。
【0058】
なお、孔空け器具4には、不使用時にユーザが誤ってカバー42を指などで押し下げ、カバー42の下から突き出した針43により怪我を負うといった問題を回避するために、通常の強さの押圧によってはカバー42が下がらないようにロックする機構が設けられていることが望ましい。例えば、既知の機構により、ユーザが基台41の側面に設けられているスライドボタン45をスライドさせることにより、基台41とカバー42との間の距離が固定されるようにすれば、ユーザは不使用時にスライドボタン45をスライドさせることにより、孔空け器具4を安全に保管等することができる。
【0059】
[第2実施例]
図5は、本発明の第2実施例にかかる導電性装着具2を既存の手袋9に装着する際の様子を示す図である。なお、導電性装着具2が装着された状態の手袋9の概観は、導電性装着具1に関し図1に示したものと同様である。
【0060】
導電性装着具2は装着される前の状態においてペースト状である導電性樹脂であり、手袋9に対し塗布および圧入された後、養生等により硬化することで、手袋9に対する装着が行われる。なお、硬化した状態の導電性装着具2は可撓性を備えている。以下、ペースト状の導電性装着具2を導電性ペーストと呼ぶ。
【0061】
指袋92に対する塗布前の導電性ペーストは、塗布器具6に収容されている。塗布器具6は浅い楕円筒形状のシリンダ61と、シリンダ61の中に挿入されユーザの押圧によりシリンダの軸方向に移動する楕円柱形状のピストン62を備えている。シリンダ61内には導電性ペーストが充填され、シート状シール材によりシリンダ61の開口部が塞がれることにより、導電性ペーストがシリンダ61内に密封されている。
【0062】
ユーザはまず、必要に応じて、図4に示した孔空け器具4および針受けパッド5を用いて、指袋92の手の平側の指先の領域に孔を空ける。その後、ユーザは表裏が逆となるように手袋9を裏返す。
【0063】
続いて、ユーザは塗布器具6に取り付けられているシート状シール材をシリンダ61の開口部から剥がし、導電性ペーストを露出させた状態とした後、その開口部を指袋92の手の平側の指先の領域(手袋装着時の内側面)に押し当てる。その状態で、ピストン62を指袋92の方向に押圧する(図5(a))。
【0064】
その際、必要以上の量の導電性ペーストが指袋92に空いている穴を通じて指袋92の裏側に抜け出ると、指袋92の表面を覆う導電性ペーストの厚さが薄くなりすぎ、十分な導電性が得られず望ましくない。そのため、シリンダ61の内側面の開口側の所定位置に環状突起部が設けられており、ピストン62の先端側縁部がその環状突起部に突き当たるところまで押圧を行うことで、ユーザは容易に望ましい厚さの導電性ペーストを指袋92の表面に塗布することができる。
【0065】
上記のようにして導電性ペーストが内側面側に塗布された状態の指袋92を図5(b)に示す。指袋92の内側面側に塗布された導電性ペーストは養生等により硬化し、内側導電性パーツ21となる。内側導電性パーツ21は、指袋92の内側面上に配置されている部分である内側シート211と、指袋92の孔の内側に入り込んでいる部分である内側突起部213とに区分される。なお、導電性ペースト自体が接着性を持ち、硬化に伴い指袋92の表面に固着するため、導電性装着具2においては導電性装着具1における粘着層112は不要である。
【0066】
内側導電性パーツ21が十分に硬化した後、ユーザは再度、表裏が逆となるように手袋9を裏返す。その後、ユーザは導電性ペーストの充填された新しい塗布器具6のシート状シール材を剥がし、指袋92の手の平側の指先の領域(手袋装着時の外側面)、すなわち内側導電性パーツ21が配置されている領域の外側面側に、導電性ペーストが露出した状態の塗布器具6の開口部を押し当てる。その状態で、ピストン62を指袋92の方向に押圧する。
【0067】
上記のようにして指袋92の外側面側に導電性ペーストが塗布された状態の指袋92を図5(c)に示す。指袋92の外側面側に塗布された導電性ペーストは養生等により硬化し、外側導電性パーツ22となる。外側導電性パーツ22は、内側導電性パーツ21と同様に、指袋92の外側面上に配置されている部分である外側シート221と、指袋92の孔の内側に入り込んでいる部分である外側突起部223とに区分される。なお、導電性ペースト自体が接着性を持ち、硬化に伴い指袋92の表面に固着するため、粘着層122が不要である点も同様である。
【0068】
ピストン62に対する押圧により指袋92の外側面から指袋92の孔の内側へと圧入された導電性ペーストは指袋92の孔の内部で内側突起部213の先端部分に到達し、そこに連結される。その後、導電性ペーストが硬化することで、内側導電性パーツ21と外側導電性パーツ22が一体化することになる。
【0069】
以上のように、導電性装着具2によれば、必要に応じて孔空け器具4および針受けパッド5を用いて指袋92の手の平側に孔を空けた後、導電性ペーストの充填された塗布器具6を指袋92の内側および外側から押し当て、そのシリンダ61を指袋92に対し押圧して導電性ペーストの塗布および圧入を行った後、所定時間以上の養生を行う等により、既存の手袋に対し容易に導電性装着具2を装着することができる。その結果、既存の手袋を装着して、静電容量方式のタッチセンサを操作することができるようになる。
【0070】
[第3実施例]
図6は、本発明の第3実施例にかかる導電性装着具3が既存の手袋9に装着されている様子を示す図である。なお、図6における手前側が手袋9の手の平側である。導電性装着具1および導電性装着具2が指先部の手の平側を概ね楕円形状で覆っていたのに対し、導電性装着具3は指先部の手の平側の概ね全体を覆う形状をしている。
【0071】
導電性装着具3が装着される手袋9は、各々手の形に切断された可撓性シートである手の平側パーツ91と手の甲側パーツ92とを、最終製品における外側面同士が接するように重合した状態で、手首部分(手を出し入れするための開口部分)を除きその外縁部を縫合により連結し、袋状になったものを表裏が逆となるように裏返して製造される。
【0072】
導電性装着具3は、上記の手袋9の製造工程における縫合の前の段階において、手の平側パーツ91に対し貼付される。図7は、導電性装着具3が手の平側パーツ91に貼付される様子を示した図である。
【0073】
導電性装着具3は、図7(a)に示すように、所定の形状に切断された導電性布帛31と、導電性布帛31の一方の面に配置された粘着層32とから構成されている。導電性布帛31は指先の形状の胴体部分311と、胴体部分311から左右に各々突起するヒレ部分312に区分される。
【0074】
製造者は、手の平側パーツ91の指先の部分の外側面(装着時の外側面)に対し、図7(b)および(c)に示されるように、胴体部分311を重ね合わせ、粘着層32により手の平側パーツ91に対し胴体部分311を貼り付ける。
【0075】
その後、製造者は、図7(d)乃至(f)に示されるように、ヒレ部分312を手の平側パーツ91の裏側、すなわち内側面に折り返し、粘着層32により手の平側パーツ91に対しヒレ部分312を貼り付ける。その際、導電性布帛31が左右のヒレ部分312の付け根において手の平側パーツ91を側方から挟み込む形となる。なお、図7(f)はそのように導電性装着具3が貼付された状態の手の平側パーツ91を内側面から見た状態を示している。
【0076】
続いて、図8(a)に示すように、導電性装着具3の貼付された手の平側パーツ91の外側面と、手の甲側パーツ92の外側面とが接するようにそれらを重ね合わせ、図8(b)に示すように、その外縁部を、手首部分を除き一周するように縫合する。
【0077】
そのように縫合を完了し、袋状となったものを表裏が逆になるように裏返すと、導電性装着具3の装着された手袋9が完成する。
【0078】
以上のように、導電性装着具3によれば、既存の手袋9の製造工程に対し、手の平側パーツ91と手の甲側パーツ92の縫合の前に導電性装着具3を手の平側パーツ91に貼付する工程を追加するのみで、静電容量方式のタッチセンサを操作可能な性能を付加することができる。
【0079】
[変形例]
上述した実施例は本発明の具体例であって、様々に変形可能である。以下にそれらの変形の例を示す。
【0080】
上述した導電性装着具1、導電性装着具2および導電性装着具3は、左手用手袋9Lおよび右手用手袋9Rの各々の5指の全てに装着されるものとしたが、必要な指に関してのみ装着されればよい。例えば、右利きのユーザ用には、右手用手袋9Rの5指にのみそれらの導電性装着具が装着されればよく、左手用手袋9Lへの装着は不要であるかも知れない。また、タッチセンサの操作において人差し指と親指しか用いない、という場合には、中指、薬指および小指に関してはそれらの導電性装着具の装着は不要である。
【0081】
上述した導電性装着具1、導電性装着具2および導電性装着具3の形状や素材、サイズは様々に変更可能である。例えば、導電性装着具1における内側突起部113および外側突起部123の位置は数、内側突起部113と外側突起部123の係着のための形状などは設計事項であり、他の様々な位置や数、形状が採用され得る。また、導電性装着具1および導電性装着具2の形状を楕円形状ではなく指先の形状としたり、導電性装着具3におけるヒレ部分312を、例えば左右のうち片側のみとしたり、片側に2以上のヒレ部分312を設けたり、ヒレ部分312の幅や長さを変更したりすることも全て、設計事項である。
【0082】
また、導電性装着具1および導電性装着具2の装着において、例えば手袋9が革製手袋であるような場合、手袋9に対し孔空け器具4および針受けパッド5により孔空けが行われるものとしたが、孔空け器具4および針受けパッド5は孔空け手段の一例であって、他のいかなる手段がこれらに代えて用いられてもよい。例えば、千枚通しにより1つずつ孔空けが行われてもよい。
【0083】
また、導電性装着具2の装着において、塗布器具6が用いられるものとしたが、上述した塗布器具6の形状や構造は一例であって、導電性ペーストを指袋92に塗布・圧入することが可能な他のいかなる形状や構造が塗布器具6に採用されてもよい。また、成形容器63は必ずしも必要なく、例えば、単純なビンなどの容器に充填されている導電性ペーストをヘラ等で取り出し、指袋92に塗布した後、それをヘラの腹などで指袋92に対し押圧する、という塗布・圧入の方法が採用されてもよい。
【0084】
また、導電性装着具3の装着において、手の平側パーツ921と手の甲側パーツ922は縫合により袋状に連結されるものとしたが、例えば接着剤、熱溶着による固着など、他の方法によりその連結が行われてもよい。また、導電性装着部1および導電性装着部3の装着において、粘着層により導電性シートの指袋92に対する貼付が行われるものとしたが、熱溶着による固着など、他の方法によりその貼付が行われてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明にかかる手袋用装着具は量産可能であり、広く一般消費者に購入され利用されるため、少なくとも製造業、卸売り・小売り等のサービス業に貢献する。また本発明にかかる導電性装着具が装着された手袋およびその装着方法もしくは製造方法は、手袋の製造メーカに広く利用され得るため、少なくとも製造業に貢献する。
【符号の説明】
【0086】
1…導電性装着具、2…導電性装着具、3…導電性装着具、4…孔空け器具、5…針受けパッド、6…塗布器具、7…タブレット型PC、8…指、9…手袋、11…内側導電性パーツ、12…外側導電性パーツ、21…内側導電性パーツ、22…外側導電性パーツ、31…導電性布帛、32…粘着層、41…基台、42…カバー、43…針、44…ブリッジ、45…スライドボタン、61…シリンダ、62…ピストン、63…成形容器、91…手の平側パーツ、91…手の平袋、92…手の甲側パーツ、92…指袋、111…内側シート、112…粘着層、113…内側突起部、121…外側シート、122…粘着層、123…外側突起部、211…内側シート、213…内側突起部、221…外側シート、223…外側突起部、311…胴体部分、312…ヒレ部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の指を収納するための指袋を有する手袋の前記指袋の手の平側の内側面上の指先領域に固着される導電性可撓性シートである内側シートと、
前記指袋の手の平側の外側面上の指先領域に固着される導電性可撓性シートである外側シートと、
前記指袋の内側面と外側面とを貫通するように配置され前記内側シートと前記外側シートとを電気的に接続する導電性素材である連結部と
を備える手袋用導電性装着具。
【請求項2】
前記内側シートおよび前記外側シートは各々粘着層を有し、前記粘着層により前記指袋に固着され、
前記連結部は、
前記内側シートから前記指袋が有する内側面と外側面とを貫通する孔を通って外側へと突起する内側突起部と、
前記外側シートから前記孔を通って内側へと突起し、前記内側突起部と前記孔の内部において電気的に接続される外側突起部と
を有し、
前記内側突起部および前記外側突起部は互いに係着する形状を有する
請求項1に記載の手袋用導電性装着具。
【請求項3】
前記内側突起部および前記外側突起部は、前記指袋の厚み方向の距離を変更可能に係着可能な形状を有する
請求項2に記載の手袋用導電性装着具。
【請求項4】
前記内側シートおよび前記外側シートは各々、前記指袋の表面に塗布され前記孔の方向に押圧された後に硬化された導電性ペーストのうち前記指袋の表面上に配置されている部分であり、
前記連結部は、前記導電性ペーストのうち前記指袋の内側面から前記孔に圧入された部分と前記指袋の外側面から前記孔に圧入された部分とが前記孔の内部において互いに連通した後に硬化したものである
請求項1に記載の手袋用導電性装着具。
【請求項5】
前記内側シートと前記外側シートと前記連結部とは所定の形状に切断された1枚の導電性可撓性シートであり、
前記1枚の導電性可撓性シートは前記手袋の手の平側を構成するシートを側方から挟み込むように配置され、
前記内側シートは、前記1枚の導電性可撓性シートのうち前記手の平側を構成するシートの内側面上に固着された部分であり、
前記外側シートは、前記1枚の導電性可撓性シートのうち前記手の平側を構成するシートの外側面上に固着された部分であり、
前記連結部は、前記1枚の導電性可撓性シートのうち前記手の平側を構成するシートの側方に配置され、前記手の平側を構成するシートと前記手袋の手の甲側を構成するシートとに挟み込まれた部分である
請求項1に記載の手袋用導電性装着具。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の手袋用導電性装着具を装着された手袋。
【請求項7】
1以上の指を収納するための指袋を有する手袋の前記指袋の手の平側の内側面上の指先領域に、粘着層を有する導電性可撓性シートである内側シートと当該内側シートの当該粘着層が配置されている側の面から当該面の垂直方向に突起する導電性の内側突起部とを有する内側導電性パーツを押圧することにより、前記内側シートを前記指袋の手の平側の内側面上に固着させるとともに、前記内側突起部を前記指袋の厚み方向に挿入させるステップと、
前記内側導電性パーツを押圧して固着させるステップの前後を通じたいずれかのタイミングにおいて、前記指袋の手の平側の外側面上の指先領域に、粘着層を有する導電性可撓性シートである外側シートと当該外側シートの当該粘着層が配置されている側の面から当該面の垂直方向に突起する導電性の外側突起部とを有する外側導電性パーツを押圧することにより、前記外側シートを前記指袋の手の平側の外側面上に固着させるとともに、前記外側突起部を前記指袋の厚み方向に挿入させるステップと、
を備え、
前記内側突起部および前記外側突起部は互いに係着する形状を有し、
前記内側導電性パーツを押圧するステップおよび前記外側導電性パーツを押圧するステップのいずれかにおいて、前記内側突起部と前記外側突起部を互いに係着する
導電性装着具の装着された手袋の製造方法。
【請求項8】
1以上の指を収納するための指袋を有し前記指袋の手の平側の領域に内側面と外側面との間を貫通する孔を有する手袋の、前記指袋の手の平側の内側面上の指先領域に、導電性ペーストを塗布し押圧した後に硬化させるステップと、
前記内側面上の指先領域に導電性ペーストを塗布し押圧した後に硬化させるステップの前後を通じたいずれかのタイミングにおいて、前記指袋の手の平側の外側面上の指先領域に、導電性ペーストを塗布し押圧した後に硬化させるステップと
を備え、
前記内側面上の指先領域に導電性ペーストを塗布し押圧した後に硬化させるステップおよび前記外側面上の指先領域に導電性ペーストを塗布し押圧した後に硬化させるステップにおいて、前記内側面から圧入された導電性ペーストと前記外側面から圧入された導電性ペーストを前記孔の内部において互いに連通させた後に硬化させる
導電性装着具の装着された手袋の製造方法。
【請求項9】
1以上の指を収納するための指袋を有する手袋を構成する各々手の形状に切断された可撓性シート素材である手の平側シートおよび手の甲側シートを準備するステップと、
前記手の平側シートの前記指袋を形成する部分を側方から挟み込むように所定の形状に切断された導電性可撓性シートを配置し、前記導電性可撓性シートを前記手の平側シートの内側面および外側面に固着するステップと、
前記導電性可撓性シートが固着された前記手の平側シートと前記手の甲側シートとを重合し、当該重合された前記手の平側シートと前記手の甲側シートとを手を挿入するための開口部を残し外縁部において連結するステップと
を備える導電性装着具の装着された手袋の製造方法。

【図1】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図2】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−190564(P2011−190564A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2011−63347(P2011−63347)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(511072921)
【Fターム(参考)】